JP2887051B2 - 光変調素子 - Google Patents

光変調素子

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JP2887051B2
JP2887051B2 JP20210993A JP20210993A JP2887051B2 JP 2887051 B2 JP2887051 B2 JP 2887051B2 JP 20210993 A JP20210993 A JP 20210993A JP 20210993 A JP20210993 A JP 20210993A JP 2887051 B2 JP2887051 B2 JP 2887051B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な光変調素子に関
し、さらに詳しくは、フォトクロミック化合物を用い
た、安定で高密度な光演算素子或いは光メモリー等に応
用可能な光変調素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光変調素子としては、電気光学効
果、磁気光学効果、音響光学効果等を利用したものが知
られている。電気光学効果では電界の印加による屈折率
変化を利用し、磁気光学効果では磁界により偏波面が回
転することを利用している。また、音響光学効果では、
例えば、導波路上に形成されたくし形電極からなるトラ
ンデューサーに高周波電圧を印加し、入力信号の周波数
に応じた表面弾性波を生じさせ、導波光と表面弾性波と
の相互作用により導波光の偏光角が変化することを利用
している。上記のように、従来の光変調素子では、電界
或いは磁界を印加することによって光変調を行っている
ため、高精彩化、高速化に限界があった。そこで光を用
いて光変調を行うことができる素子について研究がなさ
れている。従来光を用いて光変調を行う素子としては、
(1)光導電素子と液晶素子を組み合わせた光変調素
子、(2)強誘電性液晶とフォトクロミック化合物の混
合物を用いた光変調素子(第17回液晶討論会講演予稿
集:第246頁)(3)フォトクロミック化合物の遷移
モーメントを一定方向に配向した光異性化に伴うフォト
クロミック化合物の複屈折変化を利用した光変調素子
(特開平2−190827号公報)等が提案されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した(1)および
(2)の場合は、本質的に電気光学効果を利用したもの
であり、消費電力が問題になる。そして(1)の場合
は、光導電素子と液晶素子を積層するため工程が繁雑で
あり、また(2)の場合は、構造は簡単であるが、強誘
電性液晶の双安定状態を利用するため2値の変調しか行
えなっかったり、或いは作動温度域が狭い等の問題点が
ある。また(3)の場合は、光異性化に伴う複屈折変化
が小さいため、充分なコントラストが得られないという
問題点がある。本発明の目的は、従来の技術における上
記の問題点を解決することを目的とするものであって、
その目的は、高密度、高感度で安定性に優れた簡単な構
成の光−光変調素子を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
を重ねた結果、ねじり(ツイスト)配向処理された側鎖
型高分子液晶中において、フォトクロミック反応によっ
て誘起される高分子液晶媒体の変化によりフォトクロミ
ック化合物の吸収を持たない波長領域の光が変調される
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】本発明の光変調素子は、フォトクロミック
化合物を一成分として含有する側鎖型高分子液晶をねじ
り配向処理した高分子液晶膜からなり、フォトクロミッ
ク化合物が吸収を持たない波長域の光をフォトクロミッ
ク化合物の光異性化に伴い生じた高分子液晶膜の変化に
よって変調するためのものである。
【0006】本発明において、上記高分子液晶膜には、
フォトクロミック反応によって誘起される屈折率異方性
の変化の増大、応答速度の高速化あるいは作動温度範囲
を拡大する目的で、低分子液晶を混合することができ
る。ここで述べる低分子液晶としては、通常知られてい
るネマチック液晶であって、単一組成のもの、あるいは
液晶組成物のいずれであってもよい。したがって、本発
明の光変調素子の好ましいものの一つは、高分子液晶膜
が、側鎖に共有結合したフォトクロミック成分を有する
側鎖型高分子液晶および低分子液晶の少なくとも二成分
からなるものであり、また、他の一つは、高分子液晶膜
が、側鎖型高分子液晶、フォトクロミック化合物および
低分子液晶の少なくとも三成分からなるものである。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
光変調素子に使用される光変調材料は、少なくとも側鎖
型高分子液晶とフォトクロミック化合物を必須成分とし
て構成されるが、その構成は、(1)第1の態様におい
ては、側鎖型高分子液晶中にフォトクロミック化合物が
分散されたものが使用され、また、(2)第2の態様に
おいては、側鎖に共有結合でフォトクロミック化合物が
結合したものが使用される。
【0008】先ず、(1)の第1の態様の光変調素子の
場合について説明する。ここで、側鎖型高分子液晶と
は、液晶性を示すメソゲン分子を所定のアルキルスペー
サを介して側鎖にペンダントに有する高分子であり、低
分子液晶と同様にネマチック相、スメクチック相或いは
コレステリック相等の種々液晶相を形成するものであ
る。使用される側鎖型高分子液晶については、その構造
が、Mol.Cryst.Liq.Cryst.,16
7,169(1989)などに開示されている。例え
ば、誘電率異方性が正のシアノビフェニル、シアノフェ
ニルベンゾエート、シアノビフェニルベンゾエート、シ
アノフェニル(4−フェニルベンゾエート)あるいは、
誘電率異方性が負のメトキシビフェニル、メトキシフェ
ニルベンゾエート、メトキシビフェニルベンゾエート、
メトキシフェニル(4−フェニルベンゾエート)構造を
持ち、主鎖構造がポリアクリレート系、ポリメタクリル
系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリシロキサン
系のもの等が一般的なものとして使用可能である。その
具体的なものとしては、下記一般式(V) 〜(VIII)で示
される単量体単位よりなるものをあげることができる
が、これ等に限定されるものではない。
【0009】
【化5】 [R11は、水素原子またはメチル基を表わし、Xおよび
Yは、それぞれ単結合、−O−、−COO−、−OCO
−、−CH=N−または−N=CH−を表わし、R
12は、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基、フ
ロロアルキル基、フロロアルコキシ基、シアノ基、ハロ
ゲン原子または水素原子を表わし、Φ1 およびΦ2 は、
それぞれ下記の基を表わし、
【0010】
【化6】 (但し、Qは、水素原子、フッ素原子、塩素原子または
臭素原子を表わし、mは、0または1から4の整数を表
わす。)、nは2から30の整数を表わし、pは1から
20の整数を表わす。]上記高分子液晶の分子量(重量
平均分子量)としては、1000から100万の範囲が
好ましく、さらに好ましくは1000から5万の範囲で
ある。また、Tg(ガラス転移点)が50℃以下のもの
は、高い変調特性を示すので、好ましい。
【0011】また、上記側鎖型高分子液晶に分散される
フォトクロミック化合物としては、熱的な異性化を起こ
さないフォトンモードフォトクロミック化合物である下
記式(I)または(II)で示される熱安定性フォトクロ
ミック化合物があげられる。フルギド誘導体およびジア
リールエテン誘導体があげられる。これらのものは、記
録の安定性向上の上からも好ましく使用される。また、
高分子液晶に対する相溶性が改善されており、ドーパン
トとしての効果が大きいので好ましい。
【0012】
【化7】 〔式中、R1 〜R8 は、同一または異なるものであっ
て、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜10のア
ルキル基を表わし、Aは酸素原子、硫黄原子または−N
−R9 (ただし、R9 は水素原子、炭素数1〜10のア
ルキル基または置換されていてもよいフェニル基を表わ
す。)を表わし、Bは炭素数1〜30のアルキル基また
は下記式(III )または(IV)で示される基
【化8】 (ただし、Xは単結合、−O−、−COO−,−OCO
−、−CH2 O−、−N=N−、−CH=N−または−
N=CH−を表わし、R10は炭素数1〜30のアルキル
基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表わ
し、rは1〜5の整数を表わす)を表わす。〕
【0013】上記の組成物中に含有されるフォトクロミ
ック化合物の量は、目的とする諸物性によって種々変化
するが、0.1〜50重量%の範囲が好ましく、さらに
好ましくは1〜20重量%の範囲である。フォトクロミ
ック化合物の量が、上記の範囲よりも少ないと、目的と
する光異性化に伴う物性変化を得ることができず、ま
た、上記の範囲よりも多いと、液晶性が著しく低下し、
セルの作製が困難になる。
【0014】次に、(2)の第2の態様の光変調素子の
場合について説明する。側鎖に共有結合したフォトクロ
ミック成分を有する側鎖型高分子液晶において、高分子
液晶の側鎖にフォトクロミック化合物を導入する方法と
しては、種々の方法が可能である。その一つは、付加重
合性を有する液晶モノマーとフォトクロミックモノマー
とを通常のラジカル重合またはイオン重合によって共重
合する方法が使用される。上記共重合法において使用さ
れる液晶モノマーは、Makromol.Chem.,
Vol.179,p273(1978)、Eur.Po
lym.J.,Vol.18,p651(1982)お
よびMol.Cryst.Liq.Cryst.,Vo
l.169,pp167〜192(1989)等に記載
されているものが使用可能であるが、例えば、ビフェニ
ル系、フェニルベンゾエート系、シクロヘキシルベンゼ
ン系、アゾキシベンゼン系、アゾメチン系、フェニルピ
リミジン系、ビフェニルベンゾエート系、シクロヘキシ
ルビフェニル系、ターフェニル系など各液晶分子に、適
当なアルキルスペーサを介してアクリル酸エステルもし
くはメタクリル酸エステルが結合した構造を有するもの
である。その具体的なものとしては、下記一般式(IX)
で示されるものがあげられるが、本発明においては、こ
れに限定されるものではない。
【0015】
【化9】 (R11は、水素原子またはメチル基を表わし、Xおよび
Yは、それぞれ単結合、−O−、−COO−、−OCO
−、−CH=N−または−N=CH−を表わし、R
12は、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基、フ
ロロアルキル基、フロロアルコキシ基、シアノ基、ハロ
ゲン原子または水素原子を表わし、Φ1 およびΦ2 は、
それぞれ前記したと同様の基を表わし、nは2から30
の整数を表わす。)
【0016】また、重合可能なフォトクロミックモノマ
ーとしては、下記一般式(X)または一般式(XI)で示
されるフルギド誘導体があげられる。
【0017】
【化10】 [式中,Aは酸素原子、硫黄原子または−NR22(ただ
し、R22は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基また
はフェニル基を表わす。)、R14〜R21は、それぞれ水
素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはフェニル基を
表わし、R13は、下記式(XII )または(XIII)で示さ
れる重合性基を表わす。
【0018】
【化11】 (ただし、R 23 は、水素原子またはメチル基を表わし、
sは1ないし30の整数を表わす。)]
【0019】上記のような高分子側鎖にフォトクロミッ
ク化合物を導入する方法においても、導入されるフォト
クロミック成分の量は、前記(1)の態様の分散系の場
合と同様な値で含有させる。すなわち、モノマー単位で
0.1〜50重量%の範囲が好ましく、さらに好ましく
は、1〜20重量%の範囲となるように調整される。フ
ォトクロミック成分の割合が、0.1重量%よりも低く
なると、目的とする光異性化に伴う物性変化を得ること
ができず、また、50重量%よりも高くなると、液晶性
が著しく低下してセルの作製が困難になる。
【0020】また、上記高分子液晶の分子量(重量平均
分子量)は、一般に1000〜100万の範囲から選択
され、より好ましくは1000〜5万の範囲である。ま
た、Tg(ガラス転移点)が50℃以下のものは、高い
変調効率を示すので好ましい。
【0021】本発明の光変調素子においては、高分子液
晶化合物および上記フォトクロミック化合物を必須の構
成要素とするが、前記のように応答速度の高速化或いは
作動温度範囲を拡大する目的で低分子液晶を混合しても
構わない。その混合量は、フォトクロミック成分を含有
する側鎖型高分子液晶、または側鎖型高分子液晶とフォ
トクロミック化合物との混合物に対して、1〜80重量
%の範囲が好ましく、さらに好ましくは5〜40重量%
の範囲である。低分子液晶の含有量が1重量%よりも少
ないと、低分子液晶を混合した効果が殆ど現われず、ま
た80重量%よりも多いと、膜を形成することができな
くなる。また、耐久性等の向上を目的としてヒンダード
アミンやヒンダードフェノールに代表される酸化防止剤
などの各種耐候安定剤を添加してもよい。これらの耐候
安定剤の添加量は、共有結合したフォトクロミック成分
を有する側鎖型高分子液晶と低分子液晶、または側鎖型
高分子液晶とフォトクロミック化合物および低分子液晶
の合計重量に対して、0.01〜5重量%の範囲が好ま
しい。
【0022】次に、本発明の光変調素子材料の配向処理
について説明する。本発明における光変調素子材料は、
低分子液晶を含む場合における配向処理と同様な方法が
適用可能である。すなわち、PVAやポリイミド等の薄
膜を施してラビング処理した公知の配向膜を用いる方法
が適用可能である。その場合、側鎖型高分子液晶の配向
は、側鎖型高分子液晶が液晶相を示す温度範囲でアニー
ル処理したり、溶融点まで加熱した後に徐冷することに
よって、効果的に達成される。
【0023】本発明においては、側鎖型高分子液晶をね
じり配向させることを特徴としている。ねじり配向と
は、図1に示すように、高分子液晶膜の表面の配向方向
が互いに法線を軸として、ねじれた関係にあることを意
味する。このとき高分子液晶膜内部の配向ベクトルの方
向は、一方の配向方向からもう一方の配向方向へとなだ
らかに変化する。ねじれ角は30°〜150°の範囲が
好ましく、さらに好ましくは60°〜120°の範囲で
ある。
【0024】次に、本発明の光変調素子の構成およびそ
の作製方法について説明する。本発明の光変調素子は、
少なくとも二枚の基板間に、上記ねじり配向させた高分
子液晶膜を挾持した構造のものが好ましい。勿論、これ
ら高分子液晶膜と基板との間に配向膜を設けてもよく、
一方の基板上に光反射層を設けてよい。さらに、最表面
の反射を防止するための反射防止膜や入射するレーザー
光の効率を向上させる干渉層を設けてもよい。これら高
分子液晶膜の厚みは、0.1μm〜50μmの範囲が好
ましく、特に好ましくは1μm〜20μmの範囲であ
る。また、配向膜を設ける場合、その膜厚は、0.00
1μm〜10μmの範囲が好ましい。ここで使用可能な
基板材料としては、ガラス、ポリカーボネート、ポリメ
チルメタクリレートやオレフィン系樹脂等があげられ
る。特に、透過光による読み出しを行う透過型の層構成
を有するものにおいては、基板材料は透明であることが
好ましい。
【0025】次に、代表的な光変調素子およびその作製
方法を説明する。まず、基板上にスピンコート法、バー
コート法やドクターブレード法などによって、配向膜材
料を含む溶液を塗布、乾燥して配向膜を形成する。この
配向膜を布や紙を用いて一方向に擦ってラビング処理す
る。次に、上記高分子液晶膜を形成するための原料、す
なわち、(1)共有結合したフォトクロミック成分を有
する側鎖型高分子液晶および所望によって添加される低
分子液晶、または(2)側鎖型高分子液晶とフォトクロ
ミック化合物、および所望によって添加される低分子液
晶を、適当な溶媒に溶解または加熱溶融して、上記配向
膜の上に塗布し、所定の膜厚の高分子液晶膜よりなる液
晶層を形成する。液晶層の上に配向膜を設けた他の一枚
の基板を重ね、減圧下での圧着や加熱圧着を行って、セ
ルを作製する。その際、ガラスや樹脂の微粒子やフィル
ム等のスペーサーを用いて、正確な膜厚を得ることも好
ましい。最後に、所定の温度に加熱してアニール処理し
たり、あるいは徐冷することにより、ねじり配向させ
る。90°ねじり配向したセルは透明であるが、偏光顕
微鏡で観察するとパラレルニコル下で回転角45°ごと
に暗および明状態が繰り返し現われることにより確認す
ることができる。
【0026】次に、上記の光変調素子を用いて光変調を
行う方法について説明する。光変調は、フォトクロミッ
ク成分またはフォトロミック化合物の構造Aが吸収を有
する波長:λA の光と、構造Bが吸収を有する波長:λ
B の光によって行われ、構造AおよびBが吸収を有しな
い波長:λC の直線偏光を変調する。すなわち、この直
線偏光がセルを透過またはセルで反射された後、検光子
を透過する光の強度が変調される。本発明の光変調素子
の光変調方法およびその構成について、透過型の場合を
主として説明する。本発明の光変調素子は、偏光面が直
行あるいは平行になるように配置された一対の偏光板の
間に配置することによって光変調を行うことができる。
その場合ねじり配向した高分子液晶膜表面の配向方向が
偏光板の偏光面と30〜60°の範囲、より好ましくは
45°の角度で配置させることによって、良好な光変調
が行われる。変調光の光源として偏光したレーザーを用
いる場合は、検光子だけでよい。その場合も、素子表面
での高分子液晶の配向方向がレーザー偏光面と30°〜
60°の範囲、より好ましくは45°の角度で配置する
ことによって、良好な光変調が行われる。透過型の他
に、反射型の読み出しも可能であり、この場合は、セル
面の片側に偏光板および検光子の両方を、その偏光面が
直行あるいは平行になるように配置する以外は、透過型
と同様に実行すればよい。
【0027】本発明の光変調の原理は定かではないが、
以下のように想定される。光変調材料としてフォトクロ
ミック化合物を少なくとも1種類以上含んだ側鎖型高分
子液晶をねじり配向して用いた場合、波長λA の光を照
射した部分はフォロクロミック化合物の光異性化に伴い
配向状態が変化し、透過率の最大または最小を示す波長
が変化する。初期状態を透過率が最大となるように膜厚
を設定した場合は、波長λA の光照射を行った部分の透
過率が減少し、一方、初期状態を透過率が最小になるよ
うに膜厚を設定した場合は、波長λA の光照射を行った
部分の透過率が増加するため、波長λC の光の透過率を
変調でき、中間調表現も可能になる。また、波長λB の
光照射を行うことにより、初期状態に戻すことができ
る。この説明の中では、初期状態が透過率最大或いは最
小の場合を例にとって説明したが、光異性化前後で透過
光の変化が観測されれば、初期状態はこれに限定される
ものではない。本発明の光変調素子は、光だけを用いて
光変調が可能であり、光演算素子、光メモリー等に応用
可能なものである。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。 実施例1 側鎖型高分子液晶として、下記構造式(A)で示され単
量体単位よりなるものを使用した。この高分子液晶の重
量平均分子量は約6000であり、液晶相を示す温度範
囲は20.1〜98.8℃であった。セルの作製は次の
ようにして行った。先ず2枚のガラス基板上に8重量%
PVA水溶液をスピンコートして綿でラビング処理し、
次に片方のガラス基板上に、上記側鎖型高分子液晶に下
記構造式(B)で示されるフルギドを5重量%加えた混
合物の40重量%テトラヒドロフラン(THF)溶液
を、バーコーターにより塗布した。乾燥した後、20μ
mの樹脂スペーサーを散布し、もう一方のガラス基板を
ラビング方向が互いに垂直になるように重ね120℃ま
で昇温し圧着した。セルは、圧着後90℃で1時間アニ
ール処理してねじり配向させた。セルの構成を図2に示
す。図中、1は透明基板、2はPVAラビング膜、3は
ねじり角90°にねじり配向させた高分子液晶、4はス
ペーサーである。
【0029】
【化12】 (式中、Meはメチル基を表わす。)このように作製し
たセルは透明であり、良好な配向を示しており、偏光顕
微鏡で観察するとパラレルニコル下で回転角45°ごと
に暗および明状態が繰り返し出現した。このセルは、紫
外線照射によりフォトクロミズムを示した。図3に紫外
線照射前後の吸収スペクトル変化を示すが、紫外線(λ
=365nm)の照射によりλ=520nmに最大吸収
を示し、吸収端は630nmであつた。図4に示すよう
に、上記のセル5を、パラレルニコル下でラビング方向
を偏光面と45°の角度で偏光板6および7の間に設置
した。セルに垂直に光を入射させた場合の紫外線照射前
後の透過スペクトル変化を図5に示す(測定温度25
℃)。フルギドの吸収に関係しない630nmから83
0nmの波長領域に最大5%程度の透過光の変化が発現
した。この変化は可逆的であり、白色光の照射により初
期化できたが、光λC (780nm)の照射によって変
化は起こらなかった。また、繰り返し安定性にも優れて
いた。
【0030】実施例2 下記構造式(C)で示される重合性フルギド化合物0.
1gと、構造式(D)で示される液晶単モノマー1.9
gをTHFを溶媒とし、アゾイソブチロニトリル(AI
BN)を開始剤として使用して共重合させた。
【化13】 (式中、Meはメチル基を表わす。)メタノールを用い
て再沈澱精製を行い、高分子液晶1.8gを淡黄色の固
体として得た。その組成は、MNR分析の結果、仕込み
時の組成とほぼ同じであることが確認された。この高分
子液晶の重量平均分子量は、約6000であり、液晶相
を示す温度範囲は、17〜96.5℃であった。この高
分子液晶を用い、実施例1と同様な方法でセルを作製し
た。圧着後90℃で1時間アニーリング処理してねじり
角90°にねじり配向させた。セルは紫外線照射により
λ=520nmに最大吸収を示し、吸収端は630nm
であった。パラレルニコル下における透過スペクトルの
変化は、フルギドの吸収に関係なしに630nmから8
30nmの波長領域に最大3%程度発現した。この変化
は可逆的であり、白色光の照射により初期化できたが、
光λC (780nm)の照射によって変化は起こらなか
った。
【0031】実施例3 側鎖型高分子液晶として、上記構造式(A)で示される
ものを使用した。この側鎖型高分子液晶の重量平均分子
量は約2万であり、液晶相を示す温度範囲は35℃〜1
22℃であった。この側鎖型高分子液晶に、上記構造式
(B)で示されるフルギドを7重量%、およびネマチッ
ク液晶(E44、メルク社製)を10重量%加えた混合
物の40重量%THF溶液を、バーコーターにより塗布
し、乾燥した後、実施例1と同様にしてセルを作製し
た。圧着後、セルは90℃で1時間アニール処理してね
じり角90°にねじり配向させた。作製されたセルは紫
外線照射によりλ=520nmに最大吸収を示し、吸収
端は630nmであった。パラレルニコル下における透
過スペクトルの変化は、フルギドの吸収に関係なしに6
30nmから830nmの波長領域に最大7%程度発現
した。この変化は可逆的であり、白色光の照射により初
期化できたが、光λC (780nm)の照射によって変
化は起こらなかった。
【0032】実施例4 実施例2と同様に、構造式(C)で示される重合性フル
ギド化合物と構造式(D)で示される液晶モノマーを溶
媒量、開始剤量を50mgに変化させて共重合を行っ
た、得られた高分子液晶の重量平均分子量は約2万であ
り、液晶相を示す温度範囲は33℃〜106℃であっ
た。この側鎖型高分子液晶に対して20重量%になるよ
うにネマチック液晶(E44、メルク社製)を10重量
%加えた混合物の40重量%THF溶液を、バーコータ
ーにより塗布した。乾燥した後、実施例1と同様にして
セルを作製した。圧着後、セルは90℃で1時間アニー
ル処理してねじり角90°にねじり配向させた。作製さ
れたセルは紫外線照射によりλ=520nmに最大吸収
を示し、吸収端は630nmであった。パラレルニコル
下における透過スペクトルの変化は、フルギドの吸収に
関係なしに630nmから830nmの波長領域に最大
5%程度発現した。この変化は可逆的であり、白色光の
照射により初期化できたが、光λC (780nm)の照
射によって変化は起こらなかった。
【0033】
【発明の効果】本発明の光変調素子は、上記のように、
少なくともフォトクロミック成分またはフォトクロミッ
ク化合物を含有するねじり配向した側鎖型高分子液晶膜
を有するから、フォトクロミック化合物が吸収を持たな
い波長域の光を変調して、透過光スペクトルを可逆的に
変化させることができる。また、本発明の光変調素子
は、高感度であり、耐久性、安定性に優れ、非破壊的読
み出しが可能であり、かつ広い温度範囲で大きな変調効
果を生じる。したがって、本発明の光変調素子は、光−
光変調やフォントモードの高密度記録が可能であり、光
演算素子、光センサー、光ディスク、光メモリカード等
に応用可能な有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 高分子液晶膜のねじり配向を説明する説明図
である。
【図2】 本発明の光変調素子の模式的断面図である。
【図3】 実施例1の光変調素子について、紫外線照射
を行なった場合の照射前後の透過光スペクトルを示すグ
ラフである。
【図4】 光変調素子の光学系の概略図である。
【図5】 実施例1の光変調素子について、パラレルニ
コル下でラビング方向を偏光面と45°の角度で設置し
た場合における紫外線照射前後の透過光スペクトルであ
る。
【符号の説明】
1…透明基板、2…PVAラビング膜、3…ねじり配向
させた高分子液晶、4…スペーサー、5…セル、6およ
び7…偏光板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/13 G02F 1/1333

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フォトクロミック化合物を一成分として含
    有する側鎖型高分子液晶をねじり配向処理した高分子液
    晶膜からなり、該側鎖型高分子液晶が、フォトクロミッ
    ク化合物として、下記一般式(I)または(II)で示さ
    れる熱安定性フォトクロミック化合物の少なくとも一種
    類を分散して含有することを特徴とする光変調素子。 【化1】 〔式中、R 1 〜R 8 は、同一または異なるものであっ
    て、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜10のア
    ルキル基を表わし、Aは酸素原子、硫黄原子または−N
    −R 9 (ただし、R 9 は水素原子、炭素数1〜10のア
    ルキル基または置換されていてもよいフェニル基を表わ
    す。)を表わし、Bは炭素数1〜30のアルキル基また
    は下記式(III )または(IV)で示される基 【化2】 (ただし、Xは単結合、−O−、−COO−,−OCO
    −、−CH 2 O−、−N=N−、−CH=N−または−
    N=CH−を表わし、R 10 は炭素数1〜30のアルキル
    基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表わ
    し、rは1〜5の整数を表わす)を表わす。〕
  2. 【請求項2】 高分子液晶膜が、側鎖型高分子液晶、フ
    ォトクロミック化合物および低分子液晶の少なくとも三
    成分からなる請求項1記載の光変調素子。
  3. 【請求項3】 フォトクロミック化合物を一成分として
    含有する側鎖型高分子液晶をねじり配向処理した高分子
    液晶膜からなり、該側鎖型高分子液晶が、共有結合した
    フォトクロミック成分を側鎖に有するものであって、下
    記一般式(X)または一般式(XI)で示される重合可能
    なフォトクロミックモノマーから形成されたことを特徴
    とする光変調素子。 【化3】 式中,Aは酸素原子、硫黄原子または−NR 22 (ただ
    し、R 22 は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基また
    はフェニル基を表わす。)、R 14 〜R 21 は、それぞれ水
    素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはフェニル基を
    表わし、 13 は、下記式(XII )または(XIII)で示される重合
    性基を表わす。 【化4】 (ただし、R 23 は、水素原子またはメチル基を表わし、
    sは1ないし30の整数を表わす。)]
  4. 【請求項4】 高分子液晶膜が、共有結合したフォトク
    ロミック成分を側鎖に有する側鎖型高分子液晶および低
    分子液晶の少なくとも2成分からなる請求項1記載の光
    変調素子。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかに記
    載の光変調素子に紫外線を照射して可視光領域への光変
    調を行う光変調方法。
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