JP3630641B2 - 改良されたレオロジ−的に動的な、液体で適用できる弾性体組成物 - Google Patents

改良されたレオロジ−的に動的な、液体で適用できる弾性体組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改良されたレオロジ−的に動的な弾性体組成物に関し、更に特に温度の関数として改良されたレオロジ−的挙動を持たせるために、ナフテン系油担体及び1つまたはそれ以上のレオロジ−改変剤を用いて製造される組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
防水及び他の用途に有用であるレオロジ−的に動的な流体で適用される弾性体組成物は、本明細書に参考文献として引用されるピケット(Pickett)の米国特許第5763014号に教示されている。ピケットの組成物は、2つの成分A及びBの混合が多大なレオロジ−的変化をもたらすから、「レオロジ−的に動的」として特徴づけることができる。成分Aは水性ゴムラテックスを含んでなる(例えばスチレン−ブタジエンラテックス、天然ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン、ブチルゴム、ネオプレン、ニトリルゴム、アクリレ−トなどが公知の乳化剤またはラテックス安定化剤と一緒に使用できる)。一方成分Bは吸湿剤と加硫剤の両方が分散されている油担体を含んでなる。成分A及びBは、混合した時、吸湿剤と加硫剤が連続油担体相中に存在し且つゴムが不連続水相中に小滴として分散している油中水混合物を形成する。これらの成分のそれぞれの存在場所は、動的反応系を形成する。ラテックスの水性環境に含まれるゴムは油担体によって膨潤されるようになり、一方油担体に含まれる吸湿剤は不連続水相中の水と化学的に結合するようになる。両因子は成分混合物の徐々なる硬化(例えば粘度の上昇)に寄与し、そして第3過程、即ち連続油担体相に含まれる加硫剤がラテックスの不連続水相中のゴムに入りこみ、組成物の固体弾性物体への硬化をもたらす過程の開始を容易にする。かくしてこの組成物は、最初に実質的な厚さで適用でき、且つ繰り返しのコ−ティングまたは適用を必要としないで硬化した物体の厚さに変形できる流動性のまたは噴霧できる液体を提供する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、第“014”号の特許に教示されているレオロジ−的に動的な弾性体組成物の改良を探求した。始めに、本発明者は組成物の流動特性を温度の関数として注目し、この関係が上に議論した現象と動的な成分の相互関係がレオロジ−的にいかに改変できるかに着目した。そして組成物を戸外の建築物表面に耐水性コ−ティングとして適用した場合、この組成物の流動特性が異常な具合に影響され、且つこれが特に低温において顕著であることに気付き始めた。データを集め、組成物の粘度を温度の関数として測定した時、粘度は40−100°Fの温度範囲にわたって不変でないことが分かった。図1に示すように、(第“014”号の)組成物は約70−93°Fの範囲内において非常に望ましい粘度特性を示した。しかしながら、この温度範囲以上及び以下では、粘度の温度変化は予想しにくかった。特に組成物は、急速に促進する硬化のためにコ−ティングとして適用するのがますます困難になった。かくして本発明者は、改良された弾性体組成物は、より広い温度範囲にわったて適用且つ使用できる可能性のより大きい場合に望ましいということを実感した。
【0004】
弾性体組成物を再処方する、例えばレオロジ−改変剤を変えるという仕事は、特に本事例の場合のように動的な2相系に対してはほとんど日常的にできる問題ではなかった。例えば1つまたはそれ以上のレオロジ−改変剤を間違って置き換えると、ゴム粒子が油担体から相分離したままで存在してしまうかもしれない。一方でこのことは2層生成物をもたらしてしまう。更に一方で誤った置換は、ゴム粒子を余りにも速く油相へ移行せしめ、結果として余りにも速すぎる粘度の増加をもたらすかもしれない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
ピケットの米国特許第5763014号に開示されている種類の、2成分の レオロジ−的に動的な弾性体処方物の改良として、本発明は、温度の関数として実質的に拡大された直線的粘度挙動を達成する。本発明の新規な処方物は、組成物の粘度をよりよく制禦できるばかりでなく、ゴム粒子の水性小滴(不連続ラテックス相)から油担体(連続相)への移行速度も、よりよく制禦する。この改良されたレオロジ−動力学は、ピケットの米国特許第5763014号に教示されている芳香族/パラフィン系油をナフテン系油(例えば油担体の全重量に基づいて少くとも40重量%の量でナフテン油を含むもの)で代替することで達成される。ナフテン油を高量で使用しうるために、本発明者は、揺変性構造を与えて、固体が油相中に懸濁できる有機レオロジ−改変剤を油担体相中に使用する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するのに適当な有機レオロジ−改変剤の例は、改変ひまし油、ポリアミド、分子量1000−100000の枝分れまたは線状オレフィン、スルホン酸カルシウム、改変尿素、またはこれらの混合物を含む。改変ひまし油は最も好適である。
【0007】
他の例示的組成物は、無機レオロジ−改変剤、例えば活性粘土を含んでなる。この活性粘土は、スメクチック粘土(例えばベントナイト、ヘクトライトなど)を粘土活性改変剤、例えば第4級アミンで処理することによって得ることができる。
【0008】
新規な組成物で得られる1つの驚くべき改良は、粘度(V)を温度(T)の関数として測定する時、広範に亘る且つ(dV/dT)で定義して実質的に直線の勾配が得られることである。本系の粘度挙動は、2成分のレオロジ−的に動的な弾性体系で従来達成されていたよりも広い温度範囲にわたって直線的な挙動を示す(例えば40−100°Fの温度範囲にわたってdV/dTはより一定である)。
【0009】
かくして本発明の弾性体処方物の例は、一緒にすると加硫反応が開始されて、成分を固体へ固化するブレンドを形成しうる成分A及びBを含んでなり、但し成分Aは天然または合成ゴムの水性ラテックスを含んでなり、成分Bは成分Aのゴムを硬化させる働きをする加硫剤が分散されている油担体を含んでなり且つ成分Bは更に成分A中の水を化学的に結合する働きをする吸湿剤(hydroscopic agent)を含んでなり、そして成分A及びBは混合した時油中水ブレンドを形成して、吸湿剤及び加硫剤を含む油担体が連続相を形成し、一方ゴムを含む成分Aの水性相は不連続相としてそれに分散し、この結果吸湿剤、加硫剤、及びゴムのそれぞれの存在位置は反応原動力(reaction dynamic)を与え、即ちゴムが油で膨潤されるようになり、吸湿剤がラテックスの不連続水性相中の水と化学的に結合して、混合した成分の粘度上昇をもたらさせ、且つ硬化が該粘度上昇よりも遅い時期に達成できるように加硫剤とゴムとを互いに導入せしめうる、処方物で、成分Bの油担体が(a)油担体の全重量で40−90%の量のナフテン系油、及び(b)油担体の全重量で0.4−3.5%の量の有機レオロジ−改変剤、好ましくは改変ひまし油を含んでなる。
【0010】
本発明の他の処方物の例では、処方物の温度関数としてのレオロジ−的挙動を改良するために無機レオロジ−改変剤、例えば改変粘土が使用される。
【0011】
上述した新規な処方物の他に、本発明は弾性体組成物を製造するための方法も提供する。
【0012】
図1は、2つのレオロジ−的に動的な弾性体組成物の粘度挙動を例示する。粘度はTAインスツルメンツ(Instruments)製のAR−1000レオメ−タを、1.5/sの剪断速度で使用して、温度の関数として測定した。第1の処方物(「1」)はピケットの米国特許第5763014号に教示されているような従来法の組成物である。第2の処方物(「2」)は、ここで、また後に更に議論するような本発明に従って作った処方物である。これらの処方物は、成分を互いに分離して(別の容器、隔室、など)提供し、(例えば作業点で)一緒にして動的なレオロジ−変化を開始させ、究極的に組成物を硬化させることのできる2成分(A及びB)を含む種類のものである。
【0013】
両処方物に関し、粘度(変化をdVとして表示)を温度(変化をdTとして表示)に対して測定した時、本発明の新規な例示処方物では、勾配(dV/dT)の直線性が70°F以下ばかりでなく90°F以上においても顕著に良好に拡大されていることが容易に理解できる。
【0014】
本発明の改良された組成物は、ピケットの米国特許第5763014号に開示されている処方物との基本的な相違に関してより良く理解される。本発明の成分Aは、公知のゴムラテックスを随意の表面活性剤及びラテックス安定剤(参照、例えば米国特許第5763014号の第4欄、II.47−62行)と一緒に含んでなっても良い。米国特許第5763014号では、成分Bは芳香族プロセス油とパラフィン系油を油流体担体として含んでなった(参照、例えば第6欄、II.44−45行、第7欄、II.4−5行、第7欄、II.18−19行、第8欄、II.37−39行)。しかしながら、本発明者は、芳香族油が高い溶解力と粘度という典型的な性質を有する芳香族を主に有していることを知った。この種の油は、低い大気温度において粘度が著しく上昇するのが特色であり、ワックス状または半固体になる。更に本発明者は、パラフィン系油が低溶解力と優秀な安定性を含む典型的な性質を有する成分を主に有するパラフィン(一般式C2n+2)であることを知った。この組成物の作業できる温度範囲は、特にコ−ティング系として基材表面に適用した時、油担体成分の粘度に強く依存する。芳香族及びパラフィン系油のブレンドの粘度は温度の変化と共にかなり変化するから、コ−ティング系は比較的狭い作業可能な温度範囲を有する。組成物をコ−ティングとして基材上にこてで塗るまたはさもなければ他の手段で手動により適用する場合、この組成物は50°F以下では重く、塗り広げるのが困難になり、80°F以上では流動し過ぎて一定のフィルムを作るのが困難となる傾向が特徴である。噴霧の場合には、この組成物は低温の場合粘稠すぎてポンプで取り扱うのが難しく、外部からの加熱源を必要としよう。
【0015】
かくして、油担体(成分B)にナフテン系油を使用することによって、改良された温度挙動が提供される。しかしながら、本発明者は、ナフテン系油が、好ましくは成分Bに対する増粘剤として且つゴムのナフテン系油担体への移行を制禦する手段として有機レオロジ−改変剤の使用を必要とすることを発見した。ナフテン系油を正しい改変剤と組合わせて使用すれば、組成物をコ−ティングとして適用しうる作業可能な広い温度範囲を達成することに関して、驚くべき且つかなりの改良がもたらされる。
【0016】
本発明を更に詳細に理解するために、1群の定義が助けになろう。本明細書で使用するような「パラフィン」とは、直鎖または分岐鎖を持つが、いずれの環構造も持たない炭化水素を意味し、またそれに関するものである:
CH(CHCH 直鎖パラフィン
CHCHCH(CHCHCH(CH 分岐鎖パラフィン
本明細書に使用するような「ナフテン」とは、それぞれ1つまたはそれ以上のパラフィン性側鎖を有していてよい1つまたはそれ以上の環を含む飽和炭化水素を意味し、またそれに関するものである:
【0017】
【化1】
Figure 0003630641
【0018】
但し、上式のRは式C2n+1のアルキル基である。
【0019】
本明細書で使用するような「芳香族」とは、(置換)ナフテン環及び/またはパラフィン側鎖と連結していても良い1つまたはそれ以上の芳香核、例えばベンゼン、ナフタレン、及びフェナントレン環系を含む飽和炭化水素を意味し、またそれに関するものである:
【0020】
【化2】
Figure 0003630641
【0021】
芳香族、パラフィン、及びナフテンは、それぞれ芳香族油、パラフィン系油、及びナフテン系油の主成分である。「芳香族油」は主に「芳香族」を含むから、そのように呼ばれる。「パラフィン系油」はそれがパラフィン(一般式C2n+2)を主成分として含むから、そう呼ばれる。「ナフテン系油」はナフテン(一般式C2nの飽和環式炭化水素(C環))を主成分として有する。
【0022】
表1は種々の油の典型的な範囲を示す。
【0023】
Figure 0003630641
本発明者は、本発明の目的に対して、高い溶解力(パラフィン系(paraffinic)油より)、良好な高温の性質(芳香族油より)、及び優秀な低温取り扱い性を有する点で、「ナフテン系」油を油担体(成分B)の主たる油成分として選択した。
【0024】
かくして、「芳香族」及び「パラフィン系」油を特定する際に、ピケット(米国特許第5763014号)は油担体成分Bにおいてナフテンを言外に教示しているけれど、2成分処方物の動力学が「ナフテン系」油の使用によって劇的に変えられるということは本発明まで公知でなかった。言い換えると、両者には著しく異なる結果をもたらす2つの異なる概念が存在するから、本発明の「ナフテン系(naphtenic)油」の使用は、その「ナフテン(naphtene)油」の使用と異なっている。この結果は弾性体処方物の粘度挙動が温度の関数として例示した図1に示されている。ナフテン系油を含む弾性体組成物(プロット/曲線「2」を見よ)は、系の初期粘度とは無関係に粘度と温度の間の直線的関係を示し、且つ米国特許第5763014号の処方物 (曲線「1」)と比べて非常に広い温度範囲にわたって一定に維持された直線関係(dV/dT)を示している。これらの結果は確かに劇的に異なっている。
【0025】
以下の方程式(1)は、図1における曲線2に対する粘度−温度の関係を示す:
V=4487−38T (1)
但し、Vは粘度(単位、センチポイズcP)及び
Tは温度(単位、華氏F)
しかしながら、芳香族及びパラフィン系油を含む弾性体系の場合、粘度は図に示すように温度と共に劇的に変化する。粘度と温度は以下の方程式(2)で示すように非直線的関係を示す:
V=189280−6172T−69T (2)
但し、Vは粘度(単位、センチポイズcP)及び
Tは温度(単位、華氏F)
処方物の直線的挙動は、(例えば作業点が外部温度の変化、例えば熱の蓄積、冷却、または凍結などにさらされる場合)処方物の、種々の温度での適用に際しての性能を予測するのを容易にする。
【0026】
本発明のナフテン系油担体内で使用するための有機レオロジ−改変剤の例は、改変ひまし油、ポリアミド、分子量1000−100000の枝分れまたは線状オレフィン、スルホン酸カルシウム、改変尿素、またはこれらの混合物を含む。改変ひまし油は最も好適である。
【0027】
図2は本発明における改変ひまし油に基づく(有機レオロジ−)改変剤の増粘機構を図で例示する。ひまし油に好適な改変は、水素化、エステル化、エポキシ化、スルホン化、重合、またはこれらの組み合わせである。普通乾燥粉末として提供される改変ひまし油は、それをナフテン系油中に入れることによって本発明の処方物に混入でき、これを加熱し、剪断力をかけて粒状的に分散させる。剪断力をかけ、活性化した時、粒子は揺変性効果を持つ3次元ネットワークを呈する(図2の「ヌードル」のように描写される)。したがって本発明の処方物は、「重ねられたカードハウス(stacked card house)」構造を有する無機レオロジ−改変剤を、有機レオロジ−改変剤、例えば改変ひまし油(及び/またはポリアミド)と共にナフテン系油に基づく油担体中に含んでなる。
【0028】
ひまし油は、分子中に3つの部分を有し、内部エステル結合、二重結合、及びヒドロキシル基を次の化学的改変に供して、種々の改変ひまし油にすることができる(次のページを参照)。
【0029】
【表1】
Figure 0003630641
【0030】
ひまし油はひま植物、リシナス・コンミュニス(Ricinus commmunis)(ユ−フォルビアセ科)のまめに由来し、リシナス油、パルマ・クリスチ(Palma Christi)の油、タンガンタンガン(tangantangan)油、及びネオロイド(neoloid)と呼ばれる。ひまし油は種々の脂肪酸のトリグリセリドであり、構造式
CH(CHCH(OH)CHCH=CH(CHCOOH
を有する、即ち1つの二重結合を持つ炭素数18のヒドロキシル化脂肪酸であるリシノ−ル酸(C1834、構造的にはシス−12−ヒドロキシオクタデカ−9−エン酸)を高含量(87−90重量%)で有する。
【0031】
好適な改変ひまし油は水素化、エポキシ化、エステル化、スルホン化、重合、またはこれらの組み合わせで改変できる。最も好適には、主たる成分が12−ヒドロキシステアリン酸のグリセリドで、ときに「カスタ−ワックス(castorwax)」と呼ばれる。酸及びジヒドロキシステアリン酸及びステアリン酸の混合グリセリドも(水素化のために)少量存在していると思われる。
【0032】
他の好適な有機レオロジ−改変剤は、ヒドロキシステアリン酸、炭素数2−10のアルファ、オメガ−ジアミン、及びジカルボン酸に由来するポリアミドである。
【0033】
最も好適な有機レオロジ−改変剤は、1:9−9:1の比で混合されたポリアミドを有する改変ひまし油である。
【0034】
ひまし油のスルホン化は他の好適な改変である。これも、「タ−キ−レッド(turkey−red)」油として公知であり、ひまし油を硫酸でスルホン化して、大部分リシノ−ル酸のヒドロキシル基のエステル化された硫酸エステルにすることによって製造される。
【0035】
本発明に適当と思われる改変ひまし油は、レオックス社(Rheox Inc.、Hightown、NJ)からシクシン(THIXSIN)(R及びGR)及びシクサトロ−ル(THIXATROL)(1、ST、GST、SR−100、及びPLUS)として、またトロイ・ケミカル社(Troy Chemical Corp.、Newark、NJ)からトロイシクス(TROYTHIX)(XYZ、A、42HA、Anti−sag4)として入手できる。
【0036】
本発明のさらなる具体例において、無機レオロジ−改変剤、例えば改変粘土も、ゴムラテックスと油担体成分との親和性を促進するために、随時上述した有機レオロジ−改変剤(ひまし油)と組合わせて使用できる。改変された粘土は、好ましくはスメクタイト粘土(例えばベントナイト、ヘクトライト)と粘土改変剤の反応生成物である。好適な粘土改変剤は、第4級アミンである。粘土の更なる改変は、極性活性化剤、例えばプロピレンカ−ボネ−ト、メタノ−ル、または水の混入によって行うことができる。活性改変剤で改変された粘土は、本発明の組成物において粘度の形成、流れ性の調節、及び顔料の懸濁性を付与するのに役立ち、特に組成物をコ−ティングとして使用する場合に有用である。そのような処理した粘度は典型的には粉末形で入手できる。組成物を増粘するために、粘土粉末は、粘土の完全な分散、活性化、及びゲル化が起こることを保証するように導入しなければならない。
【0037】
図3は、改変粘土が本発明のナフテン油に基づく処方物中で増粘及び/または揺変性効果を与える機構を例示する。図3に示すように、化学的に改変された粘土は乾燥粒子としてまたは分散液で提供され、これを剪断力に供し、結果としてその外側の表面にイオン性電荷を含んでいるが故に水性スラリ−内にカードハウスに類似して懸濁する個々の粒子を隔離する。このレオロジ−改変構造は本発明の成分A及びBの撹拌及び/または混合中に認めることができる。
【0038】
本発明に使用するのに好適な無機レオロジ−改変剤は、改変粘土、例えばその活性が、無機カチオン(カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、または混合物のような多価カチオン)(またはK、NH、Cs、Rh、Fr、または混合物のような1価カチオン)、有機カチオン(例えば第4級アミン、ホスホニウム、ピリジニウム、スルホニウム、ポリ第4級アンモニウム、アミンオキシド、または1つのカチオン性アミン塩の基を含む有機化合物)、粘土によって吸収されうる極性有機分子(例えばオキシアルキレン、クラウンエ−テル、ポリビニルアルコ−ル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリレ−ト、ポリカ−ボネ−ト、例えばプロピレンカ−ボネ−ト、ポリメタクリレ−ト、グルコネ−ト、ヘプタグルコネ−ト、ヘプタグルコン酸、コ−ンシロップ、またはこれらの混合物)、粘土分散剤(例えばポリホスフェ−ト、ヘキサメタホスフェ−ト、トリポリホスフェ−ト、ピロホスフェ−ト、またはこれらの混合物)、或いは上述の粘土改変剤のいずれかの混合物を含む1つまたはそれ以上の粘土活性改変剤を用いて改変(または活性化)できる、スメクタイト粘土である。
【0039】
本組成物の例示的処方物は、次の主要成分を次の範囲(全成分の重量%に基づくパーセント)で含むことができる。
【0040】
Figure 0003630641
好適な範囲は、各成分が混合されている特別な成分(AまたはB)の全重量に基づく重量%に関して示してある。示した成分の好適なパーセントでの範囲は、種々の因子、例えば使用するゴム及び他の使用する成分の相対量に依存しよう。この確認に注意すべきである。
【0041】
本発明の組成物は、公知のいずれかの適用技術、例えば、限定を意味するものではないが、こて塗り、噴霧、注入、及びロ−ラ−コ−ティングによる技術を用いて種々の表面にコ−ティングとして適用できる。
【0042】
次の実施例は、単なる例示であり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0043】
【実施例】
実施例1
成分A及びBは、全固体(A及びBを一緒にする時全固体)の全乾燥重量に基づいて次の成分を有した。成分A:スチレン−ブタジエンの水性ラテックス(20−25%)。成分B:ナフテン系油担体(35−55%)、改変粘土(0.2−1.0%)、改変ひまし油(0.5−2.5%)、砂(4−6%)、CaO(20−30%)、硫黄(0.25−1.5%)、酸化亜鉛(0.5−2.5%)、亜鉛イソプロピルザンテ−ト(0.25−1.0%)、及び亜鉛ジブチルジチオカ−バメ−ト−ジブチルアミン錯体(0.25−1.0%)。
【0044】
成分Aはミルク様(白色)のラテックスであり、これを、使用しているならば顔料に依存した色を呈している成分B中に注いだ。これらの成分をゆっくりと優しく混合した。硬化過程が早く進み過ぎるから、混合し過ぎや激しい混合はさける様に注意しなければならなかった。この組成物をコ−ティングとして表面に適用する場合、手こてまたは噴霧ガンを用いて処方物混合物を適用した。この混合物は、例えば水平、垂直または湾曲の壁表面に適用するのに十分な揺変性を有さねばならなかった。約1−3mmのコ−ティング厚さが達成できた。
【0045】
実施例2
この実施例は、本発明及び過去の技術のコ−ティング系における粘度の温度依存性の相違を示す。
【0046】
図4は、3つの異なるコ−ティング材料の粘度を、温度関数としてプロットしてある。プロット「曲線」1及び4は、プロット1が芳香族及びパラフィン系油のブレンドを油担体として含む材料(成分Bは米国特許第5763014号を参照)を表し、一方プロット4がナフテン系油を成文B中の油担体として有する材料(成文Bは本発明による)を表す以外、同一の処方で製造した材料を表す。プロット2及び3も、ナフテン系油を含むが、僅かに異なった処方材料の挙動を表す。明らかに、ナフテン系油を含む材料に対する粘度の温度依存性は、芳香族及びパラフィン系油のブレンドを含む材料よりも非常に小さかった。これは、プロット2−4に対してプロットしたグラフが従来法の処方物「1」よりも広い温度範囲にわたって非常に直線的であるという図4で分かる。1−4の処方物は下表の通りである。
【0047】
Figure 0003630641
(芳香族油はサン・カンパニ−社(Sun Company Inc.)製の 「サブデクス(Subdex)8600T」であった。パラフィン油はサン・カンパニ−社のサンパ−(Sunpar)@104であった。ナフテン油はシェル・オイル・カンパニ−(Shell Oil Company)製のシェルフレックス(Shellflex)6212であった。改変粘土はクレイト−ン40で、活性化剤はプロピレンカ−ボネ−トであった。改変ひまし油はトロイ・ケミカル社製のトロイシクスAであった)
実施例3
成分Bにおいて異なる改変剤バランスの3つのコ−ティングを製造し、表4に示した。成分Aは66重量%スチレン−ブタジエンラテックスであり、これを成分B中に注ぎ、ゆっくりと混合した。処方物Xに対して、成分Aの部分は、完全な混合後でさえ相分離をしたままであり、加硫後油−ゴム混合物中にゴム粒子が埋没していた。多量の改変粘土を用いた処方物Yは、初期の混合を促進したが、あまりにも迅速に硬化が進行し過ぎて、数分後に作業性を失った。処方物Zは初期の所望の混合性と後期の作業性をバランス良く提示した。
【0048】
Figure 0003630641
(ナフテン系油はシェル・オイル・カンパニ−製のシェルフレックス6212であった。改変粘土はクレイト−ン40で、粘土活性化剤はプロピレンカ−ボネ−トであった)
例示の目的で示した上記実施例の具体例は、本発明の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来法のレオロジ−的に動的な組成物(米国特許第5763014号)及び本発明の組成物の、温度関数として測定した粘度挙動を比較してグラフ的に例示する。
【図2】剪断力に供され且つ本発明において有機レオロジ−改変剤として使用される改変ひまし油の使用例をグラフ的に示す。
【図3】剪断力に供され且つ本発明において有機レオロジ−改変剤として使用される活性化粘土の使用例をグラフ的に示す。
【図4】4つの処方物、即ち図1の従来法の処方物「1」及び本発明の教示によるナフテン油を使用した3つの処方物「2」−「4」の、温度関数としての粘度挙動をグラフ的に例示する。

Claims (10)

  1. 一緒にすると加硫反応が開始されて、成分が固体物体へ固化するブレンドを形成しうる成分A及びBを含んでなり、但し成分Aは天然または合成ゴムの水性ラテックスを含んでなり、成分Bは成分Aのゴムを硬化させる働きをする加硫剤が分散されている油担体を含んでなり且つ成分Bは更に成分A中の水を化学的に結合する働きをする吸湿剤を含んでなり、そして成分A及びBは混合した時に油中水ブレンドを形成して、吸湿剤及び加硫剤を含む油担体が連続相を形成し、一方ゴムを含む成分Aの水性相は不連続相としてそれに分散し、この結果吸湿剤、加硫剤、及びゴムのそれぞれの存在位置は反応原動力を与え、即ちゴムが油で膨潤されるようになり、吸湿剤がラテックスの不連続水性相の水と化学的に結合して、混合した成分の粘度上昇をもたらさせ、且つ硬化が該粘度上昇よりも遅い時期に達成できるように加硫剤とゴムとを互いに導入せしめうる、改良された弾性体処方物系において、成分Bの該油担体が(a)該油担体の全重量で40−90%の量のナフテン系油(該ナフテン系油は、芳香族、パラフィン、及びナフテンを含んでなり、ここで該ナフテンは飽和環式炭化水素であり且つパーセントで言うと該ナフテン系油の主成分である)、及び(b)該油担体の全重量で0.4−3.5%の量の有機レオロジ−改変剤(該有機レオロジ−改変剤は、改変ひまし油、ポリアミド、分子量1000−100000の線状または枝分れオレフィン、スルホン酸カルシウム、改変尿素、またはその混合物である)、を含んでなる、該弾性体処方物系。
  2. 該成分A及びBが互いに隔離されている、請求項1の処方物系。
  3. 請求項1の処方物系を固化した物体に硬化せしめた硬化物。
  4. 該有機レオロジ−改変剤が改変ひまし油を含んでなる、請求項1の処方物系。
  5. 成分Bが更に無機レオロジ−改変剤を含んでなる、請求項1の処方物系。
  6. 該ナフテン系油が成分Bの油担体の重量に基づいて、パラフィン系油15−26重量%、芳香族油8−13重量%、及びナフテン系油61−76重量%を含んでなる、請求項1の処方物系。
  7. 該油担体が、更に成分Bの油担体の重量に基づいて、0.2−3.5重量%の量で改変ひまし油を含んでなる、請求項6の処方物系。
  8. 混合した時、該成分A及びBが、10℃−32℃の温度範囲において粘度と温度が実質的に直線関係を有する油中水組成物を提供する、請求項1の処方物系。
  9. 改変ひまし油、ポリアミド、及び改変粘土を含んでなる、請求項1の処方物系。
  10. 一緒にすると加硫反応が開始されて、成分を固体へ固化しうるブレンドを形成する成分A及びBを提供することを含んでなる、但し成分Aは天然または合成ゴムの水性ラテックスを含んでなり、成分Bは成分Aのゴムを硬化させる働きをする加硫剤が分散されている油担体を含んでなり且つ成分Bは更に成分A中の水を化学的に結合する働きをする吸湿剤を含んでなり、そして成分A及びBは混合した時に油中水ブレンドを形成して、吸湿剤及び加硫剤を含む油担体が連続相を形成し、一方ゴムを含む成分Aの水性相は不連続相としてそれに分散し、この結果吸湿剤、加硫剤、及びゴムのそれぞれの存在位置は反応原動力を与え、即ちゴムが油で膨潤されるようになり、吸湿剤がラテックスの不連続水性相中の水と化学的に結合して、混合した成分の粘度上昇をもたらさせ、且つ硬化が該粘度上昇よりも遅い時期に達成できるように加硫剤とゴムとを互いに導入せしめうる、弾性体組成物を製造するに際して、成分Bの該油担体が(a)該油担体の全重量で40−90%の量のナフテン系油(該ナフテン系油は、芳香族、パラフィン、及びナフテンを含んでなり、ここで該ナフテンは飽和環式炭化水素であり且つパーセントで言うと該ナフテン系油の主成分である)、及び(b)該油担体の全重量で0.4−3.5%の量の有機レオロジ−改変剤(該有機レオロジ−改変剤は、改変ひまし油、ポリアミド、分子量1000−100000の線状または枝分れオレフィン、スルホン酸カルシウム、改変尿素、またはその混合物である)、を含んでなる、該弾性体組成物の製造法。
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