JP3630276B2 - 遮音構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車フロア部の遮音構造体、自動車ダッシュ部の遮音構造体、各種建築構造物の遮音壁などの遮音構造体等々に適用される遮音構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車などの車両、建築構造物等における遮音構造体には、吸音材と金属あるいは樹脂からなる板状材料とを組み合わせたものが多く用いられてきた。この代表的なものとして、例えば、特開平7−223478号公報に開示されているような、金属製パネルの上に不織布繊維からなる吸音材を積層し、さらに樹脂製のバッキング材が積層された構造としたものを挙げることができる。
【0003】
この遮音構造体は、吸音材の層と樹脂製のバッキング材等によるマスの効果によって吸音および遮音性能を高めたものであり、このメカニズムは、吸音性能については繊維と空気との摩擦による熱損失であり、遮音性能については通気をなくすこととマスによる防振性の向上である。
【0004】
従って、上記のような構造のものにおいて遮音性能を高めるためには、吸音材の密度を高めること、密度は一定のまま嵩を上げること、その両方の密度を高め且つ嵩を高めること、が必要であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような手法の下では重量の増大や占有体積の増加を招いてしまうこととなり、特に自動車においては、近年、重量増加による燃費増大の問題、遮音材の占有体積の増加による車室空間の減少などといった問題を招くことにもなりかねない。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、吸音性能・遮音性能を低下させることなく、自動車や建築構造物等を構成する遮音構造体の重量と占有体積を低減することができる高効率の遮音構造体を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決すべく遮音構造体について鋭意検討した結果、軽量・省スペースにして吸音性能・遮音性能を十分確保することができる遮音構造体とこれに用いる材料を特定して本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係る遮音構造体は、請求項1に記載しているように、表面および/または内部に圧電性を有する2枚以上の圧電体が積層された構造体であって、前記圧電体の少なくとも1枚が他の圧電体と当該圧電体の厚さ方向における分極方向が異なる状態で積層されている構成としたことを特徴としている。
【0009】
そして、本発明に係る遮音構造体の実施態様においては、請求項2に記載しているように、表面および/または内部に圧電性を有する2枚の圧電体が積層された構造体であって、前記圧電体の厚さ方向における分極方向が2枚の圧電体間で異なる状態で積層されているものとしたことを特徴としている。
【0010】
同じく、本発明に係る遮音構造体の実施態様においては、請求項3に記載しているように、圧電性を有する2枚以上の圧電体が積層された構造体が、発泡体からなる吸音材および/または繊維体からなる吸音材の表面に積層されているものとすることができる。
【0011】
同じく、本発明に係る遮音構造体の実施態様においては、請求項4に記載しているように、圧電性を有する2枚以上の圧電体が積層された構造体が、発泡体からなる吸音材および/または繊維体からなる吸音材の間に積層されているものとすることができる。
【0012】
同じく、本発明に係る遮音構造体の実施態様においては、請求項5に記載しているように、積層された圧電体間に、導電性を有する発泡体が内層されているものとすることができる。
【0013】
同じく、本発明に係る遮音構造体の実施態様においては、請求項6に記載しているように、積層された圧電体間に、炭素繊維からなる織布や不織布などの布が内層されているものとすることができる。
【0014】
同じく、本発明に係る遮音構造体の実施態様においては、請求項7に記載しているように、圧電体が、樹脂製のフィルムであるものとすることができる。
【0015】
同じく、本発明に係る遮音構造体の実施態様においては、請求項8に記載しているように、圧電体が、ポリフッ化ビニリデン成形体にポーリング処理を施したものとすることができる。
【0016】
本発明に係る車両のフロア用遮音構造体は、請求項9に記載しているように、金属製パネル、制振材および/または吸音材、カーペットが少なくとも積層されてなる積層体において、金属製パネルとカーペットとの間の少なくとも1個所に請求項1ないし8のいずれかに記載の遮音構造体が積層されているものとしたことを特徴としている。
【0017】
同じく、本発明に係る車両のフロア用遮音構造体は、請求項10に記載しているように、金属製パネル、制振材および/または吸音材、カーペットが少なくとも積層されてなる積層体において、制振材および/または吸音材の内部に請求項1ないし8のいずれかに記載の遮音構造体が積層されているものとしたことを特徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による遮音構造体の実施の形態について添付図面に基づいてさらに詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明による遮音構造体のひとつの実施の形態を示すものであって、この遮音構造体1は、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材2と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、前記圧電フィルム(B)4と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(C)5と、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材6と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7とを順次積層した構造をなすものである。
【0020】
この図1に示した実施の形態にあるように、厚さ方向における分極の正負を逆にした圧電フィルム(A)3,(B)4,(C)5の積層体を遮音構造体内部の吸音材2,6の間に設置することによって、基部側の吸音材2に入力された振動によって生じる基部側により近い圧電フィルム(A)3の表面の電荷は、この圧電フィルム(A)3と接する圧電フィルム(B)4の前記圧電フィルム(A)3側の表面の電荷と正負が同一であるため反発し合うことによって圧電フィルム(B)4の振動が抑制され、さらに、前記圧電フィルム(B)4と接する圧電フィルム(C)5の前記圧電フィルム(B)4側の表面の電荷と正負が同一であるため反発し合うことによって圧電フィルム(C)5の振動が抑制され、結果的にカーペット7から発生する音を低減することができる。
【0021】
図2は本発明による遮音構造体の他の実施の形態を示すものであって、この遮音構造体1は、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材2と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、前記圧電フィルム(B)4と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(C)5と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7とを順次積層した構造をなすものである。
【0022】
この図2に示した実施の形態にあるように、厚さ方向における分極の正負を逆にした圧電フィルム(A)3,(B)4,(C)5の積層体を遮音構造体内部の吸音材2とカーペット7との間に設置することによって、吸音材2に入力された振動によって生じる前記吸音材2に近い圧電フィルム(A)3の表面の電荷は、この圧電フィルム(A)3と接する圧電フィルム(B)4の前記圧電フィルム(A)3側の表面の電荷と正負が同一であるため反発し合うことによって圧電フィルム(B)4の振動が抑制され、さらに、前記圧電フィルム(B)4と接する圧電フィルム(C)5の前記圧電フィルム(B)4側の表面の電荷と正負が同一であるため反発し合うことによって圧電フィルム(C)5の振動が抑制され、結果的にカーペット7から発生する音を低減することができる。
【0023】
図3は本発明による遮音構造体のさらに他の実施の形態を示すものであって、この遮音構造体1は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、前記圧電フィルム(B)4と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(C)5と、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材6と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7とを順次積層した構造をなすものである。
【0024】
この図3に示した実施の形態にあるように、厚さ方向における分極の正負を逆にした圧電フィルム(A)3,(B)4,(C)5の積層体を遮音構造体内部の吸音材2の基部側に設置することによって、圧電フィルム(A)3に入力された振動によって生じる圧電フィルム(A)3の表面の電荷は、この圧電フィルム(A)3と接する圧電フィルム(B)4の前記圧電フィルム(A)3側の表面の電荷と正負が同一であるため反発し合うことによって圧電フィルム(B)4の振動が抑制され、さらに、前記圧電フィルム(B)4と接する圧電フィルム(C)5の前記圧電フィルム(B)4側の表面の電荷と正負が同一であるため反発し合うことによって圧電フィルム(C)5の振動が抑制され、結果的にカーペット7から発生する音を低減することができる。
【0025】
図4は本発明による遮音構造体のさらに他の実施の形態を示すものであって、この遮音構造体1は、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材2と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材6と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7とを順次積層した構造をなすものである。
【0026】
この図4に示した実施の形態にあるように、厚さ方向における分極の正負を逆にした圧電フィルム(A)3,(B)4の積層体を遮音構造体内部の吸音材2,6の間に設置することによって、基部側の吸音材2に入力された振動によって生じる基部側により近い圧電フィルム(A)3の表面の電荷は、この圧電フィルム(A)3と接する圧電フィルム(B)4の前記圧電フィルム(A)3側の表面の電荷と正負が同一であるため反発し合うことによって圧電フィルム(B)4の振動が抑制され、結果的にカーペット7から発生する音を低減することができる。
【0027】
図4に示した実施の形態では、分極方向の異なる圧電フィルム(A)3,(B)4が1組だけであるため、図1の組み合わせとした場合に比べて、遮音性能では劣る場合もでてくるが、経済的に非常に良好な遮音構造体を提供することが可能である。
【0028】
図5は本発明による遮音構造体のさらに他の実施の形態を示すものであって、この遮音構造体1は、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材12と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材16と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7とを順次積層した構造をなすものである。
【0029】
この図5に示した実施の形態にあるように、厚さ方向における分極の正負を逆にした圧電フィルム(A)3,(B)4の積層体を遮音構造体内部の吸音材12,16の間に設置することによって、基部側の吸音材12に入力された振動によって生じる基部側により近い圧電フィルム(A)3の表面の電荷は、この圧電フィルム(A)3と接する圧電フィルム(B)4の前記圧電フィルム(A)3側の表面の電荷と正負が同一であるため反発し合うことによって圧電フィルム(B)4の振動が抑制され、結果的にカーペット7から発生する音を低減することができ、さらに、一般に、発泡体よりも吸音性能に優れている繊維体を用いることによって、遮音構造体内部の吸音特性をより優れたものとすることができ、このため、分極方向の異なる圧電フィルム(A)3,(B)4が1組だけではあるものの、遮音性能においても非常に優れた遮音構造体を提供できる。
【0030】
図6は本発明による遮音構造体のさらに他の実施の形態を示すものであって、この遮音構造体1は、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材12と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、アセチレンブラックを導電材として含む導電性発泡体18と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材16と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7とを順次積層した構造をなすものである。
【0031】
この図6に示した実施の形態にあるように、厚さ方向における分極の正負を逆にした圧電フィルム(A)3,(B)4の積層体を遮音構造体内部の吸音材12,16の間に設置することによって、基部側の吸音材12に入力された振動によって生じる基部側により近い圧電フィルム(A)3の表面の電荷は、導電性を有する発泡体18を介してこの圧電フィルム(A)3と電気的に接する圧電フィルム(B)4の前記圧電フィルム(A)3側の表面の電荷と正負が同一であるため反発し合うことによって圧電フィルム(B)4の振動が抑制され、結果的にカーペット7から発生する音を低減することができ、さらに、一般に、発泡体よりも吸音性能に優れている繊維体を主たる吸音材として用いることによって、遮音構造体内部の吸音特性をより優れたものとすることができ、このため、分極方向の異なる圧電フィルム(A)3,(B)4が1組だけではあるものの、遮音性能においても非常に優れた遮音構造体を提供することが可能であり、加えて、導電性発泡体18を介在させていることによって圧電体をマスとし且つ導電性発泡体をばねとした2重壁遮音構造体として遮音性能のより一層の向上を実現することが可能となる。
【0032】
図7は本発明による遮音構造体のさらに他の実施の形態を示すものであって、この遮音構造体1は、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材12と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、炭素繊維を主成分とした不織布からなる導電性繊維体19と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材16と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7とを順次積層した構造をなすものである。
【0033】
この図7に示した実施の形態にあるように、厚さ方向における分極の正負を逆にした圧電フィルム(A)3,(B)4の積層体を遮音構造体内部の吸音材12,16の間に設置することによって、基部側の吸音材12に入力された振動によって生じる基部側により近い圧電フィルム(A)3の表面の電荷は、導電性を有する炭素繊維を主成分とした不織布からなる導電性繊維体19を介してこの圧電フィルム(A)3と電気的に接する圧電フィルム(B)4の前記圧電フィルム(A)3側の表面の電荷と正負が同一であるため反発し合うことによって圧電フィルム(B)4の振動が抑制され、結果的にカーペット7から発生する音を低減することができ、さらに、一般に、発泡体よりも吸音性能に優れている繊維体だけを吸音材として用いることによって、遮音構造体内部の吸音特性をもより優れたものとすることができ、このため、分極方向の異なる圧電フィルム(A)3,(B)4が1組だけではあるものの、遮音性能においても非常に優れた遮音構造体を提供することが可能であり、加えて、導電性繊維体19を介在させていることによって圧電体をマスとし且つ導電性繊維体をばねとした2重壁遮音構造体として遮音性能のより一層の向上を実現することが可能となる。
【0034】
【発明の効果】
本発明による遮音構造体では、請求項1に記載しているように、表面および/または内部に圧電性を有する2枚以上の圧電体が積層された構造体であって、前記圧電体の少なくとも1枚が他の圧電体と当該圧電体の厚さ方向における分極方向が異なる状態で積層されているものとしたから、入力された振動を2枚以上の分極方向の異なる圧電体間に生じる電荷の反発力によって、出力される振動を効率よく抑制することができ、遮音性能に優れた遮音構造体を提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0035】
そして、請求項2に記載しているように、表面および/または内部に圧電性を有する2枚の圧電体が積層された構造体であって、前記圧電体の厚さ方向における分極方向が2枚の圧電体間で異なる状態で積層されているものとすることによって、入力された振動を2枚の分極方向の異なる圧電体間に生じる電荷の反発力によって、出力される振動を抑制することができ、比較的簡単な構成で遮音性能に優れた遮音構造体を提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0036】
また、請求項3に記載しているように、圧電性を有する2枚以上の圧電体が積層された構造体が、発泡体からなる吸音材および/または繊維体からなる吸音材の表面に積層されているものとすることによって、入力された振動を分極方向の異なる圧電体間に生じる電荷の反発力によって、出力される振動を抑制することができるとともに、前記吸音材によって、入力された音を吸収するため、遮音効率の良い遮音構造体を提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0037】
さらに、請求項4に記載しているように、圧電性を有する2枚以上の圧電体が積層された構造体が、発泡体からなる吸音材および/または繊維体からなる吸音材の間に積層されているものとすることによって、入力された振動を分極方向の異なる圧電体間に生じる電荷の反発力によって、出力される振動を抑制することができるとともに、前記吸音材によって、入力された音を吸収するため、遮音効率の良い遮音構造体を提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0038】
さらにまた、請求項5に記載しているように、積層された圧電体間に、導電性を有する発泡体が内層されているものとすることによって、入力側に近い圧電体に生じる電荷を導電性を有する発泡体からなる導電フォームが伝えて、出力側に近い圧電体に生じる電荷と反発させることによって、振動が抑制されるとともに、圧電体をマスとし且つ導電性を有する発泡体をばねとした2重壁遮音体の構造とすることが可能であり、さらに、導電性を有する発泡体を吸音材とした非常に効率の良い遮音構造体を提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0039】
さらにまた、請求項6に記載しているように、積層された圧電体間に、炭素繊維からなる布が内層されているものとすることによって、入力側に近い圧電体に生じる電荷を導電性を有する炭素繊維からなる織布や不織布などの布が伝えて、出力側に近い圧電体に生じる電荷と反発させることによって、振動が抑制されるとともに、圧電体をマスとし且つ炭素繊維からなる織布や不織布などの布をばね体とした2重壁遮音体の構造とすることが可能であり、さらに、炭素繊維からなる織布や不織布などの布を吸音材とした非常に効率の良い遮音構造体を提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0040】
さらにまた、請求項7に記載しているように、圧電体が、樹脂製のフィルムであるものとすることによって、樹脂製であるが故に薄くできると共に、柔軟な圧電体になり得ることによって、遮音構造体の取り扱いが容易になり、取り付け作業時等において生産性を高めることができる遮音構造体を提供することが可能になるという著大なる効果がもたらされる。
【0041】
さらにまた、請求項8に記載しているように、圧電体が、ポリフッ化ビニリデン成形体(とくに、フィルム状の成形体)にポーリング処理を施したものであるようになすことによって、前記樹脂製のフィルムが遮音構造体の取り扱い上において有利であるものとなることに加え、ポリフッ化ビニリデンが分子構造上圧電性を容易に帯びやすいことによって、遮音効率の向上をはかることが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0042】
さらにまた、請求項9に記載しているように、金属製パネル、制振材および/または吸音材、カーペットが少なくとも積層されてなる積層体において、金属製パネルとカーペットとの間の少なくとも1個所に請求項1ないし8のいずれかに記載の遮音構造体が積層されているものとすることによって、遮音構造体の重量と占有体積を低減できる高効率の自動車等の車両のフロア用遮音構造体を提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0043】
さらにまた、請求項10に記載しているように、金属製パネル、制振材および/または吸音材、カーペットが少なくとも積層されてなる積層体において、制振材および/または吸音材の内部に請求項1ないし8のいずれかに記載の遮音構造体が積層されているものとすることによって、遮音構造体の重量と占有体積を低減できる高効率の自動車等の車両のフロア用遮音構造体を提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0044】
【実施例】
本発明による遮音構造体の実施例について比較例と共に詳細に説明するが、本発明はこのような実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
【0045】
また、本発明の実施例および比較例においては、以下に示す要領で遮音特性を調べた。すなわち、矩形形状の試験用鋼板上に種々の材料からなる遮音構造体を貼設したものを用意し、これらの透過損失実験を行うことによって遮音特性を評価した。
【0046】
この透過損失実験では、JIS A1416に制定されている同実験装置の縮小形状である図8に示す形状の実験装置を使用した。この実験装置21は、2つの残響箱22A,22Bと、これら2つの残響箱22A,22Bを区分し且つ試料を装着できる1つの隔壁23を持ち、片側の残響箱22Aには音源となるスピーカー24が装着されているとともに、2つの残響箱22A,22Bのそれぞれに音圧を計測するための音圧計25A,25Bが組み込まれているものとなっている。
【0047】
そして、透過損失TL(dB)は、この2つの音圧計25A,25Bで計測された音圧値(dB)の差で算出され、具体的には、音圧計25Aで計測された音源(スピーカー24)側の音圧値I(dB)と、音圧計25Bで計測された音源を持たない側の音圧値O(dB)によって、式1として与えられる。
【0048】
【式1】
TL(dB)=I(dB)−O(dB)
【0049】
(比較例1)
図9は本発明の比較例1による遮音構造体を示すものであって、この遮音構造体31は、W=300mmの鋼板32の上に、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材33と、ポリエチレン(PE)からなるフィルム(A)34と、同じくポリエチレン(PE)からなるフィルム(B)35と、同じくポリエチレン(PE)からなるフィルム(C)36と、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材37と、カーペット表部38Aとカーペット基部38Bからなるカーペット38とを順次積層した構造をなすものである。
【0050】
そして、このような構造を有する比較例1の遮音構造体31において、鋼板32を図8に示した透過損失実験装置21の音源(スピーカー24)側に設置し、同遮音構造体31を隔壁23として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図11,13,15に示す値が観測された。
【0051】
(実施例1)
図10は本発明による遮音構造体の実施例1の構造を示すものであって、この遮音構造体1は、鋼板11の上に、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材2と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、前記圧電フィルム(B)4と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(C)5と、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材6と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7を順次積層した構造をなすものである。
【0052】
そして、このような構造を有する実施例1の遮音構造体1において、鋼板11を図8に示した透過損失実験装置21の音源(スピーカー24)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁23として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図11に示す値が観測され、比較例1に比べて遮音性能をさらに向上させることが可能であることが確かめられた。
【0053】
(実施例2)
図12は本発明による遮音構造体の実施例2の構造を示すものであって、この遮音構造体1は、鋼板11の上に、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材2と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、前記圧電フィルム(B)4と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(C)5と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7とを順次積層した構造をなすものである。
【0054】
そして、このような構造を有する実施例2の遮音構造体1において、鋼板11を図8に示した透過損失実験装置21の音源(スピーカー24)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁23として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図13に示す値が観測され、比較例1に比べて遮音性能をさらに向上させることが可能であることが確かめられた。
【0055】
(実施例3)
図14は本発明による遮音構造体の実施例3の構造を示すものであって、この遮音構造体1は、鋼板11の上に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、前記圧電フィルム(B)4と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(C)5と、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材6と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7とを順次積層した構造をなすものである。
【0056】
そして、このような構造を有する実施例3の遮音構造体1において、鋼板11を図8に示した透過損失実験装置21の音源(スピーカー24)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁23として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図15に示す値が観測され、比較例1に比べて遮音性能をさらに向上させることが可能であることが確かめられた。
【0057】
(比較例2)
図16は本発明の比較例2による遮音構造体を示すものであって、この遮音構造体31は、鋼板32の上に、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材33と、ポリエチレン(PE)からなるフィルム(A)34と、同じくポリエチレン(PE)からなるフィルム(B)35と、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材37と、カーペット表部38Aとカーペット基部38Bからなるカーペット38とを順次積層した構造をなすものである。
【0058】
そして、このような構造を有する比較例2の遮音構造体31において、鋼板32を図8に示した透過損失実験装置21の音源(スピーカー24)側に設置し、同遮音構造体31を隔壁23として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図18,20,22,24,26,28に示す値が観測された。
【0059】
(実施例4)
図17は本発明による遮音構造体の実施例4の構造を示すものであって、この遮音構造体1は、鋼板11の上に、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材2と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材6と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7とを順次積層した構造をなすものである。
【0060】
そして、このような構造を有する実施例4の遮音構造体1において、鋼板11を図8に示した透過損失実験装置21の音源(スピーカー24)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁23として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図18に示す値が観測され、比較例2に比べて遮音性能をさらに向上させることが可能であることが確かめられた。
【0061】
(実施例5)
図19は本発明による遮音構造体の実施例5の構造を示すものであって、この遮音構造体1は、鋼板11の上に、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材2と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7を順次積層した構造をなすものである。
【0062】
そして、このような構造を有する実施例5の遮音構造体1において、鋼板11を図8に示した透過損失実験装置21の音源(スピーカー24)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁23として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図20に示す値が観測され、比較例2に比べて遮音性能をさらに向上させることが可能であることが確かめられた。
【0063】
(実施例6)
図21は本発明による遮音構造体の実施例6の構造を示すものであって、この遮音構造体1は、鋼板11の上に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材6と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7を順次積層した構造をなすものである。
【0064】
そして、このような構造を有する実施例6の遮音構造体1において、鋼板11を図8に示した透過損失実験装置21の音源(スピーカー24)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁23として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図22に示す値が観測され、比較例2に比べて遮音性能をさらに向上させることが可能であることが確かめられた。
【0065】
(実施例7)
図23は本発明による遮音構造体の実施例7の構造を示すものであって、この遮音構造体1は、鋼板11の上に、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材12と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材16と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7とを順次積層した構造をなすものである。
【0066】
そして、このような構造を有する実施例7の遮音構造体1において、鋼板11を図8に示した透過損失実験装置21の音源(スピーカー24)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁23として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図24に示す値が観測され、比較例2に比べて遮音性能をさらに向上させることが可能であることが確かめられた。
【0067】
(実施例8)
図25は本発明による遮音構造体の実施例8の構造を示すものであって、この遮音構造体1は、鋼板11の上に、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材12と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、アセチレンブラックを導電材として含む導電性発泡体18と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材16と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7とを順次積層した構造をなすものである。
【0068】
そして、このような構造を有する実施例8の遮音構造体1において、鋼板11を図8に示した透過損失実験装置21の音源(スピーカー24)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁23として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図26に示す値が観測され、比較例2に比べて遮音性能をさらに向上させることが可能であることが確かめられた。
【0069】
(実施例9)
図27は本発明による遮音構造体の実施例9の構造を示すものであって、この遮音構造体1は、鋼板11の上に、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材12と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、炭素繊維を主成分とした不織布からなる導電性繊維体19と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材16と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7とを順次積層した構造をなすものである。
【0070】
そして、このような構造を有する実施例9の遮音構造体1において、鋼板11を図8に示した透過損失実験装置21の音源(スピーカー24)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁23として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図28に示す値が観測され、比較例2に比べて遮音性能をさらに向上させることが可能であることが確かめられた。
【0071】
(実施例10,比較例3)
次に、実車のボディ鋼板に制振部材を貼設して、騒音レベルの実車評価を行った結果につき、実施例10および比較例3として説明する。なお、ここで使用した車両は、エンジン排気量2000ccのAT仕様であり、騒音レベルの測定は、2速固定でエンジン回転数が3000rpmとなる定速走行を行った際の耳元位置での音圧レベルを計測した。
【0072】
まず、実施例10では、図23に示した実施例7の場合と同様に、フロアパネル(鋼板11)の上に、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材12と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を逆にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)4と、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材16と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7とを順次積層したフロア用遮音構造体を作製して、前記した測定方法により耳元位置での音圧レベルを計測したところ、図29に示す値が観測され、耳元位置での音圧レベルは比較例3に比べてより低いものとなっていた。
【0073】
次に、比較例3では、図16に示した比較例2の積層構造と同様に、フロアパネル(鋼板32)の上に、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材(33)と、ポリエチレン(PE)からなるフィルム(A)34と、同じくポリエチレン(PE)からなるフィルム(B)35と、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材(37)と、カーペット表部38Aとカーペット基部38Bからなるカーペット38とを順次積層したフロア用遮音構造体を作製して、前記した測定方法により耳元位置での音圧レベルを計測したところ、図29に示す値が観測され、耳元位置での音圧レベルは実施例10に比べてより高いものとなっていた。
【0074】
(参考例1)
図30は参考例1による遮音構造体を示すものであって、この遮音構造体1は、鋼板11の上に、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材12と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、前記圧電フィルム(A)3と厚さ方向における分極の正負を同一にした同じくポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)3と、ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材16と、カーペット表部7Aとカーペット基部7Bからなるカーペット7とを順次積層した構造体をなすものである。
【0075】
そして、このような構造を有する参考例1の遮音構造体1において、鋼板11を図8に示した透過損失実験装置21の音源(スピーカー24)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁23として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図31に示す値が観測された。
【0076】
図24および図31に示した結果より明らかなように、参考例1の場合には比較例2よりは遮音性能に優れているものの、実施例7に比べて遮音性能が劣るものとなっており、圧電材料の厚さ方向における分極の方向を同一にした場合に得られる効果は、分極の方向を逆にして積層した場合に比べてかなり小さいことが確かめられた。
【0077】
以上、実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記の実施例だけに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内であれば、もちろん改変は可能である。特に、実施例10においては、本発明における遮音構造体が自動車用のフロア構造体である場合を例にとって説明したが、積層体による遮音構造であれば、自動車のフロア構造体に限らず、ダッシュボード等の自動車の他の部位や、その他の車両、建築構造物などにも応用可能であることはいうまでもない。
【0078】
また、上記実施例では、圧電フィルムの表面は未処理のものを用いた場合を例示したが、そのほか、アルミニウムを蒸着した材料等、圧電特性を有するものであれば使用は可能である。
【0079】
さらに、圧電材料については、入手の容易さからポリフッ化ビニリデン(PVDF)が最も望ましいもののひとつと言えるが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の他に、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン共重合体樹脂等であっても本発明の効果は発現可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る遮音構造体の一実施の形態による構成を示す断面説明図である。
【図2】本発明に係る遮音構造体の他の実施の形態による構成を示す断面説明図である。
【図3】本発明に係る遮音構造体のさらに他の実施の形態による構成を示す断面説明図である。
【図4】本発明に係る遮音構造体のさらに他の実施の形態による構成を示す断面説明図である。
【図5】本発明に係る遮音構造体のさらに他の実施の形態による構成を示す断面説明図である。
【図6】本発明に係る遮音構造体のさらに他の実施の形態による構成を示す断面説明図である。
【図7】本発明に係る遮音構造体のさらに他の実施の形態による構成を示す断面説明図である。
【図8】透過損失実験に用いた実験装置の概要を示す平面説明図である。
【図9】本発明の比較例1による遮音構造体の構成を示す断面説明図(図9の(A))および拡大断面説明(図9の(B))である。
【図10】本発明に係る遮音構造体の実施例1による構成を示す断面説明図(図10の(A))および拡大断面説明(図10の(B))である。
【図11】実施例1で得られた遮音度特性を比較例1とあわせて示すグラフである。
【図12】本発明に係る遮音構造体の実施例2による構成を示す断面説明図(図12の(A))および拡大断面説明(図12の(B))である。
【図13】実施例2で得られた遮音度特性を比較例1とあわせて示すグラフである。
【図14】本発明に係る遮音構造体の実施例3による構成を示す断面説明図(図14の(A))および拡大断面説明(図14の(B))である。
【図15】実施例3で得られた遮音度特性を比較例1とあわせて示すグラフである。
【図16】本発明の比較例2による遮音構造体の構成を示す断面説明図(図16の(A))および拡大断面説明(図16の(B))である。
【図17】本発明に係る遮音構造体の実施例4による構成を示す断面説明図(図17の(A))および拡大断面説明(図17の(B))である。
【図18】実施例4で得られた遮音度特性を比較例2とあわせて示すグラフである。
【図19】本発明に係る遮音構造体の実施例5による構成を示す断面説明図(図19の(A))および拡大断面説明(図19の(B))である。
【図20】実施例5で得られた遮音度特性を比較例2とあわせて示すグラフである。
【図21】本発明に係る遮音構造体の実施例6による構成を示す断面説明図(図21の(A))および拡大断面説明(図21の(B))である。
【図22】実施例6で得られた遮音度特性を比較例2とあわせて示すグラフである。
【図23】本発明に係る遮音構造体の実施例7による構成を示す断面説明図(図23の(A))および拡大断面説明(図23の(B))である。
【図24】実施例7で得られた遮音度特性を比較例2とあわせて示すグラフである。
【図25】本発明に係る遮音構造体の実施例8による構成を示す断面説明図(図25の(A))および拡大断面説明(図25の(B))である。
【図26】実施例8で得られた遮音度特性を比較例2とあわせて示すグラフである。
【図27】本発明に係る遮音構造体の実施例9による構成を示す断面説明図(図27の(A))および拡大断面説明(図27の(B))である。
【図28】実施例9で得られた遮音度特性を比較例2とあわせて示すグラフである。
【図29】実施例10で得られた遮音度性能を耳元での音圧レベルで計測した結果を比較例3と共に示すグラフである。
【図30】参考例1による遮音構造体の構成を示す断面説明図(図30の(A))および拡大断面説明(図30の(B))である。
【図31】参考例1および実施例7を比較した遮音度特性のグラフである。
【符号の説明】
1 遮音構造体
2 発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材
3 ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(A)
4 圧電フィルム(A)と厚さ方向における分極の正負を逆にしたポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(B)
5 圧電フィルム(B)と厚さ方向における分極の正負を逆にしたポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる圧電フィルム(C)
6 発泡ポリウレタン(PUF)からなる吸音材
7 カーペット
7A カーペット表部
7B カーペット基部
11 鋼板
12 ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材
16 ポリエステル(PET)繊維からなる吸音材
18 導電性発泡体
19 炭素繊維を主成分とした導電性繊維体

Claims (10)

  1. 表面および/または内部に圧電性を有する2枚以上の圧電体が積層された構造体であって、前記圧電体の少なくとも1枚が他の圧電体と当該圧電体の厚さ方向における分極方向が異なる状態で積層されていることを特徴とする遮音構造体。
  2. 表面および/または内部に圧電性を有する2枚の圧電体が積層された構造体であって、前記圧電体の厚さ方向における分極方向が2枚の圧電体間で異なる状態で積層されていることを特徴とする請求項1に記載の遮音構造体。
  3. 圧電性を有する2枚以上の圧電体が積層された構造体が、発泡体からなる吸音材および/または繊維体からなる吸音材の表面に積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載の遮音構造体。
  4. 圧電性を有する2枚以上の圧電体が積層された構造体が、発泡体からなる吸音材および/または繊維体からなる吸音材の間に積層されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の遮音構造体。
  5. 積層された圧電体間に、導電性を有する発泡体が内層されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の遮音構造体。
  6. 積層された圧電体間に、炭素繊維からなる布が内層されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の遮音構造体。
  7. 圧電体が、樹脂製のフィルムであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の遮音構造体。
  8. 圧電体が、ポリフッ化ビニリデン成形体にポーリング処理を施したものであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の遮音構造体。
  9. 金属製パネル、制振材および/または吸音材、カーペットが少なくとも積層されてなる積層体において、金属製パネルとカーペットとの間の少なくとも1個所に請求項1ないし8のいずれかに記載の遮音構造体が積層されていることを特徴とする車両のフロア用遮音構造体。
  10. 金属製パネル、制振材および/または吸音材、カーペットが少なくとも積層されてなる積層体において、制振材および/または吸音材の内部に請求項1ないし8のいずれかに記載の遮音構造体が積層されていることを特徴とする車両のフロア用遮音構造体。
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