JP3630271B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像を形成する転写紙の紙種選択機能を有する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種分野において地球環境保護が叫ばれ、画像形成装置においても地球環境保護を目的とした機種が増えてきている。例えば、低消費電力を意図した機種、紙やトナーの消費量低減を意図した機種等、様々な機能を搭載した機種がある。この結果、普通紙のみならず、再生紙などの再利用化を図った転写紙を使用し得る機種が当たり前のようになってきている。
【0003】
反面、デジタル複写機等の高機能機も増えており、アナログ機ではできなかった読取りデータの保存・加工が可能なため、各種の機能が可能とされている。もっとも、コスト的にはアナログ機に比べて高くなることは否めないため、付加機能で価値観を生み出すことで、アナログ機に対抗している現状にある。従って、デジタル機にあっても、極力コストを抑えつつ、付加機能の価値観を出しやすく、かつ、大量生産によるコスト減を見込める普及層クラスの機種が主流を占めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、デジタル複写機のメリット、即ち、付加機能のメリットが近年益々優位となりつつあり、普及層クラス以外、例えば、A2サイズの原稿、転写紙を扱う広幅機種にも広がりを見せ始めている。このようなことから、普及層クラスの機能に広幅の機能を付加した機種が出現し始めている。
【0005】
つまり、従来のA3縦サイズ規模の画像形成装置ではできなかったA2縦サイズ規模の画像形成装置の機能が新機能であり、A2サイズの画像形成が可能であることから、多種類の転写紙の利用が見込まれ、普及層クラスの画像形成装置の機能も考慮しつつ、多種類の転写紙を有効利用し得る画像形成装置の提供が望まれている。
【0006】
特に、多種類の転写紙としては、転写紙サイズもさることながら、使用し得る紙種も多様化しており、例えば、A2サイズのような広幅機種では、設計図面等のコピー用にトレーシングペーパやOHP用のフィルム等にも対応し得ることが要望される。
【0007】
そこで、本発明は、定型的な倍率設定に加えてその倍率微調整を可能とするが、紙種毎に倍率補正値の設定を可能とすることで利用形態に応じた対応を採ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、紙種毎の倍率補正値の設定と紙種の選択との対応性がよく、設定・選択の操作性のよい画像形成装置を提供することを目的とする。
【0009】
さらには、自動用紙選択手段による用紙選択の最適性を向上させ得る画像形成装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知手段と、複数の給紙段に関して各給紙段の転写紙の紙種を設定する紙種設定手段と、画像を形成する転写紙の紙種を選択する紙種選択手段と、定型的な画像形成倍率を設定する倍率設定手段と、定型的な画像形成倍率に対する倍率補正値を紙種毎に設定する紙種別倍率設定手段と、原稿サイズと画像形成倍率とに基づき最適サイズの転写紙を有する給紙段を自動的に選択する自動用紙選択手段とを備える。従って、紙種毎に倍率を微調整設定することができ、画像を形成する転写紙の紙種に応じた対応を採ることができる。この結果、普及層クラスの多機能性と広幅機種による多種類の転写紙への適応性との両立を適正に実現できる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置における転写紙の紙種は、トレーシングペーパ、フィルム用紙を含む。従って、対象紙種中にトレーシングペーパやフィルム用紙を含んでいるので、設計図等の図面複写においてもその倍率微調整を適正に行える。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において紙種別倍率設定手段により設定された紙種毎の倍率補正値は、再設定されるまで不揮発的に保存される。従って、一旦設定された紙種毎の倍率補正値が電源オフでもモードクリアでも初期化されずに保存されるので、次の使用時にもそのまま使用することができ、多用される倍率補正値に関しては標準化を図ることができ、操作性が向上する。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、紙種別倍率設定手段による倍率補正値の設定時に、紙種選択手段により選択されている給紙段の紙種が設定対象として選択される。従って、紙種選択手段により既に給紙段の紙種が選択されていれば、紙種別倍率設定手段による倍率補正値の設定時もその紙種が自動的に設定対象となるので、紙種毎の倍率補正値の設定と紙種の選択との対応性がよく、設定・選択の操作性が向上する。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、紙種別倍率設定手段により設定された倍率補正値は、紙種選択手段又は自動用紙選択手段により選択された給紙段の転写紙の紙種に対応する補正値が用いられる。従って、紙種別倍率設定手段により倍率補正値が設定されている場合には、紙種選択手段又は自動用紙選択手段により選択された給紙段の転写紙の紙種に対応する補正値が用いられるので、紙種の変更によって用いる倍率補正値が狂うことはない。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置の自動用紙選択手段は、紙種選択手段により紙種が選択されている場合にはその紙種の転写紙を有する給紙段中から最適サイズの転写紙を有する給紙段を選択する。従って、選択された紙種を優先させた画像形成動作をより適正に行わせることができる。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置の自動用紙選択手段は、紙種選択手段により紙種が選択されている場合にはその紙種及び同一傾向の紙種の転写紙を有する給紙段中から最適サイズの転写紙を有する給紙段を選択する。従って、仮に選択された紙種の転写紙が存在しない場合でも、次善の策として、極力要望に近い紙種で画像形成動作を行わせることができる。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項1,6又は7記載の画像形成装置の自動用紙選択手段は、紙種選択手段により紙種が選択されていない場合には全ての給紙段中から最適サイズの転写紙を有する給紙段を選択する。従って、紙種にこだわらない場合には、通常通りに自動用紙選択手段を機能させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明を採用したデジタル複写機の概略構造とその作用とを図1により説明する。このデジタル複写機は、A2縦サイズ対応機種であって、読取ユニット1と作像ユニット2とを主体として構成されている。
【0019】
前記読取ユニット1はコンタクトガラス3上にセットされ又は搬送された原稿の画像を走査光学系4により光学的に読み取るものである。この走査光学系4は、露光ランプ5、第1ミラー6、第2ミラー7、第3ミラー8、結像レンズ9及びCCDイメージセンサ10等により構成されている。前記露光ランプ5と第1ミラー6とは第1キャリッジ(図示せず)上に搭載され、第2,第3ミラー7,8は第2キャリッジ(図示せず)上に搭載され、原稿画像読取時には光路長が変わらないように第1キャリッジと第2キャリッジとが2:1の速度比で同一方向に機械的に移動する。これらの第1,第2キャリッジの駆動はスキャナ駆動モータ(図示せず)により行なわれる。ここに、コンタクトガラス3上の原稿画像は走査光学系4による読取走査を受けることにより、CCDイメージセンサ10上に縮小結像され、光電変換処理を経て電気信号となるように読み取られる。
【0020】
このような読取ユニット1のコンタクトガラス3上には自動原稿送り装置(ADF)11が搭載されている。このADF11は、原稿台12と給紙ローラ13とコンタクトガラス3上に位置する給紙搬送ベルト14と排紙ローラ15と原稿排紙トレイ16とにより構成されている。原稿台12の入り口付近には原稿セット検知センサ17が設けられている。これにより、原稿台12上に画像面を上向きにして積載された原稿束は、後述する操作部上のプリントキーが押下されると、最下位の原稿から給紙ローラ13、給紙搬送ベルト14によりコンタクトガラス3上の所定位置に給紙搬送されて停止する。コンタクトガラス3上にセットされ又は搬送された原稿は、読取ユニット1による読取りに供された後、読取りが終了すると、給紙搬送ベルト14及び排紙ローラ15により原稿排紙トレイ16上に排紙される。この際、原稿セット検知センサ17が後続の原稿を検知していれば、先行した原稿の場合と同様に、原稿台12上の原稿をコンタクトガラス3上に給紙搬送させる。ここに、ADF11における給紙ローラ13、給紙搬送ベルト14及び排紙ローラ15は、メインモータによって駆動される。
【0021】
次に、作像ユニット2について説明する。この作像ユニット2はドラム状の感光体21を中心とし、この感光体21の周囲には、電子写真プロセスの工程順に、帯電チャージャ(図示せず)、書込ユニット22、現像装置23、転写チャージャ(図示せず)等が配設されている。前記書込ユニット22は、レーザ出力ユニット(レーザダイオード、ポリゴンミラー等を内蔵)24、結像レンズ25、ミラー26等によるレーザ書込光学系として構成されている。
【0022】
また、前記作像ユニット2内の下部側には、各々転写紙27を収納した第1〜第3トレイ28〜30が複数の給紙段として引出自在に装着されている。ここに、各トレイ28〜30に対する転写紙27の紙種としては、普通紙の他、トレーシングペーパ、OHP用のフィルム、再生紙、その他の用紙をセットし得るものとされ、後述する紙種設定操作によりどのトレイ28〜30にどの紙種の転写紙27がセットされているかが設定される。各トレイ28〜30の給紙側には第1〜第3給紙装置31〜33が設けられており、共通な縦搬送ユニット34を介して前記感光体21の転写位置側に転写紙27を給紙搬送することが可能とされている。さらに、前記感光体21の転写位置よりも搬送方向下流側には、搬送ベルト35、定着装置36、排紙ローラ37を含む排紙ユニット38、排紙トレイ39が順に設けられている。また、前記第1トレイ28の上方には両面トレイ40を含む両面給紙ユニット41が配設されており、前記排紙ユニット38中には転写紙27の搬送経路を前記排紙トレイ39側とこの両面トレイ40側との何れかへ切り替える切替爪42が設けられている。前記両面給紙ユニット41の再給紙側は前記縦搬送ユニット34に連通している。
【0023】
これにより、第1〜第3トレイ28〜30に収納された転写紙27は、第1〜3給紙装置31〜33によって選択的に給紙され、縦搬送ユニット34により感光体21の転写位置まで搬送される。一方、副走査方向に回転駆動される感光体21側では書込ユニット22による主走査方向の光書込みを受けて静電潜像が形成され、現像装置23による現像を受けてトナー像が形成される。縦搬送ユニット34により搬送された転写紙27はこのトナー像先端と同期を取りながら、感光体21と同速で駆動される搬送ベルト35によって搬送され、トナー像の転写を受ける。転写後の転写紙27は定着装置36による定着を受けた後、排紙ローラ37によって排紙トレイ39上に排紙される。
【0024】
ここに、両面コピーモード時のおもて面コピー終了後であれば、切替爪42が切り替えられて転写紙27が両面トレイ40側に一旦排紙され、うら面側のコピーのための再給紙に供される。
【0025】
次に、図2により操作部51の構成について説明する。この操作部51はプリントキー52、テンキー53、クリア・ストップキー54、初期設定キー55、モードクリアキー56等のキー類を備えている他、液晶タッチパネル57を備えている。この液晶タッチパネル57には、画面毎に適宜出現する機能キー58を含む入力操作部59と、部数や装置状態等をメッセージ表示する表示部60とを併せ持つ。
【0026】
図3は、液晶タッチパネル57の基本画面の表示例を示す。図示例の如く、液晶タッチパネル57の基本画面上には、“自動用紙選択”キー,“変倍”キー等の機能キー58が出現する。機能キー58に関しては、キー機能表示部分を押下することにより、そのキー部分が黒く反転する。図示例は、“変倍”キーが押下されている様子を示す。また、機能の詳細を指定しなければならない場合は、該当するキー機能表示部分を押下することにより、詳細機能の設定画面が表示される。例えば、図5は、図3の表示状態から“変倍”キーを押下した場合に展開される倍率設定モード用の表示内容を示す。また、図6は、図5の表示状態から“倍率補正”キーを押下した場合に展開される紙種別倍率設定モード用の表示内容を示す。また、図4は図2に示す操作部51上で初期設定キー55を押下することにより展開される紙種設定モード用の表示内容を示す。何れにしても、液晶タッチパネル57は、ドット表示器を使用しているので、その時の最適な表示をグラフィカルに行うことができる。なお、これらの図3ないし図6に示す表示内容に基づく設定操作等については後述する。
【0027】
次に、電装制御系のハードウェア構成を図7により説明する。デジタル複写機全体を制御するメインコントローラ61には、前記操作部51や前記ADF11の他に、IPU(イメージ・プロセシング・ユニット=画像処理ユニット)62が接続されている。これらの分散制御装置51,11,62とメインコントローラ61とは、必要に応じて機械の状態、動作指令等のやり取りを行う。さらに、転写紙27の搬送に必要なメインモータや各種クラッチ等がI/O63を介してメインコントローラ61に接続されている。また、前記ADF11の原稿入口部には自動送りする原稿のサイズを検知する反射型の原稿サイズ検知センサ64が設けられている。
【0028】
図8は、前記IPU62の内部構成を示す。このIPU62には、上述した読取ユニット1や書込ユニット22の制御を行なうCPU71が設けられている。このCPU71にはバスラインを介して、制御用のプログラムなどを格納したROM72や各種データを記憶するRAM73、画像メモリコントローラ74、前記CCDイメージセンサ10、A/Dコンバータ75、2色分離・シェーディング補正回路76、フィルタ補正、変倍色データ膨張、γ補正等を行なう第1画像処理部77、後述する画像処理を行なうとともに処理画像信号の送り先を画像メモリコントローラ74と書込ユニット22とへの切り替えを行なう第2画像処理部78が接続されている。また、前記CPU71には、コンタクトガラス3上に原稿をセットして画像読取を行なう場合にその原稿サイズを検知する反射型の原稿サイズ検知センサ79が接続されている。
【0029】
図9は、前記第2画像処理部78の内部構成を示す。この第2画像処理部78には、第1画像処理部77で画像処理された画像データの読込時に画像処理を行なう各種の回路、具体的には、領域をマスクするスキャナマスク処理回路81、色変換処理回路82、色消去処理回路83、ビット反転処理回路84、ページや日付や特殊文字等を合成する印字合成処理回路85等が設けられている。印字合成処理回路85に接続されている印字コア86では、ページ印字のページを作成したり、スタンプ文字等の文字コードを取り出して印字を作成し、印字イメージデータを発生させる。また、画像データ選択回路87は、前記処理回路81〜85で画像処理された画像データをスルーで画質コア88に出力するか、画像メモリコントローラ74からの画像データを画質コア88に出力するか、画像処理された画像データに対して画像メモリコントローラ74からの画像データを合成処理回路89で合成したものを画質コア88に出力するかを選択する。
【0030】
図10,図11により前記画像メモリコントローラ74の詳細を説明する。画像メモリコントローラ74は、1次圧縮部91と1次伸長部92と、1次画像データの保存メモリである画像メモリDRAM93(バンクA,バンクB)、2次圧縮伸長部94、大容量メモリであるHD95を有している。
【0031】
画像メモリコントローラ74による画像データの保存動作は図10に示すように、画像データV1は無条件に合成処理回路89に供給され、既に画像メモリ93,95に保存されている画像データとの合成を行なう。合成処理回路89で処理された画像データV2は、1次圧縮部91によりデータを圧縮され(V3)、圧縮後のデータを画像メモリDRAM93に書き込むと同時に2次圧縮伸長部94に送られ(V4)、2次圧縮伸長部94で更に圧縮を行なった後にHD95に送られて(V5)保存される。
【0032】
画像出力時には図11に示すように、出力対象となる画像データが画像メモリDRAM93に格納されている場合には、1次伸長部92で画像データの伸長を行ない、伸長後の画像データ、もしくは、伸長後の画像データと入力データとの画像合成を行なった後のデータを出力する。出力対象となる画像データが画像メモリDRAM93に格納されていない場合には、HD95に格納されている出力対象画像データを2次圧縮伸長部94で伸長を行ない、伸長後の画像データを画像メモリDRAM93に書き込んでから、上述の画像出力動作を行なう。
【0033】
ちなみに、原稿画像1枚に対してコピー枚数が1枚の場合には、本来、画像データを画像メモリDRAM93に記憶させる必要はないが、要求されるコピー枚数が複数枚の場合には毎回スキャニングすることを回避でき、転写紙ジャムが発生した場合でも、再度原稿をスキャニングする必要がない等の点を考慮して、スキャニングして得られた画像データを無条件に画像メモリDRAM93及びHD95に記憶させるようにしている。
【0034】
ここで、本実施の形態のデジタル複写機は、コンタクトガラス3上にセットされ又はADF11により搬送された原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知手段と、複数のトレイ28〜30に関して各トレイ28〜30内にセットされている転写紙27の紙種を設定する紙種設定手段と、画像を形成する転写紙27の紙種を選択する紙種選択手段と、定型的な画像形成倍率を設定する倍率設定手段と、定型的な画像形成倍率に対する倍率補正値を紙種毎に設定する紙種別倍率設定手段と、原稿サイズと画像形成倍率又は倍率補正値とに基づき最適サイズの転写紙27を有するトレイ28〜30を自動的に選択する自動用紙選択手段との機能を備えている。
【0035】
紙種設定手段とは、初期設定キー55の押下に基づき展開された紙種設定モード用の表示画面でのキー操作に基づき、ROM72に格納されたプログラムに従ってCPU71により行われる処理である。この処理により、トレイ28〜30毎の紙種が設定される。具体的には、操作部51上の初期設定キー55を押下することにより、液晶タッチパネル57の画面上には図4に示すような紙種設定モード用の画面が出現し、各トレイ28〜30毎に紙種の設定が可能となる。各トレイ28〜30毎に設定可能な紙種は、“普通紙”“トレペ(トレーシングペーパ)”“フィルム”“再生紙”であり、画面上で“第1トレイ”“第2トレイ”“第3トレイ”キーにより設定すべき給紙段を選択後、“普通紙”“トレペ(トレーシングペーパ)”“フィルム”“再生紙”キーの何れかの紙種キーを選択することにより紙種が設定される。これら以外の紙種の場合には、“表示なし”キーを選択する。紙種設定は“終了”キーを押下することにより終了し、図3に示すような基本画面に戻る。
【0036】
この基本画面では、各給紙段の紙種が転写紙サイズ表示とともに表示される。図示例の基本画面では、第1トレイ28にはA4横サイズ・普通紙がセットされており(表示は“A4Y 普”)、第2トレイ29にはA4縦サイズ・トレーシングペーパがセットされており(表示は“A4T ト”)、第3トレイ30にはA4縦サイズ・その他の用紙がセットされている(表示は“A3T (紙種表示なし)”)例を示している。この他、“フィルム”がセットされている場合には、“A4Y フ”の如く表示される。
【0037】
よって、基本画面上における“A4Y 普”キー、“A4T ト”キー等は紙種選択手段の一種としても機能する。
【0038】
倍率設定手段とは、図3に示す基本画面において、“変倍“キーの押下に基づき展開された図5に示すような倍率設定モード用の表示画面でのキー操作に基づき、ROM72に格納されたプログラムに従ってCPU71により行われる処理である。この処理により、拡大又は縮小の定型的な画像形成倍率が設定される。即ち、拡大用の倍率キーとしては、“115%”“122%”“141%”“200%”“400%”キーが用意され、縮小用の倍率キーとしては、“50%”“71%”“82%”“87%”“93%”キーが用意され、何れかの倍率設定が可能とされている。
【0039】
紙種別倍率設定手段とは、図5に示す画面において、“倍率補正”キーの押下に基づき展開された図6に示すような紙種別倍率設定モード用の表示画面でのキー操作に基づき、ROM72に格納されたプログラムに従ってCPU71により行われる処理である。この処理により、紙種毎に定型的な画像形成倍率に対する倍率補正値が設定される。具体的には、倍率補正値を設定すべき紙種を選択するために“普通紙”“トレペ”“フィルム”“その他”キーの何れかを押下した後、対応するキーの補正倍率(縦)、補正倍率(縦)における“−”キー又は“+”キーを所望回数押下することにより倍率が増減補正されて倍率補正値が設定される。図示例では、“−”キー又は“+”キーを押下する毎に0.1%ずつ倍率が増減するように設定されている。補正倍率は縦、横で独立して設定し得る。ここに、この紙種別倍率設定手段により設定された紙種毎の倍率補正値は、不揮発性メモリ構成の下に保存されており、再設定し直さない限り、図6に例示するような設定内容は、電源スイッチ(図示せず)をオフしても、モードクリアキー56を押下してもクリアされないように構成されている。また、紙種別倍率設定モード用の表示画面上における“普通紙”“トレペ”“フィルム”“その他”キーは紙種選択手段の一種としても機能する。
【0040】
ここに、このような紙種別倍率設定手段による倍率補正値の設定と、紙種選択手段との対応関係について説明する。倍率補正値の設定手順として、最初に給紙段を選択して画像形成を行いたい紙種を選択した後(例えば、図3に示す基本画面で“A4Y 普”キーを押下した後)、図6に示す紙種別倍率設定モードの画面を出現させて倍率補正値を設定しようとする場合には、この図6に示す画面に切換えられた時点で、紙種を示す“普通紙”キー部分が黒く反転した状態で出現するので、現在、紙種として普通紙が選択され、普通紙を対象としていることが判る。これにより、事前に紙種を選択指定した状態で画面が切換わっても、その紙種が判るので、先に選択した紙種が何であったかを覚えておくような必要がなく、そのまま対応関係を採れるので、倍率補正値の設定作業の操作性のよいものとなる。
【0041】
逆に、事前に紙種を選択することなく、図6に示す紙種別倍率設定モードの画面で始めて設定対象となる紙種を選択してからその倍率補正値を設定した場合には、図3に示すような基本画面に戻ったときに、紙種別倍率設定モードの画面で選択された紙種に対応する給紙段がそのまま選択されることになり、選択した紙種の対応関係が維持される。倍率補正値の設定操作を行うということは、その紙種での画像形成を意図していることが多いので、基本画面に戻った場合に対応する紙種の給紙段がそのまま選択されることは、紙種の選択作業性が向上することになる。
【0042】
何れにしても、給紙段選択時に紙種を選択するか、倍率補正値の設定時に紙種を選択するかの前後関係を問わず、何れか一方の操作時に選択しておけばよいものとなる。
【0043】
自動用紙選択手段とは、図3に示す基本画面において、“自動用紙選択”キーが押下された場合に、ROM72に格納されたプログラムに従ってCPU71により行われる処理である。具体的には、原稿サイズと画像形成倍率又は倍率補正値とに基づき最適サイズの転写紙27を有するトレイ28〜30を自動的に選択する処理である。ここに、この自動用紙選択は、紙種設定の有無、倍率補正値の設定の有無等に応じて異なる処理として実行される。まず、画像を形成したい紙種が特に選択されていない場合には、全てのトレイ28〜30中から原稿サイズと倍率とに基づく最適サイズの転写紙27を有するトレイ28〜30が選択される。即ち、紙種を考慮することなく、トレイ28〜30の選択が行われるものであり、本来の自動用紙選択手段としての機能である。
【0044】
次に、紙種別の倍率補正値の設定に際して、“普通紙”“トレペ”“フィルム”“その他”キーの何れかの操作により紙種が選択されて場合について説明する。この場合には、その紙種選択が自動用紙選択に際してもそのまま有効とされ、用紙選択の対象紙種が選択された紙種に限定される。例えば、紙種別の倍率補正値の設定に際して、“トレペ”キーが押下されてトレーシングペーパなる紙種が選択されていれば、自動用紙選択に際してもトレーシングペーパがセットされている給紙段(トレイ28〜30)のみを対象としてその選択処理が行われる。これにより、ユーザの所望する紙種なる最適な転写紙27で画像形成される確率が高くなる。
【0045】
もっとも、現実には普通紙を除けば、同一紙種の転写紙27が異なる給紙段にセットされているケースは少ないとも考えられるので、次善の策として、選択されている紙種そのものだけでなく、同一傾向と考えられる紙種まで対象範囲を拡げて自動用紙選択処理を行わせるのが実用的である。例えば、紙種別の倍率補正値の設定時に普通紙が選択されていた場合には、自動用紙選択に際して、優先順位を付け、まずは普通紙がセットされている給紙段を対象に最適サイズの転写紙27を有する給紙段を選択し、存在すればそのまま選択するが、最適サイズの転写紙27が存在しなければ、普通紙に近い(同一傾向)の再生紙なる紙種がセットされている給紙段を対象として最適サイズの転写紙27を有する給紙段を選択する処理を行う。存在すればそのまま選択するが、これでも存在しない場合には、表示なしの給紙段を対象とする。これによれば、次善の策ではあるが、最適サイズの転写紙27を選択し得る確率が高まり、コピー効率が向上する。同様に、紙種別の倍率補正値の設定時にフィルムが選択されていた場合には、自動用紙選択に際して、優先順位を伴い、フィルム、表示なしの2種類の紙種を対象に自動用紙選択処理が行われ、紙種別の倍率補正値の設定時にトレーシングペーパが選択されていた場合には、自動用紙選択に際して、優先順位を伴い、トレーシングペーパ、表示なしの2種類の紙種を対象に自動用紙選択処理が行われる。
【0046】
このように、選択されている紙種に応じて自動用紙の選択方法を変更することにより、画像形成効率を損なうことなく、ユーザが所望する形態での画像形成が可能となる確率が高まる。
【0047】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、定型的な画像形成倍率に対する倍率補正値を紙種毎に設定する紙種別倍率設定手段を備えているので、紙種毎に倍率を微調整設定することができ、画像を形成する転写紙の紙種に応じた対応を採ることができ、この結果、普及層クラスの多機能性と広幅機種による多種類の転写紙への適応性との両立を適正に実現することができる。
【0048】
請求項2記載の発明によれば、対象紙種中にトレーシングペーパやフィルム用紙を含んでいるので、設計図等の図面複写においてもその倍率微調整を適正に行わせることができる。
【0049】
請求項3記載の発明によれば、一旦設定された紙種毎の倍率補正値が電源オフでもモードクリアでも初期化されずに保存されるようにしたので、次の使用時にもそのまま使用することができ、多用される倍率補正値に関しては標準化を図ることができ、倍率補正値の設定に関する操作性を向上させることができる。
【0050】
請求項4記載の発明によれば、紙種選択手段により既に給紙段の紙種が選択されていれば、紙種別倍率設定手段による倍率補正値の設定時もその紙種が自動的に設定対象とすることができるので、紙種毎の倍率補正値の設定と紙種の選択との対応性がよく、設定・選択の操作性を向上させることができる。
【0051】
請求項5記載の発明によれば、紙種別倍率設定手段により倍率補正値が設定されている場合には、紙種選択手段又は自動用紙選択手段により選択された給紙段の転写紙の紙種に対応する補正値が用いられるので、紙種の変更によって用いる倍率補正値が狂うことを防止できる。
【0052】
請求項6記載の発明によれば、選択された紙種を優先させた画像形成動作をより適正に行わせることができる。
【0053】
請求項7記載の発明によれば、仮に選択された紙種の転写紙が存在しない場合でも、次善の策として、極力要望に近い紙種で画像形成動作を行わせることができる。
【0054】
請求項8記載の発明によれば、紙種にこだわらない場合には、通常通りに自動用紙選択手段を機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のデジタル複写機全体の概略構造を示す正面図である。
【図2】操作部の構成例を示す平面図である。
【図3】液晶タッチパネルの基本画面を示す平面図である。
【図4】液晶タッチパネルの紙種設定モード用の画面を示す平面図である。
【図5】液晶タッチパネルの倍率設定モード用の画面を示す平面図である。
【図6】液晶タッチパネルの紙種別倍率設定モード用の画面を示す平面図である。
【図7】電装制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図8】IPUの内部構成を示すブロック図である。
【図9】第2画像処理部の内部構成を示すブロック図である。
【図10】画像メモリコントローラの収納動作の詳細を示すブロック図である。
【図11】画像メモリコントローラの収納動作の詳細を示すブロック図である。
【符号の説明】
27 転写紙
28〜30 給紙段
Claims (8)
- 原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知手段と、
複数の給紙段に関して各給紙段の転写紙の紙種を設定する紙種設定手段と、
画像を形成する転写紙の紙種を選択する紙種選択手段と、
定型的な画像形成倍率を設定する倍率設定手段と、
定型的な画像形成倍率に対する倍率補正値を紙種毎に設定する紙種別倍率設定手段と、
原稿サイズと画像形成倍率とに基づき最適サイズの転写紙を有する給紙段を自動的に選択する自動用紙選択手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 転写紙の紙種は、トレーシングペーパ、フィルム用紙を含むことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 紙種別倍率設定手段により設定された紙種毎の倍率補正値は、再設定されるまで不揮発的に保存されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 紙種別倍率設定手段による倍率補正値の設定時に、紙種選択手段により選択されている給紙段の紙種が設定対象として選択されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 紙種別倍率設定手段により設定された倍率補正値は、紙種選択手段又は自動用紙選択手段により選択された給紙段の転写紙の紙種に対応する補正値が用いられることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 自動用紙選択手段は、紙種選択手段により紙種が選択されている場合にはその紙種の転写紙を有する給紙段中から最適サイズの転写紙を有する給紙段を選択することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 自動用紙選択手段は、紙種選択手段により紙種が選択されている場合にはその紙種及び同一傾向の紙種の転写紙を有する給紙段中から最適サイズの転写紙を有する給紙段を選択することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 自動用紙選択手段は、紙種選択手段により紙種が選択されていない場合には全ての給紙段中から最適サイズの転写紙を有する給紙段を選択することを特徴とする請求項1,6又は7記載の画像形成装置。
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