JP3629822B2 - ポリエステル組成物およびフイルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル組成物およびフイルムに関する。さらに詳しくは成形したときに滑り性、耐摩耗性に優れるポリエステル組成物およびフイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルは、その優れた性質のゆえに、磁気テ−プ用、電気用、写真用、メタライズ用、包装用などのフイルム用途をはじめ広く種々の分野で用いられている。またポリエステルフイルムとしては、特にポリエチレンテレフタレ−トフイルム、ポリエチレン−2,6−ナフタレ−トフイルムは平坦性、機械的強度、化学特性、寸法安定性などに優れており、磁気記録媒体のベ−スフイルムなどに好適に使用されている。
【0003】
磁気記録媒体用ベ−スフイルムにおいてはフイルム表面の平坦性、滑り性、耐摩耗性などが要求される。例えば、ビデオテ−プ用途においてベ−スフイルムの表面は記録精度の向上のためにより平坦なことが要求される。しかし、表面が平坦になるとフイルムの滑り性が低下して表面の摩擦、摩耗が増大し、フイルム表面に傷が発生したり、削れ粉を生じるなど多くの弊害を生じる。この時、フイルム表面の耐摩耗性が低いと、磁気テ−プの製造工程中にフイルムの削れ粉が多く発生し、磁気層を塗布する工程で塗布抜けが生じ、磁気記録の抜け(ドロップアウト)などを引き起こす。また磁気テ−プを使用する場合にも、通常の記録/再生モ−ドで使用する場合における装置内部のガイドピンとの接触走行や、いわゆるソフトテ−プ製造における高速プリンタ等を使用した高速ダビング時の接触走行など、各種走行条件下で接触時に削れ粉が生じ、ドロップアウトの原因になり得る。
【0004】
滑り性付与のためフイルムには粒子を添加することにより表面に凹凸を形成し、摩擦低減を図っているが、一方、上述したドロップアウトによる記録精度の低下を抑制するために、耐摩耗性を向上させる目的で、より脱落しにくい突起を形成する粒子が求められている。
【0005】
このような粒子として従来のシリカ等に代表される無機粒子に対し、近年、有機高分子からなる粒子が提案されている。
【0006】
有機高分子粒子はポリエステルとの親和性が高く、しかも無機粒子に比べ弾性に富むためフイルム成形時に粒子周辺のボイド発生が少なく耐摩耗性に優れることが期待される。
【0007】
例えば特開昭55−99948号公報には、メチルメタクリレ−ト−ジビニルベンゼン系ポリマ等からなる粒子を使用すること、特公平6−8383号公報にはエチレングリコ−ル単位を有する架橋高分子で被覆された有機粒子を使用することが提案されている。さらに特公平2−20415号公報などにはエポキシ基を有する架橋高分子を使用する、あるいは特開平6−145487号公報などにはポリエステル系の高分子からなる粒子を用いることなどが提案されている。
【0008】
しかしながら、近年の磁気記録分野を始めとする技術進歩による使用条件の過酷化のために、これらの技術によってもフイルムの耐摩耗性は不十分であった。また、耐摩耗性の向上は認められるが、一方、粒子表面の反応性が高くなるために、粒子同士の凝集も促進されポリマ中での分散性が不十分になるなどの問題点を有していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は前記した従来技術の欠点を解消し成形品中での粒子分散性が良好で、しかもフイルム等にしたときに滑り性、耐摩耗性の良好な特性を示すポリエステル組成物を提供することにある。なかでも特に磁気テ−プ使用時における録画/再生等のガイドピンとの比較的低速での接触走行及び高速ダビング等の高速での接触走行の2つの異なる条件下で共に耐摩耗性に優れるポリエステル組成物及びフイルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような本発明の目的は、水酸基を有する高分子粒子、特には式(1)の構造単位を有する高分子からなる高分子粒子を含有するポリエステル組成物及びフイルムによって達成される。
【0011】
【化3】
Figure 0003629822
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステルは、フィルムを形成しうるものならどのようなものでもよく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどが挙げられるが、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましく、高い弾性率が求められる場合にはポリエチレン−2,6−ナフタレートが特に好ましい。
【0013】
これらのポリエステルには、共重合成分としてアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸などのジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリコールなどのジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸などのオキシカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体などを共重合してもよい。
【0014】
本発明の高分子粒子は水酸基を含有することを特徴とする。水酸基の位置は粒子を構成する高分子の主鎖部分、側鎖部分あるいは架橋高分子粒子における架橋部分のいずれであってもよい。また、該水酸基の含有量は、ポリエステルとの充分な親和性の発現の点から、粒子1gあたり1×10−5mol以上であることが好ましく、より好ましくは1×10−4mol以上である。また粒子分散性の点からは粒子1gあたり5×10−2mol以下であることが好ましく、より好ましくは1×10−2mol以下である。本発明の粒子が良好な耐摩耗性を示す原因は明確ではないが、一部に水酸基を持つことによってポリエステルとの相互作用が著しく向上するためではないかと推定される。
【0015】
さらに本発明における粒子は式(1)の構造単位を有する高分子からなることが好ましい。
【0016】
【化4】
Figure 0003629822
【0017】
該構造単位の粒子全体に対する含有量は2重量%以上、60重量%以下であることが好ましい。2重量%以上では該構造単位によるポリエステルとの親和性が十分発現され、一方、60重量%以下とすることにより粒子表面の活性が適度にコントロ−ルされ、粒子同士の凝集が生じにくくなる。
【0018】
さらに本発明の粒子は式(2)の構造単位を有する高分子であると耐摩耗性がより向上するため好ましい。
【0019】
【化5】
Figure 0003629822
【0020】
このような、水酸基あるいは式(1)や式(2)で表される構造は高分子の主鎖中に含まれる以外にもグラフト部分あるいは架橋高分子における架橋部分に存在していても構わない。粒子が架橋高分子粒子であって、式(1)または式(2)で表される構造の少なくとも一部が、粒子の架橋部分に存在することが、粒子分散性の点で特に好ましい。
【0021】
本発明における高分子粒子の平均粒子径は0.005〜2.0μmが好ましい。より好ましくは0.02〜1μm、特には0.05〜1.0μmが好ましい。高分子粒子の平均粒子径が0.01μm未満になるとフイルムの滑り性が不十分となり、また2.0μm以上になると耐摩耗性が不十分となる。
【0022】
本発明における高分子粒子は粒度分布がそろっていると、フイルム表面に突起がより均一に形成され、かつ粗大粒子の混入も少なくなるため、滑り性および耐摩耗性がより良好となる。具体的には高分子粒子の平均粒子径の粒度分布の相対標準偏差が0.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.3以下、特には0.15以下が好ましい。
【0023】
本発明における高分子粒子の含有量は、ポリエステルに対して0.005〜3.0重量%であり、好ましくは0.01〜2.0重量%、特には0.05〜1.0重量%が好ましい。含有量が0.005重量%未満ではフイルムの滑り性が十分でなく、3.0重量%を越えると耐摩耗性が十分でなくなるため好ましくない。
【0024】
本発明の高分子粒子はビニル系ポリマ、シリコ−ン樹脂、不飽和ポリエステル系ポリマ、ポリアミド系ポリマ、ポリイミド系ポリマ、ポリアミドイミド系ポリマなどが挙げられ特に限定されないが、比較的粒度分布のシャ−プな粒子が得られやすく、水酸基やあるいは式(1)の構造単位を導入しやすいビニル系架橋高分子粒子が好ましい。
【0025】
ビニル系架橋高分子粒子は分子中に唯一個の脂肪族の不飽和結合を有するモノビニル化合物(P)と、架橋成分として分子中に2個以上の脂肪族の不飽和結合を有する化合物(Q)との共重合体である。
【0026】
上記化合物Pの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、フルオロスチレン、ビニルピリジン、エチルビニルベンゼンなどの芳香族モノビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアルキレート、ヘキサデシルアクリレート、オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、アクリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのようなメタクリル酸エステル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸及びジカルボン酸の酸無水物、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド系化合物を使用することができる。
【0027】
化合物Qの例としてはジビニルベンゼン化合物、あるいはトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、あるいはエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレートなどの多価アクリレート及び多価メタクリレートが挙げられる。
【0028】
ここで、例えばP成分および/またはQ成分の少なくとも一部に水酸基や式(1)で示される構成単位を有するモノマあるいは低重合体を使用することによって、本発明の高分子粒子を得ることができる。なかでも化合物Qの少なくとも一部に、1分子内に2個以上のグリシジル基を有する化合物Aに不飽和一塩基酸Bを付加して得られる化合物を用いる方法は、効率的に式(1)の構造単位を導入できるので好ましい。
【0029】
ここで化合物Aとしては、レゾルシンジグリシジルエ−テル、ハイドロキノンジグリシジルエ−テル、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジメタノ−ルジグリシジルエ−テル、シクロヘキセンジグリシジルエ−テル、シクロヘキサンジエンジグリシジルエステル、シクロヘキサンジエンジグリシジルエ−テルなどの単環式化合物、ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル、水添ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テルなどの多環式化合物を挙げることができる。とくに骨格にベンゼン環、シクロヘキサン環あるいはビスフェノ−ルA単位を有する化合物を用いると得られる粒子の耐熱性が良好となり好ましい。
【0030】
また、化合物Bとしてはアクリル酸、メタクリル酸およびこれらの誘導体などを挙げることができる。このとき式(1)の構成単位は粒子合成反応時に、化合物Aのグリシジル基と化合物Bのカルボキシル基との縮合反応によって形成される。さらにこうして得られたジグリシジルジアクリレ−ト成分を架橋成分として化合物Qの少なくとも一部として使用し、スチレン等の化合物Pと共重合させることによって本発明の高分子粒子を得ることができる。
【0031】
ビニル系架橋高分子粒子の組成として好ましいものを例示すると、スチレン/レゾルシンジグリシジルエ−テルジアクリレ−ト共重合体、スチレン/シクロヘキサンジメタノ−ルジグリシジルエ−テルジアクリレ−ト共重合体、スチレン/シクロヘキセンジグリシジルエ−テルジアクリレ−ト共重合体、スチレン/シクロヘキサンジエンジグリシジルエステルジアクリレ−ト共重合体、スチレン/ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テルジアクリレ−ト共重合体、スチレン/ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テルジメタクリレ−ト共重合体などを挙げることができる。
【0032】
粒子の構成成分として水酸基や式(1)、式(2)などの構造が含まれることを確認する方法としては種々の方法が挙げられ特に限定されないが、例えば粒子を水酸基を含有しない溶媒に溶解したのちアセチル化し、消費されたアセチル化剤の量から求める方法、あるいは粒子を直接IRで分析し、3400cm−1または3600〜3700cm−1の水酸基に帰属される吸収強度から求める方法、粒子を熱分解し発生する分解ガスをガスクロマトグラフィ−で分離後、質量分析を行なうなどが挙げられ、これら従来既知の方法を単独あるいは組合せて行なうことによって粒子組成を確認することができる。
【0033】
ビニル系架橋高分子粒子の場合、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法など種々の方法で製造することができるが、粒度分布がシャ−プでまた細かい粒子を得る目的で乳化重合法を好ましく採用することができる。
【0034】
乳化重合法としては、例えば次のような方法が挙げられる。
【0035】
(a)ソープフリー重合法、すなわち乳化剤を使用しないか、あるいは極めて少量の乳化剤を使用して重合する方法。
【0036】
(b)乳化重合に先だって重合系内へ重合体粒子を添加しておいて、乳化重合させるシード重合法。
【0037】
(c)単量体成分の一部を乳化重合させ、その重合系内で、残りの単量体を重合させるコアーシェル重合法。
【0038】
(d)特開昭54−97582号公報に示されているユーゲルスタット等による重合法。
【0039】
(e)(d)の方法において膨潤助剤を用いない重合法。
【0040】
また本発明の高分子粒子は粒子全体が均一でなくとも水酸基や式(1)の構成単位を含有する層を最外層に有する多層粒子であってもよい。この場合、あらかじめ核となる粒子を合成しておき、その後、水酸基や式(1)の構成単位を含有するモノマを粒子重合系に添加することによって核粒子を成長させ外層部を形成させる方法などをとることができる。このようなコア/シェル型の粒子とすると、予めコアとなる核粒子を別工程にて製造しておくことができるため、製造工程全体の時間短縮を図ることができる。また、コア部分は直接ポリエステルと接触する部分が無いかまたは少ないため、有機化合物以外に無機化合物でも使用することができる。特に無機粒子を用いると、粒子全体として耐熱性に優れ、また硬い粒子を得ることができる点で好ましい。
【0041】
ここで核となる粒子の大きさは特に限定されないが0.005〜0.5μmであることが好ましく、また最終的に得られる多層高分子粒子全体の体積に占める核粒子の体積の割合が90%以下であることが好ましく、さらには50%以下、特には20%以下であると、最外層を形成する高分子とポリエステルの親和性が十分発現し好ましい。
【0042】
核となる粒子は水酸基や式(1)の構造を有していなくてもよく、従来公知の粒子を使用することができる。具体的な組成としてはポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメチルメタクリレ−ト、ホルムアルデヒド樹脂、フェノ−ル樹脂、架橋ポリスチレン、シリコ−ン樹脂など種々の有機粒子、あるいはコロイダルシリカ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、カオリン、タルクなどの無機粒子を使用することができるが、耐熱性が高くかつ粒度分布の均一な粒子が得られやすい架橋ポリスチレン等のビニル系架橋高分子粒子あるいはコロイダルシリカが特に好ましい。
【0043】
本発明の目的とする耐摩耗性の効果を十分に発現させるためにはコアシェル粒子の場合、シェル部の厚さが0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.05μm以上である。多層粒子の各層の厚さは該粒子を含有するポリエステルチップから超薄切片を切り出し、丁度、切出面が粒子の大円と一致するものを透過型電子顕微鏡によって観察することにより測定できる。各層の電子線に対する透過率に差がなく層界面が判別しにくい場合には染色などの方法を併用して観察できる。
【0044】
本発明の高分子粒子は、熱天秤による熱分解温度(10%減量温度、窒素気流中、昇温速度10℃/min)が350℃以上の耐熱性を有する粒子が,ポリエステル組成物の製造時、溶融成形時あるいは成形品の回収再利用時に粒子が凝集してフイルムの表面均一性、耐摩耗性などを疎外することがないので好ましい。より好ましくは360℃以上、特には370℃以上が好ましい。
【0045】
このような耐熱性を得るためには、高分子粒子の組成にもよるが、高分子粒子の架橋度、すなわち高分子粒子の構成成分全体に対する架橋成分の重量百分率が50%を越えることが好ましく、特に好ましくは60%以上である。
【0046】
またさらに粒子の密度とマトリクスとなるポリエステルとの密度差が式(3)に表される範囲にあると、溶融保持時の粒子の沈降あるいは浮上による粒子濃度の粗密が少なくなり好ましく、より好ましくは密度差が0.3g/cm以内である。式中、DPは高分子粒子の密度、DMはマトリックスであるポリエステルの密度をあらわす。
【0047】
|DP−DM|≦0.5(g/cm) …式(3)
【0048】
また、フイルムとする際にも同様に式(4)に表される範囲にあると、粒子濃度の粗密が少なくなり好ましく、より好ましくは密度差が0.3g/cm以内である。式中、DFはフイルムの密度をあらわす。
【0049】
|DP−DF|≦0.5(g/cm) …式(4)
【0050】
本発明のポリエステル組成物は、通常のポリエステル製造時、例えばエステル交換法による場合のエステル交換反応中あるいは重合反応中の任意の時期、あるいは直接重合法による場合の任意の時期に、本発明の高分子粒子を粉体あるいはグリコ―ルスラリの形態で添加する方法や、粉体あるいは低沸点溶媒を用いたスラリの形態でポリエステルに練り込む方法をとることが可能である。特に粒子の水および/または沸点200℃以下の有機化合物スラリの形態でポリエステルに練り込む方法が粒子の分散性が良好となり好ましい。この際には脱気のためのベント式押出機を用いるとさらに好ましい。ベント式押出機としては特に2軸押出機が混練性に優れるため好ましい。
【0051】
有機高分子粒子スラリには、公知の界面活性剤、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物塩などのアニオン系界面活性剤、ポリオキシノニルフェノ−ルエ−テル、ポリエチレングリコ−ルモノステアレ−ト、ソルビタンモノステアレ−トなどの非イオン性界面活性剤、あるいはポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコ−ルなどの水溶性の合成高分子、ゼラチン、デンプン等の水溶性の天然高分子、カルボキシメチルセルロ−スなどの水溶性の半合成高分子などを添加するとスラリ中の粒子分散性およびポリエステル組成物とした時の粒子分散性が良好となり好ましい。
【0052】
また本発明におけるポリエステル組成物あるいはフイルムには、本発明の効果を妨げない範囲において、高分子粒子以外の以下に述べる粒子Aおよび/または粒子Bを併用することができる。このときの粒子Aとしては、体積平均粒径が0.005〜1.0μmの粒子であることが、耐摩耗性、走行安定性、表面均一性等の点から好ましく、0.01〜0.5μmであることがより好ましい。また、粒子Aは、耐摩耗性、表面均一性等の点から高分子粒子よりも0.1μm以上小さいことが好ましい。また粒子Aは比表面積が10m/g以上、モ−ス硬度6以上であると耐摩耗性が良好となり好ましい。
【0053】
粒子Aの含有量としてはポリエステルに対し0.005〜3.0wt%であることが耐摩耗性、表面均一性等の点から好ましく、0.01〜2.0wt%であることがより好ましい。このような粒子Aとしては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、スピネル、酸化鉄などが挙げられる。これらの粒子の中でも酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムがポリエステルとの親和性、耐摩耗性、分散安定性等の点から特に好ましい。
【0054】
一方、粒子Bとしては、、体積平均粒子径が0.05〜2.0μmであることが走行安定性、表面均一性等の点から好ましい。また、粒子Bと高分子粒子との体積平均粒径の差が0.1μm以上であることが走行安定性、表面均一性等の点から好ましく、さらには0.2μm以上であると走行安定性の点で特に好ましい。特に粒子Bの粒子径は高分子粒子より大きいことが好ましい。また粒子Bはモ−ス硬度4未満であると耐摩耗性が良好となり好ましい。
【0055】
粒子Bの含有量としては0.005〜0.3wt%であることが走行安定性、表面均一性等の点から好ましい。このような粒子Bとしては、例えば、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫化亜鉛などの無機粒子が挙げられ、これらの中でも炭酸カルシウムがポリエステルとの親和性、表面均一性、分散安定性等の点から特に好ましい。
【0056】
さらに、上記した種々の粒子以外にも、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一種とリンを構成成分の一部とするポリエステル重合反応系内で析出してくる粒子すなわち内部粒子を含有しても良い。
【0057】
また、もちろん本発明における高分子粒子を2種以上併用してもよい。
【0058】
無機粒子または内部粒子と本発明の高分子粒子を同時に含有したポリエステルフイルムを製造する方法としては、例えばポリエステルの反応系あるいは反応後の再溶融混練時に複数種の粒子を添加して得られるポリエステル組成物を製膜しても構わないし、別々にポリマに配合したマスタチップを製膜前あるいは製膜時にチップブレンドし溶融混練する方法をとっても構わない。
【0059】
本発明のポリエステル組成物からなるフイルムは、単層、積層どちらのフイルムにも適用できるが、表面平坦性の点からは、本発明のポリエステル組成物からなるフイルムを少なくとも1層に積層しているフイルムが好ましい。また積層フイルムが3層以上の構造であるとより好ましく、特には本発明のポリエステル組成物からなるフイルムが3層構造からなる積層フイルムの少なくとも1つの最外層であることが好ましい。
【0060】
このとき、積層フイルムを3層とし両方の最表層に本願発明の高分子粒子を含有すると走行性、ダビング性の点から好ましく、ここで中心層及び/または最表層に上記した内部析出型粒子をもちいると、特に走行性が良好となり好ましい。さらに、中心層の少なくとも一部にフイルム製造工程で発生する回収ポリマを用いるとコストダウンの点で好ましい。
【0061】
また、耐摩耗性の点から特に好ましいのは、本発明のポリエステル組成物からなるフイルムが最表層に配置され、そのフィルム層厚さtと、有機高分子粒子の平均粒子径Dの関係が、0.2D≦t≦10D、好ましくは0.5D≦t≦5D、特に好ましくは0.5D≦t≦3Dの場合であって、その最外層の厚さが0.005〜3μmであることが好ましく、より好ましくは0.01〜2μm、特には0.01〜1μmが好ましい。
【0062】
またこのフィルムは、耐摩耗性の点から、少なくとも片面の突起個数が2×10〜1×10個/mmであることが好ましい。好ましくは3×10〜5×10個/mm、特には5×10〜4×10個/mmが好ましい。
【0063】
また特に高弾性率が要求される用途、極薄用途などにおいては式(5)を満たすフイルムであるとフイルムのステフィネスが良好となり好ましい。
【0064】
F5MD+F5TD≧30kg/mm …式(5)
ここでF5は5%伸長時における弾性率を示し、F5MDはフイルムの長手方向のF5値、F5TDは幅方向のF5値である。
【0065】
次に本発明のポリエステル組成物からなるフイルムの製造方法について積層フイルムの場合を例にとって説明する。
【0066】
本発明における有機高分子粒子および必要に応じて他の粒子を所定量含有するペレットを乾燥したのち、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。積層フイルムの場合、2台以上の押出し機、2層以上のマニホールドまたは合流ブロックを用いて、溶融状態のポリエステルを積層する。この場合、粒子を含有する流路に、スタティックミキサー、ギヤポンプを設置する方法を用いてもよい。
【0067】
次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法を用いることができる。ただし、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行なう逐次二軸延伸法を用い、長手方向の延伸を3段階以上に分けて、縦延伸温度80℃〜160℃、総縦延伸倍率3.0〜7.0倍、縦延伸速度は5000〜50000%/分の範囲が好ましい。幅方向の延伸方法としてはステンタを用いる方法が好ましく、延伸温度は80〜160℃、幅方向延伸倍率は縦倍率より大きく3.0〜7.0倍、幅方向の延伸速度は1000〜20000%/分の範囲が好ましい。
【0068】
次にこの延伸フィルムを熱処理する。この場合の熱処理温度は170〜220℃で時間は0.5〜60秒の範囲が好適である。
【0069】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。なお得られたフイルムの各特性値は次の方法に従って求めた。
【0070】
(1)平均粒子径
原則としてポリエステル組成物またはフイルム中の粒子を直接測定するが、粒子とポリマの屈折率が接近し観察し難い場合や、無機粒子を併用し区別が繁雑となる場合などにはポリエステルに添加する前の粉体あるいはスラリ−から求めた。
【0071】
(A)粉体またはスラリ−から測定する場合
電子顕微鏡の試料台にできるだけ粒子が重ならないように載せ、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡で1万〜10万倍の倍率で粒子を観察した。走査型電子顕微鏡の場合には、あらかじめ試料表面にスパッタ装置で層厚み200オングストロ−ム程度の白金蒸着膜を形成させた。画面あるいは写真像から少なくとも200個の粒子の粒子径を面積相当径として測定し、面積相当径から計算される個々の粒子の体積をもとに体積基準の平均粒子径を計算した。
【0072】
(B)フイルムから測定する場合
フィルムを製膜時の長手方向(MD方向)にカッティングして約0.1μm厚みの超薄切片を作製し、TD方向(フイルム面内でMDと直角の方向)から、透過型電子顕微鏡で断面を1万〜10万倍の倍率で観察した。画面あるいは写真像から少なくとも200個の粒子の粒子径を面積相当径として測定し、面積相当径から計算される個々の粒子の体積をもとに体積基準の平均粒子径を計算した。
【0073】
(2)粒子の含有量
フイルム原料であるポリエステルへの粒子配合量から計算するか、あるいは得られたポリエステル組成物またはフイルムを粒子は溶解しない溶媒で溶解し、ポリマから遠心分離して得られた粒子のフイルム重量全体に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とした。
【0074】
(3)粒子の熱分解温度
測定に供する粒子試料を予め25℃で24時間真空乾燥し、付着水分、低揮発成分を除去しておく。次に熱天秤を用いて窒素気流中、昇温速度10℃/minの条件で測定を行い10%減量時の温度を熱分解温度とした。
【0075】
(4)密度
式(3)、(4)におけるフイルムと含有粒子の密度はそれぞれ次の測定方法で求めた。
【0076】
(A)含有粒子の密度
JIS−Z−8807に基づき測定した。
【0077】
(B)ポリマ及びフイルムの密度
四塩化炭素とn−ヘプタンからなる密度勾配管を用いて25℃にて測定した。
【0078】
(5)積層フィルムの積層厚み
2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層から深さ3000nmの範囲のフィルム中の粒子のうち最も高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素の濃度比(M/C)を粒子濃度とし、表面から深さ3000nmまでの厚さ方向の分析を行なう。表層では表面という界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明のフィルムの場合は、一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/2となる深さ(この深さは極大値となる深さよりも深い)を求め、これを積層厚みとした。条件は次の通り。
【0079】
▲1▼測定装置
2次イオン質分析装置(SIMS)独、ATOMIKA社製A−DIDA3000
▲2▼測定条件
1次イオン種 O
1次イオン加速電圧 12kV
1次イオン電流 200nA
ラスター領域 400μm□
分析領域 ゲート30%
測定真空度 6.0×10−9 Torr
E−GUN 0.5kV−3.0A
なお、表層から深さ3000nmの範囲に最も多く含有する粒子が有機高分子粒子の場合は、SIMSでは測定が難しいので、表層からエッチングしながらXPS(X線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様のデプスプロファイルを測定し積層厚みを求めても良いし、また、電子顕微鏡等による断面観察で粒子濃度の変化状態やポリマの違いによるコントラストの差から界面を認識し積層厚みを求めることもできる。さらに積層ポリマを剥離後、薄膜段差測定機を用いて積層厚みを求めることもできる。
【0080】
(6)フイルム表面の突起個数
2検出器方式走査型電子顕微鏡ESM−3200(エリオニクス(株)社製)と断面測定装置PMS−1(エリオニクス(株)社製)においてフイルム表面の平坦面の高さを0として走査した時の突起高さ測定値を画像処理装置IBAS2000(カールツァイス(株)社製)に送り、画像処理装置上にフイルム表面突起画像を再構築する。次にこの表面突起画像で突起部分を2値化して得られた個々の突起部分のなかで最も高い値をその突起の高さとし、これを個々の突起について求める。この測定を場所を変えて500回繰り返し、20nm以上の高さのものを突起とし、突起個数を求めた。走査型電子顕微鏡の倍率は1000〜8000倍の間を選択した。なお、場合によっては高精度光干渉式3次元表面解析装置TOPO−3D(WYKO社製)により、対物レンズ40〜200倍および高解像度カメラを使用して得られる観察結果を上記走査型電子顕微鏡のデータに置き換えて求めてもよい。
【0081】
(7)フイルムのF5値
ASTM D882−83に準じてフイルム5%伸張時の初期単位断面積当りの応力を求めた。
【0082】
(8)フイルムの滑り性
フィルム幅1.27cmにスリットし、テープ走行性試験機TBT−300型[(株)横浜システム研究所製]を使用し、20℃、60%RH雰囲気で走行させ、初期の摩擦係数μkを下式より求めた。なお、ガイド径は6mmφであり、ガイド材質はSUS27(表面粗度0.2S)、巻き付け角は180°、走行速度は3.3cm/秒である。
【0083】
μk=0.733×log(T1 /T2 )
T1 :出側張力
T2 :入側張力
上記μkが0.35以下であるものは滑り性良好である。
【0084】
(9)フイルムの耐摩耗性▲1▼(低速走行時の耐摩耗性)
フィルム幅1.27cmにスリットしたテープ状ロールを、ステンレス鋼SUS−27製ガイドロールに巻き付け角90°、走行速度3.3cm/秒、張力90gで走行させた。この時、延べ走行距離10m後にガイドロール表面に発生する白粉量によって次のようにランク付けした。A、B級のものを合格とした。
【0085】
A級…白粉発生まったくなし
B級…白粉発生少量あり
C級…白粉発生やや多量あり
D級…白粉発生多量あり
【0086】
(10)フイルムの耐摩耗性▲2▼(高速走行時の耐摩耗性)
フィルム幅1.27cmにスリットしたテープ状ロールを、ステンレス鋼SUS−304製ガイドロールに巻き付け角60°、走行速度350m/分、張力90gで走行させた。この時、延べ走行距離1000m後にフイルムに入った傷を顕微鏡で観察し次のようにランク付けした。A、B級のものを合格とした。
【0087】
A級…幅1μm以上の傷がテ−プ幅あたり2本未満
B級…幅1μm以上の傷がテ−プ幅あたり2本以上10本未満
C級…幅1μm以上の傷がテ−プ幅あたり10本以上20本未満
D級…幅1μm以上の傷がテ−プ幅あたり20本以上
【0088】
実施例1
ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル250部、メタクリル酸50部、ヒドロキノン0.5部、ジメチルベンジルアミン1.0部を反応させビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テルジメタクリレ−トを得た。これをスチレンモノマ300部と混合した後、脱塩水600部の過硫酸カリウム1部、ラウリル硫酸ナトリウム1部を加え、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら70℃に昇温し7時間重合を行なった。反応率は99%、得られた高分子粒子は平均粒子径0.5μm、粒度分布の相対標準偏差0.13、熱分解温度370℃であった。
【0089】
固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートチップをベントタイプ二軸押出機を使用して該ポリマーチップを溶融状態とし、先に合成した高分子粒子(スチレン/ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テルジメタクリレ−ト共重合体粒子)の水スラリ−を添加し、有機高分子粒子を含有するポリエチレンテレフタレ−ト(I)を得た。一方、公知の方法で粒子を含有しない極限粘度0.62のポリエチレンテレフタレート(II)を得た。
【0090】
(I)および(II)の2つのポリマを減圧乾燥した後、押出機1、押出機2にポリマ(I)、(II)をそれぞれ供給、溶融し、高精度濾過した後、矩形合流部にて3層積層とした(積層構成:ポリマ(I)/ポリマ(II)/ポリマ(I))。
【0091】
これを静電印加キャスト法を用いてキャスティング・ドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この未延伸フィルムを長手方向に4.5倍、幅方向に5.5倍延伸、熱処理し、総厚さ15μmの二軸配向積層フィルムを得た。
【0092】
製膜に供したペレットの粒子濃度から、得られたフイルムの積層部に含有されている有機高分子粒子は0.3重量%であった。また積層厚みは両積層部とも1μmであった。
【0093】
このフイルムのμkは0.28、低速走行時及び高速走行時の耐摩耗性のいずれもA級であり、滑り性及び種々の耐摩耗性の全てに良好な特性が得られた。
【0094】
なお本実施例で使用した有機高分子粒子の構造は次のようにして同定した。すなわち、粒子の一部を乾燥後、FT−IRで赤外吸収スペクトルを調べたところ、3000〜2900cm−1の吸収(ベンゼン環のC−Hに帰属)からスチレン、3460cm−1(O−H)、1608、1510cm−1(ベンゼン環のC=C)、1247、1041cm−1(芳香族エ−テル結合)などの吸収からビスフェノ−ルA系エポキシ樹脂、1727cm−1の吸収(C=O)からエステル系化合物を確認した。
【0095】
また粒子の熱分解時の発生ガス成分ついてガスクロマトグラフィ/質量分析を行い、分子量104(スチレン)、208(スチレンのダイマ)、312(スチレンのトリマ)、86(メタクリル酸)、228(ビスフェノ−ルA)、94、134、240、268(ビスフェノ−ルAエポキシ樹脂の分解生成物)を検出した。
【0096】
さらに粒子をソックスレ−抽出したのち1H−NMR分析し、7.1,6.8ppm(ベンゼン環のプロトンに帰属)、1.6ppm(メチル基)、1.5ppm(CH,CH)などビスフェノ−ルAおよびスチレン骨格を確認した。
【0097】
これらの分析結果を総合し高分子粒子がスチレン/ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テルジメタクリレ−ト共重合体粒子であることが確認された。
【0098】
実施例2〜、比較例1〜4
実施例1と同様にして、含有する高分子粒子の組成、粒子径、含有量、積層条件あるいはマトリックスのポリマをポリエチレン−2,6−ナフタレートに変える以外は同様にしてフィルムを作成した。表1〜表5に示すように本発明に規定する範囲のポリエステルフィルムは滑り性、耐摩耗性および巻き特性のすべてに良好な特性が得られたが、そうでないものはいずれかの特性が不十分であった。
【0099】
【表1】
Figure 0003629822
【表2】
Figure 0003629822
【表3】
Figure 0003629822
【表4】
Figure 0003629822
【表5】
Figure 0003629822
【0100】
なお、表中の略記号は以下の通りである。
【0101】
PET…ポリエチレンテレフタレ−ト
PEN…ポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト
A1…スチレン/ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テルジメタクリレ−ト共重合体粒子
A2…スチレン/レゾルシンジグリシジルエ−テルジアクリレ−ト共重合体粒子
A3…スチレン/シクロヘキサンジメタノ−ルジグリシジルエ−テルジアクリレ−ト共重合体粒子
A4 コア層 …スチレン/ジビニルベンゼン共重合体粒子
シェル層…スチレン/ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テルジメタクリレ−ト共重合体(厚さ0.1μm)
A5…スチレン/エチレングリコ−ルジグリシジルエ−テルジメタクリレ−ト共重合体粒子
A6…スチレン/ジビニルベンゼン共重合体粒子
A7…スチレン/モノエチレングリ−コルアクリレ−ト/ジビニルベンゼン共重合体粒子
A8…スチレン/エチレングリ−コルジメタクリレ−ト共重合体粒子
B1 …炭酸カルシウム粒子
B2 …コロイダルシリカ粒子
*4μm積層側に有機高分子粒子を含有。
【0102】
【発明の効果】
本発明のポリエステル組成物は、フィルム等にしたとき、滑り性、低速及び高速走行時の耐摩耗性に優れ磁気記録媒体用途などに好適に使用できる。

Claims (14)

  1. 水酸基を有する平均粒子径0.005〜2.0μmの高分子粒子を含有し、かつこの高分子粒子が水酸基の少なくとも一部を架橋部に有する架橋高分子粒子であるポリエステル組成物。
  2. 水酸基を有する高分子成分を最外層に配した、平均粒子径0.005〜2.0μmの多層高分子粒子を含有する、請求項1に記載のポリエステル組成物。
  3. 前記高分子粒子が、式(1)の構造単位を有する請求項1または2に記載のポリエステル組成物。
    Figure 0003629822
  4. 前記高分子粒子が、式(2)の構造単位を有する請求項3記載のポリエステル組成物。
    Figure 0003629822
  5. 水酸基の含有量が粒子1gあたり1×10-5mol以上5×10-2mol以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリエステル組成物。
  6. 前記高分子粒子の少なくとも一部が一分子内に水酸基及び不飽和一塩基酸残基を有する化合物からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のポリエステル組成物。
  7. 前記高分子粒子が、1分子内に2個以上のグリシジル基を有する化合物Aに不飽和一塩基酸Bを付加して得られうる化合物と、一分子内に少なくとも1個のビニル基を有する化合物Cとの共重合体を主成分とする粒子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のポリエステル組成物。
  8. 前記化合物Aが少なくとも1つの単環式構造単位を有することを特徴とする請求項7記載のポリエステル組成物。
  9. 前記化合物Aが少なくとも1つの多環式構造単位を有することを特徴とする請求項7または8に記載のポリエステル組成物。
  10. 前記高分子粒子の密度(DP)とポリエステルの密度(DM)の関係が式(3)を満足することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
    |DP−DM|≦0.5(g/cm3) ・・・式(3)
  11. 請求項1〜10のいずれか1項記載のポリエステル組成物からなり、前記高分子粒子を0.005〜3.0重量%含有し、かつ、前記高分子粒子の密度(DP)とフイルムの密度(DF)の関係が式(4)を満足することを特徴とするフィルム。
    |DP−DF|≦0.5(g/cm3) ・・・式(4)
  12. 請求項11に記載のフイルムを少なくとも1層に配置してなる積層フイルム。
  13. 前記高分子粒子を含有する層において前記高分子粒子の平均粒径D(nm)と該粒子を含有する最表層の厚さt(nm)の関係が式(6)を満足することを特徴とする請求項12に記載の積層フイルム。
    0.2D≦t≦10D ・・・式(6)
  14. フイルムが磁気記録媒体用であることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のフイルムまたは積層フイルム。
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