JP3629325B2 - 試料温度制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱分析装置の試料のように一定の温度変化速度を維持して試料を昇温したり降温したりする場合の試料温度制御方法に関し、特に冷媒を気化した低温ガスで試料を冷却する場合の試料温度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
試料を室温より低い温度に冷却する方法として、液体窒素を気化した低温ガスで試料を冷却する方法がある。この場合に、液体窒素容器内に設けたヒータを加熱することにより気化量を調節して低温ガスの流量を調節し、もって試料冷却能力を調節することが可能である。図7はこのような試料冷却方法における温度変化曲線(以下、冷却曲線という。)を示す。例えば50℃から試料を冷却する場合に、液体窒素加熱ヒータに大きな電力W3を供給すると試料温度は急激に下がり、それより小さい電力W2を供給すると試料温度はゆるやかに下がり、もっと小さい電力W1にすると試料温度はもっとゆるやかになる。
【0003】
熱分析装置において試料を冷却する場合には、温度プログラム曲線10のように降温速度を一定にして冷却するのが普通であるが、液体窒素からの低温ガスによる冷却では、このような精密な制御は不可能である。したがって、低温ガスによる冷却に加えて、試料加熱ヒータによるフィードバック制御を併用している。
【0004】
ところで、低温ガスと試料加熱ヒータとを併用して、温度プログラム曲線10に沿って試料温度を制御する場合には、液体窒素加熱ヒータへの供給電力をある程度大きくすることによって試料冷却能力を十分確保しなければならない。この点を以下に説明する。図7において、50℃から−100℃まで試料を冷却する場合に、液体窒素加熱ヒータの電力をW1にすると冷却能力不足となる。電力をW2にすると、最初は、温度プログラム曲線10の傾きよりも、電力W2による冷却曲線の傾きの方が大きくて、十分な冷却能力を有する。しかし、温度が下がるにつれて電力W2による冷却曲線の傾きが小さくなっていって、Tc付近まで試料温度が下がると、電力W2による冷却曲線の傾きが温度プログラム曲線10の傾きに等しくなる。そして、Tcよりも試料温度が低くなると冷却能力不足になる。電力をW3にすれば、−100℃に至るまで、電力W3による冷却曲線の傾きが温度プログラム曲線10の傾きよりも大きくなって、十分な試料冷却能力を備えることになる。この場合には、試料加熱ヒータの併用により温度プログラム曲線10に沿った温度制御が可能になる。
【0005】
したがって、液体窒素加熱ヒータに供給する電力は十分大きなものにする必要がある。しかし、この電力をあまり大きくすると、温度プログラム曲線10に沿ってフィードバック制御するために試料加熱ヒータに供給する電力の方も大きくしなければならず、液体窒素加熱ヒータと試料加熱ヒータに供給する電力がどちらも大きくなって、電力が無駄になる。さらに、液体窒素の消費量も無駄になる。
【0006】
そこで、液体窒素加熱ヒータの電力を適切な値にする方法として、特開平2−105046号公報(以下、従来技術文献という。)に開示された温度制御方法が知られている。この従来技術文献では、液体窒素を気化した低温ガスと試料加熱ヒータとを併用して試料を冷却する方法において、液体窒素加熱ヒータに供給する電力を決定するために予備実験を利用している。すなわち、液体窒素加熱ヒータに一定電力を供給して所定時間後の試料到達温度を測定し、電力と試料到達温度との関係を複数の電力についてあらかじめ実験的に求めている。このような予備実験をしておけば、室温より低い目標温度を温度プログラム信号として設定する場合に、この目標温度に対応する供給電力を上記予備実験結果から求めることができ、この電力を液体窒素加熱ヒータに供給すればよい。そうすれば、所定時間後に試料温度は目標温度まで下がることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術文献の試料温度制御方法は、室温より低い目標温度が決まると、これに対応する液体窒素加熱ヒータの供給電力が一つだけ定まり、この供給電力で液体窒素加熱ヒータを加熱して低温ガスを試料室に導入している。しかし、この方法は、次のような欠点がある。
【0008】
図8は従来技術文献に開示されている試料温度制御方法の一例を図示したものである。予備実験において、液体窒素加熱ヒータの供給電力を100Wにして、試料を室温(例えば20℃)から冷却すると、30分後に試料温度が−90℃になる。そのときの冷却曲線12は図示のようになる。そして、電力の値を変えて同様な実験を実施し、電力と到達試料温度との関係を求める。この予備実験では試料加熱ヒータは用いない。次に、実際の熱分析測定において、室温より低い一定値(例えば−90℃)を温度プログラム信号Tpとして設定すると、この目標値(−90℃)に対応する電力(100W)を液体窒素加熱ヒータに供給すれば、30分後に目標の試料温度まで冷却される、と従来技術文献では説明されている。
【0009】
しかしながら、熱分析測定で一般に使われる温度プログラムでは、試料温度を等速昇温または降温させている。例えば室温(20℃)から−90℃までを30分間で冷却するには、毎分約3.7℃だけ温度が下がるような一定の降温速度の温度プログラム曲線14に沿って冷却するのが普通である。この定速降温の温度プログラム曲線14に沿って試料を冷却するには、試料を低温ガスで冷却すると共に、試料加熱ヒータで試料を加熱して、試料温度が温度プログラム曲線14に一致するように試料加熱ヒータの電力をフィードバック制御する必要がある。ところが、従来技術文献に従って液体窒素加熱ヒータに100Wの電力を供給すると、冷却途中で冷却能力不足に陥る。例えば試料温度が−70℃の場合を考えると、液体窒素加熱ヒータに100Wを供給したときの冷却曲線12上のA点での傾き(すなわち降温速度)の絶対値は、温度プログラム曲線14の降温速度の絶対値よりも小さくなる。したがって、温度プログラム曲線14上のB点の位置から液体窒素加熱ヒータ電力が100Wのままで試料を冷却しても、そこからの冷却曲線16は温度プログラム曲線14から離れることになり、冷却能力不足となる。
【0010】
結局、従来技術文献に開示されているような方法、すなわち、液体窒素加熱ヒータの電力と所定時間後の到達試料温度との関係に基づいて一つの電力を決定する方法では、等速降温プログラムに沿った試料温度制御は不可能であることが分かる。
【0011】
この発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、液化冷媒を気化した低温ガスで試料を冷却して試料温度を制御する方法において、液化冷媒を気化させるヒータの電力を最適化して、電力消費と冷媒消費量とを最小にする試料温度制御方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、液化冷媒を気化した低温ガスで試料を冷却する際の降温速度は、冷媒加熱ヒータの電力に依存するだけでなくて、その時点の試料温度にも依存する、という観点から、試料の冷却中に、そのときの試料温度に応じて冷媒加熱ヒータの電力を随時変更することによって、冷媒加熱ヒータの電力の最適化を図ることを見出したものである。すなわち、この発明は、液化冷媒を冷媒加熱ヒータで加熱気化させて低温ガスを発生させ、この低温ガスで試料を冷却するとともに、試料加熱ヒータを用いて試料温度をフィードバック制御する試料温度制御方法において、次の(イ)〜(ハ)の予備段階を経てから、(ニ)の制御段階を実施することを特徴としている。(イ)前記試料加熱ヒータで試料を加熱することなく、前記冷媒加熱ヒータに一定の電力を供給して前記低温ガスで試料を冷却し、そのときの経過時間と試料温度との関係を示す曲線(以下、定電力冷却曲線という。)を測定する段階。(ロ)前記一定の電力の値を変更して、複数の前記定電力冷却曲線を得る段階。(ハ)複数の前記定電力冷却曲線において、試料温度とその温度での温度変化速度との対応関係を求める段階。(ニ)所定の温度プログラムに従って試料温度をフィードバック制御する場合に、前記対応関係に基づいて、目標の温度変化速度を達成するのに適した冷媒加熱ヒータ電力を、試料温度の変化につれて変更していく段階。
【0013】
本発明によれば、目標の温度変化速度になるように試料温度を制御する最中に、そのときの試料温度に応じて最適な電力が冷媒加熱ヒータに供給されるので、冷媒加熱ヒータの電力が必要かつ十分なものとなる。これにより、冷媒加熱ヒータと試料加熱ヒータの供給電力が必要最小限で済む。また、液化冷媒の消費量も最小限で済む。
【0014】
実際の温度制御では、定電力冷却曲線における試料温度と温度変化速度との対応関係に基づいて、目標の温度変化速度に対応した理想的な電力をそのまま冷媒加熱ヒータに供給すると、試料加熱ヒータによるフィードバック制御が機能しないおそれがある。すなわち、理想的な電力では、試料加熱ヒータを使うことなしに試料温度がちょうど温度プログラム曲線に沿って変化するわけであるから、実際の試料温度が温度プログラム曲線よりもわずかに高くなったときには、試料加熱ヒータによるフィードバック制御が効かなくなる。したがって、理想的な電力よりも一定割合(例えば、5〜20%程度)だけ大きな電力を冷媒加熱ヒータに供給すれば、低温ガスによる降温速度は温度プログラム曲線の降温速度よりも常にわずかに大きくなり、試料加熱ヒータに常に少しの電力を供給した状態でフィードバック制御が有効に機能することになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の試料温度制御方法を適用する熱分析装置の一例の構成図である。この熱分析装置は示差走査熱量計の例であり、円筒状の試料室20の内部に円筒状の炉体22が配置されている。試料室20の内部空間は円筒状の隔壁24で区切られていて、この隔壁24と試料室20の内壁面との間の環状空間26内に低温ガスが導入されるようになっている。隔壁24の高さ方向中央部の内壁面には炉体22の外周面が密着している。炉体22の内壁に固定された均熱板の上にはサンプル容器とリファレンス容器とが載っている。炉体22には試料加熱ヒータ28が埋め込まれている。試料温度は熱電対30で測定される。試料加熱ヒータ28と熱電対30は試料温度制御装置32に接続されている。
【0016】
液体窒素容器34の内部には液体窒素36が収容されている。また、液体窒素容器34の内部には液体窒素加熱ヒータ38が配置されている。この液体窒素加熱ヒータ38に液体窒素加熱ヒータ電源39から電力を供給すると、ヒータ38が加熱されて液体窒素36の気化が促進され、低温ガスの発生量が増加する。液体窒素容器34の上方には低温ガス配管40が接続されていて、この低温ガス配管40は試料室20の環状空間26につながっている。低温ガス配管40から試料室20の環状空間26に入った低温ガスは、環状空間26を満たして隔壁24及び炉体22を冷却し、出口42から出て行く。
【0017】
図2は、液体窒素加熱ヒータに一定の電力を供給したときの試料冷却曲線(以下、定電力冷却曲線という。)を模式的に示すグラフである。横軸が時間、縦軸が試料温度である。この定電力冷却曲線を測定するには試料加熱ヒータは使わない。このグラフでは液体窒素加熱ヒータに3種類の電力W1、W2、W3を供給している。電力の大小関係はW1<W2<W3である。試料の初期温度を室温よりも高い温度THとした場合に、この状態から大きな電力W3を液体窒素加熱ヒータに供給して試料を冷却すると、試料温度は実線で示すように低下し、飽和温度TSに徐々に近づいていく。各試料温度で定電力冷却曲線の傾きを測定すれば、それがその試料温度での降温速度となる。例えば、電力W3の冷却曲線において、試料温度T1のときに定電力冷却曲線の傾き(負の値となり、降温速度となる。)はV1となる。そして、試料温度が低くなるほど定電力冷却曲線の傾きの絶対値は小さくなっていく。
【0018】
次に、同じ初期温度THから、W3よりも小さな電力W2で冷却すると、定電力冷却曲線は破線で示すようになり、降温速度の絶対値はW3の場合よりも小さくなる。飽和温度も高くなる。さらに小さな電力W1にすると降温速度の絶対値がさらに小さくなリ、飽和温度もさらに高くなる。
【0019】
次に、試料の初期温度を室温よりもかなり低い温度TL(厳密には、液体窒素加熱ヒータの電力に対応した飽和温度TSよりも低い温度)にして、低温ガスで試料を冷却すると、今度は、試料温度は飽和温度TSに近づくように上昇する。大きな電力W3の場合は、飽和温度TSは比較的低く、低温の初期温度TLからの定電力冷却曲線は実線に示すように昇温速度は小さくなる。例えば、試料温度T2のときには定電力冷却曲線の傾き(正の値となり、昇温速度となる。)はV2となる。そして、試料温度が上昇するにつれて定電力冷却曲線の傾きの絶対値は小さくなっていく。W3よりも小さい電力W2にすると、飽和温度は大きくなり、初期温度TLからの定電力冷却曲線は破線に示すようになり、昇温速度は大きくなる。さらに小さい電力W1にすると、昇温速度はさらに大きくなる。なお、低い初期温度TLからの定電力冷却曲線は、上述のように、試料を低温ガスで冷却しているにもかかわらず周囲温度が初期温度TLよりも高いがゆえに試料温度が上昇していくことになる。このように試料温度が上昇する曲線であっても、低温ガスで試料を冷却しているときの温度曲線の意味で、定電力「冷却」曲線と呼ぶことにする。
【0020】
図3は、図2の定電力冷却曲線において、試料温度とそのときの温度変化速度との関係を、液体窒素加熱ヒータの供給電力をパラメータとして、模式的に示したグラフである。このグラフを得るには、例えば図2の電力W3の定電力冷却曲線で説明すると、温度T1のときに温度変化速度V1が得られ、これを図3の座標軸上にプロットし、また、温度T2のときには温度変化速度V2が得られ、これを同様にプロットし、というように、適当な試料温度間隔で温度変化速度の値をプロットして、これらを結べばよい。なお、温度変化速度が負のときは降温速度になり、正のときは昇温速度になる。電力W2、W1についても同様にして試料温度・温度変化速度の対応関係のグラフが得られる。このグラフから分かるように、低温ガスで試料を冷却するときに、試料の温度変化速度は、液体窒素加熱ヒータの供給電力と試料温度の両者に依存する。なお、図3のグラフは、各電力についてそれぞれ直線となるように描かれているが、原理的に直線になる訳ではない。実験的に、ほぼ直線で近似できただけのことである。この試料温度・温度変化速度の対応関係のグラフは曲線になっても構わない。
【0021】
図4は、試料温度と温度変化速度の対応関係の実測例のグラフである。横軸が定電力冷却曲線上の試料温度であり、縦軸がその試料温度のときの温度変化速度である。パラメータとして液体窒素加熱ヒータの供給電力をとってある。実験で用いた電力は、0W、20W、80W、180W、320W、500Wの6種類である。このグラフから分かるように、試料温度を例えば毎分5℃ずつ低下させるには(すなわち温度変化速度を毎分−5℃にするには)、試料温度が0℃付近では液体窒素加熱ヒータの電力を20Wと80Wの間にし、−50℃付近では80Wと180Wの間に、−100℃付近では180Wと320Wの間にする必要がある。そして、ちょうど目標の降温速度にするための理想的な電力を求めるには、各電力のグラフをもとにして補間演算すればよい。
【0022】
図5は熱分析装置における試料の温度プログラム曲線の一例を示したものである。この例では、室温20℃から一定の昇温速度で試料を50℃まで加熱して、所定時間保持し、その後、一定の降温速度で試料を−100℃まで冷却している。そして、−100℃で所定時間保持した後、一定の昇温速度で室温20℃まで戻している。この温度プログラム曲線において、50℃から−100℃まで冷却するときの温度制御、及び、−100℃から室温に戻すまでの温度制御では、低温ガスによる試料の冷却を利用できる。
【0023】
まず、試料を低温まで毎分−5℃の一定の降温速度で冷却する場合を考えると、液体窒素加熱ヒータの電力は図6のグラフに示すようになる。このグラフにおいて、階段状のグラフは、6種類の電力のいずれかを選択して試料を冷却する場合の例である。すなわち、各試料温度において毎分−5℃の降温速度が得られるような最低電力を上述の6種類の電力の中から選択したものである。例えば、試料温度が−40℃付近までは80Wの電力を液体窒素加熱ヒータに供給し、−80℃付近までは180Wの電力を供給し、といった具合である。一方、曲線44は、毎分−5℃の降温速度が得られるような理想的な電力を補間演算によって求めたグラフである。この曲線44に基づいて、試料温度に応じて液体窒素加熱ヒータ電力を変更していくと、試料温度が下がるにつれて電力が連続的に増加していくことになり、試料温度はほぼ目標の降温速度で低下していくことになる。
【0024】
曲線46は、理想の電力曲線44よりも10%大きい電力曲線である。実際の試料温度制御ではこの補正電力曲線46を用いるのが好ましい。試料を一定の降温速度で冷却するには試料加熱ヒータを併用して試料温度をフィードバック制御する必要があるが、このフィードバック制御を可能にするには、理想的な電力曲線44よりもある程度大きな冷却能力にする必要があるからである。
【0025】
降温速度を毎分−5℃から別の値に変更すれば、図6の電力曲線のグラフも変更する必要がある。そして、そのときの電力曲線のグラフは、図4の試料温度・温度変化速度のグラフから求めることができる。実際には、降温速度の数値ごとに、図6に相当する補正電力曲線46をあらかじめ求めておき、これを図1の試料温度制御装置32に記憶しておく。そして、試料温度制御の最中に、降温速度と試料温度とに基づいて最適な電力を求めて、これを液体窒素加熱ヒータに供給すればよい。
【0026】
次に、試料を低温から室温まで一定の昇温速度で戻す場合について説明すると、ゆるやかな昇温速度であれば、図4のグラフから得られるような電力を液体窒素加熱ヒータに供給する。これに対して、もし、図4の「0W」の温度変化速度のグラフよりも大きな昇温速度を必要とする場合には、低温ガスを使わずに、試料加熱ヒータだけを用いて試料を昇温すればよい。
【0027】
この発明は上述の実施形態に限定されず、次のような変更が可能である。(1)図1では示差走査熱量計の例を示したが、本発明はこれ以外の熱分析装置における試料温度制御方法にも適用できるし、熱分析以外の試料の温度制御にも適用できる。(2)液化冷媒としては液体窒素が最適であるが、これ以外の液化冷媒を用いても構わない。
【0028】
【発明の効果】
この発明の試料温度制御方法は、目標の温度変化速度を得るに当たって、冷媒加熱ヒータに供給する電力を試料温度に応じて随時変更していくので、冷媒加熱ヒータの電力が必要かつ十分なものとなリ、冷媒加熱ヒータと試料加熱ヒータの供給電力が必要最小限で済む。また、液化冷媒の消費量も最小限で済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の試料温度制御方法を適用する熱分析装置の一例の構成図である。
【図2】液体窒素加熱ヒータに一定の電力を供給したときの定電力冷却曲線を示すグラフである。
【図3】図2の定電力冷却曲線における試料温度と温度変化速度との対応関係を示したグラフである。
【図4】試料温度と温度変化速度との対応関係の実測例のグラフである。
【図5】試料の温度プログラム曲線の一例を示すグラフである。
【図6】試料温度に応じて供給すべき液体窒素加熱ヒータ電力のグラフである。
【図7】定電力冷却曲線と温度プログラム曲線とを示すグラフである。
【図8】従来技術文献に開示されている試料温度制御方法の一例を図示したグラフである。
【符号の説明】
20 試料室
22 炉体
24 隔壁
26 環状空間
28 試料加熱ヒータ
30 熱電対
32 試料温度制御装置
34 液体窒素容器
36 液体窒素
38 液体窒素加熱ヒータ
39 液体窒素加熱ヒータ電源
40 低温ガス配管
42 出口

Claims (5)

  1. 液化冷媒を冷媒加熱ヒータで加熱気化させて低温ガスを発生させ、この低温ガスで試料を冷却するとともに、試料加熱ヒータを用いて試料温度をフィードバック制御する試料温度制御方法において、次の(イ)〜(ハ)の予備段階を経てから、(ニ)の制御段階を実施することを特徴とする試料温度制御方法。
    (イ)前記試料加熱ヒータで試料を加熱することなく、前記冷媒加熱ヒータに一定の電力を供給して前記低温ガスで試料を冷却し、そのときの経過時間と試料温度との関係を示す曲線(以下、定電力冷却曲線という。)を測定する段階。
    (ロ)前記一定の電力の値を変更して、複数の前記定電力冷却曲線を得る段階。
    (ハ)複数の前記定電力冷却曲線において、試料温度とその温度での温度変化速度との対応関係を求める段階。
    (ニ)所定の温度プログラムに従って試料温度をフィードバック制御する場合に、前記対応関係に基づいて、目標の温度変化速度を達成するのに適した冷媒加熱ヒータ電力を、試料温度の変化につれて変更していく段階。
  2. 前記(ニ)の段階において、前記冷媒加熱ヒータ電力を、前記対応関係に基づいて定まる電力よりも一定割合だけ大きくすることを特徴とする請求項1記載の試料温度制御方法。
  3. 液化冷媒を冷媒加熱ヒータで加熱気化させて低温ガスを発生させ、この低温ガスで試料を冷却するとともに、試料加熱ヒータを用いて試料温度をフィードバック制御する試料温度制御方法において、
    目標の温度変化速度を達成するために、試料温度の制御中において、試料温度に応じて前記冷媒加熱ヒータの供給電力を変更することを特徴とする試料温度制御方法。
  4. 試料温度に応じて、前記冷媒加熱ヒータの供給電力を、複数の離散的な電力値の中から選択することを特徴とする請求項3記載の試料温度制御方法。
  5. 試料温度に応じて、前記冷媒加熱ヒータの供給電力を連続的に変化させることを特徴とする請求項3記載の試料温度制御方法。
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