JPH09196871A - 試料温度制御方法 - Google Patents

試料温度制御方法

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JPH09196871A
JPH09196871A JP8020632A JP2063296A JPH09196871A JP H09196871 A JPH09196871 A JP H09196871A JP 8020632 A JP8020632 A JP 8020632A JP 2063296 A JP2063296 A JP 2063296A JP H09196871 A JPH09196871 A JP H09196871A
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隆雄 板倉
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貴 金谷
Kiyoshi Akiyama
皖史 秋山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液体窒素からの低温ガスによる冷却と試料加
熱ヒータによる加熱とを併用して所定の降温速度で試料
を冷却する場合に、液体窒素加熱ヒータに供給する電力
を試料温度に応じて随時変更することにより、液体窒素
加熱ヒータの電力を必要かつ十分なものとする。 【解決手段】 試料を一定の降温速度で冷却する場合
に、試料温度に応じて、80W、180Wなどの、複数
の離散的な電力値の中から必要な電力を選択する。ある
いは、所定の降温速度が得られるように理想的な電力を
補間演算によって求めて、この理想電力曲線44に基づ
いて、試料温度に応じて液体窒素加熱ヒータ電力を変更
する。さらに、試料加熱ヒータによるフィードバック制
御のためには、理想電力曲線44よりも10%程度大き
な補正電力曲線46を用いることも好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、熱分析装置の試
料のように一定の温度変化速度を維持して試料を昇温し
たり降温したりする場合の試料温度制御方法に関し、特
に冷媒を気化した低温ガスで試料を冷却する場合の試料
温度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】試料を室温より低い温度に冷却する方法
として、液体窒素を気化した低温ガスで試料を冷却する
方法がある。この場合に、液体窒素容器内に設けたヒー
タを加熱することにより気化量を調節して低温ガスの流
量を調節し、もって試料冷却能力を調節することが可能
である。図7はこのような試料冷却方法における温度変
化曲線(以下、冷却曲線という。)を示す。例えば50
℃から試料を冷却する場合に、液体窒素加熱ヒータに大
きな電力W3を供給すると試料温度は急激に下がり、そ
れより小さい電力W2を供給すると試料温度はゆるやか
に下がり、もっと小さい電力W1にすると試料温度はも
っとゆるやかになる。
【0003】熱分析装置において試料を冷却する場合に
は、温度プログラム曲線10のように降温速度を一定に
して冷却するのが普通であるが、液体窒素からの低温ガ
スによる冷却では、このような精密な制御は不可能であ
る。したがって、低温ガスによる冷却に加えて、試料加
熱ヒータによるフィードバック制御を併用している。
【0004】ところで、低温ガスと試料加熱ヒータとを
併用して、温度プログラム曲線10に沿って試料温度を
制御する場合には、液体窒素加熱ヒータへの供給電力を
ある程度大きくすることによって試料冷却能力を十分確
保しなければならない。この点を以下に説明する。図7
において、50℃から−100℃まで試料を冷却する場
合に、液体窒素加熱ヒータの電力をW1にすると冷却能
力不足となる。電力をW2にすると、最初は、温度プロ
グラム曲線10の傾きよりも、電力W2による冷却曲線
の傾きの方が大きくて、十分な冷却能力を有する。しか
し、温度が下がるにつれて電力W2による冷却曲線の傾
きが小さくなっていって、Tc付近まで試料温度が下が
ると、電力W2による冷却曲線の傾きが温度プログラム
曲線10の傾きに等しくなる。そして、Tcよりも試料
温度が低くなると冷却能力不足になる。電力をW3にす
れば、−100℃に至るまで、電力W3による冷却曲線
の傾きが温度プログラム曲線10の傾きよりも大きくな
って、十分な試料冷却能力を備えることになる。この場
合には、試料加熱ヒータの併用により温度プログラム曲
線10に沿った温度制御が可能になる。
【0005】したがって、液体窒素加熱ヒータに供給す
る電力は十分大きなものにする必要がある。しかし、こ
の電力をあまり大きくすると、温度プログラム曲線10
に沿ってフィードバック制御するために試料加熱ヒータ
に供給する電力の方も大きくしなければならず、液体窒
素加熱ヒータと試料加熱ヒータに供給する電力がどちら
も大きくなって、電力が無駄になる。さらに、液体窒素
の消費量も無駄になる。
【0006】そこで、液体窒素加熱ヒータの電力を適切
な値にする方法として、特開平2−105046号公報
(以下、従来技術文献という。)に開示された温度制御
方法が知られている。この従来技術文献では、液体窒素
を気化した低温ガスと試料加熱ヒータとを併用して試料
を冷却する方法において、液体窒素加熱ヒータに供給す
る電力を決定するために予備実験を利用している。すな
わち、液体窒素加熱ヒータに一定電力を供給して所定時
間後の試料到達温度を測定し、電力と試料到達温度との
関係を複数の電力についてあらかじめ実験的に求めてい
る。このような予備実験をしておけば、室温より低い目
標温度を温度プログラム信号として設定する場合に、こ
の目標温度に対応する供給電力を上記予備実験結果から
求めることができ、この電力を液体窒素加熱ヒータに供
給すればよい。そうすれば、所定時間後に試料温度は目
標温度まで下がることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術文献
の試料温度制御方法は、室温より低い目標温度が決まる
と、これに対応する液体窒素加熱ヒータの供給電力が一
つだけ定まり、この供給電力で液体窒素加熱ヒータを加
熱して低温ガスを試料室に導入している。しかし、この
方法は、次のような欠点がある。
【0008】図8は従来技術文献に開示されている試料
温度制御方法の一例を図示したものである。予備実験に
おいて、液体窒素加熱ヒータの供給電力を100Wにし
て、試料を室温(例えば20℃)から冷却すると、30
分後に試料温度が−90℃になる。そのときの冷却曲線
12は図示のようになる。そして、電力の値を変えて同
様な実験を実施し、電力と到達試料温度との関係を求め
る。この予備実験では試料加熱ヒータは用いない。次
に、実際の熱分析測定において、室温より低い一定値
(例えば−90℃)を温度プログラム信号Tpとして設
定すると、この目標値(−90℃)に対応する電力(1
00W)を液体窒素加熱ヒータに供給すれば、30分後
に目標の試料温度まで冷却される、と従来技術文献では
説明されている。
【0009】しかしながら、熱分析測定で一般に使われ
る温度プログラムでは、試料温度を等速昇温または降温
させている。例えば室温(20℃)から−90℃までを
30分間で冷却するには、毎分約3.7℃だけ温度が下
がるような一定の降温速度の温度プログラム曲線14に
沿って冷却するのが普通である。この定速降温の温度プ
ログラム曲線14に沿って試料を冷却するには、試料を
低温ガスで冷却すると共に、試料加熱ヒータで試料を加
熱して、試料温度が温度プログラム曲線14に一致する
ように試料加熱ヒータの電力をフィードバック制御する
必要がある。ところが、従来技術文献に従って液体窒素
加熱ヒータに100Wの電力を供給すると、冷却途中で
冷却能力不足に陥る。例えば試料温度が−70℃の場合
を考えると、液体窒素加熱ヒータに100Wを供給した
ときの冷却曲線12上のA点での傾き(すなわち降温速
度)の絶対値は、温度プログラム曲線14の降温速度の
絶対値よりも小さくなる。したがって、温度プログラム
曲線14上のB点の位置から液体窒素加熱ヒータ電力が
100Wのままで試料を冷却しても、そこからの冷却曲
線16は温度プログラム曲線14から離れることにな
り、冷却能力不足となる。
【0010】結局、従来技術文献に開示されているよう
な方法、すなわち、液体窒素加熱ヒータの電力と所定時
間後の到達試料温度との関係に基づいて一つの電力を決
定する方法では、等速降温プログラムに沿った試料温度
制御は不可能であることが分かる。
【0011】この発明は上述の問題点を解決するために
なされたものであり、その目的は、液化冷媒を気化した
低温ガスで試料を冷却して試料温度を制御する方法にお
いて、液化冷媒を気化させるヒータの電力を最適化し
て、電力消費と冷媒消費量とを最小にする試料温度制御
方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者らは、液化冷媒を
気化した低温ガスで試料を冷却する際の降温速度は、冷
媒加熱ヒータの電力に依存するだけでなくて、その時点
の試料温度にも依存する、という観点から、試料の冷却
中に、そのときの試料温度に応じて冷媒加熱ヒータの電
力を随時変更することによって、冷媒加熱ヒータの電力
の最適化を図ることを見出したものである。すなわち、
この発明は、液化冷媒を冷媒加熱ヒータで加熱気化させ
て低温ガスを発生させ、この低温ガスで試料を冷却する
とともに、試料加熱ヒータを用いて試料温度をフィード
バック制御する試料温度制御方法において、次の(イ)
〜(ハ)の予備段階を経てから、(ニ)の制御段階を実
施することを特徴としている。(イ)前記試料加熱ヒー
タで試料を加熱することなく、前記冷媒加熱ヒータに一
定の電力を供給して前記低温ガスで試料を冷却し、その
ときの経過時間と試料温度との関係を示す曲線(以下、
定電力冷却曲線という。)を測定する段階。(ロ)前記
一定の電力の値を変更して、複数の前記定電力冷却曲線
を得る段階。(ハ)複数の前記定電力冷却曲線におい
て、試料温度とその温度での温度変化速度との対応関係
を求める段階。(ニ)所定の温度プログラムに従って試
料温度をフィードバック制御する場合に、前記対応関係
に基づいて、目標の温度変化速度を達成するのに適した
冷媒加熱ヒータ電力を、試料温度の変化につれて変更し
ていく段階。
【0013】本発明によれば、目標の温度変化速度にな
るように試料温度を制御する最中に、そのときの試料温
度に応じて最適な電力が冷媒加熱ヒータに供給されるの
で、冷媒加熱ヒータの電力が必要かつ十分なものとな
る。これにより、冷媒加熱ヒータと試料加熱ヒータの供
給電力が必要最小限で済む。また、液化冷媒の消費量も
最小限で済む。
【0014】実際の温度制御では、定電力冷却曲線にお
ける試料温度と温度変化速度との対応関係に基づいて、
目標の温度変化速度に対応した理想的な電力をそのまま
冷媒加熱ヒータに供給すると、試料加熱ヒータによるフ
ィードバック制御が機能しないおそれがある。すなわ
ち、理想的な電力では、試料加熱ヒータを使うことなし
に試料温度がちょうど温度プログラム曲線に沿って変化
するわけであるから、実際の試料温度が温度プログラム
曲線よりもわずかに高くなったときには、試料加熱ヒー
タによるフィードバック制御が効かなくなる。したがっ
て、理想的な電力よりも一定割合(例えば、5〜20%
程度)だけ大きな電力を冷媒加熱ヒータに供給すれば、
低温ガスによる降温速度は温度プログラム曲線の降温速
度よりも常にわずかに大きくなり、試料加熱ヒータに常
に少しの電力を供給した状態でフィードバック制御が有
効に機能することになる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の試料温度制御
方法を適用する熱分析装置の一例の構成図である。この
熱分析装置は示差走査熱量計の例であり、円筒状の試料
室20の内部に円筒状の炉体22が配置されている。試
料室20の内部空間は円筒状の隔壁24で区切られてい
て、この隔壁24と試料室20の内壁面との間の環状空
間26内に低温ガスが導入されるようになっている。隔
壁24の高さ方向中央部の内壁面には炉体22の外周面
が密着している。炉体22の内壁に固定された均熱板の
上にはサンプル容器とリファレンス容器とが載ってい
る。炉体22には試料加熱ヒータ28が埋め込まれてい
る。試料温度は熱電対30で測定される。試料加熱ヒー
タ28と熱電対30は試料温度制御装置32に接続され
ている。
【0016】液体窒素容器34の内部には液体窒素36
が収容されている。また、液体窒素容器34の内部には
液体窒素加熱ヒータ38が配置されている。この液体窒
素加熱ヒータ38に液体窒素加熱ヒータ電源39から電
力を供給すると、ヒータ38が加熱されて液体窒素36
の気化が促進され、低温ガスの発生量が増加する。液体
窒素容器34の上方には低温ガス配管40が接続されて
いて、この低温ガス配管40は試料室20の環状空間2
6につながっている。低温ガス配管40から試料室20
の環状空間26に入った低温ガスは、環状空間26を満
たして隔壁24及び炉体22を冷却し、出口42から出
て行く。
【0017】図2は、液体窒素加熱ヒータに一定の電力
を供給したときの試料冷却曲線(以下、定電力冷却曲線
という。)を模式的に示すグラフである。横軸が時間、
縦軸が試料温度である。この定電力冷却曲線を測定する
には試料加熱ヒータは使わない。このグラフでは液体窒
素加熱ヒータに3種類の電力W1、W2、W3を供給し
ている。電力の大小関係はW1<W2<W3である。試
料の初期温度を室温よりも高い温度THとした場合に、
この状態から大きな電力W3を液体窒素加熱ヒータに供
給して試料を冷却すると、試料温度は実線で示すように
低下し、飽和温度TSに徐々に近づいていく。各試料温
度で定電力冷却曲線の傾きを測定すれば、それがその試
料温度での降温速度となる。例えば、電力W3の冷却曲
線において、試料温度T1のときに定電力冷却曲線の傾
き(負の値となり、降温速度となる。)はV1となる。
そして、試料温度が低くなるほど定電力冷却曲線の傾き
の絶対値は小さくなっていく。
【0018】次に、同じ初期温度THから、W3よりも
小さな電力W2で冷却すると、定電力冷却曲線は破線で
示すようになり、降温速度の絶対値はW3の場合よりも
小さくなる。飽和温度も高くなる。さらに小さな電力W
1にすると降温速度の絶対値がさらに小さくなリ、飽和
温度もさらに高くなる。
【0019】次に、試料の初期温度を室温よりもかなり
低い温度TL(厳密には、液体窒素加熱ヒータの電力に
対応した飽和温度TSよりも低い温度)にして、低温ガ
スで試料を冷却すると、今度は、試料温度は飽和温度T
Sに近づくように上昇する。大きな電力W3の場合は、
飽和温度TSは比較的低く、低温の初期温度TLからの
定電力冷却曲線は実線に示すように昇温速度は小さくな
る。例えば、試料温度T2のときには定電力冷却曲線の
傾き(正の値となり、昇温速度となる。)はV2とな
る。そして、試料温度が上昇するにつれて定電力冷却曲
線の傾きの絶対値は小さくなっていく。W3よりも小さ
い電力W2にすると、飽和温度は大きくなり、初期温度
TLからの定電力冷却曲線は破線に示すようになり、昇
温速度は大きくなる。さらに小さい電力W1にすると、
昇温速度はさらに大きくなる。なお、低い初期温度TL
からの定電力冷却曲線は、上述のように、試料を低温ガ
スで冷却しているにもかかわらず周囲温度が初期温度T
Lよりも高いがゆえに試料温度が上昇していくことにな
る。このように試料温度が上昇する曲線であっても、低
温ガスで試料を冷却しているときの温度曲線の意味で、
定電力「冷却」曲線と呼ぶことにする。
【0020】図3は、図2の定電力冷却曲線において、
試料温度とそのときの温度変化速度との関係を、液体窒
素加熱ヒータの供給電力をパラメータとして、模式的に
示したグラフである。このグラフを得るには、例えば図
2の電力W3の定電力冷却曲線で説明すると、温度T1
のときに温度変化速度V1が得られ、これを図3の座標
軸上にプロットし、また、温度T2のときには温度変化
速度V2が得られ、これを同様にプロットし、というよ
うに、適当な試料温度間隔で温度変化速度の値をプロッ
トして、これらを結べばよい。なお、温度変化速度が負
のときは降温速度になり、正のときは昇温速度になる。
電力W2、W1についても同様にして試料温度・温度変
化速度の対応関係のグラフが得られる。このグラフから
分かるように、低温ガスで試料を冷却するときに、試料
の温度変化速度は、液体窒素加熱ヒータの供給電力と試
料温度の両者に依存する。なお、図3のグラフは、各電
力についてそれぞれ直線となるように描かれているが、
原理的に直線になる訳ではない。実験的に、ほぼ直線で
近似できただけのことである。この試料温度・温度変化
速度の対応関係のグラフは曲線になっても構わない。
【0021】図4は、試料温度と温度変化速度の対応関
係の実測例のグラフである。横軸が定電力冷却曲線上の
試料温度であり、縦軸がその試料温度のときの温度変化
速度である。パラメータとして液体窒素加熱ヒータの供
給電力をとってある。実験で用いた電力は、0W、20
W、80W、180W、320W、500Wの6種類で
ある。このグラフから分かるように、試料温度を例えば
毎分5℃ずつ低下させるには(すなわち温度変化速度を
毎分−5℃にするには)、試料温度が0℃付近では液体
窒素加熱ヒータの電力を20Wと80Wの間にし、−5
0℃付近では80Wと180Wの間に、−100℃付近
では180Wと320Wの間にする必要がある。そし
て、ちょうど目標の降温速度にするための理想的な電力
を求めるには、各電力のグラフをもとにして補間演算す
ればよい。
【0022】図5は熱分析装置における試料の温度プロ
グラム曲線の一例を示したものである。この例では、室
温20℃から一定の昇温速度で試料を50℃まで加熱し
て、所定時間保持し、その後、一定の降温速度で試料を
−100℃まで冷却している。そして、−100℃で所
定時間保持した後、一定の昇温速度で室温20℃まで戻
している。この温度プログラム曲線において、50℃か
ら−100℃まで冷却するときの温度制御、及び、−1
00℃から室温に戻すまでの温度制御では、低温ガスに
よる試料の冷却を利用できる。
【0023】まず、試料を低温まで毎分−5℃の一定の
降温速度で冷却する場合を考えると、液体窒素加熱ヒー
タの電力は図6のグラフに示すようになる。このグラフ
において、階段状のグラフは、6種類の電力のいずれか
を選択して試料を冷却する場合の例である。すなわち、
各試料温度において毎分−5℃の降温速度が得られるよ
うな最低電力を上述の6種類の電力の中から選択したも
のである。例えば、試料温度が−40℃付近までは80
Wの電力を液体窒素加熱ヒータに供給し、−80℃付近
までは180Wの電力を供給し、といった具合である。
一方、曲線44は、毎分−5℃の降温速度が得られるよ
うな理想的な電力を補間演算によって求めたグラフであ
る。この曲線44に基づいて、試料温度に応じて液体窒
素加熱ヒータ電力を変更していくと、試料温度が下がる
につれて電力が連続的に増加していくことになり、試料
温度はほぼ目標の降温速度で低下していくことになる。
【0024】曲線46は、理想の電力曲線44よりも1
0%大きい電力曲線である。実際の試料温度制御ではこ
の補正電力曲線46を用いるのが好ましい。試料を一定
の降温速度で冷却するには試料加熱ヒータを併用して試
料温度をフィードバック制御する必要があるが、このフ
ィードバック制御を可能にするには、理想的な電力曲線
44よりもある程度大きな冷却能力にする必要があるか
らである。
【0025】降温速度を毎分−5℃から別の値に変更す
れば、図6の電力曲線のグラフも変更する必要がある。
そして、そのときの電力曲線のグラフは、図4の試料温
度・温度変化速度のグラフから求めることができる。実
際には、降温速度の数値ごとに、図6に相当する補正電
力曲線46をあらかじめ求めておき、これを図1の試料
温度制御装置32に記憶しておく。そして、試料温度制
御の最中に、降温速度と試料温度とに基づいて最適な電
力を求めて、これを液体窒素加熱ヒータに供給すればよ
い。
【0026】次に、試料を低温から室温まで一定の昇温
速度で戻す場合について説明すると、ゆるやかな昇温速
度であれば、図4のグラフから得られるような電力を液
体窒素加熱ヒータに供給する。これに対して、もし、図
4の「0W」の温度変化速度のグラフよりも大きな昇温
速度を必要とする場合には、低温ガスを使わずに、試料
加熱ヒータだけを用いて試料を昇温すればよい。
【0027】この発明は上述の実施形態に限定されず、
次のような変更が可能である。(1)図1では示差走査
熱量計の例を示したが、本発明はこれ以外の熱分析装置
における試料温度制御方法にも適用できるし、熱分析以
外の試料の温度制御にも適用できる。(2)液化冷媒と
しては液体窒素が最適であるが、これ以外の液化冷媒を
用いても構わない。
【0028】
【発明の効果】この発明の試料温度制御方法は、目標の
温度変化速度を得るに当たって、冷媒加熱ヒータに供給
する電力を試料温度に応じて随時変更していくので、冷
媒加熱ヒータの電力が必要かつ十分なものとなリ、冷媒
加熱ヒータと試料加熱ヒータの供給電力が必要最小限で
済む。また、液化冷媒の消費量も最小限で済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の試料温度制御方法を適用する熱分析
装置の一例の構成図である。
【図2】液体窒素加熱ヒータに一定の電力を供給したと
きの定電力冷却曲線を示すグラフである。
【図3】図2の定電力冷却曲線における試料温度と温度
変化速度との対応関係を示したグラフである。
【図4】試料温度と温度変化速度との対応関係の実測例
のグラフである。
【図5】試料の温度プログラム曲線の一例を示すグラフ
である。
【図6】試料温度に応じて供給すべき液体窒素加熱ヒー
タ電力のグラフである。
【図7】定電力冷却曲線と温度プログラム曲線とを示す
グラフである。
【図8】従来技術文献に開示されている試料温度制御方
法の一例を図示したグラフである。
【符号の説明】
20 試料室 22 炉体 24 隔壁 26 環状空間 28 試料加熱ヒータ 30 熱電対 32 試料温度制御装置 34 液体窒素容器 36 液体窒素 38 液体窒素加熱ヒータ 39 液体窒素加熱ヒータ電源 40 低温ガス配管 42 出口

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液化冷媒を冷媒加熱ヒータで加熱気化さ
    せて低温ガスを発生させ、この低温ガスで試料を冷却す
    るとともに、試料加熱ヒータを用いて試料温度をフィー
    ドバック制御する試料温度制御方法において、次の
    (イ)〜(ハ)の予備段階を経てから、(ニ)の制御段
    階を実施することを特徴とする試料温度制御方法。 (イ)前記試料加熱ヒータで試料を加熱することなく、
    前記冷媒加熱ヒータに一定の電力を供給して前記低温ガ
    スで試料を冷却し、そのときの経過時間と試料温度との
    関係を示す曲線(以下、定電力冷却曲線という。)を測
    定する段階。 (ロ)前記一定の電力の値を変更して、複数の前記定電
    力冷却曲線を得る段階。 (ハ)複数の前記定電力冷却曲線において、試料温度と
    その温度での温度変化速度との対応関係を求める段階。 (ニ)所定の温度プログラムに従って試料温度をフィー
    ドバック制御する場合に、前記対応関係に基づいて、目
    標の温度変化速度を達成するのに適した冷媒加熱ヒータ
    電力を、試料温度の変化につれて変更していく段階。
  2. 【請求項2】 前記(ニ)の段階において、前記冷媒加
    熱ヒータ電力を、前記対応関係に基づいて定まる電力よ
    りも一定割合だけ大きくすることを特徴とする請求項1
    記載の試料温度制御方法。
  3. 【請求項3】 液化冷媒を冷媒加熱ヒータで加熱気化さ
    せて低温ガスを発生させ、この低温ガスで試料を冷却す
    るとともに、試料加熱ヒータを用いて試料温度をフィー
    ドバック制御する試料温度制御方法において、 目標の温度変化速度を達成するために、試料温度の制御
    中において、試料温度に応じて前記冷媒加熱ヒータの供
    給電力を変更することを特徴とする試料温度制御方法。
  4. 【請求項4】 試料温度に応じて、前記冷媒加熱ヒータ
    の供給電力を、複数の離散的な電力値の中から選択する
    ことを特徴とする請求項3記載の試料温度制御方法。
  5. 【請求項5】 試料温度に応じて、前記冷媒加熱ヒータ
    の供給電力を連続的に変化させることを特徴とする請求
    項3記載の試料温度制御方法。
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