JP3628476B2 - 合成樹脂線撚り線のコイル状ケーブルハンガー - Google Patents

合成樹脂線撚り線のコイル状ケーブルハンガー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有線テレビをはじめとした通信ケーブルや、電力ケーブルの市中配線工事等に、従来から使われている金属製Uハンガーまたはラッシングロッドを代替して、工事の合理化、効率化を図れるコイル状の連続ケーブルハンガーとして、合成樹脂線撚り線のコイル状ケーブルハンガーを提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
従来、有線テレビ等の通信ケーブル等を市中配線(延線作業)する場合、まず電柱に硬鋼線撚り線のメッセンジャーワイヤーを張り渡し、ケーブルはそれに沿わせて、50〜60cm間隔で金属製U型ケーブルハンガーで吊り止めしている。または別のケーブルハンガーとして、長さ70cm程度のラッシングロッド(樹脂被覆鋼線製螺施体)で、ケーブルとメッセンジャーワイヤーをラッシングロッドの螺旋で巻き廻して一束化している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこれらの作業は高所作業車を使って人手で一つ一つ止めていかねばならず、作業者の安全性や、作業性の点で大きな問題になっている。
本発明は、従来のU型ケーブルハンガー、ラッシングロッドに代わって、作業効率の良い延線作業が可能になる、コイル状の連続ケーブルハンガー(以下単にコイルハンガーという)を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるケーブルハンガーは、押出延伸加工された飽和ポリエステル樹脂線の撚り線を素線としてコイル状に形成されたものであり、また、コイルを引き伸ばして延線作業を行う際、コイルが回転して作業効率を阻害することがないようにする構成が用いられている。すなわち、素線の撚りとコイルの巻き方向の関係は、素線がS撚りの素線である場合にはコイルの巻き方向を左巻きとし、素線がZ撚りの素線である場合にはコイルの巻き方向を右巻きとしたものであると共に、素線の撚りピッチ当該コイルのばね指数に対する比(撚りピッチ(単位 mm)/ばね指数)で2倍ないし4倍としたことが特徴であり、場合によっては、素線の中心に金属を撚り込んでもよい。
【0005】
【実施の態様】
コイルハンガーの具体的な使用方法としては、まず最初に電柱間にメッセンジャーワイヤーを架線する時点で、予めその電柱間に見合った長さのコイルハンガーを準備し、その中を通して、メッセンジャーワイヤーを架線しておく。次に、コイルハンガーの一端を片方の電柱近くでメッセンジャーワイヤーに固定した後、他端を引っ張ってコイルを広げて、他方の電柱近くで固定する。最後に、あらかじめコイルハンガーに通しておいたリードロープ等でケーブルを引き込む。ケーブルの引き込みは、10スパン位を一度に行えるので、いっぺんに数100mのケーブル延線作業が完了する。
【0006】
リードロープに関しては、メッセンジャーワイヤーを架線する時点で、メッセンジャーワイヤーと一緒にコイルハンガーの中を通して置いても良いし、コイルハンガーを広げるときに、引き延ばす方のコイルの端にリードロープの先端を結び付けて置いて、コイルを広げるときに一緒にコイルハンガーの中に引き込んでも良い。
また、ケーブルの引き込みについては、コイルハンガーを広げるときにコイル端とケーブルの先端を一緒にして、予めコイルハンガーに通してあるリードロープに結び付けて引っ張れぱケーブルの架線が一気に完了する。または、コイルハンガーを広げる前に、ケーブルをメッセンジャーワイヤーに沿わせて仮に架線しておき、後からコイルハンガーを広げても良い。
このような作業性改善により作業効率が格段に上がり、さらに作業車が長時間道路を占有してしまうことに依る、交通渋滞の緩和にも寄与する。
【0007】
次に、本発明のコイルハンガーについて、まず素線となる合成樹脂線撚り線の製造方法、次にコイルの製造方法について説明する。
本発明の合成樹脂線撚り線の素材としては、押出延伸成形加工された飽和ポリエステル樹脂線が用いられる。飽和ポリエステル樹脂としてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレナフタレート(PEN)等の延伸性と熱固定性のある飽和ポリエステル樹脂が用いられる。これらの樹脂は熱可塑性樹脂の中では耐候性の良い樹脂であり、さらに延伸加工と、耐候性安定剤の配合により長時間の屋外使用に耐える。
これらの飽和ポリエステル樹脂を、押出機先端のダイのノズルから溶融押出し、押し出された線条を、一旦冷却後に一軸に加熱延伸してボビンに巻き取る。
【0008】
次に、ボビンをストランダー(ロープ撚り機)ないしは篭型撚線機等に取り付け、一定の繰り出し速度、旋回数、旋回方向で引き出した複数の線材を撚り合わせることにより製造できる。飽和ポリエステル樹脂線は塑性変形性が有るため、とくに熱をかけなくても撚り線状に加工できる。
素線の中心に細い金属線を撚り込むには、篭型撚線機の心線用ボビンをステンレス細線などの金属線にするだけで簡単に構成を変えられる。
【0009】
ついで、例えば旋盤の様に回転できる装置に芯金を取り付け、回転させた芯金に撚り線を素線がS撚りの場合は巻方向が左巻き、または素線がZ撚りの場合は巻方向が右巻きに密着巻きして一列に密着巻きする。その際移動可能なガイドによって撚り材はパイプに対して一定の角度に供給できるようにしておく。続いて、コイルの両端を固定した状態で芯金ごと熱風加熱槽中で加熱した後、水冷して形状を固定化し、芯金を外してコイルハンガーを作成する。
ここで、押出延伸加工された飽和ポリエステル樹脂線は加熱すると熱収縮する性質があるので、撚り線にして緊張状態で加熱すると、撚り線を構成する線条断面は互いに密着するように変形する。具体的には3本撚り線では図3、4の様に各線は互いに密着した状態になる。また中心に金属線が入った場合は加熱前の図5、7から加熱後には図6、8の様になる。
【0010】
本発明のコイル状ケーブルハンガーは、飽和ポリエステル樹脂線の撚り線を素線として、ケーブルハンガーとして架設する際に容易に引き伸ばしうる程度のコイルとして製作される。例えば素線径6mm(3mm×3本撚り)、コイル径82mm(したがって、ばね指数は 82mm/ mm=13.67 、素線の撚りピッチ40mm(すなわち、ばね指数に対する比は 40mm/13.67=2.9 倍)の3本撚り線状S撚り左巻きコイルハンガーを用いて、それをピッチ150mmに引き伸ばすと内径60mmの螺旋になる。その時のコイルを広げるのに要する力は、2kgf前後なので人手で簡単に引き伸ばすことが出来る。また、ケーブルの重さはCATV用同軸ケーブルの場合、被覆外径12.7mmの12Cケーブルでも0.22kg/mと軽いので、コイルハンガーの耐重性は全く問題ない。
つぎに、コイルハンガーにケーブルを引き込むときにかかる抵抗については、コイルハンガー内面は撚り線状のため接触面が小さく滑りやすく延線作業がしやすい。
【0011】
さらに本発明のコイルハンガーの使用態様はおおよそ図9に示すように、コイルの中にメッセンジャーワイヤーとケーブルが通っているが、コイルには隙間があり、例えばCATVケーブルの追加宅内配線の場合、従来のケーブルハンガーでは一旦ケーブルハンガーを外して追加配線する必要があったが、コイルハンガーの場合はこのコイルの隙間に追加ケーブルを送り込むことによって簡単に追加通線できるメリットがある。
ここで、万一何らかの理由でコイルハンガーが切断した場合、コイルハンガーが元の密着巻きに戻ってしまうと電柱間でケーブルが垂れ下がってしまうことが懸念される。しかし本発明のコイルハンガーは伸ばされたまま、長時間おかれるとひずみが緩和されて元の密着巻き状態に戻らなくなる。それ故、例えば事故で一個所切断してしまった時など、その途端にケーブルが大きく垂れ下がってしまう、というようなことはなく好都合である。
長時間屋外に設置した場合どのような変化があるかの確認のため、促進試験として、上記コイルハンガーをピッチ150mmに引き延ばして両端を固定し、200℃、1時間加熱し、冷却後に固定を外してみても、無加重の状態でピッチ130mm以下には縮まなかった。
【0012】
次に、コイルハンガーの素線を構成する線材の内、1ないし2本を他と色を変えることにより、ケーブルハンガーが縞模様を呈して、危険表示ないし注意表示になり、ケーブルの保護材を兼用させることもできる様になる。
具体的には、素線が3または7本撚り線の場合、撚りを構成する線材の内1ないし2本を黒にし、他を黄色にすることにより素線をゼブラ模様にして目立たせることができる。ケーブルハンガー自体が危険表示ないし注意表示になり、ケーブルの保護材を兼用することができる
市中配線のケーブルは、街路樹や庭の立木の枝の中を通さざるを得ない場合も多い。ケーブルは一般に黒い樹脂被覆線なので目立ちにくく、木の枝の切り落とし剪定時には細心の注意が必要である。本発明のゼブラ模様のケーブルハンガーでケーブルが吊られているとよく目立つため、剪定作業もしやすい。
【0013】
さらに、もし建物の火災などが発生し、その建物の近くをケーブルが走っていて炎がケーブルに迄及んでしまった場合、合成樹脂線撚り線だけで構成されているケーブルハンガーであれば溶融、さらには燃焼して切断してしまうおそれがある。ケーブルハンガーがなくなってしまうと、電柱間でケーブルが垂れ下がってしまうことになる。
そこで、撚り線の中心に、金属線を撚り込むことにより、合成樹脂線部分は燃えてしまっても、金属線は残り、ケーブルの垂れ下がりだけは防げる。
まず具体的に7本撚りの場合で心線だけを同径のステンレス線にした。心線は7本撚り線の真ん中を直線の状態で撚り込まれるので、合成樹脂線との曲げ硬さの差に関係なく、簡単に篭型撚り線機で製造できた。コイルへの加工も問題なく、ケーブルハンガーとしての形態安定性に関しても、ねじり応力は心線よりも周囲の線の撚りピッチと撚り方向に関係して来るので、特に変わりはなかった。
【0014】
3本撚り線の場合は、撚り線を構成する線材が例えば3mmのとき、3本の撚り線の中心には、0.46mmの線が入る空間ができる。従ってそこに心線を撚り込むことにより、素線の中心に金属線を撚り込んだコイルハンガーを作ることができる。ここで、押出延伸加工された飽和ポリエステル樹脂線は加熱すると熱収縮する性質があるので、撚り線にして緊張状態で加熱すると、撚り線を構成する線条断面は互いに密着するように変形する。具体的には中心に金属線が入った3本撚り線では加熱前の図5から加熱後は図6の様になる。従って、心線の太さはぴったり0.46mmである必要はなく撚り線を構成する線材のおよそ1/3以下であれば撚りムラのない、素線の中心に金属線を撚り込んだコイルハンガーを作ることができる。実際、3mm×3本撚り線の中心に0.6mmのステンレス細線を撚り込んでコイルを作ったところ素線断面は図6の様になった。
【0015】
【実施例】
より具体的に製造実施例を説明する極限粘度(IV値)1.02のポリエチレンテレフタレート樹脂を直径8mmの円形断面形状を有する押し出し機先端のノズルより溶解押出し、冷却水槽で冷却固化してφ6.7mmの未延伸線条体とし、これを熱風循環加熱延伸槽内に導き、素材表面温度90〜120℃に加熱して延伸倍率5.0倍に延伸し続いて冷却水槽内で水冷した後、ボビン巻き取り機に巻き取ることによりφ3mmの撚り線線材を得た。同様にして複数のボビンを用意した。
次に、そのボビン3本を、篭型撚線機に取り付け、引き取り速度5m/min.、旋回数125rpm、旋回方向右巻きに(すなわち、S撚りの方向に)旋回しながら引き出した線材を、続いて、旋盤に取り付けたφ76.2mmの鋼管パイプに左方向から左巻きに一列に密着巻きしてコイルとした。その際移動可能なガイドによって撚り線はパイプに対して直角に供給できるようにした。続いて次に、コイルの両端を固定した状態で鋼管芯パイプごと、温度150℃の熱風加熱槽中で30分過熱した後、水冷して形状を固定化してから、鋼管芯パイプを外しコイルを作成した。
コイルは、素線径6mm(3mm×3本撚り)、コイル径82mm、素線の撚りピッチ40mm(すなわち、ばね指数は 13.67 、ばね指数に対する撚りピッチの比は 2.9 の3本撚り線(S撚り)の左巻きコイルができた。
【0016】
【試験例】
ここで、具体的にコイルを引き延ばしたときのコイルピッチと引張張力について促進試験前後で比較した測定結果を下の表1に示す。
試料;3本撚り線状S撚り左巻きコイルハンガー
素線径6mm(3mm×3本撚り)、コイル径82mm、素線の撚りピッチ40mm
(ばね指数比2.9)
Figure 0003628476
【0017】
上記表1の上段から分かるように、コイルハンガーは密着巻き状態から広げていくに従い張力が大きくなっていく。そして通常使用範囲コイルピッチ150〜175mmを越えるとさらに急激に抵抗が大きくなる。この性質は、コイルハンガーを施工するとき及びその後のピッチムラ解消に大きく影響する。つまりコイルを張るときの張力が大きすぎると作業性上問題になるし、あまりに小さすぎるとどこか一個所引っかかった場合、そこだけ伸びてしまう。また施工後は、抵抗がないとケーブル荷重が偏ったときピッチがずれてしまう心配がある。最低、ケーブルとの摩擦抵抗を越える張力は必要である。
次に、下段の加熱促進試験試料のコイルピッチと張力に付いてみると、施工状態での張力はほとんどなくなっているように見えるが、少しピッチを広げようとすると急激に張力が上がって抵抗する。従って、施工後に、風、振動によってケーブルが揺すられてもコイルピッチは変化しない。
この施工時には楽でしかもピッチムラを起こさないと言う性質は、ケーブルハンガーとして大きな利点である。
【0018】
さらに、ケーブルハンガーとしての要求特性として、延線作業時にコイルハンガーを引きばすときのコイルの形態安定性が良いこと、すなわち、引き伸ばしの際に、よれたり回転したりしないで素直に広がることが必要である。
コイルハンガーを引きばして広げる際、コイルの端が回転すると、そこに結び付けてあるリードロープやケーブルがメッセンジャーワイヤーに絡まってしまい、広げられなくなる。このような状態になると、通常 10 m以上の間隔で設置されている架線用電柱間にケーブルハンガーを架設することが極めて困難となり、ケーブルハンガーを用いる各種ケーブル配線工事の実施は困難となる。したがって、ケーブルハンガー用コイルは、それを引き伸ばす際の回転ができる限り少ないことが望ましい。
【0019】
具体的に、本発明の素線径6mm(3mm×3本撚り)のコイルハンガー(撚りピッチ35mm、コイル径82mm)のS撚り左巻きコイルと、比較として断面が円形の素線の左巻き密着コイルについて説明すると、まず、前者コイルハンガーを引き伸ばすと、素線には曲げ応力と、1ピッチ当たり1回の割合で撚りを増やすようなねじり応力が働く。撚りを増やす方向でのねじり応力は撚り線を構成する線材の引張抵抗(本発明の合成樹脂線は延伸加工されているので引張弾性率が大きい)に負け、コイル端は回転せずにピッチが広がる。
しかし、比較例の断面が円形の素線の左巻き密着コイルを引き伸ばした場合、ピッチが広がるに従いコイル端は右回り(コイルを巻き込む方向)に回転するとともにコイルの内径が小さくなる。
【0020】
また本発明のコイルハンガーと、素線は同じでコイルの巻き方向だけが反対のコイルについて説明すると、素線径6mm(3mm×3本撚り)のコイル(撚りピッチ35mm、コイル径82mm)のS撚り右巻きコイルの場合は、素線のねじる応力が撚りを撚り戻す方向に働くのでねじり抵抗は弱い。また引張抵抗も撚りを撚り戻す方向なので、かからない。従って、単線の場合と同じようにコイル端は大きく回転する。また、S撚り右巻きコイルの場合は、ねじりピッチの大きさによる影響は小さい。
撚りピッチとコイル端の回転の関係について条件を変えて製造した試料の特性の比較を表2及び表3に示す。表2の「素線・コイル」の欄の記載から明らかなとおり、各試料のばね指数(コイル径/素線径)は、試料1、2、3、5及び7においては「 13.67 」であり、試料4及び7においては「 18.0 」である。
表2及び表3の記載から明らかなように、ばね指数が約 13 ないし 18 程度であるコイル、すなわち、コイルハンガーとして通常用いられる引き伸ばし易いコイルにおいては、素線の撚り方向とコイルの巻き方向との関係、ならびに、ばね指数に対する素線の撚りピッチの数値(単位 mm )の比(ばね指数比)、の双方において本発明の範囲内にあるコイル(試料番号1、2、3及び4のもの)の引張りによる回転角度は、いずれも 15 度以内であった。これに対し、素線の撚り方向とコイルの巻き方向との関係ならびにばね指数比のいずれかが本件発明の範囲外であるコイル(試料番号5、6及び7のもの)の回転角度は 35 度以上である。すなわち、表2及び表3に示す実験結果によれば、コイルハンガーとして通常用いられるコイルについては、素線の撚り方向とコイルの巻き方向との関係ならびに素線の撚りピッチとばね指数との関係(ばね指数比)の双方が本発明の範囲内のものは、コイル引張りの際のコイルの回転の程度が著しく低くなることが明らかである。
【0021】
以上のように、本発明では、素線にあらかじめ、コイル端を回転させる力と打ち消し合うような一定方向の撚りを素線に与えておくことによりコイル端の回転を少なくするようにできた。その力は撚りピッチが細かいほど大きいため、撚りピッチと方向を適宜に選択することによりコイル端の回転をコントロールできることが分かった。撚り方向については左巻きコイルの場合はS撚り、右巻きコイルについてはZ撚りである。ただし撚りピッチについてはあまりに細かすぎると素線を撚る段階で、素線にキンクが発生してしまう。好適の素線の撚りピッチとしては、ばね指数比2〜4倍である。ばね指数は撚りピッチをばね指数で割った値。なお、ばね指数はコイル平均径を素線径で割った値である。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、本発明のコイルハンガーは、素線の撚り方向、撚りピッチを勘案して撚り線をつくり、その素線がS撚りの場合は巻方向が左巻き、または素線がZ撚りの場合は巻方向が右巻きになるようにし、かつ、素線の撚りピッチ(単位 mm )が当該コイルのばね指数に対して2倍ないし4倍となるようにしてコイルを形成し、ついで熱固定することによって簡単に製造することができる。そして、このようにして製造したコイルをケーブルハンガーとして用いることにより、ケーブルハンガー架設の際の作業の妨げとなるコイルの回転を著しく低減して架設作業を効率化することができるので、有線テレビをはじめとした通信ケーブルや、電力ケーブルの市中配線工事等の合理化、効率化を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる、3本撚りコイルの一例(Z撚り右巻きのもの)の斜視図。
【図2】本発明にかかる、3本撚りコイルの一例(S撚り左巻きのもの)の斜視図。
【図3】図1のコイルの素線の一部拡大図。
【図4】図2のコイルの素線の一部拡大図。
【図5】本発明にかかる、金属心線入り3本撚り線の一例の断面図(加熱前)。
【図6】本発明にかかる、金属心線入り3本撚り線の一例の断面図(加熱後)。
【図7】本発明にかかる、金属心線入り7本撚り線の一例の断面図(加熱前)。
【図8】本発明にかかる、金属心線入り7本撚り線の一例の断面図(加熱後)。
【図9】本発明にかかるコイル状ケーブルハンガーの施工状態略図。
【符号の説明】
1 コイル状ケーブルハンガー
2 (コイルの)素線
3 (素線を構成する)線材
4 金属心線
5 メッセンジャーワイヤー
6 ケーブル

Claims (3)

  1. 押出延伸加工された飽和ポリエステル樹脂線の撚り線を素線としてコイル状に形成されたケーブルハンガーにおいて、S撚り素線の場合には左巻きコイルであり、Z撚り素線の場合には右巻きコイルであって、素線の撚りピッチ(単位 mm)が、当該コイルのばね指数に対する比(撚りピッチ/ばね指数)で2倍ないし4倍である、合成樹脂撚り線のコイル状ケーブルハンガー。
  2. 素線を構成する複数の線材のうち2本以下が他の線材と色彩が異なっている、請求項1記載のコイル状ケーブルハンガー。
  3. 素線の中心に金属線材を撚りこんだ、請求項1または2記載のコイル状ケーブルハンガー。
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