JP3626478B2 - 伸縮装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に、伸縮装置に関する。より詳細には、本発明は、橋梁の高欄や防護柵などに用いられる伸縮装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
橋梁には、歩行者や車両の安全のため高欄や防護柵が設置されているが、温度変化等に起因する膨張収縮に対処することができるように、橋梁本体のほか、高欄や防護柵にも伸縮装置が取り付けられている。一方、近年、大地震の発生を契機として地震時における橋梁設計の考え方がいわゆる免震設計・制震設計に変化したことにより、橋梁の桁端部において多方向への大きな移動を許容する設計例が増加しており、これに対応して、高欄や防護柵の設計においても、例えば、橋梁側の高欄レールと橋台側の高欄レールとを水平方向にスライドするプレートによって接続したり、或いは、橋梁側の高欄と橋台側の高欄をチェーン等で連結する等して桁端部における多方向への大きな移動に対処する等の工夫が見受けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水平方向にスライドするプレートによって接続する方式では、桁端部の移動方向によってはプレートが橋面側に突出するため、歩行者や車両に危害を及ぼすおそれがあり、また、チェーンで連結する方式では、歩行者が誤って落下するおそれがある。このように、橋梁の桁端部において多方向への大きな移動を許容する設計では、橋上空間においては、全般的に見て、桁端部における多方向への移動に対する対策が遅れており、歩行者や車両の安全性が十分に確保されているとは言い難いのが現状である。
【0004】
したがって、本発明は、橋梁の桁端部における多方向の大きな移動に円滑に追従し、道路利用者の安全を確保することができる、高欄や防護柵などに用いられる伸縮装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1に記載の伸縮装置は、垂直方向に延びた第1ポストと、垂直方向に延びた第2シャフトを有する第2ポストと、一端が前記第1ポストに回転可能に装着され、垂直方向に互いに所定間隔隔てて配置された複数のスライドアームとを備え、前記第1ポストと前記第2ポストとが相対的に実質的に水平方向に移動すると、前記各スライドアームに設けられた弧状の案内路内を前記第2シャフトが摺動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0006】
本願請求項2に記載の伸縮装置は、前記請求項1の伸縮装置において、前記スライドアームが、互いに所定間隔隔てて配置された一対の弧状部分と、前記弧状部分の一端に配置された半円形の端部分とを有し、前記スライドアームの他端に、前記所定間隔を保持するようにプレートがボルト止めされていることを特徴とするものである。
【0007】
本願請求項3に記載の伸縮装置は、垂直方向に延びた第1ポストと、所定間隔隔てた一対のポスト部材を有する第2ポストと、一端が前記第1ポストに回転可能に装着され、垂直方向に互いに所定間隔隔てて配置された複数の弧状のスライドアームとを備え、前記第1ポストと前記第2ポストとが相対的に実質的に水平方向に移動すると、前記ポスト部材間の前記スライドアームが取り付けられる高さと実質的に同じ高さのところにそれぞれ取り付けられた横梁上を前記スライドアームが摺動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本願請求項4に記載の伸縮装置は、前記請求項1から3までのいずれか1項の伸縮装置において、前記弧状が、円弧状、楕円弧状、複合円形状又は他の任意の湾曲形状であることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る伸縮装置について詳細に説明する。図1〜図4において全体として参照符号10で示される本発明の第1の実施の形態に係る伸縮装置は、橋台側の端部に配置された橋台側ポスト(第1ポスト)12と、橋梁側の端部に配置された橋梁側ポスト(第2ポスト)14とを備えている。橋台側ポスト12及び橋梁側ポスト14は、図3に最も良く示されるように、ステンレス鋼製のボックスで形成され、橋台側ポスト12及び橋梁側ポスト14の内部には、それらを支持するための支柱12a、14aがそれぞれ配置されている。
【0010】
橋台側ポスト12及び橋梁側ポスト14の内部には又、向かい合う側に、垂直方向に延びたステンレス鋼製のシャフト(第1シャフト)12b、シャフト(第2シャフト)14bがそれぞれ配置されている。シャフト12b、14bは、図示した例では、円筒形の中空のパイプ部材であるが、中実の円柱部材を使用してもよい。
【0011】
橋台側ポスト12及び橋梁側ポスト14には、向かい合う側の壁の実質的に同じ高さのところに、複数(図示されている例では、5つ)の開口部12c、14cがそれぞれ設けられている。
【0012】
伸縮装置10は更に、図4に示されるように、弧状の案内路16aを有するステンレス鋼製のスライドアーム16を備えている。図示されているスライドアーム16は、互いに所定間隔w隔てて配置された一対の弧状部分16b、16cと、弧状部材16b、16cの一端に配置された端部分16dとを有している。スライドアーム16の他端には、弧状部分16bと弧状部分16cとの間隔wを保持するように、プレート16eがボルト(図示せず)止めされている。このプレート16eを外すことによって、スライドアーム16を容易に取り外すことができる。
【0013】
スライドアーム16は、同じ径のステンレス鋼製のパイプ部材から成る弧状部分16b、16cと端部分16dを所要の形状に加工して端部を溶接接合することによって形成される。或いは、スライドアーム16は、1本のパイプ部材を所要の形状に曲げ加工することによって形成してもよい。
【0014】
スライドアーム16の端部分16dが設けられている側の端部における弧状部分16b、16c間の隙間には、図5に示されるように、カラー18が取り付けられている。カラー18は、ステンレス鋼製のプレート材で形成されており、シャフト12bよりも僅かに大きな直径を有する円形穴18aを有している。なお、カラー18は、円形穴18aの周囲下方に円形リング18bを有するものとして図示されているが、円形リング18bを取り付けなくともよい。
【0015】
伸縮装置10は、橋台側ポスト12及び橋梁側ポスト14の外壁を取り付ける前に、スライドアーム16の案内路16a内に橋梁側ポスト14のシャフト14bを位置決めした状態で、橋台側ポスト12のシャフト12bにスライドアーム16のカラー18の円形穴18aを通し、これを所要数(図示した例では、5個)のスライドアーム16について行うことによって組み立てられる。これにより、スライドアーム16が橋台側ポスト12のシャフト12bを中心として回転し、かつ、橋梁側ポスト14のシャフト14bがスライドアーム16の案内路16a内を案内されるように構成されているので、橋梁側ポスト14の移動に伸縮装置10が対処することが可能になる。なお、シャフト14bの案内路16a内での移動が容易に行われるように、スライドアーム16の下端と対応する開口部14cの上縁との間に位置するように、シャフト14bにステンレス鋼製のスペーサ20を介在させるのが好ましい。
【0016】
図6は、以上のように構成された伸縮装置10の種々の作動の形態を示した平面図である。すなわち、(a)は橋梁側ポスト(即ち、橋梁)が図面において左上方に移動した場合、(b)は右上方に移動した場合、(c)は左下方に移動した場合、(d)は右下方に移動した場合における伸縮装置10の作動の形態を示している。
【0017】
図7〜図9は、本発明の第2の実施の形態に係る伸縮装置を示した図である。図7及び図8において全体として参照符号30で示される本発明の第2の実施の形態に係る伸縮装置は、案内路がスライドアームではなく、スライド側ポストに設けられている点で、伸縮装置10と相違している。すなわち、伸縮装置30は、ヒンジ側ポスト(第1ポスト)32と、スライド側ポスト(第2ポスト)34と、ヒンジ側ポスト32の所定高さのところに回転可能に取り付けられた複数(図7に示される例では、3つ)の弧状のスライドアーム36とを備えており、スライド側ポスト34は、所定間隔隔てた一対のポスト部材34aと、ポスト部材34a間のスライドアーム36が取り付けられる高さと実質的に同じ高さのところに取り付けられた横梁34bとを有している。
【0018】
伸縮装置30は、図9に示されるように、スライドアーム36がスライド側ポスト34の横梁34b上を摺動することができるので、ヒンジ側ポスト32の移動に伸縮装置30が対処することが可能になる。なお、スライドアーム36が外れることのないように、ポスト部材34a間の横梁34bが取り付けられている個所の上方に第2横梁34cを取り付けるのが好ましい。
【0019】
伸縮装置10は、橋梁の高欄或いは防護柵に用いるのに適している。伸縮装置30は、伸縮装置10を簡略化したものであり、橋梁の防護柵に用いるのに適している。
【0020】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0021】
たとえば、前記実施の形態では、伸縮装置10の橋台側ポスト12がヒンジ機構を有し、橋梁側ポスト14がスライド機構を有するものとして説明されているが、ヒンジ機構を橋梁側ポスト14に設け、スライド機構を橋台側ポスト12に設けてもよい。スライドアーム16の案内路16a及びスライドアーム36は、円弧形状を有するものとして示されているが、楕円弧形状、複合円形状又は他の任意の湾曲形状を有するものとして形成してもよい。また、前記実施の形態では、伸縮装置10は5本のスライドアーム16を有し、伸縮装置30は3本のスライドアーム36を有するものとして示されているが、スライドアームの数をこれ以上にしてもよく或いはこれ以下にしてもよい。さらに、前記実施の形態では、各部材がステンレス鋼で形成されているが、これらの部材を他の適当な金属材料で形成してもよい。なお、特に回転する部分、スライドする部分は、鏡面仕上げにするのが好ましい。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、桁端部が如何なる位置に移動しても、橋面側に突出部が現れることがなく桁橋部の多方向の大きな移動に円滑に追従し、道路利用者の安全を確保することができる伸縮装置が得られる。なお、本発明の伸縮装置を、橋梁のほか、相対する部分が多方向に移動する個所、例えば浮桟橋の係留部、車両と車両の連結装置の側部などに用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る伸縮装置の全体図である。
【図2】図1の伸縮装置の拡大図であって、(a)は、図1の伸縮装置の拡大平面図、(b)は、図1の伸縮装置の拡大正面図である。
【図3】図1の伸縮装置の拡大断面図である。
【図4】図1の伸縮装置のスライドアームの拡大平面図である。
【図5】(a)は、スライドアームのカラーの部分拡大図、(b)は、(a)の線5b−5bに沿った断面図である。
【図6】図1の伸縮装置の種々の作動の形態を示した平面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る伸縮装置の正面図である。
【図8】図7の伸縮装置の平面図である。
【図9】図2の伸縮装置の種々の作動の形態を示した平面図である。
【符号の説明】
10 第1の実施の形態に係る伸縮装置
12 橋台側ポスト(第1ポスト)
14 橋梁側ポスト(第2ポスト)
16 スライドアーム
18 カラー
20 スペーサ
30 第2の実施の形態に係る伸縮装置
32 ヒンジ側ポスト(第1ポスト)
34 スライド側ポスト(第2ポスト)
36 スライドアーム
Claims (4)
- 垂直方向に延びた第1ポストと、
垂直方向に延びた第2シャフトを有する第2ポストと、
一端が前記第1ポストに回転可能に装着され、垂直方向に互いに所定間隔隔てて配置された複数のスライドアームとを備え、
前記第1ポストと前記第2ポストとが相対的に実質的に水平方向に移動すると、前記各スライドアームに設けられた弧状の案内路内を前記第2シャフトが摺動するように構成されていることを特徴とする伸縮装置。 - 前記スライドアームが、互いに所定間隔隔てて配置された一対の弧状部分と、前記弧状部分の一端に配置された半円形の端部分とを有し、前記スライドアームの他端に、前記所定間隔を保持するようにプレートがボルト止めされていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮装置。
- 垂直方向に延びた第1ポストと、
所定間隔隔てた一対のポスト部材を有する第2ポストと、
一端が前記第1ポストに回転可能に装着され、垂直方向に互いに所定間隔隔てて配置された複数の弧状のスライドアームとを備え、
前記第1ポストと前記第2ポストとが相対的に実質的に水平方向に移動すると、前記ポスト部材間の前記スライドアームが取り付けられる高さと実質的に同じ高さのところにそれぞれ取り付けられた横梁上を前記スライドアームが摺動するように構成されていることを特徴とする伸縮装置。 - 前記弧状が、円弧状、楕円弧状、複合円形状又は他の任意の湾曲形状であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の伸縮装置。
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