JP5962991B2 - 防護柵および防護柵の設置方法 - Google Patents
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Description
前述したような防護柵への衝突による人命に関わる大事故は、交通車両から防護柵への力の多くが防護柵から前記交通車両に返される為である。なぜならば、防護柵の下側は地中に埋められる態様で設けられた固定部に設置されているからである。
しかしながら、特許文献1および特許文献2記載の技術においても、交通車両が防護柵に衝突した場合、接合具3(特許文献1)や接続部材3(特許文献2)は破棄されるという問題があった。すなわち、接合具3や接続部材3が破壊されるということは、瞬間的な力(衝撃)が交通車両に返るものであった。
また、防護柵の取り付け部位も破壊され、再利用が困難なものであった。
(請求項1記載の発明)
請求項1記載の発明は、衝突物を受け止める際に当該衝突物への衝撃を緩衝する防護柵であって、 防護柵は、間隔を空けて順々に配置された複数のブロックを、環状の頭部と棒状の胴部を有する接続棒で接続したものであり、ブロックは、地面上に置くものであり、長手方向の両端それぞれに少なくとも一つの連結部材を有し、それぞれの連結部材の端部に、フープ部を設け、接続棒の胴部が、フープ部中央に揺動可能に挿通されていることを特徴とする。
(請求項2記載の発明)
請求項2記載の発明は、請求項1記載の防護柵に関するものであって、連結部材は、ブロックの長手方向を貫通する対応でブロックの両端それぞれに設けられており、フープ部は、連結部材を輪形状としたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の防護柵に関するものであって、地面側を複数のブロックとし、上方側をガードレールとした、ことを特徴とする。
(請求項4記載の発明)
請求項4記載の発明は、請求項3記載の防護柵に関するものであって、前記複数のガードレールは、前記複数のブロックに設けた支柱に取り付けられており、支柱の周囲には、支柱変形空間が設けられていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の防護柵に関するものであって、接続棒の 頭部の外径は、フープ部の内径よりも大きいものであり、胴部の外径は、フープ部の内径よりも小さいものであることを特徴とする。
(請求項6記載の発明)
請求項6記載の発明は、請求項2乃至4のいずれかに記載の防護柵に関するものであって、衝突物が存在する側に、緩衝材を設けたことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、少なくとも第一ブロックと第二ブロックとを有する請求項3乃至6のいずれかに記載の防護柵の設置方法に関するものであって、接続棒をフープ部に挿通させた時、接続棒は頭部によってぶら下がる態様となり、接続棒胴部が、第一ブロックの第二ブロック側フープ部に揺動可能であると共に第二ブロックの第一ブロック側フープ部にも揺動可能に、第一ブロックと第二ブロックとを地面上に置くことを特徴とする。
(請求項8記載の発明)
請求項8記載の発明は、請求項7記載の防護柵の設置方法に関するものであって、第一ブロック、第二ブロック・・・第nブロックは、5〜50mmの間隔ができるように地面に置かれ、接続棒の胴部外径と両脇のフープ部の隙間それぞれは、3〜20mmとなることを特徴とする。
地面に置かれているブロックそれぞれが衝撃によってずり動くことができると共に、剛性体ではない連結部材を介して接続されているのでブロック同士の衝撃も吸収することができる。すなわち、連結されたブロック全体の移動により、衝突エネルギーを吸収することができる。剛性体ではない連結部材としてワイヤ類や伸びる素材を利用することができる。
また、ブロックを置くだけであるので、高速道路の工事などに用いる場合、使用後は移動させることができる防護柵となる。
(請求項2の効果)
ブロック端部に溝などを形成して連結するものではないので、端部の破損などは発生し難い。連結部材に大きな衝撃が発生してもブロック長手方向全体で力を受け止めることができ、破損しにくいものとなる。
防護柵全体にブロックを用いるのではなく、上側の約半分をガードレールとすることにより、衝突物の破壊を軽減することができる。
(請求項4の効果)
ガードレールに衝突物がぶつかった場合において支柱をブロック内でも変形可能な空間を設け、衝突物の破壊を軽減することもできる。また、支柱変形空間を設けると、支柱が撓むことで、衝撃物の破壊を軽減し、ブロックKの移動距離を小さくすることができる。
ブロックを地面に並べて、輪の中に接続棒を差し込むだけで、ブロック同士の連結が可能となる。また、頭部によってぶら下がる態様となり、接続棒が下側から抜ける心配もない。
(請求項6の効果)
ブロックの片側側面や両側面に緩衝材を取り付け、衝突物の破壊を軽減することもできる。緩衝材の取り付け位置は衝突物の高さにあわせるのが好ましい。
ブロック同士の接続は若干遊びを持たせて接続するのが好ましい。このように接続すると、連結部材による衝撃の吸収がより効果的なものとなる。
(請求項8の効果)
前述の若干の遊びは、請求項7記載の範囲内とするのが最適である。
図1は、実施例1、2の防護柵1の上面図である。
防護柵1は、任意数n個のブロックKによって構成されている。n個の複数のブロックKは、道路に沿う態様で直線や曲線状に順々に配置することができる。
直線状にブロックKを並べる場合、図1に示すように、第一ブロックK1、第二ブロックK2、第三ブロックK3・・・第n−1ブロックKn−1、第nブロックKnを直線状に配置する。複数のブロックK1〜Knは、図1のA部拡大図に示すように、接続棒2で接続されている。
そして、防護柵1は、衝突物V(例えば車)の衝突を受け止めるものである。
図2は、実施例1のブロックKの正面図である。図3は、実施例1のブロックKの斜視図である。図4は、実施例1のブロックKの接続面である。図5は、実施例1のブロックKのB断面図である。実施例1のブロックKのC断面図である。
ブロックKは、コンクリート製であり、地面上に置くものであり、図2〜4に示すように、地面側を広く上側を狭くし、安定して設置できる形状とする。実施例1において、ブロックKは、ジャージー障壁(Jersey barrier)形状とした。ジャージー障壁は、フロリダ式ガードレールとも呼ばれており、接地面10と、傾斜面の傾斜角を変更する傾斜角変更線11と、上面12と、接続面13とからなる。図2〜4において、ブロックKは、奥行き1900〜3500mm、高さ600〜1000mm、接地面幅500〜700mm、上面幅140〜200mmとするのが好ましい。
また、ブロックKは、台形形状であってもよいし、図1の衝突物Vが存在する側の傾斜面に、緩衝材を設けてもよい。緩衝材として、ゴム、EPS、プラスチックなど緩衝効果の高い材質を例示することができる。ブロックKの底面側、側面側などの接続面13の縁部を面取りし、10〜50mmの半円形状とすると、ブロックKが衝突物Vによる衝撃により移動する際に他のブロックKと接触し底面側の四隅が欠けることを防止できるので、好ましい態様となる。
図2〜4に示すように、ブロックKは、長手方向の両端それぞれに少なくとも一つの連結部材3を有し、それぞれの連結部材3の端部30に、フープ部31を設けている。フープ部31は、連結部材3を輪形状としたものである。フープ部31を金属環とし、連結部材3と接続してもよい。
連結部材3は、ブロックKの長手方向を貫通する対応でブロックKの両端それぞれに設けるのが好ましい。連結部材3として具体的には、金属ワイヤや金属チェーンや平鉄などを例示することができる。スチールワイヤを用いるのが好ましい。
ブロックKの奥行きが1985mmである場合、連結部材3は、長さ2605mmとし、端部30から560mmの長さをそれぞれ折り返す。そして、折り曲げ長さ60mm(直径38.2mm)のフープ部31を有する全長2045mmの連結部材3とする。残った端部30の500mmそれぞれは、ブロックK中に埋め込むのが好ましい。また、連結部材3をブロックK内に貫通させない場合は、両端の連結部材3それぞれを500〜900mm程度ブロックK内に埋め込む態様としても良い。
連結部材3の太さは直径9〜12mmとするのが好ましく、実施例1においては、10mmとした。
図3〜6に示すように、フープ部31のフープ部中央32には、接続棒2が挿通する。
図3に示すように、接続棒2は、頭部20と胴部21とを有し、頭部20の外径は、フープ部31の内径(直径28.2mm)よりも大きいものであり、胴部21の外径は、フープ部31の内径(直径28.2mm)よりも小さいものである。このようにすると、接続棒2は、上側のフープ部31と頭部20によって、ぶら下がる対応とすることができる。
また、図3〜6に示すように、上面12の両端部にストッパー14を設けて、接続棒2をぶら下がる態様とすることができる。
ブロックKは、図1および図5に示すように、間隔Lを空けて並べられるものである。
そして、前述のように、接続棒2がフープ部31に挿通させた時、ぶら下がる態様となった時、接続棒胴部21が、第一ブロックK1の第二ブロックK2側フープ部31に揺動可能であると共に、第二ブロックK2の第一ブロックK1側フープ部31にも揺動可能に、第一ブロックK1と第二ブロックK2とを地面上に置くのが好ましい。
第一ブロックK1、第二ブロックK2・・・第nブロックKnは、5〜50mmの間隔Lができるように地面に置かれ、接続棒2の胴部21外径と両脇のフープ部31の隙間それぞれは、3〜20mmとする。間隔Lは5〜30mm、隙間は3〜10mmとするのがさらに好ましい。
図4に示すように、ブロックKは、地面に置くものであると共に間隔Lを空けて並べられている。衝突物VがブロックKに衝突した時、前記間隔Lは、重量物であるブロックKに移動する空間を与えるものである。従来のブロックKの接地は、地面にボルトで固定されると共に間隔Lを設けないものであったので、衝突物Vの運動エネルギーは、衝突物Vを破壊するエネルギーとなった。しかしながら、この防護柵1は、間隔Lを有することによって、衝突物Vの運動エネルギーを、ブロックKの移動エネルギーとし、衝突物Vへの破壊エネルギーを減少させることができる。
また、衝突によりブロックKが移動し、間隔Lを詰め、隣接するブロックK同士が接触し、接続面13それぞれが破壊する事態がある。このような事態を回避する為、接続面13が緩衝材を備えてもよい。
防護柵1は上述の通り、ブロックK1…Knが連なっている為、ブロックK単体(例えば図1のブロックK2)では、衝突物Vの運動エネルギーを受け止めることが出来ない場合、接続棒2と連結部材3の接続によって、隣接するブロックK(例えば図1のブロックK1、K3)が移動することにより、衝突物Vの破壊を緩衝させる。したがって、衝突物Vが全損および大破する可能性は、地中から延びる従来のコンクリート壁やガードレールに衝突した時に比べ、低いものとなる。
2012年9月22日に、実施例1記載の防護柵1の衝突実験を行った。衝突物Vは、車両重量1580kgの乗用車とした。ブロックKは、奥行き2485mm、重量1300Kgのものを並べた。
図1に示すように、時速72kmの乗用車Vを20°の角度(入射角70°)で、防護柵1に衝突させた結果、四つのブロックKが移動した。最も移動したブロックの移動距離は、68cmであった。
そして衝突させた乗用車は、大破することなく、「防護柵の設置基準・同解説」(日本道路協会編平成20年改訂版16〜18頁)に記載されている車両の逸脱防止性能、乗員の安全性能、車両の誘導性能、構成部材の飛散防止機能を満足し、乗用車を安全に誘導することができた。
実施例2において、〔1.防護柵1の全体的な構成について〕〔3.連結部材3について〕〔4.接続棒2について〕〔5.防護柵1の設置方法について〕〔6.間隔Lについて〕〔7.防護柵1の作用・効果について〕の内容は、実施例1と同様である。したがって、〔2.ブロックKについて〕の欄について、実施例1と異なる点を述べる。
図1および図7、8に示すように、地面側を複数のブロックK1〜Knとし、上方側をガードレールG1〜Gnとした、防護柵1とすることができる。
ガードレールGは、図8に示すようにブロックKから延びる支柱4にガードレール固定具40を用いて、固定されている。
ブロックKは、コンクリート製であり、地面上に置くものであり、図7、8に示すように、地面側を広く上側を狭くし、安定して設置できる形状とする。ブロックKは、ジャージー障壁(Jersey barrier)形状とした。ジャージー障壁は、フロリダ式ガードレールとも呼ばれており、接地面10と、傾斜面の傾斜角を変更する傾斜角変更線11と、上面12と、接続面13とからなる。図7、8において、ブロックKは、奥行き1800〜3200mm、高さ250〜500mm、接地面幅500〜700mm、上面幅270〜420mmとするのが好ましい。
また、ブロックKは、台形形状であってもよいし、図1の衝突物Vが存在する側の傾斜面に、緩衝材を設けてもよい。緩衝材として、ゴム、EPS、プラスチックなど緩衝効果の高い材質を例示することができる。ブロックKの底面側、側面側などの接続面13の縁部を面取りし、10〜50mmの半円形状とすると、ブロックKが衝突物Vによる衝撃により移動する際に他のブロックKと接触し底面側の四隅が欠けることを防止できるので、好ましい態様となる。
ガードレールGは、図7、図8に示すように、ガードレール固定具40を用いて固定されている。ガードレールGの材質には、溶融亜鉛めっき鋼鈑及び鋼帯を用いた。ガードレールGは、断面波形であり、奥行き1700〜2100mm、高さ150〜250mm、波幅40〜80mmとするのが好ましい。また、地上から500〜700mmの高さで、ガードレールGの中心は、ガードレール固定具40によって固定される。
支柱4は、図8に示すように、ブロックK内に挿し込まれている。挿し込まれた支柱4の下部は、ブロックKに設けられた中空部5を有する支柱固定具50に溶接される。支柱固定具50は、H型鋼柱などが用いられ、ボルト51でブロックKに固定されている。
支柱4の直径は114.3〜139.8mmとし、全長は500〜950mmとするのが好ましい。
そして、支柱4の外径を、ブロックKに設けられた円形の穴の内径の95〜75%とすることにより、支柱変形空間41が形成される。
ブロックKに設けられた円形の穴の内径よりも小さい外形の支柱4をブロックK内に挿設することにより、ブロックKの円形の穴の内面と、支柱4の外面とに間に支柱変形空間41が生じる。支柱変形空間41は、ブロックKの円形の穴の内面と、支柱4の外面との距離が50〜100mmであることが好ましい。この支柱変形空間41によれば、衝突部VがガードレールGに衝突したときの衝突エネルギーを支柱4の折れ曲がるなどの変形に費やされるため、ブロックKの円形の穴の内面と、支柱4の外面とが密着している場合に比べて、ブロックKの移動距離を小さくすることができる。
衝突物VがガードレールGに衝突すると、衝突エネルギーはガードレールGを通して支柱4を弾性変形および/または塑性変形させるものである。そして、支柱4など棒状の物体は、その全長が長ければ長いほど、小さな力で変形可能となる。
実施例2のように、防護柵1の上方をガードレールGとすると、衝突物Vが接触したとしてもガードレールGの変形によって、衝突エネルギーを消費することができ、衝突物Vが全損・大破する確率を下げることができる。また、衝突後も移動させて再利用する時に、軽量化され、運びやすいものとなる。
L 間隔
K ブロック
(K1 第一ブロック、 K2 第二ブロック、…、Kn 第nブロック)
G ガードレール
(G1 第一ガードレール、 G2 第二ガードレール、…、Gn 第nガードレール)
1 防護柵
10 接地面
11 傾斜角変更線
12 上面
13 接続面
14 ストッパー
2 接続棒
20 頭部
21 胴部
3 連結部材
30 端部
31 フープ部
32 フープ部中央
4 支柱
40 ガードレール固定具
41 支柱変形空間
5 中空部
50 支柱固定具
51 ボルト
Claims (8)
- 衝突物(V)を受け止める際に
当該衝突物(V)への衝撃を緩衝する防護柵(1)であって、
防護柵(1)は、
間隔(L)を空けて順々に配置された複数のブロック(K1〜Kn)を、
環状の頭部(20)と棒状の胴部(21)を有する接続棒(2)で接続したものであり、
ブロック(K)は、地面上に置くものであり、
長手方向の両端それぞれに少なくとも一つの連結部材(3)を有し、
それぞれの連結部材(3)の端部(30)に、フープ部(31)を設け、
接続棒(2)の胴部(21)が、フープ部中央(32)に揺動可能に挿通されている
ことを特徴とする防護柵。 - 連結部材(3)は、
ブロック(K)の長手方向を貫通する対応で
ブロック(K)の両端それぞれに設けられており、
フープ部(31)は、連結部材(3)を輪形状とした
ことを特徴とする請求項1に記載の防護柵。 - 地面側を複数のブロック(K1〜Kn)とし、
上方側をガードレール(G1〜Gn)とした、
ことを特徴とする請求項2に記載の防護柵。 - 前記複数のガードレール(G1〜Gn)は、
前記複数のブロック(K1〜Kn)に設けた支柱(4)に取り付けられており、
支柱(4)の周囲には、
支柱変形空間(41)が設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の防護柵。 - 接続棒(2)の
頭部(20)の外径は、フープ部(31)の内径よりも大きいものであり、
胴部(21)の外径は、フープ部(31)の内径よりも小さいものである
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の防護柵。 - 衝突物(V)が存在する側に、緩衝材を設けた
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の防護柵。 - 少なくとも第一ブロック(K1)と第二ブロック(K2)とを有する
請求項3乃至6のいずれかに記載の防護柵(1)の設置方法であって、
接続棒(2)は頭部(20)によってぶら下がる態様となり、
接続棒胴部(21)が、
第一ブロック(K1)の第二ブロック(K2)側フープ部(31)に揺動可能であると共に
第二ブロック(K2)の第一ブロック(K1)側フープ部(31)にも揺動可能に、
第一ブロック(K1)と第二ブロック(K2)とを地面上に置く
ことを特徴とする防護柵の設置方法。 - 第一ブロック(K1)、第二ブロック(K2)・・・第nブロック(Kn)は、
5〜50mmの間隔(L)ができるように地面に置かれ、
接続棒(2)の胴部(21)外径と両脇のフープ部(31)の隙間それぞれは、
3〜20mmとなる、
ことを特徴とする請求項7に記載の防護柵の設置方法。
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