JP3626473B2 - 穂木接合部の成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、台木に接合して成長させる穂木接合部を成形する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
果実の栽培において生産量の高度維持のため果実の茎をいつも若々しく維持するために接ぎ木を行なっている。この接ぎ木を行なう場合、台木に裂けめを設けて穂木を差し込み固定するが、この穂木の形成層を台木の形成層とよく密着させるため、穂木の差し込み側先端部であって側方側に向け形成層を露出させる必要がある。
従来では、接ぎ木用ナイフを手持ちして先端部を斜めカットするように、人手により一本づつ手作りしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
果樹園などでは穂木を大量に必要としているから、日に何千本もの穂木を生産する必要がある。
しかしながら、穂木先端に形成層を露出させるためには上記のように接ぎ木用ナイフを手持ちして一本一本そぎ落すような手作業によって行なわれており、このため手や体が大変疲れるし能率も上がらず、人手も余分に必要とするなどの問題があった。
また、カット面は波打ちなどがなくできるだけ平滑に仕上げなければならずその維持管理にも手間が掛るという問題があった。
【0004】
本発明は、上記した従来の問題点を解決するためになされたものであって、接ぎ木用ナイフを使用せずに穂木端部を斜めカットして穂木の形成層を側方に露出させ、かつ短時間で良質な接ぎ木用穂木を大量に生産できるようにした穂木接合部の成形装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明請求項1記載の苗木接合部の成形装置では、台木に接合して成長させる穂木の接合部を成形する装置であって、穂木の挿入部と、この挿入部に挿入した穂木端部を斜めカットする成形刃と、この成形刃を駆動させる駆動手段と、を備え、前記成形刃は、駆動手段が有する回転軸への取付け部を円盤状板面の中心部に有する基板部と、該基板部の表面側において前記中心部から半径方向に沿って刃先が配置された刃部とからなり、前記基板部には前記刃先に沿って排出口が開設され、前記基板部の裏面側において表面側に配置された刃部と交互となる位置に刃部と排出口が配置されていることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の穂木接合部の成形装置では、請求項1記載の穂木接合部の成形装置において、前記成形刃が穂木の挿入部に近接して該挿入部端位置を次々と通過させる複数の刃先を有していることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の穂木接合部の成形装置では、請求項1または2記載の穂木接合部の成形装置において、前記複数の刃先が平面内で放射状に配置されると共に、この放射状に配置された刃先の中心部が成形刃を水平方向に回転させる回転軸に着脱自在に装着されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の穂木接合部の成形装置では、請求項1〜3のうちいずれかに記載の穂木接合部の成形装置において、前記穂木の挿入部に穂木を所定の角度で斜めカットするための傾斜溝が形成されていることを特徴とする。
【0009】
【作用】
請求項1,2記載の穂木接合部の成形装置では、装置が成形刃を有し、この成形刃を駆動手段で駆動させるから、作業者は成形刃に対し穂木先端部が斜めに接するようにして挿入部に挿入し、そのまま穂木端部を成形刃に押し付けるだけで簡単に斜めにカットすることができる。
成形刃の複数の刃先が挿入部端位置に次々と通過させるようにすると、作業者が穂木端部を成形刃側に寄せていくことにより、それぞれの刃先が次々と薄くそぎ落していき、穂木端部を短時間で所定の形状に成形することができる。
【0010】
請求項3,4記載の穂木接合部の成形装置では、放射状に配置された複数の刃先が回転軸によって水平方向に回転することにより、複数の作業者が装置の周りで同時に作業でき、同一のリズムで穂木先端部をそぎ落とすことができる。
また、作業者は挿入部の傾斜溝に沿わせた状態で穂木を挿入することにより、簡単な要領で同一形状に穂木接合部を成形することができる。
【0011】
請求項1,2記載の穂木接合部の成形装置では、刃先は円盤状の基板部の表裏に配置されており、基板部の回転により次々と挿入部を通過する。
穂木を挿入部に挿入することにより、回転してくる刃先と当接して穂木端部が該刃先と基板部との間隔分だけ切除される。
従って、穂木端部を基板部側に押圧している間だけ、前記間隔分を切除厚さとし刃先の通過回数分だけ切除される。切りくずは排出口から基板部裏面側に排出される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本実施の形態による穂木接合部の成形装置の一部を分解して示す斜視図、図2は成形刃の取付け状態を示す断面図、図3は成形刃を示す平面図である。
【0013】
図1〜3に示すように、本実施の形態の穂木接合部の成形装置は、フレーム1と、トレー2と、電動モータ3と、成形刃11と、成形刃カバー19と、を主要な構成としている。
【0014】
前記フレーム1は略箱状を成し、外部には透明なプラスチック製のトレー2がフレーム1に着脱自在に装着されている。
【0015】
前記電動モータ3は駆動手段であり、その回転軸4にはフランジ5が装着され、これら電動モータ3、回転軸4、フランジ5が直線上に配置されている。
また、6は円形突起でありフランジ5端面の回転中心に設けられている。
7は電動モータ3の速度制御部であり、周波数制御により2極の電動モータ3の回転速度を低速から高速まで任意に制御するためのものである。
【0016】
11は成形刃であり、前記円形突起6に嵌合する位置決め穴12を円盤状板面の中心部に有する基板部13と、該基板部13の表面側14において前記中心部から半径方向に沿って刃先16が配置された刃部15、および前記刃先16に沿って開設された排出口17より成っている。
【0017】
また、前記刃部15は基板部13とは別体で細長い板状に形成されており、基板部13の表面側14に120度づつの割り付けで3カ所配置されるが、その裏面側18にも同一状態で表面側14と交互となる位置に3カ所配置されている。
上記刃先16はいずれも図4(イ)に示すように、研ぎ面(逃げ角のある方)側が排出口17側に向くように固定されており、刃先16と基板部13との間には刃部15の板厚による間隔mが形成された状態となっている。
【0018】
前記成形刃11は電動モータ3に装着するに際し、位置決め穴12を円形突起6を嵌合するようにして回転軸5に装着し、ビス6aで締め付け固定する。
この状態で成形刃11はフレーム1の上方で水平方向に回転するように配置される。
【0019】
前記成形刃カバー19は、フレーム1とビス20で着脱自在に固定され、装着状態のとき成形刃11の上面側に近接しており、この成形刃カバー19の上面には斜め方向に開設された挿入部21a,22がそれぞれ設けられている。
一方、成形刃カバー19の側面には前記トレー2に切りくずを排出するためのトレー接続口23,23aが設けられている。
【0020】
また、前記挿入部21aには傾斜溝21bが形成され、一方、挿入部22は成形刃カバー19の端縁まで開口されている。
24は安全カバーであり、前記挿入部21a,22側以外の面を格子状の枠体で囲繞するように形成されている。
【0021】
次に、図5を加えて本実施の形態の使用状態と作用を説明する。
まず、電動モータ3を駆動し、速度制御部7で適宜速度を調整する。
そして、図5(イ)に示すように、穂木25の一端を手持ちして挿入部21aの傾斜溝21bに沿わせるようにして矢印方向へ挿入する。
【0022】
このとき、図5(ロ)に示すように、穂木25が成形刃11に対して傾斜し、所定の角度で刃部15と接した状態となる。
【0023】
成形刃11は、刃先16が基板部13より間隔mの位置で回転してくるから、穂木25は、まず、前記当接していた角部がmの厚み分だけそぎ落されることになる(図4(イ)、(ロ)参照)。このそぎ落された切りくずは排出口17を介し、トレー接続口23,23aを介してトレー2に蓄積される。
【0024】
また、前記刃先16は次々と回転してくるため、穂木25の端部を基板部13に押し付けている限り、次々と厚さmだけずつそぎ落されていく(図5(ハ)参照)。
次に、穂木の略直径分押し込むことにより、穂木25の端部は奇麗に斜めカット30された状態となる(同図(ニ)参照)。
【0025】
続いて、挿入部22を使用して前述と同様に穂木25の裏面をそぎ落とす(図6(イ)参照)。
この場合、穂木15を挿入部21aに挿入した場合と比べて、穂木25が成形刃11に対してほぼ並行な状態で斜めカットされ、図6(ロ)に示すように、穂木の斜めカット30が細長く形成された状態となる。
【0026】
前記作業中、大量の穂木のカットにより、刃先16の切れ味が悪くなった場合、成形刃カバー19を外して成形刃11を裏返し、裏面側18を使用することにより、更に作業を続行することができる。
【0027】
以上説明してきたように、本実施の形態では、穂木25の先端を基板部13に押し付けるだけで平坦で奇麗な斜めカットを行なうことができる。また、挿入部21a,22の斜め形状と傾斜溝21bによる挿入方向の規制により、誰でも簡単に一定した挿入角度を設定することができる。
【0028】
また、成形刃11は表裏使用できるから、1個の成形刃で極めて大量の穂木をカットしていくことができ、大変経済的である。また、その取り換えも大変簡単に行なうことができる。
【0029】
また、成形刃11は円盤状であり水平方向に回転させて使用するから、複数の作業者が同時に行なうことができる上、慣性力の作用もあってカットする力も乱れず常に均質なカットを行なうことができる。
【0030】
また、電動モータ3、回転軸4、フランジ5が直線上に配置されているため、電動モータの動力を効率良く伝えることができ、装置の小型化に貢献する。
【0031】
さらに、穂木25の直径や固さの違いにより、回転数を適正に調節可能であり、刃先を保護し常に大量の穂木を奇麗にカットすることができる。
構造が簡単で取り扱い易く、安価に製造することができる。
【0032】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の具体的な構成は本実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、刃部15の形状、刃先16の配置位置、配置数などは任意に設定することができる。
また、成形刃11の回転軸4への取付け構造は任意に設定することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上、説明してきたように本発明にあっては、作業者が穂木端部を成形刃側に寄せていくことにより、刃先が次々と薄くそぎ落していき、穂木端部を短時間で所定の形状にカットするから、作業者は簡単な要領で波打ちなどがなく平坦で奇麗なカット面を成形することができる。
【0034】
また、成形刃カバーに設けた挿入部に穂木を挿入することにより穂木端部のそぎ落しを行なうので、誰でも安全に素早く、大量に成形していくことができる。
【0035】
さらに、成形刃が水平方向に回転することにより、装置の周りで複数の作業者が同時に作業を行なえるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の形態における穂木接合部の成形装置を一部分解して示す斜視図である。
【図2】実施の形態の成形刃の取付け状態を示す断面図である。
【図3】実施の形態の成形刃を示す平面図である。
【図4】実施の形態の切断状態の穂木と刃先の関係を(イ)、(ロ)の順に示す説明図である。
【図5】実施の形態の挿入部21aを使用したそぎ落しの手順(イ)〜(ハ)と完成(ニ)を示す説明図である。
【図6】実施の形態の挿入部22を使用したそぎ落しの手順(イ)と完成(ロ)を示す説明図である。
【符号の説明】
1 フレーム
2 トレー
3 電動モータ(駆動手段)
4 回転軸(駆動手段)
5 フランジ
6 円形突起
6a ビス
7 速度制御部
11 成形刃
12 位置決め穴
13 基板部
14 基板部の表面側
15 刃部
16 刃先
17 排出口
m 基板部と刃先との間隔
18 基板部の裏面側
19 成形刃カバー
20 ビス
21a、22 挿入部
21b 傾斜溝
23、23a トレー接続口
24 安全カバー
25 穂木
30 斜めカット
Claims (4)
- 台木に接合して成長させる穂木の接合部を成形する装置であって、穂木の挿入部と、この挿入部に挿入した穂木端部を斜めカットする成形刃と、この成形刃を駆動させる駆動手段と、を備え、
前記成形刃は、駆動手段が有する回転軸への取付け部を円盤状板面の中心部に有する基板部と、該基板部の表面側において前記中心部から半径方向に沿って刃先が配置された刃部とからなり、前記基板部には前記刃先に沿って排出口が開設され、
前記基板部の裏面側において表面側に配置された刃部と交互となる位置に刃部と排出口が配置されていることを特徴とする穂木接合部の成形装置。 - 前記成形刃が穂木の挿入部に近接して該挿入部端位置を次々と通過させる複数の刃先を有していることを特徴とする請求項1記載の穂木接合部の成形装置。
- 前記複数の刃先が平面内で放射状に配置されると共に、この放射状に配置された刃先の中心部が成形刃を水平方向に回転させる回転軸に着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1または2記載の穂木接合部の成形装置。
- 前記穂木の挿入部に穂木を所定の角度で斜めカットするための傾斜溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれかに記載の穂木接合部の成形装置。
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