JP3626325B2 - 瓦用の成形金型 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、瓦用の成形プレス装置等に組付けられる上型及び下型とからなり、とくに、荒成形(本明細書では予備成形という。)と本成形の2回のプレス成形に供される瓦用の成形金型に係り、詳しくは、成形すべき瓦にあって、その瓦表面及び裏面にリブ等の膨出部が形成される瓦の成形に対応する成形金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、瓦の成形にあって、瓦本体の凹凸部が大きい形状の瓦、瓦本体の肉厚の変化が大きい形状の瓦においては、プレス成形後の乾燥及び焼成工程時に歪みやヒケ、亀裂等が生起し易くなり、瓦製品としての歩留りの悪化を招来するという問題点があった。
そして、上記問題点を解消するために、プレス成形にあって、予備成形と本成形とを2回に別けて成形する手段が採用されているが、その予備成形と本成形に使用される成形金型は、2回の成形に対応するそれぞれの型面を形成した2組のものが用意されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の成形金型にあっては、上記したように、2回の成形に対応するそれぞれの型面を形成した2組のものが用意されることから、その成形プレス装置がそれぞれの成形金型を組付けた2台必要となり、必然的にその成形における設備投資費が多く費やされる結果、大量生産の瓦には対応できるものの、特殊な瓦や比較的少量生産の瓦の成形にあっては著しいコスト高となる等の問題点を招来し、対応できないのが現状である。
そこで、本発明は、上記した問題点に鑑み、一組の上型と下型により予備成形及び本成形に対応することによって、瓦本体の凹凸部が大きい形状の瓦、瓦本体の肉厚の変化が大きい形状の瓦製品の歩留りの低下(悪化)を未然に防止するとともに、予備成形と本成形とを2回に別けて成形する手段に対して多大な設備費を投じることなく簡易に対応することができる瓦用の成形金型を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を達成するために、請求項1の発明は、瓦用の成形プレス装置に組付けられる上型及び下型とからなる瓦用の成形金型であって、該上型或いは下型の成形すべき瓦の型面に対し、該成形すべき瓦の膨出部位に対応する部位に補助型部材を配設し、この補助型部材は前記成形すべき瓦の膨出部位の形状に対応した予備成形用型面と本成形用型面とを備えるとともに、プレス成形に際し、該予備成形用型面と本成形用型面とを選択可能に前記上型或いは下型の成形すべき瓦の型面に表出するように構成したことを特徴とするものである。
この構成によれば、一組の上型或いは下型の成形すべき瓦の型面に対し、瓦の予備成形時には補助型部材の予備成形用型面を表出してその予備成形に対応し、また、瓦の本成形時には補助型部材の本成形用型面を表出してその本成形に対応することができ、一組の上型と下型により予備成形及び本成形の2回のプレス成形に一台の成形プレス装置で対応することができる。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1記載の瓦用の成形金型であって、補助型部材は、その予備成形用型面を成形すべき瓦の膨出部位に対応する凹形状に形成し、かつ本成形用型面を成形すべき瓦の膨出形状に合致する凹形状或いは偏平面形状に形成したことを特徴とするものである。
この構成によれば、成形すべき瓦にあって、膨出部位の成形素地の押圧状態の粗密差を可及的に無くするものである。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1記載の瓦用の成形金型であって、補助型部材を上型或いは下型の型面に対して所定角度回動可能に装設し、この回動位置を制御することによって予備成形用の型面と本成形用型面とを選択して前記上型或いは下型の成形すべき瓦の型面に表出することを特徴としたものである。
この構成によれば、上記した請求項1と同様に、一組の上型或いは下型の成形すべき瓦の型面に対し、瓦の予備成形時及び本成形時に応じて補助型部材の予備成形用型面及び本成形用型面を表出してそれぞれの成形に対応することができるとともに、上型或いは下型の成形すべき瓦の型面に対する補助型部材における予備成形用型面及び本成形用型面の表出動作を簡単かつ円滑に遂行することができるものである。
【0007】
請求項4の発明は、請求項1記載の瓦用の成形金型であって、補助型部材の外周面に対し予備成形用型面と本成形用型面とを同一面上に形成するとともに、該補助型部材を上型或いは下型の型面に対して横方向の摺動可能に装設し、この摺動位置を制御することによって予備成形用型面と本成形用型面とを選択して前記上型或いは下型の成形すべき瓦の型面に表出することを特徴としたものである。この構成によれば、上記した請求項1と同様に、一組の上型或いは下型の成形すべき瓦の型面に対し、瓦の予備成形時及び本成形時に応じて補助型部材の予備成形用型面及び本成形用型面を表出してそれぞれの成形に対応することができるとともに、上型或いは下型の成形すべき瓦の型面に対する補助型部材における予備成形用型面及び本成形用型面の表出動作を簡単かつ円滑に遂行することができるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態について図にしたがって説明する。
図1〜図6において、予備成形及び本成形を行うための既存の瓦成形用プレス装置(図示しない)に組付けられる成形金型1は、一組の上型2及び下型3とから構成され、該上型2及び下型3の相対向する下面及上面には成形すべき瓦の形状に対応する下型型面2a及び上型型面3aがそれぞれ形成されている。
【0009】
そして、前記上型2の相対向する一方側(図1において左右側)の側面には平板状の長尺の側枠体4a,4aが垂下状態で取付けられ、また、下型3の相対向する一方側(図1において前後側)の側面には平板状の長尺の側枠体5a,5aが立設状態で取付けられている。
【0010】
しかして、上型2及び下型3は、その瓦成形作業に伴う押圧状態から型締め状態に至る間、上型2の側枠体4a,4aの内面が下型3の相対向する他方側(図1において左右側)の側周面に接触状態で嵌合されるとともに、下型3の側枠体5a,5aの内面が上型2の相対向する他方側(図1において前後側)の側周面に接触状態で嵌合され、上型2の上型型面2aと下型3の下型型面3aとそれぞれの側枠体4a,4a,5a,5aとで囲まれた空間部S(成形すべき瓦の形状となる空間部)が形成されるものである。
【0011】
前記下型3において、該下型3内に組込まれた補助型部材6は、型フレーム7と該型フレーム7内に組付けられた可動型部材8とからなり、この型フレーム7は所望の長さの直方体に形成されており、そのほぼ中心部には該中心部より若干上方変位した位置を中心とする断面真円状の取付孔9が長手方向に沿って貫設されていて、この取付孔9における型フレーム7上面側に対向する部位が開放され、これにより、該型フレーム7上面には所定の幅の開口部10がその長手方向に沿って形成されるものである。
【0012】
前記可動型部材8は、型フレーム7における取付孔9と合致する断面真円の円柱状に形成されるとともに該取付孔9内に回動可能に嵌挿されており、その外周の相対向する2箇所には予備成形用型面11と本成形用型面12とが180度の変位した位置にその長手方向に沿って形成されて前記型フレーム7の開口部10にそれぞれ表出されるようになっている。
【0013】
前記予備成形用型面11は、型フレーム7の開口部10に表出位置された状態において、該型フレーム7の上面と同一面上に位置するように形成された偏平面11aと、該偏平面11aの中央部に長手方向に沿って形成された成形すべき瓦の膨出部位に対応する凹部11b(本実施の形態にあっては、図4に示すように、成形すべき瓦の表面に形出するほぼ椀形状に対応する円弧状の凹部)とからなる。また、本成形用型面12は、型フレーム7の開口部10に表出位置された状態において、該型フレーム7の上面と同一面上に位置するように形成された偏平面12a(本実施の形態にあっては、図4に示すように、成形すべき瓦の表面に形出するほぼ椀形状に対応する裏面が偏平面である)となしている。
【0014】
前記型フレーム7には、前記取付孔9の一方側端部にモータ収納の空所9aが該取付孔9に対し隔壁13にて区画形成されており、この空所9a内には小型のステップモータ14が組付けられており、そのモータ軸14aは隔壁13を貫通して前記可動型部材8の中心部に臨み、回転を伝達するように構成されている。
【0015】
しかして、可動型部材8は型フレーム7の取付孔9内においてその内周面(取付孔9)と外周面(可動型部材8)との摺接面を案内としてモータ軸14aを介してステップモータ14の駆動により少なくとも180度の範囲で間欠回動するように制御されている。
【0016】
そして、上記した構成の補助型部材6は、下型3の下型型面3aに対し、成形すべき瓦の膨出部位に対応する位置に組込まれるものである。すなわち、該下型3の下型型面3aにおける成形すべき瓦の膨出部位に対応する位置(本実施の形態にあっては、図4に示すように、成形すべき瓦がその表面の瓦の流れ方向に沿ってほぼ椀形状の膨出部が2個所所定の間隔で形出される形状であり、この2箇所の膨出部に対応する位置)に該補助型部材6の型フーム7に合致する角孔状の装着孔15,15がそれぞれ貫設され、この装着孔15,15内に型フレーム7の開口部10を有する上面を該下型型面3aより僅かに低くした状態でそれぞれ組付け装着されるものである。
【0017】
なお、下型3に対する補助型部材6の組付け装着された状態では、該下型型面3aに対し、型フレーム7の上面及びと可動型部材8における予備成形用型面11と本成形用型面12との偏平面11a,12asとが僅かに低く位置されるが、実際のプレス成形時には、その低くなった部位全体に伸縮性に富む比較的薄いゴム等からなる被覆部材16が予め装着されていて、該下型型面3aと同一面上に位置するようになすとともに、該被覆部材16によって型フレーム7の取付孔9と可動型部材8との摺接面に瓦の成形素地である例えば、粘土が入込むことを未然に防止するように構成されるものである。
【0018】
上述のように構成された一組の上型2及び下型3からなる成形金型1にあっては、瓦用の成形プレス装置(図示しない)に組付けられるものであり、この上型2と下型3のそれぞれの型面は成形すべき瓦の形状(本実施の形態にあっては、図4に示すように、成形すべき瓦Wはその表面に瓦の流れ方向に沿ってほぼ椀形状の膨出部w1,w1が2個所所定の間隔で形出され、該膨出部w1,w1に対向する瓦の裏面が偏平面である形状)に対応して形成されており、この下型3の下型型面3a上に粘土からなる瓦の成形素地を載置し、下降される上型2によって該成形素地を加圧しながらプレス成形するものであり、このプレス成形が予備成形及び本成形として2回行われるものである。
【0019】
さて、予備成形時にあって、補助型部材6は、その下型3に対して上記成形すべき瓦Wの形状、すなわち、膨出部w1,w1に対応して2個所組付け装着されるものであり、それぞれの両補助型部材6における可動型部材8の予備成形型面11を型フレーム7の開口部10に位置させて表出するものである。すなわち、ステップモータ14を回転駆動すると、該ステップモータ14の回転制御によって、可動型部材8が取付孔9内においてその内周面と外周面との摺接面を案内として回動され、該可動型部材8の予備成形型面11が型フレーム7の開口部10に位置したときにその回動が停止されて、予備成形型面11を型フレーム7の開口部10に表出位置するものである。
【0020】
この場合、下型型面3aに対する可動型部材8の予備成形型面11及び型フレーム7の上面が若干低くなっているので、同部位に予め被覆部材16を装着するものである。
【0021】
そこで、上述したように、下型3の下型型面3a上に粘土からなる瓦の成形素地を載置し、下降される上型2によって該成形素地を加圧しながら予備成形のプレス成形を行い、成形すべき瓦Wの予備成形がなされる。この場合、成形すべき瓦Wの膨出部w1,w1に対応する下方の部位は、補助型部材6における可動型部材8の予備成形型面11がそれぞれ位置されているため、該予備成形型面11の凹部11b内に成形素地が入り込んだ形状でプレス成形される(図5(a)参照)。そして、上型2で形成された膨出部w1,w1とこの予備成形型面11の凹部11bで形成された膨部とは他の偏平部位に比して肉厚となるため、その内部の押圧状態は該偏平部位に比して粗状態となる。(図3、図5(b)参照)
【0022】
ついで、上述した予備成形が終了すると、上型2が上昇されて次の本成形に待機する。
この本成形時にあって、ステップモータ14を180度の範囲まで回転駆動すると、補助型部材6における可動型部材8は該ステップモータ14の回転制御によって180度回動(反転状態)される。これによって、可動型部材8は前述の予備成形型面11にかわって本成形用型面12が型フレーム7の開口部10に表出位置される。この場合、可動型部材8の回動に伴って、被覆部材16は可動型部材8の予備成形型面11から離されるとともに、可動型部材8の外周に沿って上方へ若干持ち上げられ、再び該可動型部材8の本成形用型面12上に載置されるものである。また、上記した予備成形を終えた成形素地にあっても回動する可動型部材8の外周によって上方へ若干持ち上げられ、再び該下型3の下型型面3a上に載置されるものである。
【0023】
そして、再び、上型2が下降され、予備成形を終えた成形素地を加圧しながら本成形のプレス成形を行い、成形すべき瓦Wが成形される。この場合、成形すべき瓦Wの表面に形出するほぼ椀形状の膨出部w1,w1に対応する裏面が偏平面であるから、該成形すべき瓦Wの膨出部w1,w1に対応する下方の部位は、補助型部材6における可動型部材8の本成形型面12の偏平面11bがそれぞれ位置されて前述した予備成形で形成された膨部が平面状にプレス成形される(図6(a)参照)。そして、上型2で形成された膨出部w1,w1に対応して予備成形型面11の凹部11bで形成された膨部が平面状にプレス成形されることにより、該膨出部w1,w1の内部の押圧状態は他の部位と同様に均一密状態となる(図6(b)参照)。
【0024】
ここに、一組の上型2及び下型3からなる成形金型1を組付けた一台の瓦成形用プレス装置により、瓦の表面に膨出部w1,w1を有する成形すべき瓦Wにあって、そのプレス成形された内部の押圧状態が密状態で均一化された製品が得られるものである。
【0025】
次に、本発明の第2の実施の形態について図7〜図10にしたがって説明すると、この実施の形態は、前述した第1の実施の形態において説明した補助型部材6における可動型部材8の本成形型面12の形状を変更した場合であって、この場合は、図10に示すように、成形すべき瓦WAにあって、該瓦の裏面に瓦の流れ方向に沿ってほぼ台形状の膨出部wa1,wa1が2個所所定の間隔で形出され、該膨出部wa1,wa1に対向する瓦の表面が偏平面である形状に対応するものでる。
【0026】
すなわち、補助型部材6における可動型部材8の本成形型面12は、型フレーム7の上面と同一面上に位置するように形成された偏平面12aと、該偏平面12aの中央部に長手方向に沿って形成された成形すべき瓦waの膨出部wa1,wa1部位に対応するほぼ台形状の凹部12bとから構成したものであり、その余の構成は前述した第1の実施の形態と同様であるので、同一の部材については図中同符号を付してその具体的な説明を省略する。
【0027】
したがって、この実施の形態にあっては、前述した第1の実施の形態と同様の作用効果を享受するものであるが、予備成形状態にあっては、成形すべき瓦Waの膨出部wa1,wa1に対応する部位に補助型部材6における可動型部材8の予備成形型面11がそれぞれ位置されているため、該予備成形型面11の凹部11bにより製品としての膨出部wa1,wa1より若干肉厚の形状でプレス成形されるものであり(図8(a)参照)、この予備成形型面11の凹部11bで形成された膨部とは他の偏平部位に比して肉厚となるため、その内部の押圧状態は該偏平部位に比して粗状態となる(図8(b)参照)。
【0028】
また、本成形にあっては、成形すべき瓦Waの膨出部wa1,wa1に対応する部位に補助型部材6における可動型部材8の本成形型面12のほぼ台形状の凹部12bにより前述した予備成形で形成された膨部が製品としてのほぼ台形状の膨出部wa1,wa1にプレス成形される(図9(a)参照)。そして、この膨出部wa1,wa1に対応して予備成形型面11の凹部11bで形成された膨部が本成形型面の凹部12aにより製品形状にプレス成形されることにより、該膨出部wa1,wa1の内部の押圧状態は他の部位と同様に均一密状態となる(図9(b)参照)。
【0029】
ここに、一組の上型2及び下型3からなる成形金型1を組付けた一台の瓦成形用プレス装置により、瓦の裏面に膨出部wa1,wa1を有する成形すべき瓦Waにあって、そのプレス成形された内部の押圧状態が密状態で均一化された製品が得られるものである。
【0030】
さらに、本発明の第3の実施の形態を図11〜図13について説明すると、この実施の形態は、前述した第1の実施の形態における補助型部材6の可動型部材8を水平方向に摺動可能に設けた態様であり、成形すべき瓦Wbの上面にほぼ台形状の膨出部Wb1を有し、かつ該膨出部Wb1に対応する裏面側が偏平面(平面)状となした形状の瓦に対応するもので、その余の構成は前述した第1の実施の形態と同様であるので、同一の部材については図中同符号を付してその具体的な説明を省略する。
【0031】
すなわち、この第3の実施の形態にあっては、可動型部材8Aが断面矩形状の比較的長尺物から形成され、かつ型フレーム7Aに対して水平方向に摺動可能に装設されていて、下型3に対してその下型型面3aに該可動型部材8Aの上面が同一面となるように、側枠体5a,5aを貫通して組付けられている。この可動型部材8Aの上面は全体的に偏平面(平面)状となし、その一部には成形すべき瓦Wbの上面に形成されるほぼ台形状の膨出部Wb1に対応する位置に円弧状の凹部11bとなした予備成形型面11Aが形成され、そして、該予備成形型面11Aを下型3の下型型面3aから脱した位置には前述の成形すべき瓦Wbの偏平面(平面)状の裏面に対応する前記偏平面(平面状)12aとなした本成形型面12Aが形成されている。
【0032】
したがって、この実施の形態にあって、予備成形状態にあっては、成形すべき瓦Wbの膨出部wb1に対応する部位に補助型部材6における可動型部材8Aを所望の手段を介して水平方向に移動してその予備成形型面11Aを対向位置させて前述の実施の形態と同様に該予備成形型面11Aの凹部11b内に成形素地が入り込んだ形状で予備成形のプレス成形される(図11(a)参照)。そして、上型2で形成された膨出部wb1と予備成形型面11Aの凹部11bで形成された膨部とは他の偏平部位に比して肉厚となるため、その内部の押圧状態は該偏平部位に比して粗状態となる。(図11(b)参照)
【0033】
また、本成形にあっては、補助型部材6Aにおける可動型部材8Aを所望の手段を介して水平方向に移動して予備成形型面11Aを下型3の下型型面3aから脱した位置にするとともに、成形すべき瓦Wbの膨出部wb1に対応する部位に該可動型部材8Aの本成形型面12Aの偏平面12aを位置させて前述の実施の形態と同様に本成形を行うものである。この場合、成形すべき瓦Wbの表面に形出するほぼ台形状の膨出部wb1に対応する裏面が偏平面であるから、該成形すべき瓦Wbの膨出部wb1に対応する下方の部位は、補助型部材6Aにおける可動型部材8Aの本成形型面12Aの偏平面11bがそれぞれ位置されて前述した予備成形で形成された膨部が平面状にプレス成形される(図12(a)参照)。そして、上型2で形成された膨出部wb1に対応して予備成形型面11Aの凹部11bで形成された膨部が平面状にプレス成形されることにより、該膨出部wb1の内部の押圧状態は他の部位と同様に均一密状態となる(図12(b)参照)。
【0034】
ここに、一組の上型2及び下型3からなる成形金型1を組付けた一台の瓦成形用プレス装置により、瓦の表面に膨出部wb1を有する成形すべき瓦Wbにあって、そのプレス成形された内部の押圧状態が密状態で均一化された製品が得られるものであり、その余の作用効果は前述した第1の実施の形態と同様の作用効果を享受するものである。
【0035】
なお、上述した第1〜第3の実施の形態において、補助型部材6,6Aを下型3に装設した態様について説明したが、これに代えて上型2に対して下型3と同様に装設することができるものであり、成形すべき瓦における膨出部に対応するそれぞれの予備成形型面11,11Aと本成形型面12,12Aの形状も図示のものには限定するものではない。
【0036】
また、上述した第1及び第2の実施の形態において、補助型部材6における可動型部材8に対して180度変位して予備成形型面11と本成形型面12とを形成したが、これを90度ずつ変位して4面にそれぞれ型面を形成してもよく、この場合は、該可動型部材8の回転範囲の位置制御を行うステップモータ14もそれに対応する制御を行うものである。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明にあっては、一組の上型或いは下型の成形すべき瓦の型面に対し、瓦の予備成形時には補助型部材の予備成形用型面を表出し、また、瓦の本成形時には補助型部材の本成形用型面を表出してそれぞれのプレス成形に対応することができる。
このことは、一組の上型及び下型からなる成形金型を組付けた一台の瓦成形用プレス装置により予備成形及び本成形の2回の成形に対応することができ、瓦本体の凹凸部が大きい形状の瓦、瓦本体の肉厚の変化が大きい形状の瓦製品をそのコスト高となる要因を可及的に押さえて簡易に製造することができる。
【0038】
また、請求項2にあっては、成形すべき瓦の膨出部位における内部の押圧状態の粗密差を可及的に無くすることができ、製品の歩留りの低下(悪化)を未然に防止することができる。
【0039】
そして、請求項3及び4にあっては、上型或いは下型の成形すべき瓦の型面に対する補助型部材における予備成形用型面及び本成形用型面の表出動作を簡単かつ円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示す成形金型の斜視図である。
【図2】第1の実施の形態を示す成形金型の縦断面図である。
【図3】図2のIII −III 線断面図である。
【図4】第1の実施の形態を示す成形すべき瓦の斜視図である。
【図5】(a)は第1の実施の形態における予備成形を示す成形金型の断面図である。
(b)は予備成形品を示す断面図である。
【図6】(a)は第1の実施の形態における本成形を示す成形金型の断面図である。
(b)は本成形品を示す断面図である。
【図7】第2の実施の形態を示す成形金型の縦断面図である。
【図8】(a)は第2の実施の形態の予備成形を示す図7のVIII−VIII線断面図である。
(b)は予備成形品を示す断面図である。
【図9】(a)は第2の実施の形態における本成形を示す成形金型の断面図である。
(b)は本成形品を示す断面図である。
【図10】第2の実施の形態を示す成形すべき瓦の斜視図である。
【図11】(a)は第3の実施の形態における予備成形を示す成形金型の断面図である。
(b)は予備成形品を示す断面図である。
【図12】(a)は第3の実施の形態における本成形を示す成形金型の断面図である。
(b)は本成形品を示す断面図である。
【図13】第3の実施の形態を示す成形金型の断面図である。
【符号の説明】
1 成形金型
2 上型
3 下型
3a 下型型面
6,6A 補助型部材
8,8A 可動型部材
11,11A 予備成形型面
12,12A 本成形型面
W,Wa,Wb 成形すべき瓦
w1,wa1,wb1 膨出部

Claims (4)

  1. 瓦用の成形プレス装置に組付けられる上型及び下型とからなる瓦用の成形金型であって、該上型或いは下型の成形すべき瓦の型面に対し、該成形すべき瓦の膨出部位に対応する部位に補助型部材を配設し、この補助型部材は前記成形すべき瓦の膨出部位の形状に対応した予備成形用型面と本成形用型面とを備えるとともに、プレス成形に際し、該予備成形用型面と本成形用型面とを選択可能に前記上型或いは下型の成形すべき瓦の型面に表出するように構成したことを特徴とする瓦用の成形金型。
  2. 請求項1記載の瓦用の成形金型であって、補助型部材は、その予備成形用型面を成形すべき瓦の膨出部位に対応する凹形状に形成し、かつ本成形用型面を成形すべき瓦の膨出形状に合致する凹形状或いは偏平面形状に形成したことを特徴とする瓦用の成形金型。
  3. 請求項1記載の瓦用の成形金型であって、補助型部材の外周面に対し予備成形用型面と本成形用型面とを所定の角度変位させて形成するとともに、該補助型部材を上型或いは下型の型面に対して所定角度回動可能に装設し、この回動位置を制御することによって予備成形用型面と本成形用型面とを選択して前記上型或いは下型の成形すべき瓦の型面に表出することを特徴とした瓦用の成形金型。
  4. 請求項1記載の瓦用の成形金型であって、補助型部材の外周面に対し予備成形用型面と本成形用型面とを同一面上に形成するとともに、該補助型部材を上型或いは下型の型面に対して横方向の摺動可能に装設し、この摺動位置を制御することによって予備成形用型面と本成形用型面とを選択して前記上型或いは下型の成形すべき瓦の型面に表出することを特徴とした瓦用の成形金型。
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