JP3626078B2 - 車両の車体弾性振動防止方法および同車体構造 - Google Patents

車両の車体弾性振動防止方法および同車体構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数体の所定幅を有するアルミニウム(以下、アルミともいうが、アルミにはアルミニウム合金も含むものとする)製中空押出型材の押出方向を車体の長手方向に揃えて配置し溶接により車幅方向に一体に接続してなる床板を備えた台枠をもつ車両、特に鉄道車両用構体に関し、詳しくは走行時に発生するおそれのある車体の弾性振動の防止方法と、同防止方法を施した車両の車体構造とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、軽量化を図るためにアルミ製の押出型材を用いた鉄道車両が製作されてきている。アルミの押出型材は成形技術の向上により、型材の大型化に加えて、複雑な形状をもつ特に中空型材の押し出し成形が可能になっている。
【0003】
このため、床板については中空押出型材を組み合わせて製作することにより、横梁を省くことが可能になって、軽量化が図れ、製作工数が低減され、コストダウンが図られている。つまり、図9および図10に示すように、所定幅の4本の中空押出型材11と狭い幅の1本の中空押出型材11’とを用いてそれらの押出方向を車体の台枠2の長手方向に揃えて配置し、溶接により車幅方向に一体に接続することにより床板3’を製作し、この床板3’の両側にはアルミの中空押出型材13からなる側梁4を長手方向にわたって溶接により一体に接合し、前後両端にアルミの端梁5を一体に連設して台枠2を製作している。なお、台枠2の長手方向の端部寄りには、台車(不図示)を取り付けるための枕梁6を長手方向に直交する方向に一体に固設している。台枠2の床板3’は、強度的には従来の横梁を備えた床板と同等であり、その上、通常は中空押出型材11の下面に機器取付用の蟻溝部12を一体に突設している。このため、例えば図11に示すように、蟻溝部12を利用して取付部材15を介して各種機器16〜18を簡単にかつ確実に装着することができ、機器配置や床下艤装を施工する際に非常に便利である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したアルミ製の中空押出型材11・11’・13を用いて製作された床板3’を備えた鉄道車両は、次のような点で改良すべき余地がある。すなわち、
▲1▼ 走行時に車体の弾性振動と見られる異常な振動が発生することがあり、乗り心地に影響を及ぼす。図6(a)は時速90kmで走行時の非駆動系車両における床板の長手方向の中央部付近の上下振動波形を示すもので、波形高さにおいて最大0.17gの振動が発生している。
【0005】
▲2▼ 特に、床下に機器を搭載していないか、していても僅かな機器しか備えていないグリーン車用車両や非駆動系車両の場合に、異常振動が発生し易く、乗り心地の向上が要望されている。図7(a)はゴムタイヤにより時速70kmで走行時の地下鉄用車両における床板の長手方向の中央部付近での床上で発生した振動を解析した図表で、図表における略V形状の乗り心地判定線(3)は悪い、同判定線(2)は普通、同判定線(1.5)は良い、同判定線(1)は非常に良いを表している。同図表に示すようにびびり振動と称される高周波振動(8〜20Hz)が大きく、乗り心地が普通の状態を表す判定線(2)を超えており、これが乗客に不快感を与えて乗り心地を悪くしている。また、図8(a)は時速90kmで走行時の非駆動系鉄道車両における床板の長手方向の中央部付近での床上で発生した振動を解析した図表で、図7(a)の場合と同様にびびり振動と称される高周波振動が大きく、これが乗客に不快感を与えて乗り心地を悪くしている。
【0006】
▲3▼ アルミ製の車両は、素材のもつ特性の一つである構造減衰が少ないことに起因して車体の弾性振動が起こり易く、またこのような弾性振動は車体の主に長手方向の剛性に起因して発生するものと一般的には考えられている。
【0007】
▲4▼ ▲3▼の考え方に基づき車体の長手方向の剛性を向上するには、例えば台枠や車体の長手方向に補強材を配設する必要があるため、構造的に複雑になるなど弾性振動を容易には抑えられない。
【0008】
▲5▼ 特許第2855735号公報に示すように、床板の下方において長手方向の中央位置から前後に車体長さの1/4の範囲内に車体質量の3〜15%の範囲にある複数の重り又は床下機器を防振ゴムを介して支持させることにより、車体の曲げ振動を防止する装置が提案されている。しかし、この装置の場合には、車体質量の3〜15%の重り又は床下機器を床板の下方に設ける必要があるため、車体の軽量化を図るのに反するうえ、所定重量の重り又は床下機器を所定のバネ力で弾性支持させることにより特定のダイナミックダンパーを構成しなければならないので、調整が困難で時間がかかる。
【0009】
この発明は上述の点に鑑みなされたもので、床板等の重量の増加を最小限に抑えたうえで、床板の剛性を向上することにより撓み変形を減少でき、床板の弾性振動を起こりにくくし、車体の弾性振動の発生を防止できる方法と車両の弾性振動防止用車体構造とを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明に係る車両の車体弾性振動防止方法は、下向きに突出した蟻溝部を下面の長手方向に連続して備えた複数本の所定幅を有するアルミニウム製中空押出型材の押出方向を車体の長手方向に揃えて配置し溶接により車幅方向に一体に接合し、横梁を具備していない床板で、非駆動系車両の床板に実施して時速90kmの速度での走行時に測定した場合に、床板上の長手方向の中央部付近の上下振動波形において7〜11Hz付近の高周波振動の振動加速度が高くてその波形のp−p( Peak to Peak :正の波高値から負の波高値までの)値が最大で0.17g前後になる床板を備えた台枠をもつ車両の車体弾性振動防止方法において、
前記床板下面の長手方向の中央位置にだけ弾性振動防止用横梁を接合する箇所の、床板を構成する前記中空押出型材の蟻溝部を前記横梁の床板接合部分の幅以上にあらかじめ切除したうえ、前記横梁を前記床板下面の車体の長手方向とほぼ直交する方向に配置し、前記台枠の床板下面であり同床板両側に設けた側梁間に跨って一体に固定することを特徴とするものである。
【0011】
上記の構成を有する本発明に係る車両の車体弾性振動防止方法によれば、車体の長手方向の中央部の長手方向にほぼ直交する方向の弾性振動防止用の横梁のみにより床板の剛性が向上し、床板に作用する負荷荷重による床板の撓み変形が減少する。この結果、床板を構成する中空押出型材の特に上面(上板)の長手方向の中央部分で発生し易かった弾性振動が起こりにくくなり、車体の弾性振動の発生も低減される。したがって、車両走行時に発生するおそれのある高周波振動である車体のびびり振動が低く抑えられるため、乗客の乗り心地が大幅に改善され、良好になる。また、構造的には床板下面の長手方向の中央部のみに車幅のほぼ全長にわたって弾性振動防止用の横梁を設ければよいので、構造が簡単であり、しかも重量増加が横梁の荷重だけですむため、車体全体の軽量化の妨げにはなりにくい。
【0012】
請求項2に係る車両の車体構造は、下向きに突出した蟻溝部を下面の長手方向に連続して備えた複数体の所定幅を有するアルミニウム製中空押出型材の押出方向を車体の長手方向に揃えて配置し溶接により車幅方向に一体に接続し、横梁を具備していない床板で、非駆動系車両の床板に実施して時速90kmの速度での走行時に測定した場合に、前記床板上の長手方向の中央部付近の上下振動波形において7〜11Hz付近の高周波振動の振動加速度が高くてその波形のp−p値が最大で0.17g前後になる床板および該床板の両側に所定幅を有するアルミニウム製中空押出型材の側梁を備えた台枠をもつ車両の車体構造において、
前記床板下面の長手方向の中央位置にだけ弾性振動防止用横梁を接合する箇所の、床板を構成する前記中空押出型材の蟻溝部を前記横梁の床板接合部分の幅以上にあらかじめ切除したうえ、前記横梁を前記床板下面の車体の長手方向とほぼ直交する方向に配置し、前記台枠の床板下面であり同床板両側に設けた側梁間に跨って一体に固定したことを特徴としている。
【0013】
本発明に係る車両の車体構造によれば、請求項1に記載の方法による上記した作用と同様の作用が生じる。つまり、車両走行時の車体の弾性振動が発生しにくなるとともに、アルミの中空押出型材を使用したことによる車両の軽量化がほとんど妨げられない。
【0016】
請求項3に係る車両の車体構造は、下向きに突出した蟻溝部を下面の長手方向に連続して備えた複数体の所定幅を有するアルミニウム製中空押出型材の押出方向を車体の長手方向に揃えて配置し溶接により車幅方向に一体に接続し、横梁を具備していない床板で、非駆動系車両の床板に実施して時速90kmの速度での走行時に測定した場合に、前記床板上の長手方向の中央部付近の上下振動波形において7〜11Hz付近の高周波振動の振動加速度が高くてその波形のp−p値が最大で0.17g前後になる床板および該床板の両側に横向きに突出した蟻溝部を内側面の長手方向に連続して備えた所定幅を有するアルミニウム製中空押出型材の側梁を備えた台枠をもつ車両の車体構造において、
前記床板下面の長手方向の中央位置にだけ弾性振動防止用横梁を前記蟻溝部に交叉させ車体の長手方向に直交して配置し、前記横梁を前記床板および前記側梁の各蟻溝部を利用してボルト・ナット等の固定具により取り付けたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項4記載の車体構造によれば、中空押出型材には通常、蟻溝部が一体に突設されているため、それらの蟻溝部を用いることによりボルト・ナットなどの固定具によって補強用横梁を床板に着脱可能に固定でき、しかも床板と横梁の固定面(接合面)で剪断力を相互に伝達でき、溶接による接合の場合とほぼ同様に床板の剛性を向上できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る車両の車体弾性振動防止方法と弾性振動防止用車体(の構造)について実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明を鉄道車両の車体の台枠に適用した実施例を示す全体平面図、図2は図1のA−A線拡大断面図および図1のB−B線拡大断面図である。
【0022】
図1あるいは図2に示すように、台枠1は複数種のアルミの中空押出型材を組み合わせて製作されるもので、基本構成は上記した従来構造からなる。すなわち図2に示すように、床板3を構成するアルミの中空押出型材11は開口断面が略三角形の山形枠を上下の向きを変えて一体に連設して中央部分11aを形成するとともに、端部に開口断面が略五角形の枠11bを一体に連設し、最端に略コの字状枠11cを外向きに一体に突設し、下向きの山形枠の下面付近に長手方向に沿って蟻溝部12を下向きに一体に突設した構造からなる。この構造の4本の中空押出型材11とは別に、中空部の形状の異なる幅の狭い中空押出型材11’が床板3の幅方向の中央部に配置され、両側に中空押出型材11が2本ずつ溶接により一体に接合され、床板3が形成されている。また床板3の左右両側には、開口断面が略四角形の枠13aおよび略台形の枠13bを上下に一体に連設したアルミの中空押出型材13からなる側梁4が配置され、側梁4の上部内側には各最端の中空押出型材11の略コの字状枠11cを外側あるいは内側から嵌合できるように略コの字状枠13cを内向きに一体に突設してあり、図2のように溶接により一体に接合されている。また、側梁4の上面には、車体の側構体(不図示)を上から被せるように取り付けるための突状片13eが長手方向にかつ上向きに一体に突設されている。
【0023】
さらに床板3の下面の長手方向の両端寄りには、枕梁6が側梁4間に溶接により一体に連設されているが、枕梁6もアルミの中空押出型材で一体に成形されている。また、床板3の前後両端には、アルミの端梁5が溶接により一体に接合されている。
【0024】
ここまでは、従来の台枠2(図9参照)と変わらないが、本例においては、台枠1の長手方向に直交する方向に3本のアルミの補強用横梁7が一体に接合されている。つまり、各横梁7は図2(b)のように断面「コ」の字形で、床板3の下面に両側の側梁4間に跨がって溶接により一体に接合されている。また、横梁7を接合する際には、横梁7が接合される箇所において床板3を構成する各中空押出型材11の蟻溝部12を、横梁7の幅以上にあらかじめ切除したのち、蟻溝部12に直交する方向に配置している。各横梁7は図2(a)に示すように床板3の下面より側梁4の下端に至る高さを有し、床板3の下方の空間を一定の幅でおおむね占有している。
【0025】
以上のようにして本例の車体の台枠1が構成されるが、断面「略ユ」の字形の補強用横梁7を長手方向に間隔をあけて3本溶接により固設しただけの簡単な構造からなる。しかし、これによる弾性振動の防止効果は次のように極めて高い。つまり従来のアルミ製台枠2(図10参照)を備えた鉄道車両では、時速90kmでの走行時に車体の長手方向中央部で上下振動を測定したところ、図6(a)に示すように波形の高さ(p−p値)が最大で0.17g程度であったものが、後述する第4実施例に係る台枠1(図5参照)を備えた鉄道車両が図6(b)のように0.12g程度に低減されているので、上記実施例の台枠1は横梁7の設置本数が多いので本例における台枠1の振動低減効果はそれ以上であると推測される。また、走行時に車体の長手方向中央位置で床板上の上下方向振動を測定した場合の周波数と振動加速度との関係から明らかなように、従来のアルミ製台枠2(図9参照)を備えた車両では図7(a)のように8〜20Hz付近の高周波振動が高くて乗り心地が悪かった。つまり、高周波振動の振動加速度の最大値が乗り心地が普通の状態を表す判定線(2)を超えている。これに対して、上記実施例の台枠1を備えた鉄道車両では図7(b)のように高周波振動の振動加速度の最大値が乗り心地が良好の状態を表す判定線(1.5)と非常に良好な状態を表す判定線(1)との間の領域まで低減され、乗り心地が大幅に改善された。
【0026】
図3は本発明の他の実施例を示す断面図で、図2に対応している。図3に示すように、本例では、側梁4の中空押出型材13の内側面下部に蟻溝部14が内向きにかつ長手方向に突設されている。補強用横梁8は、図3(b)のように断面”コ”の字形で、両側の側梁4・4間に跨がって固定具で一体に固定される。横梁8は前後方向から見て図3(a)のように上部両側が下向きに傾斜し、上面が水平で、上面の各中空押出型材11の蟻溝部12に対応する位置にボルト孔8aが穿設されるとともに、ボルト孔8aの両側に蟻溝部12の外側に一対の嵌合片8bが嵌合可能に突設されている。また横梁8の両側には、中空押出型材13の蟻溝部14に対応する位置にボルト孔8cが穿設されている。
【0027】
そして、各蟻溝部12又は14内にボルト21の頭部21aを嵌入し、各ネジ部21bを蟻溝部12又は14の開口aから突出させるとともに対応するボルト孔8a・8cに挿入し、ワッシャー23を介してナット22をネジ部21bに螺合して締め付けることにより横梁8を台枠1に一体に固定している。本例の場合、横梁8の材質は溶接により固定する場合と違って制限されないので、アルミ、アルミ合金のほか、鉄やステンレスなどを使用できる。ただし、軽量化を考えると、アルミあるいはアルミ合金が望ましい。
【0028】
図4は本発明のさらに他の実施例を示す断面図で、図2、図3に対応している。図4に示すように、本例でも、図3に示す実施例と同様に、床板3の各中空押出型材11の蟻溝部12および側梁4の中空押出型材13の蟻溝部14を用いて横梁9を一体に固定しているが、次のところが相違している。つまり補強用横梁9は、図4(b)のように断面”コ”の字形であるが、高さが横梁8の半分と低く、床板3の各中空押出型材11の蟻溝部12に対しては、横梁9の上面に台形状の台座9aを一体に突設し、台座9aの上面に突起部9bを形成してこの突起部9bを蟻溝部12の開口aに圧入することにより一体に接合している。したがって、本例では、床板3と横梁9との間に空間部V(図4(a))が形成されるので、台枠1の長手方向に配管等を艤装する場合に、横梁9の影響を受けにくい。本例の場合も、横梁9の材質は溶接により固定する場合と違って制限されないので、アルミ、アルミ合金のほか、鉄やステンレスなどを使用できるが、突起部9bを蟻溝部12の開口aに圧入することと車体の軽量化とを考慮すると、アルミあるいはアルミ合金が望ましい。なお、図中の符号9cは横梁9に穿設されたボルト孔である。
【0029】
図5は本発明の構造のもっとも簡単な実施例を示す断面図で、本例の場合には図5(a)に示すように、床板3の下面の長手方向の中央位置にだけ補強用横梁7’を側梁4・4間に跨がって直交する方向に溶接により一体に設けている。横梁7’は図5(b)のように、断面略T形の下端に断面略L形の上端を一体に連結した形状からなり、床板3の各中空押出型材11の蟻溝部12の一部を切除したのち、溶接により接合している。本例の場合に、車体の長手方向の中央位置における床上の上下振動は図6(b)に示すように振動波形の最大高さが0.12gまで低減されており、図1〜図4に示す実施例とほぼ同様の効果(図6(b)参照)、すなわち走行時に車体中央部付近での上下振動が低減され、高周波のびびり振動の発生が抑えられて乗り心地が改善されるという効果が得られる。また、従来のアルミ製車輌では図8(a)のように7〜11Hz付近の高周波振動が高くて乗り心地が悪かった。つまり、高周波振動の振動加速度の最大値が乗り心地が悪い状態を表す判定線(3)を超えていたが、これに対して、上記実施例の台枠1を備えた鉄道車両では図8(b)のように高周波振動の振動加速度の最大値が乗り心地が普通の状態を表す判定線(2)と良好な状態を表す判定線(1.5)との間の領域まで低減され、乗り心地が大幅に改善された。なお、図8の周波数(横軸)において3.0Hz以下の低周波数は主に台車と車体間に介設されている空気バネ(不図示)により発生する上下振動を、また4.0〜7.0Hz付近の中周波数は主に車軸と台車枠間に介設されている軸バネ(不図示)により発生する上下振動をそれぞれ表している。
【0030】
以上に本発明の複数の実施例を示したが、本発明は下記のように実施することもできる。
【0031】
▲1▼ 車両走行時に発生する車体の弾性振動は主に長手方向の中央位置で起こっているので、床板3の下面において少なくとも長手方向の中央位置に補強用横梁を設ければよいが、中央位置以外にも長手方向に間隔をあけて複数本設ければ振動の発生がさらに低減される。
【0032】
▲2▼ 上記実施例では、各横梁を車体の長手方向に直交する方向に設けたが、図示は省略するが一対の横梁を長手方向に対し45゜以上の角度で交差させて設けても、同様の効果が達成される。この場合も、長手方向の中央位置に限らず、長手方向に所定の間隔をあけて複数組設けることもできる。
【0033】
▲3▼ 本発明は主として鉄道用車両に適用されるが、一般道路を走行するトロリーバスなどの自動車にも適用できる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明に係る車両の車体弾性振動防止方法および弾性振動防止用車体構造には、次のような優れた効果がある。
【0035】
(1)請求項1の発明では、床板の剛性が向上し、床板に作用する負荷荷重による床板の撓み変形が減少するため、床板を構成する中空押出型材の特に上面(上板)の長手方向の中央部分で発生し易かった弾性振動が起こりにくくなり、車体の弾性振動が低減される。したがって、車両走行時に発生し易い高周波のびびり振動が低く抑えられるため、乗客の乗り心地が大幅に改善され、良好になる。また、構造的には床板の下方に補強用横梁を設けるだけであるから、重量増加が横梁の荷重だけになり、車体全体の軽量化を図るうえでほとんど支障がない。
【0036】
(2)請求項2の発明によると、請求項1に記載の方法による上記した作用と同様の作用が生じる。つまり、車両走行時の車体の弾性振動が発生しにくくなるとともに、アルミの中空押出型材を使用したことによる車両の軽量化がほとんど妨げられない。
【0038】
(3)請求項3の発明では、中空押出型材に一体に突設されている蟻溝部を用いることによりボルト・ナットなどの固定具によって補強用横梁を床板に着脱可能に固定でき、しかも床板と横梁の接合面で剪断力を相互に伝達できるため、強度的にも溶接接合に比べてほとんど劣らない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を鉄道車両の車体の台枠に適用した実施例を示す全体平面図である。
【図2】図2(a)は図1のA−A線断面図で、図2(b)は図1のB−B線断面図である。
【図3】図3(a)(b)はそれぞれ本発明の他の実施例を示す断面図で、図2に対応している。
【図4】図4(a)(b)はそれぞれ本発明の他の実施例を示す断面図で、図2・図3に対応している。
【図5】図面はそれぞれ本発明の構造のもっとも簡単な実施例を示す断面図で、図5(a)は台枠の全体平面図、図5(b)は図5(a)のBーB線拡大断面図である。
【図6】時速90kmでの走行時に車体の長手方向中央部で発生する上下振動波形を示す図で、図6(a)は従来のアルミ製車両を、図6(b)は本発明のアルミ製車両を表している。
【図7】ゴムタイヤにより時速70kmでの走行時において車体の長手方向中央部で発生する弾性振動の周波数と振動加速度との関係および乗り心地判定線とを表す図表で、図7(a)は従来のアルミ製車両を、図7(b)は本発明のアルミ製車両を表している。
【図8】時速90kmでの走行時に車体の長手方向中央部で発生する弾性振動の周波数と振動加速度との関係および乗り心地判定線とを表す図表で、図8(a)は従来のアルミ製車両を、図8(b)は本発明のアルミ製車両を表している。
【図9】従来の鉄道車両の車体のアルミ製台枠を示す全体平面図である。
【図10】図10は図9の拡大断面図である。
【図11】従来のアルミ製台枠の下方に床下機器等を取り付けた状態を示す一部正面図である。
【符号の説明】
1 台枠
3 床板
4 側梁
5 端梁
6 枕梁
7・7’・8・9 補強用横梁
11・11’・13 中空押出型材
12・14 蟻溝部
21 ボルト
22 ナット

Claims (3)

  1. 下向きに突出した蟻溝部を下面の長手方向に連続して備えた複数本の所定幅を有するアルミニウム製中空押出型材の押出方向を車体の長手方向に揃えて配置し溶接により車幅方向に一体に接合し、横梁を具備していない床板で、非駆動系車両の床板に実施して時速90kmの速度での走行時に測定した場合に、前記床板上の長手方向の中央部付近の上下振動波形において7〜11Hz付近の高周波振動の振動加速度が高くてその波形のp−p値が最大で0.17g前後になる床板を備えた台枠をもつ車両の車体弾性振動防止方法において、
    前記床板下面の長手方向の中央位置にだけ弾性振動防止用横梁を接合する箇所の、床板を構成する前記中空押出型材の蟻溝部を前記横梁の床板接合部分の幅以上にあらかじめ切除したうえ、前記横梁を前記床板下面の車体の長手方向とほぼ直交する方向に配置し、前記台枠の床板下面であり同床板両側に設けた側梁間に跨って一体に固定することを特徴とする車両の車体弾性振動防止方法。
  2. 下向きに突出した蟻溝部を下面の長手方向に連続して備えた複数体の
    所定幅を有するアルミニウム製中空押出型材の押出方向を車体の長手方向に揃えて配置し溶接により車幅方向に一体に接続し、横梁を具備していない床板で、非駆動系車両の床板に実施して時速90kmの速度での走行時に測定した場合に、前記床板上の長手方向の中央部付近の上下振動波形において7〜11Hz付近の高周波振動の振動加速度が高くてその波形のp−p値が最大で0.17g前後になる床板および該床板の両側に所定幅を有するアルミニウム製中空押出型材の側梁を備えた台枠をもつ車両の車体構造において、
    前記床板下面の長手方向の中央位置にだけ弾性振動防止用横梁を接合する箇所の、床板を構成する前記中空押出型材の蟻溝部を前記横梁の床板接合部分の幅以上にあらかじめ切除したうえ、前記横梁を前記床板下面の車体の長手方向とほぼ直交する方向に配置し、前記台枠の床板下面であり同床板両側に設けた側梁間に跨って一体に固定したこと
    を特徴とする車両の弾性振動防止用車体構造。
  3. 下向きに突出した蟻溝部を下面の長手方向に連続して備えた複数体の
    所定幅を有するアルミニウム製中空押出型材の押出方向を車体の長手方向に揃えて配置し溶接により車幅方向に一体に接続し、横梁を具備していない床板で、非駆動系車両の床板に実施して時速90kmの速度での走行時に測定した場合に、床板上の長手方向の中央部付近の上下振動波形において7〜11Hz付近の高周波振動の振動加速度が高くてその波形のp−p値が最大で0.17g前後になる床板および該床板の両側に横向きに突出した蟻溝部を内側面の長手方向に連続して備えた所定幅を有するアルミニウム製中空押出型材の側梁を備えた台枠をもつ車両の車体構造において、
    前記床板下面の長手方向の中央位置にだけ弾性振動防止用横梁を前記蟻溝部に交叉させ車体の長手方向に直交して配置し、前記横梁を前記床板および前記側梁の各蟻溝部を利用してボルト・ナット等の固定具により取り付けたことを特徴とする車両の弾性振動防止用車体構造。
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