JP3625684B2 - 長尺物の保持具 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車エンジンルーム内に配されるワイヤーハーネスやケーブル・パイプ等の長尺物を、車体パネルの定位置に保持する保持具の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種保持具として、特開平10−238657号公報に示すものが存する。
該従来の保持具は、ワイヤーハーネス用として開発されたもので、ワイヤーハーネスをテープ巻きで固定する短冊状の基板部と、該基板部の下面から一体に垂下する錨状の脚部とから成り、実際の使用に際しては、上記基板部上にワイヤーハーネスをその長手方向に沿ってテープ巻きして、当該ワイヤーハーネスを基板部に固定した後、そのまま、脚部を車体パネルに予め穿設されている取付孔に係着すれば、これにより、ワイヤーハーネスを車体パネルの定位置に保持できる構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来の保持具にあっては、これを単体として捉えると、極めて簡単な構造の下で、ワイヤーハーネスを容易に保持できる利点を有するものではあるが、通常、1本のワイヤーハーネスに対しては複数個の保持具が間隔をおいて同時に使用されることが多々あるので、このような場合に、ワイヤーハーネスを固定している各保持具の脚部と車体パネルの対応する取付孔との間に位置関係のバラツキが生じると、その構造上、当該バラツキを吸収することは困難であった。
【0004】
この為、実際の作業に際しては、一旦、上記したような位置関係のバラツキが生じたような場合には、煩雑な手修正で、保持具の位置を無理に変更しなければならないので、作業的には、決して合理的であるとは言えなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、斯かる従来の保持具が抱える課題を有効に解決するために開発されたもので、請求項1記載の発明は、長尺物を固定するベース体と、パネルの取付位置に係着するスライド体とから成り、ベース体は、その基枠にスライド体を長尺物の軸線方向に沿って移動可能に嵌入する嵌入長孔を有し、スライド体は、その基枠に該嵌入長孔内に嵌入した状態で上記パネルの取付位置に係着する脚部を有し、該ベース体とスライド体とが相対移動可能に一対の紐条体を介して一体に連設されている構成を採用した。
【0006】
請求項2記載の発明は、長尺物を固定するベース体と、パネルの取付位置に係着するスライド体とから成り、ベース体は、その基枠にスライド体を長尺物の軸線方向に沿って移動可能に嵌入する嵌入長孔を有し、スライド体は、その基枠に該嵌入長孔内に嵌入した状態で上記パネルの取付位置に係着する脚部を有し、該ベース体とスライド体とが相対移動可能に一対の紐条体を介して一体に連設され、該紐条体は、その外側面においてよりも内側面により大きく突出した複数の拡大部を有する構成を採用した。
【0007】
請求項3記載の発明は、長尺物を固定するベース体と、パネルの取付位置に係着するスライド体とから成り、ベース体は、その基枠にスライド体を長尺物の軸線方向に沿って移動可能に嵌入する嵌入長孔を有すると共に、該嵌入長孔の下方にその長手方向に沿って接続される連絡橋を設け、スライド体は、その基枠に該嵌入長孔内に嵌入した状態で上記パネルの取付位置に係着する脚部を有すると共に、該脚部に上記連絡橋を跨ぐスリットを形成し、上記ベース体とスライド体とが相対移動可能に一対の紐条体を介して一体に連設されている構成を採用した。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3を前提として、ベース体の基枠の長手方向に存する端部に紐条体を収納する凹溝を形成すると共に、当該端部に長尺物を固定手段を介して固定する構成を採用した。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項3を前提として、ベース体側の嵌入長孔は、両側の巾狭部と中央の巾広部とからなり、スライド体側の脚部は、上記巾広部から嵌入されて巾狭部の裏面に当接するストッパー突起を有する構成を採用した。
【0010】
依って、請求項1記載の発明にあっては、ベース体の嵌入長孔内にスライド体の脚部を嵌入すると、スライド体がベース体に一対の紐条体を介して相対移動可能に支持されることとなるので、一対の紐条体から得られる反力で、脚部を嵌入長孔に対してセンタリングすることが可能となる。
又、上記の状態を得て、ベース体に長尺物を固定して、後は、スライド体の脚部をパネルの取付位置に係着すれば、これにより、長尺物がパネルの定位置に保持されることとなるが、この時に、スライド体の脚部とパネルの取付位置との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、スライド体をベース体に対して相対移動させるだけで、当該バラツキを自動的に吸収して、長尺物を確実に保持することが可能となる。
【0011】
請求項2記載の発明にあっては、ベース体の嵌入長孔内にスライド体の脚部を嵌入すると、スライド体がベース体に一対の紐条体を介して相対移動可能に支持されることとなるので、一対の紐条体から得られる反力で、脚部を嵌入長孔に対してセンタリングすることが可能となる。
又、上記の状態を得て、ベース体に長尺物を固定して、後は、スライド体の脚部をパネルの取付位置に係着すれば、これにより、長尺物がパネルの定位置に保持されることとなるが、この時に、スライド体の脚部とパネルの取付位置との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、スライド体をベース体に対して相対移動させるだけで、当該バラツキを自動的に吸収して、長尺物を確実に保持することが可能となる。
更に、射出成形型から保持具を取り出す場合には、紐条体にもイジェクトピンで押し出す拡大部が必要となるが、この拡大部を紐条体の内側面により大きく突出する状態で形成したので、スライド体を伴った紐条体の移動も滑らかにできる。
請求項3記載の発明にあっては、ベース体の嵌入長孔内にスライド体の脚部を嵌入すると、スライド体がベース体に一対の紐条体を介して相対移動可能に支持されることとなるので、一対の紐条体から得られる反力で、脚部を嵌入長孔に対してセンタリングすることが可能となる。
又、上記の状態を得て、ベース体に長尺物を固定して、後は、スライド体の脚部をパネルの取付位置に係着すれば、これにより、長尺物がパネルの定位置に保持されることとなるが、この時に、スライド体の脚部とパネルの取付位置との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、スライド体をベース体に対して相対移動させるだけで、当該バラツキを自動的に吸収して、長尺物を確実に保持することが可能となる。
更に、ベース体側の連絡橋をスライド体の脚部がスリットを介して跨ぐ関係で、スライド体の確実な相対移動が保障できると共に、連絡橋の存在は、ベース体の基枠の剛性向上にも寄与することとなる。
【0012】
請求項4記載の発明にあっては、例え、長尺物がベース体の基枠の端部に固定されるとしても、紐条体は当該端部に形成された凹溝内に収納されることとなるので、長尺物に干渉することなく、スライド体の相対移動を円滑に保障できる。請求項5記載の発明にあっては、ストッパー突起が嵌入長孔の巾狭部の裏面に当接する関係で、スライド体の脚部がベース体の嵌入長孔から不用意に抜け外れる心配がない。
【0013】
尚、本発明にあって、紐条体を収納する凹溝に対して、紐条体の抜け外れ防止ストッパー片を隣接する拡大部の中間付近或いは隣接する拡大部の可動範囲と重ならないように設ければ、ストッパー片と拡大部とが干渉することがないので、凹溝内での紐条体の安定した移動が保障できる。スライド体の脚部を画成する脚片の両側にストッパー突起を設ければ、脚部の脚片の撓みを損なうことなく、少なくとも、一方のストッパー突起が嵌入長孔の巾狭部の裏面に当接するので、ベース体の嵌入長孔からスライド体の脚部が抜け外れることを防止できる。ベース体の嵌入長孔にスライド体の脚部を嵌入した状態では、ベース体の基枠からスライド体の基枠が上方に突出しないように設定すれば、スライド体の基枠が長尺物と干渉することがないので、スライド体の確実な相対移動が保障できる。上記凹溝の外側開放口の側面に上面を残したまま紐条体の膨らみ方向に広がる広がり部を設ければ、紐条体の抜け外れが合わせて防止できると共に、紐条体の屈曲を滑らかにして、その移動をスムーズに案内できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する各好適な実施の形態に基づいて詳述する。
まず、第一実施の形態に係る保持具を説明すると、当該第一実施の形態のものも、一応、ワイヤーハーネス用として開発された合成樹脂の一体成形品で、図1に示す如く、長尺物たるワイヤーハーネスを固定するベース体1と、車体パネルの取付孔に係着するスライド体21とから成り、このベース体1とスライド体21とは、その長手方向の端縁同士が一対の紐条体41を介して相対移動可能に一体に連設される構成となっている。
【0015】
そして、前者のベース体1は、その大きな矩形状の基枠2に後述するスライド体21の脚部23をワイヤーハーネスの軸線方向に沿って移動可能に嵌入する嵌入長孔3を形成して、該嵌入長孔3の周縁に後述するスライド体21の基枠22を移動可能に案内するガイド凹部4を形成すると共に、ガイド凹部4にスライド体21の基枠22の抜け外れを防止する複数の弾性ストッパー爪5を形成する一方、基枠2の長手方向に存する両端部の中央に上記一対の紐条体41を収納する凹溝6を個々に形成する構成となっている。
【0016】
又、後者のスライド体21は、図2にも示す如く、その一回り小さな矩形状の基枠22に車体パネルの取付孔に係着する錨状の脚部23を垂設すると共に、同基枠22の長手方向に脚部23を挟んで一対の弾性羽根24を斜設する構成となっている。
【0017】
従って、スライド体21の脚部23をベース体1の嵌入長孔3に嵌入すると、図3に示す如く、スライド体21がベース体1の基枠2に支持されることとなるが、斯かる状態にあっては、上記ベース体1側の弾性ストッパー爪5がスライド体21の基枠22縁に係止することとなるので、これにより、スライド体21はベース体1から抜け外れることなく、相対移動可能に支持されると共に、一対の紐条体41からの反力で、脚部23は嵌入長孔3に対してセンタリングされることとなる。
【0018】
尚、ベース体1とスライド体21を一体に連設する紐条体41にあっても、製造時に、射出成形型から取り出すために、紐条体41をイジェクトピンで押し出す拡大部42が必要となるが、第一実施の形態の下では、図示する如く、この拡大部42を紐条体41の内側面に形成したので、スライド体21を伴った紐条体41の移動が滑らかとなる。特に、十分な移動量を得るために、紐条体41を長くすると、図3に示すように、紐条体41は凹溝6のエッジに擦れることとなるが、拡大部42は、このような凹溝6と擦れ合う範囲E1には形成しない方が好ましく、形成するにしても、内側面の方が良い。但し、外側面にも突出させる場合には、外側面においてよりも内側面により大きく突出する状態で形成するものとする。
【0019】
依って、第一実施の形態に係る保持具を使用して、ワイヤーハーネスWを車体パネルPの定位置に保持する場合には、上記したように、ベース体1の基枠2にスライド体21を相対移動可能に支持した状態を得て、図4に示す如く、ベース体1の基枠2上にワイヤーハーネスWを載置して、基枠2の両端部にテープTやバンド等の固定手段を介して巻き付けると、当該基枠2に対してワイヤーハーネスWが固定される。
【0020】
しかし、このワイヤーハーネスWの固定状態にあっては、スライド体21の基枠22は既述した弾性ストッパー爪5でガイド凹部4内に押さえ付けられるので、スライド体21の基枠22がワイヤーハーネスWと干渉することはないし、且つ、一対の紐条体41も凹溝6内に収納されて、やはり、ワイヤーハーネスWと干渉することがないので、スライド体21のベース体1に対する相対移動可能状態はそのまま維持されている。
【0021】
そして、もし、仮に、スライド体21の脚部23と車体パネルPの取付孔Hとの間で位置関係のバラツキが生じているような場合には、ベース体1にワイヤーハーネスWを固定したまま、スライド体21をベース体1の基枠2のガイド凹部4に沿って所定方向に移動させれば、これにより、上記したバラツキを自動的に吸収することが可能となるので、従来のような煩雑な手修正を行なうことなく、後は、スライド体21の脚部23を取付孔Hに係着するだけで、図5に示す如く、ワイヤーハーネスWを車体パネルPの定位置に確実に保持することが可能となる。
【0022】
次に、第二実施の形態に係る保持具を説明すると、当該第二実施の形態のものも、合成樹脂の一体成形品で、図6に示す如く、ワイヤーハーネスWを固定するベース体1と、車体パネルPの取付孔Hに係着するスライド体21とから成り、このベース体1とスライド体21とは、同様に、その長手方向の端縁同士が一対の紐条体41を介して相対移動可能に一体に連設される構成となっている。
【0023】
そして、前者のベース体1は、図7・図8にも示す如く、第一実施の形態と同様に、その大きな矩形状の基枠2にスライド体21の脚部23を移動可能に嵌入する嵌入長孔3を形成するものであるが、当該嵌入長孔3は、その両側の巾狭部3aと中央の巾広部3bとからなり、巾広部3bの両側に対の関係にある弾性羽根7を斜設すると共に、基枠2の長手方向に存する両端部に上記嵌入長孔3と連通して一対の紐条体41を収納する比較的長めの凹溝6を形成する構成となっている。
【0024】
又、この各凹溝6に対しては、その中間部に紐条体41の抜け外れを防止するストッパー片8を形成すると共に、外端開放口の側面に庇となる上面2aを残したまま、紐条体41の膨らみ方向に向けて広がる広がり部9を画成することにより、各紐条体41を凹溝6内に収納し易くすると共に、最も擦れがちとなる開放口での紐条体41の屈曲を滑らかとして、紐条体41の移動をスムーズに案内できるようになっている。更に、上記嵌入長孔3の下方に両端がその巾狭部3aの延長線上に接続される連絡橋10を架設して、該連絡橋10に沿ってスライド体21を移動させる構成を併せて採用している。尚、この連絡橋10の存在は、スライド体21の確実な相対移動を保障することに加えて、ベース体1の基枠2の剛性向上にも寄与することとなる。
【0025】
尚、上記したストッパー片8に関しては、凹溝6を画成する一側縁6aから他側縁6bに向けて一体に突出させて、他側縁6b側に隙間を設けたので、紐条体41を凹溝6内に収納する際には、紐条体41の拡大部42を形成した内側面41aとは逆の滑らかな外側面41bを他側縁6bに軽く押し付けるだけで、上記隙間を自然に通過させることが可能となると共に、紐条体41の撓み量を小さく抑えて、紐条体41が急に屈曲してしまうことを有効に防止できる。
【0026】
後者のスライド体21は、図7・図9にも示す如く、その小さな基枠22に錨状の脚部23を垂設するものであるが、第二実施の形態にあっては、当該脚部23を上記連絡橋10を両側から跨ぐことができるようにスリット25で2分割すると共に、脚部23の錨形状を画成する各脚片23aの両側に対の関係にあるストッパー突起26を形成して、当該ストッパー突起26を上記嵌入長孔3の巾広部3bから挿入して、嵌入長孔3の巾狭部3aの裏面に当接させることにより、脚部23の嵌入長孔3からの抜け外れを防止する構成となっている。
【0027】
従って、第二実施の形態にあっては、嵌入長孔3の巾広部3bからスライド体21の脚部23を嵌入すると、図10に示す如く、当該脚部23の各脚片23aの両側に形成されているストッパー突起26が嵌入長孔3の巾狭部3aの裏面に当接して、スライド体21がベース体1の基枠2に抜け外れることなく移動可能に支持されることとなるが、斯かる状態にあっては、第一実施の形態と同様に、一対の紐条体41からの反力で、脚部23は嵌入長孔3に対してセンタリングされることとなる。又、斯かる状態にあっては、紐条体41が庇となる上面2aを残したまま画成された広がり部9内に屈曲して収納されることとなるので、これによっても、紐条体41の凹溝6からの抜け外れを防止できる共に、最も擦れがちとなる開放口での紐条体41の屈曲を滑らかとして、紐条体41の移動をスムーズに案内できるようになっている。尚、第二実施の形態にあっても、紐条体41の内側面に拡大部42を形成するものとする。
【0028】
依って、第二実施の形態に係る保持具を使用して、ワイヤーハーネスWを車体パネルPの定位置に保持する場合には、上記したように、ベース体1の基枠2にスライド体21を支持した状態を得て、図11に示す如く、ベース体1の基枠2上にワイヤーハーネスWを載置して、基枠2の両端部でテープT巻きすると、当該基枠2に対してワイヤーハーネスWが固定される。
【0029】
しかし、このワイヤーハーネスWの固定状態にあっても、スライド体21の基枠22は、既述したストッパー突起26の巾狭部3aの裏面に対する当接で、ベース体1の基枠2の上方に突出することがないので、スライド体21の基枠22がワイヤーハーネスWと干渉することはないし、且つ、一対の紐条体41も凹溝6内に収納されて、やはり、ワイヤーハーネスWと干渉することがないので、スライド体21のベース体1の連絡橋10に対する相対移動可能状態はそのまま維持されている。
【0030】
そして、もし、仮に、スライド体21の脚部23と車体パネルPの取付孔Hとの間で位置関係のバラツキが生じているような場合には、ベース体1にワイヤーハーネスWを固定したまま、スライド体21の脚部23をベース体1の基枠2に架設されている連絡橋10に沿って所定方向に移動させれば、これにより、上記したバラツキを自動的に吸収することが可能となるので、従来のような煩雑な手修正を行なうことなく、後は、スライド体21の脚部23を取付孔Hに係着するだけで、図12に示す如く、ワイヤーハーネスWを車体パネルPの定位置に確実に保持することが可能となる。尚、スライド体21の脚部23を車体パネルPの取付孔Hに係着した状態では、連絡橋10がスライド体21の基枠22で強く挟まれるので、スライド体21は連絡橋10に対して相対移動ができなくなってしまう。
【0031】
尚、第二実施の形態にあっては、比較的長めの凹溝6の中間部にストッパー片8を形成している関係で、紐条体41の凹溝6から抜け外れを有効に防止することは可能となるが、当該ストッパー片8の形成に際しては、凹溝6内での円滑な移動を保障する上から、既述したように、凹溝6を画成する一側縁6aから他側縁6bに向けて一体に突出させて、紐条体41を凹溝6の底面に押し付けない位置に形成するものとする。
【0032】
又、紐条体41の凹溝6内でのスムーズな移動をより一層保障するためには、図13に示す如く、ストッパー片8を隣接する拡大部42の中間付近或いは隣接する拡大部42の可動範囲E2と重ならないように形成すれば、ストッパー片8と拡大部42とが干渉することが決してないので、凹溝6内での紐条体41の安定した移動が大いに保障できる。
【0033】
以上の如く、本発明は、上記構成の採用により、請求項1の下では、ベース体の嵌入長孔内にスライド体の脚部を嵌入すると、スライド体がベース体に一対の紐条体を介して相対移動可能に支持されることとなるので、一対の紐条体から得られる反力で、脚部を嵌入長孔に対してセンタリングすることが可能となる。
又、上記の状態を得て、ベース体に長尺物を固定して、後は、スライド体の脚部をパネルの取付位置に係着すれば、これにより、長尺物がパネルの定位置に保持されることとなるが、この時に、スライド体の脚部とパネルの取付位置との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、スライド体をベース体に対して相対移動させるだけで、当該バラツキを自動的に吸収して、長尺物を確実に保持することが可能となる。
【0034】
請求項2の下でも、ベース体の嵌入長孔内にスライド体の脚部を嵌入すると、スライド体がベース体に一対の紐条体を介して相対移動可能に支持されることとなるので、一対の紐条体から得られる反力で、脚部を嵌入長孔に対してセンタリングすることが可能となる。又、上記の状態を得て、ベース体に長尺物を固定して、後は、スライド体の脚部をパネルの取付位置に係着すれば、これにより、長尺物がパネルの定位置に保持されることとなるが、この時に、スライド体の脚部とパネルの取付位置との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、スライド体をベース体に対して相対移動させるだけで、当該バラツキを自動的に吸収して、長尺物を確実に保持することが可能となる。その上、射出成形型から保持具を取り出す場合には、紐条体にもイジェクトピンで押し出す拡大部が必要となるが、この拡大部を紐条体の内側面により大きく突出する状態で形成したので、スライド体を伴った紐条体の移動も滑らかにできる。
請求項3の下でも、やはり、ベース体の嵌入長孔内にスライド体の脚部を嵌入すると、スライド体がベース体に一対の紐条体を介して相対移動可能に支持されることとなるので、一対の紐条体から得られる反力で、脚部を嵌入長孔に対してセンタリングすることが可能となる。又、上記の状態を得て、ベース体に長尺物を固定して、後は、スライド体の脚部をパネルの取付位置に係着すれば、これにより、長尺物がパネルの定位置に保持されることとなるが、この時に、スライド体の脚部とパネルの取付位置との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、スライド体をベース体に対して相対移動させるだけで、当該バラツキを自動的に吸収して、長尺物を確実に保持することが可能となる。その上、ベース体側の連絡橋をスライド体の脚部がスリットを介して跨ぐ関係で、スライド体の確実な相対移動が保障できると共に、連絡橋の存在は、ベース体の基枠の剛性向上にも寄与することとなる。
【0035】
請求項4の下では、例え、長尺物がベース体の基枠の端部に固定されるとしても、紐条体は当該端部に形成された凹溝内に収納されることとなるので、長尺物に干渉することなく、スライド体の相対移動を円滑に保障できる。請求項5の下では、ストッパー突起が嵌入長孔の巾狭部の裏面に当接する関係で、スライド体の脚部がベース体の嵌入長孔から不用意に抜け外れる心配がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施の形態に係る保持具を示す斜視図である。
【図2】(A)は図1のA−A線断面図、(B)は図1のB−B線断面図である。
【図3】スライド体をベース体の基枠に相対移動可能に支持した状態を示す斜視図である。
【図4】ワイヤーハーネスをベース体の基枠に固定した状態を示す説明図である。
【図5】ワイヤーハーネスを車体パネルに保持した状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第二実施の形態に係る保持具を示す斜視図である。
【図7】同平面図である。
【図8】(A)は図7のC−C線断面図、(B)は図7のD−D線断面図、(C)は図7のE−E線断面図、(D)は図7のF−F線断面図である。
【図9】図7のG−G線断面図である。
【図10】スライド体をベース体の基枠に相対移動可能に支持した状態を示す斜視図である。
【図11】ワイヤーハーネスをベース体の基枠に固定した状態を示す説明図である。
【図12】ワイヤーハーネスを車体パネルに保持した状態を示す断面図である。
【図13】第二実施の形態の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ベース体
2 ベース体の基枠
2a 庇となる上面
3 嵌入長孔
3a 嵌入長孔の巾狭部
3b 嵌入長孔の巾広部
4 ガイド凹部
5 弾性ストッパー爪
6 凹溝
6a 凹溝の一側縁
6b 凹溝の他側縁
7 弾性羽根
8 ストッパー片
9 広がり部
10 連絡橋
21 スライド体
22 スライド体の基枠
23 脚部
23a 脚部を画成する脚片
24 弾性羽根
25 スリット
26 ストッパー突起
41 紐条体
41a 紐条体の内側面
41b 紐条体の外側面
42 拡大部
W ワイヤーハーネス(長尺物)
P 車体パネル
H 車体パネルの取付孔(取付位置)
T テープ(固定手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車エンジンルーム内に配されるワイヤーハーネスやケーブル・パイプ等の長尺物を、車体パネルの定位置に保持する保持具の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種保持具として、特開平10−238657号公報に示すものが存する。
該従来の保持具は、ワイヤーハーネス用として開発されたもので、ワイヤーハーネスをテープ巻きで固定する短冊状の基板部と、該基板部の下面から一体に垂下する錨状の脚部とから成り、実際の使用に際しては、上記基板部上にワイヤーハーネスをその長手方向に沿ってテープ巻きして、当該ワイヤーハーネスを基板部に固定した後、そのまま、脚部を車体パネルに予め穿設されている取付孔に係着すれば、これにより、ワイヤーハーネスを車体パネルの定位置に保持できる構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来の保持具にあっては、これを単体として捉えると、極めて簡単な構造の下で、ワイヤーハーネスを容易に保持できる利点を有するものではあるが、通常、1本のワイヤーハーネスに対しては複数個の保持具が間隔をおいて同時に使用されることが多々あるので、このような場合に、ワイヤーハーネスを固定している各保持具の脚部と車体パネルの対応する取付孔との間に位置関係のバラツキが生じると、その構造上、当該バラツキを吸収することは困難であった。
【0004】
この為、実際の作業に際しては、一旦、上記したような位置関係のバラツキが生じたような場合には、煩雑な手修正で、保持具の位置を無理に変更しなければならないので、作業的には、決して合理的であるとは言えなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、斯かる従来の保持具が抱える課題を有効に解決するために開発されたもので、請求項1記載の発明は、長尺物を固定するベース体と、パネルの取付位置に係着するスライド体とから成り、ベース体は、その基枠にスライド体を長尺物の軸線方向に沿って移動可能に嵌入する嵌入長孔を有し、スライド体は、その基枠に該嵌入長孔内に嵌入した状態で上記パネルの取付位置に係着する脚部を有し、該ベース体とスライド体とが相対移動可能に一対の紐条体を介して一体に連設されている構成を採用した。
【0006】
請求項2記載の発明は、長尺物を固定するベース体と、パネルの取付位置に係着するスライド体とから成り、ベース体は、その基枠にスライド体を長尺物の軸線方向に沿って移動可能に嵌入する嵌入長孔を有し、スライド体は、その基枠に該嵌入長孔内に嵌入した状態で上記パネルの取付位置に係着する脚部を有し、該ベース体とスライド体とが相対移動可能に一対の紐条体を介して一体に連設され、該紐条体は、その外側面においてよりも内側面により大きく突出した複数の拡大部を有する構成を採用した。
【0007】
請求項3記載の発明は、長尺物を固定するベース体と、パネルの取付位置に係着するスライド体とから成り、ベース体は、その基枠にスライド体を長尺物の軸線方向に沿って移動可能に嵌入する嵌入長孔を有すると共に、該嵌入長孔の下方にその長手方向に沿って接続される連絡橋を設け、スライド体は、その基枠に該嵌入長孔内に嵌入した状態で上記パネルの取付位置に係着する脚部を有すると共に、該脚部に上記連絡橋を跨ぐスリットを形成し、上記ベース体とスライド体とが相対移動可能に一対の紐条体を介して一体に連設されている構成を採用した。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3を前提として、ベース体の基枠の長手方向に存する端部に紐条体を収納する凹溝を形成すると共に、当該端部に長尺物を固定手段を介して固定する構成を採用した。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項3を前提として、ベース体側の嵌入長孔は、両側の巾狭部と中央の巾広部とからなり、スライド体側の脚部は、上記巾広部から嵌入されて巾狭部の裏面に当接するストッパー突起を有する構成を採用した。
【0010】
依って、請求項1記載の発明にあっては、ベース体の嵌入長孔内にスライド体の脚部を嵌入すると、スライド体がベース体に一対の紐条体を介して相対移動可能に支持されることとなるので、一対の紐条体から得られる反力で、脚部を嵌入長孔に対してセンタリングすることが可能となる。
又、上記の状態を得て、ベース体に長尺物を固定して、後は、スライド体の脚部をパネルの取付位置に係着すれば、これにより、長尺物がパネルの定位置に保持されることとなるが、この時に、スライド体の脚部とパネルの取付位置との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、スライド体をベース体に対して相対移動させるだけで、当該バラツキを自動的に吸収して、長尺物を確実に保持することが可能となる。
【0011】
請求項2記載の発明にあっては、ベース体の嵌入長孔内にスライド体の脚部を嵌入すると、スライド体がベース体に一対の紐条体を介して相対移動可能に支持されることとなるので、一対の紐条体から得られる反力で、脚部を嵌入長孔に対してセンタリングすることが可能となる。
又、上記の状態を得て、ベース体に長尺物を固定して、後は、スライド体の脚部をパネルの取付位置に係着すれば、これにより、長尺物がパネルの定位置に保持されることとなるが、この時に、スライド体の脚部とパネルの取付位置との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、スライド体をベース体に対して相対移動させるだけで、当該バラツキを自動的に吸収して、長尺物を確実に保持することが可能となる。
更に、射出成形型から保持具を取り出す場合には、紐条体にもイジェクトピンで押し出す拡大部が必要となるが、この拡大部を紐条体の内側面により大きく突出する状態で形成したので、スライド体を伴った紐条体の移動も滑らかにできる。
請求項3記載の発明にあっては、ベース体の嵌入長孔内にスライド体の脚部を嵌入すると、スライド体がベース体に一対の紐条体を介して相対移動可能に支持されることとなるので、一対の紐条体から得られる反力で、脚部を嵌入長孔に対してセンタリングすることが可能となる。
又、上記の状態を得て、ベース体に長尺物を固定して、後は、スライド体の脚部をパネルの取付位置に係着すれば、これにより、長尺物がパネルの定位置に保持されることとなるが、この時に、スライド体の脚部とパネルの取付位置との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、スライド体をベース体に対して相対移動させるだけで、当該バラツキを自動的に吸収して、長尺物を確実に保持することが可能となる。
更に、ベース体側の連絡橋をスライド体の脚部がスリットを介して跨ぐ関係で、スライド体の確実な相対移動が保障できると共に、連絡橋の存在は、ベース体の基枠の剛性向上にも寄与することとなる。
【0012】
請求項4記載の発明にあっては、例え、長尺物がベース体の基枠の端部に固定されるとしても、紐条体は当該端部に形成された凹溝内に収納されることとなるので、長尺物に干渉することなく、スライド体の相対移動を円滑に保障できる。請求項5記載の発明にあっては、ストッパー突起が嵌入長孔の巾狭部の裏面に当接する関係で、スライド体の脚部がベース体の嵌入長孔から不用意に抜け外れる心配がない。
【0013】
尚、本発明にあって、紐条体を収納する凹溝に対して、紐条体の抜け外れ防止ストッパー片を隣接する拡大部の中間付近或いは隣接する拡大部の可動範囲と重ならないように設ければ、ストッパー片と拡大部とが干渉することがないので、凹溝内での紐条体の安定した移動が保障できる。スライド体の脚部を画成する脚片の両側にストッパー突起を設ければ、脚部の脚片の撓みを損なうことなく、少なくとも、一方のストッパー突起が嵌入長孔の巾狭部の裏面に当接するので、ベース体の嵌入長孔からスライド体の脚部が抜け外れることを防止できる。ベース体の嵌入長孔にスライド体の脚部を嵌入した状態では、ベース体の基枠からスライド体の基枠が上方に突出しないように設定すれば、スライド体の基枠が長尺物と干渉することがないので、スライド体の確実な相対移動が保障できる。上記凹溝の外側開放口の側面に上面を残したまま紐条体の膨らみ方向に広がる広がり部を設ければ、紐条体の抜け外れが合わせて防止できると共に、紐条体の屈曲を滑らかにして、その移動をスムーズに案内できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する各好適な実施の形態に基づいて詳述する。
まず、第一実施の形態に係る保持具を説明すると、当該第一実施の形態のものも、一応、ワイヤーハーネス用として開発された合成樹脂の一体成形品で、図1に示す如く、長尺物たるワイヤーハーネスを固定するベース体1と、車体パネルの取付孔に係着するスライド体21とから成り、このベース体1とスライド体21とは、その長手方向の端縁同士が一対の紐条体41を介して相対移動可能に一体に連設される構成となっている。
【0015】
そして、前者のベース体1は、その大きな矩形状の基枠2に後述するスライド体21の脚部23をワイヤーハーネスの軸線方向に沿って移動可能に嵌入する嵌入長孔3を形成して、該嵌入長孔3の周縁に後述するスライド体21の基枠22を移動可能に案内するガイド凹部4を形成すると共に、ガイド凹部4にスライド体21の基枠22の抜け外れを防止する複数の弾性ストッパー爪5を形成する一方、基枠2の長手方向に存する両端部の中央に上記一対の紐条体41を収納する凹溝6を個々に形成する構成となっている。
【0016】
又、後者のスライド体21は、図2にも示す如く、その一回り小さな矩形状の基枠22に車体パネルの取付孔に係着する錨状の脚部23を垂設すると共に、同基枠22の長手方向に脚部23を挟んで一対の弾性羽根24を斜設する構成となっている。
【0017】
従って、スライド体21の脚部23をベース体1の嵌入長孔3に嵌入すると、図3に示す如く、スライド体21がベース体1の基枠2に支持されることとなるが、斯かる状態にあっては、上記ベース体1側の弾性ストッパー爪5がスライド体21の基枠22縁に係止することとなるので、これにより、スライド体21はベース体1から抜け外れることなく、相対移動可能に支持されると共に、一対の紐条体41からの反力で、脚部23は嵌入長孔3に対してセンタリングされることとなる。
【0018】
尚、ベース体1とスライド体21を一体に連設する紐条体41にあっても、製造時に、射出成形型から取り出すために、紐条体41をイジェクトピンで押し出す拡大部42が必要となるが、第一実施の形態の下では、図示する如く、この拡大部42を紐条体41の内側面に形成したので、スライド体21を伴った紐条体41の移動が滑らかとなる。特に、十分な移動量を得るために、紐条体41を長くすると、図3に示すように、紐条体41は凹溝6のエッジに擦れることとなるが、拡大部42は、このような凹溝6と擦れ合う範囲E1には形成しない方が好ましく、形成するにしても、内側面の方が良い。但し、外側面にも突出させる場合には、外側面においてよりも内側面により大きく突出する状態で形成するものとする。
【0019】
依って、第一実施の形態に係る保持具を使用して、ワイヤーハーネスWを車体パネルPの定位置に保持する場合には、上記したように、ベース体1の基枠2にスライド体21を相対移動可能に支持した状態を得て、図4に示す如く、ベース体1の基枠2上にワイヤーハーネスWを載置して、基枠2の両端部にテープTやバンド等の固定手段を介して巻き付けると、当該基枠2に対してワイヤーハーネスWが固定される。
【0020】
しかし、このワイヤーハーネスWの固定状態にあっては、スライド体21の基枠22は既述した弾性ストッパー爪5でガイド凹部4内に押さえ付けられるので、スライド体21の基枠22がワイヤーハーネスWと干渉することはないし、且つ、一対の紐条体41も凹溝6内に収納されて、やはり、ワイヤーハーネスWと干渉することがないので、スライド体21のベース体1に対する相対移動可能状態はそのまま維持されている。
【0021】
そして、もし、仮に、スライド体21の脚部23と車体パネルPの取付孔Hとの間で位置関係のバラツキが生じているような場合には、ベース体1にワイヤーハーネスWを固定したまま、スライド体21をベース体1の基枠2のガイド凹部4に沿って所定方向に移動させれば、これにより、上記したバラツキを自動的に吸収することが可能となるので、従来のような煩雑な手修正を行なうことなく、後は、スライド体21の脚部23を取付孔Hに係着するだけで、図5に示す如く、ワイヤーハーネスWを車体パネルPの定位置に確実に保持することが可能となる。
【0022】
次に、第二実施の形態に係る保持具を説明すると、当該第二実施の形態のものも、合成樹脂の一体成形品で、図6に示す如く、ワイヤーハーネスWを固定するベース体1と、車体パネルPの取付孔Hに係着するスライド体21とから成り、このベース体1とスライド体21とは、同様に、その長手方向の端縁同士が一対の紐条体41を介して相対移動可能に一体に連設される構成となっている。
【0023】
そして、前者のベース体1は、図7・図8にも示す如く、第一実施の形態と同様に、その大きな矩形状の基枠2にスライド体21の脚部23を移動可能に嵌入する嵌入長孔3を形成するものであるが、当該嵌入長孔3は、その両側の巾狭部3aと中央の巾広部3bとからなり、巾広部3bの両側に対の関係にある弾性羽根7を斜設すると共に、基枠2の長手方向に存する両端部に上記嵌入長孔3と連通して一対の紐条体41を収納する比較的長めの凹溝6を形成する構成となっている。
【0024】
又、この各凹溝6に対しては、その中間部に紐条体41の抜け外れを防止するストッパー片8を形成すると共に、外端開放口の側面に庇となる上面2aを残したまま、紐条体41の膨らみ方向に向けて広がる広がり部9を画成することにより、各紐条体41を凹溝6内に収納し易くすると共に、最も擦れがちとなる開放口での紐条体41の屈曲を滑らかとして、紐条体41の移動をスムーズに案内できるようになっている。更に、上記嵌入長孔3の下方に両端がその巾狭部3aの延長線上に接続される連絡橋10を架設して、該連絡橋10に沿ってスライド体21を移動させる構成を併せて採用している。尚、この連絡橋10の存在は、スライド体21の確実な相対移動を保障することに加えて、ベース体1の基枠2の剛性向上にも寄与することとなる。
【0025】
尚、上記したストッパー片8に関しては、凹溝6を画成する一側縁6aから他側縁6bに向けて一体に突出させて、他側縁6b側に隙間を設けたので、紐条体41を凹溝6内に収納する際には、紐条体41の拡大部42を形成した内側面41aとは逆の滑らかな外側面41bを他側縁6bに軽く押し付けるだけで、上記隙間を自然に通過させることが可能となると共に、紐条体41の撓み量を小さく抑えて、紐条体41が急に屈曲してしまうことを有効に防止できる。
【0026】
後者のスライド体21は、図7・図9にも示す如く、その小さな基枠22に錨状の脚部23を垂設するものであるが、第二実施の形態にあっては、当該脚部23を上記連絡橋10を両側から跨ぐことができるようにスリット25で2分割すると共に、脚部23の錨形状を画成する各脚片23aの両側に対の関係にあるストッパー突起26を形成して、当該ストッパー突起26を上記嵌入長孔3の巾広部3bから挿入して、嵌入長孔3の巾狭部3aの裏面に当接させることにより、脚部23の嵌入長孔3からの抜け外れを防止する構成となっている。
【0027】
従って、第二実施の形態にあっては、嵌入長孔3の巾広部3bからスライド体21の脚部23を嵌入すると、図10に示す如く、当該脚部23の各脚片23aの両側に形成されているストッパー突起26が嵌入長孔3の巾狭部3aの裏面に当接して、スライド体21がベース体1の基枠2に抜け外れることなく移動可能に支持されることとなるが、斯かる状態にあっては、第一実施の形態と同様に、一対の紐条体41からの反力で、脚部23は嵌入長孔3に対してセンタリングされることとなる。又、斯かる状態にあっては、紐条体41が庇となる上面2aを残したまま画成された広がり部9内に屈曲して収納されることとなるので、これによっても、紐条体41の凹溝6からの抜け外れを防止できる共に、最も擦れがちとなる開放口での紐条体41の屈曲を滑らかとして、紐条体41の移動をスムーズに案内できるようになっている。尚、第二実施の形態にあっても、紐条体41の内側面に拡大部42を形成するものとする。
【0028】
依って、第二実施の形態に係る保持具を使用して、ワイヤーハーネスWを車体パネルPの定位置に保持する場合には、上記したように、ベース体1の基枠2にスライド体21を支持した状態を得て、図11に示す如く、ベース体1の基枠2上にワイヤーハーネスWを載置して、基枠2の両端部でテープT巻きすると、当該基枠2に対してワイヤーハーネスWが固定される。
【0029】
しかし、このワイヤーハーネスWの固定状態にあっても、スライド体21の基枠22は、既述したストッパー突起26の巾狭部3aの裏面に対する当接で、ベース体1の基枠2の上方に突出することがないので、スライド体21の基枠22がワイヤーハーネスWと干渉することはないし、且つ、一対の紐条体41も凹溝6内に収納されて、やはり、ワイヤーハーネスWと干渉することがないので、スライド体21のベース体1の連絡橋10に対する相対移動可能状態はそのまま維持されている。
【0030】
そして、もし、仮に、スライド体21の脚部23と車体パネルPの取付孔Hとの間で位置関係のバラツキが生じているような場合には、ベース体1にワイヤーハーネスWを固定したまま、スライド体21の脚部23をベース体1の基枠2に架設されている連絡橋10に沿って所定方向に移動させれば、これにより、上記したバラツキを自動的に吸収することが可能となるので、従来のような煩雑な手修正を行なうことなく、後は、スライド体21の脚部23を取付孔Hに係着するだけで、図12に示す如く、ワイヤーハーネスWを車体パネルPの定位置に確実に保持することが可能となる。尚、スライド体21の脚部23を車体パネルPの取付孔Hに係着した状態では、連絡橋10がスライド体21の基枠22で強く挟まれるので、スライド体21は連絡橋10に対して相対移動ができなくなってしまう。
【0031】
尚、第二実施の形態にあっては、比較的長めの凹溝6の中間部にストッパー片8を形成している関係で、紐条体41の凹溝6から抜け外れを有効に防止することは可能となるが、当該ストッパー片8の形成に際しては、凹溝6内での円滑な移動を保障する上から、既述したように、凹溝6を画成する一側縁6aから他側縁6bに向けて一体に突出させて、紐条体41を凹溝6の底面に押し付けない位置に形成するものとする。
【0032】
又、紐条体41の凹溝6内でのスムーズな移動をより一層保障するためには、図13に示す如く、ストッパー片8を隣接する拡大部42の中間付近或いは隣接する拡大部42の可動範囲E2と重ならないように形成すれば、ストッパー片8と拡大部42とが干渉することが決してないので、凹溝6内での紐条体41の安定した移動が大いに保障できる。
【0033】
以上の如く、本発明は、上記構成の採用により、請求項1の下では、ベース体の嵌入長孔内にスライド体の脚部を嵌入すると、スライド体がベース体に一対の紐条体を介して相対移動可能に支持されることとなるので、一対の紐条体から得られる反力で、脚部を嵌入長孔に対してセンタリングすることが可能となる。
又、上記の状態を得て、ベース体に長尺物を固定して、後は、スライド体の脚部をパネルの取付位置に係着すれば、これにより、長尺物がパネルの定位置に保持されることとなるが、この時に、スライド体の脚部とパネルの取付位置との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、スライド体をベース体に対して相対移動させるだけで、当該バラツキを自動的に吸収して、長尺物を確実に保持することが可能となる。
【0034】
請求項2の下でも、ベース体の嵌入長孔内にスライド体の脚部を嵌入すると、スライド体がベース体に一対の紐条体を介して相対移動可能に支持されることとなるので、一対の紐条体から得られる反力で、脚部を嵌入長孔に対してセンタリングすることが可能となる。又、上記の状態を得て、ベース体に長尺物を固定して、後は、スライド体の脚部をパネルの取付位置に係着すれば、これにより、長尺物がパネルの定位置に保持されることとなるが、この時に、スライド体の脚部とパネルの取付位置との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、スライド体をベース体に対して相対移動させるだけで、当該バラツキを自動的に吸収して、長尺物を確実に保持することが可能となる。その上、射出成形型から保持具を取り出す場合には、紐条体にもイジェクトピンで押し出す拡大部が必要となるが、この拡大部を紐条体の内側面により大きく突出する状態で形成したので、スライド体を伴った紐条体の移動も滑らかにできる。
請求項3の下でも、やはり、ベース体の嵌入長孔内にスライド体の脚部を嵌入すると、スライド体がベース体に一対の紐条体を介して相対移動可能に支持されることとなるので、一対の紐条体から得られる反力で、脚部を嵌入長孔に対してセンタリングすることが可能となる。又、上記の状態を得て、ベース体に長尺物を固定して、後は、スライド体の脚部をパネルの取付位置に係着すれば、これにより、長尺物がパネルの定位置に保持されることとなるが、この時に、スライド体の脚部とパネルの取付位置との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、スライド体をベース体に対して相対移動させるだけで、当該バラツキを自動的に吸収して、長尺物を確実に保持することが可能となる。その上、ベース体側の連絡橋をスライド体の脚部がスリットを介して跨ぐ関係で、スライド体の確実な相対移動が保障できると共に、連絡橋の存在は、ベース体の基枠の剛性向上にも寄与することとなる。
【0035】
請求項4の下では、例え、長尺物がベース体の基枠の端部に固定されるとしても、紐条体は当該端部に形成された凹溝内に収納されることとなるので、長尺物に干渉することなく、スライド体の相対移動を円滑に保障できる。請求項5の下では、ストッパー突起が嵌入長孔の巾狭部の裏面に当接する関係で、スライド体の脚部がベース体の嵌入長孔から不用意に抜け外れる心配がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施の形態に係る保持具を示す斜視図である。
【図2】(A)は図1のA−A線断面図、(B)は図1のB−B線断面図である。
【図3】スライド体をベース体の基枠に相対移動可能に支持した状態を示す斜視図である。
【図4】ワイヤーハーネスをベース体の基枠に固定した状態を示す説明図である。
【図5】ワイヤーハーネスを車体パネルに保持した状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第二実施の形態に係る保持具を示す斜視図である。
【図7】同平面図である。
【図8】(A)は図7のC−C線断面図、(B)は図7のD−D線断面図、(C)は図7のE−E線断面図、(D)は図7のF−F線断面図である。
【図9】図7のG−G線断面図である。
【図10】スライド体をベース体の基枠に相対移動可能に支持した状態を示す斜視図である。
【図11】ワイヤーハーネスをベース体の基枠に固定した状態を示す説明図である。
【図12】ワイヤーハーネスを車体パネルに保持した状態を示す断面図である。
【図13】第二実施の形態の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ベース体
2 ベース体の基枠
2a 庇となる上面
3 嵌入長孔
3a 嵌入長孔の巾狭部
3b 嵌入長孔の巾広部
4 ガイド凹部
5 弾性ストッパー爪
6 凹溝
6a 凹溝の一側縁
6b 凹溝の他側縁
7 弾性羽根
8 ストッパー片
9 広がり部
10 連絡橋
21 スライド体
22 スライド体の基枠
23 脚部
23a 脚部を画成する脚片
24 弾性羽根
25 スリット
26 ストッパー突起
41 紐条体
41a 紐条体の内側面
41b 紐条体の外側面
42 拡大部
W ワイヤーハーネス(長尺物)
P 車体パネル
H 車体パネルの取付孔(取付位置)
T テープ(固定手段)
Claims (5)
- 長尺物を固定するベース体と、パネルの取付位置に係着するスライド体とから成り、ベース体は、その基枠にスライド体を長尺物の軸線方向に沿って移動可能に嵌入する嵌入長孔を有し、スライド体は、その基枠に該嵌入長孔内に嵌入した状態で上記パネルの取付位置に係着する脚部を有し、該ベース体とスライド体とが相対移動可能に一対の紐条体を介して一体に連設されていることを特徴とする長尺物の保持具。
- 長尺物を固定するベース体と、パネルの取付位置に係着するスライド体とから成り、ベース体は、その基枠にスライド体を長尺物の軸線方向に沿って移動可能に嵌入する嵌入長孔を有し、スライド体は、その基枠に該嵌入長孔内に嵌入した状態で上記パネルの取付位置に係着する脚部を有し、該ベース体とスライド体とが相対移動可能に一対の紐条体を介して一体に連設され、該紐条体は、その外側面においてよりも内側面により大きく突出した複数の拡大部を有することを特徴とする長尺物の保持具。
- 長尺物を固定するベース体と、パネルの取付位置に係着するスライド体とから成り、ベース体は、その基枠にスライド体を長尺物の軸線方向に沿って移動可能に嵌入する嵌入長孔を有すると共に、該嵌入長孔の下方にその長手方向に沿って接続される連絡橋を設け、スライド体は、その基枠に該嵌入長孔内に嵌入した状態で上記パネルの取付位置に係着する脚部を有すると共に、該脚部に上記連絡橋を跨ぐスリットを形成して、上記ベース体とスライド体とが相対移動可能に一対の紐条体を介して一体に連設されていることを特徴とする長尺物の保持具。
- ベース体の基枠の長手方向に存する端部に紐条体を収納する凹溝を形成すると共に、当該端部に長尺物を固定手段を介して固定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の長尺物の保持具。
- ベース体側の嵌入長孔は、両側の巾狭部と中央の巾広部とからなり、スライド体側の脚部は、上記巾広部から嵌入されて巾狭部の裏面に当接するストッパー突起を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の長尺物の保持具。
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