JP4067606B2 - スライドスイッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はターミナルベースに固定された固定接点上を可動接点が摺動する形式のスライドスイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
可動接点を有して所定方向へ摺動自在なスライダと、この可動接点が摺動する固定接点を表面に設け、裏面にカプラ部を設けたカプラ一体型のターミナルベースと、一端がカプラ部内へ突出するカプラ端子となり他の部分が前記固定接点となるターミナルとを備えたスライドスイッチは公知であり、一般的には射出成形によりターミナルをターミナルベースへ一体化して成形されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなターミナルとターミナルベースの一体形成では、成型時にターミナルを成形型内にセットするとき手間がかかり、またカプラ部近傍のターミナル端部を位置決めするときターミナルベース表面に凹凸が残り、この上を可動接点が摺動すると可動接点の耐久性が低くなってしまう。
【0004】
そのうえ、射出圧により固定接点の位置がずれたり変形することがあるため、複数の固定接点をインサートする場合は、相互の固定接点の間隔を十分にとる必要があり、その結果、ターミナルベースの大型化を招き、設計の自由度も小さくなる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願発明に係るスライドスイッチは、可動接点を有して所定方向へ摺動自在なスライダと、このスライダの摺動方向へ長く形成され、表面側がスライダの摺動面をなしかつ裏面側の長さ方向一端部にカプラ部が設けられたターミナルベースと、スライダの摺動方向へ長く形成され、その一部がターミナルベースの表面側へ露出して可動接点が摺動する固定接点をなすとともに長さ方向一端部にカプラ部内へ突出するカプラ端子が設けられたターミナルとを備えたスライドスイッチにおいて、
ターミナルベースにその表面に開口してかつターミナルを嵌合可能な形状をなすターミナル溝を形成し、このターミナル溝へターミナルを差し込んでターミナルベースの裏面側でカシメにより固定するとともに、ターミナルベースの表面側から見てカプラ部と重なるターミナル部分を覆うようにターミナルベースの表面側へスペーサーを取付けたことを特徴とする。
【0006】
このとき、スペーサーの表面を平滑面にするとともに、固定接点と略面一にすれば、可動接点の摺動面をさらに平滑化でき、可動接点の耐久性をより向上させることができる。
【0007】
【発明の効果】
予め成形されたターミナルベースに形成されているターミナル溝へターミナルを表側から差し込みターミナルベースの裏側でカシメ固定するので、従来のインサート成形時における位置決めのような手間がかからず、かつ成形時における位置ずれや変形を考慮する必要がないので、ターミナルベースの小型化が可能になり、設計の自由度も大きくなる。
【0008】
さらに、ターミナルのうちターミナルベースの表面側から見てカプラ部の上方となる部分を覆うようにスペーサーをターミナルベースの表面へ取付けたので、カプラ端子を外部電源側コネクタと接続するときターミナルベースの表面側へ浮き上がることを防止できるとともに、可動接点はスペーサー上を摺動できる。このため、可動接点の摺動面における凹凸が少なくなり、可動接点の耐久性を向上させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1乃至図10に基づいてシフトスイッチとして構成された本発明の一実施例を説明する。図1はターミナルベースに対してスペーサーを取付ける状態を示す図、図2はシフトスイッチの表面側を示す平面図、図3はその裏面図、図4は図2の4−4線断面図、図5は図2の5−5線断面図、図6は同6−6線断面図、図7は同7−7線断面図、図8はターミナルベースの表面側を示す平面図、図9はスペーサーを除いたターミナルベースの平面図、図10は図9の10−10線断面図である。
【0010】
このシフトスイッチは、平面視略長方形であり、カバー1、スライダ2及びターミナルベース3を備える。カバー1は樹脂製であって、表面に横長のスライド穴4が形成され、このスライド穴4内をスライダ2がシフトレバー5により長さ方向へ摺動自在に支持されている。
【0011】
カバー1は裏側が開放された略箱状をなし、ここにターミナルベース3が嵌合され、側壁の係合穴6にターミナルベース3の側面から突出する爪7が係合して一体化するようになっている(図6)。ターミナルベース3表面の一部はスペーサー8で覆われている。
【0012】
スライダ2は中央部にレバー5の移動を許容する縦長の長溝10が形成され(図2)、図5に明らかなように、その裏面で図2の上半側相当部分に第1の可動接点11が第1の接点スプリング12により接点圧を与えられている。下半側相当部分には第2の可動接点13が第2の接点スプリング14により接点圧を与えられている。
【0013】
第1の可動接点11と第2の可動接点13の間にガイド突起15が突出形成され、これがターミナルベース3の中央部に長さ方向へ形成されたガイド溝16に嵌合し、スライダ2の移動をガイド溝16に沿って長さ方向へ案内するようになっている(図4,図8,図9)。
【0014】
図9に示すように、ターミナルベース3はカバー1に対応する横長で樹脂製の略箱状体であり、表面側はスライダ2の摺動面をなし、スライダ2の摺動方向へ長く延びる複数のターミナル溝17が形成され、後述する各ターミナルを差し込み可能に平面視でそれぞれと略同形状をなしてスライダ2の摺動方向へ長く延びている。
【0015】
このターミナル溝17はターミナルベース3の表面側へ開口しかつ裏側へ向って彫り込まれるように形成され、その底部はターミナル溝17の長さ方向に沿って部分的に形成されかつターミナルベース3の裏面へ貫通する取付孔19と連通している(図3、なお符号19は多数につき一部のみに例示する)。
【0016】
さらにターミナルベース3の表面にはターミナルの後述する接点部を収容するための凹部18が形成され(図10)、ターミナルベース3裏面の長さ方向一端部片隅側にはカプラ部20が一体に突出形成されている。
【0017】
このカプラ部20内からターミナルベース3側に貫通する端子溝21が複数形成されている。さらに、スペーサー8が取付けられるターミナルベース3の表面にはカプラ部20が形成されている側の短辺から内方へ若干入り込むように形成された一対の位置決め溝22が形成され(図9)、かつ、スペーサーの上面を押さえる係合突起23a、23bも長辺側に沿って一対形成されている(図5)。
【0018】
図5に明らかなように、スペーサー8は樹脂製の平板状部材であり、その一方の短辺側裏面には位置決め溝22へ嵌合する位置決め突起24が平行して一対形成され、各嵌合時に外側になる端部に係合突起24aを部分的に突出形成して溝22の端部に形成された部分的に深くなる係合凹部22aへ係合されるようになっている(図10の拡大部参照)。
【0019】
また、スペーサー8の長辺部のうち、外側部分には断面コ字状のガイドレール25が形成され、ここに外側の係合突起23aが嵌合され、他方側の長辺部は階段状に薄肉をなすガイドレール26が形成され、内側の係合突起23bの下方へ差し込まれている。
【0020】
スペーサー8の表面は平滑面をなし、かつスペーサー8を取付けるターミナルベース3の表面側部分には凹部27が形成され(図9)、ここに収容されることにより、周囲のターミナルベース3の表面と略面一になるようになっている。
【0021】
図9に明らかなように、ターミナル30は、平面視で平板状の固定接点をなす接点部31と、これから直角に折り曲げられてターミナル溝17内へ差し込まれるターミナル溝差し込み部32と、その一端部でカプラ部20上方位置において略直角に折り返された折り曲げ部33と、その先端を再び直角に下方へ折り曲げたカプラ端子34をなしている(図6)。
【0022】
但し、ターミナルベース3のガイド溝16より下半側に取付けられるターミナルである、35a、35b、35c、35d、36及び37はこのような接点部31を設けず、ターミナル溝差し込み部32における端面の一部がターミナルベース3の表面へ突出して摺動接点となっており、これらのターミナル溝差し込み部32のうち突出部以外の部分は、図9に示すようにターミナル溝17内へ深く引き込まれている。
【0023】
これらの各ターミナル30、35a、35b、35c、35d、36及び37は、それぞれターミナル溝差し込み部32(図8)を対応するターミナル溝17へ差し込み、接点部31を凹部18に収容するとともに、カプラ端子34を端子溝21へ差し込んで、カプラ部20内へ先端を突出させる(図6,図10)。
【0024】
すると、ターミナル溝差し込み部32の下部に形成した固定脚38(図3中では一部にのみ符号指示してある)がターミナル溝17の底部に貫通形成された取付孔19を通って裏側へ突出するので、この突出部をターミナルベース3の裏側からカシメにより固定することにより各ターミナル30、35a、35b、35c、35d、36及び37をターミナルベース3へ一体化している。
【0025】
図8及び図9中の符号39は第2の可動接点13が引っかからずにスムーズに移動できるようにするための突部であり、ガイド溝16より下半側に取付けられるターミナルを収容する凹部40の周囲をなすターミナルベース3の一般面41(最も高くなっている表面)と面一になっている。なお、図8及び図9ではターミナルベース3の表面のうち、この一般面41と面一部分をドットを付して表示してある。また、符号42、43はターミナルベース3にカバー1を取付ける際に用いる位置決め用の突起である。
【0026】
次に、本実施例の作用を説明する。ターミナル30、35a、35b、35c、35d、36及び37は従来のようにターミナルベース3へインサートして一体成形されず、ターミナルベース3の成形後に、ターミナル30、35a、35b、35c、35d、36をターミナル溝17中へ差し込み、ターミナルベース3の裏側でカシメ固定する。
【0027】
このため、従来のようにインサート成形に伴う位置決めの手間がかからず、ターミナル30、35a、35b、35c、35d、36及び37の固定を簡単にでき、なおかつ成形時における位置ずれや変形を考慮する必要もなくなるので、ターミナルベース3の小型化が可能になり、設計の自由度も大きくなる。
【0028】
さらに、ターミナルベース3の表面側のうち、カプラ部20の上方となる折り曲げ部33部分をスペーサー8で覆ったので、カプラ端子34に対する外部電源のコネクタとの接続時に折り曲げ部33側が浮き上がることを防止できる。
【0029】
そのうえ、スペーサー8の表面は平滑な平板状をなすから、カプラ部20上方位置における第1の可動接点11の摺動面に凹凸が少なくなり、可動接点11の耐久性を向上させることができる。
【0030】
しかも、第1の可動接点11は、他の接点部31とほぼ面一になっているスペーサー8上を摺動するため、ほぼ摺動範囲全体における凹凸が少なくなり、その結果、可動接点11の耐久性がさらに向上する。
【0031】
そのうえさらに、ターミナル30、35a、35b、35c、35d、36をカシメによって固定する際、ターミナルベース3の裏側から力を加えるので、ターミナルベース3の表面側はカシメ治具へ圧接され、各ターミナル30、35a、35b、35c、35d、36のターミナルベース3表面に露出する部分がほぼ面一に形成されるから、摺動面の凹凸を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ターミナルベースにスペーサーを取付ける状態の説明図
【図2】 シフトスイッチの表面側を示す平面図
【図3】 その裏面図
【図4】 図2の4−4線断面図
【図5】 図2の5−5線断面図
【図6】 同6−6線断面図
【図7】 同7−7線断面図
【図8】 ターミナルベースの表面側を示す平面図
【図9】 スペーサーを除いたターミナルベースの平面図
【図10】 図9の10−10線断面図
【符号の説明】
1:カバー、2:スライダ、3:ターミナルベース、8:スペーサー、11:第1の可動接点、13:第2の可動接点、17:ターミナル溝、20:カプラ部、30:ターミナル、31:接点部、32:ターミナル溝差し込み部、33:折り曲げ部、34:カプラ端子、35a:ターミナル、35b:ターミナル、35c:ターミナル、35d:ターミナル、36:ターミナル

Claims (3)

  1. 可動接点を有して所定方向へ摺動自在なスライダと、このスライダの摺動方向へ長く形成され、表面側がスライダの摺動面をなしかつ裏面側の長さ方向一端部にカプラ部が設けられたターミナルベースと、スライダの摺動方向へ長く形成され、その一部がターミナルベースの表面側へ露出して可動接点が摺動する固定接点をなすとともに長さ方向一端部にカプラ部内へ突出するカプラ端子が設けられたターミナルとを備えたスライドスイッチにおいて、ターミナルベースにその表面に開口してかつターミナルを嵌合可能な形状をなすターミナル溝を形成し、このターミナル溝へターミナルを差し込んでターミナルベースの裏面側でカシメにより固定するとともに、ターミナルベースの表面側から見てカプラ部と重なるターミナル部分を覆うようにターミナルベースの表面側へスペーサーを取付け
    かつ、このスペーサーは表面が平滑面をなすとともに、固定接点と略面一になっていることを特徴とするスライドスイッチ。
  2. 前記ターミナルベースの表面に対面する前記スペーサーの裏面に位置決め突起を形成し、前記ターミナルベース側に形成されている溝へ嵌合して係合することを特徴とする請求項1に記載したスライドスイッチ。
  3. 前記スペーサーの辺部にガイドレールを設け、前記ターミナルベースの表面に形成されている係合突起に係合させることを特徴とする請求項1に記載したスライドスイッチ。
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