JP3625323B2 - 眼科装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、装置と被検眼との位置合わせ状態を検知し、所定の位置合わせ状態になった場合に自動的に被検眼の情報を得る眼科装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、眼科用装置には被検眼との位置関係に対して正確な位置合わせが要求されるものが多く、特に眼底カメラや非接触眼圧計等は極めて精密な位置合わせが必要であり、その許容誤差が極めて狭いことが知られている。このために、計測装置と被検眼との位置合わせの度合いを検出する機構について数々の提案がなされており、特に最近は検出された位置合わせ情報を使用して位置関係を正しく調整した後で、検者の特別な操作なしに自動的に測定及び記録を行う計測装置が提案されている。
【0003】
例えば、特開昭63−283620号公報に開示されている装置は、図6に示すような検出光学系を有し、LED光源1から出射した位置合わせ用光束は、投影レンズ2を介してハーフミラー3で反射され、対物レンズ4により被検眼Eの角膜Ec上に集光される。角膜Ec上で反射した光束は再び対物レンズ4を通り、ハーフミラー3、結像レンズ5により光検出器6に結像受光されて位置合わせ検出が行われる。
【0004】
この検出機構では、角膜Ecが装置に対して正しく位置合わせされた場合に、光検出器6の受光信号量が最大となるように構成されており、光検出器6で光電変換された受光信号は判断回路7によって位置合わせ状態が検出されると、その検出結果により測定トリガ発生器8から信号が発せられ、測定が開始されるようになっている。
【0005】
図7は被検眼Eと装置の位置合わせが前後左右でずれた場合の光検出器6の出力の変化状態を示し、Z軸は光検出器6の信号出力、X軸は装置の左右方向の位置、Y軸は前後方向の位置を表しており、被検眼Eと装置の位置合わせが完全になされた場合は、出力はZ軸上で極大値を示す。図8は図7を上から見た等高線による説明図であり、実際の被検眼Eと装置との位置合わせの軌跡が曲線S1、S2で示されている。
【0006】
このように、被検眼Eと装置との相対関係は試行的に常に動いているので、自動測定を行う場合には、同一レベル内に留まる時間やレベル間を遷移する回数等を基にして、予め設定された条件を満足した場合に、測定トリガ発生器8から信号が出力され測定が開始される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら今日においては、より正確に位置合わせが行われた状態で行う測定の他に、例えば固視が不充分な状態でも、或る程度の位置合わせの状態で測定を行う装置が求められている。
【0008】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、所定の位置合わせ状態になると自動測定を行う眼科装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための発明に係る眼科装置は、被検眼と検出光学系との位置合わせ誤差を逐次に検知する位置検出手段と、該位置検出手段で得られた誤差を重み値として数値化し積算する演算手段と、該演算手段で算出した積算値を所定値と比較し測定を開始する制御手段とを有することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明を図1〜図5に図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は実施例の光学系の斜視図を示し、被検眼Eの前方の光軸上には、対物レンズ11、ハーフミラー12、複数開口を有する絞り13、結像レンズ14、撮像素子15が順次に配列され、ハーフミラー12の上方の入射方向には、投影レンズ16、光源17が配列されており、撮像素子15の出力は演算回路18に接続されている。更に、図の光路中にはビームスプリッタが配置され、このビームスプリッタを介して対物レンズ11を共用する眼底撮影観察系や眼屈折測定光学系等の検眼測定系が配置されているが、図では省略している。
【0013】
複数開口絞り13は、図2に示すような中心部開口13aと、この中心部開口13aに対して水平方向に対称に配置された開口13b、13cとにより構成され、これらの開口13b、13cに対応して、その後方にそれぞれプリズム19b、19cが配置されており、開口13aにはプリズムは配置されていない。
【0014】
図3(a) 、(b) は開口13b、13cとプリズム19b、19cの側面図を示し、プリズム19b、19cは2つの開口13b、13cの中心を結んだ線に対して垂直方向に斜面が設けられ、それぞれの斜面の向きが異なるように配置されている。
【0015】
光源17から射出した光束は、投影レンズ16を通りハーフミラー12に反射され、対物レンズ11から被検眼Eの角膜Ecを照明し、対物レンズ11の焦点位置に角膜反射による虚像17’を形成する。この虚像17’からの光束は再び対物レンズ11で屈折され、平行光となって複数開口絞り13に入射する。絞り13において中心の開口13aを通過した光束はそのまま偏向されずに直進し、一対の開口13b、13cを通過した光束はプリズム19b、19cによってそれぞれ上下の別方向に偏向され、結像レンズ14によりその焦点位置にある撮像素子15上に、被検眼Eの前眼部と共に角膜反射像17”を結像する。
【0016】
このとき撮像素子15上には、対物レンズ11及び結像レンズ14によって、図示しない照明光源に照明されて開口13aを通過した前眼部像と、開口13b、13cを通過してプリズム19b、19cにより偏向された角膜反射像17”とが映出され、この角膜反射像17”は撮像素子15上の異なる所定位置に分離して結像される。
【0017】
なお、撮像素子15上に角膜反射像17”だけを結像させる場合は、前眼部照明用光源と光源11とが異なる発光波長の光束を発するように選定し、開口13b、13cが光源11からの光束の波長だけを透過するようにする。実際には、プリズム19b、19cに上述のような光学特性を有する誘電体多層膜を蒸着したり、開口13b、13cの近傍にフィルタを配置するなどの構成とする。
【0018】
図4は位置合わせが完了した状態の撮像素子15上の画像を示し、実際の装置では図示しない内蔵テレビモニタに表示される。この内蔵テレビモニタには、中心部開口13aを通過して結像された前眼部Pfと、周辺部開口13b、13cを通過して結像された角膜反射像17b”、17c”とが表示される。なお、17a”は中心部開口13aを通過した反射像である。
【0019】
この状態で、角膜反射像17b”、17c”の中間位置座標X0、Y0と、両者間の水平方向距離Dxを算出して記憶する。これらの角膜反射像17b”、17c”の抽出は、一般的に画像をフレームメモリに取り込んでソフトウェアにより抽出する方式や、撮像素子15からのビデオ信号をコンパレータで比較し、所定レベル以上の信号が得られた時間から抽出する方式等により行われ、演算回路18はこれらの演算を行う。
【0020】
実際の位置合わせ時に得られる角膜反射像17b”、17c”の中間位置座標X、Yは、被検眼Eの装置に対する左右上下方向位置に対応し、また両者間の水平方向距離Dは同様に前後方向位置にそれぞれ対応するので、これらの値がX0、Y0、Dxからどの程度ずれているかにより、各方向の位置合わせずれ量が演算回路18において演算される。
【0021】
本実施例によれば、被検眼Eと装置との位置合わせ状態が三次元方向で定量的に検知できるので、位置合わせのずれ量に対し所定の重みを付することができる。例えば、図5に示すようにずれの量と方向をXYZ座標で考え、所定の位置合わせ状態(図の座標中心O)に対して位置ずれ量に応じてレベル1〜3の範囲を設定し、レベル3に相当する領域L3が中心Oに対して±0.1mm以内の誤差範囲であれば重み100、レベル2の領域L2が±0.2mm以内の誤差範囲であれば重み50、レベル1の領域L1が±0.4mm以内の誤差範囲であれば重み10というように設定する。
【0022】
このように位置合わせ誤差に応じた重みを設定し、重みを加えた検知結果、例えば得られる検出値X、Y、Dからそのときのレベルを逐次に求め、求めたレベルに対応する重みを、そのレベルが得られている時間検出回数で積分した結果が所定値以上になったときに、演算回路18からの制御信号で図示しない検眼測定系により被検眼Eの情報を得るようにしている。このようにすることにより、被検眼Eの状態に合った条件を単一の評価尺度で設定することができる。
【0023】
例えば、この検出光学系はビデオ信号により位置合わせ検出を行うので、最大1秒間に30回の検出が可能であるが、実際には処理時間などを考慮して、1秒間に10回即ち1回当たり0.1秒の割合で検出するものとして、レベル1の状態が0.5秒間続けば、この間被検眼Eは安定して固視していると判断されるものと設定すると、自動測定の条件(所定値)は100×5=500となる。このように設定すると、位置合わせ検出結果から予め設定された重みをその都度積算して、その総和が500を越えた場合に自動測定を開始するということになり、被検眼Eの固視が不安定で±0.2mm以内に位置合わせができない場合でも1秒間で測定が開始されることになる。
【0024】
このような制御を行えば、固視が不安定で位置合わせがうまく行かず、偶然に位置合わせ状態が良いと検知された場合でも、直ちに測定を開始するようなことはなく、また固視が不安定でどうしてもレベル2以上に位置合わせができない場合に、何時までも測定が行われない等というような不都合を回避することができる。
【0025】
実際に重みの掛け方等の自動測定の条件は、多数の被検眼Eを測定しそれらを解析して最適なものを選択すればよい。これらの条件判断をする制御は制御手段18としてCPUを使用して行う。従って、スクリーニング的測定なので位置合わせ精度はあまり高くなくてもよいが、測定を迅速に行いたい場合や、多少時間が掛かってもより正確に位置合わせを行って測定を行いたい場合等の自動測定条件を、検者がキーボード等の図示しない入力装置で変更できるようにすることが可能である。
【0026】
また、重みの総和から測定条件を判断する方式の他に、以下の方法も可能である。即ち、各ゾーンにおける測定回数を予め設定しておいて、例えば検知結果が3回連続してレベル1にあれば測定を開始し、検知結果がレベル2の場合は10回連続してレベル2にあれば測定を開始するようにする。更に、レベル1の場合は1回しか滞在せず、2回目に検知したときにはレベル2に変化したような場合にも、3回目、4回目にレベル1に戻ったときには測定を実行するようにし、レベル2以上の状態では連続していなければ測定を実行しないようにするなど、精度の状態を示す領域間の遷移状態によっても、測定条件を変化させて最適条件を設定する。これにより、信頼度の高い測定を行うことができる。
【0027】
また、図1の光学系を上下、左右、前後に駆動する駆動装置を設け、位置合わせ検出結果を基に予め設定した測定条件に従って駆動装置を駆動し、自動的に位置合わせ及び測定を行うようにすれば、検者が粗アライメントを行った時点で測定スイッチを押すことにより、自動的に被検眼Eとの位置合わせを行って測定を行う全自動眼科装置が実現できる。更に、検者を必要とせずに、被検者自身で粗アライメントを行って測定する自己測定眼科装置も容易に実現することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る眼科装置は、被検眼と光学系との位置合わせを所定方向で逐次に検知し、所定の位置合わせ状態となったときに測定を開始し、信頼度の高い眼科測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の斜視図である。
【図2】複数開口を有する絞りの正面図である。
【図3】開口と光偏向部材の側面図である。
【図4】位置合わせ完了時の撮像素子上の画像の説明図である。
【図5】位置合わせ誤差と重みの説明図である。
【図6】従来例の光学系の構成図である。
【図7】位置合わせ検知状態の説明図である。
【図8】被検眼の動きと測定のタイミングの説明図である。
【符号の説明】
11 対物レンズ
12 ハーフミラー
13 複数開口絞り
14 結像レンズ
15 撮像素子
16 投影レンズ
17 光源
18 演算回路
19b、19c 光偏向部材

Claims (4)

  1. 被検眼と検出光学系との位置合わせ誤差を逐次に検知する位置検出手段と、該位置検出手段で得られた誤差を重み値として数値化し積算する演算手段と、該演算手段で算出した積算値を所定値と比較し測定を開始する制御手段とを有することを特徴とする眼科装置。
  2. 前記重み値を変更する入力手段を有する請求項1に記載の眼科装置。
  3. 前記演算手段では、前記位置検出手段で得られた誤差を重み値とするに当り、設定された複数の領域で前記重み値を異ならせるようにした請求項1に記載の眼科装置。
  4. 前記検出光学系を駆動する駆動手段を設け、前記位置検出手段の検結果に基づいて前記駆動手段を駆動し、被検眼と前記検出光学系との位置合わせ
    を行う請求項1に記載の眼科装置。
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