JP3625116B2 - 給紙ローラの支持装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置の給紙装置において使用される給紙ローラの支持装置に関し、特に、複数のローラの脱着を容易に行なうことができるようにした給紙ローラの支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、複写機においては、装置内において所定の経路に沿って用紙を搬送するために多数の給紙ローラが使用されている。これらの給紙ローラの表面には、用紙との摩擦を大きくするために、ゴム等の滑り止め部材が取り付けられている。この滑り止め部材は、用紙との接触により摩耗したり汚れたりするため、給紙ローラを定期的に交換する必要がある。
【0003】
給紙ローラの交換を容易に行なうための構造は、従来から種々提案されている。
【0004】
たとえば、実開昭63−90646号公報には、軸付けされたローラ両端近傍の軸を他の支軸部分より切り離して2分割し、分割部分の接合部をねじにより締結するようにした搬送ローラの脱着装置が開示されている。
【0005】
また、実開昭63−90647号公報には、ローラ両端へ案内ガイドを設け、このローラの両端部にフランジを接合し、そのフランジに支軸を挿入可能とした搬送ローラの脱着装置が開示されている。
【0006】
また、特開平02−286906号公報には、凹部を有する軸と挿通した芯材に凹部に係止してスラスト方向に固定するための突起を突設したストッパーを一体的に形成したシート材搬送部材が開示されている。
【0007】
また、特開平05−132164号公報には、スライド可能な少なくとも2個のローラを1本の軸上に配し、交換を要する際に待避していたローラを移動させて交換する給紙ローラが開示されている。
【0008】
また、特開平08−12102号公報には、回転軸のローラ部を一部Dカット形状にした所で、ローラを軸に対して2分割とした駆動装置が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した各公報に記載のローラ交換構造では、いずれも、使用する部材の形状が複雑であり、また、部品点数が多いため、交換作業に時間を要すると共に、コストが高くなるという問題があった。また、従来技術では、軸からローラが抜けるのを防止するために、ローラが取り付けられたそれぞれの軸に市販のE抜け止め部材を嵌合しており、ローラ交換の際には、このE抜け止め部材を着脱する必要がある。しかしながら、このE抜け止め部材の着脱には専用の工具を必要とすると共に、作業が困難であるため、ローラ交換作業に時間を要するという問題もある。更に、E抜け止め部材の着脱時に、E抜け止め部材が装置の内外に飛んでしまって紛失したり、装置内に入り込んで障害を引き起こしたりする恐れもある。
【0010】
そこで本発明は、簡単な構造を有すると共にローラ交換作業を容易に行なうことができる給紙ローラの支持装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、軸に対してローラを着脱可能に設けると共に、前記軸からローラが抜け出るのを防止するための抜け止め部材を、複数のローラに関して共通に一体に設け、さらに、この抜け止め部材を前記軸方向に沿って移動させることにより前記ローラに対して一体的に着脱可能にしたことを特徴とする。また、本発明は、前記抜け止め部材が、前記軸とは別に設けられたスタッドに係合する係合部材を有することを特徴とする。さらに、本発明は、前記抜け止め部材が、前記軸と軸との間に設けられたスタッドを中心として回動可能とされ、その両端部で前記ローラが抜け出るのを防止することを特徴とする。
【0012】
【実施例】
図1(a),(b)は、本発明の給紙ローラの支持装置の第1の実施例の平面図及び側面図である。この給紙ローラの支持装置は、用紙を搬送するためのものであって、フィードローラ1と、このフィードローラ1の用紙搬送方向に関しての上流側或いは下流側に配されたナジャーローラ2と、フィードローラ1が取り付けられるフィードローラ軸3と、ナジャーローラ2が取り付けられるナジャーローラ軸4と、フィードローラ1及びナジャーローラ2がフィードローラ軸3及びナジャーローラ軸4から抜け出るのを防止するための抜け止め部材5と、フィードローラ軸3を回転自在に支持するフィードローラ軸受6a及び6bと、このフィードローラ軸受6a及び6bに組まれた主フレーム7と、フィードローラ軸3及びナジャーローラ軸4にそれぞれ取り付けられた従動ギヤ8及び9と、フィードローラ軸3とナジャーローラ軸4との中間に設けられたスタッド10に回転自在に取り付けられており従動ギヤ8及び9の双方に噛み合うアイドラーギヤ11と、駆動軸12に取り付けられており従動ギヤ8に噛み合う駆動ギヤ13等を備えている。なお、上記フィードローラ1とナジャーローラ2は、軸の回転力がローラに伝達される方向に設定された一方向クラッチを介してフィードローラ軸3とナジャーローラ軸4に取り付けられている。また、スタッド10の基部は、主フレーム7にカシメ等の固定手段により固定されている。
【0013】
図2は、抜け止め部材5を単体で示す斜視図である。抜け止め部材5は、合成樹脂により一体的に形成されており、フィードローラ軸3とナジャーローラ軸4との間隔よりも長い長さを有する長円状の連結板体5aと、この連結板体5aの一方の端部に設けられフィードローラ軸3が貫通する孔5bを有するボス5cと、連結板体5aの他方の端部に設けられナジャーローラ軸4が貫通する孔5dを有するボス5eと、連結板体5aの中央部に設けられスタッド10が貫通する孔5fと、この孔5fの近傍に植立され前記スタッド10の先端部に形成された環状凹溝10aに係合する爪部5gを有する係止部材5hを備えている。
【0014】
上述した第1の実施例の給紙ローラの支持装置において、フィードローラ1とナジャーローラ2をフィードローラ軸3とナジャーローラ軸4から取り外す場合には、係止部材5hを矢印A方向に弾性変形させて、係止部材5hの爪部5gとスタッド10の環状凹溝10aとの係合を解除し、抜け止め部材5を矢印B方向に引っ張ると、抜け止め部材5をフィードローラ軸3、ナジャーローラ軸4、スタッド10から抜き出すことができる。
【0015】
次に、フィードローラ軸3とナジャーローラ軸4から、使用済のフィードローラ1とナジャーローラ2を抜き出して、新しいフィードローラ1とナジャーローラ2をフィードローラ軸3とナジャーローラ軸4に嵌め合わせる。
【0016】
次に、フィードローラ軸3、ナジャーローラ軸4、スタッド10に、抜け止め部材5の孔5b、孔5d、孔5fの位置を合わせて、抜け止め部材5を矢印C方向に押し込むと、軸3、4、スタッド10に対して抜け止め部材5が嵌め合わされる。抜け止め部材5を更に押し込むと、係止部材5hの爪部5gがスタッド10の先端に当接するが、爪部5gの内側には傾斜部が形成されているので、スタッド10の先端により爪部5gの傾斜部が押されて、爪部5gは矢印A方向に弾性変形する。抜け止め部材5を更に押し込むと、係止部材5hの爪部5gがスタッド10の環状凹溝10aに係合して抜け止め部材5の取り付けが終了する。この状態においては、フィードローラ1とナジャーローラ2の側面が抜け止め部材5により押さえられるので、ローラが軸から抜け出ることはない。
【0017】
上述した第1の実施例によれば、複数のローラを押さえる抜け止め部材5を、軸方向に移動させるという簡単な操作で複数のローラを容易に交換することができる。
【0018】
図3(a),(b)は、本発明の給紙ローラの支持装置の第2の実施例の側面図及び平面図である。なお、第1の実施例と対応する部材には同一符号を付している。第2の実施例においては、主フレーム7に取り付けられたスタッド14に、合成樹脂等からなる抜け止め部材15が回動可能に取り付けられている。この抜け止め部材15には、回動中心に設けられスタッド14に嵌合する孔(図示せず)と、抜け止め部材15の両方の端部に抜け止め部材15の回動方向に関して同じ円周方向に向いて開いている半円状の係合孔を有する係合部16及び17とが形成されている。なお、半円状の係合孔の開口側の寸法は、フィードローラ1とナジャーローラ2の外径よりも僅かに小さくされている。この抜け止め部材15は、スタッド14に設けられたストッパ18と、スタッド14に嵌合されたE抜け止め部材19との間に挟まれた状態で取り付けられる。
【0019】
上述した第2の実施例の給紙ローラの支持装置において、フィードローラ1とナジャーローラ2をフィードローラ軸3とナジャーローラ軸4から取り外す場合には、抜け止め部材15を矢印D方向に回動させると、抜け止め部材15の係合部16及び17が弾性変形してフィードローラ軸3とナジャーローラ軸4から抜け出る。
【0020】
次に、フィードローラ軸3とナジャーローラ軸4から、使用済のフィードローラ1とナジャーローラ2を抜き出して、新しいフィードローラ1とナジャーローラ2をフィードローラ軸3とナジャーローラ軸4に嵌め合わせる。
【0021】
次に、抜け止め部材15を矢印E方向に回動させると、抜け止め部材15の係合部16及び17がフィードローラ軸3とナジャーローラ軸4に当接し、係合部16及び17が弾性変形しながらフィードローラ軸3とナジャーローラ軸4に係合する。この状態においては、フィードローラ1とナジャーローラ2の側面が抜け止め部材15により押さえられるので、ローラが軸から抜け出ることはない。上述した第2の実施例によれば、複数のローラを押さえる抜け止め部材5を、回動させるという簡単な操作で複数のローラを容易に交換することができる。なお、第2の実施例においては、E抜け止め部材19が使用されているが、このE抜け止め部材19は、ローラの交換の際に着脱する必要はないので、作業性が悪くなることはない。また、抜け止め部材5は、スタッド14により支持されているので、フィードローラ軸3とナジャーローラ軸4に不要な力が加わることがない。
【0022】
図4(a),(b)は、本発明の給紙ローラの支持装置の第3の実施例の側面図及び平面図である。なお、第2の実施例と対応する部材には同一符号を付している。第3の実施例においては、主フレーム7に取り付けられたスタッド14に、合成樹脂等からなる抜け止め部材20が着脱可能に取り付けられている。この抜け止め部材20には、中心に形成されスタッド14に嵌合する弾性係合部21と、抜け止め部材20の両方の端部に形成されフィードローラ軸3とナジャーローラ軸4に嵌合する孔22及び23が設けられている。
【0023】
抜け止め部材20の弾性係合部21は、スタッド14を挟んで平行に形成された一対のスロット21aと、スタッド14を挟んでスタッド14を弾性的に挟持するように対向して設けられた弾性係止片21bとを備えている。弾性係止片21bの対向間隔は、弾性係止片21bが弾性変形していないときには、スタッド14の外径よりも僅かに小さくなる寸法に設定されている。
【0024】
上述した第3の実施例の給紙ローラの支持装置において、フィードローラ1とナジャーローラ2をフィードローラ軸3とナジャーローラ軸4から取り外す場合には、抜け止め部材20を矢印方向に引くと、抜け止め部材20の弾性係合部21の弾性係止片21bが弾性変形して、抜け止め部材20がスタッド14から抜け出る。これに伴って抜け止め部材20は、フィードローラ軸3とナジャーローラ軸4からも抜け出る。
【0025】
次に、フィードローラ軸3とナジャーローラ軸4から、使用済のフィードローラ1とナジャーローラ2を抜き出して、新しいフィードローラ1とナジャーローラ2をフィードローラ軸3とナジャーローラ軸4に嵌め合わせる。
【0026】
次に、フィードローラ軸3、ナジャーローラ軸4、スタッド10に、抜け止め部材5の孔5b、孔5d、弾性係合部21の位置を合わせて、抜け止め部材20を矢印G方向に押し込むと、弾性係合部21の弾性係止片21bがスタッド10の先端に当接して弾性変形して弾性係合部21がスタッド10に対して嵌合し、抜け止め部材20の取り付けが終了する。この状態においては、フィードローラ1とナジャーローラ2の側面が抜け止め部材20により押さえられるので、ローラが軸から抜け出ることはない。
【0027】
上述した第3の実施例によれば、複数のローラを押さえる抜け止め部材20を、軸方向に移動させるという簡単な操作で複数のローラを容易に交換することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、複数のローラ軸に渡した1個の抜け止め部材でローラを留めており、また、ローラ交換時は抜け止め部材を一挙動で着脱できるので、ローラの交換が容易となり、以下の改善効果がある。
【0029】
(1)抜け止め部材脱着に専用の道具不要であり、指先の操作でクリッブをローラ軸溝から容易に外せるので作業性がよい。
【0030】
(2)細かい部品を使用しないので、紛失したり装置内に落ち込んだりることがない。
【0031】
(3)1回の操作で複数のローラを留めることができるので交換作業が容易となり、特に多数のローラを交換する必要がある場合には、作業コストを大幅に低減することができる。
【0032】
(4)作業が容易であるので、ユーザーが自ら必要に応じてローラを容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)は、本発明の給紙ローラの支持装置の第1の実施例の平面図及び側面図である。
【図2】抜け止め部材を単体で示す斜視図である。
【図3】(a),(b)は、本発明の給紙ローラの支持装置の第2の実施例の側面図及び平面図である。
【図4】(a),(b)は、本発明の給紙ローラの支持装置の第3の実施例の側面図及び平面図である。
【符号の説明】
1…フィードローラ、2…ナジャーローラ、3…フィードローラ軸、4…ナジャーローラ軸、5…抜け止め部材、6a,6b…フィードローラ軸受、7…主フレーム、8,9…従動ギヤ、10…スタッド、11…アイドラーギヤ、12…駆動軸、13…駆動ギヤ、14…スタッド、15…抜け止め部材、16,17…係合部、18…ストッパ、19…E抜け止め部材、20…抜け止め部材、21…弾性係合部、22,23…孔

Claims (4)

  1. 軸に対してローラを着脱可能に設けると共に、前記軸からローラが抜け出るのを防止するための抜け止め部材を、複数のローラに関して共通に一体に設け、さらに、この抜け止め部材を前記軸方向に沿って移動させることにより前記ローラに対して一体的に着脱可能にしたことを特徴とする給紙ローラの支持装置。
  2. 前記抜け止め部材には、前記ローラが装着される複数の前記軸にそれぞれ嵌合する孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の給紙ローラの支持装置。
  3. 軸に対してローラを着脱可能に設けると共に、前記軸からローラが抜け出るのを防止するための抜け止め部材を、複数のローラに関して共通に一体に設け、この抜け止め部材をローラに対して一体的に着脱可能にしており、前記抜け止め部材は、前記軸とは別に設けられたスタッドに係合する係合部材を有することを特徴とする給紙ローラの支持装置。
  4. 軸に対してローラを着脱可能に設けると共に、前記軸からローラが抜け出るのを防止するための抜け止め部材を、複数のローラに関して共通に一体に設け、この抜け止め部材をローラに対して一体的に着脱可能にしており、前記抜け止め部材は、前記軸と軸との間に設けられたスタッドを中心として回動可能とされ、その両端部で前記ローラが抜け出るのを防止することを特徴とする給紙ローラの支持装置。
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