JP3624837B2 - 室内空気調和機 - Google Patents

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Description

【0002】
【発明の属する技術分野】
【0003】
本願発明は、室内に設置される室内空気調和機に関し、さらに詳しくは、上方吹出し口と側方吹出し口とを有する室内空気調和機に関するものである。
【従来の技術】
【0004】
室内空気調和機によって室内を冷房(又は暖房)しようとする場合に、室内全体を均一温度になるようにする試みが種々なされているが、未だ十分に満足し得る段階には至っていない。
【0005】
従来例にみられる上記試みの一例として、たとえば、本願出願人の先出願にかかる特開2000−346392号公報がある。この先願発明は、室内空気調和機本体の上方と側方から空気吹出しを行うことにより、壁際や窓際などでの局所的温度不均一を緩和するとともに、室内の上下温度差を小さくしようとするものである。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、上方吹出し口と側方吹出し口をもつ形式の室内空気調和機においてその上方及び側方へ吹き出される空気の吹出し風量を制御するという新しい視点に立って、特に室内の冷房時における温度不均一の問題を改善し、もって可及的に快適な空調環境を提供しようとしてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の室内空気調和機は、図1に例示するように、本体の上面12と一方又は両方の側面(13・14)に空気吹出し口(22・23・24)をそなえており、冷房運転に合わせて、上方吹出し口22と側方吹出し口(23・24)からの吹出し風量を制御する風量制御手段をそなえていることを基本構成とする。
【0008】
吹出し風量を制御する手段としては、空気吹出し口の通路面積を増減するスイングフラップやシャッター(32・33)等がある。
【0009】
本願発明は、室内空気調和機における上方吹出し口と側方吹出し口からの吹出し風量を制御することにより、室内の冷房時における温度不均一を改善し、もって可及的に快適な空調環境を提供しようとするものであるが、空調環境の快適度の指標として、ISO規格にもとりあげられている「PMV指標(予測平均申告)」と「PPD指標(予測不満足率)」という2つの指標を使用する。
【0010】
PMV指標(予測平均申告)というのは、温度・湿度・気流・輻射の環境側の4つの要素と代謝量・着衣量の人体側の2要素とを要素とする指標で、PMV指標が+3のときは「暑い」、+2では「暖かい」、+1では「やや暖かい」、±0では「どちらでもない」、−1では「やや涼しい」、−2では「涼しい」、−3では「寒い」といった温熱感覚に対応する。ISO規格においては、PMV指標が「−0.5から+0.5の範囲」にあることが推奨されており、本願発明でも、好ましいPMV指標としてこの「−0.5から+0.5の範囲」を採用した。
【0011】
一方、PPD指標(予測不満足率)とは、「ある環境に滞在している人々の熱的に不満足に感じる割合を、定量的に予測する指標」であり、ISO規格では、人が居住する環境においては、快適性のためにPPD指標が10%以下であることが望ましいとされている。
【0012】
本願発明では、冷房運転時における上方と側方の吹出し風量比を規定するに際しては、後述する「PMV快適域占有率」を使用し、同冷房運転時における側方吹出し風の吹出し角度を規定するに際しては、「上下温度差」を使用した。
【0013】
なお、参考のために述べると、暖房運転時における上方と側方の吹出し風量比及び側方吹出し風の吹出し角度を規定するに際しては「PPD指標」が使用される。
【0014】
ここで、「PMV快適域占有率」とは、「空調空間(室内)のうち、PMV指標が−0.5から+0.5となる領域(快適領域)の割合」のことである。
【0015】
以上のことを前提として、以下、本願発明の室内空気調和機における上方及び側方からの吹出し風量の制御の態様について説明する。
【0016】
冷房運転時
図2は、冷房運転時における上方吹出し風と側方吹出し風の風量比を規定するためのグラフで、側方吹出し風量を1としたときの上方吹出し風量の変化と、PMV快適域占有率の変化との関係を示している。
【0017】
このグラフによれば、上方吹出し風量:側方吹出し風量の比が1:1から4:1に至る間、PMV快適域占有率が上昇し、その後下降する傾向がみられる。
【0018】
本願発明では、このグラフの結果およびPMV快適域占有率が90%となるラジエータ空調時と対比して、上記吹出し風量比が2:1〜4:1の範囲を好適な範囲として採用した。
【0019】
これを図示の例で説明すると、冷房運転時は、図4に例示するように、上方吹出し口からの吹出し風量UCが一方又は両方の側方吹出し口からの吹出し風量(SC1・SC2)よりも大きくなるように風量制御手段を作用させる。
【0020】
上方吹出し口からの吹出し風量UCと側方吹出し口から吹出し風量(SC1・SC2)の比(風量比)は、側方吹出し風(S 1 ・S 2 )が左右両側の側方吹出し口(23・24)から吹き出される場合(図4)は、SC 1 :UC:SC 2 =1:2:1〜1:4:1の範囲が好適である。
【0021】
図5は、冷房運転時における側方吹出し風の吹出し角度を規定するためのグラフで、側方吹出し角度の変化と空調空間での上下温度差との関係を示している。
【0022】
本願発明では、冷房運転時における空調空間での上下温度差が1.5℃をこえない範囲(側方吹出し角度が−20°以下にならない範囲)を好適な範囲として採用した。
【0023】
又、冷房運転時においては、床面付近での空気温度が過度に低下しないようにするために、風量制御手段は、側方吹出し口(23・24)からの空気吹出しが閉止され、上方吹出し口からのみ空気吹出しが行われるように空気の吹出しを制御することのできる機能をそなえていることが好ましい。
【0024】
図6は、参考例として示すものであり、暖房運転時における上方吹出し風と側方吹出し風の風量比を規定するためのグラフで、上方吹出し風量を1としたときの側方吹出し風量の変化とPPD指標の変化との関係を示している。
【0025】
このグラフによれば、上方吹出し風量:側方吹出し風量の比が約1:1のときをPPD指標の最小値として側方吹出し風量が増大するにつれてPPD指標が増大する。
【0026】
この参考例では、ラジエータ暖房時におけるPPD指標(全域平均で7.11)よりPPD指標を改善する、という観点から上方吹出し風量:側方吹出し風量の比が1:1〜1:2の範囲(PPD指標で約6.7以下)を好適な範囲として採用している。
【0027】
これを、図示の参考例で説明すると、暖房運転時は、図7、図8に例示するように、側方吹出し口からの吹出し風量(SW1・SW2)が上方吹出し口からの吹出し風量(UW)と同じかあるいは上方吹出し口からの吹出し風量(UW)よりも大きくなるように風量制御手段を作用させている。
【0028】
上方吹出し口からの吹出し風量(UW)と側方吹出し口からの吹出し風量(SW1・SW2)との比(風量比)は、側方吹出し風が本体の一方の側面にある側方吹出し口から吹き出される場合(図7)においては、UW:SW1(又はSW2)は1:2〜1:1の範囲が好適である。又、側方吹出し口が本体の左右両側面にある場合(図8)は、左側方吹出し口からの吹出し風量SW1と上方吹出し口からの吹出し風量UWと右側方吹出し口からの吹出し風量SW2の比(風量比)は、2:1:2〜1:1:1の範囲が好適である。
【0029】
図9は、暖房運転時における側方吹出し風の吹出し角度を規定するためのグラフで、側方吹出し風(S1,S2)の吹出し角度とPPD指標との関係を示している。
【0030】
このグラフによれば、側方吹出し風(S1,S2)の吹出し角度が上向きになる程、PPD指標が増大し、水平(0°)より上方になると、PPD指標が約6.7のレベルをこえるようになる。
【0031】
この参考例では、このPPD指標からみて、側方吹出し風(S1,S2)の吹出し角度は水平(0°)を上限として、それより上方にならないようにしている。
【発明の実施の形態】
【0032】
続いて本願発明の実施の形態について説明すると、図1には、床置き型室内空気調和機1を窓3の直下に設置した例を示している。このように室内空気調和機1を窓際に設置した場合は、厳寒期における窓際周辺の局所的温度低下に対して、特に良好な暖房効果(コールドドラフト改善効果)が得られる。
【0033】
この室内空気調和機1は、本体前面11に吸込口21、本体上面12に上方吹出し口22、両側面13,14に側方吹出し口23,24を形成し、上方吹出し口22と側方吹出し口23,24にはそれぞれ吹出し風の風量と吹出し角度を制御するためのスイングフラップ又はシャッター(32,33)を設けている。
【0034】
なお、テスト解析の結果では、冷房運転時(図4)には、側方吹出し風の吹出し角度(S1,S2)が上向きになる程、又、上方吹出し風の風量が多い程、上下温度差が小さく、且つPMV快適域占有率が高くなる傾向があった。
【0035】
図4の使用形態(冷房運転時)では、風量比SC1:UC:SC2=1:4:1〜1:2:1とし、側方吹出し口23,24のスイングフラップ(又はシャッター)32,33は、吹出し角度が−20°〜+45°の範囲になるように開閉制御される。なお、床面付近が過度に温度低下するようになる場合には、側方吹出し口23,24のスイングフラップ(又はシャッター)32,33は全閉することもできるようになっている。
【0036】
次に、参考のために、この室内空気調和機の暖房運転時における使用形態について説明すると、暖房運転時においては、側方吹出し風量(SW1,SW2)と上方吹出し風量(UW)との比は既述の通り2:1〜1:1(図7の場合)又は2:1:2〜1:1:1(図8の場合)とされる。なお、図示の参考例の場合、暖房運転時における側方吹出し角度は、0°(水平)〜−45°の範囲がよい。
【発明の効果】
【0037】
本願発明は、上方吹出し口と側方吹出し口とを有する室内空気調和機において、冷房運転時に、最適な側方・上方吹出し風量比を設定するものであり、それによって従来よりも温度不均一の改善された空調空間を現出し得る効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本願発明の実施例にかかる室内空気調和機の斜視図。
【図2】冷房運転時において、側方吹出し風量を1としたときの上方吹出し風量の変化とPMV快適域占有率の変化との関係を示すグラフ。
【図3】冷房運転時に、一方の側方吹出し口からのみ側方吹出し風を吹き出す場合の状態図。
【図4】冷房運転時に、両方の側方吹出し口から側方吹出し風を吹き出す場合の状態図。
【図5】冷房運転時における、側方吹出し角度と室内上下温度差との関係を示すグラフ。
【図6】暖房運転時において、上方吹出し風量を1としたときの側方吹出し風量の変化とPPD値の変化との関係を示すグラフ。
【図7】暖房運転時に、一方の側方吹出し口からのみ側方吹出し風を吹き出す場合の状態図。
【図8】暖房運転時に、両方の側方吹出し口から側方吹出し風を吹き出す場合の状態図。
【図9】暖房運転時における、側方吹出し角度とPPD値との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0039】
1は室内空気調和機、2は壁面、3は窓、4は床面、5は側方壁面、12は本体上面、13・14は本体側面、21は空気吸込み口、22は上方吹出し口、23・24は側方吹出し口、32・33はスイングフラップ又はシャッター、Uは上方吹出し風、S1・S2は側方吹出し風、UCは冷房時上方吹出し風量、SC1・SC2は冷房時側方吹出し風量、UWは暖房時上方吹出し風量、SW1・SW2は暖房時側方吹出し風量である。

Claims (2)

  1. 本体上面に上方吹出し口、本体左右両側面に側方吹出し口を有する室内空気調和機であって、冷房運転時にあっては、左側方吹出し口からの吹出し風量と上方吹出し口からの吹出し風量と右側方吹出し口からの吹出し風量との比が1:2:1〜1:4:1とされていることを特徴とする室内空気調和機。
  2. 両側方吹出し口からの空気吹出し角度が−20°以下にならないようにされていることを特徴とする請求項1記載の室内空気調和機。
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