JP3624160B2 - ばらおよびパッケージ化されたタバコの湿分ならびに密度の非侵入性測定ならびに決定のための装置および方法 - Google Patents

ばらおよびパッケージ化されたタバコの湿分ならびに密度の非侵入性測定ならびに決定のための装置および方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タバコならびにタバコ製品の湿分ならびに密度を測定し、決定するためのデバイスおよび方法に関し、特に、ばらおよび包装したタバコの湿分ならびに密度の非侵入性測定ならびに決定のための装置および方法に関する。
【0002】
【背景技術】
植物のタバコは、タバコの葉を得ることを目的として栽培され、タバコの葉は、タバコ入りの各種最終製品の製造における基本的な原材料として使用される。原料タバコの葉は、束ねられ、輸送されて製造プロセスに使用されるまで、各種の形態で貯蔵される。通常タバコ製造プロセスは、ばらの、またはパッケージ化された原料タバコの葉に対する初期処理、およびその後のタバコ入りの各種最終製品の形成における加工済みのタバコの葉の使用といった複数の手順を含む。タバコ最終製品もまた、パッケージングされ、貯蔵され、輸送され、タバコ消費市場全体にわたって分配されて販売される。
【0003】
以下においては、あらゆる形の原料状態あるいは加工した状態のタバコ植物、すなわち原料タバコまたは加工済みのタバコの葉を「タバコ」と言い、それには、グリーンまたは別の色を有するものであるかによらず植物のタバコから摘んだばかりのタバコの葉または乾燥したタバコの葉が含まれ、また、紙巻きタバコ、葉巻タバコ、パイプ・タバコ、かぎタバコ、噛みタバコ等のタバコ入りの最終製品に使用される材料としての加工済みのタバコの葉も含まれる。さらに、原料タバコまたは加工済みタバコは、ばらまたはパッケージ化された形になると考えられ、その場合のタバコをパッケージ化する形には、限定する意図ではないが、緩く束ねられた束、ベイル、モジュール、ケース、カートン、またはボックスが含まれる。以下において「ベイル」は、タバコ材料が圧縮された層状に配置され、構造周囲に巻き付けられる紐によって結束された任意の構造を指すものとし、それには、限定する意図ではないが、紐のみを用いてタバコの葉が束ねられるファーマー・ベイル;木製またはボール紙の側壁を有する梱包用枠組内にタバコの葉が収められるケース;ケースが実質的に円柱形状を有するホッグズヘッド;およびオリエンタル・ベイルが含まれる。また、以下における「モジュール」は、ベイルおよびケースを含めた任意の構成に束ねられたタバコ材料を指すものとする。
【0004】
原料タバコの葉を入手してからタバコ最終製品を市場に供給するまでのシーケンスに含まれるいくつかの手順は、ばらもしくはパッケージ化された形のタバコの湿分および/または密度に依存する。たとえば湿分が過剰に高い場合には、タバコの物理化学的性質および特性が変化し、可能性としては、輸送および貯蔵の間の変質が考えられ、製造プロセスに使用する前のタバコであってもそれがもたらされる。湿分が過剰に低いときには、タバコの加工および使用に問題を生じることがある。タバコの湿分に関係のあるパッケージ化されたタバコの密度は、たとえばタバコ最終製品の製造に先行する原料タバコを何らかの形に束ねるパッケージング、または市場に分配し、販売する前のタバコ最終製品のパッケージングに関係するタバコのパッケージング・プロセスに関する品質管理パラメータとしてそれを使用することが可能である。
【0005】
タバコは、一般にタバコ最終製品の製造のための加工を行うまで大きなベイルに貯蔵されている。貯蔵されたタバコの化学的な組成は、タバコの中に含まれる化合物に関連する各種の化学反応の結果として変化する。これらの化学反応の中には、特に喫煙者に有害となる化学物質を生成するものもあり、タバコ製品の味および貯蔵寿命の決定要素となるものもある。実際、各国の関連監督官庁、たとえば米国の場合であればFDA(食品医薬品局)からは、頻繁に有害化学化合物の最大レベルが求められる。これらの成分の1ないしは複数の濃度がこれらの限界を超えると、その国内におけるそのタバコ製品の販売は、監督官庁による許可を受けることができない。これらの化学反応のレートおよび程度は、タバコの湿分によって変化することがある。したがって、タバコ業界は、これらの規制に適合させるため、またタバコの品質を維持するために比較的狭い湿分値の範囲内においてタバコを加工しなければならない。このように、タバコの中に含まれるこれらの成分の濃度をモニタしなければならないことは明らかであり、可能であれば、実質的に、これらの成分が潜在的に有害なレベルに到達する前にタバコを加工しなければならない。
【0006】
タバコが変化するレートおよびその程度がタバコの湿分によって影響されることから、タバコの最適な貯蔵ならびに加工を得るために、タバコの湿分を測定することが望まれている。しかしながら、タバコの湿分の測定に使用することができる現在の方法は、タバコの葉からのサンプル抽出および、それに続いて現場から離れた場所で行われるオフサイトの、タバコ・サンプルの湿分の決定からなる。タバコの湿分は、ベイルごとに異なるだけでなく、1つのベイル内においても部分によって大きく変化することから、この種のサンプリングは、非常に不正確になる可能性を有し、それにより誤った結果が導かれる可能性がある。ばらのタバコの葉に含まれる湿分の測定もまた重要であるが、タバコ材料の小さな部分のオフサイトのサンプリングによってそれを決定することは、同様に困難である。好ましくは、タバコ材料の抽出サンプリングによるのではなく、タバコの葉が、たとえばベルト・コンベアに乗ってサイロを通過する際にばら積みのタバコ材料の測定を行う。このように、タバコのベイルおよびばら積みのばらのタバコの葉の両方に対して、現在使用可能なタバコの湿分測定の方法は大きな欠点を有している。
【0007】
タバコの湿分の決定にとってはるかに有用な方法は、より正確な湿分が測定されるべく、ベイル全体を通じた湿分の測定を必要とする。この種の方法はまた、湿分測定のプロセスの間にタバコが破壊されることのないようにタバコ材料を保存すると好ましい。さらに、湿分が管理できれば、前述した化学的プロセスの結果としてもたらされる各種化学化合物のレベルのコントロールが可能になる。このように、タバコに含まれる湿分を正確に決定することは、タバコ製品の適正な貯蔵ならびに製造に必要である。
【0008】
タバコの密度は、原料または加工済みの、ばらまたはパッケージ化されたタバコに含まれる湿分の測定に影響を及ぼすだけでなく、パッケージ化された原料タバコまたは加工済みタバコの密度を測定すれば、この種のパッケージ化されたタバコの内部構造のモニタおよび品質管理に役立てることができる。パッケージ化されたタバコが夾雑成分および/または不均一性を有することもあり、それらは、湿分の測定精度およびその後に行われるタバコの加工にともに影響を与え得る。パッケージ化されたタバコの内部構造における不均一性の現実的な例として、紙巻きまたは葉巻タバコの製造施設において、梱包用組枠が規格外の数の紙巻きまたは葉巻のカートンを含む場合、また同様に、カートンが規格外の数の紙巻きまたは葉巻のパックを含む場合が挙げられる。理想は、タバコまたはタバコのパッケージに物理的もしくは化学的な変化を与えることなくこの種のパッケージ化されたタバコの密度の測定およびその内部構造の決定が非侵入性の非破壊的な方法およびデバイスを使用して可能になることである。しかしながら、この種の装置および方法は、現在のところ存在しない。
【0009】
このように、原料または加工済みの、ばらまたはパッケージ化されたタバコの湿分ならびに密度の非侵入性測定ならびに決定のための装置および方法が必要であることは広く品式されているところであり、またそれが実現されれば非常に有利である。
【0010】
【発明の開示】
本発明によると、タバコ材料の湿分を決定する方法が提供され、当該方法は、
(a)複数のマイクロ波を前記タバコ材料の一部を通して複数の送信マイクロ波として送信するステップ;
(b)前記複数の送信マイクロ波を複数の受信マイクロ波として受信するステップ;
(c)前記受信マイクロ波から前記送信マイクロ波の減衰度を決定するステップ;
(d)前記受信マイクロ波から前記送信マイクロ波の位相シフトを決定するステップ;
(e)前記タバコ材料の標準重量と実重量との比を乗じて前記減衰度を補正して重量補正減衰度を求めることにより、前記タバコ材料の重量効果に基づき前記減衰度を補正するステップ;
(f)前記重量補正減衰度に、α・(1−Ts/Te)として定義されるファクターを加えて温度補正減衰度を求めることにより、前記タバコ材料の温度に基づき前記重量補正減衰度を補正するステップ、
但し、Tsは前記タバコ材料の標準温度で、Teは前記タバコ材料の測定温度で、αはタバコ材料のタイプに基づいて経験的に決められた係数である;
(g)前記温度補正減衰度から前記タバコ材料の一部の未補正の湿分含有量値を計算するステップ;
(h)前記位相シフトから前記タバコ材料の一部の密度を計算するステップ;
(i)前記タバコ材料における今回計算された部分の計算密度と前回計算された部分の計算密度との偏差を決定するステップ;
(j)前記偏差の大きさに応じて、前記タバコ材料の一部の計算密度から真の密度を計算するステップ;
(k)前記未補正の湿分含有量値と前記真の密度とから前記タバコ材料の一部の真の湿分含有量を計算するステップ;および
(l)前記タバコ材料の複数の部分について前記ステップ(a)から前記ステップ(k)を繰り返して、前記タバコ材料の湿分含有量を計算するステップ
からなる。
【0011】
好ましくは、上記方法において、前記タバコ材料が原料状態のタバコの葉もしくは加工済み状態のタバコの葉からなる。
【0012】
好ましくは、前記タバコ材料がばらの状態もしくはパッケージ化された状態である。
【0013】
好ましくは、上記方法において、前記ステップ(f)が、前記タバコ材料の測定温度を連続的にモニターしながら行われる。
【0014】
好ましくは、上記方法において、前記ステップ(g)が、前記タバコ材料のタイプ、形状および構造に基づく関数を用いて行われる。
【0015】
好ましくは、上記方法において、前記ステップ(h)が、測定された位相シフトと特性が既知のタバコ材料のテスト片の解析による位相シフトデータを集めて得られた既知の密度との相関関係に前記位相シフトを関係づけて行われる。
【0016】
好ましくは、上記方法において、前記ステップ(i)における前記密度偏差が前記タバコ材料の内部構造における異物もしくは不均一部を示す。
【0017】
好ましくは、上記方法において、前記ステップ(j)における前記密度偏差は比較的小さく、単一の前記真の密度が前記ステップ(k)および(l)の計算に用いられる。
【0018】
もしくは、前記ステップ(j)における前記密度偏差は比較的大きく、複数の前記真の密度が前記ステップ(k)および(l)の計算に用いられる。
【0019】
好ましくは、上記方法において、前記ステップ(k)において、前記タバコ材料タイプおよび構造特性により定まる補正係数が用いられる。
【0020】
好ましくは、上記方法において、前記タバコ材料は所定の製造工程を経て処理され、前記製造工程は前記ステップ(l)により得られた前記タバコ材料の計算含有湿分に基づいて調整される。
【0033】
以下、添付図面を参照して本発明を説明するが、これらは例示のみを目的としていることに注意が必要である。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明は、ばらまたはパッケージ化されたタバコの湿分ならびに密度を測定し、決定する非侵入性の装置および方法である。このタバコは、あらゆる形の原料状態または加工済み状態のタバコ植物、すなわちタバコの葉を指し、それには、グリーンまたは別の色を有するものであるかによらずタバコ植物から摘んだばかりのタバコの葉もしくは乾燥したタバコの葉が含まれ、また、紙巻きタバコ、葉巻タバコ、パイプ・タバコ、かぎタバコ、噛みタバコ等のタバコ入りの最終製品に使用される材料としての加工済みのタバコの葉も含まれる。さらに、原料タバコまたは加工済みタバコは、ばらまたはパッケージ化された形になると考えられ、その場合のタバコをパッケージ化する形には、限定する意図ではないが、緩く束ねられた束、ベイル、モジュール、ケース、カートン、またはボックスが含まれる。
【0035】
本発明は、上記いずれかの形状のタバコにマイクロ波を照射するが、それにおいてマイクロ波照射の周波数は可変である。通常、マイクロ波照射源は、タバコ・ベイル等のタバコの一方の側に配置され、ベイルの対向する側にアンテナが配置される。照射されるソース・ビームは、ベイルの一部を通過して伝播し、受信アンテナによって受信されて信号が生成される。マイクロ波信号の、減衰および位相シフト等のパラメータは、ベイルのその部分の湿分、ベイルの全体的な均一性、およびベイルの密度の測定ならびに決定に使用される。この種の湿分ならびに密度測定を行う方法は、米国特許第5,621,330号に開示されており、それについては完全にここでその説明を行っているかのように引用する。この種の方法の別の特徴は、米国特許出願第08/777,872号および第08/974,983号に開示されており、それについても完全にここでその説明を行っているかのように引用する。それとは別に、ここに説明する方法および装置は、緩いばら積みのタバコの葉、たとえばサイロを通過するタバコの葉の湿分を測定する場合にも使用することができる。
【0036】
パッケージ化したタバコの密度の測定および決定に基づき、パッケージ化したタバコの内部構造を分析して夾雑成分および/または非均一性の有無を検出し、さらにパッケージ全体にわたってタバコ材料が存在することを確認する。
【0037】
マイクロ波測定の未補正のデータは、減衰および位相シフトを含め、湿分および密度の決定に使用され、その値が解釈されて最終的にタバコの特性および内部構造に関係する有用な情報となる。また、実際のタバコ・サンプルのマイクロ波測定と比較する目的から、原料または加工済みの、ばらまたはパッケージ化されたタバコに関する実際の適用に従って、標準の良好な特性を有する、各種形態のタバコの較正用サンプルに対する較正測定も行う。較正測定の結果は、タバコ・サンプルの選択した既知の特徴に関して相関付けられる。さらに較正データ相関の結果を、明確な認識可能なパターンに従って分類する。この分類後のパターンは、タバコに関連する製造プロセスのモニタもしくは品質管理と直接関係のあるあらかじめ決定済みの特徴を検出し、識別するために行われる、実際のタバコ・サンプルのマイクロ波測定から得られた未補正のデータの解釈を行う上で非常に有用である。
【0038】
本発明においては、パターン検出、分類および/または決定アルゴリズムを一部に使用することによって未補正のデータの解析が行われる。本発明の方法におけるデータ解析に適したパターンの決定、分類、および/または決定アルゴリズムの具体的な例については、Schechter(シェクター)に特許された米国特許第5,880,830号ならびに係属中の米国特許出願第09/146,361号、およびその中の引用資料に詳細な解説があり、それらについては、ここで完全にその説明を行っているかのように引用している。好ましくは、本発明におけるデータ解析は、以下「夾雑成分」と集合的に呼ぶ異物または物体および/または非均一性を特徴として有するタバコのパッケージ内に各種周波数のマイクロ波を通過させることによって行う、減衰および位相シフトからなるペアの獲得を基礎とする。この独特な方法により、一般的にはサンプルの検出ならびに分類、特に夾雑成分および/または非均一性の検出ならびに分類が高レベルの精度および正確さを伴って可能になる。
【0039】
本発明に従った装置および方法の原理ならびに動作は、添付の図面を参照するとさらによい理解が得られる。
【0040】
ここで図1Aおよび図1Bを参照すると、本発明によって湿分の測定が可能なモジュールの例が図示されている。図1Aは、タバコのベイル12とするモジュール10を示している。ベイル12は、タバコ材料14の圧縮した層からなり、一選択肢として少なくとも1つのタイ・バー16によって一体に保持されている。タイ・バー16は、プラスチックまたは金属からなるものとすることができる。ベイル12の湿分を測定する目的から、ベイル12は、少なくとも1つのエリア、好ましくは複数のエリア17に分けることができる。各エリア17は、少なくとも1つの測定ポイント18を、好ましくは複数の測定ポイント18を含んでいる。各測定ポイント18においては、ベイル12のその部分に含まれる湿分が決定される(次の図2を参照されたい)。
【0041】
図1Bは、タバコのケース20とするモジュール10を示しており、たとえばこれがタバコの貯蔵に使用される。ケース20には、ベイル12とは異なり、明確に定められた層がない。しかしながら、ケース20を少なくとも1つ、好ましくは複数のエリア22に分けることは可能である。さらに、各エリア22は、少なくとも1つ、好ましくは複数の測定ポイント24に細分割することができる。各測定ポイント24においては、ケース20のその部分に含まれる湿分が決定される(次の図2を参照されたい)。
【0042】
純粋に例示のみを目的として、本発明の装置および方法の説明をベイル等のモジュール内のタバコの葉に含まれる湿分および密度の測定に限るが、これがいかなる形においても限定を意味しないことを理解する必要がある。これらの湿分および密度の測定は、緩いばら積みの葉を含めて実質的にあらゆる構造のタバコの葉に適用することができる。タバコ材料の構造のタイプは、一部にはタバコの加工段階に依存する。簡単に言えば、収穫および脱穀の後のタバコの葉は、緩くばら積みされる。続いてタバコの葉はベイルに束ねられ、その後、第1段階の加工が行われる。この第1段階の加工には、タバコの裁断が含まれる。裁断したタバコは、通常、木箱等のある種のタイプのケースに収められる。次に第2段階の加工が行われ、それにおいては紙巻きタバコ等のタバコ製品が製造される。つまり、ここでは特にモジュールおよびベイルを引用しているが、本発明の方法は、実質的に任意の処理段階におけるタバコの湿分の測定、およびパッケージ化されたタバコの密度の測定に使用することができる。
【0043】
図2は、本発明の一実施態様に従った装置を示している。装置26は、マイクロ波照射源28を含み、それが図においてモジュール10の一方の側に配置されている。マイクロ波照射源28は、好ましくは、ソース・ビーム32を発射する少なくとも1つのソース・アンテナ30を備える。ソース・ビーム32は、モジュール10に指向され、それを通って出口ビーム34となる。ソース・ビーム32は、モジュール10を通って伝播する間に、マイクロ波を反射するパッケージング材料によって反射されることがある。その種のパッケージング材料には、金属、たとえばタバコの新鮮度を維持する補助に使用されるアルミニウム・ラッピングがある。つまり出口ビーム34には、タバコ材料を通過したマイクロ波のほかに、モジュール10から出るあらゆる反射マイクロ波が含まれる。出口ビーム34は、少なくとも1つの受信アンテナ36によって受信される。受信アンテナ36は、モジュール10からに関して実質的にソース・アンテナ30の逆側に配置される。
【0044】
受信アンテナ36が出口ビーム34を受信すると、受信アンテナ36はアンテナ信号38を生成する。アンテナ信号38は、続いて減衰ユニット40に送られる。減衰ユニット40は、アンテナ信号38の減衰を測定する減衰測定器42を含む。ソース・ビーム32がモジュール10内を通過するとき、ソース・ビーム32は減衰を受ける。この減衰の程度は、ソース・ビーム32の伝播路上にあるモジュール10の材料の質量である基本質量および、ソース・ビーム32の伝播路上にあるモジュール10の材料に含まれる湿分によって決定される。したがって減衰測定器42は、モジュール10を通過することによってソース・ビーム32がうけた減衰の程度を実際に測定することになる。
【0045】
アンテナ信号38の少なくとも一部は、アンテナ信号38の位相シフトを決定する位相シフト決定器44にも与えられる。この位相シフトは、モジュール10を通過したソース・ビーム32の実際の位相シフトであり、位相差は、ソース・ビーム32の位相と出口ビーム34の位相の間の差である。減衰および位相シフトは次式に従って決定される。
【0046】
【数4】
A=8.68αl
ただし、lはモジュール10の長さであり、αはモジュール10に関する減衰定数である。
【0047】
【数5】
P=(β−β)l
ただし、βおよびβは、それぞれモジュール10および空気の位相定数である。
【0048】
アンテナ信号38の減衰および位相シフトは、続いて湿分決定器46によって使用されてモジュール10の湿分が決定される。
【0049】
湿分決定器46は、次に示す式を用いてモジュール10の湿分を決定する。ただし、これらの式において、Aは減衰、Pは位相シフト、Wは湿分、Mはモジュール10の基本質量を表す。式1および2は、積分されて式3および4になる。その後、湿分Wが計算される。
【0050】
【数6】
dA=(∂A/∂W)dW+(∂A/∂m)dm
dP=(∂P/∂W)dW+(∂P/∂m)dm
A=(∂A/∂W)W+(∂A/∂m)m
P=(∂P/∂W)W+(∂P/∂m)m
【0051】
湿分測定の精度を向上させるために、多くの特徴を選択的に装置26に追加することができる。好ましくは、減衰ユニット40が減衰器48を備える。減衰器48の機能は、アンテナ信号38の減衰であり、その結果、アンテナ信号38が減衰済みアンテナ信号50になる。その後、カプラ52が減衰されたアンテナ信号38を2つの部分に分ける。分けられた減衰済みアンテナ信号50の一方は、位相シフト決定器44に与えられる。分けられた減衰済みアンテナ信号50の他方は、好ましくは減衰測定器42に与えられる。減衰測定器42は、好ましくは減衰済みアンテナ信号50の振幅と、一定の基準信号54の振幅の間の差を決定する。これらの2つの振幅の間の差は、減衰器48によってアンテナ信号38が減衰される範囲を決定し、それによってアンテナ信号38の減衰が実質的に一定に保たれる。位相シフト決定器44(次を参照)の適正な動作のためには、この種の定常性が必要になる。
【0052】
前述したように、位相シフト決定器44は、ソース・ビーム32の位相と出口ビーム34の位相の間の差、つまり位相シフトを決定する。位相シフト決定器44は、好ましくはミキサ56を備え、それがソース・ビーム32と、アンテナ信号38によって表される出口ビーム34の間の位相シフトに比例する信号を出力する。ミキサ56にソース・ビーム32の一部を印加するために、マイクロ波照射源28は、好ましくはソース・ビーム32を2つの部分に分割する第2のカプラ58を備える。ソース・ビーム32の第1の部分は、前述したようにモジュール10に向けて発射される。ソース・ビーム32の第2の部分は、ミキサ56に向けられる。
【0053】
また好ましくは位相シフト決定器44に、信号位相シフト測定器60を備える。信号位相シフト測定器60は、ミキサ56によって出力される信号から、ソース・ビーム32と出口ビーム34の間の位相シフトを測定する。もっとも高精度の湿分測定を得るため、信号位相シフト測定器60は、位相シフトの測定における不正確性を補償するために設計された多くの特徴を選択肢として有する。これらの特徴には、未補正位相シフトを決定する未補正位相シフト測定器62が含まれる。次に、位相領域決定器64がアンテナ信号38の減衰から未補正位相シフトの位相領域を決定し、補正済み位相シフトを生成する。ソース・ビーム32および、アンテナ信号38によって示される出口ビーム34から直接測定したとき、位相シフトの変化できる範囲は0から2πまでに限られる。しかしながら、正しい位相は、実際に2π(n−1)と2πnの間にあり、それが0から2πまでとなることもあり得るが、たとえば4πから6πまでとなることもあり得る。このため位相領域、つまりnの値を決定しなければならない。この種の決定は、図4に示すような、アンテナ信号38を位相曲線に関係付ける経験的な位相領域曲線を使用して行われる。その後、正しい位相シフトが湿分決定器46に印加される。
【0054】
位相シフト測定を正確に行うためには、アンテナ信号38の減衰を実質的に一定に維持しなければならない。一定に維持されていないと、ソース・ビーム32とアンテナ信号38の比較がアンテナ信号38の減衰によって人為的に変化することになる。
【0055】
前述したように、位相シフトおよび減衰が測定された後、湿分決定器46がモジュール10内に含まれる湿分を決定する。湿分決定器46は、好ましくはモジュール10の温度を測定する温度センサ66を備える。モジュール10のタイプは、好ましくはモジュール・タイプ入力68によって湿分決定器46に入力される。モジュール10のタイプは、モジュール10内のタバコ材料のタイプによって決定され、またモジュール10の、たとえばベイル12またはケース20といった形状によって決定される。さらに好ましくは湿分決定器46にノーマライザ70を備える。ノーマライザ70は、好ましくは経験的関数72を含む。この経験的関数72は、モジュール10の温度ならびにそのタイプから、また上述のように計算される減衰および位相シフトから、モジュール10内に含まれる湿分を決定する。
【0056】
上記の説明においては、単一の測定が行われる形としてモジュール10の湿分測定を扱っている。しかしながら、好ましくは複数のこの種の測定が行い、平均器74により平均する。図1を参照して説明したように、ベイル12は、好ましくは複数のエリア17に分けることができる。各エリア17は、好ましくは複数の測定ポイント18に細分する。各測定ポイント18において、ベイル12のその部分の湿分を上記の説明に従って決定し、それにより複数の測定値を得て平均器74によりそれを平均する。ケース20、エリア22および測定ポイント24についても同じ形で説明することができる。これらの平均化した測定値は、好ましくはその後、モジュール10に含まれる湿分を求めるために図3に示したタイプの較正曲線と比較する。一選択肢として、この種の複数の測定を容易にするために、装置26にベルト・コンベア(図示せず)等の搬送器あるいはトラック(図示せず;図6を参照されたい)を備え、マイクロ波照射源28と受信アンテナ36の間においてベイル12を移動させる。
【0057】
一選択肢として、マイクロ波照射源28に第2のソース・アンテナ76を含めることもできる。また一選択肢として、装置26に、第2の受信アンテナ78を備えることもできる。一選択肢として、オシレータ80が第1のスイッチ82および第2のスイッチ84をコントロールする。選択肢として追加されるこれらの特徴は、単一箇所の測定だけではモジュール10が高すぎるとき、2箇所においてモジュール10の湿分を測定するために使用される。まず、オシレータ80は、第1のソース・アンテナ30がソース・ビーム32を発射するように第1のスイッチ82を設定し、第1の受信アンテナ36がアンテナ信号38を生成するように第2のスイッチ84を設定する。図2に示されたこの特定の構成は、モジュール10の下方部分に含まれる湿分の測定に使用される。次にオシレータ80は、第2のソース・アンテナ78がソース・ビーム32を発射するように第1のスイッチ82を切り替える。またオシレータ80は、第2の受信アンテナ78がアンテナ信号38を生成するように第2のスイッチ84を切り替える。これにより、モジュール10の上方部分が測定される。
【0058】
マイクロ波照射源28には、選択肢としてソース・ビーム32の電界密度の方向(図5A〜5Fを参照されたい)を操作することによって湿分測定の感度を最大にするために設計された多くの特徴を含めることができる。マイクロ波照射源28は、電界導波器86を備えることができる。電界導波器86は、モジュール10と相対的なソース・ビーム32の電界密度の方向を決定し、その結果、減衰の大きさならびに位相シフトの大きさの決定に、電界密度の方向が部分的に関与する。モジュール10が層14(図示せず)を有する場合には、電界密度がモジュール10の層14(図示せず)と実質的に垂直になるとき、アンテナ信号38の実質的な最大減衰および実質的な最大位相シフトが得られる。電界密度が層14(図示せず)と実質的に平行になるとき、アンテナ信号38の実質的な最小減衰および実質的な最小位相シフトが得られる。モジュール10が層14を有していない場合であっても電界密度の方向を変化すると、測定する材料の、電界密度に相対的な姿勢に従ってアンテナ信号38の減衰ならびに位相シフトが変化する。電界導波器86は、減衰測定器42からのフィードバックに従って電界密度の方向を決定する。つまり、アンテナ信号38の減衰が低いときには、電界導波器86が電界密度の方向を変化して補償を行うことができる。これが、湿分ならびに密度の測定における感度および精度を最大化する上で有利であることは明らかである。
【0059】
図3は、較正曲線88の一例を図示したものであり、Y軸をdBにより表した減衰とし、X軸をパーセンテージにより表した湿分としてこれらの関係を示している。各較正曲線88は、モジュール10(たとえばベイルまたはケース)のタイプごとに、またタバコ材料のタイプごとに経験的に決定される。その後は、モジュール10に含まれる湿分が較正曲線88から決定される。これらの曲線およびその導出については、より詳細な説明をウズベキスタンのA.Greenwald,FAN(グリーンウォールド,ファン)による「Theoretical and Experimental Investigation of Microwave Moisture Measurement of Materials(材料のマイクロ波湿分測定における理論的経験的研究)」(1982年)に見ることができる。
【0060】
図4Aは、前述した位相領域曲線90のグラフを示している。位相領域曲線90は、アンテナ信号38の減衰をX軸に、位相をY軸に示した経験による曲線である。一例として、減衰がAに等しいとき、位相領域曲線90から、位相領域が0から2pまでの範囲となることがわかる。材料およびモジュール10のタイプごとに異なる位相領域曲線を決定しなければならない。
【0061】
この曲線を使用するためには、好ましくはモジュール10がソース・アンテナ30と受信アンテナ36の間を搬送されるとき、アンテナ信号38の減衰および位相シフトを測定する。たとえば、モジュール10の前縁がソース・アンテナ30と受信アンテナ36の間の領域に入る手前で最初の測定を行い、モジュール10の前縁がその領域に入った位置で2番目の測定を行い、モジュール10がソース・アンテナ30と受信アンテナ36の間に並んだときに3番目の測定を行う。これらの複数の測定と位相領域の間の関係を図4Bに示す。図の上側は、ソース・アンテナ30と受信アンテナ36の間において搬送されるモジュール10を示している。図の下側は、ソース・アンテナ30と受信アンテナ36の間とモジュール10の並びにずれがなくなるに従って増加する減衰と、位相シフトの関係を示したグラフであり図4Aに示した経験的な位相領域曲線90に基づいている。モジュール10がソース・アンテナ30と受信アンテナ36の間を搬送される間、位相シフトは0〜2πの間を循環するので、このサイクル数をカウントし、位相領域を決定することができる。
【0062】
図5A〜5Fは、モジュールに相対的なソース・ビームの電界密度の方向と、アンテナ信号の減衰および位相シフトの間の関係を示している。図5Aには、電界密度92および磁界密度94が示されている。電界密度92は、モジュール10の層14に垂直である。図5Bにおいては、電界密度92が約45度まで回転される。図5Cにおいては、図5Aを基準にすると約90度まで電界密度92が回転される。この状態で電界密度92がモジュール10の層14と平行になる。図5D〜5Fは、アンテナ信号38の減衰96および位相シフト98に対する電界密度92の方向におけるこれらのシフトの影響を示している。図5Dにおいては、図5Aに示したように電界密度92が層14と直交することから、アンテナ信号38の減衰96および位相シフト98がともに、実質的に最小レベルになる。図5Eにおいては、図5Bに示したように電界密度92が回転していることから、アンテナ信号38の減衰96および位相シフト98がともに増加している。最後の図5Fにおいては、図5Cに示したように電界密度92が層14と平行になることから、アンテナ信号38の減衰96および位相シフト98がともに、実質的に最大レベルになる。
【0063】
選択肢の1つとして、図6に示すように装置26をトラック100にマウントすることができる。マイクロ波照射源28および受信アンテナ36をともにトラック100上にマウントする。続いてモジュール10に沿ってトラック100を移動させ、それによりマイクロ波照射源28と受信アンテナ36の間においてモジュール10を移動させる。このようにして、前述のようにモジュール10の複数の湿分測定値を求めてそれを平均することができる。
【0064】
図7A〜7Cは、本発明の別の好ましい実施例を示している。図7Aは、装置26の別の好ましい実施態様を示した概要図であり、これは図2に示した実施態様に類似であるが、受信アンテナ36が円偏波アンテナである点が異なる。さらに、マイクロ波照射源28と受信アンテナ36の間において、ベルト・コンベア等の搬送器102が、ここではベイル12として示したモジュール10を搬送し、その結果、ソース・ビーム32がベイル12の部分を通り、出口ビーム34としてベイル12から出る。搬送器102がモジュール10を搬送することから、ソース・ビーム32にベイル12の複数の部分を通過させることができる。したがって、ベイル12に沿ってi個のこの種の部分があれば、i個の湿分測定値が得られる。出口ビーム34は、受信アンテナ36によって受信され、続いてそれがアンテナ信号38を生成する。
【0065】
この実施態様においては、その後ベイル整列決定器104を用いてアンテナ信号38を調べる。ベイル整列決定器104は、ソース・ビーム32および受信アンテナ36に対するベイル12の並びを決定する。ベイル整列決定器104は、前縁移動決定器106、間隔タイマ108、および後縁移動決定器110を含んでいる。前縁移動決定器106は、ベイル12の前縁がマイクロ波照射源28を通過した時点を検出し、前縁移動信号を生成する。間隔タイマ108は、この前縁移動信号を受け取り、ベイル12がマイクロ波照射源28と受信アンテナ36の間に正しく整列したときに整列信号を生成する。後縁移動決定器110は、ベイル12の後縁がマイクロ波照射源28を通過した時点を決定し、後縁移動信号を生成する。
【0066】
続いて湿分決定器112が、整列信号からベイル12の湿分を決定する。湿分決定器112は、後縁移動信号を受信した後にアンテナ信号38のバックグラウンド湿分を測定するバックグラウンド湿分測定器114を含む。このバックグラウンド湿分は、ソース・ビーム32が空気中を通過することからもたらされる周囲の湿分、および、ベイル12に対するソース・ビーム32の整列誤差およびベイル12に対する適正ポジションからの受信アンテナ36の移動といった装置26自体によって生じるアーティファクトをともに含んでいる。また湿分決定器112は、フィルタ116を含み、整列信号からバックグラウンド湿分を除去することによって補正済みの信号を生成する。
【0067】
好ましくは、さらに湿分決定器112にタイ・バー抑圧器118を備える。ソース・ビーム32がベイル12を通過する間にソース・ビーム32がタイ・バー16に当たる場合、アンテナ信号38に影響が及び、可能性としては湿分測定誤りをもたらす。タイ・バー抑圧器118は、補正済み信号からこの種の影響を除去し、さらに補正した信号を生成する。好ましくは、続いてこの補正済み信号をノーマライザ120に渡す。ノーマライザ120は、ベイル12の温度、質量ならびに長さによって生じる影響を補償し、補正済み信号を正規化する。この正規化は、次に示す式に従って行われる。
【0068】
【数7】
=そのチャンネルにおけるi番目の湿分測定値、
=250Kgを大きく超えるベイルの公称質量、
=ベイルの実際の測定質量、
=タバコ材料の基本温度(35℃)、
=現在のスライスにおけるタバコ材料の温度、および、
α=材料の温度に関する補償を行う経験的なファクタ、
とするとき、
’=((T−T)/α))+W
xi”=Wxi’(W/W
yi”=Wyi’(W/W
xi”’=Wxi(サイズ,形状)
【0069】
(サイズ,形状)の関数は、タバコ材料のサイズならびに形状、たとえばベイルに関する補正を行うために経験的に決定された関数である。
【0070】
最後に正規化された信号が、好ましくは平均湿分ユニット122に渡され、それにおいてベイル12の湿分が決定される。好ましくは、この平均湿分ユニット122が、ベイル12のi個の部分のi個の測定値すべてについてベイル12に含まれる湿分を平均する。
【0071】
受信アンテナ36は、選択肢の1つとして振幅決定器124および減衰決定器126を備えることができる。振幅決定器124は、出口ビーム34の振幅を決定する。続いて減衰決定器126が、出口ビーム34の振幅から出口ビーム34の減衰を決定することによって、減衰信号を生成する。その後、アンテナ信号38と類似の態様で減衰されたアンテナ信号が処理される。
【0072】
図7Bに示した好ましい実施態様においては、ソース・ビーム32が円偏波され、出口ビーム34が相互に直交する2つの成分を有する。これらの成分の一方はX軸の方向になり、他方はY軸の方向になる。便宜上図7Cに、図7Bに従った装置26の部分図をX軸、Y軸、およびZ軸とともに示す。
【0073】
再度図7Bを参照するが、これらの成分のそれぞれは、2つの直線偏波マイクロ波受信アンテナ128および130のそれぞれによって受信される。相互に直交する成分のそれぞれは、図7Aを参照した前述の説明と類似の態様で個別に処理されるため、2つのベイル整列決定器104および132が備わる。湿分決定器112は、バックグラウンド湿分を除去して補正済み信号を生成するための2つのフィルタ116および134を有する。好ましくは、2つのディジタル・サンプラ136および138が、各成分の補正済み信号からディジタル信号を生成する。また好ましくは、成分内湿分コンピュータ140を備え、それにより、ディジタル化した信号の相互に直交する各成分の湿分を計算する。
【0074】
好ましくは、さらに湿分決定器112が、成分内湿分コンピュータ140によって生成されたそれぞれの湿分の比を次式に基づいて決定するための比率決定ユニット142を備える。
【0075】
【数8】
ix(meas)=Wixcosβ+Wiysinβ
iy(meas)=Wixsinβ+Wiycosβ
K=Wix/Wiy
ただし、
ix(meas)=i番目のエリアに関してX方向において測定された湿分、
iy(meas)=i番目のエリアに関してY方向において測定された湿分、
ix=X方向におけるi番目のエリアの最大湿分、
iy=Y方向におけるi番目のエリアの最大湿分、
β=X方向に対する層の傾き角、
K=XおよびY方向におけるそれぞれの最大湿分の比、および、
α=測定値の比Wix(meas):Wiy(meas)
とする。
【0076】
続いて比較器144が、この比と、ベイル12内の層が実質的に平行なときに得られるあらかじめ決定済みの定数Kを比較する。この比が実質的にKと等しければ、平行層湿分決定器146がベイル12の湿分を決定する。それに該当しないとき、つまりこの比が実質的にKと等しくないときは、非平行層湿分決定器148がベイル12の湿分を決定する。
【0077】
非平行層湿分決定器148は、好ましくは次に示す経験的な関数を使用することによってベイル12の湿分を決定する。
【0078】
【数9】
W=W+3.2×10−2(γ−1)/K
これにおいてWは信号の湿分、Wは、ベイル12内を通過した相互に直交する成分のうちの層に直交する成分の湿分、γは比、Kはあらかじめ決定した定数である。
【0079】
図8は、図7Aおよび7Bに示した実施態様のアンテナ信号の振る舞いを図示している。アンテナ信号38は、概して低いバックグラウンド・レベル150から上昇を開始し、マイクロ波照射源28(図示せず)と受信アンテナ36(図示せず)の間の領域にベイル12(図示せず)入る時間Tにはレベル152になる。その後アンテナ信号38は、時間T内に、マイクロ波照射源28(図示せず)と受信アンテナ36(図示せず)の間をベイル12の前縁が通過することによって生じるエッジ遷移効果に起因して最初の異常なピーク154に達する。この間においては、ソース・ビーム32の第1の部分がベイル12(図示せず)を通過するが、第2の部分が通過しないためにエッジ遷移効果が生じる。
【0080】
ベイル12(図示せず)が、たとえば図7Aおよび図7Bに示したように、マイクロ波照射源28(図示せず)と受信アンテナ36(図示せず)の間に正しく整列すると、時間Tにわたってアンテナ信号38が定常レベル156になり、ベイル12の湿分ならびに構造における局在的な不均一に起因する変動があるものの、この間は実質的に一定に保たれる。時間Tの間は、整列信号が生成され、ベイル12に対するすべての湿分測定はこの間に行われる。その後時間Tの間に、ベイル12(図示せず)の後縁の、マイクロ波照射源28(図示せず)と受信アンテナ36(図示せず)の間の通過が始まり、ベイル12の後縁によって生じるエッジ遷移効果に起因した第2の異常なピーク158が現れる。
【0081】
図9は、本発明に従ってタバコの湿分を決定するための方法を一例で示したブロック図である。本発明の方法は、ここに説明している装置実施例をはじめ、同様にここで説明しているタバコ材料の湿分の計算を行うためのいずれかの方法とともに使用することができる。
【0082】
ステップ1においては、タバコのモジュールの第1の部分がマイクロ波照射源と受信アンテナの間を移動する。ステップ2において、ベイルがマイクロ波照射源と受信アンテナの間に正しく整列すると、整列信号が生成される。ステップ3においては、図2〜7、9または10について説明したとおり、少なくとも1つ、好ましくは複数の湿分測定が実質的に行われる。より好ましくは、ステップ3において、材料の湿分をより正確に決定するため、タバコ材料自体の影響が測定した湿分から除去される。もっとも好ましくは、詳細を次に述べるように、この種の影響が経験的に除去される。
【0083】
ステップ4においては、紙巻きタバコ、かぎタバコ、噛みタバコ等のタバコ製品の製造プロセスが、好ましくは材料の湿分に応じて調整される。たとえば、タバコ材料の湿分があらかじめ決定済みのレベルを超える場合は、好ましくは貯蔵しているタバコをより速やかに加工して貯蔵期間を短縮する。それとは別に、好ましくは完成したタバコ製品に含まれる湿分があらかじめ決定済みの許容範囲内、つまりばらの葉であれば約12〜18%、加工済みタバコであれば11〜13%となるようにタバコ材料に含まれる湿分に応じて製造プロセスを調整する。
【0084】
図10は、タバコのモジュール、特にタバコのベイルの内部構造に関連する密度およびその湿分を決定するための計算を示したフローチャートである。減衰は、材料に含まれる未補正の湿分を検出するために使用され、位相シフトは材料の密度を検出するために使用される。好ましくは、減衰および位相シフトをともに、経験的に決定した補正ファクタと組み合わせて使用し、材料の湿分ならびにその密度の最終値を計算する。
【0085】
このフローチャートにおける最初のステップは、材料のスキャンニングであり、これは、前述した実施態様のいずれかと基本的に等しい装置を使用して実施することができる。材料は、ベイルを通る複数のマイクロ波を発射することによってスキャンされ、ベイル内を通過したマイクロ波は、他方の側において受信される。このスキャンニングのステップの次に、ステップ2に示すように位相シフトおよび減衰が計算される。ここでフローチャートが2つに分かれる。右側の分岐は、材料の未補正の湿分の計算に使用されるステップを示しており、左側の分岐は、材料の密度の決定に使用されるステップを示している。明確に示すために、右側(湿分)の分岐内のステップには、たとえば「3a」、「4a」というように「a」を後付けする。これに対して左側(内部構造)の分岐内のステップには、たとえば「3b」、「4b」というように「b」を後付けする。
【0086】
右側の分岐を参照すると、ステップ3aにおいて、アルゴリズムが使用されて減衰について獲得したデータ・ポイントのフィルタリングが行われる。図2を参照して説明したように減衰の測定を行うごとに、データ・ポイントを獲得する。これらのデータ・ポイントに対してフィルタリングを行わないと人為的なデータが得られてしまうため、それを必ず行わなければならない。
【0087】
データのフィルタリングを終了すると、ステップ4aに示すように、材料の重量およびベイルの影響について減衰の補正を行う。この補正は、好ましくは実際の重量に対する標準の重量の比を用いて減衰を補償することにより、たとえばこの材料がタバコのときにはそれを乗ずることによって行われ、重量補正済みの減衰値を得る。次のステップ5aにおいては、重量補正済みの減衰値を、好ましくは温度に関して補正し、温度補正済みの減衰値を得る。この補正は、重量補正済み減衰値をファクタα(1−Ts/Te)に加えることによって行われ、これにおいてTsは標準の温度、Teは測定した材料の温度であり、それにより温度補正済み減衰値が得られる。材料の温度は、好ましくは、たとえば温度プローブを材料内に挿入することによって測定する。一方、αの値は、材料のタイプに応じて経験的に決定される。より好ましくは、温度センサにより実質的に連続して温度のモニタを行えば、マイクロ波が通過するときの温度値を用いて減衰の補正を行うことができる。このように、異なる温度における測定の影響に関しての補償が行われて、温度補正済みの減衰値が得られる。
【0088】
ステップ6aにおいては、材料の単一のスライスから得られたすべての温度補正済み減衰値の完全なセットを使用して、そのスライスに関する未補正の湿分値を計算する。この計算は、測定を行っているタバコ材料のタイプ、ベイル自体の形状および構造といった経験的なファクタに応じて、すべての補正済み減衰値の線形積分または多項式とすることができる関数に従って実行される。いずれの場合においても、これらの経験的なファクタは計算の中に含められており、その結果、測定に対するそれらの影響が補償される。たとえばこれらのファクタには、限定する意図ではないが、タバコの葉のタイプ、およびばらの葉またはベイルのタイプ等のタバコの形状が含まれる。
【0089】
この未補正の湿分値は、材料のそのスライスに関する最終的な湿分値の決定に使用されることになる。しかしながら、最終的な湿分値は、材料の密度が既知にならないと決定できず、それはフローチャートの左側の分岐に示されるように計算される。
【0090】
次に、タバコ材料の密度を計算するためのステップを含む左側の分岐を参照するが、この密度は、データベースからの経験的な情報に従って位相シフトから計算される。経験的な情報には、タバコ材料のタイプおよびベイル自体の構造が含まれる。
【0091】
それに加えて、好ましくはこのデータベースが、正しい位相領域を見つけ出し、測定による位相シフト値と計算による密度値の間の正しい関係を決定するために使用される「ファジィ記述子」を含む。「ファジィ記述子」は、既知の特徴を有するタバコのテスト・モジュールの解析から位相シフト・データを収集し、続いて計算による密度値と、テスト・モジュールの真の、既知の密度値を比較することによって得られる。このテスト・モジュールの解析から、測定による位相シフト値と、計算による密度値の間の適正な相関関係を決定することができる。この相関関係がテスト・モジュールの構造ならびにタバコ材料、つまりテスト・モジュールを構成している材料のタイプの両方に依存することから、これらの経験に基づいた相関を得るためには、実質的にすべてのモジュールの構成およびタバコ材料のタイプごとにこの種の解析を行わなければならない。
【0092】
ステップ4bにおいては、材料のそのスライスについて測定した密度の、以前のスライスについて行った以前の測定からの偏差を決定する。この種の偏差は、可能性のある夾雑成分および/またはタバコ材料の内部構造における不均一を明らかにすることから重要である。
【0093】
ステップ5bにおいては、2つもしくはそれ以上のスライスの間で比較を行ったときの計算による密度における偏差に応じて、2つの異なる方法の一方を用いて材料の真の密度が計算される。一方は、複数のスライスの間の計算による密度における偏差が比較的小さく、続くすべての計算に単一の密度値を使用することができるときに選択される。他方は、複数のスライスの間の計算による密度における偏差が比較的大きいときに選択され、続く計算に複数の密度値、好ましくはすべての密度値が使用される。
【0094】
最後に、ステップ7において、真の密度値(1ないしは複数)とステップ6aにおいて計算した未補正の湿分値が組み合わされて真の湿分値が決定される。この真の湿分値を計算するための式は、真の密度および、そのスライス内の計算による密度に偏差があればそれをすべて含み、さらに経験的に決定した相関ファクタを含む。この相関ファクタは、タバコ材料のタイプおよび材料のモジュールの構造における特徴に基づいており、タバコの較正サンプルから経験的に決定される。それに加えて、好ましくは実質的に連続する取り込み済みの湿分値のフィードバックを、補正関数として現在の湿分測定と相関させる。その後、たとえば、ビデオ・スクリーン、あるいは情報を表示するためのほかの装置を含めたディスプレイ・ユニット上に表示することによって真の湿分値が出力される。好ましくは、測定による位相シフトの比較によって明らかになった材料の内部構造に関係する密度における偏差があれば、この種の情報はタバコ製品の製造にとって非常に有用であることから、このとき併せて表示する。
【0095】
図11A〜11Dは、本発明に従って行われた各種タイプのタバコに関する湿分測定を示している。図11Aは、重量パーセンテージとして表した湿分(x軸)と、密度を表す測定による位相に対する測定による減衰の比(y軸)の関係を示したグラフである。6タイプのタバコ(葉柄の下、中、上から得られた薄葉タバコおよび火力乾燥タバコ)を各種の構造で測定した。密度は、1立方メートル当たり155kgから300kgまでの間で変化した。このグラフからわかるように、真の湿分と、測定による減衰と位相の比の間に良好な相関が得られている。標準偏差は、真の湿分のわずか0.4%である。つまり、本発明の方法がタバコの湿分を正確に測定し得ることが明らかになった。
【0096】
図11Bは、図11Aについて説明した測定用の材料について、位相シフトの測定のみ(y軸)を真の湿分との関係から表したグラフである。このグラフからわかるように、密度の偏差に関する補正または減衰との相関がない場合には、位相シフトの値と真の湿分の相関があまり良好でない。真の湿分値に比べて分散している位相シフト値は、タバコのパッケージに含まれる材料の密度における大きな偏差によってもたらされたものである。同様に図11Cは、測定による減衰(dB)のみの場合にも真の湿分と相関させたとき値が分散し、それもタバコのパッケージの密度における偏差によって生じている。標準偏差は、湿分の1.1%であり、図11Aに示した測定による位相シフトと減衰値を相関させた場合に得られる標準偏差0.4%より高い。本発明の方法に従って、測定による位相シフトおよび減衰データをともに使用するタバコ材料の湿分の決定から、はるかに良好な測定による湿分と材料の真の湿分を相関させる結果が得られることは明らかである。
【0097】
図11Dは、本発明の方法に従って行ったタバコ材料の測定による振幅または位相(y軸)と、取り込んだ各データ・ポイント(x軸)の関係を表している。この測定には、2つの周波数F、Fのマイクロ波(F>F)を用いた。装置および操作方法については、図12を参照して次に説明する。簡単に述べれば、これに示されるように2つのマイクロ波周波数において、減衰および位相シフトがともに決定された。測定値の表を次に示す。
【0098】
【表1】
Figure 0003624160
【0099】
次にこれらの値を使用して材料に含まれる湿分を計算するが、まず、次に示す式に従って位相シフトを補正する。
【0100】
【数10】
PhF1=(ΔPh(F)−ΔPh(F))F/(F−F
この式において、Fは第1の周波数、Fは第2の周波数;PhF1は、周波数Fに関して測定した位相シフト;ΔPh(F)およびΔPh(F)は、それぞれFおよびFに対応する位相シフトである。たとえば上に示した表の値を用いると、この式は次のような解を得る。
【0101】
【数11】
PhF1=(115.6−34.7)×3.24/(3.45−3.24)=1248
【0102】
次に、真の位相シフトを次のようにして決定する。
【0103】
【数12】
PhF1/360=X1
floor(X1*360)+ΔPh(F1)=Ptrue
【0104】
つまり、最初に測定による位相PhF1(1248度)を360で割り、3.47(X1)を得る。次に、3.47のフロア (foor) 関数演算を行うと3が得られ、それに360を乗ずると1080が求まり、さらにそれにΔPh(F1)を加えると真の位相シフト(Ptrue )、すなわち1114度が得られる。A(dB)/Ph(度)=13.62dB/1114度=0.012。前述した位相シフトに対する減衰の比のグラフ(図11A)を参照すると比の値が0.012のとき、湿分は11.2パーセントとなる。
【0105】
図12は、本発明の別の好ましい実施態様を示した概要図であり、それにおいては、複数のマイクロ波を送信できるように前述のシステムが調整されている。この好ましい実施態様は、タバコ材料のベイル、ベイルおよび/またはそのほかの任意の塊を含む「モジュール」という用語によって包含される実質的に任意の構造を有するタバコ材料の湿分を決定するために使用することができる。つまり、モジュールを、各種の密度を伴った実質的に不規則な構造とすることができる。
【0106】
多周波数システム160は、複数の周波数のマイクロ波を順番に出力するための多周波送信機170を備える。送信する周波数は、周波数コントローラ172によって選択される。続いて送信機170は、送信アンテナ172から希望周波数のマイクロ波を送信する。送信されたマイクロ波は、モジュールまたは材料のベイル(図示せず)内の通過および/または反射を経て受信アンテナ174によって受信される。受信アンテナ174は、信号受信機176に信号を渡す。信号受信機176は、好ましくはヘテロダイン受信機とする。実質的に同時に、基準信号が、これもヘテロダイン受信機とする送信機170から基準受信機178に送信される。信号受信機176は、測定信号(「I.F.1」としてラベル付けされる)を検出器180に渡し、基準受信機178は、基準信号(「I.F.2」としてラベル付けされる)を検出器180に渡す。検出器180は、基準信号を使用して測定信号の正確な減衰を決定し、それら2つの信号を位相検出器182に渡すと、それにおいて測定信号の正確な位相シフトが決定される。
【0107】
2つの異なる周波数のマイクロ波が材料内を伝播した後に測定された2つの位相シフトの間の総体的な位相シフトの差は、次のように表すことができる。
【0108】
【数13】
ΔP(gross)=F/(F−F)*(P−P
【0109】
最終的な位相シフトの差は、
【0110】
【数14】
ΔP(final)=Pi+Pg mod(2π)
【0111】
と表される。つまり、少なくとも2つの異なる周波数のマイクロ波を連続して送信し、材料内の各ポイントでこれらの2つの周波数の少なくともその間において「ホップ」または交番を行うことによって総体的な位相シフトの差が求まる。
【0112】
位相シフトおよび減衰を記述する式は次のようになる。
【0113】
【数15】
1. λ=C/F;l=(電磁波の波長);ε’=(材料の誘電率)
2. P=(2πε’1/2/λ)l
3. P=(2πε’1/2/λ)l
4. P=KF;P=KF;K=(2πε’1/2/C)l;P−P=ΔP=K(F−F
5. P=Ph(t)(F);P=Ph(t)(F
6. K=(P−P)/(F−F);(F>F
7. Pg=(nπ項を含む位相)=K・F(iは1または2)
8. 補正後の位相シフト=(Pg−nπ)+(P−P)/2;n=(Pg−nπ>0)
【0114】
これにおいて、Fはマイクロ波の周波数;lはモジュールの材料を通過するときのビームのパスの長さ;ε’は、材料塊の誘電率;Pは周波数Fにおけるマイクロ波の位相ずれ;Pは周波数Fにおけるマイクロ波の位相ずれ;K(F−F)は、周波数FおよびFにおける放射マイクロ波の位相ずれの間の差;Ph(t)は、真の位相シフトであり、測定による位相シフトPが真の位相シフトおよび、たとえば周波数Fの関数になる;Pgは、相対的な位相シフトの差;nは、Pg−nπが0より大きくなるように式8を満足する最大の数である。
【0115】
これらの式は、いずれも補正済み位相シフトを記述し、その計算に使用することができるが、材料自体および周囲環境の影響に経験的に観察される特性に従ってこれらの計算を改良しなければならない。ステップ1においては、モジュール内の材料を通し、複数の周波数のマイクロ波を連続して送信する。ステップ2においては、複数の周波数のマイクロ波について、減衰および補正済み位相シフトを計算する。
【0116】
ステップ3においては、減衰および補正済み位相シフトの計算による値からノイズをフィルタリングするアルゴリズムを実行する。周波数F2iに関する減衰は、A2i=a1i+bとして記述することができる。同様に位相シフトPi2=a1i+bとなる。ただし、A1iおよびP1iは、以前の周波数F1iから得られた減衰および位相シフトの値である。a、a、b、およびbの値は、個々の適用および材料のタイプに基づいてデータベースから獲得する。たとえば、ベイルのタバコについてはあるセットの値が必要となり、タバコの葉の緩い束については別のセットの値が必要となる。これらの値は、注目している材料の経験的な測定に基づいて経験的に決定される。このノイズをフィルタリングする計算は、好ましくは減衰および補正済み位相シフトの、計算によるすべての値に対して適用する。それに加えて、減衰および位相シフトがマイクロ波の周波数にも依存することから、複数の周波数のそれぞれの値をこれらの計算に使用する。
【0117】
好ましくは、「エッジ」の測定値、つまり材料のエッジを通過しあるいはそれによって反射されたマイクロ波の測定値は異常値と考えられることから、これらの測定値をその後の計算から除外する。特定の測定値が「エッジ」測定値であるか否かは、各種の方法を用いて判断することができる。たとえば、ビームに対するモジュールの位置を検出することが可能であり、その結果、モジュールのエッジがビームに触れようとしているとき、減衰および位相シフト決定器に信号を送ることができる。それに代えて、好ましくは減衰の測定値をプロットすれば、減衰の異常に高いピークまたは低いトラフを除外することが可能であり、たとえば、平均の減衰からの標準偏差が2または3を超える値を除外する。このように、異常な「エッジ」測定値を、好ましくは解析のこの段階で除外する。
【0118】
ステップ4においては、タバコ材料の密度および湿分が、複数のフィルタリング後の減衰値およびフィルタリング後の位相シフト値、好ましくはこれらの値すべてを用いて計算される。材料の湿分の決定には次に示す式を用いる。
【0119】
【数16】
W=ΣW*r
Σの範囲:i=1〜n
【0120】
これにおいてrは、前述した相関ファクタである。項Wは、ステップ3において説明したように、減衰Aおよび位相シフトPをはじめ、材料のタイプおよび構造の関数である。相関ファクタは、経験的な観察によって決定されたこれらの値のデータベースから獲得される。
【0121】
次に、位相シフト値の合計の統計的関数から材料の密度を計算するが、この巻数についてもデータベースから獲得する。この関数は、ステップ3に関して説明したノイズのフィルタリングの計算と同様に、分析している材料の性質に依存する。また密度は、ステップ3において決定したPおよび、材料のタイプならびに構造の関数となる。このように、必要な情報は経験的に決定した情報のデータベースから獲得する。
【0122】
好ましくはこの段階において、材料の部分について収集された密度を調べることによって、材料に含まれる瑕疵を検出する。この瑕疵には、材料内の異常に高い湿分といった材料内部における変則的な湿分分布、および夾雑成分の混入および/または、たとえばタバコ材料の内側の不均一性等が含まれる。
【0123】
ステップ5においては、好ましくは湿分および密度を決定する間に、必要に応じて温度の補償を行う。このステップ5の必要性についても、少なくとも部分的には経験的な観察に従って決定される。
【0124】
ステップ6においては、材料の湿分および密度を出力し、たとえばコンピュータ・スクリーン上に表示するか、あるいは紙に印刷する。
【0125】
複数の周波数のマイクロ波を用いて、材料内の各ポイントの湿分および密度を決定する利点は次のとおりである。まず、材料の1つのポイントにおいて減衰および位相シフトを測定するとき、複数の周波数を用いることから、値の平均が可能になり、より精度の高い結果が得られる。第2に、減衰の変化が線形であり、異なる周波数における測定に起因する減衰の変化が容易に計算される。その後は、平均によって残りすべての差が除去される。第3に、単一の周波数に依存することなく、任意の特定タイプまたは形状の材料に適した周波数範囲が選択可能になる。最後に、選択した周波数範囲における測定によって、真の位相シフトの決定も可能になる。
【0126】
上記の第3のポイントとして挙げた特定タイプまたは形状の材料に適した周波数範囲を選択できることは、混入のある材料または複数のタイプの物質を含む材料にとって特に重要になる。たとえば、しばしばタバコの葉に枝等の不必要な原材料成分が混入し、それがタバコの葉自体の湿分の測定に影響を与える。それに加えて、異なる性質を有する異なるタイプの材料の混入により、送信されたマイクロ波に高調波が現れる。しかしながら、真の位相シフトは、周波数に対してプロットした位相シフト曲線の線形部分から決定できる。このように複数の周波数の使用は、混入のある材料に関する位相シフトの決定を単純化することができる。
【0127】
選択肢の1つとして、また好ましくは、材料によるマイクロ波の反射を最小にし、材料を通過するマイクロ波を最大にするマイクロ波の周波数範囲を選択できるようにする。より好ましくは、マイクロ波測定を開始する前に、データベースから適切な周波数の範囲を選択する。特定範囲の選択は、経験的に材料のタイプおよび材料の構造等のファクタを基礎として行う。したがって、たとえばベイル内のタバコに対しては、ばらのタバコの葉と異なる周波数範囲が求められることになる。マイクロ波測定のリアルタイム取り込みの間に、周波数範囲を選択することも可能であり、それにより環境の影響および考えられる干渉によって惹起される通常レベルのバックグラウンド・ノイズを抑え、あるいは除去することができる。この種の干渉の例として携帯電話が挙げられる。この種の問題を抑え、あるいは排除するために、好ましくは、測定を行う特定の範囲を選択する前に、複数の周波数範囲を調べる。
【0128】
上記に加えて、最良の結果を得るより狭い周波数範囲内においてより多くの測定ができるように、選択した周波数範囲に対する調整を行う。このように、「オンザフライ」の周波数調整によって、もっとも高い感度および正確な測定が可能になる。
【0129】
本発明のさらに別の実施態様によれば、受信したマイクロ波から行う湿分および密度測定のうちのいずれか一方、もしくはそれらの組み合わせを用いて、たとえばタバコ等の材料のパッケージの内部構造を決定する方法が提供される。説明のみを目的として、以下の例においてはタバコのパッケージの構造の分析に焦点を当てているが、これは例示のみを意図したものであり、いかなる形においても限定を意図したものでないことを理解する必要がある。
【0130】
好ましくは、前述したように送信アンテナと受信アンテナの間に、タバコのパッケージを通過させることによって、その各部分の分析を行う。より好ましくは、タバコのパッケージの各部分について一連の測定結果を得るために、複数の周波数のマクロ波を用いてこの種の測定を行う。マイクロ波データ取り込みの出力は、マイクロ波が通過したパッケージの各部分に関する、湿分および密度値のうちの少なくとも一方のセット、より好ましくはそれらの組み合わせのセットであり、それぞれの測定値は、異なる周波数のマイクロ波から獲得される。その後、各測定値を処理し、その部分の湿分および/または密度と、その周囲の部分の湿分および/または密度間の差を示す示度を獲得する。
【0131】
通常、各湿分および/または密度の変化分は、異物および/または異種の物体(集合的に「夾雑成分」と呼んでいる)の少なくとも一部、あるいは材料自体の均一性の喪失、たとえば湿分および/または材料の密度の不均一性に対応し、以下においては、これらすべてを集合的に「ターゲット」と呼ぶ。たとえば、材料自体の均一性の喪失は、材料のパッケージ内に局部的に存在する過剰に高い湿分、エア・ポケット、またはほかよりも緩くパッケージされた材料が原因となって生じる。
【0132】
各ターゲットは、湿分および密度タイプの標準セットのいずれかに分類される。各ターゲットについて、少なくとも1つの軸に沿って、より好ましくは少なくとも2つの軸に沿って、もっとも好ましくは3つの軸に沿ってパッケージ材料をスキャンすることによってそのターゲットの位置および相対的なサイズを獲得する。複数の軸に沿った測定から値を得ることは、より高い精度ならびに正確性を達成する上で好ましく、材料内の誤って識別される湿分の数および密度変動を低減するためにも好ましい。これらの値は、以下に詳細を述べるように各ターゲットのクラスごとに個別にマップされる。マップされた値の配列は、すべてのターゲットに関する集合的な記述子ベクトルを構成する。記述子ベクトルとターゲットのサイズ・ベクトルを関連付ける関係が得られ、それにおいてサイズは、測定を行った軸の数に応じて、たとえば異物が占有する面積または体積、および/またはタバコ・パッケージの単位体積および/または単位面積当たりの不均一性となる。この関係を使用して、記述子ベクトルから、夾雑成分および/または不均一性の相対的な面積および/または体積を推定する。
【0133】
標準密度タイプのセットおよび、ターゲットの記述子とサイズ・ベクトルの関係は、較正手順から得られる。それにおいては、組成、湿分、および密度が既知の標準サンプルのセットが用意される。これらの較正サンプルは、各種サイズの、夾雑成分を混入させたタバコの葉の塊および/または不均一性を持たせた塊をはじめ、各種の湿分および密度を持たせた塊とすることができる。各較正サンプルについて、異なる周波数のマイクロ波を使用し、1ないしは複数組の湿分および/または密度のペアのセットを取り込む。これらの値のペアは、タバコの葉のみの場合の標準値と比較される。夾雑成分が混入しているタバコの葉の固まり内において、湿分および/または密度の変化分が所定のスレッショルドを超えている部位があれば、較正ターゲットにグループ化する。それぞれの較正ターゲットについて、面積または体積といったサイズ・パラメータの値を計算する。これらのサイズ・パラメータの値および、湿分および/または密度パラメータの値は、クラスタ解析により分類し、標準ターゲット・タイプを求める。
【0134】
較正サンプルは、必要に応じて従来技術の方法によって分析し、各種の特徴を検出するためのパターンのセットを求める。これらの特徴は、標準的な計算方法により、たとえばニューラル・ネットのトレーニングによって湿分および/または密度パラメータを用いて計算される。
【0135】
ニューラル・ネットのトレーニングによって、記述子(湿分および/または密度)ベクトルおよびサイズ(面正および/または体積)を入力とし、パッケージ化された材料内に含まれることが望ましい、あるいは望ましくないと考えられる特徴のパターンを出力とするトレーニング済みニューラル・ネットが得られる。このニューラル・ネットワークは、較正記述子ベクトルおよび較正サイズ・ベクトルをトレーニング・セットとして使用することによりトレーニングが行われる。記述子ベクトルとサイズ・ベクトルの間における望ましい関係、したがって「良好」または「不良」特徴のパターンがトレーニング済みニューラル・ネットワークとなる。たとえば、ここでも引用しているP.Yu.V.Anastassopoulos(アナスタソポロス)およびA.N.Venetsanopoulos(ベネツァノポロス)によるCan.J.Elect. and Comp.Eng.第17巻No.2(1992年)の58〜59ページに掲載された「Pattern classification and recognition based on morphology and neural networks(形態学およびニューラル・ネットワークに基づくパターン分類および認識)」を参照されたい。
【0136】
次に、図13A、13Bに示したフローチャートを参照し、較正およびターゲット検出手順の好ましい実施態様について説明する。較正およびターゲット検出手順は、2つのループを有し、一方はN個の較正サンプルに関し、他方は実際の材料のパッケージ内のターゲットの検出に関する。最初のループにおいては、較正サンプルの湿分および密度の測定値の少なくとも一方、好ましくは両方を取り込み、データベースのターゲット・タイプを決定する。第2のループにおいては、実際の材料のパッケージを調査し、それらのパッケージ内のターゲットを識別する。
【0137】
図13Aを参照すると、最初のループにおいては、上記の実施態様のいずれかに従って前述の説明のとおりに湿分値および/または密度値が取り込まれ、図においてはそれがステップ1となっている。好ましくはこれらの値を、前述のように、パッケージ化した材料の少なくとも1つの軸に沿ってマイクロ波を発射した結果として得られる複数のベクトルの決定から得る。
【0138】
所定数のサンプルの、関連する所定数の湿分値および/または密度値を収集した後、ステップ2においてターゲットを検出する。各ターゲットの湿分および/または密度パラメータを計算し、ステップ3として示すように、結果として得られた湿分および/または密度パラメータ値のセットに対してクラスタ解析を適用することによってデータベースのターゲット・タイプを求める。これらのデータベース・ターゲット・タイプは、ターゲットのクラスを定義するために使用され、それにより、ステップ4においては、これらのクラスに従って較正サンプル内のターゲットの分類が可能になる。またステップ5においては、標準のテクニックに従った較正サンプルの分析も行い、実際の湿分値および/または密度値を決定する。それに代えて、各種の異物および/または夾雑物質およびタバコの葉の量を変化させることによって用意した、既知の組成を有する較正サンプルに対して既知の湿分および/または密度の値を割り当てることもできる。その後、ステップ6において、既知の湿分値および/または密度値と測定による湿分値および/または密度値を比較する。ステップ7においては、トレーニング済みのニューラル・ネットまたはその他のパターン検出アルゴリズムを適用してパターンを検出し、それらのパターンに、「問題あり」、「良好」といったカテゴリを割り当てる。
【0139】
次に図13Bを参照すると、第2のループのステップ1において、実際の材料のパッケージ内のターゲットを検出するために、そのパッケージに関する湿分値および/または密度値を取り込む。ステップ2においては、それぞれのターゲット内の注目している特徴となる可能性のある潜在的な特徴を検出するために、ここに示したようにデータベースから獲得した経験的に決定された値を用いて初期ターゲット検出を行う。
【0140】
ステップ3においては、線形統計解析における湿分値および/または密度値に関する測定ベクトルを使用することにより、クラスタリング・アルゴリズムに従って潜在的なターゲットを分類する。ターゲット識別誤りの可能性を抑えるために、好ましくは、複数のベクトルおよび/または複数のマイクロ波周波数を使用してこれらのターゲットのマッピングを行う。複数のベクトルを得るためには、マイクロ波を複数の軸に沿って材料内に通過させ、複数のベクトルに関して湿分値および/または密度値が計算されるようにすればよい。
【0141】
ステップ4においては、ファジィ・ロジックおよび/または伝統的な統計解析を使用して、最終的に、実際のパッケージ化された材料のサンプル内のターゲットを決定する。
【0142】
図14は、図13Aおよび13Bに含まれているターゲットの分類プロセス(ステップ3)を詳細に示している。ターゲット分類プロセスのステップ1においては、各ターゲットについて注目する特徴を決定する。たとえば、測定値をプロットしたグラフに現れる各種の特徴、すなわち最大ピーク、最小ピーク、ピーク間の標準偏差、ターゲットの明確なサイズ(測定値を得たベクトルの数に従って決定される次元を有する)、ピークの幅、およびピークの総数等が潜在的なターゲットのそれぞれについて選択的に決定される。
【0143】
ステップ2においては、ターゲットを特定クラスに分類するために、これらの特徴のすべてを調べることによってターゲットのタイプを決定する。ステップ3においては、パターン分類および認識の方法を使用することによってパターン認識を行う。実際上は、たとえばパッケージ化された材料を伴う製造プロセスの間に、エア・ポケット(パッケージ化された材料内の不均一なエリア)、指定数の分離可能な物体を持つことが要求されるパッケージにおける1ないしは複数の物体の不足もしくは過剰、あるいは許容可能な範囲を超えて湿分を含むエリアといったパッケージ化された材料に関連付けされた品質管理問題に関してパターンの分類が行われることになる。ステップ4においては、分類したパターンに従って、実際のサンプル内の1ないしは複数のターゲットの認識および識別を行う。
【0144】
ここでは、減衰および位相シフトの測定から得られる湿分値および密度値に関してこの手順を説明したが、米国特許出願第09/143,966号に説明されているように、マイクロ波共振器品質の周波数シフトおよび/または変化を使用しても類似の手順を実施可能である点に注意されたい。
【0145】
図15〜18は、本発明の装置および方法を適用した実際のシナリオの例である。各シナリオにおいては、ある種の形状のタバコ材料の湿分および/または密度に関係のある、一般に生じ得る問題を扱っている。問題の識別および特徴決定を行うため、各タバコ材料に対して実施したマイクロ波測定にパターンの検出、分類、および認識を適用する。この情報は、タバコ材料を伴う製造プロセスを向上させるための品質管理フィードバックとして非常に有用である。
【0146】
図15においては、タバコ・ベイルの複数の部分、好ましくは数百の部分についての湿分値および密度値が決定される。密度に対する湿分の比(y軸)を、ベイルの直線的な寸法(x軸)の関数としてプロットしたとき、曲線上の「ブリップ」(丸で囲んだ部分)から明らかな材料の不均一性の存在がわかる。
【0147】
図16A〜16Cは、タバコ・ベイル内において認識できる内部構造の、分類可能な別のパターンを示している。これにおいても、湿分値および/または密度値、またはそれらの比をベイルの直線的な寸法の関数としてプロットしている。サイズ、形状、数等のピークの特性は、前述したように決定される。図16Aは、過剰に高い湿分を含むエリアの分類可能パターン、図16Bは、材料の圧縮が不充分なエリアに関する分類可能パターン、図16Cは、エア・ポケットに関する分類可能パターンをそれぞれ示している。
【0148】
図17は、指定数の分離可能な物体またはユニットを持つことが要求されるボックスまたはカートンに生じる1ないしは複数の物体またはユニットの不足を検出する態様を示している。実用的な例として、指定数の紙巻きタバコ・パッケージを複数の大きなカートンのそれぞれにパッケージングする紙巻きたばこの製造プロセスを考える。この種の製造プロセスの品質管理の一部には、アッセンブリ・ラインに沿って各カートンに収められる紙巻きたばこパッケージの数のモニタリングが含まれることがある。パッケージ・プロファイル(A)は、紙巻きタバコ・カートンのパッケージング・ラインに沿って、カートン・サンプルまたはカートン番号の関数としてパッケージ密度パラメータをプロットしたグラフを示している。パッケージ・プロファイル(B)において、パッケージ密度パラメータに生じた顕著な低下に注目すると、パッケージング・ラインの識別可能な位置における1ないしは複数の紙巻きタバコ・パッケージの欠落がカートンから検出される。
【0149】
図18は、送信(TU)および反射(RU)マイクロ波信号の両方の取り込みを伴うマイクロ波測定におけるパターン認識データ処理の適用可能性を示している。たとえば、それぞれの紙巻きタバコのパッケージがアルミニウム箔のラッピングを含む紙巻きタバコの個別パッケージを特徴とする紙巻きタバコ・カートン等の紙巻きタバコ最終製品を分析するとき、パッケージ化したタバコに向けて発射されるマイクロ波の一部が反射される。マイクロ波とアルミニウムのラッピングの間の相互作用の性質から、最初に発射されたマイクロ波の少なくとも一部が紙巻きタバコのパッケージの外で反射されて受信アンテナによって受信され、最初に発射されたマイクロ波の残りは、紙巻きタバコのパッケージ内を通り、それも受信アンテナによって受信される。マイクロ波を発射することによって材料のスキャンを行うとき、反射され、受信したマイクロ波から得られた信号を使用して反射ベクトルを導く。この反射ベクトルは、選択肢の1つとして、実質的に密度測定に関して前述したように、パターン認識およびターゲット検出のために使用される。本発明の装置および方法は、パッケージ化されたタバコのサンプル内に金属またはその他のマイクロ波を反射する材料が含まれているこのほかの場合にも適用することができる。
【0150】
以上、限られた数の実施態様に関して本発明の説明を行ってきたが、変形、修正、およびこれ以外の本発明の適用が多く考えられることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1A】本発明によって湿分の測定が可能なモジュールの例を示す。
【図1B】本発明によって湿分の測定が可能なモジュールの例を示す。
【図2】本発明の一実施態様を示すブロック図である。
【図3】本発明に従ってモジュールの湿分を計算するために使用される較正曲線の例を示す。
【図4A】本発明の好ましい実施態様の位相領域曲線を示す。
【図4B】本発明の好ましい実施態様の位相領域曲線を示す。
【図5A】モジュールに相対的なソース・ビームの電界の方向と、アンテナ信号の減衰および位相シフトの間の関係を示す。
【図5B】モジュールに相対的なソース・ビームの電界の方向と、アンテナ信号の減衰および位相シフトの間の関係を示す。
【図5C】モジュールに相対的なソース・ビームの電界の方向と、アンテナ信号の減衰および位相シフトの間の関係を示す。
【図5D】モジュールに相対的なソース・ビームの電界の方向と、アンテナ信号の減衰および位相シフトの間の関係を示す。
【図5E】モジュールに相対的なソース・ビームの電界の方向と、アンテナ信号の減衰および位相シフトの間の関係を示す。
【図5F】モジュールに相対的なソース・ビームの電界の方向と、アンテナ信号の減衰および位相シフトの間の関係を示す。
【図6】図2の装置を搬送するためのトラックを示す。
【図7A】本発明の別の好ましい実施例を示す。
【図7B】本発明の別の好ましい実施例を示す。
【図7C】本発明の別の好ましい実施例を示す。
【図8】図7Aおよび7Bに示した実施態様のアンテナ信号の振る舞いを示す。
【図9】タバコ材料の湿分を計算するための方法を示したフローチャートである。
【図10】タバコ材料の湿分を計算するための別の方法を示したフローチャートである。
【図11A】本発明を使用した実験結果を示す。
【図11B】本発明を使用した実験結果を示す。
【図11C】本発明を使用した実験結果を示す。
【図11D】本発明を使用した実験結果を示す。
【図12】本発明の方法を適用することができる装置の第2の実施態様を示す。
【図13A】タバコ・パッケージ内における夾雑成分および/または不均一性の存在を検出するための、本発明に従った別の好ましい方法の具体例を示したフローチャートである。
【図13B】タバコ・パッケージ内における夾雑成分および/または不均一性の存在を検出するための、本発明に従った別の好ましい方法の具体例を示したフローチャートである。
【図14】図13Aおよび13Bに含まれている、本発明に従ったターゲットの分類プロセスを詳細に示している。
【図15】タバコ・ベイルの内部構造における不均一性を検出するための実際の経験的なデータを示す。
【図16】タバコ・ベイル内において認識できる、湿分および/または密度の別の分類可能なパターンを示す。
【図17】指定数の分離可能なタバコ対象物を有するカートンに生じる1ないしは複数のタバコ対象物の不足の検出およびパターン認識に関係する密度を示す。
【図18】送信および反射マイクロ波信号の両方の取り込みを伴うマイクロ波測定におけるパターン認識データ処理の適用可能性を示している。

Claims (11)

  1. タバコ材料の湿分を決定する方法において:
    (a)複数のマイクロ波を前記タバコ材料の一部を通して複数の送信マイクロ波として送信するステップ;
    (b)前記複数の送信マイクロ波を複数の受信マイクロ波として受信するステップ;
    (c)前記受信マイクロ波から前記送信マイクロ波の減衰度を決定するステップ;
    (d)前記受信マイクロ波から前記送信マイクロ波の位相シフトを決定するステップ;
    (e)前記タバコ材料の標準重量と実重量との比を乗じて前記減衰度を補正して重量補正減衰度を求めることにより、前記タバコ材料の重量効果に基づき前記減衰度を補正するステップ;
    (f)前記重量補正減衰度に、α・(1−Ts/Te)として定義されるファクターを加えて温度補正減衰度を求めることにより、前記タバコ材料の温度に基づき前記重量補正減衰度を補正するステップ、
    但し、Tsは前記タバコ材料の標準温度で、Teは前記タバコ材料の測定温度で、αはタバコ材料のタイプに基づいて経験的に決められた係数である;
    (g)前記温度補正減衰度から前記タバコ材料の一部の未補正の湿分含有量値を計算するステップ;
    (h)前記位相シフトから前記タバコ材料の一部の密度を計算するステップ;
    (i)前記タバコ材料における今回計算された部分の計算密度と前回計算された部分の計算密度との偏差を決定するステップ;
    (j)前記偏差の大きさに応じて、前記タバコ材料の一部の計算密度から真の密度を計算するステップ;
    (k)前記未補正の湿分含有量値と前記真の密度とから前記タバコ材料の一部の真の湿分含有量を計算するステップ;および
    (l)前記タバコ材料の複数の部分について前記ステップ(a)から前記ステップ(k)を繰り返して、前記タバコ材料の湿分含有量を計算するステップ
    からなることを特徴とする方法。
  2. 前記タバコ材料が原料状態のタバコの葉もしくは加工済み状態のタバコの葉からなることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記タバコ材料がばらの状態もしくはパッケージ化された状態であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記ステップ(f)が、前記タバコ材料の測定温度を連続的にモニターしながら行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記ステップ(g)が、前記タバコ材料のタイプ、形状および構造に基づく関数を用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記ステップ(h)が、測定された位相シフトと特性が既知のタバコ材料のテスト片の解析による位相シフトデータを集めて得られた既知の密度との相関関係に前記位相シフトを関係づけて行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 前記ステップ(i)における前記密度偏差が前記タバコ材料の内部構造における異物もしくは不均一部を示すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 前記ステップ(j)における前記密度偏差は比較的小さく、単一の前記真の密度が前記ステップ(k)および(l)の計算に用いられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 前記ステップ(j)における前記密度偏差は比較的大きく、複数の前記真の密度が前記ステップ(k)および(l)の計算に用いられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 前記ステップ(k)において、前記タバコ材料タイプおよび構造特性により定まる補正係数が用いられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 前記タバコ材料は所定の製造工程を経て処理され、前記製造工程は前記ステップ(l)により得られた前記タバコ材料の計算含有湿分に基づいて調整されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
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