JP3624104B2 - 消火栓用ダストシール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は消火栓の放水口に取付けて使用するダストシールに関する。
【0002】
【従来の技術】
消火栓は通常、地下のマンホール内に設置されていて、消化時には栓内バルブを全開にして放水使用されるが、定期点検時や水道水の塩素濃度調査時などには、バルブを少しだけ開けて、使用されることがある。ところが、消火栓にはかなりの水圧が作用しているため、特に栓内バルブにボールバルブを用いている場合には、バルブを少し開けようとして回動させると、バルブの弁体と弁座との間に隙間ができて、ここから水が勢いよく噴き出す危険がある。この為、従来、放水口の口金内面にリング状の遮蔽体を取付けて、噴出防止を図る技術が特開平9−140823号として提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来のものでは、口金の内壁から内方に向かって僅かに突出するリング状の遮蔽体が取付けられているだけだから、水の噴出を完全に押えることができず、その上、石や泥の塊りなどの異物が消火栓内に落下するのを阻止できなかった。
【0004】
本発明はこのような点に鑑み、水の噴出防止機能が高く、消火栓内への異物の落下を阻止できる消火栓用ダストシールを提供せんとするものである。また、本発明は放水口の口金用パッキンを兼ね、かつ、構造が簡単な消火栓用ダストシールを提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の消火栓用ダストシールの技術的手段は、シール本体は軟質弾性材製で、内部に金属弾性材製の芯材が埋設され、かつ、平面の中心から放射状に切込まれて複数の舌片が形成されてなり、消火栓の放水口に取付けて使用されることにある。
【0006】
シール本体の片面に、リング状の突出部を形成してもよい。また、シール本体の側辺部にボルト孔を形成し、消火栓ケーシングの上面とシール押えとで挟んでボルト締めによって固定支持するようにしてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のダストシールの実施の形態を図面の実施例について説明する。図1は消火栓の放水口にダストシールを取付けた状態である。1は消火栓ケーシング、2はボール弁体、3は弁座である。4はシール押えで、ダストシール10はケーシング1の上面とシール押え4との間に挟まれて支持される。5は放水口の口金、6は口金フランジ、7は締付ボルト、8はキャップである。
【0008】
ダストシール10の詳細は図2、図3に示されている。ダストシール10の本体は、ゴムなどの軟質弾性材製であり、内部に板バネなどの金属弾性材製の芯材11が埋設されている。ダストシール10には、図2に示されるように平面の中心から放射状に切目12が設けられ、屈曲可能な複数の舌片13が突き合わせ状に形成された形状になっている。そして、芯材11は図2に破線で示されるように、各舌片13に沿った形状をしている。また、ダストシール10の上面にはリング状に突出部14が設けられていて、シール押え4との接触面に於けるシール性の向上を図っている。更に、この突出部14がシール押え4で押圧されると、その圧縮効果はボルト孔15にまで及び、ボルト7とボルト孔15とがよく密着して、ボルト7とケーシング1との螺合部への水の侵入を阻止し、螺合部での錆の発生を防止できる。
【0009】
次にダストシール10の作用について説明する。先ず、消火栓の止水状態では、ダストシール10は図1の実線のように舌片13は伸長している。この為、キャップ8を開けて点検中などに、小石、あるいは土や泥の塊りなどの異物が放水口の中に転げ落ちても、舌片13によって受け止められ、消火栓の内部にまで落ち込むことはなく、簡単に取出すことができる。次に、消火栓のバルブを少し開けると、ボール弁体2と弁座3との間に発生した隙間から水が勢いよく噴き出して、舌片13の下面に衝突する。しかし、この場合は、水の勢いは強いものの、水量が少ないので、舌片13の下面に作用する力は大きくなく、舌片13は伸長状態を保持し、噴出水は舌片13によって受け止められ、上方に噴き出すことはない。従って、消火栓の作動点検時や、少量の水を取出そうとして、バルブを少し開けた際に、水が噴出して作業者を直撃するようなことはなく、安心して作業ができる。
【0010】
また、消火栓のバルブを全開した場合は、大量の水が噴き出して、舌片13の下面に作用するので、舌片13はその力に負けて、図1の一点鎖線のように屈曲変形し、水はそのままの勢いで噴き上がる。なお、舌片13の曲げ強度は、芯材11の強さを変えることによって調節できるので、使用状況に応じて、芯材11の厚さや材質を適宜、選定して使用する。次に、バルブを閉じると、下面に作用する力が無くなるので、舌片13は弾性復元力によって元の伸長状態に戻る。
【0011】
本発明は前記の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲内で自由に変形実施可能である。特に、放水口の構造や、ダストシールの詳細な形状・支持方式などは自由である。
【0012】
【発明の効果】
本発明のダストシールは、内部に芯材が埋設されていて、各舌片の曲げ強度が高いので、消火栓のバルブを少し開けて、弁体と弁座との間にできた隙間から少量の水が噴出した程度では、舌片が曲がらず、噴出流は舌片の下面で受け止められ、外部にまで吹き出すことはない。この為、消火栓の作動点検や、少量の水を取り出す時などに、噴出水のおそれがないので、安心して作業を行うことができる。また、舌片の曲げ強度は、芯材の厚さなどを変えることによって、簡単に調節設定できるので、使用状況に応じた、最適強度のダストシールを容易に得ることができる。更に、このダストシールは消火栓の放水口に取付けられるので、放水口に転り込んだ小石などの異物は、このダストシールによって受け止められ、消火栓の内部にまで落ち込むことはなく、簡単に取り出すことができ、消火栓のメンテナンス上でも有益である。
【0013】
請求項2のものは、リング状の突出部を有するので、接合支持部での止水性が高く、口金パッキンとしての機能をも果し、その分、部品点数を少なくできて、実用上、有益である。
【0014】
請求項3のものは、ダストシールをケーシング上面と押えシールとの間に挟み込んで使用するので、取付構造が簡単で、消火栓全体としての構造の簡素化を図ることができる。また、リング状突出部の押圧効果が、ボルト孔にまで及び、ボルトとボルト孔とが密着し、ボルト螺合部への侵水を阻止でき、螺合部での錆付きを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】組み込み使用状態の断面図。
【図2】ダストシール単独の平面図。
【図3】ダストシールの半断面図。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 ボール弁体
3 弁座
4 シール押え
5 口金
6 口金フランジ
7 締付ボルト
10 ダストシール
11 芯材
12 切目
13 舌片
14 リング状突出部
15 ボルト孔
Claims (3)
- シール本体は軟質弾性材製で、内部に金属弾性材製の芯材が埋設され、かつ、平面の中心から放射状に切込まれて複数の舌片が形成されてなり、消火栓の放水口に取付けて使用される消火栓用ダストシール。
- シール本体の少なくとも片面に、リング状の突出部が形成されている請求項1記載の消火栓用ダストシール。
- シール本体の側辺部にボルト孔が形成され、消火栓ケーシングの上面と、シール押えとで挟んで、ボルト締めによって固定支持される請求項1又は2記載の消火栓用ダストシール。
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