JP7290502B2 - ボール式消火栓とボールバルブ - Google Patents

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Description

本発明は、ボール弁体を介して流路を開閉するボール式消火栓に関し、特に、急激な水の噴き出しを防止したボール式消火栓とボールバルブに関する。
この種のボール式消火栓は、例えば、日本水道協会規格 JWWA B 135:2013「水道用ボール式単口消火栓」に規定されている。この消火栓は、球形又は半球形の弁体を有し、通常時には、このボール弁体が弁閉状態とされて水の供給が停止されている。
一方、消火時等において、ボール弁体が弁開操作されたときに通水状態となり、ボール弁体の全開時には、弁箱の流入口から流出口である口金までの流路が弁体のポートを介して直線状となることで、圧力損失が抑えられて流量が確保された状態で二次側に水が供給される。
他方、消火栓の定期点検時等は、外部のホースを接続しない状況でおこなわれる。このとき、ボール弁体が弁閉状態からごくわずかに開放されたときには、このボール弁体の連通孔と弁座との隙間が狭くなっていることで消火栓の開口側から強く水が噴き出すことがある。この対策として、JWWA B 135では、消火栓(弁体)を少し開けたとき、口金から噴き出す水が飛び散るのを防止するための防止機構を設けることが望ましいとされている。そのため、通常、ボール式消火栓には、この規格に準じて噴き出し防止機構が設けられている場合が一般的である。
消火栓の流出側への強い噴き出しを防止するためのものとしては、例えば、特許文献1の消火栓用ダストシールが本出願人により出願されている。このダストシールは、中心から放射状に切込まれて複数の舌片が形成された、いわゆる菊割り形状に設けられ、弁箱とシール押えとの間に挟まれた状態で、消防ホース接続用の口金が装着される口金フランジの締付けにより装着される。このダストシールによると、弁開時の水の強い噴き出しが緩和され、例えば、噴き出した水が作業者の目に直接入ることが回避される。しかも、このように噴き出し防止用のダストシールを設けた構造の場合、ボール弁体に溝や穴などの特殊な加工を施したり、一次側と二次側との開口面積を調節することなく、流出口からの直接の噴き出しを防止可能になる。
さらに、本出願人は、特許文献2のボール式消火栓を出願している。このボール式消火栓では、弁箱の流出口側の内周に噴き出しを誘導する誘導部が設けられ、この誘導部の角度が誘導部に対向される弁体の外周接線と略平行に設けられる。これにより、この消火栓では、弁体の開動作に伴って生じる噴き出しを誘導部のテーパ面に当てて口金内周面に誘導し、弁体の連通孔と弁座との隙間から外部に直接水が放出することを防止した状態で口金の流出口から水を流すようになっている。
特許文献3の消火栓においては、弁箱とホース差し金具(口金)とがリングを介在した状態でねじ込まれ、このリングの内面には突条が設けられている。この消火栓では、弁開時にボール弁体と弁座との間に生じる微小間隙から噴き出した水を突条に当てて方向転換させ、流出口(口金内部)の中に水を充満させて水の飛散(噴き出し)を防止しようとするものである。さらに、突条に複数のスリット、小孔、凹凸を設けることで、突条に当たった水を四方八方に散乱させ、この散乱した水を相互に干渉させて飛散を有効に防止しようとしている。
特許文献4のボール式の消火栓では、弁体の下流側(二次側)に出退可能な遮蔽カバーが設けられている。遮蔽カバーは、ボール弁体の弁閉時及び緊急時の弁開操作時には収容部に収容され、一方、消火栓のテストや給水本管に混入している砂などの異物を排出する作業をおこなう場合に使用される。遮蔽カバーの使用時には、操作ハンドルの操作により収容状態から90度回転されてボール弁の直下位置に臨出され、これによってボール弁の下流側が遮られる。この状態でボール弁を開操作した場合、微小開度時に弁体を通過する水流が遮蔽カバーに干渉し、ボール弁を通過した水流が勢いよく噴き出すことを抑えることが可能になっている。
さらに、ボール式消火栓は、上述した口金側からの水の噴き出し防止機能に加えて、消火栓使用前の口金洗浄操作時、消火栓定期点検時、配水管路完成後・更新後・メンテナンス後の通水確認時などには、これらの作業を行いやすくするために口金側より水が徐々にあふれ出るようになっていることが要望されている。
特許第3624104号公報 特開2018-25033号公報 特開2000-220169号公報 特開2002-28255号公報
特許文献1の消火栓用ダストシールは、流出口からの噴き出しを防止するために、ダストシール本体や取付け用のシール押えが必要になり、さらに、ダストシール締付け用の口金フランジやシール用パッキンも必要になることから部品点数が多くなる。消火栓の組付け後には、弁箱上にダストシールとシール押えとが重ねられた状態で、この上から口金フランジにより締め付けられ、さらにこの口金フランジの上部に口金が取付けられることから全体の高さが大きくなり、深い設置スペースが必要になる。このようにダストシールを装着する場合には、全体のコンパクト化が難しくなる。
特許文献2のボール式消火栓においては、微小開度時に、弁体の連通孔と弁座との隙間から直線状に噴き出す水を誘導部のテーパ面に当てて口金内周面に誘導することにより、口金の流出口から外部に水が一直線状に勢いよく流れる状態、いわゆる鉄砲水の状態で流れることを防ぐことが可能になる。しかし、テーパ面に当った水は、このテーパ面により所定の入射角度で口金内周面に導かれ、口金内周面に当った水は適宜の反射角度で流出口側に進もうとするため、この水が大量に広がるように飛散し、いわゆる水しぶきの状態で流出口から放出される場合があった。この場合、作業者や周囲の配管設備が濡れるおそれがある。さらに、一次側に接続された水道管内の水圧が高い場合には、弁体の連通孔と弁座との隙間から噴き出す水の勢いがより強くなるため、口金流出口からの拡散状態の噴き出しもより大きくなる。
これに対して、この種のボール式消火栓では、手動操作用の減速機構の定められた減速比が比較的低いために開度の微調整が難しく、上記の水しぶきの発生を防ぐために水量を調整することは難しい。
特許文献3では、微小開度時に間隙から噴き出す直線状の水を突条でボール弁体側に方向転換させることで口金内部に充満しようとしているものの、突条に当って方向転換した水がボール弁体の外周面に強い勢いで当たると、この外周面により口金の流出口側に向けて弾き返されやすくなる。この場合、弁体外周面が球面状であることから、この外周面で弾き返された水流が拡散方向に広がることとなり、特許文献2の場合と同様に、水しぶきの状態で流出口から放出される可能性がある。このことから、流出時の水を減勢した状態で流して口金等の二次側配管機材を洗浄することも難しい。
特許文献4においては、遮蔽カバーをテストや異物排出時の微小開度時に使用しても、水をあふれ出るように流すことが難しい。さらに、このようにボール弁の二次側に可動する遮蔽カバーを設ける場合、部品点数の増加と共に構造も複雑化し、遮蔽カバーの使用時には外部から操作する必要性も生じるという問題がある。
本発明は、上記の課題点を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、弁開時の圧力損失を抑えて流量を確保したボール式消火栓であり、全体のコンパクト性を維持しつつ弁開動作時の流出側からの直線及び拡散状態の噴き出しを抑えて周囲への飛散を防止した状態で流水させることができ、減勢させた水により二次側配管機材の洗浄も可能になる。延いてはバルブに適用して流出側からの噴き出しを抑えることができるボールバルブを提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ボール弁体が弁座を介してステムにより弁箱内部に回動自在に収納され、この弁箱の流出口側に設けられたホース接続用の口金を有するボール式消火栓であって、弁箱の流出口側に前記弁座よりも内径側に突出した環状体が設けられ、この環状体と流出口側の弁座とボール弁体とで区画形成された円環状通水路を備え、環状体の一部には円環状通水路から弁箱の二次側に通じる連通部を形成したボール式消火栓である。
請求項2に係る発明は、円環状通水路は、弁座と、環状体の底部側を段部状に形成して上流側底面と下流側底面と段部面とを備えた環状段部における上流側底面と、ボール弁体とにより囲まれた第2円環状通水路と、環状段部の下流側底面と、段部面と、ボール弁体とにより囲まれた第1円環状通水路とにより成り、環状段部には第2円環状通水路から第1円環状通水路に流れる水量を微流量に調整する小連通部を形成したボール式消火栓である。
請求項3に係る発明は、連通部は、弁開き始め時にボール孔と円環状通水路とが最初に連通する位置から離れた位置に配置されたボール式消火栓である。
請求項4に係る発明は、環状体は、弁箱の流出口の内径側に弁箱又は弁座に一体に形成されるか、又は弁箱の流出口側と弁座との間に別体に形成されるボール式消火栓である。
請求項5に係る発明は、別体に形成された環状体の外周の一箇所或は複数箇所に、弁箱の当該位置に形成された係止部に係止して別体の環状体を回り止めする係合部が形成されたボール式消火栓である。
請求項6に係る発明は、ボール弁体が弁座を介してステムにより弁箱内部に回動自在に収納され、弁箱の流出口側に弁座よりも内径側に突出した環状体が設けられ、この環状体と流出口側の弁座とボール弁体とで区画形成された円環状通水路を備え、環状体の一部には円環状通水路から弁箱の二次側に通じる連通部を形成したボールバルブである。
請求項7に係る発明は、円環状通水路は、弁座と、環状体の底部側を段部状に形成して上流側底面と下流側底面と段部面とを備えた環状段部における上流側底面と、ボール弁体とにより囲まれた第2円環状通水路と、環状段部の下流側底面と、段部面と、ボール弁体とにより囲まれた第1円環状通水路とにより成り、環状段部には第2円環状通水路から第1円環状通水路に流れる水量を微流量に調整する小連通部を形成したボールバルブである。
請求項1に係る発明によると、流路口径を確保して弁開時の圧力損失を抑えて弁開時の流量を大きくでき、全体の高さの増大を防いでコンパクト性を維持した状態で弁開動作時の流出側からの噴き出しを抑制できる。この場合、弁箱の流出口側に設けた環状体と弁座とボール弁体とで区画形成された円環状通水路を備え、環状体の一部には円環状通水路から弁箱の二次側に通じる連通部を形成しているので、円環状通水路に流水を充水して減勢し、この充水した水を連通部から弁箱の二次側に流すことで、流出する水が直線状態や拡散状態となって噴き出すことがない。そのため、直線状に噴き出した水が作業者の目に直接入ったり、拡散状態に噴き出して飛散した水で作業者や周囲の配管設備が濡れることを防止できる。減勢した水を連通部から徐々に流出させてあふれ出るように水を流し、この水を利用して二次側に接続した口金や配管機材を洗浄できるためメンテナンスも容易になる。ボール弁体の駆動側に減速比の低い減速機構を用いて、弁開操作時には微小開度の調整を容易とし、鉄砲水や水しぶきの発生を防止し、簡便に定期点検等を実施できる。
請求項2に係る発明によると、弁開操作時の初期には、第2円環状通水路を通して第1円環状通水路に水が流れ、このとき、第2円環状通水路から第1円環状通水路に流れる水量を環状段部の小連通部を通して微流量に調整し、第1円環状通水路に流れる水を極小量に抑えることができる。このため、微小開度時に勢いのある水が第1円環状通水路に一度に大量に流れ込むことを防ぎながら減勢させた状態で二次側に水を流して噴き出しを抑制できる。
請求項3に係る発明によると、連通部を弁開き始め時のボール孔と円環状通水路との最初の連通位置から離れた位置に配置していることにより、ボール孔と円環状通水路との開口部から流れ込んだ水が、円環状通水路内に回り込むように移動して全体に充水された後に連通部から流出する。このようにボール孔と円環状通水路との開口部から連通部までの距離が長くなり、かつ流水方向が円環状通水路に沿って円周方向に変化することから減勢効率が高まり、連通部からの水の噴き出しを確実に抑える。
請求項4に係る発明によると、必要に応じて環状体を弁箱又は弁座に一体又は別体に設けることが可能となる。環状体を弁箱又は弁座に一体に形成した場合には、部品点数の増加を抑えて組立ても容易になり、また、弁座に一体に形成した場合や弁箱と弁座との間に別体環状体を介在させた場合には部品として交換でき、異なる弁箱に共用化することも可能になる。
請求項5に係る発明によると、別体に形成された環状体の係合部を弁箱の係止部に係止させながら取り付けることで別体の環状体を弁箱に回り止め状態にし、連通部の回転方向の位置ずれを防止できる。この場合、ボール孔と円環状通水路とが最初に連通する位置と連通部との位置関係を保って円環状通水路に充水状態に満たして確実に減勢させた後に二次側に流水可能となると共に、別体の環状体を簡単に着脱できることから、この環状体のメンテナンスや交換も容易になる。
請求項6に係る発明によると、バルブに適用することにより、流路口径を確保して弁開時の圧力損失を抑えて弁開時の流量を大きくでき、全体の高さの増大を防いでコンパクト性を維持することで、狭いスペースへの設置を可能としつつ弁開動作時の流出側からの噴き出しを抑制できる。この場合、弁箱の流出口側に設けた環状体と弁座とボール弁体とで区画形成された円環状通水路を備え、環状体の一部には円環状通水路から弁箱の二次側に通じる連通部を形成しているので、円環状通水路に流水を充水して減勢し、この充水した水を連通部から弁箱の二次側に流すことで、流出する水が直線状態や拡散状態となって噴き出すことがない。これにより、直線状に噴き出した水が作業者の目に直接入ったり、拡散状態に噴き出して飛散した水で作業者や周囲の配管設備が濡れることを防止できる。二次側に口金や空気弁を接続して補修用のバルブとして使用したり、通常のバルブとして二次側に配管を接続でき、何れの場合であっても、減勢した水を連通部から徐々に流出させあふれ出るように水を流すことが可能になる。二次側に口金や配管を接続した場合には、この水を利用して口金や配管機材を洗浄できるためメンテナンスも容易になる。ボール弁体の駆動側に減速比の低い減速機構を用いて、弁開操作時には、微小開度の調整を容易とし、鉄砲水や水しぶきの発生を防止し、簡便に定期点検等を実施できる。
請求項7に係る発明によると、弁開操作時の初期には、第2円環状通水路を通して第1円環状通水路に水が流れ、このとき、第2円環状通水路から第1円環状通水路に流れる水量を環状段部の小連通部を通して微流量に調整し、第1円環状通水路に流れる水を極小量に抑えることができる。このため、微小開度時に勢いのある水が第1円環状通水路に一度に大量に流れ込むことを防ぎながら減勢させた状態で二次側に水を流して噴き出しを抑制できる。これにより、微小開度時に流出側の水の噴き出しを抑えることが可能なボールバルブとして提供できる。
本発明のボール式消火栓の第1実施形態を示す縦断面図である。 (a)は図1のボール弁体の閉状態におけるA-A断面図である。(b)は(a)における環状体を示す底面図である。 (a)は図2のボール弁体の弁開直後の状態を示す縦断面図である。(b)は(a)における環状体の模式図である。 (a)は図3のボール弁体がさらに弁開した微開度状態を示す縦断面図である。(b)は(a)における環状体の模式図である。 (a)は図4のボール弁体がさらに弁開した小開度状態を示す縦断面図である。(b)は(a)における環状体の模式図である。 (a)は本発明のボール式消火栓の第2実施形態を示す断面図である。(b)は(a)における環状体を示す底面図である。 (a)は図6のボール弁体の弁開直後の状態を示す縦断面図である。(b)は(a)における環状体の模式図である。 (a)は図7のボール弁体がさらに弁開した微開度状態を示す縦断面図である。(b)は(a)における環状体の模式図である。 (a)は図8のボール弁体がさらに弁開した小開度状態を示す縦断面図である。(b)は(a)における環状体の模式図である。 (a)は図6のB-B断面図である。(b)は(a)における環状体を示す平面図である。(c)は(b)の横中央断面図である。 (a)は本発明のボール式消火栓の第3実施形態を示す縦断面図である。(b)は(a)の微開度状態のC-C断面図である。 ボールバルブの実施形態を示す縦断面図である。
以下に、本発明におけるボール式消火栓とボールバルブの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1~図5においては、本発明のボール式消火栓の第1実施形態を示しており、図1はボール式消火栓の縦断面図、図2(a)は図1のA-A断面図、図2(b)は環状体の底面図を示している。図3~図5は、図2の状態から徐々にボール弁体を開方向に回転させた状態を示している。
本発明におけるボール式消火栓は、ボール弁体1、弁座2、ステム3、弁箱4、口金5、環状体10を有し、図示しない埋設された水道管からT字管を介して垂直方向に分岐された状態で取り付けられる。
ボール弁体1は、球形状に設けられて内部にボール孔1aを有し、弁座2を介してステム3により弁箱4の内部に、フローティング構造によって回動自在に収納される。ボール孔1aの流路口径は、口金5の流路口径と略同じ大きさに形成されている。
弁座2は、水道用ゴムからなり、その表面にはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂がコーティングされている。弁座2は弁箱4の一次側(流入側)、二次側(流出側)のそれぞれの位置で、弁箱4とボール弁体1との間に装着される。
ステム3は、図示しないウォーム歯車からなる減速機構部を介して垂直方向に設けられる操作軸11に連結され、この操作軸11にはキャップ12が取付けられている。図示しない操作治具を介してキャップ12が回転されたときには、このキャップ12とともに操作軸11が回転し、この回転が減速機構部を介して水平方向のステム3に減速回転され、ボール弁体1により弁箱4に形成された流路13が開閉可能に設けられる。
図示しないが、前記減速機構部がウォーム歯車である場合、ステム3側に従動側のウォームホイール、操作軸11側に駆動側のウォームが設けられ、これらの噛合により所定の減速比に構成される。本実施形態では、駆動側ウォームが2.5回転されたときに、従動側ウォームホイールが90°回転される減速比により、全閉から全開状態、或は全開から全閉状態に操作される。図2の弁閉状態から操作軸11が弁開方向に操作されるときには、その回転量に応じて図3の弁開直後の状態から、図4の微開度状態、図5の小開度状態となり、さらに回転させたときに図1の全開状態となる。
弁箱4は、ボール弁体1収納用の弁箱部材15と、この弁箱部材15に一体化可能な短管16とが組み合わされた、いわゆるツーピース型により設けられる。
弁箱部材15には、複数のリブ状の取付部17が形成され、この取付部17に短管16がOリング18を介して固着ボルト19で一体に固着されて、弁箱4に一次側の流入口20、二次側の流出口21がそれぞれ設けられる。ボール弁体1の回転時には流入口20から流出口21に流水し、口金5を介して外部に放水される。
弁箱部材15の流出口21側の内周には、鍔状の装着部25が突出して形成される。装着部25は、口金5の接続側端面5aが当接するように設けられ、口金5を装着するときには、接続側端面5aが装着部25に当接して挿入方向に位置決めされた状態で口金5が固定される。
短管16は、図1に示した短尺状以外であってもよく、ボール式消火栓の設置場所や配置スペースなどに応じて長尺状や適宜の長さに設けることができる。このことから、例えば、補修弁等の別の配管機材で用いられている部品を流用することも可能となる。短管16の下端にはフランジ部26が設けられ、このフランジ部26に図示しない水道管の管路が接続可能に設けられる。
図2(a)、図2(b)において、環状体10は、弁箱4における弁箱部材15の流出口21の内径側に弁箱4又は弁座2に一体に形成されるか、又はこれらとは別体に設けられる。本例では、弁箱4の弁箱部材15や弁座2とは別体に形成され、弁箱部材15に対して着脱可能に取付けられている。環状体10は、樹脂材料により薄板リングからなる板状環状体として形成され、その外径は弁座外径と略同径に設けられ、一方、内径は弁座内径よりも小さく、弁箱部材15への装着後には、その内周先端部27がボール弁体1の外周面1bに軽く接触する程度の寸法(例えば、φ51.4mm程度)に形成される。
板状環状体10のボール弁体1側の中央付近には環状段部30が形成される。この場合、板状環状体10の底部側が、略円周面状の段部面33により段部状に形成され、この段部面33の上流端部側に上流側底面34、下流端部側に下流側底面35がそれぞれ設けられ、環状段部30は、これら上流側底面34、段部面33、下流側底面35を備え、これらにより連続的に形成されて断面略クランク形状を成している。
板状環状体10において、段部面33よりも内径側には薄肉部31、外径側には厚肉部32がそれぞれ設けられる。厚肉部32の内径(環状段部30の段部位置)は、弁座2の内径と略同径に設けられ、この厚肉部32に弁座2が重ねられた状態で装着される。薄肉部31、厚肉部32のそれぞれの厚さは、流出側弁座2とボール弁体1との間に後述する円環状通水路40を構成することが可能な寸法に設定される。
板状環状体10は、弁箱部材15内部に段部状に形成された装着面41に装着され、流出口21側に流出側弁座2により挟まれた状態で取付けられる。
ボール式消火栓の組付け後には、板状環状体10と、流出口21側の弁座2と、ボール弁体1の外周面1bとで区画形成された円環状通水路40が備えられ、この空隙状の円環状通水路40には、ボール弁体1が閉状態から開方向に回転するときに、ボール孔1aと弁座2との隙間からの流水が充水可能に設けられる。図2(b)において、一点鎖線は口金5の内周面(内径φd1)を表しており、二点鎖線は弁座2とボール弁体1との接線(止水線)Tを表している。
板状環状体10の一部には、連通部42が略矩形状に切欠き形成される。連通部42は、接線Tにおいてボール弁体1が弁閉状態からステム3の回転軸Pを中心に回転するときに、ボール孔1aと円環状通水路40とが連通して流路を開口するときの開口部Gが、初期に発生するときの位置と重ならない位置に設けられる。
このことから、連通部42は、弁開き始め時にボール孔1aと円環状通水路40とが最初に連通する位置から離れた位置に配置される。本例では、連通部42が開口部Gの初期発生時の位置から略90°の間隔によって対向状態で二箇所に配置され、それぞれの連通部42が円環状通水路40から弁箱4の二次側に通じている。これにより、弁開き始め時に開口部Gから流入した水は、円環状通水路40に沿って進み、この円環状通水路40に充水されることで減勢され、この円環状通水路40から連通部42を通して弁箱4の二次側に流れるようになっている。
図1において、口金5は、例えば、町野式口金と呼ばれるものからなり、弁箱部材15の流出口21側に設けられた上端開口部45に、図示しない外部の消防用ホース接続用として接続可能に設けられる。口金5は、差し金具50と押し輪51とを有し、これらは、例えば、何れもステンレスなどの金属材料により設けられ、口金5を介して消火栓以外の給水栓、管路内の水圧測定等にも利用可能に設けられている。町野式口金を口金5として使用する場合、例えば、呼び65の流量が確保される。
差し金具50は、略円筒状に設けられ、弁箱4側に前述の接続側端面5aを有している。差し金具50の接続側外周には雄ねじ52が形成され、この雄ねじ52が弁箱4の上端開口部45に形成された雌ねじ53に螺着可能に設けられる。これにより、前述した接続側端面5aが装着部25の二次側端面に当接された状態で、口金5が弁箱4にOリング54を介して直接接続される。
押し輪51は、略円板状に設けられ、差し金具50の外周と、この差し金具50が螺合された弁箱4の上端開口部45との間に上下動可能に装着される。この構造により、口金5から消防用ホースを外す際に、作業者が押し輪51を押し上げることでホースを外すことが可能となる。
差し金具50には、口金ふた55が着脱可能に取付けられる。口金ふた55は、合成樹脂により差し金具50の開口側を被蓋可能な円筒状に形成され、合成樹脂により形成されたふたチェーン56を介して弁箱4に取付けられる。ボール式消火栓を使用するときには、口金ふた55を差し金具50から外すことでこの差し金具50に消防用ホースを接続可能になり、口金ふた55は、ふたチェーン56により紛失等が防がれている。
図示しないが、板状環状体10の外周の一箇所或は複数箇所に係合部を設け、一方、弁箱部材15の当該位置に係合部が係止する係止部を形成するようにしてもよい。この場合、例えば、板状環状体10の外周の二箇所に180°間隔で半円突起状の係合部を形成し、弁箱部材15内の二箇所にこれら係合部が係止可能な凹状の係止部を形成するとよい。これによると、係合部を係止部に嵌め込むように係止させながら板状環状体10を弁箱部材15に装着することで、板状環状体10が回転方向に位置決めされて回り止めされた状態となる。
なお、ボール弁体1は、上記実施形態のようなフローティング構造以外であってもよく、例えばトラニオン構造により装着されていてもよい。この場合にも、前記と同様に弁箱の流出口側に前述の環状体を設け、この環状体と、流出口側弁座と、ボール弁体とにより円環状通水路を区画形成できる。ボール弁体1は、球形状以外であってもよく、例えば半球状に設けられていてもよい。また、弁箱は、図12のようなワンピース形であってもよい。
連通部42を矩形状に形成する場合には、その高さ、幅の大きさを任意に設定することができる。連通部は、矩形状や切欠き形状以外の形状であってもよく、例えば、略半円状の切欠き溝や、貫通孔により連通部を設けるようにしてもよい。これに加えて、連通部の数や形成位置も任意に設定でき、予めこれらを調節した連通部を設けることで、円環状通水路40に充水された水の二次側への流量や水勢を調整可能となる。
本例においては、開口部Gの初期発生時の位置から略90°の間隔で2箇所に連通部42を設けているが、この連通部42は、板状環状体10の任意の位置に設けることができる。これにより、例えば、連通部を、開口部Gの初期発生時の位置から略90°の位置に1箇所設けたり、開口部Gの初期発生時の位置から略180°の位置に1箇所設けたり、開口部Gの初期発生時の位置から略45°の位置に2箇所、略135°の位置に2箇所設けて計4箇所に配置することもできる。連通部を設ける場合には、開口部Gの初期発生時の位置と重ならない位置に設けることが望ましい。
続いて、本発明のボール式消火栓の上記実施形態における動作並びに作用を説明する。なお、以降において、微小開度時のボール孔1aと弁座2との間の開口部Gから水が一直線状に勢いよく流れる、いわゆる鉄砲水の状態を「噴流」、開口部Gから水が大量に広がって飛散する、いわゆる水しぶきの状態を「噴出」と呼ぶこととする。
図2に示す弁閉状態においては、ボール弁体1の一次側(流入口20側)から水の圧力が作用し、二次側(流出口21側)の弁座2の全周に渡ってボール弁体1が当接シールして漏れが防がれた状態になる。このとき、一次側の弁座2にもボール弁体1をシールする機能が働いている。
この状態からステム3を回転軸Pを中心にやや回転させ、図3(a)においてボール弁体1の開口側が弁座2から離れ始めると、これらボール弁体1と弁座2との間に生じるわずかな隙間(開口部)Gから流出側に水が流れようとする。このとき流出口21側に向けて噴流が生じ、この噴流は板状環状体10の薄肉部31に当ることで遮断され、これによって開口部Gから流出口21側への噴流が遮断される。
薄肉部31(板状環状体10)に当った水は、板状環状体10と、弁座2と、ボール弁体1とで区画形成された円環状通水路40、具体的には、図3(b)にハッチングで示した領域、すなわち、板状環状体10の内周先端部27と、弁座2と、ボール弁体1との止水線である接線Tとの間の領域内に充水される。その後、水は、矢印に示すように板状環状体10の二箇所の連通部42から、流出口21の略中心方向に向けてあふれるように少しずつ流出する。
さらに弁開操作をおこなって図4(a)の微開度状態となった場合には、開口部Gが大きくなることで噴流がより激しくなる。この場合、すでに円環状通水路40が充水された状態にあり、図3の場合よりも連通部42からのあふれ量が多い状態で流出しようとする。連通部42を開口部Gが最初に設けられる位置から略90°の間隔で二箇所に配置していることによって、開口部Gから連通部42までの距離が長くなり、この長い距離を水が円環状通水路40に沿って円周方向に流れ方向を変えつつ進むことで、水が大幅に減勢された状態で連通部42側に流れる。
円環状通水路40により減勢された水は、連通部42からボール弁体1の外周面1bに沿うように進み、ボール式消火栓の流路方向に対して略垂直方向に流れる。このため、流出口21側(口金5側)に噴流が発生することなく、連通部42からあふれ出した水が口金5内部に蓄積されて充満されるようになる。
図5の小開度の状態まで弁開操作したときには、図4の微開度時よりも二箇所の連通部42からの流れが強くなる。この場合、連通部42同士が対向配置されていることで、ボール弁体1の外周面に沿うように進んだ水が互いに衝突することで、減勢効率を高めつつ二次側に水を流すことができる。しかも、口金5内部に水が充満した状態にあるため、この水により連通部42から流出される段階でも水の勢いが減少される。
上記のように、本発明のボール式消火栓は、弁箱部材15の流出口21側と流出側弁座2との間に板状環状体10を介在し、この板状環状体10と、弁座2と、ボール弁体1との間に設けた円環状通水路40に開口部Gからの流水を充水した後に、開口部Gの位置から略90°の間隔で二箇所に対向配置した連通部42から流出させて水を減勢しているので、弁開操作時に流出口21側(口金5側)に徐々に流水させることができる。
これにより、図2~図5の状態のように、環状体10の内周先端部27全体が弁体外周面1bに接触し、円環状通水路40を区画形成した状態を維持している間において、ボール弁体1の微開度時や小開度時の噴流を防ぐことができ、口金5内に水を充満させた状態にできる。
しかも、水を口金5内に充満させた後に流出側に流水できるため、流出口21からの水の噴出も確実に防いでいる。
このように、弁開操作時の初期に弁開度の微調整を必要とすることなく噴流や噴出を防止できるため、定期点検時等に流出口21の内部側が露出した状態であっても、作業者の目に水が直接入ったりする危険がなく、作業者や周囲の配管設備が濡れることも防止できる。
しかも、板状環状体10を装着面41と弁座2との間に介在させればよいため、ボール式消火栓全体の高さ寸法の増加を抑えて浅い設置スペースにも配置でき、組立てや分解も容易になる。
上記実施形態のようにボール弁体1をフローティング構造により装着し、弁座2をゴム材料により設けた場合には、流入口20側から流体圧が加わったときに、この流体圧によってボール弁体1が二次側(板状環状体10側)にやや移動するようになっている。このことから、流体圧が加わった状態では円環状通水路40の断面積が小さくなることで通水量が少なくなるため、流体圧が大きくなっても、弁開き始め時の円環状通水路40を通して連通部42から流出する水量を少量に抑えることが期待できる。
上記実施形態では、ステム3の回転軸Pを中心に左回転させて弁開動作させる場合を説明したが、右回転させた場合にも左回転の場合と同様に板状環状体10により噴流や噴出を阻止できる。このように、左右の回転方向の何れにも対応して弁開操作できるため、右回り開き、左回り開きの操作軸への入力回転方向の異なるボール式消火栓ごとに減速機構部の歯切り加工などを変える必要もない。
左右何れの回転方向で弁開操作する場合であっても、環状体10の内周先端部27がボール弁体外周面1bに軽く接触していることで、この内周先端部27がスクレーパ機能を発揮し、ボール弁体外周面1bに付着した砂やごみなどの異物を掻取り、操作時の異物の噛み込みを防止することが可能になっている。
ボール弁体1の全開時には、流路口径を大きく確保して圧力損失を防いだ状態で所定流量を流すことができるため、消火栓としての通水機能を十分に発揮することができる。
図6~図9においては、本発明のボール式消火栓の第2実施形態を示している。なお、この実施形態以降において、前記実施形態と同一部分は同一符号によって表し、その説明を省略する。
図6(a)、図6(b)に示すように、この実施形態におけるボール式消火栓は、弁箱60と別体に形成された板状環状体61を有し、この板状環状体61が弁箱60の弁箱部材62と流出口側弁座2との間に着脱可能に介在される。
板状環状体61は、樹脂材料により薄板状に形成され、その内径側は弁座内径よりも小さく、弁箱部材62への装着後にその内周先端部63がボール弁体1の外周面1bに軽く接触する程度の寸法(例えばφ51.4mm程度)に形成される。
内周先端部63よりも底部側には環状段部65が設けられる。この場合、板状環状体61の底部側が、略円周面状の段部面66により段部状に形成され、この段部面66の上流端部側に上流側底面67、下流端部側に下流側底面68がそれぞれ設けられ、環状段部65は、これら上流側底面67、段部面66、下流側底面68を備え、これらにより連続的に形成されて断面略クランク形状を成している。
環状段部65における下流側底面68の内径側は、ボール弁体外周面1bに軽く接触する程度に、弁座内径よりも小径となる寸法(例えばφ60.4mm程度)に形成される。段部面66には、流路方向に沿って略半円形状の極小の小連通部70が切欠き溝状に形成される。
小連通部70は、2箇所に形成された連通部42と重ならないように等間隔で8箇所に設けられ、本例では小連通部70同士が45°の間隔で同一円周上に形成される。連通部42に最も近接した両側の小連通部70、70は、連通部42から略22.5°の位置に配設されている。
板状環状体61の外径は、弁座2の外径よりも小径に形成され、一方、弁箱部材62には、板状環状体61を嵌合状態で装着可能な径により、略環状の装着面71が形成される。板状環状体61は、装着面71に嵌合状態で装着され、この上から弁座2が取付けられることにより、弁箱部材62と弁座2との間に介在された状態で装着される。
さらに、図10に示すように、板状環状体61の外周に、略半円状の係合部72が略180°の間隔で二箇所に突出して形成され、一方、弁箱部材62(弁箱60)の当該位置に、係合部72が係止可能な切欠き状の係止部73が形成されていてもよい。この場合、板状環状体61の装着時には、係合部72が係止部73に嵌まり込むように係止し、これによって板状環状体61が弁箱部材62に対して回り止めされる。
このとき、係合部72を突状、係止部73を凹状にそれぞれ設けているが、これらは逆の関係であってもよい。さらに、係合部及び係止部の形状や大きさ、形成する数も任意に設定することができる。係合部、係止部は、円周方向における連通部42の形成位置と同じになっているが、これらの位置が円周方向にずれていてもよい。
何れの場合であっても、係合部と係止部とを設けた場合には、板状環状体を弁箱部材に対して適正な向きで取付けでき、取付け後においては、連通部が所定位置に位置決めされた状態を維持することができる。
板状環状体61を装着することにより、この板状環状体61と、流出口21側の弁座2と、ボール弁体1との間に円環状通水路80が区画形成される。円環状通水路80は、一次側の第2円環状通水路81と、二次側の第1円環状通水路82とより成っている。第2円環状通水路81は、弁座2と、環状段部65における上流側底面67と、ボール弁体1とにより囲まれた領域であり、第1円環状通水路82は、環状段部65の下流側底面68と、段部面66と、ボール弁体1とにより囲まれた領域により設けられる。
ボール弁体1の開口側が弁座2から離れ始めて円環状通水路80に充水される際には、第2円環状通水路81から第1円環状通水路82に水が流れ、このとき前述した小連通部70により、第2円環状通水路81から第1円環状通水路82への水量が微流量に調整される。小連通部70は、第2円環状通水路81から第1円環状通水路82に微流量の水を流すことが可能であれば、形状や数を任意に設定することができ、これらを適宜調整することで連通部42からの流量を調節できる。
図6に示す弁閉状態では、ボール弁体1の一次側(流入口20側)から水の圧力が作用し、二次側の弁座2の全周に渡ってボール弁体1が当接シールして漏れが防がれる。このとき、一次側の弁座2にもボール弁体1をシールする機能が働いている。
ステム3を回転軸Pを中心にやや回転させ、図7においてボール弁体1の開口側が弁座2から離れ始めると、これらボール弁体1と弁座2との間に生じる隙間(開口部)G1から流出側に水が流れようとする。このときに生じる噴流は、板状環状体61の底面側に当ることで遮断され、これによって開口部G1から流出口21側への噴流が遮断される。
板状環状体61の底面側に当った水は、先ず、第2円環状通水路81に充水され、第2円環状通水路81が充水状態になると、続いて、8箇所に形成された極小の小連通部70を通して流量が調整された状態で第1円環状通水路82に徐々に流入する。このとき、環状段部65の底面側に水が当たりながら流れることで、各小連通部70からの噴流が防止される。
このようにして第2円環状通水路82と第1円環状通水路81とが充水状態になり、具体的には、図7(b)にハッチングで示した領域、すなわち、板状環状体61の内周先端部63と、弁座2と、ボール弁体1との止水線である接線T1との間の領域内に充水される。その後、水は、矢印に示すように板状環状体61の二箇所の連通部42から、流出口21の略中心方向に向けてあふれるように少しずつ流出する。
さらに弁開操作して図8(a)の微開度状態となった場合には、開口部Gが大きくなって噴流がより激しくなる。このとき、図7の場合よりも連通部42からのあふれ量が多くなるものの、開口部G1から連通部42までの長い距離を円周方向に沿って流れ方向を変えつつ水が流れることで、大幅に減勢された状態で連通部42まで進むこととなる。そのため、水が減勢された状態で連通部42から流出し、ボール弁体外周面1aに沿って流路方向に対して略垂直方向に流れて、流出口21側(口金5側)への噴流を防止できる。連通部42から徐々にあふれ出すように流出した水は、口金5内部に蓄積されて充満されるようになる。
しかも、微開度時における連通部42からの水の流出量は、小連通部70により調整されることで弁開度によらず流量が一定となり、弁開操作時の開度調整代が大きくなり、作業者が求める微開度状態に操作しやすい状態で所望の水の排出量を調整できる。このため、口金の洗浄や排泥作業も実施しやすい。
図9の小開度の状態まで弁開操作したときには、図8の状態よりも連通部42からの流れが強くなるが、口金5内部に水が充満した状態にあり、この口金5内部をボール弁体外周面1aに沿って互いに衝突するように連通部42から流れるために減勢される。
上記のように、この実施形態におけるボール式消火栓は、円環状通水路80が第2円環状通水路81と第1円環状通水路82とから成り、第2円環状通水路81から小連通部70を通して第1円環状通水路82に流れる水量を微流量に調整しているので、開度を微調整することなく弁開直後の勢いの増した水を高い効率で減勢させながら連通部42から流出させ、噴流及び噴出を確実に防止することができる。
図11においては、本発明のボール式消火栓の第3実施形態を示している。
この実施形態におけるボール式消火栓は、環状体90が弁箱91の弁箱部材92の流出口93の内径側に一体に形成され、この環状体90に連通部95を形成したものである。
環状体90は、弁箱部材92の内周に突出形成された鍔状の装着部96の底面内周縁から垂下するように適宜の長さで一体形成される。この場合、弁座2よりも内径側の位置に形成され、この環状体90を設けることで外周側に環状溝部97が形成される。本例では、環状体90と、流出口93側の弁座2と、ボール弁体1とで区画形成された環状溝部97が円環状通水路の機能を発揮し、この円環状通水路97に弁開動作時のボール弁体1のボール孔1aと弁座2との間からの流水が充水可能に設けられる。
環状体90には、切欠き形成により2箇所の連通部95が対向配置され、この連通部95を介して円環状通水路97に充水された水が減勢された後に、前記実施形態と同様にして弁箱91の二次側に流れるようになっている。これにより、噴流や噴出を防いだ状態で連通部95から徐々に流出側に水を流すことができる。
環状体90の高さ、並びに連通部95の幅や高さ、数、形成位置は任意に設定でき、これらにより円環状通水路97への充水量や、二次側に流れる水の流量や水勢を調整可能になっている。
環状体90を弁箱91と一体に形成することにより、部品点数を増やすことなく二次側に流れる水を減勢でき、ボール式消火栓の組立ても容易になる。構造が単純であるため、環状体90や連通部95を簡単に加工できる。
図12においては、他の発明におけるボールバルブの実施形態を示している。
この場合、ボールバルブの弁箱100の流入側、流出側にはそれぞれフランジ部101、102が設けられ、これらフランジ部を介してボールバルブの一、二次側には図示しない外部配管が接続可能に設けられる。
弁箱100の内部にはボール弁体1が二次側の弁座2を介して収納され、弁箱100の一次側の流入口103には一次側弁座2を装着したキャップ部材104が螺合により固着される。これにより、ボール弁体1が弁座2によりシールされた状態で弁箱100内部に回動自在に収納されている。
弁箱100の二次側の流出口105には、弁座2よりも内径側に突出した環状体10が設けられ、この環状体10と流出口105側の弁座2とボール弁体1とで区画形成された円環状通水路110が備えられ、この空隙状の円環状通水路110には、ボール弁体1のボール孔1aと弁座2との間からの流水が充水可能に設けられている。環状体10の一部には、円環状通水路110に充水された水が減勢されて弁箱100の二次側に流れる連通部42が形成されている。
このように、一般的なボールバルブにより円環状通水路110に充水した水を連通部42から減勢した状態で二次側に流すこともでき、噴流及び噴出防止機能を有するバルブとして、各種の用途に使用することが可能になる。このボールバルブを設ける場合、ボール弁体1、弁座2、環状体10を流用することも可能になる。
さらに、図示しないが、前述の場合と同様に、第1円環状通水路と第2円環状通水路とにより成される円環状通水路に小連通部を設けた板状環状体を使用したり、或は環状体を弁箱の流出口内径側に一体に形成した構造に設けることもできる。また、環状体を弁箱と別体に設ける場合には、これら環状体と弁箱にそれぞれ係止部と係合部とを設けて回り止めするようにしてもよい。
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、前記実施の形態記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。
1 ボール弁体
1a ボール孔
2 弁座
3 ステム
4 弁箱
5 口金
10、61、90 環状体(板状環状体)
21 流出口
30、65 環状段部
33、66 段部面
34、67 上流側底面
35、68 下流側底面
40、80、97、110 円環状通水路
42、95 連通部
70 小連通部
72 係合部
73 係止部
81 第2円環状通水路
82 第1円環状通水路
G、G1 開口部

Claims (7)

  1. ボール弁体が弁座を介してステムにより弁箱内部に回動自在に収納され、この弁箱の流出口側に設けられたホース接続用の口金を有するボール式消火栓であって、前記弁箱の流出口側に前記弁座よりも内径側に突出した環状体が設けられ、この環状体と流出口側の前記弁座と前記ボール弁体とで区画形成された円環状通水路を備え、前記環状体の一部には前記円環状通水路から前記弁箱の二次側に通じる連通部を形成したことを特徴とするボール式消火栓。
  2. 前記円環状通水路は、前記弁座と、前記環状体の底部側を段部状に形成して上流側底面と下流側底面と段部面とを備えた環状段部における前記上流側底面と、前記ボール弁体とにより囲まれた第2円環状通水路と、前記環状段部の下流側底面と、前記段部面と、前記ボール弁体とにより囲まれた第1円環状通水路とにより成り、前記環状段部には前記第2円環状通水路から前記第1円環状通水路に流れる水量を微流量に調整する小連通部を形成した請求項1に記載のボール式消火栓。
  3. 前記連通部は、弁開き始め時にボール孔と前記円環状通水路とが最初に連通する位置から離れた位置に配置された請求項1又は2に記載のボール式消火栓。
  4. 前記環状体は、前記弁箱の流出口の内径側に前記弁箱又は前記弁座に一体に形成されるか、又は前記弁箱の流出口側と前記弁座との間に別体に形成される請求項1乃至3の何れか1項に記載のボール式消火栓。
  5. 別体に形成された前記環状体の外周の一箇所或は複数箇所に、前記弁箱の当該位置に形成された係止部に係止して別体の前記環状体を回り止めする係合部が形成された請求項4に記載のボール式消火栓。
  6. ボール弁体が弁座を介してステムにより弁箱内部に回動自在に収納され、前記弁箱の流出口側に前記弁座よりも内径側に突出した環状体が設けられ、この環状体と流出口側の前記弁座と前記ボール弁体とで区画形成された円環状通水路を備え、前記環状体の一部には前記円環状通水路から前記弁箱の二次側に通じる連通部を形成したことを特徴とするボールバルブ。
  7. 前記円環状通水路は、前記弁座と、前記環状体の底部側を段部状に形成して上流側底面と下流側底面と段部面とを備えた環状段部における前記上流側底面と、前記ボール弁体とにより囲まれた第2円環状通水路と、前記環状段部の下流側底面と、前記段部面と、前記ボール弁体とにより囲まれた第1円環状通水路とにより成り、前記環状段部には前記第2円環状通水路から前記第1円環状通水路に流れる水量を微流量に調整する小連通部を形成した請求項6に記載のボールバルブ。
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