JP3623916B2 - バンパリィンホースメント - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車両の衝突時のエネルギーを吸収するバンパ装置に用いられるバンパリィンホースメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の車両に取り付けられて、衝突時の衝撃を吸収するバンパ装置は、車両のサイドメンバに取り付けられるバンパリィンホースメント(補強部材)と、バンパリィンホースメントの前部領域に配設されるウレタン材料等からなるアブソーバと、バンパリィンホースメント及びアブソーバを覆うバンパカバーとから構成されており、このバンパ装置の一例が、特開平10−175485号公報に示されている。
【0003】
このようなバンパ装置に用いられるバンパリィンホースメントは、例えば、図9に示されるように、車幅方向から見たその側断面形状が上下方向中央部に中間壁を形成した側断面略日型で車幅方向に延在しており、その両端末部は車両のデザイン・スペースなどの制約からバンパカバー内に収まるように曲げ成形が施されている。このようなバンパリィンホースメントは、車両が低速で衝突した場合の衝撃を吸収し、ボデーの損傷を防止する機能を有する。
【0004】
尚、バンパリィンホースメントは、口型・日型・B型等の衝撃吸収性に優れた断面構造が一体的に成形できるアルミニウム合金の押出成形材、あるいは鋼板(特に高張力鋼板)のロール成形材が広く使われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術にかかるバンパリィンホースメントにおいては、近年車両のデザイン上の理由からバンパリィンホースメントに与えられるスペースが狭くなっていることにより、所定の衝突性能を満足したまま車両に搭載するには曲率の小さい曲げや複合曲げといった複雑な形状での曲げ成形が必要となり、その結果、成形装置も複雑となり工程が煩雑になるとういう問題がある。
【0006】
また、衝突安全性・車両の修理費低減の要求からバンパリィンホースメントの更なる衝突吸収性能向上が望まれていることにより、バンパリィンホースメントの側断面内の横壁を増やしたり肉厚を増加させたりして高荷重でバンパリィンホースメントを変形させ衝撃吸収性を向上させる対策を取ろうとすると、バンパリィンホースメントの質量が増加すると共にバンパリィンホースメントが変形しにくくなるので衝突時にバンパリィンホースメントを固定するサイドメンバ部から変形しないようサイドメンバも大幅に強度を上げなければならないという問題がある。
【0007】
そこで、例えば、特開平10−81182号公報に開示されているように、バンパリィンホースメントに別部品の衝撃吸収体を装着する対策も取られているが、別部品追加や装着する工程追加による大幅なコスト増加は避けられないという問題がある。
【0008】
それゆえ、本発明は、以上の事情を背景に為されたものであり、車両のデザインを損なうことなく限られたスペースで性能を発揮しうる形状にもかかわらず容易に成形でき、更に、サイドメンバが変形しない程度の低荷重変形領域にて多くの衝撃吸収が可能で、軽量で低コストなバンパリィンホースメントを提供することを、その技術的課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した技術的課題を解決するために講じた本発明の手段は、車両の前後に位置し、サイドメンバに固定されたバンパリィンホースメントにおいて、前記バンパリィンホースメントを中空の閉じた側断面形状を呈し、車幅方向に延在する軽合金材または鋼板で構成し、その車幅方向外側の一面に車幅方向外側へ向かって深さが徐々に深くなる凹部を設けることにより前記バンパリィンホースメントの側断面形状を車幅方向位置によって変化させたことである。
【0010】
上記した手段によれば、車両のデザインを損なうことなく限られたスペースで性能を発揮しうる形状にもかかわらず容易に成形できるバンパリィンホースメントを提供することができる。
【0011】
ここで、好ましくは、前記凹部の深さ・幅・形状を連続的に変化させることにより、前記側断面形状を車幅方向位置によって徐々に変化させることが望ましい。これにより、サイドメンバが変形しない荷重でかつ急激な荷重の上昇や低下がなく、要求される車両衝突時のエネルギー吸収量を効率よく得ることがきる。
【0012】
具体的には、前記凹部が、車幅方向外側かつ衝突側の面に形成されている。
【0013】
更に、本発明は、車両の前後に位置し、サイドメンバに固定されたバンパリィンホースメントおいて、該バンパリィンホースメントの前記サイドメンバ取り付け部付近の上面または下面の少なくとも一面に凹または凸形状のビードを前記バンパリィンホースメントの長手方向と交差する方向に設けた。これにより、バンパリィンホースメントの肉厚の増加等なしに剛性を向上させることができ、よりエネルギー吸収性に優れた荷重−変形量線図が得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従った実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態にかかるバンパリィンホースメント20をバンパ装置(車両)に搭載したときの模式図であり、図2(イ)はバンパリィンホースメント20を車両の両側に位置するサイドメンバ12に取り付けた状態の上面図、図2(ロ)はバンパリィンホースメント20の衝突面側から見た斜視図、図2(ハ)はボデー取り付け面側から見た斜視図である。
【0016】
図2に示すように、バンパリィンホースメント20は、サイドメンバ12が取り付けられる取り付け部22を有し、取り付け部22より車幅方向内側に位置するボデー側の面が湾曲した形状となっており、車幅方向中央部21の車両前後方向の幅W21が取り付け部22の幅W22より小さくなっている。その湾曲部における断面A−Aを示したのが図3である。
【0017】
図3において、バンパリィンホースメント20のボデー側の面には、断面内側に向かって深さCの凹部1が形成されている。この凹部1の底面2は、本実施形態では取り付け部22の車幅方向内端である図2のB点を起点に取り付け部22から離れていく方向、すなわち車幅方向内側に向かっての凹部1の深さCが徐々に深くなっていくように成形されている。
【0018】
尚、バンパリィンホースメント20の車幅方向中央部21における凹部1の底面2とバンパリィンホースメント20の衝突側の壁25とは、接触・非接触どちらでもよい。
【0019】
また、図2に示すように、バンパリィンホースメント20は、車幅方向外側(車幅方向両端側)に位置する衝突側の面が湾曲した形状となっており、車幅方向両端部の幅W23が取り付け部の幅W22より小さくなっている。その湾曲部における断面E−Eを示したのが図6である。
【0020】
図6において、バンパリィンホースメント20の衝突側の面には、断面内側に向かって深さGの凹部5が形成されている。この凹部5の底面6は、図2のF点を起点に車幅方向外側に向かって凹部5の深さGが徐々に深くなっていくように成形されている。
【0021】
尚、バンパリィンホースメント20の車幅方向両端部における凹部5の底面6とバンパリィンホースメント20のボデー側の壁9とは、接触・非接触どちらでもよい。また、本実施形態においては、図3、6に示すバンパリィンホースメント20は、中空の閉じた側断面形状を呈する。
【0022】
ここで、本実施形態においては、バンパリィンホースメント20は、幅が幅W22、高さが高さH24と同じ長さの略口型の一定の側断面形状を有するアルミニウム合金の押出成形材または鋼板のロール成形材を、プレス成型することにより成形される。
【0023】
即ち、押出成形材または鋼板のロール成形材の互いに対向する二面の一方の中央部にプレス成型により凹部1を設けると同時に該中央部の幅を小さくする。また、対向する二面の他方の両端部にプレス成型により凹部5を設けると同時に幅を小さくする。このように簡単なプレス成型によりバンパリィンホースメント20が容易に成形され得る。
【0024】
次に、上記した本実施形態において、車両衝突時の作用を説明する。
【0025】
図4は、図3における車両衝突時の変形モードを示す作用説明図である。図4において、荷重Fを受けると、最初にバンパリィンホースメント20の上下壁3、4が座屈変形する。
【0026】
実際の車両衝突による衝撃エネルギーの配分を考慮した場合、例えば、図5に示すようなオフセット衝突の場合、変形が進むにつれバンパリィンホースメント20には曲げ変形部Dができ、変形荷重が低下する。
【0027】
このとき、バンパリィンホースメント20のボデー側の面に凹部1があるのでボデー側の面の面剛性が高くなることにより曲げ変形が抑止され、変形荷重の低下が防止でき衝撃吸収性を向上させることができる。
【0028】
図7は、図6における車両衝突時の変形モードを示す作用説明図である。図7において、荷重Fを受けると、最初にバンパリィンホースメント20の上下壁7、8が座屈変形する。
【0029】
その後、衝突側の面に形成された凹部5の底面6がバンパリィンホースメント20のボデー側の面9に接触するまで上下壁7、8のみが変形し、凹部5の底面が6がボデー側の面9に接触した後は、凹部5の上下壁10、11も変形を開始する。
【0030】
このときの凹部5の深さGは、車幅方向で徐々に変化しているため、一度に座屈することなく、車幅方向外側から内側へ変形が徐々に伝搬していく。この結果、急激な荷重上昇や低下がない、安定した荷重−変形量曲線を得ることができる。
【0031】
図8は、本発明品と従来品の荷重−変形量線図を比較したものであり、それそれ荷重と変形量の積分値でエネルギー吸収量が表される。図8において、従来品は、例えば、図9に示すように側断面略日型で長手方向に延在し、その両端部が曲げ成形されているものであり、車両のデザイン・エンジン室内のスペースなどの制約から、本発明品のバンパリィンホースメント20と従来品のバンパリィンホースメント30のそれぞれの車幅方向中央部の幅W21と幅W31及び車両上下方向の高さH24と高さH34は同等の長さで比較したものである。
【0032】
従来品のバンパリィンホースメント30は、断面が一定で長手方向に延在している(つまりバンパリィンホースメント30の車幅方向中央部の幅W31とサイドメンバ12の取り付け部の幅W32が同等の長さとなっている)為、バンパリィンホースメント30全体の肉厚を増加したり中間壁を設けたりして、高荷重でバンパリィンホースメント30を変形させることにより必要なエネルギー吸収量を得ている。
【0033】
それに対して、本発明品のバンパリィンホースメント20は、サイドメンバ12の取り付け部22の幅W22が車幅方向中央部21の幅W21より大きい(略2倍となっている)為、変形量(ストローク)を長く得ることができることから従来品より低い荷重でバンパリィンホースメント20を変形させることができ、更に、凹部1、5を設けたことにから急激な荷重の上昇や低下がなく、効率よくエネルギー吸収量を得ることができる。
【0034】
上記した本第1実施形態におけるバンパリィンホースメント20は、限られたスペースに搭載可能であるにもかかわらず複雑な曲げ成形や煩雑な工程が必要でなく、更に、バンパリィンホースメント20の肉厚を増加したり別部品を追加したりすることなくサイドメンバ12が変形しない荷重で要求される車両衝突時のエネルギー吸収量を得ることができる。
【0035】
図10は、本発明の第2実施形態にかかるバンパリィンホースメント40を示し、図10(イ)はバンパリィンホースメント40をサイドメンバ12に取り付けた状態の上面図、図10(ロ)はバンパリィンホースメント40の衝突面側から見た斜視図、図10(ハ)はボデー取り付け面側から見た斜視図である。
【0036】
本第2実施形態は、上記した第1実施形態と同様の効果を得ることに加え、バンパリィンホースメント40のサイドメンバ12の取り付け部42付近の上下面の一方または両方に図10に示すような凹または凸形状のビード13を車幅方向と交差する方向に設けることにより、バンパリィンホースメント40の肉厚の増加等なしに剛性が向上し、図11に示すように更にエネルギー吸収性に優れた荷重−変形量線図が得られる。尚、ビード13の配設数や凹凸形状は図10(ニ)に限るものではない。
【0037】
以上、本発明を上記した実施の形態に沿って説明したが、本発明は上記態様にのみ限定されるものではなく、本発明の原理に準ずる各種態様を含むものである。
【0038】
例えば、図12は、本発明の変形例を示し、バンパリィンホースメント50は、車幅方向両端部は曲げ成形ではなく、バンパリィンホースメント50の上下面に凹部51、52を設けることによりバンパカバー内に収まるように成形されており、図12(イ)はバンパリィンホースメント50の上面図、図12(ロ)は図12(イ)の側面図である。凹部51、52の深さKは車幅方向外側へ向かって徐々に深くなるように成形されている。凹部の形状は図13に示す凹部61、62のようにしてもよく、図14のように凹部ではなく凸部71、72であってもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上の如く、本発明によれば、車両のデザインを損なうことなく限られたスペースで性能を発揮しうる形状にもかかわらず容易に成形でき、更に、サイドメンバが変形しない程度の低荷重変形領域にて多くの衝撃吸収が可能で、軽量で低コストなバンパリィンホースメントを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従ったバンパリィンホースメントをバンパ装置(車両)に搭載したときの断面斜視(模式)図である。
【図2】本発明の第1実施形態に従ったバンパリィンホースメント20を示し、図2(イ)はサイドメンバに取り付けた状態の上面図、図2(ロ)は衝突面側から見た車幅方向一端側の斜視図、図2(ハ)はボデー取り付け面側から見た車幅方向一端側の斜視図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図3における車両衝突時の変形モードを示す作用説明図である。
【図5】車両衝突時における本発明の第1実施形態に従ったバンパリィンホースメント20の変形例を示す上面図である。
【図6】図2のE−E断面図である。
【図7】図6における車両衝突時の変形モードを示す作用説明図である。
【図8】本発明品と従来品とを比較したバンパリィンホースメントの荷重−変形量線図である。
【図9】従来のバンパリィンホースメント30を示し、図9(イ)はサイドメンバに取り付けた状態の上面図、図9(ロ)は衝突面側から見た車幅方向一端側の斜視図、図9(ハ)はボデー取り付け面側から見た車幅方向一端側の斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態に従ったバンパリィンホースメント40を示し、図10(イ)はサイドメンバに取り付けた状態の上面図、図10(ロ)は衝突面側から見た車幅方向一端側の斜視図、図10(ハ)はボデー取り付け面側から見た車幅方向一端側の斜視図、図10(ニ)は図10(イ)のH−H断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態と第2実施形態とを比較したバンパリィンホースメントの荷重−変形量線図である。
【図12】本発明の変形例であるバンパリィンホースメント50を示し、図12(イ)は上面図、図12(ロ)は図12(イ)の側面図である。
【図13】本発明の別の変形例であるバンパリィンホースメント60の側面図である。
【図14】本発明の別の変形例であるバンパリィンホースメント70の側面図である。
【符号の説明】
1、5 凹部
2、6 凹部の底部
12 サイドメンバ
13 ビード
20、40 バンパリィンホースメント
C、G 凹部の深さ

Claims (5)

  1. 車両の前後に位置し、サイドメンバに固定されたバンパリィンホースメントにおいて、前記バンパリィンホースメントを中空の閉じた側断面形状を呈し、車幅方向に延在する軽合金材または鋼板で一部材により構成し、その車幅方向外側の一面に車幅方向外側へ向かって深さが徐々に深くなる凹部を設けることにより前記バンパリィンホースメントの側断面形状を車幅方向位置によって変化させたことを特徴とするバンパリィンホースメント。
  2. 前記凹部の深さ・幅・形状を連続的に変化させることにより、前記側断面形状を車幅方向位置によって徐々に変化させたことを特徴とする請求項1に記載のバンパリィンホースメント。
  3. 前記凹部が、車幅方向外側かつ衝突側の面に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のバンパリィンホースメント。
  4. 深さが徐々に深くなる凹部が、更に前記サイドメンバの取り付け部に対して車幅方向内側かつボデー側の面にも形成されていることを特徴とする請求項1〜3に記載のバンパリィンホースメント。
  5. 前記バンパリィンホースメントは、車幅方向中央部の車両前後方向の幅が前記サイドメンバが取り付けられる取り付け部の幅より小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載のバンパリィンホースメント。
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