JP3623337B2 - 変速機内の締結要素への作動流体路構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば幅を変更可能なプーリ対の間にベルトを巻回し、必要に応じて各プーリの幅を変更することで、当該プーリ対に巻回されたベルトの接触半径を変更して減速比を制御する無段変速機等の変速機にあって、例えば前進及び後退を切り換える締結要素を作動させる作動流体の流体路構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような従来の変速機内の締結要素への作動流体路構造としては、例えば米国特許第4722718号に記載されるものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の従来の変速機内の締結要素への作動流体路構造にあっては、クラッチドラムと呼ばれて、作動流体室の外側筒状部とそれに連続する底部とを形成する回転部材と、同じく作動流体室の内側筒状部を形成する支持部材とを、相対回転不能に連結し、当該回転部材の外側筒状部と締結要素のピストン部材との間及び支持部材からなる内側筒状部とピストン部材との間の夫々にシール部材を介装し、そのピストン部材と、回転部材の外側筒状部及び支持部材からなる内側筒状部及び両者を連結する底部との間に、液密な流体室を形成し、この流体室には、支持部材からなる内側筒状部に設けられた作動流体供給孔から,つまり軸の中心部から径方向外側に作動流体を供給する。しかしながら、この従来構造では、流体室へ作動流体を供給する作動流体供給孔が、ピストン部材の摺動する支持部材に設けられているため、ピストン部材及び支持部材間をシールするためのシール部材は、少なくともこの作動流体孔よりも、前記回転部材の底部から離間した位置に配設しなければならないから、その分だけ軸線方向の長さが長くなるという問題がある。
【0004】
本発明は、前記諸問題を解決すべく開発されたものであり、軸線方向の長さを短くすることを可能とすると共に、例えば前記支持部材から径方向に延設された壁状部材が、前述したプーリの可動シーブの流体室の隔壁をなすとき、当該隔壁としての壁状部材の強度を向上することのできる変速機内の締結要素への作動流体路構造を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係る変速機内の締結要素への作動流体路構造は、対をなすプーリの幅を変更することで両者間に巻回されているベルトの接触半径を変更して減速比を制御する無段変速機内に設けられて、軸線方向への押圧によって回転力を伝達する締結要素のピストン部材に作動流体を供給するための作動流体路構造であって、前記締結要素が配設された外側筒状部及びこの外側筒状部と平行に配設された内側筒状部及び前記外側筒状部と内側筒状部とを、前記ピストン部材の押圧方向手前側に相当する軸線方向の一端側で連結する底部からなる回転部材と、この回転部材と相対回転なく回転されるように当該回転部材の底部に対して前記ピストン部材の押圧方向手前側に配設され且つ少なくとも外周部分が前記回転部材の底部に緊密に接合される壁状部材と、前記壁状部材の内周部分と回転部材の底部との間に、軸線方向に隙間を開けて形成された導入流体路と、前記底部のうちの導入流体路からピストン部材側に貫通された作動流体供給孔とを備え、前記壁状部材は、前記無段変速機の何れか一方のプーリの可動シーブに作動流体を供給する流体室の隔壁をなし、前記締結要素のピストン部材は、前記壁状部材を挟んで前記何れか一方のプーリの可動シーブと反対側に配設されたことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明のうち請求項2に係る変速機内の締結要素への作動流体路構造は、前記導入流体路は、前記ピストン部材の押圧方向手前側に前記壁状部材を折り曲げて形成されたことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここでは、前置きエンジン前輪駆動車両のVベルト式自動無段変速装置に展開された本発明の一実施形態について説明する。図1は、この実施形態の入力側プーリ及び前進用クラッチ及び後退用ブレーキ等の締結要素の詳細を示すものであり、ここに記載されない出力側プーリや、全体の流体圧制御回路、或いはその流体圧制御や変速比制御を司るコントロールユニットの構成並びに作用については、特開平2−195069号公報を参照されるものとして、その詳細な説明を省略する。
【0008】
この図1における符号1は、図示されないトルクコンバータを介してエンジンに接続される入力軸であり、その図示左方端部には、後述するベアリングに突き当てて位置決めするためのフランジ部70が形成されている。そして、このフランジ部70より図示右方に、入力側プーリ2の固定シーブ3が被嵌されている。この固定シーブ3は、所謂円錐部22の中央部に、軸線方向,特に図示左方に向けて円筒部23が延設されており、この円筒部23の外周に、当該固定シーブ3と対向して入力側プーリ2を構成する可動シーブ4が摺動可能に被嵌されている。そして、前記入力軸1のフランジ部70より左方部位と、前記固定シーブ3の円筒部23の右方端部とが夫々ベアリング24で回転可能に支持されている。これにより、入力軸1,固定シーブ3,可動シーブ4は互いに同軸に回転可能であるが、このままでは互いの回転状態を規制し合うことはない。なお、前記可動シーブ4も、円錐部25の中央部に、軸線方向,特に図示左方に向けて円筒部26が延設されており、その外周から内周に向けて流体孔27が形成されている。また、この可動シーブ4の円筒部26の内周と、前記固定シーブ3の円筒部23の外周との間に形成される隙間が、後述するライン圧の導入流体路28になる。更に、前記固定シーブ3の円筒部23の左端部に該当する内周と、入力軸1の外周との間には、シール部材29によって画成されたクラッチ圧の導入流体路30が形成されている。そして、前記固定シーブ3の円筒部23のうち、前記ライン圧の導入流体路28及びクラッチ圧の導入流体路30に相当する部位には、夫々内周から外周に貫通する流体孔31,32が穿設されている。また、前記可動シーブ4の円錐部25の外周には、図示左方に向けてライン圧流体室5を構成するための円筒状の外周部材33が固定されている。
【0009】
また、前記入力軸1の左端には、複数の作動流体路を形成するために左端から大径部34,中径部35,小径部36の順で段付き孔37が形成され、その左端大径部34及び中径部35には、内孔38を有し且つ各作動流体路を分割するためのプラグ39が緊密に嵌入されている。このプラグ39によれば、前記段付き孔37の大径部34と中径部35とは連通状態が維持されるが、中径部35と小径部36とは隔絶され、また大径部34の図示左方端部も閉塞される。なお、図中の符号44は大径部34の左方端部を液密状態に閉塞するためのシール部材である。また、前記入力軸1の段付き孔37の大径部34の外周には、後述する前進用クラッチ(締結要素)への作動流体圧であるクラッチ圧を受ける外周溝40が形成され、その一部から前記段付き孔37の大径部34に向けてクラッチ圧入力ポート41が穿設されている。なお、前記外周溝40の両側の符号42はシール部材である。また、前記入力軸1の段付き孔37の中径部35の外周からは当該中径部35に向けてクラッチ圧出力ポート43が穿設されている。更に、前記入力軸1の段付き孔37の小径部36の外周には、プーリ2の可動側シーブ4への作動流体圧であるライン圧を受ける外周溝45が形成され、その一部から当該段付き孔37の小径部36に向けてライン圧出力ポート46が穿設されている。なお、前記外周溝45の両側の符号47はシール部材である。ちなみに、この入力軸1の左方端面とハウジングカバー5との間には、前記公報に記載されるように制御されたライン圧を供給するためのライン圧供給流体路48が形成されている。
【0010】
一方、前記固定シーブ4の円筒部26の左端部にはスプライン60が形成され、このスプライン60に、支持部材6のスプライン61が嵌合されて、両者が固定されている。この支持部材6は複雑な構造をしており、前記スプライン61が形成されている部分は小径の円筒部62であり、その外周に、後述する遊星歯車機構7のサンギヤ63が形成されている。そして、このサンギヤ63付きの小径円筒部62の図示右方には、肉厚で大径の円筒部64が形成され、その右端部には、径方向に拡がる円板状の壁状部材8が、溶接固定されている。この壁状部材8は、その内周側端部が、一旦、右方,即ち前記可動シーブ4側の軸線方向に折り曲げられ、更に径方向内側に折り曲げられて、所謂塑性変形による残留応力で強度が高められていると共に、後述するドラムと呼ばれる回転部材9との間に隙間を形成する。また、この壁状部材8の外周端部は、右方,即ち前記可動シーブ4側の軸線方向に折り曲げられ、その折り曲げられた外周端部がシール部材65を介して、前記円筒状の外周部材33に接合されている。これにより、前記可動シーブ4の図示左方端面、外周部材33の内周面、壁状部材8の図示右方端面、及び可動シーブ4の円筒部26の外周面とで前記ライン圧流体室10が形成され、従って前記壁状部材8は当該ライン圧流体室10の隔壁をなす。
【0011】
ちなみに、このライン圧流体室10に供給される作動流体のライン圧は極めて高圧であり、可動シーブ4の左方端面はこのライン圧を受圧する十分な受圧面積が確保されている。同時に、この高圧のライン圧が前記壁状部材8と外周部材33との間からリークしても、十分な流体量が確保されるように、前記ライン圧流体室10は大きな容積に設定してある。また、可動シーブ4はこのライン圧を受圧しても、或いは前記公報に記載されるようにステップモータで摺動しても、軸線方向に倒れたりしないように、前記円筒部26には十分な軸線方向長さが確保されている。従って、可動シーブ4が最も左方にあるとき(図示下半部)でも、この円筒部26が前記支持部材6の大径円筒部64に当接してしまうため、ライン圧流体室10には或る程度の容積が確保されている。つまり、前記隔壁部材8と可動シーブ4とは十分に離間しているから、前述のように隔壁部材8を可動シーブ4側の軸線方向に折り曲げることによって軸線方向長さが長くなることはない。また、前記支持部材6の大径円筒部64には、前記固定シーブ3の円筒部23に形成された流体孔32と同じ位置に、流体孔66が穿設されている。
【0012】
また、前記支持部材6の大径円筒部64の外周には、断面がコ字状の回転体からなるドラムと呼ばれる回転部材9が固定されている。この回転部材9は、その内部に前進用クラッチピストン11を収納するピストン収納部を構成するためのものでもあり、その内部に前輪用クラッチピストン11がシール部材12を介して収納されているのであるが、同時に種々の構成要素を兼ねている。この回転部材9の形状を更に詳細に説明すれば、その内側円筒部13の図示左方端部は内側に折り曲げられて前記支持部材6の大径円筒部64の左方端部に固定されている。そして、この内側円筒部13のうち、前記支持部材6の大径円筒部64に形成されている流体孔66の部位から図示右方部分が僅かに拡径されている。一方、この回転部材9の外側円筒部14の右方端部もやや拡径されており、その拡径部の内側に、前進用クラッチを構成するドライブ及びドリブン・プレートやリテーナ等のクラッチ構成部材16が、後述する遊星歯車機構7のキャリア68との間に摺動可能に配設されている。そして、前記内側円筒部13の図示右方端部と外側円筒部14の図示右方端部とを連結する底部15は、径方向に拡がる円板状であり、少なくともその外周端部の図示右方端面は前記壁状部材8の外周端部の左方端面に緊密に接合されているが、その内周端部側は、前記壁状部材8の折り曲げ部17によって、当該壁状部材8との間に隙間ができ、この隙間がクラッチ圧導入流体路18を構成する。そして、この底部15のうち、前記クラッチ圧導入流体路18の部位には、クラッチ圧をピストン11に供給するためのクラッチ圧供給孔19が穿設されている。
【0013】
前記前進用クラッチピストン11の形状について、説明を付加すると、前記回転部材9の内側円筒部13に接触するシール部材12も、外側円筒部14に接触するシール部材12も、共に前記底部15に近い部位に配設されていて、そのためにピストン11本体の軸線方向寸法は短い。そして、その外周端部から、前記クラッチ構成部材16を押圧する押圧部69が図示左方に突設される形状となっている。なお、図中の符号20は前記前輪用クラッチピストン11を常時右方に付勢する円環状のリターンスプリングであり、当該リターンスプリング20の内周部はスナップリング等21で、当該回転部材9の内側円筒部13に支持されている。ちなみに、ピストン11本体の軸線方向寸法を短くしたおかげで、これらリターンスプリング20やスナップリング21の配設位置も、前記回転部材9の底部15に比較的近い位置とすることができ、全体として回転部材9そのものの軸線方向寸法を短くすることができている。
【0014】
一方、前記入力軸1のフランジ部70の右方には、遊星歯車機構7の第1キャリアプレート67a,第2キャリアプレート67bからなるキャリア67が取付けられ、このキャリアプレート67aから図示右方に突設された複数の回転軸69の夫々に、同一形状ではあるが、二種類のピニオン71,72が回転自在に取付けられている。この第2キャリア、ウレート67bから更に図示右方に突設された円筒部73と前記回転部材9の外側円筒部14との間に、前記前進用クラッチ構成部材16が介装されているのである。そして、これらのピニオン71,72の外側にリングギヤ74が配設されており、このリングギヤ74の外周とハウジング6との間に、前記後退用ブレーキのブレーキ構成要素75であるドライブ及びドリブンプレートやリテーナ等が介装されている。ちなみに、前記リングギヤ74の左方端部には、径方向内側に向けて円板状の位置決めプレート76が突設されており、前記支持部材6の大径円筒部64と第2キャリアプレート67bとの間、第2キャリアプレート67bとリングギヤ74のプレート76との間、及び当該位置決めプレート76と前記後退用ブレーキピストンブロック50との間の夫々に、ベアリング77を介装して、プラネタリギヤ71,72及びリングギヤ74の軸線方向への位置決めを行っている。
【0015】
ところで、前記二種類のプラネタリギヤのうち、一方の種類のプラネタリギヤ71はサンギヤ63には噛合しているが、リングギヤ74には噛合していない(図示上半部)。また、他方の種類のプラネタリギヤ72はリングギヤ74には噛合しているが、サンギヤ63には噛合していない(図示下半部)。但し、二種類のプラネタリギヤ71,72は互いに噛合している。従って、前記前進用クラッチピストン11が図示左動してクラッチ構成要素16が押圧されると、キャリア67とサンギヤ63,即ち入力軸1と固定シーブ3とが連結され、他方、リングギヤ74とはフリーな状態であるから、入力軸1と固定シーブ3,即ち入力側プーリ2とは等速で回転する。一方、前記後退用ブレーキピストン52が図示右動してブレーキ構成要素75が押圧されると、リングギヤ74がハウジング6に固定されると共に前進用クラッチピストン11が開放される。このため、リングギヤ74に噛合している前記他方のピニオン72は、キャリア67,即ち入力軸1の回転(公転)方向と逆方向に回転し、これに噛合する前記一方のピニオン71は他方のプラネタリギヤ72と逆方向に回転し、つまりこの一方のピニオン71が入力軸1の回転方向と同方向に回転しているから、これに噛合するサンギヤ63,即ち固定シーブ3は更に逆方向に回転し、入力側プーリ2は入力軸1と逆方向に回転して後退用の回転力が得られる。
【0016】
ところで、前述した作動流体のライン圧やクラッチ圧やブレーキ圧、及びプーリの溝幅,つまり変速比は、前述した公報に記載されるコントローラによって制御される。そして、本実施形態では、前記ライン圧は、ハウジングカバー5の供給路48からプラグ39の内孔38,入力軸1の段付き孔37の小径部36,同じく入力軸1のライン圧出力ポート46,固定シーブ3の円筒部23の流体孔31,固定シーブ3と可動シーブ4との間の導入流体路28,可動シーブ4の流体孔27の順に通ってライン圧流体室10に供給される。また、後退用ブレーキ圧は、前記後退用ブレーキピストンブロック50の供給路55から直接,ブレーキ圧流体室54に供給される。
【0017】
一方、前進用クラッチ圧は、前記後退用ブレーキピストンブロック50の供給路56から入力軸1のクラッチ圧入力ポート41,入力軸1の段付き孔37のうちの大径部34及び中径部35とプラグ39と間の隙間,入力軸1のクラッチ圧出力ポート43,入力軸1と固定シーブ3の円筒部22との間の導入流体路30,支持部材6の大径円筒部64の流体孔66,回転部材9の内側円筒部13と当該支持部材6の大径円筒部64との間の流路,同じく回転部材9の底部15と壁状部材8との間の導入流体路18,当該回転部材9の底部15のクラッチ圧供給孔19の順に通ってクラッチ圧流体室Cに供給される。このようにしてクラッチ圧を供給する本実施形態では、従来に比して、ピストン11のシール位置を回転部材9の底部15に近づけることを可能としてピストン11自体の軸線方向長さを短くし、もって回転部材9の軸線方向長さを短くして全体の軸線方向長さを短くすることができる。また、本実施形態では、可動シーブ4と壁状部材8とが十分に離間しているため、前述のように壁状部材8を可動シーブ4側に折り曲げても何ら支障はない。
【0018】
なお、上記実施形態では、締結要素がクラッチである場合についてのみ詳述したが、本発明は、流体圧によってピストン部材を押圧する如何なる締結要素にも展開可能である。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち請求項1に係る変速機内の締結要素への作動流体路構造によれば、作動流体は壁状部材の内周部分と回転部材の底部との間の導入流体路から、当該回転部材の底部に形成された作動流体供給孔を通ってピストン部材側の流体室に供給されるので、従来のようにピストン部材のシール部材を回転部材の底部から離間した位置に配置させる必要がなく、その分だけ軸線方向への長さを短くすることができる。また、ピストン部材の内側摺動部と外側摺動部とが同一の部材に沿って摺動し、しかも前記壁状部材と回転部材とは底部にて接合されているので、ピストン部材の摺動部の精度を容易に高めることができる。また、壁状部材は前記回転部材の底部に緊密に接合されているので、前記プーリの可動シーブ側流体室の高い流体圧を受ける隔壁としての当該壁状部材の強度を高めることができる。
【0021】
また、本発明のうち請求項2に係る変速機内の締結要素への作動流体路構造によれば、前記請求項1に係る発明の効果に加えて、前記Vベルトが巻回されたプーリの可動シーブは、自身の倒れを抑制防止するために、その内径部分の軸線方向寸法が十分に長く設定してあるため、その半径方向外側で、前記導入流体路を形成するために、前記壁状部材を前記ピストン部材の押圧方向手前側,即ちプーリの可動シーブ側に折り曲げても、その折り曲げ代が軸線方向長さを長くするという弊害は発生しない。また、これに合わせてプーリの可動シーブ側流体室の隔壁である壁状部材を折り曲げることにより、当該壁状部材には、塑性変形に伴う残留応力が付与され、これにより特にプーリの可動シーブ側流体室の高い流体圧を受ける隔壁としての当該壁状部材の強度を高めることができる。また、この壁状部材の外周部分は前記回転部材の底部に緊密に接合されているので、前記プーリの可動シーブ側流体室の高い流体圧を受ける隔壁としての当該壁状部材の強度を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の変速機内の締結要素への作動流体路構造の一実施形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1は入力軸
2はプーリ
3は固定シーブ
4は可動シーブ
5はハウジング
6は支持部材
7は遊星歯車機構
8は壁状部材
9は回転部材
10はライン圧流体室
11はピストン
12はシール部材
13は内側円筒部
14は外側円筒部
15は底部
16はクラッチ構成要素
17は折り曲げ部
18は導入流体路
19は供給孔
Claims (2)
- 対をなすプーリの幅を変更することで両者間に巻回されているベルトの接触半径を変更して減速比を制御する無段変速機内に設けられて、軸線方向への押圧によって回転力を伝達する締結要素のピストン部材に作動流体を供給するための作動流体路構造であって、前記締結要素が配設された外側筒状部及びこの外側筒状部と平行に配設された内側筒状部及び前記外側筒状部と内側筒状部とを、前記ピストン部材の押圧方向手前側に相当する軸線方向の一端側で連結する底部からなる回転部材と、この回転部材と相対回転なく回転されるように当該回転部材の底部に対して前記ピストン部材の押圧方向手前側に配設され且つ少なくとも外周部分が前記回転部材の底部に緊密に接合される壁状部材と、前記壁状部材の内周部分と回転部材の底部との間に、軸線方向に隙間を開けて形成された導入流体路と、前記底部のうちの導入流体路からピストン部材側に貫通された作動流体供給孔とを備え、前記壁状部材は、前記無段変速機の何れか一方のプーリの可動シーブに作動流体を供給する流体室の隔壁をなし、前記締結要素のピストン部材は、前記壁状部材を挟んで前記何れか一方のプーリの可動シーブと反対側に配設されたことを特徴とする変速機内の締結要素への作動流体路構造。
- 前記導入流体路は、前記ピストン部材の押圧方向手前側に前記壁状部材を折り曲げて形成されたことを特徴とする請求項1に記載の変速機内の締結要素への作動流体路構造。
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