JP3622641B2 - 車間制御装置、車間警報装置及び記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自車を先行車に追従させて走行させるための車間制御に係る技術、車間が所定の安全車間よりも短くなった場合の車両運転者に対する警報処理に係る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の走行安全性を向上させると共に、運転者の操作負担を軽減するための技術として、自車を先行車に自動的に追従させる車間制御装置が知られている。その追従のさせ方としては、自車と先行車との実車間距離と予め設定された目標車間距離との偏差及び相対速度に基づいて加減速制御指令値を算出する方法が知られている。このような車間制御においては、車間距離の検知結果が異常なときに誤って加減速制御してしまうことが問題となっており、この誤った加減速制御を行う局面としては次の2つの状況が考えられる。
【0003】
1つ目の状況としては、制御対象の先行車を例えば路側物などと誤ってしまう場合であり、当然ながら運転者の期待する動作と異なる。2つ目の状況としては、制御対象の先行車は誤らないが、測距誤差が発生した場合である。例えばレーザレーダを前方認識用のセンサとして使用する場合には、車間距離の時間的変化より相対速度を算出するため、車間距離の検知結果が1mばらついただけでも算出される相対速度が異常となり、誤った加減速制御をしてしまうこととなる。
【0004】
本発明は後者の状況における問題を解決することを目的としているが、次に示すような前者の問題を解決するための手法をそのまま適用しただけでは十分な解決はできない。例えば特開昭60−154921号には、カーブにおいて先行車ではなく路側物を検出して減速制御してしまうことを防ぐため、車間距離の変化が所定値に達した場合には距離急変信号を出力し、その距離急変信号が出力されたときのステアリング操舵角に応じた車速保持時間だけ車速を保持する方法が開示されている。しかしこの方法では、車速を保持している間に先行車が接近してきた場合であっても減速制御しないため、危険な状況に陥る可能性がある。また、特開昭59−196548号には、検出距離の変化量が所定値を超えたことを検出してから所定時間は異常信号を出力し、この異常信号が出力されたときには加減速制御を作動停止させる方法が開示されている。しかしこの方法では、車間制御自体がキャンセルされてしまうため、利便性が損なわれてしまう。
【0005】
一方、後者の状況における問題を解決する方法としては特開平5−107076号に開示されるものが挙げられる。これは、ノイズの混入した距離データによって誤った相対速度が算出されることを防止するため、短い演算周期(具体的には64ms)と長い演算周期(具体的には500ms)で相対速度を演算し、これらを組み合わせて応答性と精度を両立させるようとする方法である。短い演算周期にて得た相対速度には上下限ガードを設けてノイズの影響を軽減し、長い演算周期にて得た相対速度にはガードを設けず、ガードによる誤差の蓄積を防ぐようにしている。この方法であれば、車間制御自体がキャンセルしてしまうわけではないので、上述した前者の問題を解決するための手法をそのまま適用した場合のように利便性が損なわれてしまうということはない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法においては、短い演算周期にて得た相対速度は上下限ガードの範囲内ではやはりノイズの影響を受けてしまっている。さらに、常に長い演算周期にて得た相対速度を併用するため、常に応答性が犠牲になってしまっている。つまり、実際にはノイズの影響がない場合であっても長い演算周期にて得た相対速度を用いることとなるため、その場合には応答性を犠牲にしていることとなる。
【0007】
また、これまでは車間制御についての問題点を挙げたが、実車間距離が所定の警報距離よりも短くなった場合に警報音などを鳴らして車両運転者に注意を喚起する際にも同様の問題が生じる。
そこで、本発明は、測距誤差による相対速度への影響抑制と応答性確保を両立して適切な車間制御を実現し、運転フィーリングを向上させることを第1の目的とする。
【0008】
また、測距誤差による相対速度への影響抑制と応答性確保を両立して適切な車間警報を実現し、運転フィーリングを向上させることを第2の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するためになされた請求項1に記載の車間制御装置は、車間偏差、及び自車と先行車との相対速度に基づいて車間制御量を算出し、その算出された車間制御量に基づき加速手段及び減速手段を駆動制御することによって、自車を先行車に追従させて走行させる車間制御を実行することを前提とするが、車間制御量の算出に用いる相対速度に関して、次のような工夫を行う。つまり、異常な距離変化があった場合には、相対的になましの大きなフィルタ処理を施し、一方、異常な距離変化がない場合には相対的になましの小さなフィルタ処理を施し、そのフィルタ処理を施した相対速度を用いて車間制御量を算出するのである。
【0010】
なまし大のフィルタ処理を施すことによって相対速度の十分な平滑化がされる。特に、「距離変化異常であると判定される前の値」に重みを置いたフィルタ処理が施されるため、異常な相対速度による影響によって不適切な車間制御が実行されてしまうことを抑制できる。一方、異常な距離変化がない場合にはなましの小さなフィルタ処理を施した相対速度を用いて車間制御量を算出するため、応答性を確保することができる。つまり、相対速度の信頼度が低い時のノイズの影響を抑えつつ、通常時は応答性を確保することができることとなり、全体として測距誤差による相対速度への影響抑制と応答性確保を両立した適切な車間制御を実現でき、運転フィーリングを向上させることができる。
【0011】
なお、距離変化異常の判定に際しては、先行車との距離に関して、物体認識手段における1制御周期あたりの当該距離の変化が所定のしきい値を越えた場合に、異常な距離変化があったと判定している。このような距離変化異常が生じる状況例を説明する。例えば、全長が長いトラックなどの場合に、荷台の後にある車両最後部(仮にA部と称す)と荷台の前にある運転席部分の後部(仮にB部と称す)とでは数m以上の間隔がある。その場合、A部に続いてB部を検出したり、逆にB部に続いてA部を検出することが考えられるが、その場合には、上述のように異常な相対速度が出力されるおそれがある。また、これ以外にも、A部がドアミラーの場合にも同様の状況が生じる可能性がある。さらには、先行車のリフレクタが汚れているなどの理由で認識がし難い状況になった場合には測距精度が低下し、上述のような同じ車両の別々の部分を検出したという特殊な事情が無くても、同様に距離変化の異常が生じる場合がある。したがって、このような状況による悪影響を排除するために本発明は有効である。
【0012】
なお、「車間物理量」と表現したのは、車間距離そのものではなく、例えば車間距離を自車の車速で除算した値(以下「車間時間」と称す)を用いても同様に実現でき、また、実際には、レーザ光あるいは送信波などを先行車に対して照射し、その反射光あるいは反射波の受けるまでの時間を検出して車間距離を算出しているため、その検出された時間そのものを用い、実時間と目標時間にて同様の制御を実行してもよいからである。つまり、車間距離に相当する物理量であれば実現可能なため、これらを含めて「車間物理量」と表した。また、「車間制御量」の一具体例としては目標加速度が挙げられるが、それ以外にも加速度偏差(目標加速度−実加速度)や目標車速、目標トルク、あるいは目標相対速度としてもよい。
【0013】
そして、距離変化異常判定手段による判定のために用いられるしきい値としては、少なくとも前回制御周期における相対速度に基づいて設定する。上述した具体例では、A部に続いてB部を検出したり、逆にB部に続いてA部を検出する場合に異常な相対速度が出力されることを述べたが、このような距離変化を異常であると判定するには、少なくとも前回制御周期における相対速度に基づくことが好ましいと考えられるからである。そしてさらに、本発明装置においては、この前回制御周期における制御にて用いた相対速度に加え、車間制御装置が使用される通常の交通環境にて発生し得る可能性のある最大及び最小の相対加速度に基づいてしきい値を設定している。つまり、前回の相対速度で移動している場合、制御周期の間にどの程度距離が変化するかという観点からしきい値を設定することが好ましいが、そのために前回制御周期における相対速度や、車間制御装置が使用される通常の交通環境にて発生し得る最大及び最少の相対加速度を用いるのである。
【0014】
また、距離変化異常判定手段による判定のために用いられるしきい値は、物体認識手段の距離算出精度に基づいて設定することが好ましい(請求項2)。距離算出精度が相対的に高ければ、この判定用のしきい値をよりシビアに設定することで、より応答性を向上させることができるからである。
【0015】
一方、なましの大きなフィルタ処理を施す時間については、物体認識手段が相対速度を算出するために使用する距離データを取得するのに必要な時間に対応する時間とすることが好ましい(請求項3)。例えば、相対速度の計算に際して過去n回分の距離データを用いることを前提とするならば、そのn回分の制御周期に応じた時間を所定時間とする。これは、相対速度計算に用いる距離データ中に1つでも「異常なデータ」が含まれていると思われる期間を経過させるために設定した時間となる。
【0016】
また、上記第2の目的を達成する車間警報装置としては、請求項4〜6に挙げたものが考えられる。請求項1〜3においては、車間制御装置において測距誤差による相対速度への影響抑制と応答性確保を両立した適切な車間制御を実現したが、請求項4〜6では、適用対象を車間制御から車間警報に変更した。異常な距離変化があった場合には相対速度に対して相対的になましの大きなフィルタ処理を施し、異常な距離変化がない場合には相対的になましの小さなフィルタ処理を施す点は同じである。そのフィルタ処理を施した相対速度を用いて警報物理量を算出する点が異なるのみである。結果として、測距誤差による相対速度への影響抑制と応答性確保を両立した適切な車間警報を実現できることとなる。距離変化異常判定手段による判定のために用いられるしきい値に関する工夫や、なましの大きなフィルタ処理を施す時間に関する工夫は車間制御装置の場合と同様である。また、警報物理量は、上述した実車間物理量に応じて、時間の単位でもよいし、距離の単位でもよい。つまり、実車間物理量と比較するため、同じ概念の物理量とする。
【0017】
なお、請求項7あるいは請求項8に示すように、車間制御装置の物体認識手段、先行車選択手段、車間制御手段及び距離変化異常判定手段をコンピュータシステムにて実現する機能、あるいは車間警報装置の物体認識手段、先行車選択手段、警報手段及び距離変化異常判定手段をコンピュータシステムにて実現する機能は、例えば、コンピュータシステム側で起動するプログラムとして備えることができる。このようなプログラムの場合、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができる。この他、ROMやバックアップRAMをコンピュータ読み取り可能な記録媒体として前記プログラムを記録しておき、このROMあるいはバックアップRAMをコンピュータシステムに組み込んで用いても良い。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、上述した発明が適用された車間制御用電子制御装置2(以下、「車間制御ECU」と称す。)およびブレーキ電子制御装置4(以下、「ブレーキECU」と称す。)を中心に示す自動車に搭載されている各種制御回路の概略構成を表すブロック図である。
【0019】
車間制御ECU2は、マイクロコンピュータを中心として構成されている電子回路であり、現車速(Vn)信号、操舵角(str−eng ,S0)信号、ヨーレート信号、目標車間時間信号、ワイパスイッチ情報、アイドル制御やブレーキ制御などの制御状態信号等をエンジン電子制御装置6(以下、「エンジンECU」と称す。)から受信する。そして、車間制御ECU2は、この受信したデータに基づいて、車間制御演算や車間警報演算をしている。
【0020】
レーザレーダセンサ3は、レーザによるスキャニング測距器とマイクロコンピュータとを中心として構成されている電子回路であり、スキャニング測距器にて検出した先行車の角度や距離等、および車間制御ECU2から受信する現車速(Vn)信号、カーブ曲率半径(推定R)等に基づいて、車間制御装置の一部の機能として先行車の自車線確率を演算し、相対速度等の情報も含めた先行車情報として車間制御ECU2に送信する。また、レーザレーダセンサ3自身のダイアグノーシス信号も車間制御ECU2に送信する。
【0021】
なお、前記スキャニング測距器は、車幅方向の所定角度範囲に送信波あるいはレーザ光をスキャン照射し、物体からの反射波あるいは反射光に基づいて、自車と前方物体との距離をスキャン角度に対応して検出可能な測距手段として機能している。
【0022】
さらに、車間制御ECU2は、このようにレーザレーダセンサ3から受信した先行車情報に含まれる自車線確率等に基づいて、車間距離制御すべき先行車を決定し、先行車との車間距離を適切に調節するための制御指令値として、エンジンECU6に、目標加速度信号、フューエルカット要求信号、ODカット要求信号、3速シフトダウン要求信号、ブレーキ要求信号を送信している。また警報発生の判定をして警報吹鳴要求信号を送信したり、あるいは警報吹鳴解除要求信号を送信したりする。さらに、ダイアグノーシス信号、表示データ信号等を送信している。
【0023】
ブレーキECU4は、マイクロコンピュータを中心として構成されている電子回路であり、車両の操舵角を検出する操舵角検出手段としてのステアリングセンサ8、車両旋回検出手段としてヨーレートを検出するヨーレートセンサ10、および各車輪の速度を検出する車輪速センサ12から操舵角やヨーレートを求めて、これらのデータをエンジンECU6を介して車間制御ECU2に送信したり、ブレーキ力を制御するためにブレーキ油圧回路に備えられた増圧制御弁・減圧制御弁の開閉をデューティ制御するブレーキアクチュエータ25を制御している。またブレーキECU4は、エンジンECU6を介する車間制御ECU2からの警報要求信号に応じて警報ブザー14を鳴動する。
【0024】
エンジンECU6は、マイクロコンピュータを中心として構成されている電子回路であり、スロットル開度センサ15、車両速度を検出する車速検出手段としての車速センサ16、ブレーキの踏み込み有無を検出するブレーキスイッチ18、クルーズコントロールスイッチ20、クルーズメインスイッチ22、及びその他のセンサやスイッチ類からの検出信号あるいはボデーLAN28を介して受信するワイパースイッチ情報やテールスイッチ情報を受信し、さらに、ブレーキECU4からの操舵角(str−eng,S0 )信号やヨーレート信号、あるいは車間制御ECU2からの目標加速度信号、フューエルカット要求信号、ODカット要求信号、3速シフトダウン要求信号、ブレーキ要求信号、警報要求信号、ダイアグノーシス信号、表示データ信号等を受信している。
【0025】
そして、エンジンECU6は、この受信した信号から判断する運転状態に応じて、駆動手段としての内燃機関(ここでは、ガソリンエンジン)のスロットル開度を調整するスロットルアクチュエータ24、トランスミッション26のアクチュエータ駆動段に対して駆動命令を出力している。これらのアクチュエータにより、内燃機関の出力、ブレーキ力あるいは変速シフトを制御することが可能となっている。なお、本実施形態の場合のトランスミッション26は5速オートマチックトランスミッションであり、4速の減速比が「1」に設定され、5速の減速比が4速よりも小さな値(例えば、0.7)に設定された、いわゆる、4速+オーバードライブ(OD)構成になっている。したがって、上述したODカット要求信号が出された場合、トランスミッション26が5速(すなわち、オーバードライブのシフト位置)にシフトしていた場合には4速へシフトダウンする。また、シフトダウン要求信号が出された場合には、トランスミッション26が4速にシフトしていた場合には3速へシフトダウンする。その結果、これらのシフトダウンによって大きなエンジンブレーキが生じ、そのエンジンブレーキにより自車の減速が行われることとなる。
【0026】
また、エンジンECU6は、必要な表示情報を、ボデーLAN28を介して、ダッシュボードに備えられているLCD等の表示装置(図示していない。)に送信して表示させたり、あるいは現車速(Vn)信号、操舵角(str−eng,S0 )信号、ヨーレート信号、目標車間時間信号、ワイパスイッチ情報信号、アイドル制御やブレーキ制御の制御状態信号を、車間制御ECU2に送信している。
【0027】
図2は、車間制御ECU2が実行するメイン処理を示すフローチャートであり、最初のステップS100においてはレーザレーダセンサ3から先行車に関するデータなどのレーザレーダデータを受信する。
続くS200ではエンジンECU6から現車速(Vn)や目標車間時間などのエンジンECUデータを受信する。
【0028】
これらの受信データに基づき、先行車選択(S300)、目標加速度演算(S400)、減速要求判定(S900)及び警報発生判定(S1000)の各処理を実行する。これらの各処理の詳細は後述する。その後、推定Rの演算を行い(S1100)、レーザレーダセンサ3側へは、現車速(Vn)や推定Rなどのデータを送信し(S1200)、エンジンECU6へは、目標加速度やフューエルカット要求、ODカット要求、3速シフトダウン要求、ブレーキ要求、警報要求などのデータを送信する(S1300)。
【0029】
以上はメイン処理全体についての説明であったので、続いて、S300,S400,S900及びS1000に示した各処理の詳細について順番に説明する。まず、S300での先行車選択サブルーチンについて図3のフローチャートを参照して説明する。
【0030】
最初のステップS310においては、先行車候補群を抽出する。この処理は、レーザレーダセンサ3より受信した全ての物標データについて、自車線確率が所定値よりも大きいものを抽出する処理である。ここで、自車線確率とは、各物標が自車両の推定進行路上に存在する確率であり、レーザレーダセンサ3内にて演算処理され、車間制御ECU2に物標データの一部として送信される。
【0031】
続くS320では先行車候補があるか否かを判断する。先行車候補がなければ(S320:NO)、先行車未認識時のデータを先行車データとして設定し(S350)、本処理ルーチンを終了する。一方、先行車候補があれば(S320:YES)、S330へ移行し、車間距離が最小の物標を先行車として選択する。その後S340へ移行し、先行車データとしてS330で選択された物標のデータを設定し、本処理ルーチンを終了する。
【0032】
次に、S400での目標加速度演算サブルーチンについて図4(a)のフローチャートを参照して説明する。
最初のステップS410においては、先行車を認識中であるかどうかを判断する。そして、先行車を認識中であれば(S410:YES)、S420へ移行して車間偏差比を演算する。この車間偏差比(%)は、現在車間から目標車間を減算した値(車間偏差)を目標車間で除算し100を掛けた値である。ここで、目標車間は車速に応じて可変とすることで、より運転者の感覚に合致させることができる。続くS430にて相対速度を演算する。ここでS430にて実行される相対速度の演算処理について、図5を参照して説明する。
【0033】
図5のフローチャートの最初のステップS431では、距離異常フラグ判定を行う。この判定処理の詳細を図6を参照して説明する。
図6の最初のステップS4311では、距離異常フラグが成立しているか否かを判断する。そして、距離異常フラグが成立していない場合には(S4311:NO)、新規物標であるか否かを判断し(S4312)、新規物標であれば(S4312:YES)、そのまま処理を終了する。一方、新規物標でなければ(S4312:NO)、距離の変化量Ddiffが距離の変化量上限値D+ を越えているかどうかを判断し(S4313)、Ddiff>D+ であれば(S4313:YES)、距離異常フラグを成立させて(S4315)、処理を終了する。一方、Ddiff≦D+ であれば(S4313:NO)、距離の変化量Ddiffが距離の変化量下限値D− を下回っているかどうかを判断し(S4314)、Ddiff<D− であれば(S4314:YES)、やはり距離異常フラグを成立させて(S4315)、処理を終了する。なお、Ddiff≧D− であれば(S4314:NO)、そのまま本処理を終了する。
【0034】
ここで、距離の変化量Ddiff、及び距離の変化量上下限値D+,D−について説明する。
距離の変化量Ddiffは、Dを車間距離(m)とし、今回の距離D(n) から前回の距離D(n−1) を減算した値であり、距離の変化量上限値D+,D−は下記の式にて計算したものである。
D+=Vr(n−1)/3.6×TLR+G+×(TLR 2/2)+α
D−=Vr(n−1)/3.6×TLR−G−×(TLR 2/2)−α
ここで、
Vr(n−1)…1制御周期前の相対速度(km/h)
TLR…レーザレーダ測距周期(s)
α …測距誤差(m)
G+…通常の交通環境にて発生し得る最大の相対加速度(正側)(m/s2)
G−…通常の交通環境にて発生し得る最大の相対加速度(負側)(m/s2)
なお、距離の変化量上限値D+ の式中、Vr(n−1)/3.6×TLR の項は、前回の相対速度で移動している場合、測距周期の間にどの程度距離が変化するかを示すものであり、G+×(TLR 2/2)の項は、相対加速度に基づいて変化する可能性のある距離の最大値を示している。それに測距誤差αを加えることで、上限値としている。距離の変化量下限値D− の場合も同様の考え方である。
【0035】
また、固定値であるG+,G−に代えて、前回の相対加速度Ar(n−1)を用いてもよい。
以上が距離異常フラグを成立させる場合の判定にかかる処理内容であったが、次に、距離異常フラグを解除する場合の判定内容について説明する。図6のS4311にて肯定判断、つまり距離異常フラグが成立している場合には、成立後所定時間Ta秒経過しているか否かを判断する。そして、Ta秒経過している場合には(S4316:YES)、距離異常フラグを解除して(S4318)、本処理を終了する。一方、Ta秒経過していない場合には(S4316:NO)、対象が新規物標になったかどうかを判断し(S4317)、新規物標になった場合には(S4317:YES)、過去に成立した距離異常フラグをそのまま有効とするのは不適切なので、S4318へ移行して、距離異常フラグを解除する。一方、新規物標でない場合は(S4317:NO)、そのまま本処理を終了する。
【0036】
ここで、S4316での判断に用いた所定時間Taについて説明する。この所定時間Taは、異常な距離データが相対速度に影響を与えなくなるのに要する時間である。例えば、相対速度の計算に際して過去n回分の距離データを用いることを前提とするならば、そのn回分の距離データ中に1つでも「異常なデータ」が含まれていると思われる期間を経過させるために設定した期間である。
【0037】
図6は図5中のS431の処理説明であったため、図5の続くS432では、S431での判定結果に基づき、距離異常フラグが成立しているか否かを判断し、成立していなければ(S432:NO)、S433へ移行して相対速度に対して「なましが小さな」ローパスフィルタ処理を施す。一方、距離異常フラグが成立していれば(S432:YES)、S434へ移行して相対速度に対して「なましが大きな」ローパスフィルタ処理を施す。
【0038】
なお、図13には、このような相対速度の試算結果のタイムチャート例を示す。距離変化が距離変化上限(図6中のS4313におけるD+ に相当)を超えるか、又は距離変化下限(図6中のS4314におけるD− に相当)を下回ると、距離異常フラグ(XDSKIP)が成立する。図13中では、時刻41,42,44.46,54(s)付近において距離異常フラグが成立している。フラグ成立時点においては、相対速度に対してなまし大のフィルタ処理を施し距離異常フラグが成立していない期間は相対速度になまし小のフィルタ処理を施している。このようになまし大のフィルタ処理を施することで異常な相対速度となってしまうことを抑制できていることが判る。つまり図13中の先行車速のタイムチャートにおいて部分的に破線で示しているのは、なまし大のフィルタ処理を採用しない従来の場合の先行車速である。これに比べ(なまし大のフィルタ処理を施した)対応する実線部分においては異常な相対速度となることを抑制している。
【0039】
図5は図4中のS430の処理説明であったため、図4の続くS440では、S420,S430にて得られた車間偏差比と相対速度という2つのパラメータに基づき、図4(b)に示す制御マップの値を目標加速度ATとして得る。
なお、図4(b)の制御マップは、車間偏差比(%)として−96,−64,−32,0,32,64,96の7つの値、相対速度(Km/h)として16,8,0,−8,−16,−24の6つの値に対する目標加速度ATを示すものであるが、マップ値として示されていない値については、マップ内では直線補間により演算した値を採用し、マップ外ではマップ端の値を採用する。また、マップ内の値を用いる場合においても、さらに所定の上下限ガードを施すことも考えられる。
【0040】
一方、先行車を認識中でなければ(S410:NO)、先行車を未認識の場合の値を目標加速度ATとして設定する(S450)。
次に、S900での減速要求判定サブルーチンについて図7のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
この減速要求判定は、フューエルカット要求判定(S910)、ODカット要求判定(S920)、3速シフトダウン要求判定(S930)及びブレーキ要求判定(S940)を順番に行って終了する。各制御について説明する。
まず、S910のフューエルカット要求判定サブルーチンについて、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0042】
最初のステップS911においてフューエルカット要求中であるかどうか判断し、フューエルカット要求中でなければ(S911:NO)、加速度偏差が参照値Aref11よりも小さいかどうか判断する(S913)。そして、加速度偏差<Aref11であれば(S913:YES)、フューエルカット要求成立として(S915)、本サブルーチンを終了する。また、加速度偏差≧Aref11であれば(S913:NO)、そのまま本サブルーチンを終了する。
【0043】
一方、フューエルカット要求中であれば(S911:YES)、S917へ移行し、加速度偏差が参照値Aref12よりも大きいかどうか判断する。そして、加速度偏差>Aref12であれば(S917:YES)、フューエルカット要求を解除して(S919)、本サブルーチンを終了するが、加速度偏差≦Aref12であれば(S917:NO)、そのまま本サブルーチンを終了する。
【0044】
次に、S920のODカット要求判定サブルーチンについて、図9のフローチャートを参照して説明する。
最初のステップS921においてODカット要求中であるかどうか判断し、ODカット要求中でなければ(S921:NO)、加速度偏差が参照値Aref21よりも小さいかどうか判断する(S923)。そして、加速度偏差<Aref21であれば(S923:YES)、ODカット要求成立として(S925)、本サブルーチンを終了する。また、加速度偏差≧Aref21であれば(S923:NO)、そのまま本サブルーチンを終了する。
【0045】
一方、ODカット要求中であれば(S921:YES)、S927へ移行し、加速度偏差が参照値Aref22よりも大きいかどうか判断する。そして、加速度偏差>Aref22であれば(S927:YES)、ODカット要求を解除して(S929)、本サブルーチンを終了するが、加速度偏差≦Aref22であれば(S927:NO)、そのまま本サブルーチンを終了する。
【0046】
次に、S930の3速シフトダウン要求判定サブルーチンについて、図10のフローチャートを参照して説明する。
最初のステップS931において3速シフトダウン要求中であるかどうか判断し、3速シフトダウン要求中でなければ(S931:NO)、加速度偏差が参照値Aref31よりも小さいかどうか判断する(S933)。そして、加速度偏差<Aref31であれば(S933:YES)、3速シフトダウン要求成立として(S935)、本サブルーチンを終了する。また、加速度偏差≧Aref31であれば(S933:NO)、そのまま本サブルーチンを終了する。
【0047】
一方、3速シフトダウン要求中であれば(S931:YES)、S937へ移行し、加速度偏差が参照値Aref32よりも大きいかどうか判断する。そして、加速度偏差>Aref32であれば(S937:YES)、3速シフトダウン要求を解除して(S939)、本サブルーチンを終了するが、加速度偏差≦Aref32であれば(S937:NO)、そのまま本サブルーチンを終了する。
【0048】
次に、S940のブレーキ要求判定サブルーチンについて、図11のフローチャートを参照して説明する。
最初のステップS941においてフューエルカット要求中であるかどうか判断し、フューエルカット要求中でなければ(S941:NO)、ブレーキ要求を解除して(S951)、そのまま本サブルーチンを終了する。一方、フューエルカット要求中であれば(S941:YES)、ブレーキ要求中であるかどうか判断し(S943)、ブレーキ要求中でなければ(S943:NO)、加速度偏差が参照値Aref41よりも小さいかどうか判断する(S945)。そして、加速度偏差<Aref41であれば(S945:YES)、ブレーキ要求成立として(S947)、本サブルーチンを終了する。また、加速度偏差≧Aref41であれば(S945:NO)、そのまま本サブルーチンを終了する。
【0049】
一方、ブレーキ要求中であれば(S943:YES)、S949へ移行し、加速度偏差が参照値Aref42よりも大きいかどうか判断する。そして、加速度偏差>Aref42であれば(S949:YES)、ブレーキ要求を解除して(S951)、本サブルーチンを終了するが、加速度偏差≦Aref42であれば(S949:NO)、そのまま本サブルーチンを終了する。
【0050】
なお、図8〜図11のフローチャートの説明中に用いた参照値Aref11,Aref12,Aref21,Aref22,Aref31,Aref32,Aref41,Aref42について、補足説明しておく。これらの参照値は、以下に示すようなしきい値となっている。
これらのしきい値の大小関係は、以下のようになる。
(a)作動指示しきい値/作動解除しきい値の関係
フューエルカット:Aref11<Aref12
ODカット:Aref21<Aref22
3速シフトダウン:Aref31<Aref32
ブレーキ:Aref41<Aref42
このような関係は、作動指示と作動解除指示のチャタリングが発生しないために必要である。
(b)各減速手段間の作動指示しきい値の関係
0>Aref11≧Aref21≧Aref31≧Aref41
これは、より発生減速度の小さな手段が先に作動されることが望ましいからである。
(c)各減速手段間の作動解除しきい値の関係
Aref12≧Aref22≧Aref32≧Aref42>0
これは、発生減速度のより大きな手段が先に解除されることが望ましいからである。
【0051】
次に、警報発生判定(S1000)の詳細について図12のフローチャートを参照して説明する。
図12の最初のステップS1010では、警報要求を現在指示中であるかどうかを判断し、警報要求中でなければ(S1010:NO)、所定の条件成立を判断して警報要求を指示するための処理(S1020,S1030,S1040)を実行する。
【0052】
S1020では、以下の算出式に示すように、自車速と相対速度に応じて警報距離Dwを算出する。
警報距離Dw=f(自車速,相対速度)
次に、この警報距離よりも車間距離が短い状態が生じているかどうかを判断し(S1030)、車間距離が警報距離以上の場合には(S1030:NO)、そのまま本処理ルーチンを終了する。そして、警報距離よりも車間距離が短い場合には(S1030:YES)、警報要求を成立させる(S1040)。
【0053】
一方、S1010にて肯定判断、すなわち、警報要求中であれば、所定の条件成立を判断して警報要求を解除するための処理(S1050,S1060,S1070)を実行する。
S1050では、警報要求が成立した後1秒経過したかどうかを判断する。警報要求成立後1秒経過していなければ(S1050:NO)、そのまま本処理ルーチンを終了する。これは、警報処理を実行した場合、少なくとも1秒間はその状態を続けるためである。
【0054】
そして、警報要求が成立した後1秒経過すると(S1050:YES)、続いて、車間距離が警報距離以上かどうかを判断し(S1060)、車間距離が警報距離未満の場合には(S1060:NO)、そのまま本処理ルーチンを終了する。そして、車間距離が警報距離以上の場合には(S1060:YES)、警報要求を解除する(S1070)。
【0055】
S1040において警報要求が成立した旨は、図2のS1300でエンジンECU6へ送信される。そして、エンジンECU6からブレーキECU4に対して指示することによって、ブレーキECU4は警報ブザー14を鳴動する。一方、S1070において警報要求が解除されたことがエンジンECU6へ伝わると、ブレーキECU4を介して警報ブザー14が停止されることとなる。
【0056】
なお、本実施形態においては、レーザレーダセンサ3が物体認識手段に相当し、車間制御ECU2が、先行車選択手段、車間制御手段、警報手段及び距離変化異常判定手段に相当する。
以上説明した本実施形態のシステムが発揮する効果を説明する。
【0057】
本実施形態の車間制御システムでは、車間制御量としての目標加速度を得る際に用いる相対速度の演算(図4(a)のS430)に関して、次のような工夫を行う。つまり、図5に示すように、距離異常フラグが成立していれば(S432:YES)、相対速度に対して「なましが大きな」ローパスフィルタ処理を施す(S434)。このようになまし大のフィルタ処理を施すことによって相対速度の十分な平滑化がされる。特に、「距離変化異常であると判定される前の値」に重みを置いたフィルタ処理が施されるため、異常な相対速度による影響によって不適切な車間制御が実行されてしまうことを抑制できる。一方、距離異常フラグが成立していなければ(S432:NO)、相対速度に対して「なましが小さな」ローパスフィルタ処理を施す(S433)。このように異常な距離変化がない場合にはなましの小さなフィルタ処理を施した相対速度を用いて車間制御量を算出するため、応答性を確保することができる。つまり、相対速度の信頼度が低い時のノイズの影響を抑えつつ、通常時は応答性を確保することができることとなり、全体として測距誤差による相対速度への影響抑制と応答性確保を両立した適切な車間制御を実現でき、運転フィーリングを向上させることができる。
【0058】
また、図12のS1020における警報距離Dwは相対速度に基づいて算出しており、この相対速度は上述のフィルタ処理が施されものであるため、この車間警報においても、全体として測距誤差による相対速度への影響抑制と応答性確保を両立した適切な警報を実現できることとなる。
【0059】
[その他]
(1)上記実施形態において、「なましが小のフィルタ処理」はフィルタ処理を全くしなくても構わない。この時、距離変化異常判定処理において異常な距離変化がないと判定された場合には、物体認識処理において算出された相対速度をそのまま車間制御量の算出に使用することになる。
【0060】
(2)上記実施形態では、車間制御量の一例として目標加速度を用いたが、それ以外にも、加速度偏差(目標加速度−実加速度)や目標速度、目標トルク、あるいは目標相対速度としてもよい。
(3)減速手段としては、上述した実施形態で説明したものも含め、採用可能なものを挙げておく。ブレーキ装置のブレーキ圧を調整して行うもの、内燃機関に燃料が供給されるのを阻止するフューエルカット制御、前記内燃機関に接続された自動変速機がオーバードライブのシフト位置となるのを禁止するオーバードライブカット制御、前記自動変速機を高位のシフト位置からシフトダウンさせるシフトダウン制御、前記内燃機関の点火時期を遅らせる点火遅角制御、前記自動変速機が備えたトルクコンバータをロックアップ状態にするロックアップ制御、前記内燃機関からの排気の流動抵抗を増加させる排気ブレーキ制御およびリターダ制御を実行して行うものなどである。
【0061】
(4)また、上記実施形態においては、車間距離をそのまま用いていたが、車間距離を車速で除算した車間時間を用いても同様に実現できる。つまり、相対速度と車間時間偏差比をパラメータとする目標加速度の制御マップを準備しておき、制御時には、その時点での相対速度と車間時間偏差比に基づいて目標加速度を算出して、車間制御を実行するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の車間制御装置のシステムブロック図である。
【図2】車間制御ECUにて実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
【図3】図2のメイン処理中で実行される先行車選択サブルーチンを示すフローチャートである。
【図4】(a)は図2のメイン処理中で実行される目標加速度演算サブルーチンを示すフローチャート、(b)は制御マップの説明図である。
【図5】図4(a)の目標加速度演算処理中で実行される相対速度演算サブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】図5の相対速度演算処理中で実行される距離異常フラグ判定サブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】図2のメイン処理中で実行される減速要求判定サブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図7の減速要求判定中で実行されるフューエルカット要求判定サブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】図7の減速要求判定中で実行されるODカット要求判定サブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】図7の減速要求判定中で実行される3速シフトダウン要求判定サブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】図7の減速要求判定中で実行されるブレーキ要求判定サブルーチンを示すフローチャートである。
【図12】図2のメイン処理中で実行される警報発生判定サブルーチンを示すフローチャートである。
【図13】距離変化異常の発生する物体の相対速度の試算結果を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
2…車間制御用電子制御装置(車間制御ECU)
3…レーザレーダセンサ
4…ブレーキ電子制御装置(ブレーキECU)
6…エンジン電子制御装置(エンジンECU)
8…ステアリングセンサ 10…ヨーレートセンサ
12…車輪速センサ 14…警報ブザー
15…スロットル開度センサ 16…車速センサ
18…ブレーキスイッチ
20…クルーズコントロールスイッチ 22…クルーズメインスイッチ
24…スロットルアクチュエータ 25…ブレーキアクチュエータ
26…トランスミッション 28…ボデーLAN
Claims (8)
- 自車両を加減速させる加速手段及び減速手段と、
認識対象の物体について、少なくとも自車に対する相対位置及び相対速度を算出する物体認識手段と、
前記物体認識手段の認識結果に基づいて自車に対する先行車を選択する先行車選択手段と、
前記先行車選択手段によって選択された先行車と自車との実車間距離に相当する物理量である実車間物理量と、自車と先行車との目標車間距離に相当する物理量である目標車間物理量との差である車間偏差、及び自車と先行車との相対速度に基づいて車間制御量を算出し、その算出された車間制御量に基づき前記加速手段及び減速手段を駆動制御することによって、自車を先行車に追従させて走行させる車間制御手段と、
を備える車間制御装置において、
前記物体認識手段にて算出した先行車との距離に関して、前記物体認識手段における1制御周期あたりの当該距離の変化が、前回制御周期における相対速度に加え、車間制御装置が使用される通常の交通環境にて発生し得る最大及び最小の相対加速度に基づいて設定された所定のしきい値を越えた場合に、異常な距離変化があったと判定する距離変化異常判定手段を備えると共に、
前記車間制御手段は、前記距離変化異常判定手段によって異常な距離変化があったと判定された場合には、前記物体認識手段によって算出した相対速度に対して相対的になましの大きなフィルタ処理を施し、一方、異常な距離変化がない場合には相対的になましの小さなフィルタ処理を施し、そのフィルタ処理を施した相対速度を用いて前記車間制御量を算出すること
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項1記載の車間制御装置において、
前記距離変化異常判定手段による判定のために用いられる前記しきい値は、前記物体認識手段の距離算出精度に基づいて設定されていること
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項1又は2記載の車間制御装置において、
前記車間制御手段が前記なましの大きなフィルタ処理を施す時間は、前記物体認識手段が前記相対速度を算出するために使用する距離データを取得するのに必要な時間に対応する時間であること
を特徴とする車間制御装置。 - 認識対象の物体について、少なくとも自車に対する相対位置及び相対速度を算出する物体認識手段と、
前記物体認識手段の認識結果に基づいて自車に対する先行車を選択する先行車選択手段と、
前記先行車選択手段によって選択された先行車と自車との実車間距離に相当する物理量である実車間物理量が、所定の警報距離に相当する物理量である警報物理量よりも短くなった場合には、車両運転者に対する警報処理を実行する警報手段と、
を備える車間警報装置において、
前記物体認識手段にて算出した先行車との距離に関して、前記物体認識手段における1制御周期あたりの当該距離の変化が、前回制御周期における相対速度に加え、車間制御装置が使用される通常の交通環境にて発生し得る最大及び最小の相対加速度に基づいて設定された所定のしきい値を越えた場合に、異常な距離変化があったと判定する距離変化異常判定手段を備えると共に、
前記車間警報手段は、前記距離変化異常判定手段によって異常な距離変化があったと判定された場合には、前記物体認識手段によって算出した相対速度に対して相対的になましの大きなフィルタ処理を施し、一方、異常な距離変化がない場合には相対的になましの小さなフィルタ処理を施し、そのフィルタ処理を施した相対速度を用いて前記警報物理量を算出すること
を特徴とする車間警報装置。 - 請求項4記載の車間警報装置において、
前記距離変化異常判定手段による判定のために用いられる前記しきい値は、前記物体認識手段の距離算出精度に基づいて設定されていること
を特徴とする車間警報装置。 - 請求項4又は5記載の車間警報装置において、
前記車間制御手段が前記なましの大きなフィルタ処理を施す時間は、前記物体認識手段が前記相対速度を算出するために使用する距離データを取得するのに必要な時間に対応する時間であること
を特徴とする車間警報装置。 - 請求項1〜3のいずれか記載の車間制御装置の物体認識手段、先行車選択手段、車間制御手段及び距離変化異常判定手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 請求項4〜6のいずれか記載の車間警報装置の物体認識手段、先行車選択手段、警報手段及び距離変化異常判定手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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