JP3622547B2 - 同期電動機の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、同期電動機の制御装置に関わり、特に応答性を向上できる制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
同期電動機のベクトル制御では、回転磁極座標のdq軸から負荷角δだけ回転した、回転磁界座標のMT軸を基準座標にして、電動機電流の励磁電流成分とトルク電流成分を制御する(図2)。ここで、T軸は、磁束Φの成分が零となるように選ぶ。即ちM軸は磁束の方向と一致するように選ぶことで、電動機の発生トルクを、T軸上の電流IT を用いて線形に制御できるようになる。これが同期電動機のベクトル制御の原理である。
【0003】
また、電機子電流のM軸成分IM を零とすることで、磁束と電流が直交し(Φ⊥I)、電動機力率を1に制御できる。この時の座標軸の関係は図2のようになる。磁束Φは、IT と界磁電流If の合成により、Iφ相当の起磁力でM軸上に存在するが、IM 自体は零である。
【0004】
磁束Φは、基本的には界磁電流を制御して一定に保たれるが、負荷外乱が加わった際に、IT が変化し、その影響により磁束も変動する。磁束が変動すると、電動機の発生トルクが変動し、結果として応答が劣化する。また、負荷の大きさにより負荷角δが変化するが、磁束制御の応答が低いと、過負荷時にδが90度を超え、脱調等の不具合が発生する。
【0005】
この問題を解決するため、磁束制御を界磁電流のみに頼るのでなく、過渡的に電機子電流IMを用いて磁束を制御する方式がある(例えば、文献1「同期電動機の高性能可変速制御」電気学会論文誌D,107巻2号,p.p.175−182)。この方式によれば、過渡時の磁束変動を抑制でき、高応答な同期機制御装置が実現できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の磁束制御方式においては、閉ループ制御を基本としており、磁束の指令値と検出値の偏差に基づいて、界磁電流、あるいは電機子側の励磁電流(IM )を制御している。負荷外乱が小さく、磁束変動が少ない場合には問題がないが、瞬間的に大きな値の負荷外乱が発生した場合は、磁束変動を抑え込むことが難しい。特に、界磁弱め域では、磁束の変動が大きくなり、場合によっては負荷角δが90度を超え、系が不安定になり問題である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、同期電動機の磁束制御を行う際、トルク電流指令(あるいはトルク電流検出値)、あるいは磁束指令(あるいは磁束検出値)の少なくとも一方から、界磁電流指令、あるいは電機子側の励磁電流指令へのフィードフォワード補償を付加し、これらの補償ゲインを所定の値に設定することで実現できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1に、本発明の一実施例である同期電動機可変速システムの構成を示す。図1において、1は二次側に界磁巻線を設けた巻線形同期電動機、2は、同期電動機1に回転速度の指令ωreを与える速度指令発生器、3は、速度検出値ωreが速度指令ωreに一致するよう、トルク電流指令ITを演算する速度制御器、4は、トルク電流指令ITと電機子側励磁電流指令IMを、磁束位置を基準としたMT座標軸の値から、磁極位置(回転子位置)を基準にしたdq座標軸の値に座標変換する座標変換器、5は、同期電動機の電機子電流の検出値(IdFB,IqFB)が、座標変換器4の出力である電流指令値(Id,Iq)に一致するよう、電圧指令Vd、ならびにVqを演算する電機子電流制御器、6は、電圧指令Vd、ならびにVqを、三相交流軸上の電圧指令(Vu,Vv,Vw)に変換する座標変換器、7は、電圧指令Vu,Vv,Vwに基づいて、同期電動機1に電力を供給する電力変換器、8は、同期電動機に流れる電機子電流を検出する電流検出器、9は同期電動機1に印加される電機子電圧を検出する電圧検出器、10は同期電動機1の回転速度、ならびに磁極位置を検出する速度/位置検出器、11は電機子電流、ならびに電機子電圧の検出値を、dq軸上の値に変換する座標変換器、12は、同期電動機1の電流、ならびに電圧検出値に基づいて、同期電動機1の磁束、及び負荷角を推定演算する磁束オブザーバ、13は、同期電動機の回転速度ωreに基づいて、磁束指令Φを演算する磁束指令演算器、14は、磁束指令Φ、磁束オブザーバ12において推定演算した磁束検出値Φc 、ならびにトルク電流指令ITに基づいて、界磁電流指令Ifを演算する磁束制御器、15は、界磁電流If が、界磁電流指令Ifに一致するように、界磁電圧指令Vf を演算する界磁電流制御器、16は、界磁電圧指令Vf に基づいて、界磁回路に電力を供給する界磁変換器、17は、界磁電流を検出する電流検出器、141は、磁束指令Φと、磁束検出値Φc を一致させるのに必要な起磁力電流指令Iφを演算する起磁力電流指令演算器 (AFR)、142は、141の出力を界磁電流の成分に変換する界磁電流指令演算器、143は、磁束指令Φを界磁電流指令にF.F.補償(フィードフォワード補償)するための補償ゲイン、144はトルク電流指令ITを界磁電流指令にF.F.補償するための補償ゲインである。
【0009】
次に、本実施例の動作の概要について説明する。まず、同期電動機1の回転速度ωreは速度/位置検出器10により検出される。速度検出値ωreと、速度指令発生器2からの指令値ωreとの偏差が速度制御器3に加えられ、偏差に応じたトルク電流指令ITが演算され、これにより回転速度は速度指令に一致するように制御される。M軸の電流指令IMは、通常は零として与え、これによって電機子側の力率は1に保たれる。IT,IMは、座標変換器4によってdq軸上の電流指令Id,Iqに変換される。電機子電流及び界磁電流は、電機子電流検出器8及び界磁電流検出器17により検出され、電機子電流と界磁電流の各指令値に一致するように電機子電流制御器5及び界磁電流制御器15により制御される。MT座標を用いてベクトル制御を行うためには、負荷角δ及びM軸上の磁束Φを検出する必要がある。このため、磁束オブザーバ12において電機子電流と電機子電圧から同期機内部の磁束推定値Φd,Φqを演算し、これを用いてδ及び
Φc が演算される(制御器内の値ということで、δ、ならびにΦには記号「c」を付けて表記する)。演算されたδc は座標変換器4に用いられる。また、演算された磁束Φc と磁束指令演算器13からの指令値Φが磁束制御器14に加えられ、その出力である界磁電流指令Ifに従い界磁電流が制御される。
【0010】
次に、本実施例の特徴部分である磁束制御器14について説明する。図2は、MT軸とdq軸、ならびに磁束Φ,IT ,If の関係をベクトルで示したものである。尚、界磁電流If は、すべて電機子側換算の値とする。トルク電流IT が大きくなると、それに従って負荷角δも大きくなる。この時、磁束Φを一定に保つために、界磁電流If を制御する。磁束Φは、If をM軸に投影した成分Iφ(Iφを「起磁力電流」と定義する)によって作られるため、δが大きくなるほど(負荷が増えるほど)、If を大きくする必要がある。図1の実施例における起磁力電流指令演算器141では、磁束指令Φと、検出値Φc の偏差に基づいて、比例積分補償等の補償器を介して、必要な起磁力電流指令Iφを出力する。界磁電流指令演算器では、Iφに基づいて、必要な界磁電流指令を演算する。図2に示すように、起磁力電流指令Iφから、Ifへの変換は、負荷角δを用いて、Iφを1/cosδ倍することで得られる。
【0011】
従来の起磁力電流指令演算器は、主としてフィードバック制御を中心に磁束制御を行っていた。よって、負荷外乱等により、IT が急変した際にも、まず第一に磁束Φc が変化し、それを受けて起磁力電流指令演算器141の出力が変化し、界磁電流指令Ifを変化させて磁束を制御するというものであった。
【0012】
本実施例では、IT、ならびにΦから、直接的にIfを変化させるF.F.補償を付加する。この補償により、必要なIfが、磁束の変動を待たずに界磁電流制御器へ加えられるため、磁束の変動を大幅に抑制することができるようになる。
【0013】
図3を用いて、F.F.補償ゲイン143、ならびに144について説明する。同期電動機の定数を用いて、Φ,IT ,If の関係を図示すると、図3のようになる。図3の関係から、磁束Φを式で表すと、
Φ=Md・If・cosδ+Ld・Id・cosδ+Lq・Iq・sinδ (数1)
となる。ここで、Md は、同期電動機のd軸の相互インダクタンス、Ld,Lqは、それぞれd軸,q軸のインダクタンスを表す。ここでId,Iqは、
Id =−IT ・sinδ (数2)
Iq =IT ・cosδ (数3)
であるので、数1に代入すると、
Φ=Md ・If ・cosδ+(Lq−Ld)・IT ・cosδ・sinδ (数4)
となる。よって、If は、
If =Φ/(Md ・cosδ)+(Ld−Lq)・IT ・cosδ・sinδ/Md(数5)
となる。
【0014】
よって、図1における補償ゲインK1 、ならびにK2 の値は、制御器内の負荷角(検出値)δc を用いて、
K1 =1/(Md ・cosδc ) (数6)
K2 =(Ld−Lq)・cosδc ・sinδc /Md (数7)
となる。上式より、Φ,ITから個別にIfへのF.F.補償が可能になる。
以上、磁束指令Φ、ならびにトルク電流指令ITを直接界磁電流指令にフィードフォワード補償する同期電動機の制御方式について述べた。本実施例によれば、負荷外乱発生時における磁束変動を小さく抑えることができ、電動機制御の高応答が実現できる。
【0015】
次に、本発明の第二の実施例ついて説明する。本実施例は補償ゲインの与え方が前実施例と異なる。まず初めに、第一の実施例のF.F.補償ゲインである数6、ならびに数7のそれぞれの補償要素について、改めて検討してみる。数6は、磁束指令の変化と、δの変化を含んでいる。磁束指令Φは速度に応じて変化するものであり、トルク応答指令の変化に比べると変化速度は遅い。よって、数6は、δの変化分をF.F.補償する要素となっている。一方、数7の補償要素は、式からもわかるように、電動機の突極成分による磁束分を補償しているに過ぎない。非突極機であれば、IT からのF.F.補償は零になる。よって、第一の実施例は、主として、磁束指令のδに対する変化分をF.F.補償している。ここで問題なのは、演算に使用するδc は、磁束オブザーバ12の演算により推定される量であり、演算遅れが含まれる点である。また、オブザーバの方式にもよるが、過渡時には検出誤差が含まれる場合がある。さらに、重要な点としては、IT が変化した場合に、それに応じてIf も変化させないと、図2に示した起磁力電流成分が不足し、磁束変動は生じるという点である。数7の補償では、IT の変化に対して、突極性による成分しか反映されないため、ITに基づくIfへのF.F.補償量は少ないものとなっている。
【0016】
図4は、図3のベクトル図を書き直したものである。d軸上での磁束の関係を表すと、
Φ・cosδ=Md ・If +Ld・Id (数8)
となり、IT を用いると、
Φ・cosδ=Md ・If −Ld・IT ・sinδ (数9)
となる。よって、If は、
If =Φ・cosδ/Md +Ld・IT ・sinδ/Md (数10)
となる。上式の関係を、補償ゲインK1 ,K2 に与えると、
K1′ =cosδc /Md (数11)
K2′ =Ld・sinδc /Md (数12)
となる。数11と数6を比べると、磁束指令ΦのF.F.補償分が少なくなっていることがわかる。一方で、数12と数7を比べると、ITに関するF.F.補償成分が大きくなっていることがわかる。ITは、負荷外乱や速度変化によって急峻に変化するため、磁束変動に与える影響が大きい。数12に従ってIfを補償することは、磁束変動を抑制する意味で効果が大きい。特に、数12は、
δc が大きくなるほど、ITからIfへのF.F.補償成分が大きくなるように作用する。このことは、負荷角が90度に近づく程、Ifを増加させようとするため、系が不安定になるのを抑制する効果がより強く備わっていることを意味している。
【0017】
次に、本発明の第三の実施例について、図5を用いて説明する。本実施例における符号1〜13,15〜17、ならびに141〜144については、図1の実施例と同じものであるので、説明を省略する。本実施例の特徴部分である磁束制御器14Aについて説明する。14Aにおいて、符号145は電機子側から磁束を制御するIMAFR(電機子側励磁電流指令演算器)、146は、IMを零に制御するIMR(IM補償器)である。前述したように、同期電動機の磁束は、界磁電流によって制御されるが、過渡時における磁束制御を補うため、電機子側の励磁電流IM を用いて磁束を制御する方式がある。その例が、図5の構成によるものである。IM を流すことによって、電動機の力率は悪くなるが、磁束の変動は抑制できるようになる。この時、IMAFRを比例ゲインのみ、あるいは不完全微分補償等を用いて、偏差(ΔΦ)が零となる定常時において、IMAFRの出力が零になるようにしておけば、定常的な力率の劣化は防止できる。
【0018】
次に、本実施例の特徴部分である符号146のIMRの動作について説明する。IMRを挿入することで、電機子側励磁電流指令IMからIfへのループを作っている。このループは、IM を速やかに零にし、電動機の力率を1にするためのものである。このループにより、IMが請け負っている磁束分(起磁力分)を、Ifに直接加えることになり、IMの起磁力分を速やかに減少させるように作用することになる。
【0019】
IMは、前述のように定常的には零にできるが、AFRとIMAFRのゲイン配分、あるいは過渡応答の条件によって、数100ms〜数秒間残留する場合がある。それを速やかに零にするため、IMRのループを設ける。
【0020】
以上が、第三の実施例の説明であるが、この構成の磁束制御器に対しても、図1の実施例によるF.F.補償を適用することができる。Ifは、IT、ならびにΦの変化に対して、瞬時に変化するため、IMによる補償量が少なくて済み、過渡時における力率の劣化はさらに抑制される。
【0021】
次に、本発明の第四の実施例について、図6を用いて説明する。図6は、磁束制御器を示し、図5の14Aの代わりにこの磁束制御器14Bを用いて、同期電動機の制御装置を構成する。この磁束制御器14Bの動作について説明する。
【0022】
符号141〜146までは、図5のものと同一のものである。図6において、147は入力に対してcos(δc)のゲインをかけるゲイン補償器、148はΦを1/Md 倍にするゲイン補償器である。
【0023】
図6の磁束制御器でも図5の実施例と同様に、IMに指令を与えて磁束の制御を行う。ただし、図5におけるIMAFRを使用せず、AFRを用いてIMの制御も行う。AFRは、元々M軸上の起磁力に相当する起磁力電流Iφを制御するものであるから、これをそのままIMすることができる。ただし、IφをそのままIMとすると、IM が常に流れ続けることになり、同期電動機の力率が劣化し、同期電動機本来のメリットが損なわれる。そこで、界磁電流の検出値IfFB を用いて、定常的にはIMが零になるようにしている。これは、IfFB を147のゲイン補償器(cos(δc))を介して、Iφと突き合わせ、その差をもってIMとすればよい。こうすることで、IMは、IfFB がIfに一致するまでの間のみ、それを補うために流れることになり、定常的には零に収束する。次に、14Bの構成におけるΦ、ならびにITのF.F.補償について説明する。
【0024】
Φは、M軸上で与えられるため、Iφへの換算は、
Iφ=Φ/Md (数13)
となる。よって、14Bの補償ゲイン148を介して、ΦをIM へF.F.補償することができる。IfへのF.F.補償は、148→147の補償ループを介することで、図5と等価にできる(数12のK1′ と同じになる)。Iφは、補償器148の出力と、AFR141の出力の和になる。
【0025】
14Bの制御構成においては、Φから、If、ならびにIMの両方へF.F.補償されているが、ITのF.F.補償は界磁指令のみに付加されている。よって、If とIφの最終値がバランスしないで収束することになる。要するに、
Iφと、IfFB・cos(δc)の突き合わせ部分が零にならず、IMが残留する恐れがある。そこで、図5の実施例で使用した、IMRを挿入し、IMを零に収束させる。この場合、IMRを積分補償を含む補償器とし、定常的なIMの偏差を零にする。
【0026】
次に、図7を用いて、本発明における第五の実施例について説明する。本実施例は、図6の実施例に対して、ITからIMへのF.F.補償を付加するものである。数4を変形すると、
If・cosδ=Φ/Md+(Ld−Lq)・IT・cosδ・sinδ/Md (数14)
となり、ここで、
Iφ=If・cosδ (数15)
とおけるので、
Iφ=Φ/Md+(Ld−Lq)・IT・cosδ・sinδ/Md (数16)
となる。上式第1項は、図6と同様に、補償ゲイン148を介して、Iφへ
F.F.補償している。図7の実施例における補償ゲイン149を、数16の第2項より、次式のようにする。
【0027】
K3 =(Ld−Lq)・cos(δc)・sin(δc)/Md (数17)
上記、ITからIφへのF.F.補償を付加することによって、磁束応答はさらに改善されるようになる。また、IφとIfFB の突き合わせ部分が、定常時において原理的に零になるため、定常的なIM を零にできると同時に、IMを速やかに零に収束させることが可能になる。ただし、F.F.補償ゲインは、電動機の電気定数を用いているため、定数ずれがあると、IM が残留する恐れがある。そこで、図6の実施例と同様に、IMからIfへの補償ループであるIMRを付加し、定数ずれによる定常偏差を零にすることができる。
【0028】
次に、図8を用いて、第六の実施例について説明する。図8の界磁電流指令演算器は、基本的に図6ならびに図7の実施例と同様である。図において、符号150以外のものは、図6ならびに図7のものと同じものである。150は、界磁電流検出値IfFB に対して、遅れ要素(一次遅れ)を付加したものである。ここで、時定数Td は、同期電動機のダンパ回路の時定数と同じか、同程度の値に設定する。
【0029】
界磁電流指令Ifが、界磁電流制御器に与えられると、その値に一致するようにIfFBが制御される。図6,図7に示した界磁電流指令演算器においては、
IfFBはIφと突き合わされ、If=IfFBになった時点でIMは零になるように構成されている。ただし、IM、ならびにIfの目的は、あくまでも磁束Φを制御することである。IfFBがIfに一致したとしても、Φが電動機内部の磁束Φに一致しているとは限らない。If がΦに反映されるには、ダンパ回路の時定数分だけ遅れが生じる。よって、この遅れの分を考慮して、その間はIMを流し続ける方が、Φは速やかにΦへ収束することになる。ダンパ回路の遅れを考慮するため、IfFB に対してダンパ時定数相当の一次遅れを挿入することで、逆に磁束の追従性を向上することができる。ここで、Td は、ダンパの時定数に一致すれば理想的ではあるが、現実的に、ダンパ時定数は磁束の飽和状態、δの大きさ等によって変化するため、おおよそダンパ時定数に合わせることになる。それでもこの遅れによる効果は大きい。
【0030】
尚、これまで説明した実施例において、F.F.補償として、トルク電流指令、あるいは磁束指令など、指令値を用いたF.F.補償について説明してきたが、トルク電流成分の検出値、あるいは磁束検出値を用いても、同様にF.F.補償を行うことはできる。この場合、トルク電流、ならびに磁束の検出を高速化する必要があるが、原理的には可能である。また速度/位置検出器に替えて、電動機巻線の電流,電圧等から速度や位置を推定する速度/位置推定手段を用いてもよい。さらに磁束オブザーバで磁束を推定する替わりに、磁束センサで検出される磁束の検出値を用いてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、負荷急変等によりトルク電流が大きく変化した場合においても、磁束変動を極力小さく抑え、トルク変動や脱調などを起こさずに同期電動機を制御することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す同期電動機可変速制御システムのブロック構成図。
【図2】同期電動機の動作を説明するベクトル図。
【図3】同期電動機の動作を説明するベクトル図。
【図4】同期電動機の動作を説明するベクトル図。
【図5】本発明の第三の実施例を示す同期電動機可変速制御システムのブロック構成図。
【図6】本発明の第四の実施例を示す同期電動機可変速制御システムのブロック構成図。
【図7】本発明の第五の実施例を示す同期電動機可変速制御システムのブロック構成図。
【図8】本発明の第六の実施例を示す同期電動機可変速制御システムのブロック構成図。
【符号の説明】
1…巻線形同期電動機、2…速度指令発生器、3…速度制御器、4…MT−dq座標変換器、5…電機子電流制御器、6…dq−三相座標変換器、7…電力変換器、8…電機子電流検出器、9…電圧検出器、10…速度/位置検出器、11…三相−dq座標変換器、12…磁束オブザーバ、13…磁束指令演算器、14…励磁−界磁制御器、15…界磁電流制御器、16…界磁変換器、17…界磁電流検出器、141…起磁力電流指令演算器(AFR)142…界磁電流指令演算器、143…補償ゲインK1 、144…補償ゲインK2 。

Claims (8)

  1. 同期電動機と、
    該同期電動機の回転磁極位置を検出あるいは推定する手段と、
    前記同期電動機の磁束を検出あるいは推定する手段を備え、
    前記磁極位置ならびに磁束の検出値あるいは推定値に基づいて、前記同期電動機の電機子電流をトルク電流成分と励磁電流成分とに座標変換し、前記電機子電流を制御する電機子電流制御器と、
    前記トルク電流成分に対して指令を与える手段と、
    前記同期電動機の磁束に対して、磁束指令を与える手段と、
    前記磁束指令値と前記磁束検出値に基づいて、界磁電流指令を演算する界磁電流指令演算器と、
    前記界磁電流指令に対して、前記同期電動機の界磁電流が一致するように、該界磁電流を制御する界磁電流制御器、
    を備えた同期電動機の制御装置において、
    前記界磁指令演算器で、界磁電流指令値を演算する際、前記磁束指令あるいは磁束検出値と、前記トルク電流指令あるいはトルク電流検出値の少なくとも一方入力し、前記磁束指令あるいは磁束検出値の少なくとも一方に第1の所定のゲインを乗算し、前記トルク電流指令あるいはトルク電流検出値の少なくとも一方に第2の所定のゲインを乗算して、界磁電流指令にフィードフォワード補償を付加することを特徴とした同期電動機の制御装置。
  2. 請求項1において、前記磁束指令あるいは磁束検出値から、界磁電流指令へのフィードフォワード補償として、下記K1 で表されるゲインを用い、前記トルク電流指令あるいはトルク電流検出値から、界磁電流指令へのフィードフォワード補償としては、下記K2 で表されるゲインを用いることを特徴とした同期電動機の制御装置。
    K1=1/(Md・cosδ)
    K2=(Ld−Lq)・cosδ・sinδ/Md
    ここで、Md :同期電動機のd軸相互インダクタンス
    Ld :同期電動機のd軸インダクタンス
    Lq :同期電動機のq軸インダクタンス
    δ :同期電動機の負荷角検出値、あるいは推定値
  3. 請求項1において、前記磁束指令あるいは磁束検出値から、界磁電流指令へのフィードフォワード補償として、下記K1′ で表されるゲインを用い、前記トルク電流指令あるいはトルク電流検出値から、界磁電流指令へのフィードフォワード補償としては、下記K2′ で表されるゲインを用いることを特徴とした同期電動機の制御装置。
    K1′=cosδ/Md
    K2′=Ld・sinδ/Md
    ここで、Md :同期電動機のd軸相互インダクタンス
    Ld :同期電動機のd軸インダクタンス
    Lq :同期電動機のq軸インダクタンス
    δ :同期電動機の負荷角検出値、あるいは推定値
  4. 同期電動機と、
    該同期電動機の回転磁極位置を検出、あるいは推定する手段と、
    前記同期電動機の磁束を検出あるいは推定する手段を備え、
    前記磁極位置、ならびに磁束位置の検出値あるいは推定値に基づいて、前記同期電動機の電機子電流をトルク電流成分と励磁電流成分とに座標変換し、前記電機子電流を制御する電機子電流制御器と、
    前記トルク電流成分に対して指令を与える手段と、
    前記同期電動機の磁束に対して、磁束指令を与える手段と、
    前記磁束指令値が、前記磁束検出値あるいは推定値に一致するように、起磁力に相当する起磁力電流指令を演算する起磁力電流指令演算器と、
    前記起磁力電流指令に基づいて、界磁電流指令を演算する界磁電流指令演算器と、
    前記界磁電流指令に対して、前記同期電動機の界磁電流が一致するように、該界磁電流を制御する界磁電流制御器と、
    前記磁束指令と前記磁束検出値の偏差を用いて、あるいは前記起磁力電流指令演算器の出力を用いて、直接電機子側の励磁電流に対する指令を演算する電機子側励磁電流指令演算器を備えた同期電動機の制御装置において、
    該同期電動機の制御装置が、前記電機子側励磁電流指令演算器の出力を、補償器を介して前記界磁電流指令に加算する制御ループを持ち、
    前記界磁指令演算器で、界磁電流指令値を演算する際、前記磁束指令あるいは磁束検出値と、前記トルク電流指令あるいはトルク電流検出値の少なくとも一方とを入力し、前記トルク電流指令あるいはトルク電流検出値の少なくとも一方に所定のゲインを乗算して、界磁電流指令にフィードフォワード補償を付加することを特徴とした同期電動機の制御装置。
  5. 請求項4において、
    前記界磁電流検出値に対して下記K0 に示すゲインを乗じ、この値を、前記起磁力電流制御器の出力から差し引いた偏差をもって、直接的に電機子側の励磁電流の指令とする制御ループを含み、さらに前記電機子側励磁電流指令を、補償器を介して前記界磁電流指令に加算する制御ループを持つことを特徴とした同期電動機の制御装置。
    K0 =cosδ
    ここで、δ:同期電動機の負荷角検出値あるいは推定値
  6. 請求項4あるいは請求項のいずれかにおいて、
    前記電機子側励磁電流指令を演算する際、前記磁束指令あるいは検出値からのフィードフォワード補償要素と、前記トルク電流指令あるいは検出値からのフィードフォワード補償要素の少なくとも一方を、各々個別に前記起磁力電流制御器の出力に加算し、その値と、前記界磁電流検出値をK0 倍した値との偏差をもって、前記電機子側励磁電流指令とする制御ループを構成することを特徴とした同期電動機の制御装置。
  7. 請求項6において、
    前記磁束指令あるいは検出値から、前記電機子側励磁電流指令へのフィードフォワード補償として、下記K1″ に示すゲインを用い、前記トルク電流指令あるいは検出値から、前記電機子側励磁電流指令へのフィードフォワード補償としては、下記K2″ に示すゲインを用いることを特徴とした同期電動機の制御装置。
    K1″=1/Md
    K2″=(Ld−Lq)・cosδ・sinδ/Md
    ここで、Md :同期電動機のd軸相互インダクタンス
    Ld :同期電動機のd軸インダクタンス
    Lq :同期電動機のq軸インダクタンス
    δ :同期電動機の負荷角検出値、あるいは推定値
  8. 同期電動機と、
    該同期電動機の回転磁極位置を検出、あるいは推定する手段と、
    前記同期電動機の磁束を検出あるいは推定する手段を備え、
    前記磁極位置、ならびに磁束位置の検出値に基づいて、前記同期電動機の電機子電流をトルク電流成分と励磁電流成分とに座標変換し、前記電機子電流を制御する電機子電流制御器と、
    前記トルク電流成分に対して指令を与える手段と、
    前記同期電動機の磁束に対して、磁束指令を与える手段と、
    前記磁束指令値が、前記磁束検出値あるいは推定値に一致するように、起磁力に相当する起磁力電流指令を演算する起磁力電流指令演算器と、
    前記起磁力電流指令に基づいて、界磁電流指令を演算する界磁電流指令演算器と、
    前記界磁電流指令に対して、前記同期電動機の界磁電流が一致するように、該界磁電流を制御する界磁電流制御器と、
    前記界磁電流の検出値に対して下記に示すK0 を乗じ、その値を前記起磁力電流制御器の出力から差し引いた偏差をもって、直接的に電機子側の励磁電流を補償する電機子側励磁電流指令とする制御ループを持つ同期電動機の制御装置において、
    前記電機子側励磁電流指令を演算する際、前記界磁電流の検出値に前記同期電動機のダンパ時定数に相当する遅れ要素を付加し、
    前記界磁指令演算器で、界磁電流指令値を演算する際、前記磁束指令あるいは磁束検出値と、前記トルク電流指令あるいはトルク電流検出値の少なくとも一方とを入力し、前記トルク電流指令あるいはトルク電流検出値の少なくとも一方に所定のゲインを乗算して、界磁電流指令にフィードフォワード補償を付加することを特徴とした同期電動機の制御装置。
    K0=cosδ
    ここで、δ:同期電動機の負荷角検出値あるいは推定値
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