JP3622465B2 - 分岐した小室を設けたパウチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスチックフイルムで形成したパウチの側壁にパウチから分岐した小室を形成し、前記小室の先端部に注出口を形成したパウチに関する。
【0002】
【従来の技術】
液体用パウチは、内容物の取り出しを容易にするため、パウチの頂部に別体の注出口例えば栓体を取り付けたもの、注出口を一体成型したもの、ヒートシールによって注出口を形成したもの等がある。いずれの場合も、3方、4方シールのパウチ及び底部に別のフイルムをシールして底の幅を広げた自立パウチにこれ等の注出口を適用したものが多い。このようなパウチには、液体洗剤、飲料、スープ等が収容されているが、一般に内容物の充填はパウチ頂部の未シール部から行い、この部分をヒートシールして密封する。また、詰め替え用液体用パウチの用途では、詰め替え易さが問題になっているが、いずれの注出口の場合も、前記したように、パウチ頂部に詰め替え性向上に関する工夫が凝らしてある。しかし、従来のパウチでは充填を行う部分と注出口を設ける部分が同じ位置にあるか、近接しているため、詰め替え性向上に関する工夫は、充填性の点から極めて制限された条件のもとで行わなければならず、十分な効果が得られてないのが実情である。例えば、詰め替えるボトルの充填口へ詰め替え用パウチの注出口が連結できない形状となっている、あるいは連結できても連結直前に内容物が流出してしまうなど、内容物のこぼれが生じやすいという問題点がある。また、栓体を取り付けたものは栓体が崇高く、充填シールを著しく難しくするため、特殊な装置を必要とするという欠点がある。また、こうした工夫を凝らした従来のパウチは、工夫した部分が他の部分と形状が異なるために、落下衝撃などに対しては局所的な応力集中を生じやすく、概して破袋し易いという問題点もある。
また詰め替え用以外のパウチにおいても内容物の充填口と注出口が上記したようにパウチ頂部の同じ位置にあるため、充填性と注出性の両者の向上が困難であるといった問題が生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来技術の問題を解決するため、充填性に優れ、かつ内容物の取り出し性に優れるパウチを提供する。
本発明の他の目的は、落下衝撃等に対する耐破袋性のあるパウチを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
「1. 単層または積層のフイルムで形成したパウチにおいて、パウチの頂部に、内容物の充填を行い充填後に封止する充填口と、パウチの頂部より下方の位置にパウチの側壁の少なくとも1個所を外側に伸張させて分岐した小室を形成し、前記小室が先端部に注出口を有する、分岐した小室を設けたパウチ。
2. パウチ頂部と分岐部との間に圧力吸収空間を配置した、1項に記載された分岐した小室を設けたパウチ。
3. 分岐した小室の先端部の注出口を易開封性シールにより密封した、1項または2項に記載された分岐した小室を設けたパウチ。
4. 易開封性シール部が、注出口先端部分の基材シートに異種の合成樹脂シートを挾んでヒートシールしたシール部である、1項ないし3項のいずれか1項に記載された分岐した小室を設けたパウチ。
5. 易開封性シール部が、注出口先端部分の基材シートに基材シートとは非相溶性の合成樹脂の混合物層を挾んでヒートシールしたシール部である、1項ないし4項のいずれか1項に記載された分岐した小室を設けたパウチ。」
に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において、パウチの頂部より下方の位置に、パウチの側壁の少なくとも1ヶ所を外側に伸張させて分岐した小室を形成するのは、内容物の充填口と注出口を分離することにより、充填機への適応が確保でき、注出口の形状を種々選択できるからである。
注出口を小室と一体に成形すると製造工程が短縮できる利点がある。注出口先端部はパウチを圧縮することにより容易に開封する易開封性シールとしてもよく、切断して開封するタイトシールとしてもよい。切断して開封する場合には、注出口先端に引裂性を付与することが望ましく、引裂き方向を誘導するために、一軸延伸フイルムを用いたり、あるいはレーザー加工を施すことが好ましい。レーザー加工は、外面層または中間層に1本ないし数本からなるフォーカスビームによるスコアーを設けたり、デフォーカスビームまたはカライドスコープによる溶融弱化線を設けるなどの方法が適用できる。
また小室の先端部を先細形状の注出口としたのは内容物の注出時に、先細形状の注出口を他の容器の開口部に挿入したり注ぐ物の上に位置させてから、パウチを外より加圧して注出を行うことにより、不適切な流出を防ぐことができるからである。先細形状とした注出口のテーパ角度は、内容物の注出性と対象容器との連結性に影響するため、パウチの大きさと容器開口部の大きさに依っても異なるが、一般に15度ないし150度、好ましくは30度ないし120度である。
また広口容器に注入するものは先細形状とする必要がなく、パウチの巾の注出口でよい。さらに注出開始時の注出口のブロッキング防止と開口変形を円滑にするために、注出口の先端部近傍には、公知の折り曲げ加工、リブ加工、プレス加工、エンボス加工等を施すことができる。
【0006】
パウチの頂部と分岐部との間に設けた圧力吸収空間は、パウチの取り扱い時に不要な圧力や衝撃が加えられたときの破袋防止あるいは内容物が注出口のシールを破って流出することを防ぐ効果が奏されるので、この空間を設けることは好ましい。
本発明のパウチは注出が容易に行われるように注出口の開口部をピーラブルシールと呼ばれる圧力で剥離する圧潰易開封性シールでシールする場合もあるので圧力吸収空間を設けると、取り扱い中の不注意な落下等による圧力が加えられても圧力吸収空間に急激に移動する内容物を吸収することによりシールの破損を防止することができるのである。
分岐させて形成する小室は1個でもよく2個以上設けて同時に複数の目的物に注出することもできる。
【0007】
また注出口は必要に応じて栓、スクリューキャップ、クラウンキャップ、ゴム栓とこれを固定するアルミ板との蓋等の蓋で封止される。
この他、別に成形した栓体をヒートシールして結合してもよい。
【0008】
本発明の分岐した注出口を有する小室はパウチの長さの5〜95%の長さを有することが好ましい。
5%以下では先細の注出口の形成が困難であり、95%以上では圧力吸収空間を設けながら折り曲げてパウチ本体に沿わせておくことが困難になる。
【0009】
注出口を有する小室を折り曲げパウチ本体に沿わせると、落下等の衝撃を受けても注出口の易開封性シールが開封しない。
小室は少なくとも1箇所設けられるが2個以上設け、易開封性シールとタイトシール等の異なるシールを夫々の注出口に用いてもよい。
【0010】
本発明のパウチには内容物に応じて単層ないし積層とした、可撓性を有するシートまたはフイルムを使用する。単層または積層を構成する材料としては、例えば以下のような材料が使用される。
低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリアクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等がある。
【0011】
特に、内容物によって、ガスバリヤー性が必要とされる場合には、ポリ塩化ビニリデンの層、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の層、延伸ポリアミド系樹脂の層、アルミニウムの蒸着層、酸化ケイ素等の金属酸化物の蒸着層、アルミニウム箔、スチール箔等を積層に導入する。
剛性、断熱性を付与するために、これ等合成樹脂の発泡体が積層に導入されてもよい。また、これ等樹脂に、酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボン等の無機物が充填された層を導入してもよい。さらに、紙や段ボールの層が導入されてもよい。
これ等の材料を、本発明のパウチの使用目的に応じて単独もしくは積層体としたシートまたはフイルムとして利用する。これ等のシートおよびフイルムは、キャスト法、カレンダー法、Tダイ法またはインフレーション法等の溶融押出しまたは溶融共押出し法、ドライラミネーション法等により製造される。また、これ等のシートは未延伸のものであっても、一軸または二軸延伸のものであってもよい。
単層または積層のシートまたはフイルムの膜厚は、パウチの使用目的によって異なるが、可撓性を有するような膜厚である必要がある。
【0012】
本発明によるパウチは、ヒートシール部を持つため、シートまたはフイルムの片面はヒートシール性を有する樹脂であることが必要である。また、もう片方の面は、分岐部分を設けるにあたり、非ヒートシール性である樹脂であることが望ましい。
【0013】
易開封性シールは、合成樹脂は異種の合成樹脂とはヒートシール性が小さくなることを利用して、注出口先端部の基材シートに異種の合成樹脂シートを挾んでヒートシールしたり、基材シートとは非相溶性の合成樹脂をブレンドした層を挾んでヒートシールして形成される。
【0014】
本発明の分岐した小室を有するパウチは種々の方法で製造されるが、単層シートを用いる場合の1例を示す。
小室を形成する側を便宜上表側とし、反対側を裏側という。
表側シートを長さ方向にたるませて裏側シートと重ね、たるませた部分は、パウチ本体となる壁部とはヒートシールせずに、たるませた部分の巾方向両端をヒートシールして小室を形成し、表側シートと裏側シートは頂部を除いて、三方をシールしパウチ本体を形成する。こうして簡単に分岐した小室を有するパウチが製造される。
【0015】
次に積層シートを用いた場合の製造方法の1例を示す。
一枚の積層シートをヒートシール性のない面を内側にし、ヒートシール性を有する面を外側として折る。一方表側シートと裏側シートをヒートシール性を有する面を合わせて重ね、両シールの間に前記した折ったシートを挾み込み、折ったシートの開口側端部を表裏両シートの端部と位置合わせし、この重ね合わせたシートの頂部を除いて三方シールすると、折ったシートの内面側はヒートシールされないので分岐した小室を形成し、分岐した小室を有するパウチが製造される。 このようにして形成した小室の端部を切り開いて、開口部に易開封性シール部を設けたり、栓体を配置して注出口を形成する。こうして分岐した小室を設けたパウチが製造される。
【0016】
【実施例】
次に実施例をあげて具体的に本発明を説明する。
【0017】
図1は本発明の分岐した小室を設けたプラスチックパウチを示し、1はパウチ本体であり、分岐部5で分岐した小室2が設けられており、パウチ本体1と小室2は分岐部5で連通される。
注出口3の先端部はシール部3aにより封止されている。注出口先端部はパウチの巾と同一の長さを有している。分岐部5とパウチ本体1の頂部6との間に圧力吸収空間4が形成されている。
この実施例では注出口3は易開封性シール部シールされているがタイトのシール部でシールされてもよい。
【0018】
図2は図1の実施例の注出口3を先細になした実施例である。注出口3の先端部はシール部3aで封止されている。この注出口3は小径の容器の口に挿入することができる特徴がある。
図3は図2の実施例において注出口3のシール部3aを注出口3の先端より内側に設けた例である。このようにシール部を内側に設けることによりシール部が注出口の基材シートにより保護され、流通行程における取り扱いによりシール部が破損することが防止される。
また図4のように分岐部5の近傍に設けてもよい。
【0019】
図5は注出口3の2箇所にシール部3aを設置した実施例であって、流通行程中におけるシール部の破損による開封を防止するのに有効である。
図6は注出口3の先端部に別に製造した栓体9をヒートシールして結合した実施例である。この実施例ではスクリューキャップで蓋されているが他のキャップでもよい。
【0020】
図7は注出口の先端部を中央部でなく、巾方向の端部に形成した例である。このように端部に先細の先端を形成すると注入口が端に片寄った容器に注入することが容易となる。
この例ではパウチの頂部は充填口7となっており内容物の充填後ヒートシールされる。
【0021】
図10は小室を2個設けた実施例である。分岐部5でパウチ本体1から分岐した小室2が2個配設されている。この例では各小室に巾の異なる注出口を設けており、対象とする容器口の大きさに合わせて注出口を選択することができる。
小室2の注出口3の先端部はシール部3aで封止されているが、シール部3aは易開封性シールでもタイトシールでもよく、2つの注出口3のシールを同一のシールとしてもよく、また変えてもよい。易開封性シールとタイトシールを併用すると加圧開封時に一方の注出口のみを開封することができるので選択的開封を行うことができる。
【0022】
実施例1
パウチ本体材料には、外層より厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフイルムと厚さ150μmの直鎖状低密度ポリエチレンフイルムをウレタン系接着剤でラミネートした積層体を用いた。
パウチは図2の分岐した小室の先端部に注出口を設けたもので、巾90mm、高さ200mm、周縁ヒートシール部の巾5mm、分岐部はパウチ頂部より35mmで、圧力吸収空間の巾は30mm、小室は先細形状をなしており、その先端の注出口は巾が20mm、分岐部より50mmの位置にあって、10mm巾でタイトシールされている。
このパウチの頂部から液体洗剤150mlを充填し、ヒートシールにより密封した。
また、注出口先端の開封開始部には、開封を容易にするため注出口先端から12mmの位置にUノッチおよび外層のみを切断するスコアを設けた。なお、スコアは炭酸ガスレーザーにより加工して形成した。
実施例1のパウチの注出口をUノッチ部より引き裂き開封したところ、容易にスコアに沿って開封できた。次にこの注出口先端部を口径22mm(内径)の洗剤ボトルに差し込み、パウチを倒立させて内容物を移し替えたところ、こぼすことなく、最後まで確実に移し替えることができた。
【0023】
実施例2
注出口先端が易開封性シールとなっている他は実施例1と同様のパウチとした。易開封性シール材には、厚さ20μmの低密度ポリエチレン層と、この層の両側に低密度ポリエチレンとポリブテン−1が重量比で80:20である厚さ7〜8μmのブレンド層を有する巾13mmの3層からなる共押出フイルムを用いた。 本体側壁に沿っていた小室をパウチ頂部に倒し、逆にパウチ頂部を本体側壁に折り曲げ沿わせた状態で倒立させて、実施例1で用いたのと同様のボトルに注出口を差し込み、手で圧縮したところ、容易に易開封性シールが破壊し、こぼすことなく内容物を移し替えることができた。この開封強度を後述する圧縮試験と同様な方法により測定したところ、平均で23kgf であった。また、易開封性シール部分のTピール強度はJIS Z 0238に従い測定したところ平均で170gf/ 15mmであった。
【0024】
実施例3
分岐部から注出口先端に向かって10mmの位置に易開封性シールで封止した他は実施例2と同様のパウチとした。
【0025】
実施例4
分岐部の位置をパウチの頂部近傍にし圧力吸収空間の巾を2mmとした他は実施例2と同様のパウチとした。
【0026】
実施例5
注出口先端を住友3M社製の巾18mmのメンディングテープでパウチ本体に固定した他は実施例4と同様とした。
【0027】
比較例1
パウチ材料は実施例1と同様にし、パウチの巾90mm、高さ245mmで、分岐した小室を設けずに本体底部から185mm上部の位置から頂部に向かって先細形状にした。その先端部に巾20mmの注出口を設け、実施例2と同じ易開封性シール材を用いて、その端部を巾10mmで易開封性シールで密封したパウチを用いた。 内容物の充填シールは、パウチ頂部から液体洗剤150mlをロートを用いて充填し、その後易開封性シール部をヒートシールした。
開封強度はいずれのパウチも平均で23kgf であった。また、注出口先端の易開封性シール部のTピール強度は平均で170gf/ 15mmであった。
【0028】
比較例2
パウチ先端部から60mmの位置で、パウチ上部を側壁に折り曲げ沿わせ、注出口先端部を巾18mmのメンディングテープで、パウチ側壁に固定してある他は、比較例1と同様にした。
【0029】
比較試験
本発明による分岐した小室を設けた実施例1〜5のパウチと、分岐した小室を設けずにパウチ頂部に注出口を設けた比較例1および2のパウチについて、以下のように落下試験と圧縮試験により比較した。
【0030】
落下試験は、雰囲気温度23℃において、高さ120cmの位置から、パウチの側壁が床面にあたるように100回落下させ、目視により易開封性シール部の開通およびパウチ本体の破壊を評価した。なお、サンプル数は各50個とした。評価結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
(註)
サンプル数各50個
落下回数100回
高さ120cm
水平方向に落下(実施例1〜5においては、分岐した小室を設けた側壁を上向きにして落下させた。)
雰囲気温度23℃
【0033】
圧縮試験は、雰囲気温度23℃において、パウチをこれより十分に大きい透明で平滑な2枚のアクリル板に挾み、圧縮速度50mm/min の速度で圧縮し、易開封性シール部が開通したときの荷重を測定した。易開封性シール部の開通は、記録計に表われる変曲点と、アクリル板を通して目視により判断した。なお、易開封性シール部が開通する前に、パウチ本体が破壊した場合には、その荷重を評価した。サンプル数は各10個とした。評価結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
(註)
サンプル数各10個
圧縮速度50mm/min
雰囲気温度23℃
【0036】
評価
【0037】
落下試験
実施例1のパウチでは注出口先端に開封用のスコアを設けたが、破袋したものはなかった。また、実施例2〜5のパウチでは、落下試験により、易開封性シールが破壊し開通したものはなく、いずれの寸法条件のものでも、落下衝撃に対する易開封性シール部の保護性は優れていた。また、易開封性シール部を観察すると、実施例4において、平均2mmの剥離が生じていた他は、易開封性シール部の剥離は生じていなかった。
一方、比較例1では全てのパウチの易開封性シール部が開通した。比較例2では、易開封性シール部を保護できるように、パウチを折り曲げ、かつ、折り曲げが伸びないように小室の端部をパウチ本体側の側壁にテープで固定したが、易開封性シール部が開通したものが8つあった。また、開通しなかったものの易開封性シール部を観察すると、3mm以上の剥離が生じており、実施例に比較して易開封性シール部の保護性に劣っていた。
【0038】
圧縮試験
実施例のパウチはパウチ本体が破壊するような350〜400kgf の非常に強い圧縮荷重にいたっても易開封性シール部は保護されていた。一方、比較例2では、折り曲げにより、比較例1よりも、易開封性シール部の保護性が向上していたが、易開封性シール部が開通したものは260kgf 以下で、実施例に比べ、易開封性シール部の保護性に非常に劣っていた。
なお、実施例2〜5で用いた易開封性シール材は、低密度ポリエチレンとポリブテン−1からなるブレンド層が凝集破壊を起こし、易剥離性を示すものであるが、その他、パウチ本体とのヒートシール界面で剥離する界面剥離タイプ、2層以上からなる多層フイルム内の層間剥離を利用するタイプ等、公知の易開封性シール材を用いることができる。また、易開封性シール材は、実施例2〜5で用いた易開封性シール材のように、両面が易剥離性を示すものであってもよいし、片面のみが易剥離性を示すものであってもよい。
また、実施例5では分岐部分を、テープによりパウチ本体側壁に固定したが、この他に、両面テープ、ホットメルト系ないし粘着系接着剤,ホック止め、クリップ、マジックテープ等、公知の固定方法が適用できる。
【0039】
【発明の効果】
本発明のパウチは注出口の形態を種々選択しても、充填条件が制限されることがなく、また、落下衝撃に対する破袋耐性に優れた効果を有する。
また、パウチ内の内容物を、分岐した小室の注出口から容易に注出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の説明図である。
【図2】本発明の他の実施例の説明図である。
【図3】本発明の別の実施例の説明図である。
【図4】本発明の他の実施例の説明図である。
【図5】本発明の別の実施例の説明図である。
【図6】本発明の実施例の説明図である。
【図7】本発明の他の実施例の説明図である。
【図10】本発明の他の実施例の説明図である。
【符号の説明】
1 パウチ本体
2 小室
3 注出口
3a シール部
4 圧力吸収空間
5 分岐部
6 頂部
7 充填口
9 栓体
Claims (5)
- 単層または積層のフイルムで形成したパウチにおいて、パウチの頂部に、内容物の充填を行い充填後に封止する充填口と、パウチの頂部より下方の位置にパウチの側壁の少なくとも1個所を外側に伸張させて分岐した小室を形成し、前記小室が先端部に注出口を有する、分岐した小室を設けたパウチ。
- パウチ頂部と分岐部との間に圧力吸収空間を配置した、請求項1に記載された分岐した小室を設けたパウチ。
- 分岐した小室の先端部の注出口を易開封性シールにより密封した、請求項1または2に記載された分岐した小室を設けたパウチ。
- 易開封性シール部が、注出口先端部分の基材シートに異種の合成樹脂シートを挾んでヒートシールしたシール部である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載された分岐した小室を設けたパウチ。
- 易開封性シール部が、注出口先端部分の基材シートに基材シートとは非相溶性の合成樹脂の混合物層を挾んでヒートシールしたシール部である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載された分岐した小室を設けたパウチ。
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