JP3622324B2 - 被覆顔料、それを含む着色用顔料組成物ならびに被覆剤 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散性の改良された被覆顔料、該被覆顔料を含み、熱可塑性樹脂等の着色に用いられる着色用顔料組成物、ならびにインキ,塗料等の被覆剤に関する。本発明の被覆顔料は、プラスチック系あるいはゴム系の複合材料に関する分野でも有用である。
【0002】
【従来の技術】
顔料は一般に、塗料、インキ等の媒体中で凝集を起こす傾向がある。塗料やインキの貯蔵中又は乾燥時に顔料粒子の凝集が起きると、色調の変化、着色力の低下、他顔料との混色時における色別れおよび流動性の低下等の原因となる。従来、当問題の解決方法として、凝集防止剤や分散助剤の添加、例えば顔料置換誘導体の添加等が提案されたが、これまでのところこれらの方法では十分ではなく、また添加物に由来する諸物性の低下や添加物がブリードするなど問題があった。
【0003】
また、これらの分散剤が使用された熱可塑性樹脂着色用組成物は、着色された熱可塑性樹脂を10数ミクロン径で高速紡糸したり、フィルム化するなど高度な顔料分散が求められる場合には、満足な顔料分散性が得られないことがある。すなわち、顔料分散不良による紡糸時の糸切れ、溶融紡糸機のフィルターの目詰まり、フィルムでの成形不良などである。さらに顔料の凝集は引張強度や曲げ強度および衝撃強度等の機械物性を低下させる要因ともなりやすい。これらの問題を解決するために、熱可塑性樹脂着色用組成物の加工方法の改良や強力混練機により顔料分散性を向上させる努力が行われてきたが、いずれも十分な顔料分散能を発揮するものではなかった。
【0004】
そこで、顔料粒子表面を高分子物質で被覆することにより凝集を防止する方法も提案されている。例えば、顔料、溶媒、高分子物質からなる系で相分離を発生させ高分子物質を顔料粒子表面に吸着させる方法(コアセルベーション法)、顔料と高分子エマルジョンとを強撹拌することにより高分子物質を顔料粒子表面に吸着させる方法、顔料存在下で分散重合を行い高分子物質を顔料粒子表面に吸着させる方法、モノマーを顔料表面に吸着させた後、その界面で重合を開始させる方法(界面重合法)などである。しかしながら、吸着という現象は平衡反応であって、系の環境が変化すれば当然、脱離も起こり得る。
【0005】
従って、単に、高分子物質を顔料粒子表面に吸着させただけでは、その後の取り扱いによっては吸着した高分子物質が脱離してしまう場合もあり、その場合、凝集防止効果がなくなるだけでなく、脱離した高分子物質が物性の低下を招くこともある。このような脱離を防ぐために被覆剤と顔料とを共有結合により連結させる方法も提案されているが、反応性官能基を有する顔料は極一部に限られているのが現状である。また、コアセルベーション法と界面重合法との併用等により顔料粒子表面上で高分子網目を形成させる方法が提案されているが、未だ十分な効果は得られてはいない。特に熱可塑性樹脂の着色分野において、その着色は、樹脂の融点近傍の高温度下で高剪断をかけて行われており、このような条件下においても十分な効果を奏する被覆顔料は未だ見いだされてはいない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記種々の欠点を改良し、インキ、塗料、熱可塑性樹脂等の着色に際して色相、着色力、分散性に優れた被覆顔料、該被覆顔料を含み、色相、着色力、分散性に優れた着色用顔料組成物ならびに被覆剤の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、顔料を、第3級アミノ基を有するビニル共重合体の中和物にエポキシ基とα,β−不飽和二重結合とを有する化合物を付加させた反応性水可溶樹脂で被覆してなる被覆顔料を提供する。
また、本発明は、反応性水可溶樹脂が、第3級アミノ基を有するビニル共重合体の中和物に、第3級アミノ基1モルに対してエポキシ基0.01〜1モルの割合で、エポキシ基とα,β−不飽和二重結合とを有する化合物を付加させた樹脂であることを特徴とする上記被覆顔料を提供する。
さらに、本発明は、顔料100重量部に対して、0.5〜50重量部の反応性水可溶樹脂で被覆することを特徴とする上記被覆顔料を提供する。
さらに、本発明は、上記被覆顔料を含む着色用顔料組成物を提供する。
さらに、本発明は、上記被覆顔料を含む被覆剤を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
第3級アミノ基を有するビニル共重合体は、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第3級アミノ基を有するモノマーと、他のビニルモノマーとを共重合させることにより得られる。第3級アミノ基を有するモノマーは、ビニル共重合体中10重量%以上を占めることが好ましい。10重量%未満では、得られる反応性水可溶樹脂の親水性が低く、水系での顔料の被覆処理が困難となる。
【0009】
他のビニルモノマーのうち低分子量のものとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のC1 〜C22のアルキルエステル、アリルアクリレート等の(メタ)アクリル酸のC2 〜C8 アルケニルエステル、アリルオキシエチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸のC3 〜C19アルケニルオキシアルキルエステル、スチレン、α− メチルスチレン、o− クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマ−、アクリル酸ヒドロキシエステル、アクリロニトリル、ブチロニトリル等のニトリル含有モノマー、酢酸ビニル、ビニルカルバゾール、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、アルキルジ(メタ)アクリレート、アクリルアミド等が挙げられる。
【0010】
また、オリゴマーおよびポリマーとしては、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール等の水酸基含有反応性オリゴマーをトルエンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート等のジイソシアナート化合物で鎖延長し、末端イソシアナート基に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有α, β−重合性化合物を反応させることによって得られる化合物、ジオールとジカルボン酸との重縮合、あるいはカプロラクトンの開環重縮合により得られるポリエステルのカルボン酸末端を2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の水酸基および(メタ)アクリロイル基を含有する化合物と反応させた化合物、末端アクリロイル変性ポリブタジエン等が挙げられる。
他のビニルモノマーは、1種もしくは2種以上併用してもよい。
【0011】
第3級アミノ基を有するビニル共重合体は塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、(メタ)アクリル酸、コハク酸等の酸で中和された後、エポキシ基とα,β−不飽和二重結合とを有する化合物を付加させることにより反応性水可溶樹脂となる。
エポキシ基とα,β−不飽和二重結合とを有する化合物の付加量は、使用形態に応じて任意に選択できるが、おおむね第3級アミノ基1モルに対してエポキシ基0.01〜1モルの範囲が適当である。0.01モル未満では、得られる反応性水可溶樹脂の架橋性能が乏しくなる。エポキシ基とα,β−不飽和二重結合とを有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル等が挙げられる。
【0012】
反応性水可溶樹脂で被覆される顔料は、有機顔料及び無機顔料のいずれでもよく、体質顔料や金属顔料も含む。有機顔料としては、例えば、マダーレーキ、ロッグウッドレーキ、コチニールレーキ等の天然染料系顔料、ナフトールグリーンB、ナフトールグリーンY等のニトロソ系顔料、ナフトールS、リソールファストイエロー2G等のニトロ系顔料、パーマネントレッド4R、ブリリアントファストスカーレット、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー等の不溶性アゾ系顔料、リソールレッド、レーキレッドC、レーキレッドD等の難溶性アゾ系顔料、ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッドF5R、ピグメントスカーレット3B、ボルドー10B等の可溶性アゾ系顔料、フタロシニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー等のフタロシアニン系顔料、ローダミンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の塩基性染料系顔料、ピーコックブルーレーキ、エオシンレーキ、キノリンイエローレーキ等の酸性染料系顔料、インダンスレンブルー、チオインジゴマルーン等の建染料系顔料、アリザリンレーキ等の媒染料系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット、イソインドリノンイエロー、ジオキサジンバイオレット、アニリンブラック、有機蛍光顔料などが挙げられる。
【0013】
無機顔料としては、例えば、クレー、バライト、雲母、黄土等の天然物、黄鉛、亜鉛黄、バリウム黄等のクロム酸塩、紺青等のフェロシアン化物、銀朱、カドミウム黄、硫化亜鉛、アンチモン白、カドミウムレッド等の硫化物、硫酸バリウム、硫酸鉛、硫酸ストロンチウム等の硫酸塩、亜鉛華、チタン白、ベンカラ、鉄黒、酸化クロム等の酸化物、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ケイ酸カルシウム、グンジョウ等のケイ酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、カーボンブラック、松煙、ボーンブラック、グラファイト等の炭素、アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末等の金属粉、ヒ酸塩、燐酸塩などが挙げられる。
【0014】
本発明の被覆顔料は、反応性水可溶樹脂の水ないしアルコール含有水の酸性溶液と顔料とを均一に混合分散させて反応性水可溶樹脂を顔料表面に吸着させ顔料を被覆することにより得られる。ここで用いる顔料は、乾燥顔料であっても、水または有機溶剤を含んだ湿潤状態の顔料であってもよい。
さらに、顔料を反応性水可溶樹脂で被覆した後、ラジカル開始剤を加えて樹脂間の架橋を行うことにより、樹脂を顔料に固定化させることが好ましい。
また、反応性水可溶樹脂を顔料に吸着させる際にアルカリを添加し、系をアルカリ性として樹脂を不溶化させ吸着効率を上げても良い。その際のpHは、用いる反応性水可溶樹脂に依存し一概には規定できない。また、添加するアルカリ種についても特に限定はなく一般に用いられているものでよい。
【0015】
反応性水可溶樹脂の使用量は、使用する顔料の粒径すなわち比表面積に依存すると共に、その顔料の使用形態にも依存する。樹脂量は樹脂壁の厚みと樹脂壁の強度に影響を与えるため、樹脂壁の損傷が予測される場合、例えば、高顔料濃度で高剪断下にさらされる場合には量を多くすることが好ましい。しかし、あまり量を増やすと樹脂単独の凝集体を生じさせたりして最終製品の物性に悪影響を及ぼす恐れがある。また、少なすぎても被覆が不完全となり十分な効果が得られない。反応性水可溶樹脂の量はおおむね、顔料100部に対し0.5〜50重量部である。
【0016】
上記混合物を均一に混合分散させるには、一般の合成等に用いられる撹拌羽根を用いることができるが、乾燥顔料などの用いる顔料が著しく凝集している場合には、サンドミル,アトライター,ビーズミル,コロイドミル,ボールミル,超音波破砕機やホモミキサー等の分散機を用いてもよい。また、この際に分散助剤として極少量の界面活性剤を添加してもよい。
得られた被覆顔料の水性分散体は、そのまま用いても良いし、ろ別乾燥、スプレードライヤーあるいは凍結乾燥等により乾燥して用いることもできる。また、アンモニア、苛性ソーダなどのアルカリを加え非水分散性とすることもできる。
【0017】
本発明の被覆顔料は、酸可溶型の水性樹脂で被覆されているため、酸性水溶液中での分散に優れており、水性インキや水性塗料等への使用に極めて有用である。さらに、顔料を被覆架橋後に、残存する第3級アミノ基に再びエポキシキ基とα,β−不飽和二重結合とを有する化合物を付加させることにより反応性被覆顔料を得ることもでき、UVインキやUV塗料等への使用にも極めて有用である。
また、本発明の被覆顔料は、分散性が優れるため、熱可塑性樹脂等の着色に用いられる顔料組成物にも好適に用いられる。
【0018】
【実施例】
以下の実施例で本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例および比較例において、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ意味する。
(反応性水可溶樹脂の合成例1)
ラウリルメタクリレート360部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート150部、イソプロピルアルコール320部をセパラブルフラスコに仕込み、錨型攪拌羽根で分速200回転で攪拌し、窒素雰囲気下80℃に昇温後、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(以降AIBNと略記する)4部を加え重合を開始した。重合を開始して4時間後、さらにAIBNを1部加えて2時間保持した後、空気をバブリングして空気雰囲気下に戻し、酢酸60部とグリシジルメタクリレート81.5部(第3級アミノ基1モルに対してエポキシ基0.6モルの割合)を加え、2時間保持して重合を完結せしめ、固形分60.9%の樹脂溶液を得た。
【0019】
(反応性水可溶樹脂の合成例2)
スチレン360部、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート275部、イソプロピルアルコール497.8部をセパラブルフラスコに仕込み、錨型攪拌羽根で分速200回転で攪拌し、窒素雰囲気下80℃に昇温後、AIBN4.7部を加え重合を開始した。重合を開始して4時間後、さらにAIBNを1 .2部加えて2時間保持した後、空気をバブリングして空気雰囲気下に戻し、酢酸90部とグリシジルメタクリレート210.8部(第3級アミノ基1モルに対してエポキシ基1モルの割合)を加え、2時間保持して重合を完結せしめ、固形分59.0%の樹脂溶液を得た。
【0020】
(反応性水可溶樹脂の合成例3)
イソプロピルアルコール1406部、エタノール1406部エチレングリコールモノメチルエーテル694部をセパラブルフラスコに仕込み、窒素雰囲気下80℃に昇温後、メチルメタクリレート100部、エチルアクリレート80部、アクリルアミド14.2部、メタクリル酸ピペリジノエチル197部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート150部、AIBN7.9部よりなる混合物を約2時間かけて滴下し、さらに2時間加熱を続けAIBNを4部加えて2時間保持した後、空気をバブリングして空気雰囲気下に戻し、酢酸60部とグリシジルメタクリレート1.36部(第3級アミノ基1モルに対してエポキシ基0.01モルの割合)を加え、2時間保持して重合を完結せしめ、固形分30.1%の樹脂溶液を得た。
【0021】
(製造例1)
反応性水可溶樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液41部と水5000部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、フタロシアニン顔料「リオノールブルーFG7351」(東洋インキ製造社製)500部を投入し、4時間撹拌を続けた。その後、系内を窒素置換した後、AIBN0.25部を添加し4時間熟成した後、濾過水洗し、80℃で24時間乾燥して乾燥被覆顔料を得た。
【0022】
(製造例2)
反応性水可溶樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液41部と水5000部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、フタロシアニン顔料の水性湿潤ケーキ「リオノールブルーFG7334P」(東洋インキ製造社製,顔料分46%)1087部を投入し、4時間撹拌を続けた。その後、系内を窒素置換した後、AIBN0.25部を添加し4時間熟成した後、これを入口温度220℃,出口温度100℃に調整したスプレードライヤーで乾燥し、乾燥被覆顔料を得た。
【0023】
(製造例3)
反応性水可溶樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液41部と水5000部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、フタロシアニン顔料の水性湿潤ケーキ「リオノールブルーFG7334P」(東洋インキ製造社製,顔料分46%)1087部を投入し、4時間撹拌を続けた。その後、入口温度220℃,出口温度100℃に調整したスプレードライヤーで乾燥し、乾燥被覆顔料を得た。
【0024】
(製造例4)
反応性水可溶樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液41部と水5000部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、キナクリドン顔料「ファストゲン スーパー マゼンタ RE03」(大日本インキ化学工業社製)500部を投入し、3時間ホモミキサーで分散を行った。希水酸化ナトリウムを加えてpH9とし、さらに2時間撹拌を続けた。系内を窒素置換した後、AIBN1.5部を添加し4時間熟成し、被覆顔料の水性分散体を得た。濾過水洗し、80℃で24時間乾燥して乾燥被覆顔料を得た。
【0025】
(製造例5)
反応性水可溶樹脂の合成例2で得られた樹脂溶液4.1 部とイソプロピルアルコール500部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、酸化チタン「タイペークCR−80」(石原産業社製)500部を投入し、2時間撹拌を続けた。その後、系内を窒素置換した後、AIBN0.25部を添加し4時間熟成した後、濾過水洗し、80℃で24時間乾燥して乾燥被覆顔料を得た。
【0026】
(製造例6)
反応性水可溶樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液410部と水5000部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、弁柄「トダカラー180ED」(戸田工業社製)500部を投入し、4 時間撹拌を続けた。さらにその後、系内を窒素置換した後、AIBN0.25部を添加し4時間熟成した後、濾過水洗し、80℃で24時間乾燥して乾燥被覆顔料を得た。
【0027】
(製造例7)
反応性水可溶樹脂の合成例3で得られた樹脂溶液333.3部と水5000部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、縮合アゾイエロー顔料「クロモフタルイエローGR」(チバ・ガイギー社製)500部を投入し、4時間撹拌を続けた。その後、系内を窒素置換した後、AIBN0.25部を添加し4時間熟成した後、濾過水洗し、80℃で24時間乾燥して乾燥被覆顔料を得た。
【0028】
(製造例8)
フタロシアニン顔料「リオノールグリーン 2Y−301」(東洋インキ製造社製)500部を用いた以外は、製造例4と同様にして乾燥被覆顔料を得た。
【0029】
(製造例9)
反応性水可溶樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液41部と水4148部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、ベンジジンイエロー顔料の水性湿潤ケーキ「リオノールイエローGGT」(東洋インキ製造社製,顔料分37%)1351部を投入し、4 時間撹拌を続けた。その後、系内を窒素置換した後、AIBN0.25部を添加し4時間熟成した後、濾過水洗し、被覆顔料の水性湿潤ケーキを得た。
【0030】
(製造例10)
キナクリドン顔料「ファストゲン スーパー マゼンタ RE03」の代わりにキナクリドン顔料「シンカシャレッドYRT759D」(チバ・ガイギー社製)を用いた以外は、製造例4と同様にして乾燥被覆顔料を得た。
(製造例11)
キナクリドン顔料「ファストゲン スーパー マゼンタ RE03」の代わりに群青「グンジョウ#2000」(第一化成工業社製)を用いた以外は、製造例4と同様にして乾燥被覆顔料を得た。
【0031】
(製造例12)
キナクリドン顔料「ファストゲン スーパー マゼンタ RE03」の代わりにカーボンブラック「三菱カーボン#10」(三菱化学社製)を用いた以外は、製造例4と同様にして乾燥被覆顔料を得た。
(製造例13)
キナクリドン顔料「ファストゲン スーパー マゼンタ RE03」の代わりにカーボンブラック「三菱カーボンMA−100」(三菱化学社製)を用いた以外は、製造例5と同様にして乾燥被覆顔料を得た。
【0032】
(製造例14)
反応性水可溶樹脂樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液41部と水5000部を反応容器に入れ80℃撹拌下、カーボンブラック「三菱カーボンMA−100」(三菱化学社製)500部を投入し、4時間撹拌を続けた。その後、系内を窒素置換した後、AIBN0.25部を添加し4時間熟成した後、空気をバブリングして系内を空気置換し、グリシジルメタクリレート3.4部を添加し2時間後、濾過水洗し、80℃で24時間乾燥して乾燥被覆顔料を得た。
【0033】
(実施例1)
製造例1で得られた被覆顔料の熱可塑性樹脂中での分散を確認するために、以下の手順でマスターバッチを作製し評価した。
製造例1で得られた被覆顔料 40部
ポリエチレン「三菱ポリエチUJ790G」(三菱化学社製)60部
上記2成分をニーダーで混練し、スクリュー直径65mmの押出成形機でペレット化し、マスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。
ポリプロピレン「三井ノーブレンJH−G」(三井石油化学工業社製)100部に、得られたマスターバッチ2部を混合して、縦型テスト紡糸機(富士フィルター社製スピニングテスター)にて、ホッパー下230℃、混練部、ダイス部230℃にて紡糸後3倍延伸を行い、5デニールのポリプロピレン繊維を得た。紡糸性、目詰まり性、延伸性共問題なく良好な分散性を示した。
【0034】
未分散顔料の目詰まり性を比較するために、得られたマスターバッチ23.3部をポリプロピレン「三井ノーブレンJH−G」100部に混合し、先端に500メッシュの金網を装着したスクリュー径が30mmの単軸押出機で混合物を3Kg押し出し、先端部での圧力上昇値を測定し、未分散顔料の目詰まり性をそれぞれ評価した。また、顔料の分散発色性を比較するために、得られたマスターバッチ2部を酸化チタンマスターバッチ「TET12534W−T」(東洋インキ製造社製)5部とポリプロピレン「三井ハイポールJ800」(三井石油化学工業社製,メルトフローレート:22)100部に配合したものを2本ロールミルで混練し冷却プレスで2mm厚のプレートに成形した。次に、色差計KURABO Color−7E(KURABO社製)を用いて波長640nmの反射率を測定し、その反射率におけるKubelka−Munk関数値(k/s値)を求め発色強度とした。以上の結果を表1に示す。
【0035】
さらに、メルトフローレート:6.5のポリエチレン「ハイゼックス2100J」(三井石油化学工業社製)100部に、得られたマスターバッチ3部を混合して、射出成形機にて背圧0Kg/cm2 でプレートに成形した。得られた成形品の機械的物性,表面の色ムラおよび顔料分散性度を評価した結果およびマスターバッチの生産性を表2にまとめる。
【0036】
(実施例2〜3)
製造例1で得られた被覆顔料の代わりに製造例2〜3で得られた被覆顔料を用いた以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。さらに、得られたマスターバッチを用いて実施例1と同様に紡糸を行ったところ目詰まり性、延伸性共問題なく良好な分散性を示した。
実施例1と同様に各種評価をし、結果を表1、2に示す。
【0037】
(比較例1)
製造例1で得られた被覆顔料の代わりに未処理のフタロシアニン顔料「リオノールブルーFG7330」を用いた以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。しかし、得られたマスターバッチを用いて実施例1と同様に紡糸を行ったところ目詰まりによる糸切れが発生した。
実施例1と同様に各種評価をし、結果を表1、2に示す。
【0038】
(比較例2)
製造例1で得られた被覆顔料の代わりに、未処理のフタロシアニン顔料の水性湿潤ケーキ「リオノールブルーFG7334P」を80℃で24時間乾燥させたものを用いた以外は実施例1と同様にしてマスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。しかし、得られたマスターバッチを用いて実施例1と同様に紡糸を行ったところ目詰まりによる糸切れが発生した。
実施例1と同様に各種評価をし、結果を表1、2に示す。
【0039】
(実施例4)
製造例4で得られた被覆顔料 20部
ポリエチレン「UJ790G」
(三菱化学社製,メルトフローレート:50) 65部
ポリエチレンワックス「NL500」
(三井石油化学工業社製) 15部
上記3成分を3本ロールミルで混練し、スクリュー直径65mmの押出成形機でペレット化し、マスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。
タルク20%を含有するポリエチレン組成物100部に、得られたマスターバッチ3部を混合して、射出成形機にて背圧0Kg/cm2 でプレートを成形し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2にまとめる。
【0040】
(実施例5)
ポリエチレン「スミカセンG−808」
(住友化学工業社製,軟化温度:78℃) 40部
製造例5で得られた被覆顔料 20部
製造例6で得られた被覆顔料 40部
上記3成分を3本ロールミルで混練し、スクリュー直径65mmの押出成形機でペレット化し、マスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。実施例5と同様にしてプレートを成形し各種評価をした。結果を表2に示す。
【0041】
(実施例6)
製造例7で得られた被覆顔料 10部
ポリエチレン「スミカセンG−801」
(住友化学工業社製,軟化温度83℃) 90部
上記2成分を3本ロールミルで混練し、スクリュー直径65mmの押出成形機でペレット化し、マスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂「サンテックEVA」(旭化成工業社製)100部に、得られたマスターバッチ10部を混合して、射出成形機にて背圧0Kg/cm2 でプレートに成形し、実施例1と同様にして、各種の評価をした。結果を表2にまとめる。
【0042】
(実施例7)
製造例8で得られた被覆顔料 5部
ポリエチレン「ペトロセン 356」
(東ソー社製,メルトフローレート:100) 95部
上記3成分を3本ロールミルで混練し、スクリュー直径65mmの押出成形機でペレット化し、マスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。ポリプロピレン系樹脂「三井ハイポールJ740」(三井石油化学工業社製)100部に、得られたマスターバッチ10部を混合して、射出成形機にて背圧0Kg/cm2 でプレートに成形し、実施例1と同様にして、各種の評価をした。結果を表2にまとめる。
【0043】
(比較例3〜6)
実施例4〜7において被覆顔料の代わりに処理前の顔料を用いた以外は同様である。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
*1 無着色樹脂の機械物性(100%)に対するマスターバッチで着色された樹脂 の機械的物性の保持率。
○:96%以上
△:90〜96%
×:90%未満
*2 成型品表面の色ムラを目視で評価した。
○:色ムラなし
△:色ムラ少々あり
×:色ムラ顕著
【0046】
*3 被着色樹脂 100部とマスターバッチ 3部を配合した混練物をプレス温度 170℃の条件下でプレス加工し、 0.1mm厚さのフィルムを得た。得られたフィルム中の顔料の粗大粒子の大きさとその数をLuzex450画像処理機(東洋インキ製造社製)で測定した。
5:50μm以下の粒子数 700個/cm2 未満
4:50μm以下の粒子数 700〜1000個/cm2
3:50μm以下の粒子数 1000〜7000個/cm2
2:50μm以下の粒子数 7000〜 27000個/cm2
1:50μm以下の粒子数 27000個/cm2 以上
*4 スクリュー直径65mmの押出成型機によるマスターバッチの生産性。
○:良好
×:不良
【0047】
(実施例8)
ロジン変成フェノール樹脂「タマノール361」(荒川化学社製)50部に対しアマニ油20部、インキ溶剤「5号ソルベント」(日本石油社製)30部を加え、200℃に加熱して溶解させた。このビヒクル98部にオクチル酸アルミニウム2部を加えオフセットインキ用ビヒクルとした。
オフセットインキ用ビヒクル70部を紙コップに入れ、これに製造例1で得られた被覆顔料20部を加え均一になるよう混合撹拌してプレミックスインキを作成した。このプレミックス用インキを3本ロールで練肉すると2パスで粗粒子が消失したのに対し、未処理の顔料では4パスで粗粒子が消失した。このことは被覆処理により分散性が向上したことを示唆している。
また、タック9.0〜9.5に調整したインキをアート紙へ展色刷りし60度光沢値を測定したところ、未処理顔料使用時に比べ処理顔料を用いた場合は5.0%高光沢であった。
【0048】
(実施例9)
実施例8で用いたオフセットインキ用ビヒクル70部を紙コップに入れ、これに製造例7で得られた被覆顔料20部を加え均一になるよう混合撹拌してプレミックスインキを作成した。このプレミックス用インキを3本ロールで練肉すると2パスで粗粒子が消失したのに対し、未処理の顔料では4パスで粗粒子が消失した。このことは被覆処理により分散性が向上したことを示唆している。
また、タック9.0〜9.5に調整したインキをアート紙へ展色刷りしたときの光沢は、未処理顔料使用時に比べに比べ処理顔料を用いた場合は4.3%高光沢であった。
【0049】
(実施例10)
製造例8で得られた被覆顔料10部、ライムロジン系ワニス(固形分20%、トルエン75%、可塑剤5%)90部及び直径3mmのガラスビーズを220ccのマヨネーズビンにいれ、ペイントコンディショナーで30分間分散して濃色インキを得た。濃色インキの60度光沢値を測定したところ、未処理の顔料使用時に比べ4%高光沢であった。また、ザーンカップ#3で粘度を測定したところ未処理の顔料使用時には46秒であったのに対し被覆顔料使用時には33秒であった。
【0050】
(実施例11)
製造例11で得られた被覆顔料8部、アルキッド樹脂ワニス「フタルキッド235−50」(日立化成工業社製)20部、メラミン樹脂ワニス「メラン28」(日立化成工業社製)10部、キシレン50部およびシンナー12部を直径2mmのスチールビーズと共に220ccのマヨネーズビンに入れペイントコンディショナーで30分間分散して油性塗料を作成した。これをブリキ板にスプレーコーターで塗布し、200℃で10分間焼き付けを行った。塗面の60度光沢値を測定したところ、未処理の顔料使用時に比べ5%高光沢であった。
【0051】
(実施例12)
m−キシレンビスステアリン酸アミド「スリパックスZXS」
(日本化成社製) 100部
製造例12で得られた被覆顔料 10部
負帯電制御剤「ポントロンE81」(オリエント化学社製 ) 3部
ポリプロピレンワックス「ビスコール550P」
(三洋化成工業社製) 2部
ポリスチレン「エスプライト2V」(昭和電工社製) 5部
上記5成分を混合し、2本ロールミルで130℃で加熱混練をしてミルベースを得、これをハンマーミルで粗粉砕し、続いてジェットミルで微粉砕した後分級して、平均粒子径13μmのトナー(着色樹脂組成物)を得た。得られたトナーを酸化鉄粉「EFV200」(日本鉄粉社製)をキャリアとして混合し、トナー濃度5%の現像剤を作成した。
【0052】
(実施例13)
製造例12で得られた被覆顔料の代わりに製造例13で得られた被覆顔料を用いた以外は、実施例12と同様である。
(比較例7)
製造例12で得られた被覆顔料の代わりに未処理のカーボンブラック「三菱カーボン#10」を用いた以外は、実施例12と同様である。
【0053】
実施例12〜13及び比較例7で得られた現像剤を複写機「NC3000」(コピア社製)を改造した現像機に入れて、A4用紙で1/3が黒べたの未定着画像を作成した。続いてこれを上部がテフロン、下部がシリコンゴムの加熱ロール式定着試験機を用い、ロール温度が100〜240℃まで段階的に変化させ、線速800cm/分で通して定着評価を行った。定着性は、定着画像にセロテープを貼って引き剥がし、そのID(画像濃度)を測定することにより判定した。ホットセット温度は、黒べた部と接したロール部分が、白抜け部と再度接した部分のIDを測定し、他の白抜け部のIDより5%以上増加した最低温度とした。更に複写機「NC3000」(コピア社製)を用いて温度30℃−湿度80%の条件下で連続複写試験を行った。また得られた現像剤の貯蔵安定性を温度50℃−湿度80%で24時間の条件下で評価した。詳細な結果は表3に示した。
【0054】
【表3】
【0055】
【0056】
(実施例14)
製造例9で得られた被覆顔料の水性湿潤ケーキ(顔料分:37%)1030部
エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂「ソアライトK」
(日本合成化学工業) 40部
ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ 5部
キシレン 90部
水 600部
上記5成分をディスパーに入れ、混合分散して顔料水性ペーストを作成した。
次にこの顔料水性ペーストをフラッシャーに入れ、150℃に昇温しながら撹拌した。水分は蒸発し、内容物が高粘度となってきたところで取り出し、スプレードライヤーで乾燥させて着色樹脂組成物を得た。
得られた着色樹脂組成物17部にカルナバワックス(mp:83℃)79部、パラフィンワックス(mp:55℃)17部及びポリスチレン樹脂「エスブライト500SB」(住友化学工業社製)のキシレン15%溶液113部を加え、ガラスビーズの入ったアトライターで2時間分散して感熱インキを作成した。この感熱インキを厚さ6mmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ソルベントコーティング法によって、乾燥後の塗布厚が4μmとなるように100℃2分間の条件で塗工して、熱転写記録媒体を得た。塗工性は良好であった。
【0057】
(比較例8)
製造例9で得られた被覆顔料の水性湿潤ケーキの代わりに未処理のベンジジンイエロー顔料の水性湿潤ケーキ「リオノールイエローGGT」を用いた以外は、実施例14と同様にして感熱インキを作成し、感熱転写記録媒体を得た。
【0058】
(実施例15)
マイクロクリスタリンワックス(mp:75℃) 70部
製造例11で得られた被覆顔料 20部
エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂「DQDJ−7197」
(日本ユニカー社製,メルトフローレート:350) 10部
上記2成分を混合し、3本ロールミルで160℃で加熱混練をしてミルベース(着色樹脂組成物)を得た。得られたミルベースを実施例14と同様にして感熱インキを作成し、感熱転写記録媒体を得た。塗工性は良好であった。
【0059】
(比較例9)
製造例11で得られた被覆顔料の代わりに未処理の群青「グンジョウ#2000」を用いた以外は、実施例15と同様にして感熱インキを作成し、感熱転写記録媒体を得た。
【0060】
実施例14、15及び比較例8、9で得られた感熱転写記録媒体について、転写エネルギー感度及び転写画像品質を温度:60〜140℃、圧力:2kg/cm、熱圧着時間:3秒の条件下で熱傾斜試験器「HG−100」(東洋精機製作所社製)と、印字速度:60字/秒、8ドットのサーマルヘッドを持つ高密度のサーマルプリンターとで評価した。受像紙としては熱転写紙を使用した。詳細な結果は表4に示す。
【0061】
【表4】
【0062】
(実施例16)
製造例14で得られた被覆顔料20部、ベンゾフェノン5部、ハイドロキノン0.5部、アルキッド樹脂ワニス「フタルキッド235−50」(日立化成工業社製)20部、トリメチロールプロパントリアクリレート55. 5部を直径3mmのガラスビーズを220ccのマヨネーズビンにいれ、ペイントコンディショナーで30分間分散した。これをブリキ板にスプレーコーターで塗布し、60mJ/cm2 の紫外線を照射した。光沢、色目共に良好な塗膜を得た。未処理の顔料について同様な試験を行ったところ硬化不良で光沢、色目共に不良であった。
【0063】
(実施例17)
製造例2で得られた被覆顔料12部、クレー3部、反応性水可溶樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液32部、水45.5部、80%酢酸0.5部を220ccのマヨネーズビンに入れ、ペイントコンディショナーで30分間分散してフレキソインキを得た。
得られたインキを70℃で72時間保存し、保存前と保存後のインキを希釈用白インキで30倍希釈して淡色インキを作成し着色力を比較したところ変化は認められなかった。
【0064】
【発明の効果】
本発明の被覆顔料は、顔料含有率の高低にとらわれず、顔料分散性に優れており、高度な顔料分散を要求される繊維製品や感熱インキ、印刷インキ、塗料、現像剤等の着色において、その光沢、色相の鮮明さ及び着色性に大きな効果を発揮するものである。また、従来、多かった分散不良によるブツや色ムラ等の塗膜欠陥もなく、良好な塗膜が得られる等、塗加工性にも優れており、良好な塗膜物性を得られるものである。また、成形材料である熱可塑性樹脂の着色においても極めて有効であり、高分散、高発色を示し、色ムラのない着色が可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散性の改良された被覆顔料、該被覆顔料を含み、熱可塑性樹脂等の着色に用いられる着色用顔料組成物、ならびにインキ,塗料等の被覆剤に関する。本発明の被覆顔料は、プラスチック系あるいはゴム系の複合材料に関する分野でも有用である。
【0002】
【従来の技術】
顔料は一般に、塗料、インキ等の媒体中で凝集を起こす傾向がある。塗料やインキの貯蔵中又は乾燥時に顔料粒子の凝集が起きると、色調の変化、着色力の低下、他顔料との混色時における色別れおよび流動性の低下等の原因となる。従来、当問題の解決方法として、凝集防止剤や分散助剤の添加、例えば顔料置換誘導体の添加等が提案されたが、これまでのところこれらの方法では十分ではなく、また添加物に由来する諸物性の低下や添加物がブリードするなど問題があった。
【0003】
また、これらの分散剤が使用された熱可塑性樹脂着色用組成物は、着色された熱可塑性樹脂を10数ミクロン径で高速紡糸したり、フィルム化するなど高度な顔料分散が求められる場合には、満足な顔料分散性が得られないことがある。すなわち、顔料分散不良による紡糸時の糸切れ、溶融紡糸機のフィルターの目詰まり、フィルムでの成形不良などである。さらに顔料の凝集は引張強度や曲げ強度および衝撃強度等の機械物性を低下させる要因ともなりやすい。これらの問題を解決するために、熱可塑性樹脂着色用組成物の加工方法の改良や強力混練機により顔料分散性を向上させる努力が行われてきたが、いずれも十分な顔料分散能を発揮するものではなかった。
【0004】
そこで、顔料粒子表面を高分子物質で被覆することにより凝集を防止する方法も提案されている。例えば、顔料、溶媒、高分子物質からなる系で相分離を発生させ高分子物質を顔料粒子表面に吸着させる方法(コアセルベーション法)、顔料と高分子エマルジョンとを強撹拌することにより高分子物質を顔料粒子表面に吸着させる方法、顔料存在下で分散重合を行い高分子物質を顔料粒子表面に吸着させる方法、モノマーを顔料表面に吸着させた後、その界面で重合を開始させる方法(界面重合法)などである。しかしながら、吸着という現象は平衡反応であって、系の環境が変化すれば当然、脱離も起こり得る。
【0005】
従って、単に、高分子物質を顔料粒子表面に吸着させただけでは、その後の取り扱いによっては吸着した高分子物質が脱離してしまう場合もあり、その場合、凝集防止効果がなくなるだけでなく、脱離した高分子物質が物性の低下を招くこともある。このような脱離を防ぐために被覆剤と顔料とを共有結合により連結させる方法も提案されているが、反応性官能基を有する顔料は極一部に限られているのが現状である。また、コアセルベーション法と界面重合法との併用等により顔料粒子表面上で高分子網目を形成させる方法が提案されているが、未だ十分な効果は得られてはいない。特に熱可塑性樹脂の着色分野において、その着色は、樹脂の融点近傍の高温度下で高剪断をかけて行われており、このような条件下においても十分な効果を奏する被覆顔料は未だ見いだされてはいない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記種々の欠点を改良し、インキ、塗料、熱可塑性樹脂等の着色に際して色相、着色力、分散性に優れた被覆顔料、該被覆顔料を含み、色相、着色力、分散性に優れた着色用顔料組成物ならびに被覆剤の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、顔料を、第3級アミノ基を有するビニル共重合体の中和物にエポキシ基とα,β−不飽和二重結合とを有する化合物を付加させた反応性水可溶樹脂で被覆してなる被覆顔料を提供する。
また、本発明は、反応性水可溶樹脂が、第3級アミノ基を有するビニル共重合体の中和物に、第3級アミノ基1モルに対してエポキシ基0.01〜1モルの割合で、エポキシ基とα,β−不飽和二重結合とを有する化合物を付加させた樹脂であることを特徴とする上記被覆顔料を提供する。
さらに、本発明は、顔料100重量部に対して、0.5〜50重量部の反応性水可溶樹脂で被覆することを特徴とする上記被覆顔料を提供する。
さらに、本発明は、上記被覆顔料を含む着色用顔料組成物を提供する。
さらに、本発明は、上記被覆顔料を含む被覆剤を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
第3級アミノ基を有するビニル共重合体は、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第3級アミノ基を有するモノマーと、他のビニルモノマーとを共重合させることにより得られる。第3級アミノ基を有するモノマーは、ビニル共重合体中10重量%以上を占めることが好ましい。10重量%未満では、得られる反応性水可溶樹脂の親水性が低く、水系での顔料の被覆処理が困難となる。
【0009】
他のビニルモノマーのうち低分子量のものとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のC1 〜C22のアルキルエステル、アリルアクリレート等の(メタ)アクリル酸のC2 〜C8 アルケニルエステル、アリルオキシエチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸のC3 〜C19アルケニルオキシアルキルエステル、スチレン、α− メチルスチレン、o− クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマ−、アクリル酸ヒドロキシエステル、アクリロニトリル、ブチロニトリル等のニトリル含有モノマー、酢酸ビニル、ビニルカルバゾール、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、アルキルジ(メタ)アクリレート、アクリルアミド等が挙げられる。
【0010】
また、オリゴマーおよびポリマーとしては、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール等の水酸基含有反応性オリゴマーをトルエンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート等のジイソシアナート化合物で鎖延長し、末端イソシアナート基に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有α, β−重合性化合物を反応させることによって得られる化合物、ジオールとジカルボン酸との重縮合、あるいはカプロラクトンの開環重縮合により得られるポリエステルのカルボン酸末端を2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の水酸基および(メタ)アクリロイル基を含有する化合物と反応させた化合物、末端アクリロイル変性ポリブタジエン等が挙げられる。
他のビニルモノマーは、1種もしくは2種以上併用してもよい。
【0011】
第3級アミノ基を有するビニル共重合体は塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、(メタ)アクリル酸、コハク酸等の酸で中和された後、エポキシ基とα,β−不飽和二重結合とを有する化合物を付加させることにより反応性水可溶樹脂となる。
エポキシ基とα,β−不飽和二重結合とを有する化合物の付加量は、使用形態に応じて任意に選択できるが、おおむね第3級アミノ基1モルに対してエポキシ基0.01〜1モルの範囲が適当である。0.01モル未満では、得られる反応性水可溶樹脂の架橋性能が乏しくなる。エポキシ基とα,β−不飽和二重結合とを有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル等が挙げられる。
【0012】
反応性水可溶樹脂で被覆される顔料は、有機顔料及び無機顔料のいずれでもよく、体質顔料や金属顔料も含む。有機顔料としては、例えば、マダーレーキ、ロッグウッドレーキ、コチニールレーキ等の天然染料系顔料、ナフトールグリーンB、ナフトールグリーンY等のニトロソ系顔料、ナフトールS、リソールファストイエロー2G等のニトロ系顔料、パーマネントレッド4R、ブリリアントファストスカーレット、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー等の不溶性アゾ系顔料、リソールレッド、レーキレッドC、レーキレッドD等の難溶性アゾ系顔料、ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッドF5R、ピグメントスカーレット3B、ボルドー10B等の可溶性アゾ系顔料、フタロシニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー等のフタロシアニン系顔料、ローダミンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の塩基性染料系顔料、ピーコックブルーレーキ、エオシンレーキ、キノリンイエローレーキ等の酸性染料系顔料、インダンスレンブルー、チオインジゴマルーン等の建染料系顔料、アリザリンレーキ等の媒染料系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット、イソインドリノンイエロー、ジオキサジンバイオレット、アニリンブラック、有機蛍光顔料などが挙げられる。
【0013】
無機顔料としては、例えば、クレー、バライト、雲母、黄土等の天然物、黄鉛、亜鉛黄、バリウム黄等のクロム酸塩、紺青等のフェロシアン化物、銀朱、カドミウム黄、硫化亜鉛、アンチモン白、カドミウムレッド等の硫化物、硫酸バリウム、硫酸鉛、硫酸ストロンチウム等の硫酸塩、亜鉛華、チタン白、ベンカラ、鉄黒、酸化クロム等の酸化物、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ケイ酸カルシウム、グンジョウ等のケイ酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、カーボンブラック、松煙、ボーンブラック、グラファイト等の炭素、アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末等の金属粉、ヒ酸塩、燐酸塩などが挙げられる。
【0014】
本発明の被覆顔料は、反応性水可溶樹脂の水ないしアルコール含有水の酸性溶液と顔料とを均一に混合分散させて反応性水可溶樹脂を顔料表面に吸着させ顔料を被覆することにより得られる。ここで用いる顔料は、乾燥顔料であっても、水または有機溶剤を含んだ湿潤状態の顔料であってもよい。
さらに、顔料を反応性水可溶樹脂で被覆した後、ラジカル開始剤を加えて樹脂間の架橋を行うことにより、樹脂を顔料に固定化させることが好ましい。
また、反応性水可溶樹脂を顔料に吸着させる際にアルカリを添加し、系をアルカリ性として樹脂を不溶化させ吸着効率を上げても良い。その際のpHは、用いる反応性水可溶樹脂に依存し一概には規定できない。また、添加するアルカリ種についても特に限定はなく一般に用いられているものでよい。
【0015】
反応性水可溶樹脂の使用量は、使用する顔料の粒径すなわち比表面積に依存すると共に、その顔料の使用形態にも依存する。樹脂量は樹脂壁の厚みと樹脂壁の強度に影響を与えるため、樹脂壁の損傷が予測される場合、例えば、高顔料濃度で高剪断下にさらされる場合には量を多くすることが好ましい。しかし、あまり量を増やすと樹脂単独の凝集体を生じさせたりして最終製品の物性に悪影響を及ぼす恐れがある。また、少なすぎても被覆が不完全となり十分な効果が得られない。反応性水可溶樹脂の量はおおむね、顔料100部に対し0.5〜50重量部である。
【0016】
上記混合物を均一に混合分散させるには、一般の合成等に用いられる撹拌羽根を用いることができるが、乾燥顔料などの用いる顔料が著しく凝集している場合には、サンドミル,アトライター,ビーズミル,コロイドミル,ボールミル,超音波破砕機やホモミキサー等の分散機を用いてもよい。また、この際に分散助剤として極少量の界面活性剤を添加してもよい。
得られた被覆顔料の水性分散体は、そのまま用いても良いし、ろ別乾燥、スプレードライヤーあるいは凍結乾燥等により乾燥して用いることもできる。また、アンモニア、苛性ソーダなどのアルカリを加え非水分散性とすることもできる。
【0017】
本発明の被覆顔料は、酸可溶型の水性樹脂で被覆されているため、酸性水溶液中での分散に優れており、水性インキや水性塗料等への使用に極めて有用である。さらに、顔料を被覆架橋後に、残存する第3級アミノ基に再びエポキシキ基とα,β−不飽和二重結合とを有する化合物を付加させることにより反応性被覆顔料を得ることもでき、UVインキやUV塗料等への使用にも極めて有用である。
また、本発明の被覆顔料は、分散性が優れるため、熱可塑性樹脂等の着色に用いられる顔料組成物にも好適に用いられる。
【0018】
【実施例】
以下の実施例で本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例および比較例において、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ意味する。
(反応性水可溶樹脂の合成例1)
ラウリルメタクリレート360部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート150部、イソプロピルアルコール320部をセパラブルフラスコに仕込み、錨型攪拌羽根で分速200回転で攪拌し、窒素雰囲気下80℃に昇温後、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(以降AIBNと略記する)4部を加え重合を開始した。重合を開始して4時間後、さらにAIBNを1部加えて2時間保持した後、空気をバブリングして空気雰囲気下に戻し、酢酸60部とグリシジルメタクリレート81.5部(第3級アミノ基1モルに対してエポキシ基0.6モルの割合)を加え、2時間保持して重合を完結せしめ、固形分60.9%の樹脂溶液を得た。
【0019】
(反応性水可溶樹脂の合成例2)
スチレン360部、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート275部、イソプロピルアルコール497.8部をセパラブルフラスコに仕込み、錨型攪拌羽根で分速200回転で攪拌し、窒素雰囲気下80℃に昇温後、AIBN4.7部を加え重合を開始した。重合を開始して4時間後、さらにAIBNを1 .2部加えて2時間保持した後、空気をバブリングして空気雰囲気下に戻し、酢酸90部とグリシジルメタクリレート210.8部(第3級アミノ基1モルに対してエポキシ基1モルの割合)を加え、2時間保持して重合を完結せしめ、固形分59.0%の樹脂溶液を得た。
【0020】
(反応性水可溶樹脂の合成例3)
イソプロピルアルコール1406部、エタノール1406部エチレングリコールモノメチルエーテル694部をセパラブルフラスコに仕込み、窒素雰囲気下80℃に昇温後、メチルメタクリレート100部、エチルアクリレート80部、アクリルアミド14.2部、メタクリル酸ピペリジノエチル197部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート150部、AIBN7.9部よりなる混合物を約2時間かけて滴下し、さらに2時間加熱を続けAIBNを4部加えて2時間保持した後、空気をバブリングして空気雰囲気下に戻し、酢酸60部とグリシジルメタクリレート1.36部(第3級アミノ基1モルに対してエポキシ基0.01モルの割合)を加え、2時間保持して重合を完結せしめ、固形分30.1%の樹脂溶液を得た。
【0021】
(製造例1)
反応性水可溶樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液41部と水5000部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、フタロシアニン顔料「リオノールブルーFG7351」(東洋インキ製造社製)500部を投入し、4時間撹拌を続けた。その後、系内を窒素置換した後、AIBN0.25部を添加し4時間熟成した後、濾過水洗し、80℃で24時間乾燥して乾燥被覆顔料を得た。
【0022】
(製造例2)
反応性水可溶樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液41部と水5000部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、フタロシアニン顔料の水性湿潤ケーキ「リオノールブルーFG7334P」(東洋インキ製造社製,顔料分46%)1087部を投入し、4時間撹拌を続けた。その後、系内を窒素置換した後、AIBN0.25部を添加し4時間熟成した後、これを入口温度220℃,出口温度100℃に調整したスプレードライヤーで乾燥し、乾燥被覆顔料を得た。
【0023】
(製造例3)
反応性水可溶樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液41部と水5000部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、フタロシアニン顔料の水性湿潤ケーキ「リオノールブルーFG7334P」(東洋インキ製造社製,顔料分46%)1087部を投入し、4時間撹拌を続けた。その後、入口温度220℃,出口温度100℃に調整したスプレードライヤーで乾燥し、乾燥被覆顔料を得た。
【0024】
(製造例4)
反応性水可溶樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液41部と水5000部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、キナクリドン顔料「ファストゲン スーパー マゼンタ RE03」(大日本インキ化学工業社製)500部を投入し、3時間ホモミキサーで分散を行った。希水酸化ナトリウムを加えてpH9とし、さらに2時間撹拌を続けた。系内を窒素置換した後、AIBN1.5部を添加し4時間熟成し、被覆顔料の水性分散体を得た。濾過水洗し、80℃で24時間乾燥して乾燥被覆顔料を得た。
【0025】
(製造例5)
反応性水可溶樹脂の合成例2で得られた樹脂溶液4.1 部とイソプロピルアルコール500部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、酸化チタン「タイペークCR−80」(石原産業社製)500部を投入し、2時間撹拌を続けた。その後、系内を窒素置換した後、AIBN0.25部を添加し4時間熟成した後、濾過水洗し、80℃で24時間乾燥して乾燥被覆顔料を得た。
【0026】
(製造例6)
反応性水可溶樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液410部と水5000部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、弁柄「トダカラー180ED」(戸田工業社製)500部を投入し、4 時間撹拌を続けた。さらにその後、系内を窒素置換した後、AIBN0.25部を添加し4時間熟成した後、濾過水洗し、80℃で24時間乾燥して乾燥被覆顔料を得た。
【0027】
(製造例7)
反応性水可溶樹脂の合成例3で得られた樹脂溶液333.3部と水5000部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、縮合アゾイエロー顔料「クロモフタルイエローGR」(チバ・ガイギー社製)500部を投入し、4時間撹拌を続けた。その後、系内を窒素置換した後、AIBN0.25部を添加し4時間熟成した後、濾過水洗し、80℃で24時間乾燥して乾燥被覆顔料を得た。
【0028】
(製造例8)
フタロシアニン顔料「リオノールグリーン 2Y−301」(東洋インキ製造社製)500部を用いた以外は、製造例4と同様にして乾燥被覆顔料を得た。
【0029】
(製造例9)
反応性水可溶樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液41部と水4148部を反応容器に入れ80℃で撹拌下、ベンジジンイエロー顔料の水性湿潤ケーキ「リオノールイエローGGT」(東洋インキ製造社製,顔料分37%)1351部を投入し、4 時間撹拌を続けた。その後、系内を窒素置換した後、AIBN0.25部を添加し4時間熟成した後、濾過水洗し、被覆顔料の水性湿潤ケーキを得た。
【0030】
(製造例10)
キナクリドン顔料「ファストゲン スーパー マゼンタ RE03」の代わりにキナクリドン顔料「シンカシャレッドYRT759D」(チバ・ガイギー社製)を用いた以外は、製造例4と同様にして乾燥被覆顔料を得た。
(製造例11)
キナクリドン顔料「ファストゲン スーパー マゼンタ RE03」の代わりに群青「グンジョウ#2000」(第一化成工業社製)を用いた以外は、製造例4と同様にして乾燥被覆顔料を得た。
【0031】
(製造例12)
キナクリドン顔料「ファストゲン スーパー マゼンタ RE03」の代わりにカーボンブラック「三菱カーボン#10」(三菱化学社製)を用いた以外は、製造例4と同様にして乾燥被覆顔料を得た。
(製造例13)
キナクリドン顔料「ファストゲン スーパー マゼンタ RE03」の代わりにカーボンブラック「三菱カーボンMA−100」(三菱化学社製)を用いた以外は、製造例5と同様にして乾燥被覆顔料を得た。
【0032】
(製造例14)
反応性水可溶樹脂樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液41部と水5000部を反応容器に入れ80℃撹拌下、カーボンブラック「三菱カーボンMA−100」(三菱化学社製)500部を投入し、4時間撹拌を続けた。その後、系内を窒素置換した後、AIBN0.25部を添加し4時間熟成した後、空気をバブリングして系内を空気置換し、グリシジルメタクリレート3.4部を添加し2時間後、濾過水洗し、80℃で24時間乾燥して乾燥被覆顔料を得た。
【0033】
(実施例1)
製造例1で得られた被覆顔料の熱可塑性樹脂中での分散を確認するために、以下の手順でマスターバッチを作製し評価した。
製造例1で得られた被覆顔料 40部
ポリエチレン「三菱ポリエチUJ790G」(三菱化学社製)60部
上記2成分をニーダーで混練し、スクリュー直径65mmの押出成形機でペレット化し、マスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。
ポリプロピレン「三井ノーブレンJH−G」(三井石油化学工業社製)100部に、得られたマスターバッチ2部を混合して、縦型テスト紡糸機(富士フィルター社製スピニングテスター)にて、ホッパー下230℃、混練部、ダイス部230℃にて紡糸後3倍延伸を行い、5デニールのポリプロピレン繊維を得た。紡糸性、目詰まり性、延伸性共問題なく良好な分散性を示した。
【0034】
未分散顔料の目詰まり性を比較するために、得られたマスターバッチ23.3部をポリプロピレン「三井ノーブレンJH−G」100部に混合し、先端に500メッシュの金網を装着したスクリュー径が30mmの単軸押出機で混合物を3Kg押し出し、先端部での圧力上昇値を測定し、未分散顔料の目詰まり性をそれぞれ評価した。また、顔料の分散発色性を比較するために、得られたマスターバッチ2部を酸化チタンマスターバッチ「TET12534W−T」(東洋インキ製造社製)5部とポリプロピレン「三井ハイポールJ800」(三井石油化学工業社製,メルトフローレート:22)100部に配合したものを2本ロールミルで混練し冷却プレスで2mm厚のプレートに成形した。次に、色差計KURABO Color−7E(KURABO社製)を用いて波長640nmの反射率を測定し、その反射率におけるKubelka−Munk関数値(k/s値)を求め発色強度とした。以上の結果を表1に示す。
【0035】
さらに、メルトフローレート:6.5のポリエチレン「ハイゼックス2100J」(三井石油化学工業社製)100部に、得られたマスターバッチ3部を混合して、射出成形機にて背圧0Kg/cm2 でプレートに成形した。得られた成形品の機械的物性,表面の色ムラおよび顔料分散性度を評価した結果およびマスターバッチの生産性を表2にまとめる。
【0036】
(実施例2〜3)
製造例1で得られた被覆顔料の代わりに製造例2〜3で得られた被覆顔料を用いた以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。さらに、得られたマスターバッチを用いて実施例1と同様に紡糸を行ったところ目詰まり性、延伸性共問題なく良好な分散性を示した。
実施例1と同様に各種評価をし、結果を表1、2に示す。
【0037】
(比較例1)
製造例1で得られた被覆顔料の代わりに未処理のフタロシアニン顔料「リオノールブルーFG7330」を用いた以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。しかし、得られたマスターバッチを用いて実施例1と同様に紡糸を行ったところ目詰まりによる糸切れが発生した。
実施例1と同様に各種評価をし、結果を表1、2に示す。
【0038】
(比較例2)
製造例1で得られた被覆顔料の代わりに、未処理のフタロシアニン顔料の水性湿潤ケーキ「リオノールブルーFG7334P」を80℃で24時間乾燥させたものを用いた以外は実施例1と同様にしてマスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。しかし、得られたマスターバッチを用いて実施例1と同様に紡糸を行ったところ目詰まりによる糸切れが発生した。
実施例1と同様に各種評価をし、結果を表1、2に示す。
【0039】
(実施例4)
製造例4で得られた被覆顔料 20部
ポリエチレン「UJ790G」
(三菱化学社製,メルトフローレート:50) 65部
ポリエチレンワックス「NL500」
(三井石油化学工業社製) 15部
上記3成分を3本ロールミルで混練し、スクリュー直径65mmの押出成形機でペレット化し、マスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。
タルク20%を含有するポリエチレン組成物100部に、得られたマスターバッチ3部を混合して、射出成形機にて背圧0Kg/cm2 でプレートを成形し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2にまとめる。
【0040】
(実施例5)
ポリエチレン「スミカセンG−808」
(住友化学工業社製,軟化温度:78℃) 40部
製造例5で得られた被覆顔料 20部
製造例6で得られた被覆顔料 40部
上記3成分を3本ロールミルで混練し、スクリュー直径65mmの押出成形機でペレット化し、マスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。実施例5と同様にしてプレートを成形し各種評価をした。結果を表2に示す。
【0041】
(実施例6)
製造例7で得られた被覆顔料 10部
ポリエチレン「スミカセンG−801」
(住友化学工業社製,軟化温度83℃) 90部
上記2成分を3本ロールミルで混練し、スクリュー直径65mmの押出成形機でペレット化し、マスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂「サンテックEVA」(旭化成工業社製)100部に、得られたマスターバッチ10部を混合して、射出成形機にて背圧0Kg/cm2 でプレートに成形し、実施例1と同様にして、各種の評価をした。結果を表2にまとめる。
【0042】
(実施例7)
製造例8で得られた被覆顔料 5部
ポリエチレン「ペトロセン 356」
(東ソー社製,メルトフローレート:100) 95部
上記3成分を3本ロールミルで混練し、スクリュー直径65mmの押出成形機でペレット化し、マスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。ポリプロピレン系樹脂「三井ハイポールJ740」(三井石油化学工業社製)100部に、得られたマスターバッチ10部を混合して、射出成形機にて背圧0Kg/cm2 でプレートに成形し、実施例1と同様にして、各種の評価をした。結果を表2にまとめる。
【0043】
(比較例3〜6)
実施例4〜7において被覆顔料の代わりに処理前の顔料を用いた以外は同様である。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
*1 無着色樹脂の機械物性(100%)に対するマスターバッチで着色された樹脂 の機械的物性の保持率。
○:96%以上
△:90〜96%
×:90%未満
*2 成型品表面の色ムラを目視で評価した。
○:色ムラなし
△:色ムラ少々あり
×:色ムラ顕著
【0046】
*3 被着色樹脂 100部とマスターバッチ 3部を配合した混練物をプレス温度 170℃の条件下でプレス加工し、 0.1mm厚さのフィルムを得た。得られたフィルム中の顔料の粗大粒子の大きさとその数をLuzex450画像処理機(東洋インキ製造社製)で測定した。
5:50μm以下の粒子数 700個/cm2 未満
4:50μm以下の粒子数 700〜1000個/cm2
3:50μm以下の粒子数 1000〜7000個/cm2
2:50μm以下の粒子数 7000〜 27000個/cm2
1:50μm以下の粒子数 27000個/cm2 以上
*4 スクリュー直径65mmの押出成型機によるマスターバッチの生産性。
○:良好
×:不良
【0047】
(実施例8)
ロジン変成フェノール樹脂「タマノール361」(荒川化学社製)50部に対しアマニ油20部、インキ溶剤「5号ソルベント」(日本石油社製)30部を加え、200℃に加熱して溶解させた。このビヒクル98部にオクチル酸アルミニウム2部を加えオフセットインキ用ビヒクルとした。
オフセットインキ用ビヒクル70部を紙コップに入れ、これに製造例1で得られた被覆顔料20部を加え均一になるよう混合撹拌してプレミックスインキを作成した。このプレミックス用インキを3本ロールで練肉すると2パスで粗粒子が消失したのに対し、未処理の顔料では4パスで粗粒子が消失した。このことは被覆処理により分散性が向上したことを示唆している。
また、タック9.0〜9.5に調整したインキをアート紙へ展色刷りし60度光沢値を測定したところ、未処理顔料使用時に比べ処理顔料を用いた場合は5.0%高光沢であった。
【0048】
(実施例9)
実施例8で用いたオフセットインキ用ビヒクル70部を紙コップに入れ、これに製造例7で得られた被覆顔料20部を加え均一になるよう混合撹拌してプレミックスインキを作成した。このプレミックス用インキを3本ロールで練肉すると2パスで粗粒子が消失したのに対し、未処理の顔料では4パスで粗粒子が消失した。このことは被覆処理により分散性が向上したことを示唆している。
また、タック9.0〜9.5に調整したインキをアート紙へ展色刷りしたときの光沢は、未処理顔料使用時に比べに比べ処理顔料を用いた場合は4.3%高光沢であった。
【0049】
(実施例10)
製造例8で得られた被覆顔料10部、ライムロジン系ワニス(固形分20%、トルエン75%、可塑剤5%)90部及び直径3mmのガラスビーズを220ccのマヨネーズビンにいれ、ペイントコンディショナーで30分間分散して濃色インキを得た。濃色インキの60度光沢値を測定したところ、未処理の顔料使用時に比べ4%高光沢であった。また、ザーンカップ#3で粘度を測定したところ未処理の顔料使用時には46秒であったのに対し被覆顔料使用時には33秒であった。
【0050】
(実施例11)
製造例11で得られた被覆顔料8部、アルキッド樹脂ワニス「フタルキッド235−50」(日立化成工業社製)20部、メラミン樹脂ワニス「メラン28」(日立化成工業社製)10部、キシレン50部およびシンナー12部を直径2mmのスチールビーズと共に220ccのマヨネーズビンに入れペイントコンディショナーで30分間分散して油性塗料を作成した。これをブリキ板にスプレーコーターで塗布し、200℃で10分間焼き付けを行った。塗面の60度光沢値を測定したところ、未処理の顔料使用時に比べ5%高光沢であった。
【0051】
(実施例12)
m−キシレンビスステアリン酸アミド「スリパックスZXS」
(日本化成社製) 100部
製造例12で得られた被覆顔料 10部
負帯電制御剤「ポントロンE81」(オリエント化学社製 ) 3部
ポリプロピレンワックス「ビスコール550P」
(三洋化成工業社製) 2部
ポリスチレン「エスプライト2V」(昭和電工社製) 5部
上記5成分を混合し、2本ロールミルで130℃で加熱混練をしてミルベースを得、これをハンマーミルで粗粉砕し、続いてジェットミルで微粉砕した後分級して、平均粒子径13μmのトナー(着色樹脂組成物)を得た。得られたトナーを酸化鉄粉「EFV200」(日本鉄粉社製)をキャリアとして混合し、トナー濃度5%の現像剤を作成した。
【0052】
(実施例13)
製造例12で得られた被覆顔料の代わりに製造例13で得られた被覆顔料を用いた以外は、実施例12と同様である。
(比較例7)
製造例12で得られた被覆顔料の代わりに未処理のカーボンブラック「三菱カーボン#10」を用いた以外は、実施例12と同様である。
【0053】
実施例12〜13及び比較例7で得られた現像剤を複写機「NC3000」(コピア社製)を改造した現像機に入れて、A4用紙で1/3が黒べたの未定着画像を作成した。続いてこれを上部がテフロン、下部がシリコンゴムの加熱ロール式定着試験機を用い、ロール温度が100〜240℃まで段階的に変化させ、線速800cm/分で通して定着評価を行った。定着性は、定着画像にセロテープを貼って引き剥がし、そのID(画像濃度)を測定することにより判定した。ホットセット温度は、黒べた部と接したロール部分が、白抜け部と再度接した部分のIDを測定し、他の白抜け部のIDより5%以上増加した最低温度とした。更に複写機「NC3000」(コピア社製)を用いて温度30℃−湿度80%の条件下で連続複写試験を行った。また得られた現像剤の貯蔵安定性を温度50℃−湿度80%で24時間の条件下で評価した。詳細な結果は表3に示した。
【0054】
【表3】
【0055】
【0056】
(実施例14)
製造例9で得られた被覆顔料の水性湿潤ケーキ(顔料分:37%)1030部
エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂「ソアライトK」
(日本合成化学工業) 40部
ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ 5部
キシレン 90部
水 600部
上記5成分をディスパーに入れ、混合分散して顔料水性ペーストを作成した。
次にこの顔料水性ペーストをフラッシャーに入れ、150℃に昇温しながら撹拌した。水分は蒸発し、内容物が高粘度となってきたところで取り出し、スプレードライヤーで乾燥させて着色樹脂組成物を得た。
得られた着色樹脂組成物17部にカルナバワックス(mp:83℃)79部、パラフィンワックス(mp:55℃)17部及びポリスチレン樹脂「エスブライト500SB」(住友化学工業社製)のキシレン15%溶液113部を加え、ガラスビーズの入ったアトライターで2時間分散して感熱インキを作成した。この感熱インキを厚さ6mmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ソルベントコーティング法によって、乾燥後の塗布厚が4μmとなるように100℃2分間の条件で塗工して、熱転写記録媒体を得た。塗工性は良好であった。
【0057】
(比較例8)
製造例9で得られた被覆顔料の水性湿潤ケーキの代わりに未処理のベンジジンイエロー顔料の水性湿潤ケーキ「リオノールイエローGGT」を用いた以外は、実施例14と同様にして感熱インキを作成し、感熱転写記録媒体を得た。
【0058】
(実施例15)
マイクロクリスタリンワックス(mp:75℃) 70部
製造例11で得られた被覆顔料 20部
エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂「DQDJ−7197」
(日本ユニカー社製,メルトフローレート:350) 10部
上記2成分を混合し、3本ロールミルで160℃で加熱混練をしてミルベース(着色樹脂組成物)を得た。得られたミルベースを実施例14と同様にして感熱インキを作成し、感熱転写記録媒体を得た。塗工性は良好であった。
【0059】
(比較例9)
製造例11で得られた被覆顔料の代わりに未処理の群青「グンジョウ#2000」を用いた以外は、実施例15と同様にして感熱インキを作成し、感熱転写記録媒体を得た。
【0060】
実施例14、15及び比較例8、9で得られた感熱転写記録媒体について、転写エネルギー感度及び転写画像品質を温度:60〜140℃、圧力:2kg/cm、熱圧着時間:3秒の条件下で熱傾斜試験器「HG−100」(東洋精機製作所社製)と、印字速度:60字/秒、8ドットのサーマルヘッドを持つ高密度のサーマルプリンターとで評価した。受像紙としては熱転写紙を使用した。詳細な結果は表4に示す。
【0061】
【表4】
【0062】
(実施例16)
製造例14で得られた被覆顔料20部、ベンゾフェノン5部、ハイドロキノン0.5部、アルキッド樹脂ワニス「フタルキッド235−50」(日立化成工業社製)20部、トリメチロールプロパントリアクリレート55. 5部を直径3mmのガラスビーズを220ccのマヨネーズビンにいれ、ペイントコンディショナーで30分間分散した。これをブリキ板にスプレーコーターで塗布し、60mJ/cm2 の紫外線を照射した。光沢、色目共に良好な塗膜を得た。未処理の顔料について同様な試験を行ったところ硬化不良で光沢、色目共に不良であった。
【0063】
(実施例17)
製造例2で得られた被覆顔料12部、クレー3部、反応性水可溶樹脂の合成例1で得られた樹脂溶液32部、水45.5部、80%酢酸0.5部を220ccのマヨネーズビンに入れ、ペイントコンディショナーで30分間分散してフレキソインキを得た。
得られたインキを70℃で72時間保存し、保存前と保存後のインキを希釈用白インキで30倍希釈して淡色インキを作成し着色力を比較したところ変化は認められなかった。
【0064】
【発明の効果】
本発明の被覆顔料は、顔料含有率の高低にとらわれず、顔料分散性に優れており、高度な顔料分散を要求される繊維製品や感熱インキ、印刷インキ、塗料、現像剤等の着色において、その光沢、色相の鮮明さ及び着色性に大きな効果を発揮するものである。また、従来、多かった分散不良によるブツや色ムラ等の塗膜欠陥もなく、良好な塗膜が得られる等、塗加工性にも優れており、良好な塗膜物性を得られるものである。また、成形材料である熱可塑性樹脂の着色においても極めて有効であり、高分散、高発色を示し、色ムラのない着色が可能となる。
Claims (5)
- 顔料を、第3級アミノ基を有するビニル共重合体の中和物にエポキシ基とα,β−不飽和二重結合とを有する化合物を付加させた反応性水可溶樹脂で被覆してなる被覆顔料。
- 反応性水可溶樹脂が、第3級アミノ基を有するビニル共重合体の中和物に、第3級アミノ基1モルに対してエポキシ基0.01〜1モルの割合で、エポキシ基とα,β−不飽和二重結合とを有する化合物を付加させた樹脂であることを特徴とする請求項1記載の被覆顔料。
- 顔料100重量部に対して、0.5〜50重量部の反応性水可溶樹脂で被覆することを特徴とする請求項1または2記載の被覆顔料。
- 請求項1ないし3いずれか1項に記載の被覆顔料を含む着色用顔料組成物。
- 請求項1ないし3いずれか1項に記載の被覆顔料を含む被覆剤。
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