JP2007119682A - 活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物 Download PDF

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Koichi Nobuto
浩一 延藤
Masayoshi Takatake
正義 高武
Eiji Mihashi
栄治 三橋
Kazutaka Tai
一孝 田井
Wataru Suenaga
渉 末永
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Abstract

【課題】導電性粉末が良好に分散されることにより導電性に優れるとともに、流動特性が優れることからスクリーン印刷やフレキソ印刷などにおける印刷適性に優れる活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物を提供する。
【解決手段】導電性粉末と、活性エネルギー線硬化型樹脂と、希釈剤とを必須成分として含有する活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物において、活性エネルギー線硬化型樹脂として、多官能ウレタンアクリレートを使用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などで印刷することが可能であり、電子機器などに用いられるプリント配線にも利用でき、導電性と印刷精度が共に優れ、紫外線や電子線などの活性エネルギー線によって加熱なしで硬化することが可能な活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物に関する。
従来、導電性塗料には大きく分けて(1)良好な導電性を実現できるが、基材がセラミック等に限られる高温焼結型導電性塗料と、(2)ガラス、エポキシ製プリント基板からフィルムにまで広く適用できるが、バインダー硬化時の熱収縮による金属粉末の粒子同士の接触により導通を得るために、電気抵抗が比較的高いポリマー型導電性塗料とがある。
いずれも100℃を超過する加熱が必要であり、熱に弱い基材に応用できなかったり、工程に関する制限を受ける。
紫外線、電子線などの活性エネルギー線によって硬化、乾燥が可能な活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物は、加熱の必要がなく、工業的に有用である。
この活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物に使用される導電性粉末は、空気中で酸化しない金、白金、銀、パラジウムなどの金属を用いることができるが、一般に銀または銀化合物が多く用いられる。
印刷密度、印刷精度の向上は、導電性粉末の平均粒径によって制限され、導電性にも影響する。このため良好な印刷精度を得るためには導電性粉末を1次粒子まで分散させる必要があり、前記導電性粉末の1次粒子を樹脂等により完全に被覆し高分散化させることが求められる。また、分散度が不十分であり被覆されていない表面が存在する場合、導電性粉末の凝集、経時安定性の悪化(増粘)、極端な場合はインキのゲル化、固形化が発生する可能性もある。
このように、安定した分散性は重要であるが、その一方で導電性粉末の各粒子を被覆するビヒクル成分が導電性粉末の粒子間に必要以上に厚く存在する場合には、電気伝導性を阻害する傾向となる。また、使用される導電性粉末の粒度が小さいほど、この傾向が高くなる。また、ビヒクル量が多いほどインキ組成物のチキソ性が低くなり過ぎ(すなわち、流動性が高くなり過ぎ)、印刷後のインキ組成物がたれやすくなったり、印刷した細線間のスペースが埋まるなどの問題が発生する。
従って、導電性粉末の分散に使用される樹脂量(ビヒクル量)は必要最低限が好ましく、より少量のビヒクルを使用した状態にて、銀粉末に代表される導電性粉末の分散性や、版からの転移性、基材(被印刷体)への転移性、印刷されたインキ組成物のレベリング性などが確保されることが理想的である。
従来、導電性粉末のビヒクル中への分散性を向上させるため、下記のごとき様々な分散剤が用いられている。(1)非イオン性分散剤:例えば、高級脂肪酸のエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加物のエステル化合物、ソルビタンと脂肪酸のエステル化合物、ソルビタン等の多価アルコールのエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加物のエーテル化合物、アルキルベンゼンのエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加物等、(2)アニオン系分散剤:例えばアルキルベンゼンスルフォン酸アルカリ塩、高級アルコール硫酸エステルアルカリ塩、リン酸エステル化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸のエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加物のサルファートアルカリ塩等、(3)カチオン系分散剤:例えば4級アンモニウム塩タイプ等。
しかし、これらの分散剤を使用しても、従来の分散方法、例えば分散機や混練機を用いて樹脂中に導電性粉末を分散させる方法では、良好な分散性を維持しつつ、導電性を充分に向上させることができなかった。
特に、真比重が10.5である銀粉末等の沈降性を回避して分散させることは困難で、混合するビヒクル量はできるだけ多く、溶剤量はできるだけ少ない方が好ましいが、分散を進行させることは容易ではなく、仮に分散が進んでもビヒクル量が多いためニュートン流体のような挙動を示す。その結果、印刷後の膜厚を厚くすると印刷塗膜がたれて印刷形状が山状になるため印刷精度が上がらず、また印刷塗膜の比抵抗も低下しないなどの問題があった。
このような課題に対して、例えば銀粉末等の導電性粉末と、有機ビヒクルと、アルキル基を含むスルホコハク酸塩とからなるアニオン性界面活性剤を用いることによって、良好な分散性と経時安定性を得る試みが行われている(特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載された方法を用いただけでは、沈降した銀粉末等の再分散性を向上させるには不十分であった。また、分散に利用されるビヒクル量も必要最小限にまで減少されておらず、導電性についても不十分であった。
一方、金属粉末を用いた分散液の製造においては、真空凍結乾燥法が用いられており、例えば電解コンデンサ用陽極素子を作製するためのタンタル粉塗料の製造において、タンタル粉と分散剤を溶剤中に混合し真空凍結乾燥を行ってタンタル表面に前記分散剤を吸着させる方法が知られている(特許文献2参照)。
しかし、同じ金属分散液といっても特性も用途も大きく異なる導電性インキ組成物の製造に真空凍結乾燥を適用した例は無く、分散性と導電性の関係についても示唆されてはいない。ましてや良好な導電性を発現するための分散剤の選択についても全く開示されていない。
近年、活性エネルギー線で硬化する導電性インキ組成物についての報告例がある。例えば、特許文献3、4、5には、銀粉と活性エネルギー線硬化性化合物(モノマー)とバインダーポリマーを組み合わせる例が挙げられている。これらの文献で活性エネルギー線硬化性化合物としては、多数の単官能(メタ)アクリレート系化合物、多官能(メタ)アクリレート系化合物、ビニルエーテル化合物などが挙げられている。また、バインダーポリマーとしては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂など、多数の樹脂が挙げられている。しかし、どのようなモノマー、バインダーポリマーを組み合わせた場合にその導電性が最も高くなるよう最適化できるかの知見については説明されていない。なお実施例においては、6官能ウレタンアクリレートとHDDA(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)、NPGDA(ネオペンチルグリコールジアクリレート)、TPGDA(トリプロピレングリコールジアクリレート)などの2官能アクリレートと4−HBA(4―ヒドロキシブチルアクリレート)との組み合わせが良好な導電性を与えるとしているが、硬化後の導電性インキ組成物の厚みが23μm〜35μmの範囲において最も低い体積抵抗値が1.49×10-4Ω・cmであり、工業的に利用するのに充分といえる導電性には達していない。
特開2000−231828号公報 特開2004−006502号公報 特開2001−064547号公報 特開2002−072468号公報 特開2003−110225号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、導電性粉末が良好に分散されることにより導電性に優れるとともに、流動特性が優れることからスクリーン印刷やフレキソ印刷などにおける印刷適性に優れる活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物を提供することを課題とする。
本発明は、導電性粉末と、活性エネルギー線硬化型樹脂と、希釈剤とを必須成分として含有する活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物であって、前記活性エネルギー線硬化型樹脂が多官能ウレタンアクリレートからなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物を提供する。
本発明では、活性エネルギー線硬化型樹脂(オリゴマー)として、多官能ウレタンアクリレートを使用することにより、フレキソ印刷法やスクリーン印刷法にて印刷をする場合に好適な流動特性を与え、良好な印刷特性を付与すると同時に、基材に対する密着不良や曲げに対して割れ難くなるよう改善することができる。
本発明に用いる導電性粉末では、界面活性剤の存在下で導電性粉末を分散用溶剤中に分散させた分散液を真空凍結乾燥する処理によって該導電性粉末の粒子の表面に界面活性剤を吸着させることにより、1次粒子にまで解砕した導電性粉末の表面に界面活性剤を効率的に吸着させることができる。このため、一般に加熱硬化型導電性インキ組成物よりも導電性が劣るとされる活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物の導電性を、加熱硬化型導電性インキ組成物の導電性に近い水準まで向上させることができる。
以下、最良の形態に基づき、本発明を詳しく説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物は、導電性粉末と、希釈剤と、活性エネルギー線硬化型樹脂とを必須成分として含有し、かつ前記活性エネルギー線硬化型樹脂が多官能ウレタンアクリレートからなることを特徴とする。
(導電性粉末)
本発明で使用できる導電性粉末としては、一般的な導体として扱われる金属の粉末は全て利用することができる。例えばニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、クロム、プラチナ、パラジウム、タングステン、モリブデン等、及びこれら2種以上の合金、あるいはこれら金属の化合物で良好な導電性を有するもの等が挙げられる。特に銀または銀化合物よりなる銀粉末は、安定した導電性を実現し易く、また熱伝導特性も良好なため好ましい。
本発明で使用する銀粉末としては、純銀粉、銀で表面被覆された金属粒子、またはこれらの混合物を用いることができる。銀粉としては、球状、鱗片状、針状、樹枝状など任意の形状のものを用いることができる。銀粉の製造方法について特に制限はないが、機械的粉砕法、還元法、電解法、気相法など任意である。銀で表面被覆された金属粒子は、銀以外の金属からなる粒子の表面に、メッキなどの方法により銀の被覆層を形成したものである。銀粒子としては、導電性とコスト面から見て、銀のみからなる球状銀粉及び鱗片状銀粉が好ましい。さらに印刷適性などの観点から、鱗片状のものが好ましい。
銀粒子として鱗片状のものを使用する場合、導電性粉末の体積平均粒径は0.05〜50μmの範囲にあることが必要である。より好ましくは0.05〜30μm程度である。印刷方式にもよるが、スクリーン印刷法の場合に粒径が30μmを著しく超える粒子が多く含まれると版詰まりする可能性が高くなる。またフレキソ印刷法の場合には、アニロックスロールの目詰まりを考慮すると体積平均粒径は10μm以下が望ましい。銀粒子として、体積平均粒径が異なる大小2種類またはそれ以上の粒子を組み合わせて、銀の充填密度を向上させることにより、導電性膜の導電性を向上させてもよい。
(界面活性剤を吸着させた導電性粉末)
本発明では、導電性粉末の樹脂への分散性等を改善するため、上述の導電性粉末の粒子表面に界面活性剤を吸着させたものを導電性粉末として用いることが好ましい。このような導電性粉末は、(1)界面活性剤の存在下で導電性粉末を分散用溶剤中に分散させ分散液を製造する分散工程と、(2)前記分散液を真空凍結乾燥させる乾燥工程を有する製造工程により製造することが可能である。
(1)分散工程
上記分散工程においては界面活性剤の存在下において導電性粉末を溶剤中に分散させる。ここで導電性粉末の表面処理に使用する界面活性剤としては、通常使用される多くの種類の界面活性剤の中から選択して用いることができ、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物の塩、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、アルケニルコハク酸塩、アルカンスルフォン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのリン酸エステルおよびその塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルのリン酸エステルおよびその塩、等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、等が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、等が挙げられる。
これらの界面活性剤の中で、本発明で特に好適に用いることができるものとして、アルキルアミン系、アルキルアミン塩系、及びリン酸エステル系の界面活性剤が挙げられる。
(アルキルアミンおよびアルキルアミン塩の界面活性剤)
アルキルアミンおよびアルキルアミン塩は、本発明で導電性粉末の分散に用いる界面活性剤として好適であり、特に導電性粉末に銀粉を用いるとき一層効果的である。アルキルアミン系の非イオン性界面活性剤、およびアルキルアミン塩系の陽イオン性界面活性剤はそれぞれ単独で使用しても有効であるが、特に併用することによって分散性がより良好となり効果が顕著である。
アルキルアミン系の界面活性剤としてはポリオキシアルキレンアルキルアミン型の界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルアミン型の界面活性剤がさらに好ましい。中でも以下の化学構造(1)を有するものがさらに好ましい。
Figure 2007119682
(1)
(a,bはそれぞれ1〜20の整数であり、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルキルアリール基を表す。)
一方アルキルアミン塩系の界面活性剤としては、アルキルアミンの酢酸塩が好ましく、中でも以下の化学構造(2)を有するものがさらに好ましい。
Figure 2007119682
(2)
(Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルキルアリール基を表す。)
式(1)及び式(2)において、炭素数8〜20のアルキル基としては、直鎖アルキル基でも分枝アルキル基でもよく、例えばオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ラウリル基、テトラデシル基、ミリスチル基、ヘキサデシル基、セチル基、オクタデシル基、ステアリル基、エイコシル基などが挙げられる。炭素数8〜20のアルキルアリール基としては、例えばオクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基などのアルキルフェニル基が挙げられる。アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖アルキル基でも分枝アルキル基でもよい。
アルキルアミン系界面活性剤およびアルキルアミン塩系である陽イオン性界面活性剤を単独で、または混合して使用するときの、導電性粉末に対する界面活性剤の全配合量は、導電性粉末の種類により適宜調整する必要がある。例えば銀粉に対する配合量は、銀粉の種類により若干調整の必要があるが、銀粉100質量部に対して0.01〜3.00質量部が好ましく、0.05〜1.50質量部が更に好ましい。界面活性剤の全配合量が0.01質量部未満では、充分な分散性が得にくくなる傾向がある。一方3.00質量部を越えると銀表面が厚く界面活性剤の有機成分に被覆され、乾燥後の銀粒子同士の接触が得にくくなり、導電性が低下する傾向がある。
アルキルアミン系の界面活性剤とアルキルアミン塩系である陽イオン性界面活性剤とを併用する場合は、アルキルアミン系とアルキルアミン塩系との混合比率は1:20〜1:5の範囲が好ましい。
(リン酸エステル系の界面活性剤)
本発明で使用される界面活性剤として、リン酸エステル系の界面活性剤もまた好適に使用できる。特に導電性粉末に銀粉末を用いるときはより効果的である。
本発明において使用されるリン酸エステル系界面活性剤は、リン酸モノエステルあるいはリン酸ジエステル等を主成分とする界面活性剤である。主成分としてのリン酸エステル系界面活性剤はポリオキシアルキレンアルキルエーテルのリン酸エステルであることが好ましく、以下の一般式(3)
Figure 2007119682
(3)
(式(3)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基またはアルキルアリール基を表し、nは1〜20の整数、xは1または2)で表される化学構造を有することがさらに好ましい。
式(3)において、炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖アルキル基でも分枝アルキル基でもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ラウリル基、テトラデシル基、ミリスチル基、ヘキサデシル基、セチル基、オクタデシル基、ステアリル基、エイコシル基などが挙げられる。炭素数20以下のアルキルアリール基としては、例えばオクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基などのアルキルフェニル基が挙げられる。アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖アルキル基でも分枝アルキル基でもよい。
なおRの炭素数は1〜10、nは1〜10、ならびに、Rの炭素数とnの和が7〜15であることが好ましい。リン酸エステル系界面活性剤の重量平均分子量は、100〜1万であることが好ましく、150〜5000であることが更に好ましい。Pの含有量は0.5%〜10%が好ましく、2%〜6%が特に好ましい。
さらに前記リン酸エステル系界面活性剤としては、HLBが10以上のものを用いるか、または塩基性化合物を添加して酸価を中和して用いることが好ましい。
リン酸エステル系界面活性剤の種類と配合量は、導電性粉末の種類により適宜選択することができる。リン酸エステル系界面活性剤の例えば銀粉に対する配合量は、銀粉100質量部に対して0.01〜3.00質量部が好ましく、0.05〜0.50質量部が更に好ましい。界面活性剤が0.01質量部未満では、充分な分散性が得にくくなる傾向がある。一方3.00質量部を越えると銀粉の粒子表面が厚く界面活性剤の有機成分に被覆され、乾燥後の銀粒子同士の接触が得にくくなり、導電性が低下する傾向がある。
(分散用の溶剤)
上記分散工程においては、銀または銀化合物等の導電性粉末と界面活性剤との混合物を分散用溶剤中に添加し、攪拌機または分散機にかけて、導電性粉末の微細粉への解砕と界面活性剤との混合を行う。例えば銀粉と、分散用溶剤と、界面活性剤とを所望の割合で混合して、分散手段により分散させた銀粉の分散液を得ることができるが、次工程で凍結乾燥を行う場合の銀粉の分散液中の固形分濃度の範囲は、0.5〜80%が好ましく、特に、1〜50%が好ましい。
ここで導電性粉末の分散に用いる分散用溶剤としては、用いる界面活性剤を溶解できるものであれば特に限定されるものではないが、水、水溶性溶剤、または水と水溶性溶剤との混合物(水溶液)を用いることが好ましい。前記水溶性溶剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール;エチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテルなどのアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物;プロピレングリコールプロピルエーテルなどのアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物などが挙げられる。これら分散用溶剤はここに挙げたものに限定されるものではない。分散用溶剤は単独で、或いは2種類以上混合して用いることができる。
前記分散用溶剤による導電性粉末の分散処理は、前記分散用溶剤に界面活性剤を配合して充分溶解させた後に、銀粉等の導電性粉末を配合することが好ましい。必要に応じて、界面活性剤の中和(例えばリン酸エステル系界面活性剤の場合は、アルカリ等によるリン酸エステル塩の生成)により溶剤への界面活性剤の溶解度を上げることができる。配合後0.5〜4.0時間分散すると、銀粉等の導電性粉末が1次粒子へと解砕するとともに、界面活性剤と導電性粉末とが吸着平衡に達する。
本発明において、リン酸エステル系界面活性剤を用いる場合は、分散液を酸性条件(例えばpH1〜3)とすることが好ましく、アルキルアミンまたはアルキルアミン塩系の界面活性剤を用いる場合は、分散液をアルカリ性条件(例えばpH12〜14)とすることが好ましい。これにより、界面活性剤を介して、導電性粉末の粒子表面に界面電気2重層が生じ、分散安定性が得られる。また、リン酸エステル系と、アルキルアミンまたはアルキルアミン塩系とでは、親水基部分がイオン化したときの電荷が反対であるので、銀粉末または銀化合物粉末の表面電荷の符号に応じて、粒子間に斥力が働くように、界面活性剤をいずれか選択して用いることが好ましい。
例えば、表面が酸化銀処理された銀粉の場合は、アルキルアミンまたはアルキルアミン塩系の界面活性剤が好ましく、この組み合わせによる導電性インキ組成物には、チキソ性に優れ、盛り量が大きいという特長がある。また、純銀粉(表面が酸化銀処理されていない銀粉)の場合は、リン酸エステル系の界面活性剤が好ましく、この組み合わせによる導電性インキ組成物には、導電性粉末が活性エネルギー線硬化型樹脂(結着剤樹脂)中の分散性に優れるという特長がある。
前記分散用溶剤中で、例えば銀または銀化合物の粉末と例えばポリオキシアルキルアミン型界面活性剤およびアルキルアミンの酢酸塩である陽イオン性界面活性剤とを充分に攪拌混合してのち、次工程で該混合物から真空凍結乾燥法により溶剤の除去を行う。前記分散工程ののち乾燥法として真空凍結乾燥法を使用するため、上記分散用溶剤のなかから凍結し易い溶剤を選択して使用することが好ましく、その凝固点が−40℃以上であることが好ましい。
(2)乾燥工程
本発明で使用する真空凍結乾燥法においては、基本的に低温状態で凍結した分散液から、前記分散用溶剤のみが昇華除去される。この方法によれば、分散用溶剤の除去の際、界面活性剤が分散用溶剤中に溶出してともに除去されることがないため、添加した界面活性剤のほとんど全てを処理後の導電性粉末中に残留させることができる。
分散液中で界面活性剤は導電性粉末の粒子の表面付近に局在しており、分散用溶剤のみが除去される真空凍結乾燥の実施時に、該界面活性剤が導電性粉末の粒子の表面に一様に吸着した状態で取り出せる可能性が高く、しかも、真空凍結乾燥以外の通常の方法にて分散用溶剤を除去する時のように導電性粉末の粒子や表面処理された導電性粉末の粒子同士が凝集することがなく、極めて効率的な処理方法といえる。このように使用した界面活性剤全てが導電性粉末の粒子の表面に残留して、表面処理された導電性粉末を収率良く与えるため、界面活性剤の効果と使用量の関係を把握し易く、使用量に対する最適化が行いやすい。
界面活性剤の分子は、親水基側の末端で導電性粉末の粒子の表面に吸着するため、疎水基側の末端が粒子の外側を向く。これにより、活性エネルギー線硬化型樹脂(結着剤樹脂)との親和性が向上し、表面処理された導電性粉末の分散性が改善される。また、粒子同士の凝集が抑制され、1次粒子に分散された状態を持続することができる。
凍結真空乾燥は、例えば、銀粉、水、及び界面活性剤を含む銀粉の分散液の場合は、大気圧で0℃以下に予備凍結し、理論上は0℃における水の蒸気圧4.5mmHg (=600Pa)を越えないよう真空度をコントロールすれば良い。乾燥速度、コントロールのやり易さを加味すれば1mmHg (=133.32Pa)以下にして、その蒸気圧での融点(凝固点)まで、温度を上げることが好ましい。
このように真空凍結乾燥による乾燥方法では真空中で昇華蒸発させ、乾燥するため、乾燥による収縮がわずかであり、組織や構造が破壊しにくい。また、熱風乾燥のように高温で試料内での例えば水などの液体成分の移動による乾燥ではなく、固体の凍った状態で低温乾燥するため、液体成分の移動を伴う乾燥のような部分的成分濃縮、部分的成分変化、変形がほとんど無く好ましい。
以上のように、界面活性剤の存在下で導電性粉末を分散用溶剤中に分散させた分散液を真空凍結乾燥する処理により、導電性粉末の粒子の表面に界面活性剤を吸着させたものが得られる。本発明の導電性インキ組成物では、この粉末を導電性粉末として用いることが好ましい。
本発明の導電性インキ組成物中、前記導電性粉末の含有量は70質量%以上が好ましく、さらには80質量%以上が好ましく、特に85質量%以上が好ましい。前記導電性粉末の含有量が70質量%を下回ると、導電率は急激に低下する。
(活性エネルギー線硬化型樹脂)
活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物としてスクリーン印刷法、フレキソ印刷法で好適な粘度を確保するため、活性エネルギー線硬化型樹脂としてアクリレートオリゴマーは不可欠である。このアクリレートオリゴマーとして使用する上で特に好適なのは、多官能ウレタンアクリレートである。
なお、使用目的に応じて、多官能ウレタンアクリレートとエポキシアクリレートとを併用することもできる。
導電回路向けの印刷物は、プラスチックフィルム等の基材に印刷されて使用されるため、該基材への密着性および該基材を曲げた場合でも剥がれない、曲げに対する強さが重要な要求品質である。この点で、多官能ウレタンアクリレートは最も好適なアクリレートオリゴマーであるといえる。用途にもよるが、活性エネルギー線で硬化する場合の硬化速度を考慮すると、1つの分子に(メタ)アクリロイル基が3個以上(3官能以上)であるものが好ましい。一方、被膜自体の硬さが要求される場合には、多官能エポキシアクリレート(一般的なものは2官能)の方が多官能ウレタンアクリレートより優れる。よって多官能ウレタンアクリレートと多官能エポキシアクリレートを併用することで、基材への密着性および該基材を曲げた場合でも剥がれない、曲げに対する強さとともに、被膜自体の硬さをも付与することができる。
本発明において、多官能ウレタンアクリレートとしては、一分子に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基及び水酸基を併有する化合物(a−1)と、一分子に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a−2)との付加反応物であるウレタンアクリレートであれば、どのようなものでも使用することができる。
(水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a−1))
前記化合物(a−1)の例としては、1分子中にヒドロキシル基と(メタ)アクリレートを少なくとも各々1個づつ有する化合物であり、具体的には、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレートなどの2価アルコールのモノ(メタ)アクリレートや、これらアルコールの水酸基をラクトンで変性したモノ(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等の3価のアルコールのモノ及びジ(メタ)アクリレートや、これらアルコールの水酸基の一部をアルキル基やラクトンで変性したモノ及びジ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の、4価以上のアルコールの多官能(メタ)アクリレートでヒドロキシル基を有するもの、および、これらアルコールの水酸基の一部をアルキル基やラクトンで変性したヒドロキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ラクトン変性で使用するラクトン化合物の具体例として代表的なものを挙げるに止めれば、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトンなどがあり、前記した水酸基と(メタ)アクリレートを併有する化合物とを、ラクトン化合物/化合物=1.0〜20.0の範囲で変性したものが好適であり、より好ましくは、1.0〜10.0の範囲が適している。
同反応には、硫酸、p−トルエンスルホン酸に代表される有機酸触媒類;錫オクテート、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属触媒類など、公知慣用の触媒を用いることができ、100〜140℃で反応させるとよい。
水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a−1)として、前記した1分子中にヒドロキシル基と(メタ)アクリレートを少なくとも各々1個づつ有する化合物は、単独で使用してもまたは2種以上を併用してもよい。
(イソシアネート化合物(a−2))
前記イソシアネート化合物(a−2)としては、一分子に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、いかなるものでも使用することができる。具体例として代表的なものを挙げるに止めれば、トリレンジイソシアネート(TDI)、フェニレンジイソシアネート(PDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(DCHMDI)、水添キシリレンジイソシアネートなどのジイソシアネート類;ジイソシアネート類の二量体やイソシアヌル環を形成する三量体等;ジオールやポリオール化合物と、ジイソシアネート類との付加により得られるポリイソシアネート化合物等が挙げられる。これらイソシアネート化合物は、単独で使用してもまたは2種以上を併用してもよい。なかでもヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)から誘導されるイソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物(HMDI三量体)が好ましい。
(多官能ウレタンアクリレート)
上記した化合物(a−1)とイソシアネート化合物(a−2)との反応により多官能ウレタンアクリレートを調製するには、化合物(a−1)中の水酸基(OH)と、イソシアネート化合物(a−2)中のイソシアネート基(NCO)からなる比、OH/NCO比が1.1〜0.9なる比で反応させる。この付加反応、つまりウレタン化反応には、従来既知のウレタン化触媒として、例えばナフテン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテートに代表される有機金属系触媒や、トリエチルアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロウンデセン等に代表される3級アミン系触媒を用いて、10〜140℃の反応温度で反応させればよい。
このようにして得られる多官能ウレタンアクリレートのうちでも、とりわけ好適なものは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)から誘導されるイソシアヌル型ウレタンアクリレートである。
なお、本発明においてイソシアヌル型ウレタンアクリレートとは、ウレタンアクリレートの分子中に、イソシアネート基(NCO)の三量化によって生成するイソシアヌル環(下記式(I)に示す環)を有するものをいう。
Figure 2007119682
(I)
HMDIから誘導されるイソシアヌル型ウレタンアクリレートは、イソシアネート化合物(a−2)の少なくとも一部として、HMDIから誘導されるイソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物(HMDI三量体)を用いることにより製造することができる。
HMDIから誘導されるイソシアヌル型ウレタンアクリレートは、導電性粉末の濡れ性が高いことから、(1)スクリーン印刷法やフレキソ印刷法に必要な高流動性の導電性インキ組成物を得ることができること、(2)活性エネルギー線硬化型樹脂が高流動性である分、導電性粉末の含有量を高めることができること、などの効果がある。また、このHMDI三量体と(メタ)アクリロイル基との間に、長鎖アルキレン基や種々の極性基を導入することにより、さらに導電性あるいは流動特性の良好な活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物を製造することも可能と考えられる。
電子回路などの印刷に利用される導電性インキ組成物の印刷再現性は重要である。流動性が高すぎると印刷にて再現されるべき画像やパターンがにじんでしまう場合がある。一般の印刷インキや活性エネルギー線硬化型インキの場合には、流動性を低くするためオリゴマー成分あるいはポリマー成分を変更したり、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレイ、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料を適当量添加する方法がある。しかし、導電性インキ組成物の場合は導電性粉末の含有率が多いため、体質顔料のような粉末状の原料を添加することは好ましくない。よって、活性エネルギー線硬化型オリゴマーの変性が適当な方法となる。
また、上記の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a−1)とイソシアネート化合物(a−2)との付加反応物に対してアルミキレートと反応させることにより、流動性を低下させたり、あるいは流動性をそれほど損なうことなく高粘度化させることができる。例えば、上述のHMDIから誘導されたイソシアヌル型ウレタンアクリレートにアルミキレートを反応させた場合、該イソシアヌル型ウレタンアクリレートの良好な濡れ性および流動特性を損ねることなく、粘度の調整が可能である。このように、ウレタンアクリレートの粘度調整にアルミキレートとの反応を利用した場合、粘度や流動性の調整剤として添加されるアルミキレート自体の添加量は微量で済むことから、導電性を損なうことなくインキ組成物の物性を調整することができる。アルミキレートとの反応による効果は、粘度を高めるのみでなく、分子量が向上することで導電性粉末に対する濡れ性を向上させることから、導電性粉末の種類や処理によっては、導電性インキ組成物の流動性が向上する場合もある。
(エポキシアクリレート)
エポキシアクリレートを多官能ウレタンアクリレートと併用する場合、エポキシアクリレートとしては、どのようなものでも使用できる。多官能ウレタンアクリレートとエポキシアクリレートとの配合比は、特に限定されない。
(希釈剤)
上述の通り、導電性粉末は導電性インキ組成物100質量部中に70質量部以上含有される必要があるため、活性エネルギー線硬化型樹脂と併用する希釈用の低粘度成分(希釈剤)が必要である。このような希釈剤として、低粘度の活性エネルギー線硬化型モノマーは当然好適に使用できるが、代わりに溶剤を用いる方法もある。
しかしながら、活性エネルギー線硬化型モノマーとして一般的なアクリレートモノマーを希釈剤として用いた場合、通常のアクリレートモノマーは、絶縁性がむしろ高い化合物である。このため、希釈剤としてアクリレートモノマーを添加すると、その添加量にも依存するとはいえ、活性エネルギー線硬化型樹脂が多官能オリゴマー単体のみから構成される場合よりも、導電性が悪化する場合がある。
しかしながら、水溶性モノマーは導電性を低下させ難く、導電性インキ組成物の希釈剤として好適である。水溶性の活性エネルギー線硬化型モノマーとしては、アクリロイルモルホリン(ACMO)、N,N−ジエチルアクリルアミド(DEAA)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、N−ビニルホルムアミド(NVF)、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(例えば東亞合成社製アロニックスM−5700)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4−HBA)などがあり、これらを希釈剤として用いた導電性インキ組成物の導電性は全般的に優れるが、その中でもN−ビニルホルムアミド(NVF)は導電性粉末による導電性を損なわない点で、さらに希釈効果が高く良好な流動性を与える点などについて優れている。
また、導電性粉末と多官能オリゴマーのみで構成される導電性インキ組成物の導電性が良好である場合、粘度調整のため溶剤で希釈する方法が有効である。希釈用溶剤として、室温ではほとんど揮発しないものを選択することにより、室温で(導電性インキ組成物を取り扱う際には)安定的に導電性インキを希釈することが可能である。また、50℃程度またはそれ以上の温度で揮発しやすい溶剤を選択することにより、基材上に印刷法により薄膜化して得られるインキフィルムが活性エネルギー線照射装置(一般に該装置の内部の温度は50℃以上である。)を通った場合に該希釈用溶剤が揮発するため、導電性粉末と多官能オリゴマーのみが硬化した場合と同じ導電フィルムが得られ、導電性インキの導電性を確保しやすい。希釈用溶剤の揮発に伴い、少量とはいえ導電性粉末の含有率が高くなり、導電性は向上する。さらに、活性エネルギー線による硬化の直後に、アイロンで加温・加圧する工程を導入すれば、導電性粉末の粒子間の接触ポイント・接触面積がさらに増し、導電性は向上する。
希釈用溶剤は、本発明に使用する成分に対し適度な溶解もしくは分散性を有する溶剤を選択すればよく、また使用に際してその安全性、安定性及び活性エネルギー線照射又は、基材に損傷を与えない温度でのアイロン及び熱ロール等の後加熱により実質的に溶剤が揮発除去できる溶剤およびその混合物が使用できる。例えば、3−メトキシブタノール、1,3−ブチレングリコール、ターピネオール等の適度な沸点を有するアルコール類及び/又は3−メトキシブチルアセテート、ブチルアセテート及び又はグリコールエーテル系の溶剤が好適に使用できる。
グリコールエーテル系溶剤は、本発明に使用されるアクリルモノマー、アクリルオリゴマー等の成分に対し優れた溶解性を有しており、特に好ましい。さらに好ましくは、常圧での沸点が120℃から250℃であるグリコールエーテル類であり、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート等が好適に使用できる。このうち、ジエチレングリコールモノエチルエーテルは、スクリーン印刷におけるインキのニジミ抑制効果を有しており、最も好ましい。
(活性エネルギー線および光重合開始剤)
活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物を硬化させるために用いられる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線が挙げられる。電子線を用いる場合には、光重合開始剤を添加することなく活性エネルギー線硬化型インキの硬化が可能であるという利点があるものの、電子線を発生する装置は一般に装置自体が高価であり、かつメンテナンスについて専門的な知識が必要である。故に活性エネルギー線硬化型インキの市場においては紫外線硬化型インキがより多く利用されているのが現状である。
本発明の紫外線硬化型導電性インキ組成物では、上述の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物において、光重合開始剤を含有させる必要がある。光重合開始剤には必要に応じて増感剤を併用することができる。
紫外線硬化に用いられる光重合開始剤および増感剤の具体例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンジルジメチルケタール、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン]、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、エチルアントラキノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお紫外線硬化型導電性インキ組成物に使用される導電性粉末は紫外線を透過しにくい上、導電性を確保するのに70%以上含有させるすることが必要である。このため紫外線硬化型導電性インキ組成物の紫外線硬化速度は、有機顔料を含む一般的な紫外線硬化型インキ組成物と比較して著しく遅い。このため光重合開始剤としてはより可視光に近い350nm以上の長波長領域の紫外線で硬化するような光重合開始剤を使用することが望ましい。このような光重合開始剤として最適なものとして、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、および/または、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1が挙げられる。いずれの光重合開始剤も長波長紫外線での硬化性にすぐれるが、溶解性に優れる2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1の方が添加量を増やせる長所がある。
また、紫外線硬化型導電性インキ組成物は一般的な紫外線硬化型インキ組成物と比較して粉体成分が多いため、印刷適性に関係する流動性を確保する為には、液状、かつ、溶解性の高い光重合開始剤を前出の光重合開始剤と併用することが望ましい。液状の光重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンやオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステルやオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、あるいはそれらの混合物などが挙げられる。液状の光重合開始剤についても、より長波長側の紫外線により反応するものの方が、本目的には有効である。
前記光重合開始剤は、導電性粉末と希釈剤と活性エネルギー線硬化型樹脂とからなる活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物100質量部に対して1〜10質量部、より好ましくは2〜6質量部の範囲で使用する。光重合開始剤の添加量が10部を超えると、余分な開始剤やラジカル発生後の生成物が導電性インキの密着性や硬度等に悪影響を与えるおそれがあり、また1部未満では必要な紫外線硬化性が得られない。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物および紫外線硬化型導電性インキ組成物には、用途に応じて非反応性化合物、消泡剤、レベリング剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料、染料、レオロジー調整剤などを適宜併用することもできる。
(導電性インキ組成物の製造)
上記の導電性粉末と希釈剤と活性エネルギー線硬化型樹脂を用いて導電性インキ組成物の製造するには、これら原料を混合し、適当な撹拌機や分散機を用いて攪拌等の簡単な分散処理をするだけで導電性インキ組成物を製造することができる。
すなわち、印刷直前に導電性粉末と希釈剤、活性エネルギー線硬化型樹脂、および適宜併用する添加物を混合して簡単な撹拌操作を行うことで、良好な導電性インキ組成物が得られるため、印刷装置に付随の設備として実施することも可能である。
しかし、より分散を確実に行うために以下の分散機を用いて分散処理を行っても良い。使用しうる分散手段としては、例えば、二本ロール、三本ロール、ボールミル、サンドミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、セグバリアトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ニーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等により、混練、分散することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物は、スクリーン印刷やフレキソ印刷などの公知慣用の印刷法によって基材上に印刷し、これに活性エネルギー線を照射することにより、導体回路等を形成することができる。印刷時の基材の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、ポリイミドフィルム(PIフィルム)、あるいはグリーンシート(無機質基板)が挙げられる。また、印刷物の厚さは、印刷法によって異なるが、印刷物の湿時厚さが1〜20μmの範囲が好ましく、特に1〜10μmの厚さが好ましい。印刷物の乾燥後、単位体積当たりの電気抵抗(体積抵抗率)を上げるために、基材の著しい変形を生じない程度に、プレスあるいはカレンダー処理をしてもよい。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
<活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物の製造方法>
中心粒径0.3μmの福田金属箔工業株式会社製銀フレーク粉(AgC−209)300g、界面活性剤として第一工業製薬株式会社製プライサーフ215Cの10wt%水溶液を18g、水100g、及び直径1mmのジルコニアビーズ400gをポリエチレン容器に入れ、ペイントコンディショナーにて約30分間混合した。得られた銀分散液をトレイに移し、凍結乾燥を施し、界面活性剤表面処理銀粉を得た。凍結乾燥は日本真空株式会社製の「DFM−05AS」を用い、まず雰囲気を約−40℃に冷却し、該銀分散液を凍結させ、次いで雰囲気を真空圧力7〜10Paに減圧し、約16時間凍結真空乾燥を実施した。
表1において、上記銀粉の表面処理物を銀粉1とした。また、銀粉2は、凍結乾燥処理を行わず、市販の銀粉AgC−209をそのまま用いたものである。
(実施例1の導電性インキ組成物の調製)
次に上記銀粉表面処理物を170g分取して小型ミキサーにて、イソシアヌル型ウレタンアクリレートオリゴマーを12g、N−ビニルホルムアミドを8g、光重合開始剤としてイルガキュア379を4.0g、ダロキュア1173を4.0g、重合禁止剤(4−メチル−3−(3′−ニトロフェニル)チアゾリジン−2−チオンをエポキシアクリレートに溶解させたもの)1g、シリコンオイル1gを加えて総計を200gとして30分間混練し銀粉混練体を調製した。次いでこの銀粉混練体を3本ロールミルにてよく練肉し、豊栄精工舎製グラインドメーターにて銀粉の粒径が約7μm以下に分散されたことを確認して、活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物を得た。
なお、表1において光重合開始剤Aの欄にはイルガキュア379とダロキュア1173(いずれも商品名)の合計量が、そして安定剤の欄には重合禁止剤とシリコンオイルの合計量が、それぞれ示されている。
(他の実施例および比較例の導電性インキ組成物の調製)
実施例2〜5および比較例1〜5の導電性インキ組成物についても、原料の配合を変更したほかは実施例1の導電性インキ組成物と同様にして調製した。
これらの導電性インキ組成物の配合は、表1に示すとおりである。表1において、イソシアヌル型ウレタンアクリレートとしては、ユニディックV4290G(大日本インキ化学工業株式会社製)を、他の多官能ウレタンアクリレートとしては、エベクリル2001(ダイセル・サイテック株式会社製)を用いた。またエポキシアクリレートとしてはユニディックUE8200(大日本インキ化学工業株式会社製)を用いた。
NVFはN−ビニルホルムアミド(荒川化学工業株式会社製、商品名ビームセット770)、4−HBAは4−ヒドロキシブチルアクリレート、DPGDAはジプロピレングリコールジアクリレート、NPGDAはネオペンチルグリコールジアクリレート、EDGはジエチレングリコールモノエチルエーテルの略である。
また比較例5に使用される光重合開始剤Bはイルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ製)である。
<導電性インキ組成物の評価方法および評価結果>
得られた活性エネルギー線硬化型組成物について、下記の方法により、インキ粘度、TI値(チキソトロピーインデックス値)のレオロジー特性、導電性測定、耐摩擦試験のそれぞれを実施した。
(インキ粘度およびTI値)
インキ粘度は東機産業株式会社製E型粘度計「VISCOMETER TV−20」により、5rpm(ずり速度:10s-1)および50rpm(ずり速度:100s-1)の各回転数にて、温度25℃にて測定した。なおTI値は、回転数5rpmの粘度値を50rpmの粘度値で割ることで得られる。回転数50rpmでの粘度が10以下、かつ、TI値が2以下であるインキはスクリーン印刷し易い、レオロジー特性に優れたインキ組成物と言える。表1において流動性は下記の基準により評価した。
◎・・・流動性が極めて良好なもの。
○・・・流動性が良好なもの。
△・・・流動性が悪いもの。
×・・・流動性が極めて悪いもの。
(導電性測定)
得られた活性エネルギー線硬化型はメッシュ製スクリーン版「ST400B MC−9」(乳剤膜厚4μm)を用いて、厚さ50μmのアリール処理したPETフィルム上にスクリーン印刷を実施し、80mm×50mmの印刷面を得た。この印刷物を、アイグラフィックス株式会社製UVランプ/メタルハライド灯(120W/cm)を5m/minにて4回通すことでUV硬化させ、試料を得た。この試料をJIS K−7194に規定された1点測定により導電性の評価を実施した。最終的に得られた試料のインキ膜の厚さはANRITSU製膜厚測定機「K−402B」で測定し、11μm〜15μmの範囲にあることを確認した。また導電性については三菱化学製「Loresta−EP MCP−T360」を用いて、四深針法により体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。この体積抵抗率が1×10-4Ω・cmを下回ると、良好な導電性を示したことになる。表1において導電性は下記の基準により評価した。
◎・・・導電性が極めて良好なもの。
○・・・導電性が良好なもの。
△・・・導電性が悪いもの。
×・・・導電性が極めて悪いもの。
(耐摩察試験)
導電性測定に同様の試料を作成して、爪により紫外線硬化したインキ皮膜を引っかき、耐摩擦性(機械的強度)を簡易に確認した。判定基準は以下の通りである。
◎・・・強い力で4−5回引っ掻いてもほとんどキズがつかない。
○・・・強い力で4−5回引っ掻くとキズがつく。
△・・・弱い力で4−5回引っ掻いただけでキズがつく。
×・・・弱い力で1往復引っ掻いただけで下地から剥離する。
該インキ組成物は紫外線硬化型である事からコーティングすることで耐摩擦性を向上させるなどの改善方法もあるが、通常工業的に利用する場合は○以上のレベルが要求される。
導電性インキ組成物の配合(数値は質量%を表す。)及び評価結果を表1にまとめて示す。
Figure 2007119682
表1の結果からわかるように、各実施例の導電性インキ組成物は、印刷物の導電性、インキの流動性がともに良好であった。
実施例1において希釈剤としてN−ビニルホルムアミドを用いた場合、体積抵抗率の平均(n=5)が0.82×10-4Ω・cmであり、工業的に利用するのに充分といえる導電性が得られた。
実施例2において希釈剤として4−ヒドロキシブチルアクリレートを用いた場合、体積抵抗率の平均(n=2)が1.54×10-4Ω・cmであった。
実施例3において希釈剤としてジエチレングリコールモノエチルエーテル(EDG)を3質量部用いた場合、体積抵抗率の平均(n=3)が0.55×10-4Ω・cmであった。また、実施例4において希釈剤としてジエチレングリコールモノエチルエーテル(EDG)を用いた場合、体積抵抗率の平均(n=3)が0.50×10-4Ω・cmであった。
実施例5はエポキシアクリレートを併用したケースであるが、硬化したインキ皮膜の強度を向上させた例となっている。
比較例1の界面活性剤処理を施していない銀粉2を用いたものでは、低温焼結できないため、導電性が不良であった(体積抵抗率の平均(n=2)が2.52×10-4Ω・cmであった。
比較例2の活性エネルギー線硬化型樹脂としてイソシアヌル型でない他の多官能ウレタンを用いた場合、良好な導電性を示した(体積抵抗率の平均(n=3)が1.38×10-4Ω・cm)が流動性はやや悪かった。
比較例3において希釈剤としてジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)を用いた場合、体積抵抗率の平均(n=2)が1.42×10-4Ω・cmであり、導電性がやや悪い結果になった。
比較例4において希釈剤としてネオペンチルグリコールジアクリレート(NPGDA)を用いた場合、導電性がやや悪い結果になった。
比較例5は一般的な光重合開始剤を使用した例であり、該開始剤自体はコーティング剤などに利用される実績あるものだが、インキ組成物の流動性および導電性を悪化させている。
本発明は、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などでプリント配線を形成するなど、種々の産業分野に利用することができる。

Claims (17)

  1. 導電性粉末と、活性エネルギー線硬化型樹脂と、希釈剤とを必須成分として含有する活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物であって、
    前記活性エネルギー線硬化型樹脂が多官能ウレタンアクリレートからなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物。
  2. 導電性粉末と、活性エネルギー線硬化型樹脂と、希釈剤とを必須成分として含有する活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物であって、
    前記活性エネルギー線硬化型樹脂が多官能ウレタンアクリレートとエポキシアクリレートからなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物。
  3. 前記活性エネルギー線硬化型樹脂が、一分子に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基及び水酸基を併有する化合物(a−1)と、一分子に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a−2)との付加反応物であるウレタンアクリレートである請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物。
  4. 前記ウレタンアクリレートが、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるイソシアヌル型ウレタンアクリレートである請求項3に記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物。
  5. 前記イソシアヌル型ウレタンアクリレートが、前記付加反応物とアルミキレートとを反応させたものである請求項4に記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物。
  6. 前記導電性粉末が、界面活性剤の存在下で導電性粉末を分散用溶剤中に分散させた分散液を真空凍結乾燥する処理により、該導電性粉末の粒子の表面に界面活性剤を吸着させたものである請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物。
  7. 前記導電性粉末が銀または銀化合物であり、かつその粒子の形状が鱗片状であり、かつその最大粒径が50μm以下である請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物。
  8. 前記界面活性剤がアルキルアミンまたはアルキルアミン塩である請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物。
  9. 前記界面活性剤がリン酸エステル系の界面活性剤である請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物。
  10. 前記導電性インキ組成物中の前記導電性粉末の含有量が70質量%以上であり、前記希釈剤が溶剤または活性エネルギー線硬化型モノマーまたはその両方を含む請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物。
  11. 前記活性エネルギー線硬化型モノマーが水溶性である請求項10に記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物。
  12. 前記活性エネルギー線硬化型モノマーがN−ビニルホルムアミドである請求項10に記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物。
  13. 前記希釈剤として使用する溶剤がグリコールエーテル類である請求項10に記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物。
  14. 前記希釈剤として使用する溶剤がジエチレングリコールモノエチルエーテルである請求項10に記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ組成物に光重合開始剤が添加されたものである紫外線硬化型導電性インキ組成物。
  16. 前記光重合開始剤として2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、および/または、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1を使用することを特徴とする請求項15の紫外線硬化型導電性インキ組成物。
  17. 液状の光重合開始剤を併用することを特徴とする請求項16に記載の紫外線硬化型導電性インキ組成物。
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