JP3621721B2 - プラズマ処理方法及び処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば磁気ディスクのような基板両面へバイアススパッタ或いはCVDによる薄膜形成、エッチング加工及び加熱等のプラズマ処理を行う方法とその装置に係り、特に基板が導電体でない場合、或いは基板に導電体を接触させることによる電気的な制御を行わない場合にも好適な基板両面へのプラズマ処理を行う方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気ディスクに代表される基板両面へバイアススパッタによる薄膜形成を行う方法としては、例えば特開平3−283111号公報に記載されているように、対向した二つのターゲット電極の中間に、表面をそれぞれのターゲット電極に向けて導電体基板を載置し、それぞれのターゲット電極に負電位を印加することでターゲット電極上にプラズマを発生させ、プラズマ中のイオンによりターゲット表面をスパッタし、飛散したターゲット材料からなる粒子を基板表面に付着させる。この時、基板保持機構に交流または負の直流電位を印加することにより基板縁部に接触する導電体の保持爪を介し基板表面に交流または負の直流電位を印加する方法が知られている。
【0003】
また、例えば特開平4−79025号公報に記載されているように、基板が絶縁体である場合には、基板表面にあらかじめ導電性膜を形成することで基板表面と導電体の保持爪との間に電気的接触を得る方法も知られている。この保持爪を介し基板表面に与えるバイアス電位により、プラズマ中のイオンは基板表面にも衝突しそのエネルギを成膜されている表面分子に与え、形成する膜の結晶性を高め磁気特性向上に効果があることも知られている。
【0004】
さらに例えば特開平5−140752号公報に記載されているように、従来、プラズマCVDによる基板両面への炭素膜形成法は、前記二つの従来例と同様に基板保持機構上に基板を載置し、基板保持用爪との間の接触により基板と電気的導通を得ている。この基板保持機構を接地し、基板を挟んで対向する二つの電極を真空容器中に配置し、真空容器内を高真空に排気した後、成膜原料ガスとしてメタン等の処理ガスを所定の圧力導入する。前記二つの電極それぞれに高周波電源を接続し、接地電位との間に高周波電力を印加する。各電極と基板との間には印加された高周波電位によりプラズマが発生し、高周波電源からは順次、→電極→プラズマ→基板→基板保持機構→アース→高周波電源という経路の高周波電流が流れ、基板とプラズマ間に電位差が発生する。この時、基板表面にイオン化した処理ガスが、基板表面に発生する電界により加速され、衝突することによって基板表面に高強度の炭素膜を形成するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの例では基板がガラス等の絶縁材料である場合には、基板保持機構と基板間に流れようとする電流は基板保持機構と基板の接触部で遮られて基板表面とプラズマ間に電位差は発生せず、したがって成膜面に対するイオン衝撃による膜質向上効果または成膜効果は期待できない。たとえ成膜する材料が金属等の導電性膜である場合でも、基板表面は導電性になるが基板保持機構の基板との接触点の回りは陰になるため接触点の周囲に成膜されず、したがって基板表面に堆積した導電性膜と基板保持機構とは電気的接触ができず基板表面にバイアス電位を発生させることはできない。
【0006】
また、特開平4−79025号公報に記載されているように、絶縁体基板表面にあらかじめ導電性膜を形成する方法でも成膜工程が複雑になるばかりでなく、保持爪と基板との間の接点はごく微少な面積であり、そこに集中する電流により導電性膜は急激に加熱され、しばしば蒸発し電気的な接触不良を起こしたり基板を損傷すると云う問題があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、これら従来の問題点を解消することにあり、第1の目的は、基板保持機構を介して被処理基板には外部から何ら直接的にバイアス電位を与えなくとも、実質的に被処理基板の両面間にバイアス電位を与えたと等価の効果が得られ、基板の表裏面間に容易に高周波バイアス電流を流すことのできる改良されたプラズマ処理方法を提供することにあり、第2の目的は、それを実現する処理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため、種々実験検討した結果、以下に説明するような有効な知見を得た。
すなわち、基板の両面上にそれぞれ発生するプラズマ間に高周波電位を印加し、基板の表裏面間の容量により一方のプラズマから基板を通して他方のプラズマへ高周波電流を流し、この時発生する基板表面上のバイアス電界により基板表面への入射イオンの加速を起こすことが可能であること。
【0009】
また、これら両プラズマ間に高周波電位を印加する方法としては、それぞれのプラズマに接する基板以外の電極に相対的な高周波電位を印加するか、又はある基準電位に対し位相の異なる高周波電位を印加することによる。この時、基板は基板保持機構と電気的に絶縁された状態にあるか、また基板保持機構が基板以外の部位と電気的に絶縁されているか、または基板保持機構が前記プラズマに印加されている高周波電流回路と電気的に絶縁されているようにすればよい。
【0010】
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、以下に本発明の目的達成手段につき具体的に説明する。
すなわち、上記第1の目的は、真空容器内に載置された被処理基板の両面側にそれぞれプラズマを発生させて両面同時にプラズマ処理する方法であって、前記少なくとも一方のプラズマに高周波エネルギを与えてこれら両プラズマ間に電位差を生じせしめて、前記基板の表裏面間に高周波電流を流すようにして成るプラズマ処理方法により、達成される。
【0011】
プラズマへの高周波エネルギの与え方としては、上記のようにいずれか一方のプラズマに対して与え、他方のプラズマに対しては与えることなくして、これら両プラズマ間に電位差を生じせしめて、前記基板の表裏面間に高周波電流を流すようにするか、もしくは両方のプラズマに対してそれぞれ位相の異なる高周波エネルギを与えることにより、これら両プラズマ間に電位差を生じせしめて、前記基板の表裏面間に高周波電流を流すようにしてもよい。
【0012】
なお、本発明のプラズマ処理方法は、スパッタリングやCVDによる成膜方法、プラズマエッチング方法、プラズマアッシング方法等、いずれも周知のプラズマ処理方法一般に適用可能である。
【0013】
また、第2の目的は、真空容器と、真空容器中を高真空に排気するための排気手段と、真空容器中に処理ガスを供給する手段と、真空容器中に載置される被処理基板と、被処理基板を保持する基板保持機構と、被処理基板を挟み、基板表面からそれぞれ所定間隔をおき対向して設けられた第1の電極及び第2の電極とを備え、前記両電極と基板との間にそれぞれプラズマを発生させて基板両面を同時にプラズマ処理し得る構成としたプラズマ処理装置において、前記第1の電極と第2の電極との間に高周波電位を印加する回路手段を配設して両プラズマ間に電位差を生じせしめて、前記基板の表裏面間に高周波電流を流す手段と、前記基板保持機構が高周波回路との間で基板との接触点以外では電気的に絶縁された状態を構成する手段とを有して成るプラズマ処理装置により、達成される。
【0014】
また、上記基板の表裏面間に高周波電流を流す手段としては、第1の電極と任意に定めた基準電位との間に高周波電位を印加する第1の高周波電源を接続し、第2の電極と前記基準電位との間に高周波電位を印加する第2の高周波電源を接続し、しかも第1の電極に印加される高周波電位と第2の電極に印加される高周波電位との間に位相差θを設けて両プラズマ間に電位差を生じせしめて基板の表裏面間に高周波電流を流す手段としてもよい。こうすることでsin(θ/2)に比例する電力を基板に印加することができる。すなわち、基板に印加される電力効率はθ=180°が最大となり、位相差θに対してsin(θ/2)に比例する。
【0015】
本件発明のプラズマ処理装置は、例えばスパッタ成膜装置、プラズマCVD成膜装置、プラズマエッチング装置、プラズマアッシング装置等の周知の種々のプラズマ処理装置に適用可能である。以下に、これらの装置に適用した場合の代表的な装置構成について順次説明する。
【0016】
先ず、スパッタ成膜装置の構成例から説明すると、この装置は、真空容器と、真空容器中を高真空に排気するための排気手段と、真空容器中に処理ガスを供給する手段と、真空容器中に載置される被処理基板と、被処理基板を保持する基板保持機構と、被処理基板を挟み、基板表面からそれぞれ所定間隔をおき対向して設けられた第1のターゲット電極及び第2のターゲット電極と前記各々のターゲット電極に隣接して配設されたアノード電極とを有し、各ターゲット電極とアノード電極との間に交流電位または、それぞれのターゲット電極を負電位とするような直流電位を印加する手段とを備えた両面スパッタ成膜装置であって、第1のターゲット電極と第2のターゲット電極との間に高周波電位を印加する回路手段を配設して基板両側に発生するプラズマ間に電位差を生じせしめて、基板の表裏面間に高周波電流を流す手段と、基板保持機構が高周波回路との間で基板との接触点以外では電気的に絶縁された状態を構成する手段とを有して成るスパッタ成膜装置で構成される。
【0017】
好ましい構成例としては、上記のスパッタ成膜装置において、第1のターゲット電極とそれに対向するアノード電極とが上記高周波電位の周波数成分において同位相同電位となるように前記周波数成分で低インピーダンスで結合されており、同様に第2のターゲット電極とそれに対向するアノード電極とが前記高周波電位の周波数成分において同位相同電位となるように前記周波数成分で低インピーダンスで結合された構成とすることである。
【0018】
また、第1のターゲット電極または第2のターゲット電極のどちらか一方が上記高周波電位の周波数成分において接地電位との間低インピーダンスで結合された構成とすることもできる。
【0019】
上記CVD成膜装置と装置構成は基本的に同一で、処理ガス供給手段、すなわち処理ガスの種類を変更するだけで、プラズマエッチング装置やプラズマアッシング装置を容易に構成することができる。
【0020】
そこで、プラズマCVD成膜装置の構成例について説明すると、この装置は、真空容器と、真空容器中を高真空に排気するための排気手段と、真空容器中に少なくともCVD成膜原料ガスを含む処理ガスを供給する手段と、真空容器中に載置される被処理基板と、被処理基板を保持する基板保持機構と、被処理基板を挟み、基板表面からそれぞれ所定間隔をおき対向して設けられた第1の電極及び第2の電極とを備えた両面同時プラズマCVD成膜装置であって、第1の電極と第2の電極との間に高周波電位を印加する回路手段を配設して、被処理基板の両面と対向する電極との間に生じる両プラズマ間に電位差を生じせしめて、基板の表裏面間に高周波電流を流す手段と、基板保持機構が高周波回路との間で基板との接触点以外では電気的に絶縁された状態を構成する手段とを有して成るプラズマCVD成膜装置で構成される。
【0021】
次に、プラズマエッチング装置の構成例について説明すると、この装置は、真空容器と、真空容器中を高真空に排気するための排気手段と、真空容器中に少なくともエッチングガスを含む処理ガスを供給する手段と、真空容器中に載置される被処理基板と、被処理基板を保持する基板保持機構と、被処理基板を挟み、基板表面からそれぞれ所定間隔をおき対向して設けられた第1の電極及び第2の電極とを備えた両面同時プラズマエッチング装置であって、前記第1の電極と第2の電極との間に高周波電位を印加する回路手段を配設して、被処理基板の両面と対向する電極との間に生じる両プラズマ間に電位差を生じせしめて、前記基板の表裏面間に高周波電流を流す手段と、前記基板保持機構が高周波回路との間で基板との接触点以外では電気的に絶縁された状態を構成する手段とを有して成るプラズマエッチング装置で構成される。
【0022】
【作用】
基板を挟んでその両面上にそれぞれ発生するプラズマの一方を第1のプラズマ、他方を第2のプラズマとする。上記手段により第1のプラズマと、第2のプラズマは基板を介し接しており、双方のプラズマ間に生じた電位差(バイアス電位)が発生すると、基板の表裏面間の容量を介し高周波電流(バイアス電流)が流れる。第2のプラズマの電位が第1のプラズマに対して正になったときは、第1のプラズマから電子が基板の第1のプラズマに面した表面に入射し、第2のプラズマからイオンが基板の第2のプラズマに面した表面に入射する。これとは逆に第1のプラズマの電位が第2のプラズマに対して正になったときは、第2のプラズマから電子が基板の第2のプラズマに面した表面に入射し、第1のプラズマからイオンが基板の第1のプラズマに面した表面に入射する。
【0023】
この時、基板に入射するイオンは基板との間の電界により加速され、基板表面に衝突してその成膜している膜の表面にエネルギを与える。図2に高周波電源の発生する高周波電力に対し、基板に加えられたエネルギ(基板バイアス電力Wで表示)の関係を示す。このように本発明によれば基板表面に電極を接触させることなく基板の表裏両面へ電界を発生させ入射イオンを加速することが可能であり、従来のように基板表面への電極の接触点での電流集中による膜の蒸発と、それに伴う異常放電や、バイアス印加不良が発生しない。
【0024】
また、従来は基板上を導体化するために必要であった導電性膜の事前成膜が、本発明では不要であり、基板表面が絶縁体であってもその表面へ加速されたイオンの入射を行うことが可能である。この手段を例えばバイアススパッタ成膜法による磁性膜の形成に用いれば、イオン衝撃により膜中の結晶性が向上し、磁性膜の保磁力向上が図れる。
【0025】
また、CVD成膜法に用いれば絶縁体基板表裏両面に同時に所望とする薄膜を均一に成膜することができる。さらに、エッチング法に用いることで絶縁体基板の表裏両面を同時に、しかも群なく均一にエッチング処理を行うことができる。
【0026】
また、周知の酸素プラズマを利用したプラズマアッシングにも有効である。また、このプラズマ処理法では、基板に入射する加速されたイオンのエネルギを基板加熱に用いることもできる。したがって、成膜時に例えば結晶性を向上させるのに必要な基板加熱に適用でき、特別な加熱装置を設けなくとも加熱工程と、成膜工程とを同一プロセスの中で処理できるという作用効果があり、特に透明な基板への成膜工程において有効である。
【0027】
【実施例】
以下、図面したがって本発明の一実施例を説明する。
〈実施例1〉
(1)装置構成
図1は、本発明を磁気記憶装置用磁気ディスク基板のバイアススパッタ成膜装置に適用した場合の要部断面概略図を示している。図示のように、真空容器1内に例えばCr、Co系の磁性合金等の成膜材料からなる第1のターゲット5、及び第2のターゲット3が互いに向き合って載置され、これら各々のターゲット5、3を取り囲むように第1のアノード電極6、第2のアノード電極2及び第1の防着板7、第2の防着板4が電気的に絶縁して載置される。この場合、ターゲットは導電体で構成されているのでカソード電極を兼ねている。
【0028】
成膜対象となる被処理基板9は、周囲と電気的に絶縁された保持具21を介し、第1、第2のターゲット5、3の中間に各面をそれぞれのターゲットに向けるように載置する。真空容器1には排気装置22、及び処理ガス供給系24が接続されている。
【0029】
ターゲットの裏面にはそれぞれ磁気発生手段11、12が設けられ、対向する磁気発生手段に対し互いに反発する磁界を発生し、且つ各々のターゲット面上で閉じた磁力線を形成する構成を有し、ここまでは周知のマグネトロンスパッタ装置の構造と同一である。
【0030】
以下に説明する部分が本発明の特徴的な構成を示している。すなわち、第1のターゲット5は、ローパスフィルタ15を介して第1の直流電源16の負側端子に接続されている。第1のアノード電極6は、ローパスフィルタ17を介して直流電源16の正側端子に接続され、且つ接地されている。第1のターゲット5と第1のアノード6はコンデンサ18を介して接続されている。高周波電源14は整合器13及びコンデンサ35を介して第1のターゲット5に接続されており、アース電位との間に高周波電位を発生する。
【0031】
第2のターゲット3は、第2の直流電源20の負側端子に接続されている。第2のアノード電極2は直流電源20の正側端子に接続され、且つ接地されている。第2のターゲット3と第2のアノード2はコンデンサ19を介して接続されている。コンデンサ18、19の容量C(単位F)は高周波電源14の周波数f(単位Hz)に対し C>0.016/f となる値とする。すなわち、これらコンデンサの容量Cは、それぞれターゲット電極とアノード間で高周波電圧が発生しないように高周波に対して低インピーダンス接続となるように設定されている。ただし、直流電源16、19に対しては、ターゲット電極とアノード間に所定の電圧が印加されるように両者間は絶縁材23で絶縁されている。
【0032】
ローパスフィルタ15、17は、前記周波数fに対し、40dB以上の遮断特性を持つものであり、ターゲット及びアノード側からみた前記周波数fに対するインピーダンスは10kΩ以上あるものとする。
【0033】
基板9の外周に所定間隔をおいて設けられたリング状の第1の防着板7と第2の防着板4は、その間で放電が起こらないように真空容器内の処理ガスのデバイ長よりも小さい間隔で設置される。第1のアノード6と第1の防着板7及び第2のアノード2と第2の防着板4の間の間隔も同様に真空容器内の処理ガスのデバイ長よりも小さくする。
【0034】
(2)作用効果
次に、上記構成の装置を用い、被処理基板9を磁気ディスク基板としてCr、Co系の磁性合金膜を両面に成膜するスパッタ成膜法を代表例として説明する。
真空容器1は、排気装置22により0.0001Pa以下の高真空に排気された後、処理ガス供給系24より例えばArを真空容器内で0.1〜5Paになるように供給する。
磁界発生手段11、12により第1及び第2のターゲット上に互いに反発する向きに磁力線を発生させる。
【0035】
第1の直流電源16及び第2の直流電源20及び高周波電源14より所定の電力を所定の時間供給する。この時、第1のターゲット5と第1のアノード6との間で第1の直流電源16より印加された直流電界が発生し、処理ガスが電離してプラズマ状となる(第1のプラズマ10が発生)。また、第2のターゲット3と第2のアノード2との間で第2の直流電源20より印加された直流電界が発生し、処理ガスが電離してプラズマ状となる(第2のプラズマ8が発生)。この時、それぞれのターゲットは負電圧が印加されているため電離した処理ガス中の正イオンが加速されてターゲットに衝突しターゲット表面をスパッタリングすることにより基板の両表面にターゲット材料を成膜する。
【0036】
第1のターゲット5は、コンデンサ35及び整合器13を介して高周波電源14に接続されており、高周波電源14より印加される高周波電力により、周波数fで電位変動を起こす。この時、第1のターゲット5と第1のアノード6はコンデンサ18により高周波に対し低インピーダンスで接続されているため第1のアノード6も周波数fで第1のターゲット5と同じ電位変動を起こす。この時、第1のターゲット5と第1のアノード6は直流に対して絶縁されているため両者の間の直流電位は変化しない。また、第1のターゲット5と第1のアノード6に接続されている第1の直流電源16はその間に設置されたローパスフィルタ15、17により高周波電源から印加される高周波電力の影響を受けない。第1のターゲット5と第1のアノード6上の第1のプラズマ10は、ターゲット5及びアノード6の電位変動に従いその電位も変動する。
【0037】
一方、第2のアノード2は接地されており、第2のターゲット3は第2のアノード2とコンデンサ19により周波数fにおいて低インピーダンスで接続されているため双方に接地電位からみた高周波電位は発生しない。従って第2のターゲット3及び第2のアノード2上の第2のプラズマ8の電位も変動しない。
【0038】
第1のプラズマと10、第2のプラズマ8は基板9を介し接しており、双方のプラズマ間に生じた電位差(バイアス電位)が発生すると、基板9の表裏面間の容量を介し高周波電流(バイアス電流)が流れる。同じくプラズマと接している第1及び第2の防着板7、4を介しても高周波電流は流れるが、これら二つの防着板の間にある隙間により、防着板間の容量が基板の両面間の容量に比べ低くなるため高周波電流のほとんどが基板を介して流れる。
【0039】
第2のプラズマ8の電位が第1のプラズマ10に対して正になったときは、第1のプラズマ10から電子が基板9の第1のターゲット5に向いた表面に入射し、第2のプラズマ8からイオンが基板9の第2のターゲット3に向いた表面に入射する。逆に第1のプラズマ10の電位が第2のプラズマ8に対して正になったときは、第2のプラズマ8から電子が基板9の第2のターゲット3に向いた表面に入射し、第1のプラズマ10からイオンが基板9の第1のターゲット5に向いた表面に入射する。
【0040】
この時、基板9に入射するイオンは、プラズマと基板9との間の高周波電界により加速され、基板9の表面に衝突してその成膜している膜の表面にエネルギを与える。図2に高周波電源14の発生する高周波電力に対し、基板9に加えられたエネルギ(基板バイアス電力W)の関係を示す。このように本発明によれば、基板表面に電極を接触させることなく基板の両表面へ電界を発生させ入射イオンを加速することが可能であり、従来のように基板表面への電極の接触点での電流集中による膜の蒸発とそれにともなう異常放電や、バイアス印加不良が発生しない。
【0041】
また、基板が絶縁物の場合に従来必要であった導電性膜の事前成膜が不要であり、基板表面が絶縁体であってもその表面へ加速されたイオンの入射を行うことが可能である。このイオン衝撃により膜中の結晶性が向上し、図3に示すように磁性膜の保磁力向上が図れる。また、基板に入射する加速されたArイオンのエネルギは、基板加熱にも用いられ、膜質の向上に寄与できるものである。
【0042】
〈実施例2〉
(1)装置構成
図4は、本発明を磁気記憶装置用磁気ディスク基板のバイアススパッタ成膜装置に適用した場合の、他の実施例となる要部断面概略図を示している。実施例1との構成上の相違点を主体に説明すると、図示のように、第2のアノード2は真空容器とは電気的に絶縁されて載置されている。
【0043】
第2のターゲット3は、ローパスフィルタ33を介して第2の直流電源20の負側端子に接続されている。第2のアノード電極2は、ローパスフィルタ34を介して直流電源20の正側端子に接続され、且つ接地されている。第2のターゲット3と第2のアノード2はコンデンサ19を介して接続されている。
【0044】
基板保持機構21は、電気的に絶縁されているか、または接地されるか、または任意の電位を印加されていても良い構成となっている。実際の装置では、装置の組立性及び操作性の点から接地状態にすることが望ましい。
【0045】
高周波電源14は変成器32の一次側に接続されている。変成器32の二次側の一方の端子は第1のターゲット5に接続され、他方の端子はコンデンサ36を介し第2のターゲット3に接続されている。なお、コンデンサ36の位置は、第1のターゲット5と変成器32の間でも良いし、さらには、これら両方に設けてもよい。
【0046】
(2)作用効果
高周波電源14より電力を印加することで第1のターゲット5と第2のターゲット3との間に高周波電界が発生する。第1のターゲット5と第1のアノード6との間及び第2のターゲット3と第2のアノード2との間は、コンデンサ18、19により高周波に対し低インピーダンスで接続されているため高周波電界は発生しない。
【0047】
第1のターゲット5と第1のアノード6上の第1のプラズマ10は、これらターゲット及びアノードの電位変動に従いその電位も変動する。同様に第2のターゲット3と第2のアノード2上の第2のプラズマ8も、これらターゲット及びアノードの電位変動に従いその電位が変動する。
【0048】
第1のプラズマ10と、第2のプラズマ8は基板9を介し接しており、双方のプラズマ間に生じた電位差(バイアス電位)が発生するため、実施例1と同様に基板表面に高周波バイアスが発生し同様の効果が得られる。この実施例の特徴は、高周波電位が変成器32を介し第1のターゲット5と第2のターゲット3との間の相対的な電位差として与えられるため、基板9の絶対的な電位に影響されずに基板表面へ同じ高周波電力を印加できる。
【0049】
〈実施例3〉
(1)装置構成
図5は、本発明を磁気記憶装置用磁気ディスク基板のバイアススパッタ成膜装置に適用した場合の、他の実施例となる要部断面概略図を示している。実施例2との構成上の相違点を主体に説明すると、図示のように、第1のアノード6及び第2のアノード2がどちらも接地されアース電位となっており、ターゲットとアノード間に接続していたコンデンサを削除している、さらに基板保持機構21が周囲と電気的に絶縁されている点が異なっている。
【0050】
(2)作用効果
上記実施例1、2では、高周波電流は第1のターゲット5及びアノード6と第2のターゲット3及びアノード2との間でプラズマを介し基板9のみを流れていたが、本実施例の場合、高周波電流の流れる回路が前記に加えてさらに第1のターゲット5、第1のプラズマ10、第1のアノード6、アース配線、第2のアノード2、第2のプラズマ8、第2のターゲット3という経路の回路ができるため、投入する高周波電力の基板へのバイアス効果に用いられる割合は下がり、その分はターゲットのスパッタに用いられることになる。本実施例では高周波電力の基板バイアスへの利用効率が低下する短所はあるが、アノードを絶縁する必要がなくなり電極構成が単純になり従来型の電極に対しても容易に適用できることが特徴である。
【0051】
〈実施例4〉
(1)装置構成
図6は、本発明を磁気記憶装置用磁気ディスク基板のバイアススパッタ成膜装置に適用した場合の、他の実施例となる要部断面概略図を示している。実施例3との構成上の相違点を主体に説明すると、図示のように、高周波電源14及び変成器32の替わりに高周波信号発生器25より発生する低電位レベルの高周波信号を第1の電力増幅器27でアース電位との間に高周波電力を発生し、整合器13でインピーダンス整合をとり第1のターゲット5に接続している。
【0052】
一方、同じ低電位レベルの高周波信号を位相調整器26により位相をずらした後、第2の電力増幅器28でアース電位との間に高周波電力を発生し、整合器29でインピーダンス整合をとり第2のターゲット3に接続している点が異なる。
【0053】
(2)作用効果
第1のターゲット5に流れる高周波電流の経路は第1のプラズマ10を通って第1のアノード6に流れるものと、第1のプラズマ10から基板9、第2のプラズマ8を通って第2のアノード2に流れるものに分けられる。第2のターゲット3を通る高周波電流はこれと対称の経路をとり、第2のプラズマ8を通って第2のアノード2に流れるものと、第2のプラズマ8から基板9、第1のプラズマ10を通って第1のアノード6に流れるものに分けられる。従って位相調整器26の位相差を0とすると基板9を通過する電流は打ち消しあって基板を通して交流電流は流れなくなり、バイアス電力は印加されない。逆に位相調整器26で発生させる位相差が180゜となったとき基板9を通過する高周波電流は最大となる。位相差が180゜の場合では第1及び第2ターゲット5、3に印加される高周波電位は逆位相になるため、第1及び第2のターゲットの間に高周波電位が印加されたことになり、実施例3と同様の効果が得られる。
【0054】
〈実施例5〉
(1)装置構成
図7は、本発明を磁気記憶装置用磁気ディスク基板のバイアススパッタ成膜装置に適用した場合の、他の実施例となる要部断面概略図を示している。実施例4との構成上の相違点を主体に説明すると、図示のように、直流電源16、20及び、ローパスフィルタ15、33を削除した点が異なる。
【0055】
(2)作用効果
本実施例では第1及び第2のターゲット5、3を流れる高周波電流は、実施例4と同様の経路をとるが直流電源による直流電界が印加されていないため、ターゲットへのスパッタリング効果は、高周波電源から印加され、第1のターゲット5と第1のアノード6の間または第2のターゲット3と第2のアノード2の間に印加される高周波電力のみによるものである。この場合、高周波電力増幅器27、28はターゲットのスパッタリングに必要な電力を発生させる必要があるが、直流電源とローパスフィルタは不要になるため装置構成が単純になり、装置コストを下げることができる。基板へのバイアス電力は実施例4と同様に位相調整器26により調整する。
【0056】
以上の実施例は、いずれもバイアススパッタ成膜方法並びに成膜装置について示したものであるが、以下の実施例6〜8ではプラズマCVD成膜方法並びに成膜装置について示す。
【0057】
〈実施例6〉
(1)装置構成
図8は、本発明をプラズマCVD成膜装置に適用した場合のCVD電極の要部断面概略図を示している。図示のように、真空容器1内に第1の電極30、第2の電極31及び第1の防着板7、第2の防着板4が、絶縁材23を介して互いに電気的に絶縁して載置される。成膜対象となる基板9は周囲と電気的に絶縁された基板保持機構21を介し、第1の電極30、第2の電極31の中間に各面をそれぞれの電極に向けるように載置する。真空容器1には排気装置22、及び処理ガス供給系24が接続されている。
【0058】
高周波電源14は、整合器13を介して第1の電極30に接続されており、アース電位との間に高周波電位を発生する。第2の電極31は接地されている。
第1の防着板7と第2の防着板4は、その間で放電が起こらないように真空容器1内の処理ガスのデバイ長よりも小さい間隔で設置される。第1の電極30と第1の防着板7及び第2の電極31と第2の防着板4の間の間隔も同様に真空容器1内の処理ガスのデバイ長よりも小さくする。
【0059】
(2)作用効果
次に、この成膜装置を用いた成膜方法の具体例を作用と共に説明する。基板9は、実施例1で両面に磁性膜を成膜した磁気記憶装置用磁気ディスク基板であり、この基板の両面にカーボン保護膜をプラズマCVDにより形成するものである。
【0060】
真空容器1は排気装置22により0.001Pa以下の高真空に排気された後、処理ガス供給系24より、カーボン原料として例えばメタンを真空容器内で1〜30Paになるように供給する。
【0061】
高周波電源14より所定の電力を所定の時間供給する。第1の電極30は整合器13を介して高周波電源14に接続されており、高周波電源14より印加される高周波電力により、周波数fで電位変動を起こす。基板9と第1及び第2のプラズマシールド(第1、第2の防着板7、4)は、第1及び第2の電極の間に対称におかれており、これらの間の対称性から第1の電極上及び第2の電極上で同じ電界が発生し処理ガスをそれぞれ電離する。
【0062】
第1のプラズマ10と、第2のプラズマ8は、基板9を介し接しており、基板の表裏面間の容量を介し高周波電流が流れる。同じくプラズマと接している第1及び第2の防着板7、4を介しても高周波電流は流れるが、これら二つのシールドの間にある隙間により、シールド間の容量が基板9の両面間の容量に比べ低くなるため高周波電流のほとんどが基板9を介して流れる。
【0063】
第2のプラズマ8の電位が、第1のプラズマ10に対して正になったときは、第1のプラズマ10から電子が基板9の第1の電極30に向いた表面に入射し、第2のプラズマ8からイオンが基板9の第2の電極31に向いた表面に入射する。逆に第1のプラズマ10の電位が、第2のプラズマ8に対して正になったときは、第2のプラズマ8から電子が基板9の第2の電極31に向いた表面に入射し、第1のプラズマ10からイオンが基板9の第1の電極30に向いた表面に入射する。この時、基板9に入射するイオンは、プラズマと基板9との間の高周波電界により加速され、基板表面に衝突してメタン分子を分解し、その結晶構造が非晶質であるカーボン膜を堆積する。
【0064】
このように本発明によれば、従来のように基板表面に電極を接触させることなく、基板の両表面へ電界を発生させ、加速されたイオンの入射を起こすことが可能であり、従来のように基板表面への電極の接触点での電流集中による膜の蒸発とそれに伴う異常放電や、成膜不良が発生しない。また、基板が絶縁物の場合に従来必要であった導電性膜の事前成膜が不要であり、基板表面が絶縁体であってもその表面へカーボン膜の成膜が可能である。
【0065】
〈実施例7〉
(1)装置構成
図9は、本発明をプラズマCVD成膜装置に適用した場合の他の実施例となるCVD電極の要部断面概略図を示している。実施例6との構成上の相違点を主体に説明すると、図示のように、基板保持機構21は電気的に絶縁されているか、または接地されるか、または任意の電位を印加されていても良い構造となっている。基板を搬送する場合の作業性を考慮すると、基板保持機構21は接地した方が装置構成が容易となる。
【0066】
高周波電源14は、変成器32の一次側に接続されている。変成器の二次側の一方の端子は第1の電極30に接続され、他方の端子は第2の電極31に接続されている。この場合も実施例2と同様に他方の端子はコンデンサ36を介し第2のターゲット3に接続されている。コンデンサ36の位置は、第1のターゲット5と変成器32の間でも良い。
【0067】
(2)作用効果
高周波電源14より電力を印加することで第1の電極30と第2の電極31との間に高周波電界が発生する。第1の電極30上の第1のプラズマ10は、この電極の電位変動に従いその電位も変動する。第2の電極31上の第2のプラズマ8は、この電極の電位変動に従いその電位も変動する。
【0068】
第1のプラズマ10と、第2のプラズマ8は基板9を介し接しており、双方のプラズマ間に生じた電位差(バイアス電位)が発生するため実施例6と同様に基板9の表面に高周波バイアスが発生し同様の効果が得られ、膜質の均一なカーボン保護膜を形成することができた。この実施例では高周波電位が、変成器32を介し第1の電極30と第2の電極31との間の相対的な電位差として与えられるため基板の絶対的な電位に影響されずに基板表面へ高周波電力を印加できることが特徴である。
【0069】
〈実施例8〉
(1)装置構成
図10は、本発明をプラズマCVD成膜装置に適用した場合のさらに異なる他の実施例となるCVD電極の要部断面概略図を示している。実施例7との構成上の相違点を主体に説明すると、図示のように、第1の電極30及び第2の電極31の中心に支柱36、37が設置され、その先に基板中心のスピンドル穴とほぼ同じ径のマスク板38、39が取り付けられている。対向するこれらマスク板の間隔は、処理ガスのデバイ長より小さくし、その間にプラズマが発生しないようにする。
【0070】
(2)作用効果
磁気ディスク基板のように穴のあいた基板9を実施例6に用いた場合では基板の穴を通してプラズマ中の電荷(おもに電子)が自由に行き来できるため、その部分のインピーダンスが低下して高周波電流が集中し基板の径方向にプラズマ密度の片寄りができ、基板表面に入射するイオン電流密度に分布が生じることになる。その結果、成膜される膜厚も穴の周囲が厚くなる分布を生じ実用上好ましくない。しかし、本実施例により、マスク板38、39で基板9の穴を塞ぐことで、高周波電流集中はなくなり、均一なプラズマ密度分布が得られ成膜膜厚も均一な膜となる。
【0071】
図11は、実施例8と同様の目的で穴あき基板上への均一なイオン入射を実現する他の手段を示すもので、同図(a)は基板保持機構21に保持された基板9と、基板周辺に設けられているリング状の防着板4、7との関係を示した断面図、同図(b)はその側面図である。
【0072】
先に示した実施例1〜7の基板9と防着板4、7との間隔を、処理ガスのデバイ長より広い間隔dにし、その間を通って荷電粒子が通れるようにする。実用的に好ましくは、dによる間隔の面積が穴40の面積に対して2倍以下である間隔dとすることである。これにより基板中央の穴40のみに集中していた高周波電流を基板周辺にも流し、それに伴い基板上のプラズマ密度を均一化するものである。
【0073】
〈実施例9〉
実施例6〜8は、メタンを処理ガスとして磁性膜上にカーボン保護膜を成膜する磁気ディスクの製造例について示したものであるが、ここでは処理ガスをAr等の不活性ガスに切り換えて基板両面へのプラズマエッチング処理を行なった例について説明する。
【0074】
試料基板は、予め半導体素子が形成されたSiウェハを基板とし、この素子上に層間絶縁膜を介して配線パターンを多層に形成するものである。先ず、実施例1のスパッタ成膜装置で、ターゲット電極にアルミを用いて導体配線用のアルミ薄膜を形成する。その上に周知の方法で配線パターンを転写したレジストマスクパターンを形成する。このレジストマスクパターンが形成されたウェハを被処理基板9として、実施例6のCVD成膜原料ガス(メタン)の代わりにArガスを導入し、この装置をプラズマエッチング装置に仕立て、プラズマ処理を施すことによりアルミ配線パターンを形成する。
【0075】
なお、Arガスと共に処理対象基板表面組成に対して腐食性を持つガスとして例えばハロゲン系のエッチングガスを併用すれば、さらにエッチング速度を速めることもできる。これにより、高精細な配線パターンを形成することができた。また、エッチング条件を室温以下の低温で行なえば、さらに微細な配線パターンの形成が容易となり、高密度のLSIの製造に寄与できる。なお、このプラズマエッチング法は、磁気ディスク基板の表面にテクスチャ加工を施す場合にも有効である。
【0076】
〈実施例10〉
実施例9で配線パターンを形成したウェハ基板を被処理基板9とし、処理ガスをArガスと酸素ガスとの混合系として、基板上に残されたレジストマスクパターンをプラズマアッシング処理を行って除去した。使用した処理装置の構成は実施例9と同一であるが、処理ガスの種類を変えたものである。これによりアルミ配線パターン上を覆っていたレジストが完全に除去された。
【0077】
以上、プラズマ処理方法及び処理装置として、成膜とエッチングとアッシングとを主体に説明したが、本発明は周知のいずれのプラズマ処理にも適用できるものであることは云うまでもない。
【0078】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明により所期の目的を達成することができた。すなわち、本発明によれば基板両面をプラズマ処理する場合に、基板表面に電極を接触させることなく、基板の両表面に高周波電界を発生させ、入射イオンを加速することが可能であり、特に絶縁体基板及び表面が絶縁体で覆われた基板であってもその表面へ加速されたイオンの入射を行うことが可能となる効果がある。
【0079】
また、従来のように基板表面への電極の接触点での電流集中による膜の蒸発とそれに伴う異常放電や、バイアス印加不良が発生せず、安定な処理を行うことができる効果がある。
【0080】
また、従来必要であった基板表面への電極を接触する手段が不要となり、処理装置構造及び処理プロセスを単純化できる効果がある。この手段をバイアススパッタ成膜法に用いれば絶縁基板上への成膜でも膜表面へのイオン衝撃により膜中の結晶性が向上するなど膜質の向上がはかれる。
【0081】
また、プラズマCVDに用いれば絶縁体基板表裏両面に同時に導電性膜あるいは絶縁性膜にかかわらず所望する膜を成膜することができる。また、プラズマエッチングに用いることで絶縁体基板の表裏両面を同時にエッチング処理を行うことができる。また、基板加熱に用いることで特にランプによる加熱が困難な透明絶縁体基板に対しても熱供給を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例(実施例1)となるバイアススパッタ成膜装置の要部構成断面図。
【図2】同じくバイアススパッタ成膜装置による印加する高周波電力と基板へ入射するバイアス電力との関係を示すグラフ。
【図3】同じくバイアススパッタ成膜装置による印加する高周波電力と成膜した磁性膜の磁気特性(保磁力)との関係を示すグラフ。
【図4】同じく他の実施例(実施例2)となるバイアススパッタ成膜装置の要部構成断面図。
【図5】同じく他の実施例(実施例3)となるバイアススパッタ成膜装置の要部構成断面図。
【図6】同じく他の実施例(実施例4)となるバイアススパッタ成膜装置の要部構成断面図。
【図7】同じく他の実施例(実施例5)となるバイアススパッタ成膜装置の要部構成断面図。
【図8】同じく他の実施例(実施例6)となるCVD成膜装置の要部構成断面図。
【図9】同じく他の実施例(実施例7)となるCVD成膜装置の要部構成断面図。
【図10】同じく他の実施例(実施例9)となるCVD成膜装置の要部構成断面図。
【図11】同じく他の実施例となる基板とその周辺の防着板との関係を示した説明図。
【符号の説明】
1…真空容器、
2…第2のアノード電極、
3…第2のターゲット電極、
4…第2の防着板、
5…第1のターゲット電極、
6…第1のアノード電極、
7…第1の防着板、
8…第2のプラズマ、
9…基板、
10…第1のプラズマ、
11、12…磁気発生手段、
13、29…整合器、
14…高周波電源、
15、17…ローパスフィルタ、
16、20…直流電源、
17…ローパスフィルタ、
18、19…コンデンサ、
21…基板保持機構、
22…排気装置、
23…絶縁材、
24…処理ガス供給系、
25…高周波信号発生器、
26…位相調整器、
27、28…電力増幅器、
30…第1の電極、
31…第2の電極、
32…変成器、
33、34…ローパスフィルタ、
35…コンデンサ、
36、37…支柱、
38、39…マスク板、
40…穴。

Claims (10)

  1. 真空容器内に載置された被処理基板の両面側にそれぞれプラズマを発生させて両面同時にプラズマ処理する方法であって、前記少なくとも一方のプラズマに高周波エネルギを与えてこれら両プラズマ間に電位差を生じせしめて、前記基板の表裏面間に高周波電流を流すようにして成るプラズマ処理方法。
  2. 真空容器内に載置された被処理基板と、基板両面からそれぞれ所定間隔をおき対向して設けられた電極との間に、それぞれプラズマを発生させて基板の両面に同時にプラズマ処理する方法であって、前記いずれか一方のプラズマに対して高周波エネルギを与え、他方のプラズマに対しては与えることなくして、これら両プラズマ間に電位差を生じせしめて、前記基板の表裏面間に高周波電流を流すようにして成るプラズマ処理方法。
  3. 真空容器内に載置された被処理基板と、基板両面からそれぞれ所定間隔をおき対向して設けられた電極との間に、それぞれプラズマを発生させて基板の両面に同時にプラズマ処理する方法であって、前記両方のプラズマに対してそれぞれ位相の異なる高周波エネルギを与えることにより、これら両プラズマ間に電位差を生じせしめて、前記基板の表裏面間に高周波電流を流すようにして成るプラズマ処理方法。
  4. 真空容器と、真空容器中を高真空に排気するための排気手段と、真空容器中に処理ガスを供給する手段と、真空容器中に載置される被処理基板と、被処理基板を保持する基板保持機構と、被処理基板を挟み、基板表面からそれぞれ所定間隔をおき対向して設けられた第1の電極及び第2の電極とを備え、前記両電極と基板との間にそれぞれプラズマを発生させて基板両面を同時にプラズマ処理し得る構成としたプラズマ処理装置において、前記第1の電極と第2の電極との間に高周波電位を印加する回路手段を配設して両プラズマ間に電位差を生じせしめて、前記基板の表裏面間に高周波電流を流す手段と、前記基板保持機構が高周波回路との間で基板との接触点以外では電気的に絶縁された状態を構成する手段とを有して成るプラズマ処理装置。
  5. 真空容器と、真空容器中を高真空に排気するための排気手段と、真空容器中に処理ガスを供給する手段と、真空容器中に載置される被処理基板と、被処理基板を保持する基板保持機構と、被処理基板を挟み、基板表面からそれぞれ所定間隔をおき対向して設けられた第1の電極及び第2の電極とを備え、前記両電極と基板との間にそれぞれプラズマを発生させて基板両面を同時にプラズマ処理し得る構成としたプラズマ処理装置において、前記第1の電極と任意に定めた基準電位との間に高周波電位を印加する第1の高周波電源を接続し、前記第2の電極と前記基準電位との間に高周波電位を印加する第2の高周波電源を接続し、しかも前記第1の電極に印加される高周波電位と前記第2の電極に印加される高周波電位との間に位相差を設けて両プラズマ間に電位差を生じせしめて基板の表裏面間に高周波電流を流す手段を配設して成るプラズマ処理装置。
  6. 真空容器と、真空容器中を高真空に排気するための排気手段と、真空容器中に処理ガスを供給する手段と、真空容器中に載置される被処理基板と、被処理基板を保持する基板保持機構と、被処理基板を挟み、基板表面からそれぞれ所定間隔をおき対向して設けられた第1のターゲット電極及び第2のターゲット電極と前記各々のターゲット電極に隣接して配設されたアノード電極とを有し、各ターゲット電極とアノード電極との間に交流電位または、それぞれのターゲット電極を負電位とするような直流電位を印加する手段とを備えた両面スパッタ成膜装置において、前記第1のターゲット電極と第2のターゲット電極との間に高周波電位を印加する回路手段を配設して基板両側に発生するプラズマ間に電位差を生じせしめて、前記基板の表裏面間に高周波電流を流す手段と、前記基板保持機構が高周波回路との間で基板との接触点以外では電気的に絶縁された状態を構成する手段とを有して成るスパッタ成膜装置。
  7. 請求項6記載のスパッタ成膜装置において、第1のターゲット電極とそれに対向するアノード電極とが上記高周波電位の周波数成分において同位相同電位となるように前記周波数成分で低インピーダンスで結合されており、同様に第2のターゲット電極とそれに対向するアノード電極とが前記高周波電位の周波数成分において同位相同電位となるように前記周波数成分で低インピーダンスで結合された構成として成るスパッタ成膜装置。
  8. 請求項7記載のスパッタ成膜装置において、第1のターゲット電極または第2のターゲット電極のどちらか一方が上記高周波電位の周波数成分において接地電位との間低インピーダンスで結合された構成として成るスパッタ成膜装置。
  9. 真空容器と、真空容器中を高真空に排気するための排気手段と、真空容器中に少なくともCVD成膜原料ガスを含む処理ガスを供給する手段と、真空容器中に載置される被処理基板と、被処理基板を保持する基板保持機構と、被処理基板を挟み、基板表面からそれぞれ所定間隔をおき対向して設けられた第1の電極及び第2の電極とを備えた両面同時プラズマCVD成膜装置において、前記第1の電極と第2の電極との間に高周波電位を印加する回路手段を配設して、被処理基板の両面と対向する電極との間に生じる両プラズマ間に電位差を生じせしめて、前記基板の表裏面間に高周波電流を流す手段と、前記基板保持機構が高周波回路との間で基板との接触点以外では電気的に絶縁された状態を構成する手段とを有して成るプラズマCVD成膜装置。
  10. 真空容器と、真空容器中を高真空に排気するための排気手段と、真空容器中に少なくともエッチングガスを含む処理ガスを供給する手段と、真空容器中に載置される被処理基板と、被処理基板を保持する基板保持機構と、被処理基板を挟み、基板表面からそれぞれ所定間隔をおき対向して設けられた第1の電極及び第2の電極とを備えた両面同時プラズマエッチング装置において、前記第1の電極と第2の電極との間に高周波電位を印加する回路手段を配設して、被処理基板の両面と対向する電極との間に生じる両プラズマ間に電位差を生じせしめて、前記基板の表裏面間に高周波電流を流す手段と、前記基板保持機構が高周波回路との間で基板との接触点以外では電気的に絶縁された状態を構成する手段とを有して成るプラズマエッチング装置。
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