JP2010106290A - 成膜装置および成膜方法、磁気記録媒体、磁気記録再生装置 - Google Patents

成膜装置および成膜方法、磁気記録媒体、磁気記録再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ゲッター作用を有する材料からなる薄膜が基板上に成膜されにくく、反応チャンバ内の雰囲気に存在する不純物ガスを効果的に除去して反応チャンバ内の真空度を高めることができる成膜装置および成膜方法を提供する。
【解決手段】ターゲット118が、磁性材料領域18aと、ゲッター作用を有するゲッター材料からなるゲッター材料領域18cとを含むものであり、基板200とターゲット118との間にシールド部材21が設けられ、シールド部材21が、磁性材料領域18a側に向かって基板200全面を露出させるものであって、磁性材料領域18aから発生したスパッタ粒子を通過させる開口部21aと、ゲッター材料領域18cから発生したスパッタ粒子を遮るものであって、表面にゲッター材料からなるゲッター膜が形成される遮断部21bとを有している成膜装置とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、スパッタ法によって基板上に磁性層を形成するための成膜装置および成膜方法に関し、特に、ハードディスク装置等に用いられる磁気記録媒体を構成する磁性層を形成する際などに好適に用いられる成膜装置および成膜方法に関するものである。
近年、ハードディスク装置、フレキシブルディスク装置、磁気テープ装置等の磁気記録装置の適用範囲は著しく増大され、その重要性が増すと共に、これらの装置に用いられる磁気記録媒体について、その記録密度の著しい向上が図られつつある。
また、磁気記録媒体の性能を向上させるために、磁気記録媒体を構成する磁気記録層の多層化が進められている。磁気記録層の多層化に伴って、磁気記録層を構成する各層の厚みが数Å〜100Å程度と薄くなってきている。また、最近、磁気記録媒体の性能を向上させるために、磁気記録層を構成する磁性層の品質をより一層向上させることが要求されている。
磁気記録層は、一般にスパッタ法によって形成されており、スパッタ法によって薄く高品質な磁性層を形成するためには、反応チャンバ内の雰囲気を高度に制御する必要がある。反応チャンバ内の雰囲気を制御するためには、反応チャンバ内の真空度を向上させる必要がある。
この要求に対応する技術として、スパッタチャンバーに真空度を向上させる手段を追加する技術がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、Ti、Ta、Mo、Nd、Baから選ばれた一種または複数種の元素からなるフィラメントと、フィラメントの加熱手段とを有するゲッター手段を反応室の内部に設けた薄膜作成装置が記載されている。
また、ゲッター効果を用いて減圧する技術としては、真空容器内にゲッタ作用を持つ薄膜を配し、到達圧力または残留ガスを現象させる減圧方法(例えば、特許文献2参照)がある。特許文献2には、気体分子を吸着するゲッタ作用の高い金属として、Cr、Ti、Al、Zr、Nd、Ta、Mo、W、V、Ca、Ba、Mgが記載されている。
また、特許文献3には、真空容器内に、有機物質を吸着する物質として、清浄化されたアルミニウム、鉄、亜鉛、ニクロム、チタンから選ばれた少なくとも1種を存在させる真空処理方法が記載されている。
特開2001−181820号公報 特開平6−340965号公報 特開平3−242476号公報
しかしながら、従来の技術では、ゲッター作用を有する材料からなる薄膜が基板上に成膜されてしまう場合があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ゲッター作用を有する材料からなる薄膜が基板上に成膜されにくく、反応チャンバ内の雰囲気に存在する不純物ガスを効果的に除去して反応チャンバ内の真空度を高めることができ、スパッタ法により基板上に高品質な磁性層を形成できる成膜装置および成膜方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明の成膜方法により得られた高品質な磁性膜を備えた磁気記録媒体および磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
(1)スパッタ法によって基板上に成膜するための成膜装置であって、反応チャンバと、前記反応チャンバ内に配置されたターゲットと、前記ターゲットからスパッタ粒子を発生させるスパッタ粒子発生手段とを備え、前記ターゲットが、成膜材料領域と、ゲッター作用を有するゲッター材料からなるゲッター材料領域とを含むものであり、前記基板と前記ターゲットとの間にシールド部材が設けられ、前記シールド部材が、前記成膜材料領域に対して前記基板全面を露出させるものであって、前記成膜材料領域から発生したスパッタ粒子を通過させる開口部と、前記ゲッター材料領域から発生したスパッタ粒子を遮るものであって、表面に前記ゲッター材料からなるゲッター膜が形成される遮断部とを有していることを特徴とする成膜装置。
(2)前記ゲッター材料領域が、円環状で前記成膜材料領域を取り囲むように設けられ、前記シールド部材が、前記ゲッター材料領域の中心と前記基板の中心とを繋ぐ線を軸とし、前記ターゲット側から前記基板側に向かって徐々に直径が大きくなる円筒状のものであり、前記ターゲット側の端部の直径が前記ゲッター材料領域の内径よりも小さいものであることを特徴とする(1)に記載の成膜装置。
(3)前記ゲッター材料が、Crを含有するものであることを特徴とする(1)または(2)に記載の成膜装置。
(4)前記スパッタ粒子発生手段が、各々独立して電力が供給される第1カソードと第2カソードとを備えたものであり、前記第1カソードが、前記成膜材料領域からスパッタ粒子を発生させるものであり、前記第2カソードが、前記ゲッター材料領域からスパッタ粒子を発生させるものであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の成膜装置。
(5)前記成膜材料領域が、磁性材料からなる磁性材料領域であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の成膜装置。
(6)スパッタ法によって基板上に成膜するための成膜方法において、ゲッター作用を有するゲッター材料からなるターゲットのゲッター材料領域からスパッタ粒子を発生させ、前記ゲッター材料領域から発生したスパッタ粒子を前記基板と前記ターゲットとの間でシールド部材の遮断部によって遮りながら、前記遮断部の表面に前記ゲッター材料からなるゲッター膜を形成して反応チャンバ内の真空度を高める真空工程と、前記ターゲットの成膜材料領域からスパッタ粒子を発生させ、前記シールド部材の前記成膜材料領域に対して前記基板全面を露出させる開口部を介して、前記成膜材料領域から発生されたスパッタ粒子を前記基板全面上に供給し、前記基板上に成膜する成膜工程とを備えることを特徴とする成膜方法。
(7)前記ゲッター材料が、Crを含有するものであることを特徴とする(6)に記載の成膜方法。
(8)(6)または(7)に記載の成膜方法により得られた磁性層を備えたことを特徴とする磁気記録媒体。
(9)磁気記録媒体と当該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、前記磁気記録媒体が、(8)に記載の磁気記録媒体であることを特徴とする磁気記録再生装置。
本発明の成膜装置は、ターゲットが、成膜材料領域と、ゲッター作用を有するゲッター材料からなるゲッター材料領域とを含むものであり、前記基板と前記ターゲットとの間にシールド部材が設けられ、前記シールド部材が、前記成膜材料領域に対して前記基板全面を露出させるものであって、前記成膜材料領域から発生したスパッタ粒子を通過させる開口部と、前記ゲッター材料領域から発生したスパッタ粒子を遮るものであって、表面に前記ゲッター材料からなるゲッター膜が形成される遮断部とを有しているので、遮断部に形成されたゲッター膜が反応チャンバ内の雰囲気に存在する不純物ガスと結合することによって、反応チャンバ内の不純物ガスを効果的に除去することができる。よって、本発明の成膜装置によれば、反応チャンバ内の真空度を効果的に高めることができる。
しかも、本発明の成膜装置では、前記基板と前記ターゲットとの間にシールド部材が設けられ、前記シールド部材が、ゲッター材料領域から発生したスパッタ粒子を遮る遮断部を有しているので、ゲッター材料領域から発生したスパッタ粒子が基板に到達することを防止することができ、ゲッター材料からなる薄膜が基板上に成膜されることを防止できる。
さらに、本発明の成膜装置では、シールド部材が、前記成膜材料領域に対して前記基板全面を露出させるものであって、前記成膜材料領域から発生したスパッタ粒子を通過させる開口部を有しているので、成膜材料領域から発生したスパッタ粒子は、シールド部材の影響を受けることなく基板全面上に供給される。
このように、本発明の成膜装置によれば、シールド部材によってゲッター材料からなる薄膜が基板上に成膜されることを防止できるとともに、シールド部材の影響を受けることなく基板上に成膜材料からなる膜を成膜でき、しかも、反応チャンバ内の雰囲気に存在する不純物ガスを効果的に除去して反応チャンバ内の真空度を高めることができるので、スパッタ法により基板上に高品質な膜を形成できる。
また、本発明の成膜方法は、ゲッター作用を有するゲッター材料からなるターゲットのゲッター材料領域からスパッタ粒子を発生させ、前記ゲッター材料領域から発生したスパッタ粒子を前記基板と前記ターゲットとの間でシールド部材の遮断部によって遮りながら、前記遮断部の表面に前記ゲッター材料からなるゲッター膜を形成して反応チャンバ内の真空度を高める真空工程と、前記ターゲットの成膜材料領域からスパッタ粒子を発生させ、前記シールド部材の前記成膜材料領域に対して前記基板全面を露出させる開口部を介して、前記成膜材料領域から発生されたスパッタ粒子を前記基板全面上に供給し、前記基板上に成膜する成膜工程とを備える方法であるので、真空工程において、ゲッター材料からなる薄膜が基板上に成膜されることをシールド部材の遮断部によって防止しつつ、遮断部の表面にゲッター膜を形成して反応チャンバ内の雰囲気に存在する不純物ガスを除去し、反応チャンバ内の真空度を高めることができ、成膜工程においてシールド部材の影響を受けることなく基板上に成膜できるので、スパッタ法により基板上に高品質な膜を形成できる。
また、本発明の磁気記録媒体および磁気記録再生装置は、本発明の成膜方法により得られた磁性膜を備えたものであるので、高品質な磁性膜を備えたものとなる。
以下、本発明を、図面を参照して具体的に説明する。
「磁気記録媒体」
図1は、本発明の磁気記録媒体の一例である垂直磁気記録媒体を示した断面図である。図1に示す垂直磁気記録媒体10は、非磁性基板1の両面に、それぞれ、軟磁性裏打ち層2、配向制御層3、下地層4、磁気記録層5、保護層6、潤滑層7が順に積層された構造を有している。図1に示す垂直磁気記録媒体10は、後述する本発明の成膜装置を用いる本発明の成膜方法により得られた磁性層からなる磁気記録層5を備えたものである。
非磁性基板1としては、Alを主成分とした例えばAl−Mg合金等のAl合金基板や、通常のソーダガラス、アルミノシリケート系ガラス、アモルファスガラス類、シリコン、チタン、セラミックス、サファイア、石英、各種樹脂からなる基板など、非磁性基板であれば任意のものを用いることができる。中でもAl合金基板や結晶化ガラス、アモルファスガラス等のガラス製基板を用いることが好ましい。
軟磁性裏打ち層2は、垂直磁気記録媒体10に信号を記録する際、磁気ヘッドからの記録磁界を導き、磁気記録層5に対して記録磁界の垂直成分を効率よく印加する働きをするものである。
軟磁性裏打ち層2の材料としては、FeCo系合金、CoZrNb系合金、CoTaZr系合金などいわゆる軟磁気特性を有する材料を用いることができる。また、軟磁性裏打ち層2は、単層構成であってもよいが、2層の軟磁性層の間に、Ruなどの極薄い非磁性薄膜をはさみ、軟磁性層間に反強磁性結合を持たせた構造であってもよい。
また、軟磁性裏打ち層2の総膜厚は、通常20(nm)〜120(nm)程度であるが、記録再生特性と書き込み特性とのバランスにより適宜決定される
配向制御層3は、磁気記録層5の配向性を制御するものである。配向制御層3の材料としては、Taやfcc(111)結晶面配向するNi、Ni−Nb、Ni−Ta、Ni−V、Ni−WなどのNi合金を用いることが好ましい。
下地層4の材料としては、磁気記録層5と同様にhcp構造をとる、RuやRe、またはそれらの合金を用いることが好ましい。
下地層4の総膜厚は、記録再生特性と書き込み特性とのバランスから5(nm)以上20(nm)以下であることが好ましい。
磁気記録層5に用いられる強磁性材料としては、Co、Cr、Ptを含み、これにグラニュラ構造を形成するための酸化物を添加したものを用いることが好ましい。酸化物としてはSi酸化物、Ti酸化物、W酸化物、Cr酸化物、Co酸化物、Ta酸化物およびRu酸化物のいずれか1種以上を含むものが好ましい。これらの酸化物を添加した強磁性材料としては、例えばCoCrPt−Si酸化物、CoCrPt−Ti酸化物、CoCrPt−W酸化物、CoCrPt−Cr酸化物、CoCrPt−Co酸化物、CoCrPt−Ta酸化物、CoCrPt−Ru酸化物、CoRuPt−Si酸化物、CoCrPtRu−Si酸化物などを挙げることができる。磁気記録層5には、これらの酸化物を2種以上添加することも可能である。
保護層6は、磁気ヘッドと垂直磁気記録媒体10との接触によるダメージから垂直磁気記録媒体10を保護するためのものである。保護層6としては、カーボン膜、SiO膜などが用いられるが、カーボン膜が好ましく用いられる。
保護層6の膜厚は、1nm〜10nm程度であり、好ましくは2nm〜6nm程度、さらに好ましくは2nm〜4nmである。
潤滑層7に用いる潤滑剤としては、フッ素系潤滑剤、炭化水素系潤滑剤及びこれらの混合物等が挙げられる。また、潤滑層7は、通常1〜4nmの厚さで形成される。
次に、本発明の成膜装置および成膜方法を、図1に示す垂直磁気記録媒体10の磁気記録層5を成膜する場合を例に挙げて説明する。
「成膜装置」
図2は、本発明の成膜装置であるスパッタ装置の一例を示す縦断面図、図3は、図2に示す成膜装置を図2中右側から見た側面図である。また、図4は、図2に示す成膜装置の一部のみを拡大して示した拡大図であって、図4(a)はターゲットとカソードと被成膜基板とシールド部材とガス供給手段のみを示した断面図であり、図4(b)はターゲットと被成膜基板とシールド部材のみを示した斜視図であり、図4(c)はターゲットを示した平面図であり、図4(d)はカソードの電極面を示した平面図である。また、図5は、図2に示す成膜装置の一部のみを拡大して示した拡大図であって、ガス供給手段のみを示した平面図である。
図2および図3に示すように、本実施形態の成膜装置100は、スパッタ法によって、2枚の被成膜基板200の両面に同時に磁性層を形成するものである。本実施形態においては、磁性層として、図1に示す垂直磁気記録媒体10の磁気記録層5を形成する。このため、被成膜基板200として、非磁性基板1上に、軟磁性裏打ち層2、配向制御層3、下地層4の各層が既に形成されているものを用いる。軟磁性裏打ち層2、配向制御層3、下地層4は、スパッタ法などの公知の方法によって形成できる。
なお、本発明の成膜装置および本発明の成膜方法は、垂直磁気記録媒体10の特性に最も影響を与える磁気記録層5の形成に用いることが効果的であるが、磁気記録層5だけではなく、軟磁性裏打ち層2、配向制御層3、下地層4のうちの少なくとも1層の成膜を行う場合にも利用できる。軟磁性裏打ち層2、配向制御層3、下地層4、磁気記録層5のうち、本発明の成膜装置および本発明の成膜方法を用いて成膜された層は、真空度の高い反応チャンバ内で成膜された高品質なものとなる。
本実施形態の成膜装置100は、図2に示す反応容器(反応チャンバ)101と、図2および図4(a)に示すように、反応容器101内において被成膜基板200の両側にそれぞれ配置されたターゲット118と、カソード115と、ガス供給手段102と、シールド部材21とを備えている。被成膜基板200、ターゲット118、カソード115、ガス供給手段102は、いずれも円形状の外形を有するものであり、図2に示すように、水平面に対して略直交する縦置き状態の同軸位置関係とされている。
ターゲット118は、カソード115の電極面側に配置されている。ターゲット118は、図4(c)に示すように、円形状の外形を有するものであり、磁性材料領域(成膜材料領域)18aと、分離領域18bと、ゲッター材料領域18cとを備えた複合ターゲットである。なお、ターゲット118は、図4(c)に示すように、磁性材料領域18aと分離領域18bとゲッター材料領域18cの3つの領域を有するものとすることができるが、磁性材料領域18aとゲッター材料領域18cの2つの領域からなるものであってもよい。
磁性材料領域18aは、円形であり、図1に示す垂直磁気記録媒体10の磁気記録層5を形成するための材料からなる。したがって、本実施形態の磁性材料領域18aは、上述した磁気記録層5と同じ強磁性材料からなるものとされている。
また、分離領域18bは、磁性材料領域18aと同心の円環状であって、磁性材料領域18aとゲッター材料領域18cとの間に配置され、磁性材料領域18aとゲッター材料領域18cとを分離するものである。分離領域18bは、磁性材料領域18aとゲッター材料領域18cとを電気的に絶縁する材料やスパッタ率の低い材料(スパッタされにくい材料)などから構成することが好ましい。
ゲッター材料領域18cは、磁性材料領域18aと同心の円環状であって、ターゲット118の最外周部に配置され、磁性材料領域18aを取り囲むように磁性材料領域18aと離間して設けられている。ゲッター材料領域18cは、ゲッター作用を有するゲッター材料からなるものである。ゲッター材料としては、Cr、Ti、Al、Ta、Co、Ruなどが挙げられるが、酸素に対するゲッター作用に優れたCrを含有するものであることが特に好ましい。
また、カソード115は、ターゲット118からスパッタ粒子を発生させるスパッタ粒子発生手段を構成するものであり、図4(d)に示すように、円形状の外形を有している。カソード115は、図示略の電源によって各々独立して電力が供給される中心カソード15a(第1カソード)と外周カソード15c(第2カソード)の2つのカソードと、2つのカソード間に配置された絶縁部15bとを備えている。中心カソード15a、絶縁部15b、外周カソード15cのそれぞれは、図4(a)に示すように、ターゲット118を構成する磁性材料領域18a、分離領域18b、ゲッター材料領域18bのそれぞれと略同様の平面形状とされている。そして、中心カソード15aが、磁性材料領域18aからスパッタ粒子を発生させるものとされ、外周カソード15cが、ゲッター材料領域18bからスパッタ粒子を発生させるものとされている。
なお、カソード115は、絶縁部15bを有するものとすることができるが、中心カソード15aと外周カソード15cのみからなるものであってもよい。カソード115が、中心カソード15aと外周カソード15cのみからなるものである場合であっても、磁性材料領域18aとゲッター材料領域18cとから個別にスパッタ粒子を発生させることができる。
また、シールド部材21は、図4(a)および図4(b)に示すように、被成膜基板200とターゲット118との間に設けられている。シールド部材21は、図4(a)および図4(b)に示すように、ゲッター材料領域18cの中心であるターゲット118の中心と被成膜基板200の中心とを繋ぐ線を軸として、ターゲット118側から被成膜基板200側に向かって徐々に直径が大きくなる円筒状のものであり、図4(a)に示すように、ターゲット118側の端部の直径D1がゲッター材料領域18cの内径D2よりも小さいものである。
また、シールド部材21は、図4(a)および図4(b)に示すように、開口部21aと遮断部21bとを有している。
開口部21aは、円筒状のシールド部材21の空洞部分からなり、磁性材料領域18aから発生したスパッタ粒子を通過させるものである。開口部21aは、図4(a)および図4(b)に示すように、ターゲット118側から被成膜基板200側に向かって徐々に直径が大きくなっており、ターゲット118の磁性材料領域18aに対して被成膜基板200全面を露出させるものである。
また、遮断部21bは、ゲッター材料領域18cから発生したスパッタ粒子を遮るものであり、表面にゲッター材料からなるゲッター膜21cが形成されるものである。本実施形態においては、図4(a)に示すように、遮断部21bのゲッター材料領域18cと対向する側の面に、ゲッター材料領域18cを構成するゲッター材料と同じ材料からなるゲッター膜21cが形成されている。
また、反応容器101は、図2に示すように、縦型かつ薄型のものであり、反応空間101aを外部と仕切るものである。なお、以下の説明では、反応容器101において、図2中、右側の側壁を「第1の側壁106」、左側の側壁を「第2の側壁107」、図2の奥行き側の側壁を「第3の側壁108(図2および図3参照)」、手前側の側壁を「第4の側壁109(図3参照)」と呼称する。図2および図3に示すように、第1の側壁106および第2の側壁107は長方形状で垂直に配置され、平行に並べられている。そして、幅狭の第3の側壁108と第3の側壁109とが、第1の側壁106と第2の側壁107の左右両側にそれぞれ接続されて、側壁106〜109に囲まれた反応空間101aが形成されている。
反応容器101の第1の側壁106および第2の側壁107の上部側には、図2および図3に示すように、横長のレーストラック形状の窓部119が設けられている。図3に示すように、窓部119には、左右に並んで2基のカソード115およびターゲット118が取り付けられている。
また、図2に示すように、第1の側壁106には、窓部119の下方に、キャリア搬送装置136を取り付けるための小型の窓部116が設けられている。
また、ガス供給手段102は、反応容器101内にスパッタガスを供給するものである。図5に示すように、ガス供給手段102は、一方向に延在された直管部125と、直管部125の一端に連結され、被成膜基板200と同軸位置関係とされた円環状の環状部126とを有している。環状部126の内周壁には、複数のガス放出口126aが円周に沿って略等間隔に設けられている。ガス放出口126aの孔径は、ガスの流入される直管部125の位置に応じて、各孔からの放出ガス量が一定となるように、その位置に応じて変えることが好ましい。即ち、環状部126を流れるガスの上流側においては孔径を小さくし、下流においては孔径を大きくすることが好ましい。
図4(a)に示すように、ガス供給手段102の環状部126は、ターゲット118とシールド部材21との間に配置され、環状部126がターゲット118と被成膜基板200との間のプラズマ生成空間の外周を囲むように配置されている。
また、図2に示すように、反応容器101の第1の排気口111および第2の排気口112には、それぞれ第1の排気手段103および第2の排気手段104が接続されている。第1の排気手段103および第2の排気手段104は、真空ポンプの動作により、反応容器101内を減圧状態にしたり、反応性スパッタリングによって成膜を行う際に、反応容器101内のガスを所定に流量で排気したりする。第1の排気手段103および第2の排気手段104は、それぞれ、真空ポンプ127、128、129と、各真空ポンプ127、128、129に接続され、図示しない制御手段によって開閉が制御されるゲートバルブ130、131、132と、ゲートバルブ130、131と第1の排気口111とを接続する第1の排気管134と、ゲートバルブ132と第2の排気口112とを接続する第2の排気管135とを有する。
第1の排気手段103および第2の排気手段104に用いる真空ポンプ127、128、129としては、特に限定されないが、クライオポンプやターボ分子ポンプであるのが望ましい。中でもターボ分子ポンプは、油を使用しないため、清浄度が高く、また、高い真空度が得られるため好ましい。
また、成膜装置100は、外部から搬入された2枚の被成膜基板200を、それぞれ、互いに対向配置された2枚のターゲット118間の空間に搬送する基板搬送装置105を有している。基板搬送装置105は、図2に示すように、キャリア搬送装置136、137と、キャリア搬送装置136、137に保持された2つのキャリア138(1つは図示略)とを有する。
キャリア搬送装置136は、その一端が、反応容器101の窓部116の周囲に固定され、その内部が、反応容器101内の空間と連通している。また、図3に示すように、キャリア搬送装置136は、キャリア138を図3の紙面の左右方向に搬送する構造を有している。
キャリア搬送装置136、137には、キャリア138を保持するキャリア保持部140と、キャリア保持部140を移動操作する移動操作機構141とが配置されている。キャリア138は、被成膜基板200の外周縁の一部を着脱可能に保持するものであり、移動操作機構141の動作によって、被成膜基板200を対向配置された2枚のターゲット118間に縦置き状態で配置させる。
「成膜方法」
次に、本実施形態の成膜装置100を用いて、スパッタ法により図1に示す垂直磁気記録媒体10の磁気記録層5を成膜する方法を説明する。
まず、キャリア138にそれぞれ被成膜基板200を装着する。キャリア138に被成膜基板200が装着されると、基板搬送装置105の移動操作機構141の動作によって、キャリア138がそれぞれの反応空間101aに移動され、被成膜基板200が、それぞれ、互いに対向配置された2枚のターゲット118間に配置される。このとき、被成膜基板200は、その両主面が、それぞれカソード115、ターゲット118、シールド部材21、ガス供給手段102の環状部126と略等しい距離で対向配置される。
(真空工程)
次に、第1の排気手段103および第2の排気手段104により、反応容器101内を減圧状態とする。ここで、移動操作機構141とその周囲の空間の直近位置に第2の排気手段104が設けられているので、移動操作機構141とそのまわりの空間を効率良く減圧できる。第1の排気口111および第2の排気口112から排出されるガスの流量は、ゲートバルブ130、131、132を制御して、所定の流量に調整される。
次に、各カソード115の外周カソード15cにそれぞれ電力を供給する。これにより、反応空間101aの各カソード115の外周カソード15cに対応する領域において、スパッタガスがプラズマ化し、このプラズマ中に生成されたスパッタガスのイオンが、各ターゲット118のゲッター材料領域18cに選択的に衝突し、ゲッター材料領域18cからターゲット物質(スパッタ粒子)が弾き出される。そして、ゲッター材料領域18cから発生したスパッタ粒子を被成膜基板200とターゲット118との間でシールド部材21の遮断部21bによって遮りながら、遮断部21bの表面にゲッター材料からなるゲッター膜21cを形成して反応容器101内の真空度を高める(ベースプレッシャーを下げる)。
より詳細には、真空工程においてゲッター材料領域18cから発生したスパッタ粒子は、各シールド部材21の遮断部21bのゲッター材料領域18cと対向する側の面に被着してゲッター膜21cを形成する。そして、反応容器101内に存在する酸素などの不純物ガスが、ゲッター膜21cに吸着されることにより除去され、反応容器101内の真空度が高められる。
また、ゲッター材料領域18cから発生したスパッタ粒子は、シールド部材21の遮断部21bによって被成膜基板200とターゲット118との間で遮られるので、ゲッター材料領域18cから発生したスパッタ粒子が、被成膜基板200に到達することが防止され、ゲッター材料からなる薄膜が被成膜基板200上に成膜されることが防止される。
(成膜工程)
次に、ガス供給手段102の環状部126にスパッタガスを導入して、各ガス放出口216aから各ターゲット118の外周部付近にスパッタガスを放出させる。
続いて、各カソード115の中心カソード15aにそれぞれ電力を供給する。これにより、反応空間101aの各カソード115の中心カソード15aに対応する領域において、スパッタガスがプラズマ化し、このプラズマ中に生成されたスパッタガスのイオンが、各ターゲット118の磁性材料領域18aに選択的に衝突し、各磁性材料領域18aからターゲット物質(スパッタ粒子)が弾き出される。そして、磁性材料領域18aに対して被成膜基板200全面を露出させるシールド部材21の開口部21aを介して、磁性材料領域18aから発生されたスパッタ粒子を各被成膜基板200の全面上に供給し、各被成膜基板200の各表面上に磁性層(磁気記録層5)を形成する。
これにより、2枚の被成膜基板200の両面に、同時に磁性層が成膜される。そして、各被成膜基板200の両面において、磁性層(磁気記録層5)が所定の厚さとなったところで成膜を終了する。
なお、成膜工程におけるスパッタガスに酸素ガスのようにゲッターされるガスを用いない場合は、ゲッター膜の形成工程と成膜工程とを同時に進行させてもよい。
その後、磁気記録層5までの各層の成膜された被成膜基板200の上に、CVD法などにより保護層6を形成し、保護層6上に潤滑剤を塗布する方法などにより潤滑層7を形成して垂直磁気記録媒体10とされる。
本実施形態の成膜装置100では、ターゲット118が、磁性材料領域18aと、ゲッター作用を有するゲッター材料からなるゲッター材料領域18cとを含むものであり、被成膜基板200とターゲット118との間にシールド部材21が設けられ、シールド部材21が、磁性材料領域18aに対して被成膜基板200全面を露出させるものであって、磁性材料領域18aから発生したスパッタ粒子を通過させる開口部21aと、ゲッター材料領域18cから発生したスパッタ粒子を遮るものであって、表面にゲッター材料からなるゲッター膜21cが形成される遮断部21bとを有しているので、遮断部21bに形成されたゲッター膜21cが反応容器101内の雰囲気に存在する不純物ガスと結合して吸着されることによって、反応容器101内の不純物ガスが効果的に除去される。よって、本実施形態の成膜装置100によれば、反応容器101内の真空度を効果的に高めることができる。
しかも、本実施形態の成膜装置100では、シールド部材21が、ゲッター材料領域から発生したスパッタ粒子を遮る遮断部21bを有しているので、ゲッター材料領域18cから発生したスパッタ粒子が被成膜基板200に到達することを防止することができ、ゲッター材料からなる薄膜が被成膜基板200上に成膜されることを防止できる。
さらに、本実施形態の成膜装置100では、シールド部材21が、磁性材料領域18aに対して被成膜基板200全面を露出させるものであって、磁性材料領域18aから発生したスパッタ粒子を通過させる開口部21aを有しているので、磁性材料領域18aから発生したスパッタ粒子は、シールド部材21の影響を受けることなく被成膜基板200の全面上に供給される。
このように、本実施形態の成膜装置100によれば、シールド部材21によってゲッター材料からなる薄膜が被成膜基板200上に成膜されることを防止できるとともに、シールド部材21の影響を受けることなく被成膜基板200上に磁性層を形成でき、しかも、反応容器101内の雰囲気に存在する不純物ガスを効果的に除去して反応容器101内の真空度を高めることができるので、スパッタ法により被成膜基板200上に高品質な磁性層を形成できる。
また、本実施形態の成膜装置100では、ゲッター材料領域18cが、円環状で磁性材料領域18aを取り囲むように設けられ、シールド部材21が、ゲッター材料領域18cの中心と被成膜基板200の中心とを繋ぐ線を軸とし、ターゲット118側から被成膜基板200側に向かって徐々に直径が大きくなる円筒状のものであり、ターゲット118側の端部の直径D1がゲッター材料領域18cの内径D2よりも小さいものであるので、シールド部材21によってゲッター材料からなる薄膜が被成膜基板200上に成膜されることをより効果的に防止できるとともに、シールド部材21の影響を受けることなく被成膜基板200上に効率よく磁性層を形成できる。
また、本実施形態の成膜装置100では、スパッタ粒子発生手段を構成するカソード115が、各々独立して電力が供給される中心カソード15aと外周カソード15cとを備えたものであり、中心カソード15aが、磁性材料領域18aからスパッタ粒子を発生させるものであり、外周カソード15cが、ゲッター材料領域18cからスパッタ粒子を発生させるものであるので、磁性材料領域18aとゲッター材料領域18cとから個別にスパッタ粒子を発生させることができるものとなる。
したがって、例えば、ゲッター材料領域18cからスパッタ粒子を発生させて反応チャンバ内の真空度を高める真空工程と、磁性材料領域18aからスパッタ粒子を発生させて基板上に磁性層を形成する成膜工程とを別々に行うこともできるし、磁性材料領域18aとゲッター材料領域18cとから同時にスパッタ粒子を発生させて真空工程と成膜工程とを同時に行うこともできる。
また、本実施形態の成膜方法は、ターゲット118のゲッター材料領域18cからスパッタ粒子を発生させ、シールド部材21の遮断部21bによって、被成膜基板200とターゲット118との間でゲッター材料領域18cから発生したスパッタ粒子を遮りながら、遮断部21bの表面にゲッター材料からなるゲッター膜21cを形成して反応容器101内の真空度を高める真空工程と、ターゲット118の磁性材料領域18aからスパッタ粒子を発生させ、シールド部材21の磁性材料領域18aに対して被成膜基板200全面を露出させる開口部21aを介して、磁性材料領域18aから発生されたスパッタ粒子を被成膜基板200全面上に供給し、被成膜基板200上に磁性層を形成する成膜工程とを備える方法であるので、真空工程において、ゲッター材料からなる薄膜が基板上に成膜されることをシールド部材の遮断部21bによって防止しつつ、遮断部21bの表面にゲッター膜21cを形成して反応容器101内の雰囲気に存在する不純物ガスを除去し、反応容器101内の真空度を高めることができ、成膜工程においてシールド部材21の影響を受けることなく被成膜基板200上に磁性層を形成できる。したがって、本実施形態の成膜方法によれば、被成膜基板200上に高品質な磁性層を形成できる。
また、本実施形態の垂直磁気記録媒体10は、本実施形態の成膜装置100を用いる本実施形態の成膜方法により得られた高品質な磁性膜からなる磁気記録層5を備えた高品質なものとなる。
「磁気記録再生装置」
図6は、本発明の磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置の一例を示した斜視図である。図6に示す磁気記録再生装置300は、図1に示す垂直磁気記録媒体10と、磁気記録媒体10を回転駆動させる媒体駆動部301と、磁気記録媒体10に情報を記録再生する磁気ヘッド302と、この磁気ヘッド302を磁気記録媒体10に対して相対運動させるヘッド駆動部303と、記録再生信号処理系304とを備えて構成されている。
記録再生信号処理系304は、外部から入力されたデ−タを処理して記録信号を磁気ヘッド302に送り、磁気ヘッド302からの再生信号を処理してデ−タを外部に送ることができるようになっている。
磁気ヘッド302には、巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子、トンネル効果を利用したTuMR素子などを有する磁気ヘッドを用いることができる。
図6に示す磁気記録再生装置300は、図1に示す垂直磁気記録媒体10を備えたものであるので、高品質な磁気記録層5を備えた垂直磁気記録媒体10を有するものとなる。
(実施例1)
第1〜第7の成膜装置までの7台の成膜装置を環状に接続してなるインライン式の製造装置を用い、複数の非磁性基板を第1〜第7の成膜装置まで順番に連続的に供給して、以下に示すように、非磁性基板上にスパッタリング法により下から順に、軟磁性層、非磁性層、軟磁性下地層、NiW配向制御層、Ru配向制御層、磁性層、炭素保護膜が形成された磁気記録媒体を製造した。
なお、各成膜装置では、Arガスを用いたスパッタ法で成膜を行い、スパッタ圧は3Pa、基板一枚当たりの処理時間は15秒とし、第1の成膜装置では軟磁性層、第2の成膜装置では非磁性層、第3の成膜装置では軟磁性下地層、第4の成膜装置ではNiW配向制御層、第5の成膜装置ではRu配向制御層、第6の成膜装置では磁性層、第7の成膜装置では炭素保護膜を形成した。
また、第1〜第5、第7の成膜装置として、シールド部材が設けられておらず、スパッタ粒子発生手段として1つのカソードを有するものを用いた。また、第1〜第5、第7の成膜装置においては、ターゲットとして、各成膜装置で用いられる成膜材料のみからなるものを用いた。
非磁性基板としては、KMG社製の結晶化ガラスからなる外径48mm、内径12mm、板厚0.508mmのものを使用した。この非磁性基板を洗浄した後、第1の成膜装置の反応容器内に収容し、CoZrNb[Zr含有量4at%、Nb含有量7at%、残部Co]からなるターゲットを用いて100℃以下の基板温度で非磁性基板上に30nmの軟磁性層を形成した。
その後、非磁性基板を第2の成膜装置の反応容器内に移動させ、軟磁性層上にRuからなる非磁性層を0.5nm成膜し、その後、同様に第3の成膜装置を用いてCoZrNbからなる軟磁性下地層を30nm成膜した。続いて、第4の成膜装置でNiW[W含有量6at%、残部Ni]からなるターゲットを用いて、軟磁性下地層の上に10nmのNiW配向制御層を成膜した。その後、第5の成膜装置でRuからなるターゲットを用いて、20nmのRu配向制御層を成膜した。
なお、軟磁性層、非磁性層、軟磁性下地層、NiW配向制御層、Ru配向制御層の各層を形成する際における第1〜第5の成膜装置の到達真空度は1×10−5Paであった。スパッタリングにはArガスを使用し、スパッタ圧は、Ruが0.8〜10Pa、その他は0.8Paとした。
また、第6の成膜装置としては、図2〜図4に示した本発明の成膜装置を用いた。第6の成膜装置においては、ターゲットとして、直径150mmのCo16Cr16PtBからなるターゲット領域と、その周囲に配置された内径200mm、外径300mmのCrからなるターゲット領域とを有するものを用いた。また、ターゲットと非磁性基板との間の距離を40mmとし、ターゲットと非磁性基板との間にシールド部材として、アルミニウム合金からなり、ターゲットの中心と基板の中心とを繋ぐ線を軸とし、ターゲット側の直径が160mm、基板側の直径が200mmの図2に示す円筒状のものを設けた。また、スパッタ粒子発生手段として、Co16Cr16PtBからなるターゲット領域とCrからなるターゲット領域とに、各々独立して電力が供給される第1カソードと第2カソードとを備えるものを用いた。
このような第6の成膜装置を用い、本発明の成膜方法を用いて、Ru配向制御層の上にCoCr系磁性層を形成した。磁性層の成膜に際しては、まず、Arガス3Paの圧力下で、第2カソードを1000Wで10秒間DC放電させて、Crターゲット領域からスパッタ粒子を発生させた。放電後、Arガスの供給を停止して2秒間排気したところ、成膜装置の反応容器内の真空度は5×10−6Paとなった。
その後、Arガス3Paの圧力下で、第1カソードを800Wで5秒間DC放電させて、Co16Cr16PtBターゲット領域からスパッタ粒子を発生させ、50nmのCo16Cr16PtB[Cr含有量16at%、Pt含有量16at%、B含有量8at%、残部Co]からなる磁性膜を成膜した。
その後、第7の成膜装置を用い、5nmの炭素保護膜を形成した。
(実施例2〜6)
第6の成膜装置のターゲットを構成するCrを、Co(実施例2)、Al(実施例3)、Ti(実施例4)、Ta(実施例5)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を製造した。
(比較例)
第6の成膜装置のCrターゲット領域からスパッタ粒子を発生させなかったこと以外は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を製造した。
次に、実施例1〜5、比較例で製造した磁気記録媒体の磁性層に含まれる不純物である酸素原子量をESCA(X線光電子分光分析装置)によって調べた。
その結果を表1に示す。
Figure 2010106290
表1に示すように、実施例1〜5では、比較例と比較して酸素原子量が非常に少なくなり、本発明の成膜方法を用いることで、磁性層に含まれる酸素原子量を低減できることが明らかになった。このことから、本発明の成膜方法を用いた場合、反応容器内の真空度を成膜直前において瞬間的に高めることができ、膜中の不純物濃度を低減できることが分かる。
また、表1に示すように、実施例1の磁性層に含まれる酸素原子量が、特に少なくなっている。このことから、Crターゲットを用いた場合、反応容器内の酸素をより効果的に除去することができ、磁性層に含まれる酸素原子量を低減する効果が顕著となることが分かる。
図1は、本発明の磁気記録媒体の一例である垂直磁気記録媒体を示した断面図である。 図2は、本発明の成膜装置であるスパッタ装置の一例を示す縦断面図である。 図3は、図2に示す成膜装置を図2中右側から見た側面図である。 図4は、図2に示す成膜装置の一部のみを拡大して示した拡大図であって、図4(a)はターゲットとカソードと被成膜基板とシールド部材とガス供給手段のみを示した断面図であり、図4(b)はターゲットと被成膜基板とシールド部材のみを示した斜視図であり、図4(c)はターゲットを示した平面図であり、図4(d)はカソードの電極面を示した平面図である。 図5は、図2に示す成膜装置の一部のみを拡大して示した拡大図であって、ガス供給手段のみを示した平面図である。 図6は、本発明の磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置の一例を示した斜視図である。
符号の説明
1…非磁性基板、2…軟磁性裏打ち層、3…配向制御層、4…下地層、5…磁気記録層(磁性層)、6…保護層、7…潤滑層、10…垂直磁気記録媒体、15a…中心カソード(第1カソード)、15b…絶縁部、15c…外周カソード(第2カソード)、18a…磁性材料領域、18b…分離領域、18c…ゲッター材料領域、21…シールド部材、21a…開口部、21b…遮断部、21c…ゲッター膜、100…成膜装置、101…反応容器(反応チャンバ)、101a…反応空間、102…ガス供給手段、103…第1の排気手段、104…第2の排気手段、105…基板搬送装置、106〜109…側壁、111…第1の排気口、112…第2の排気口、115…カソード、118…ターゲット、116、119…窓部、125…直管部、126…環状部、126a…ガス放出口、127、128、129…真空ポンプ、134…第1の排気管、135…第2の排気管、136…キャリア搬送装置、137…キャリア搬送装置、138…キャリア、140…キャリア保持部、141…移動操作機構、200…被成膜基板(基板)、300…磁気記録再生装置、302…磁気ヘッド。

Claims (9)

  1. スパッタ法によって基板上に成膜するための成膜装置であって、
    反応チャンバと、
    前記反応チャンバ内に配置されたターゲットと、
    前記ターゲットからスパッタ粒子を発生させるスパッタ粒子発生手段とを備え、
    前記ターゲットが、成膜材料領域と、ゲッター作用を有するゲッター材料からなるゲッター材料領域とを含むものであり、
    前記基板と前記ターゲットとの間にシールド部材が設けられ、前記シールド部材が、前記成膜材料領域に対して前記基板全面を露出させるものであって、前記成膜材料領域から発生したスパッタ粒子を通過させる開口部と、前記ゲッター材料領域から発生したスパッタ粒子を遮るものであって、表面に前記ゲッター材料からなるゲッター膜が形成される遮断部とを有していることを特徴とする成膜装置。
  2. 前記ゲッター材料領域が、円環状で前記成膜材料領域を取り囲むように設けられ、
    前記シールド部材が、前記ゲッター材料領域の中心と前記基板の中心とを繋ぐ線を軸とし、前記ターゲット側から前記基板側に向かって徐々に直径が大きくなる円筒状のものであり、前記ターゲット側の端部の直径が前記ゲッター材料領域の内径よりも小さいものであることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記ゲッター材料が、Crを含有するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の成膜装置。
  4. 前記スパッタ粒子発生手段が、各々独立して電力が供給される第1カソードと第2カソードとを備えたものであり、
    前記第1カソードが、前記成膜材料領域からスパッタ粒子を発生させるものであり、
    前記第2カソードが、前記ゲッター材料領域からスパッタ粒子を発生させるものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の成膜装置。
  5. 前記成膜材料領域が、磁性材料からなる磁性材料領域であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の成膜装置。
  6. スパッタ法によって基板上に成膜するための成膜方法において、
    ゲッター作用を有するゲッター材料からなるターゲットのゲッター材料領域からスパッタ粒子を発生させ、前記ゲッター材料領域から発生したスパッタ粒子を前記基板と前記ターゲットとの間でシールド部材の遮断部によって遮りながら、前記遮断部の表面に前記ゲッター材料からなるゲッター膜を形成して反応チャンバ内の真空度を高める真空工程と、
    前記ターゲットの成膜材料領域からスパッタ粒子を発生させ、前記シールド部材の前記成膜材料領域に対して前記基板全面を露出させる開口部を介して、前記成膜材料領域から発生されたスパッタ粒子を前記基板全面上に供給し、前記基板上に成膜する成膜工程とを備えることを特徴とする成膜方法。
  7. 前記ゲッター材料が、Crを含有するものであることを特徴とする請求項6に記載の成膜方法。
  8. 請求項6または請求項7に記載の成膜方法により得られた磁性層を備えたことを特徴とする磁気記録媒体。
  9. 磁気記録媒体と当該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、
    前記磁気記録媒体が、請求項8に記載の磁気記録媒体であることを特徴とする磁気記録再生装置。
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