JP5238333B2 - 磁性層の形成方法及び成膜装置と磁気記録再生装置 - Google Patents
磁性層の形成方法及び成膜装置と磁気記録再生装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5238333B2 JP5238333B2 JP2008111378A JP2008111378A JP5238333B2 JP 5238333 B2 JP5238333 B2 JP 5238333B2 JP 2008111378 A JP2008111378 A JP 2008111378A JP 2008111378 A JP2008111378 A JP 2008111378A JP 5238333 B2 JP5238333 B2 JP 5238333B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- substrate
- magnetic
- gas
- target
- oxide
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Magnetic Record Carriers (AREA)
- Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
Description
一方、HDDの磁気記録方式として、いわゆる垂直磁気記録方式が従来の面内磁気記録方式(磁化方向が基板面に平行な記録方式)に代わる技術として近年急速に利用が広まっている。垂直磁気記録方式では、情報を記録する記録層の結晶粒子が基板に対して垂直方向に磁化容易軸をもっている。この磁化容易軸とは、磁化の向きやすい方向を意味し、一般的に用いられているCo合金の場合、Coのhcp構造の(0001)面の法線に平行な軸(c軸)である。垂直磁気記録方式は、このように磁性結晶粒子の磁化容易軸が垂直方向であることにより、高記録密度が進んだ際にも、記録ビット間の反磁界の影響が小さく、静磁気的にも安定という特徴がある。
垂直磁気記録媒体の高記録密度化には、熱安定性を保ちながら低ノイズ化を実現する必要がある。ノイズを低減するための方法としては、一般的に2つの方法が用いられる。1つ目は記録層の磁性結晶粒子を磁気的に分離、孤立化させることで、磁性結晶粒子間の磁気的相互作用を低減する方法、2つ目は磁性結晶粒子の大きさを小さくする方法である。具体的には、例えば、記録層にSiO2等を添加し、磁性結晶粒子がSiO2等を多く含む粒界領域に取り囲まれた、いわゆるグラニュラ構造を有する垂直磁気記録層を形成する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
このような観点から、本発明者が、特許文献1および特許文献2に記載された方法について、詳細に検討した結果、特許文献1に記載された方法では、ターゲット表面付近に形成されるプラズマ空間は安定するものの、このプラズマ空間内に存在する酸素ラジカルの濃度が不安定となり、成膜されるグラニュラ磁性層が不均一となることが明らかとなった。
本発明は前述の優れた磁性層を備えた磁気記録媒体と磁気記録再生装置の提供を目的とする。
また、本発明は、反応容器の内部を減圧する場合の円滑な減圧操作を可能とするとともに、反応性スパッタリングを行う場合に、スパッタチャンバ内の酸素ラジカル濃度分布の均一性を高め、磁性層中に取り込まれる酸素濃度を面方向において一様とし、特性が安定した膜を形成することができる成膜装置の提供を目的とする。
(1)本発明の磁性層の形成方法は、磁気記録媒体に用いられるドーナツ円盤状基板の両面に、少なくともCo、Cr、Ptを含有し、グラニュラ構造を有し、グラニュラ構造を形成する粒界構成物質として、Si酸化物、Ti酸化物、W酸化物、Cr酸化物、Co酸化物、Ta酸化物およびRu酸化物のいずれか1種以上を3モル%〜15モル%の範囲内で含み、基板の表面に対して垂直方向の磁気異方性を有し、膜厚、1nm〜15nmの範囲内の磁気記録用の垂直磁性層を反応性スパッタリングにより形成する磁性層の形成方法であって、偏平の縦長の空間を構成するように相互の間隔を狭めて垂直に設けた両側壁を有する反応容器内に、前記基板を、その面方向が縦方向となるように配置するとともに、スパッタ電極と該スパッタ電極の表面にターゲットが配設されてなる一対の電極ユニットを、それぞれ、前記ターゲットを前記基板側に向けて、前記基板の両面と対向するように前記両側壁よりも前記基板に近い位置で前記基板を挟むように配置し、アルゴンおよび酸素と水を含む混合ガスを、前記一対の電極ユニットの各前記基板側の表面付近に、前記ターゲットと前記基板との間のプラズマ生成空間を囲む位置から、前記ターゲットの表面付近に沿って、その外周部から中央部に向けて流れるように供給するとともに、反応後に生じる排ガスを、前記反応容器の縦方向における両端部から排気しながら反応性スパッタリングによって磁性層を形成することを特徴とする。
(3)本発明において、前記排ガスを前記反応容器の縦方向における上端部側から排気する第1の排気手段と、底部側から排気する第2の排気手段とを有し、それら排気手段の間に前記電極ユニットを備え、該電極ユニットと第2の排気手段の間に基板搬送装置を備えた反応容器を用いることを特徴とする(1)または(2)に記載の磁性層の形成方法である。
(4)本発明において、前記第1の排気手段にターボ分子ポンプを備え、前記第2の排気手段にクライオポンプを備えた反応容器を用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の磁性層の形成方法である。
(6)本発明において、前記一対の電極ユニットを複数組用い、複数の基板の両面に、並行して磁性層を形成することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の磁性層の形成方法である。
(7)本発明の磁気記録媒体は、(1)〜(6)のいずれかの形成方法により得られた磁性膜を備えたことを特徴とする。
(8)本発明の磁気記録再生装置は、磁気記録媒体と当該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、前記磁気記録媒体が、(7)に記載の磁気記録媒体であることを特徴とする。
(11)本発明は、前記第1の排気手段がターボ分子ポンプを備え、前記第2の排気手段がクライオポンプを備えてなることを特徴とする(9)または(10)に記載の成膜装置に関する。
また、反応後のガスを、反応容器の両端部から排気するため、排気されるガスの流れにより、プラズマが特定方向に流されることが少ない。これにより、被成膜基板とプラズマとの間にガスが流れ込み、その箇所に非プラズマ空間が形成されることが抑えられる。
これらのことから、本発明では、反応性スパッタリングによる成膜速度が高まり、また、基板表面に析出する磁性層の均一性が高まる。
その結果、面方向において一様な磁気特性を有する磁性層を形成することが可能となり、これにより、記録再生特性が安定した磁性層を提供することが可能となる。
また、ドーナツ円盤状基板の両面に、反応性スパッタリングによって少なくともCo、Cr、Ptを含有するグラニュラ構造で粒界構成物質としてSi、Ti、W、Cr、Co、Ta、Ruのいずれかの酸化物を有する垂直磁性層を形成するに際して、アルゴンと酸素と水を含有する混合ガスを、一対の電極ユニットの表面付近のプラズマ生成空間を囲むように、ターゲット表面付近に、その外周部から中央部に向かって流れるように供給するため、外周部から中央部に向かって流れる混合ガスの流れが、中央部で互いに反対向きの混合ガスの流れに打ち消される。このため、混合ガスの流れによって、ターゲット付近に形成されるプラズマをかく乱することを抑制でき、ターゲット付近に安定したプラズマを生成できる。
特に、反応性スパッタリングにおいて酸素ラジカルを利用する場合、プラズマ空間を安定生成できることは、基板側に酸素ラジカルを確実に到達させることができ、目的の特性の膜を生成する際に有利となる。
まず、本発明を用いて磁性層が形成される垂直磁気記録媒体の一例について説明する。
図1は、本発明を用いて磁性層が形成される垂直磁気記録媒体を示す縦断面図である。
図1に示す形態の垂直磁気記録媒体10は、非磁性基板1の両面に、それぞれ、少なくとも軟磁性裏打ち層2、その直上の膜の配向性を制御する配向制御層3および下地層4、磁気記録層(磁性層)5、保護層6、潤滑層7が順に積層された構造を有する。磁気記録層5は、少なくともCoとCrとPtを含むグラニュラ構造を有する垂直磁気記録層である。
磁気ディスクの製造工程においては、まず非磁性基板1の洗浄・乾燥が行われるのが通常であり、本発明においても各層との密着性を確保する見地からも、非磁性基板1には、その各層の形成前に洗浄、乾燥が行われていることが望ましい。洗浄については、水洗浄だけでなく、エッチング(逆スパッタ)による洗浄も含まれる。
また、非磁性基板1のサイズは、特に限定されず、用途に応じて適宜決定される。
軟磁性裏打ち層2の材料としては、FeCo系合金、CoZrNb系合金、CoTaZr系合金などいわゆる軟磁気特性を有する材料ならば使用することができる。軟磁性裏打ち層2は、アモルファス構造であることが特に好ましい。これは、アモルファス構造とすることで、表面粗さ(Ra)が大きくなることを防ぎ、ヘッドの浮上量を低減することが可能となり、さらなる高記録密度化が可能となるためである。
また、軟磁性裏打ち層2は、このような軟磁性層の単層構成であってもよいが、2層の軟磁性層の間に、Ruなどの極薄い非磁性薄膜をはさみ、軟磁性層間に反強磁性結合を持たせた構造であることが好ましい。
また、軟磁性裏打ち層2の総膜厚は、通常20(nm)〜120(nm)程度であるが、記録再生特性と書き込み特性とのバランスにより適宜決定される
また、軟磁性裏打ち層2がアモルファス構造をとる場合でも、材料や成膜条件によって表面粗さRaが大きくなることがあるため、軟磁性裏打ち層2と配向制御層3との間に非磁性のアモルファス層を成膜することが好ましい。これにより、磁気記録層5が形成される面の表面粗さRaが下がり、磁気記録層5の配向性を向上させることができる。
下地層4の材料としては、磁気記録層5と同様にhcp構造をとる、RuやRe、またはそれらの合金が好ましい。なお、前述の中間層(配向制御層3)の働きは、磁気記録層5の配向を制御することにあるので、hcp構造をとらなくても磁気記録層5の配向を制御できる材料であれば用いることができる。
下地層4の総膜厚は、記録再生特性と書き込み特性とのバランスから5(nm)以上20(nm)以下であることが好ましい。
垂直磁気記録層5中の強磁性材料としては、Co、Cr、Ptを必須成分とし、これにグラニュラ構造を形成するための酸化物を添加したものを用いることが好ましい。酸化物としてはSi酸化物、Ti酸化物、W酸化物、Cr酸化物、Co酸化物、Ta酸化物およびRu酸化物のいずれか1種以上を含むものが好ましい。これらの酸化物を添加した強磁性材料としては、例えばCoCrPt−Si酸化物、CoCrPt−Ti酸化物、CoCrPt−W酸化物、CoCrPt−Cr酸化物、CoCrPt−Co酸化物、CoCrPt−Ta酸化物、CoCrPt−Ru酸化物、CoRuPt−Si酸化物、CoCrPtRu−Si酸化物などを挙げることができる。磁気記録層5には、これらの酸化物を2種以上添加することも可能である。
少なくともCoとCrとPtを含むグラニュラ構造を有する垂直磁気記録層5中に存在する酸化物の総量は3〜15モル%であることが好ましい。酸化物の添加量の総量がこの範囲であると、本発明の磁性層の形成方法を用いて、良好なグラニュラ構造を形成することができる。
保護層6の膜厚は、1nm〜10nm程度であり、好ましくは2nm〜6nm程度、さらに好ましくは2nm〜4nmである。
図2は、本発明の磁性層の形成方法で用いられる成膜装置の一例を示す縦断面図、図3は、図2に示す成膜装置を図2中右側から見た側面図、図4は、図2に示す成膜装置に備えられているガス流入管の一例を示す上面図である。
本実施形態では、グラニュラ構造の磁気記録層5を、反応性スパッタリングを用いて成膜する。まず、反応性スパッタリングによって磁気記録層5を成膜するための成膜装置について説明する。
本実施形態の成膜装置100は、2枚の被成膜基板200の両面に、同時に磁性層(磁気記録層)を形成できるように構成されている。本実施形態では、図1に示す垂直磁気記録媒体10の磁気記録層5を形成するため、被成膜基板200として、非磁性基板1上に、軟磁性裏打ち層2、配向制御層3、下地層4が既に形成されたものを用いる。
なお、第1のカソード〜第4のカソードはいずれも同等の構成とされ、第1の窓部109側に左右に並んで2基、第2の窓部110側に左右に並んで2基取り付けられているが、図2、図3においては一部を略して記載している。
また、第1の排気口111および第2の排気口112には、それぞれ、第1の排気手段103および第2の排気手段104が接続されている。
具体的には、図3に示すように、第1のカソード113および第2のカソードは、横方向に並んだ状態で、第1の側壁106に設けられた横長の第1の窓部109に、フレームを介して気密的に接合される。また、第3のカソードおよび第4のカソードは、横方向に並んだ状態で、第2の側壁107に設けられた第2の窓部110に、フレームを介して気密的に接合される。そして、第1のカソード113〜第4のカソードは、それぞれ、その電極面が水平面に対して略直交するような縦置き状態となっており、第1のカソード113と第3のカソードとは、その反応空間101a側の表面(電極面)同士が対向し、第2のカソードと第4のカソードとは、その反応空間101a側の表面(電極面)同士が対向した位置関係になっている。
本実施形態では、第1のカソード113および第1のターゲット117によって構成される第1の電極ユニットU1と、第3のカソードおよび第3のターゲット119とによって構成される第3の電極ユニットU2とが対をなし、第2のカソードおよび第2のターゲットによって構成される第2の電極ユニットと、第4のカソードおよび第4のターゲットによって構成される第4の電極ユニットとが対をなしている。
図4に示すように、第1のガス流入管121〜第4のガス流入管124は、それぞれ、一方向に延在された直管部125と、直管部125の一端に連結された円環状の環状部126とを有し、環状部126の内周壁に、複数のガス放出口126aが円周に沿って略等間隔に設けられてなる。ガス流入管124に設けるガス放出口126aの孔径は、ガス流入管124に接続する直管部125の位置に応じて、各孔からの放出ガス量が一定となるよう、その位置に応じて変えることが好ましい。即ち、各管を流れるガスの上流側においては孔径を小さくし、下流においては孔径を大きくすることが好ましい。
第1のガス流入管121〜第4のガス流入管124は、各直管部125の他端が延出されて、それぞれ反応容器101の外部に設けられているガス供給手段102に接続されている。また、各ガス流入管121〜124の環状部126が、それぞれ、第1のターゲット117〜第4のターゲットの各外周縁上に配設されている。即ち、ガス流入管の各環状部126が各ターゲットと各被成膜基板との間のプラズマ生成空間の外周を囲むように配置されている。
ガス供給装置によって送出される混合ガスは、上述の各バルブによって流量が制御されつつ、第1のガス流入管121〜第4のガス流入管124に、それぞれ、導入される。各ガス流入管に導入された混合ガスは、直管部125を通過して環状部126に流入し、円環状に配置されている複数のガス放出口126aから環状部126の内側方向に向けて放出されるようになっている。
アルゴンは、反応性プラズマの発生を安定化する作用を有する。また、酸素は反応性プラズマ内で酸素ラジカルとなり、グラニュラ構造の磁性層において、結晶粒界を構成する酸化物を生成する。
混合ガスには、H2Oを含有させるのが好ましい。反応性プラズマ中で、H2Oは酸素ラジカルと水素ラジカルとに分解するが、酸素ラジカルはグラニュラ構造の磁性層において、結晶粒界を構成する酸化物を生成し、水素ラジカルはグラニュラ構造の磁性層において磁性粒子の酸化を防ぐ効果を有する。これにより、磁気特性の優れたグラニュラ磁性層を形成することが可能となる。
第1の排気手段103および第2の排気手段104は、その真空ポンプの動作により、反応容器101内を減圧状態にしたり、反応性スパッタリングによって成膜を行う際、反応容器101内のガスを所定に流量で排気したりする。第1の排気手段103および第2の排気手段104は、それぞれ、真空ポンプ127、128、129と、各真空ポンプに接続され、図示しない制御手段によって開閉が制御されるゲートバルブ130、131、132と、ゲートバルブ130、131と第1の排気口111を接続する第1の排気管134と、ゲートバルブ132と第2の排気口112を接続する第2の排気管135とを有する。
本実施形態では、第1の排気手段103および第2の排気手段104の取り付けフランジをターゲット面と平行に配置し、また第1の排気手段103を構成する2つのポンプの取り付けフランジを平行に対向させ、排気能力の高い大きな真空ポンプを多数取り付けているにもかかわらず、反応容器101の容積を小さくすることを可能としている。なお、本実施形態の第2の排気手段104を第1の排気手段103と同様の構成とし、第2の排気手段104の真空ポンプを2台とし、反応容器101の排気能力をさらに高めることも可能である。
第2の排気手段103および第2の排気手段104に用いる真空ポンプ127、128、129としては、特に限定されないが、ターボ分子ポンプであるのが望ましい。ターボ分子ポンプは、油を使用しないため、清浄度が高く、また、高い真空度が得られる。このため、ターボ分子ポンプを用いることにより、反応容器101内のガスを効率よく排気することができる。
この基板搬送装置105は、基板搬入室136と、キャリア搬送装置137と、キャリア搬送装置137に保持された第1のキャリア138および第2のキャリアとを有する。なお、第2のキャリアおよび後述する第2のキャリア保持部は、第1のキャリア138および後述する第1のキャリア保持部と同様の構成とされており、図示は省略する。
基板搬入室136は、その一端が、反応容器101の第3の窓部116の周囲に固定され、その内部が、反応容器101内の空間と連通している。また、図3に示すように、この基板搬入室136には、外部から基板を搬入するための開口139と、この開口139を開閉する図示しない扉が設けられている。
第1のキャリア138および第2のキャリアは、それぞれ、被成膜基板200の外周縁の一部を着脱可能に保持するものであり、移動操作機構141の動作によって、基板搬入室136の開口139付近から、それぞれ第1の反応空間(第1のターゲット117と第3のターゲット118との間の空間)の下方および第2の反応空間(第2のターゲットと第4のターゲットとの間の空間)の下方に移動操作される。
第1のキャリア138および第2のキャリアに被成膜基板200が装着されると、基板搬送装置105は、移動操作機構141の動作によって、各キャリア138を第1のターゲット117と第3のターゲット118との間の空間、および、第2のターゲットと第4のターゲットとの間の空間の下方に移動操作する。
その後、第1のゲートバルブ130〜第3のゲートバルブ132を制御し、第1の排気口111および第2の排気口112から排出されるガスの流量を所定の流量に調整する。
第1のガス流入管121〜第4のガス流入管124に導入された混合ガスは、環状部126を通過して、各ガス放出口216aから各ターゲット(各電極ユニット)の外周部付近に放出され、ターゲットの中央部に向かって流れる。
これにより、各カソードに対応する空間において、混合ガスがプラズマ化し、このプラズマ中に生成された不活性ガスのイオンが、各ターゲットに衝突し、各ターゲットからターゲット物質(スパッタ粒子)が弾き出される。弾き出されたスパッタ粒子はその一部が活性化された反応性ガスと反応し、他の一部は反応性ガスと未反応の状態で、各被成膜基板200の各表面に被着する。
また、反応後のガスは、第1の排気手段103および第2の排気手段104によって、反応容器101の上方および下方から円滑に排気されるため、排気されるガスの流れにより、プラズマ空間が特定方向に流されることが少ない。これにより、各被成膜基板200とプラズマとの間にガスが流れ込み、その箇所に非プラズマ空間が形成されることが抑えられる。これらのことから、この成膜装置101では、反応性スパッタリングによる成膜速度が高まり、また、各被成膜基板の表面に析出する磁性層の均一性が高まる。すなわち、この成膜装置では、均一性の高い磁性層を、高速で成膜することができる。
以上のようにして2枚の被成膜基板200の両面に、並行して磁気記録層5が形成される。このようにして形成された各磁気記録層5は、スパッタ粒子が均一に析出することによって成膜されていることにより、面方向において一様な磁気特性を有し、安定な記録再生特性を得ることができる。
図5に示す磁気記録再生装置は、図1に示す構成の垂直磁気記録媒体10と、磁気記録媒体10を回転駆動させる媒体駆動部301と、磁気記録媒体10に情報を記録再生する磁気ヘッド302と、この磁気ヘッド302を磁気記録媒体10に対して相対運動させるヘッド駆動部303と、記録再生信号処理系304とを備えて構成されている。
記録再生信号処理系304は、外部から入力されたデ−タを処理して記録信号を磁気ヘッド302に送り、磁気ヘッド302からの再生信号を処理してデ−タを外部に送ることができるようになっている。
この磁気記録再生装置に用いる磁気ヘッド302には、巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子、トンネル効果を利用したTuMR素子などを有した、より高記録密度に適した磁気ヘッドを適宜用いることができる。
(実施例)
2.5インチハードディスク形状のガラス基板(コニカミノルタ製MEL3)をANELVA社製C−3040型スパッタリング装置の真空チャンバー内に導入した。
スパッタリング装置の真空度を1×10−5Pa以下に排気した後、基板の両面に、密着層として、Cr膜を10nm、裏打ち層として、70Co−20Fe−5Ta−5Zrを30nm、Ru膜を0.8nm、70Co−20Fe−5Ta−5Zrを30nm成膜した。次いで、配向制御膜として、90Ni−10Wを5nm、下地膜として、Ruを15nm成膜した。スパッタの際には、Arガスを用い、裏打ち層およびNi−10Wは、ガス圧を0.8Paとして成膜し、Ru下地層は、ガス圧8Paとして成膜した。
ここで、ターゲット組成は、92(66Co−16Cr−18Pt)−8(SiO2)である。
ガス流入管に導入した原料ガスは、アルゴンを200sccm、酸素を10sccmの流量で混合した混合ガスであり、この混合ガスを、外径200mmのサイズの環状部を備えたガス流入管の内側に等間隔に16個設けられたガス放出口(内径0.5mmの細孔)から放出させた。
また、本反応性スパッタ装置の上部には2台のターボ分子ポンプ、下部には1台のターボ分子ポンプを設け、成膜時には、トータルの実効排気速度が上部で600リットル/秒、下部で350リットル/秒となるように、反応性ガスを排気した。
次いで、基板をCVD成膜装置に移し、基板上にカーボン保護膜をCVD法にて4nm成膜した。
以上の工程により、磁気記録媒体を作製した。
記録再生特性としては、信号対ノイズ比(SNR、ただしSは線記録密度576kFCIでの出力、Nは線記録密度576kFCIでのrms(root mean square)値)とOW値(線記録密度576kFCIの信号を記録した後、線記録密度77kFCIの信号を上書きした前後の576kFCIの信号の再生出力比(減衰率))を評価した。
その結果、磁気記録媒体面内でのSNRのバラツキが5%以内で、OW値のバラツキが3%以内の磁気記録媒体が得られた。
先の実施例において上部2台のターボ分子ポンプを停止し、その他は先の実施例と同等の条件で磁気記録媒体を製造した。その結果得られた磁気記録媒体面内のSNRのバラツキは最大で9%、OW値のばらつきは最大で7%となった。
「比較例2」
先の実施例において下部の1台のターボ分子ポンプを停止し、その他は先の実施例と同等の条件で磁気記録媒体を製造した。その結果得られた磁気記録媒体面内のSNRのバラツキは最大で11%、OW値のばらつきは最大で9%となった。
先の実施例において原料ガスの供給をターゲットの中央から行った。具体的には、2組の対向する両ターゲット(合計4枚)の中央に5mmφのガス供給管の開口部を設け、この各開口部から、アルゴンを50sccm、酸素を12.5sccm供給して反応性スパッタ成膜を行ない、磁気記録媒体を製造した。得られた磁気記録媒体面内のSNRのバラツキは最大で7%、OW値のばらつきは最大で5%となった。
以上の対比から、反応性スパッタ装置の上部に2台のターボ分子ポンプを設けることが重要であり、加えて、反応性スパッタ装置の下部に1台のターボ分子ポンプを設けることも重要であり、更に、環状部を備えたガス流入管の内側の等間隔の放出孔から中心側に向けて混合ガスを供給することが重要であることも明らかとなった。
Claims (11)
- 磁気記録媒体に用いられるドーナツ円盤状基板の両面に、少なくともCo、Cr、Ptを含有し、グラニュラ構造を有し、グラニュラ構造を形成する粒界構成物質として、Si酸化物、Ti酸化物、W酸化物、Cr酸化物、Co酸化物、Ta酸化物およびRu酸化物のいずれか1種以上を3モル%〜15モル%の範囲内で含み、基板の表面に対して垂直方向の磁気異方性を有し、膜厚、1nm〜15nmの範囲内の磁気記録用の垂直磁性層を反応性スパッタリングにより形成する磁性層の形成方法であって、
偏平の縦長の空間を構成するように相互の間隔を狭めて垂直に設けた両側壁を有する反応容器内に、前記基板を、その面方向が縦方向となるように配置するとともに、スパッタ電極と該スパッタ電極の表面にターゲットが配設されてなる一対の電極ユニットを、それぞれ、前記ターゲットを前記基板側に向けて、前記基板の両面と対向するように前記両側壁よりも前記基板に近い位置で前記基板を挟むように配置し、
アルゴンおよび酸素と水を含む混合ガスを、前記一対の電極ユニットの各前記基板側の表面付近に、前記ターゲットと前記基板との間のプラズマ生成空間を囲む位置から、前記ターゲットの表面付近に沿って、その外周部から中央部に向けて流れるように供給するとともに、
反応後に生じる排ガスを、前記反応容器の縦方向における両端部から排気しながら反応性スパッタリングによって磁性層を形成することを特徴とする磁性層の形成方法。 - 前記基板より大きな径の環状部を有し、その内周壁に複数のガス放出口が円周に沿って略等間隔で設けられたガス流入管を、前記一対の電極ユニットの前記基板側であって、前記ターゲットと前記基板との間のプラズマ生成空間の外周を前記環状部で囲むように、かつ、前記基板の中心と前記環状部の中心とを位置合わせして配置し、
前記混合ガスを、前記ガス流入管に導入し、前記各ガス放出口から放出させることにより、前記混合ガスを、前記一対の電極ユニットの各前記基板側の表面付近に、外周部から中央部に向けて流れるように供給することを特徴とする請求項1に記載の磁性層の形成方法。 - 前記排ガスを前記反応容器の縦方向における上端部側から排気する第1の排気手段と、底部側から排気する第2の排気手段とを有し、それら排気手段の間に前記電極ユニットを備え、該電極ユニットと第2の排気手段の間に基板搬送装置を備えた反応容器を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性層の形成方法。
- 前記第1の排気手段にターボ分子ポンプを備え、前記第2の排気手段にクライオポンプを備えた反応容器を用いることを特徴とする請求項3に記載の磁性層の形成方法。
- 少なくともいずれかの排気手段が2台の真空ポンプを備える構成の装置を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁性層の形成方法。
- 前記一対の電極ユニットを複数組用い、複数の基板の両面に、並行して磁性層を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁性層の形成方法。
- 請求項1〜6のいずれかの形成方法により得られた磁性膜を備えたことを特徴とする磁気記録媒体。
- 磁気記録媒体と当該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、前記磁気記録媒体が、請求項7に記載の磁気記録媒体であることを特徴とする磁気記録再生装置。
- 磁気記録媒体に用いられるドーナツ円盤状基板の両面に、少なくともCo、Cr、Ptを含有し、グラニュラ構造を有し、グラニュラ構造を形成する粒界構成物質として、Si酸化物、Ti酸化物、W酸化物、Cr酸化物、Co酸化物、Ta酸化物およびRu酸化物のいずれか1種以上を3モル%〜15モル%の範囲内で含み、基板の表面に対して垂直方向の磁気異方性を有し、膜厚、1nm〜15nmの範囲内の磁気記録用の垂直磁性層を反応性スパッタリングにより形成する磁性層の成膜装置であって、
偏平の縦長の空間を構成するように相互の間隔を狭めて垂直に設けた両側壁を有する反応容器の内部に反応空間が設けられ、前記反応容器の上方に前記反応空間に連通する第1の排気手段が接続され、前記反応容器にカソードとターゲットを対向配置した電極ユニットが少なくとも一対、互いに対向状態で設置され、前記電極ユニットの下方側に前記対になる電極ユニット間に基板をその面方向を縦方向にして出し入れ自在とする基板搬送装置が設けられ、前記対になる電極ユニットはそれらのターゲットを前記両側壁よりも前記基板の縦方向挿入位置に近い位置で基板を挟むように配置され、
前記反応容器の下部側であって前記基板搬送装置よりも下側に第2の排気手段が接続されるとともに、前記対向する個々のターゲットの近傍に、環状部を備え、該環状部の内周側に複数の放出口を備えた反応ガス供給用のガス流入管が設けられ、
アルゴンおよび酸素と水を含む混合ガスを反応ガスとして、前記ターゲットと前記基板との間のプラズマ生成空間を囲む前記環状部の複数の放出口から前記ターゲットの表面付近に、その外周部から中央部に向けて流れるように供給しながら磁性層を成膜し、反応後に生じる排ガスを前記反応容器の縦方向における両端部に位置する第1の排気手段と第2の排気手段から排出することを特徴とする成膜装置。 - 前記ガス流入管がアルゴンガスと酸素ガスと水を含む混合ガスを供給自在なものであり、前記基板と前記ターゲットとの間に生成されるプラズマ空間に酸素ラジカル、または、酸素イオン、または、酸素原子を含むプラズマが生成されることを特徴とする請求項9に記載の成膜装置。
- 前記第1の排気手段がターボ分子ポンプを備え、前記第2の排気手段がクライオポンプを備えてなることを特徴とする請求項9または10に記載の成膜装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008111378A JP5238333B2 (ja) | 2008-04-22 | 2008-04-22 | 磁性層の形成方法及び成膜装置と磁気記録再生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008111378A JP5238333B2 (ja) | 2008-04-22 | 2008-04-22 | 磁性層の形成方法及び成膜装置と磁気記録再生装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009266266A JP2009266266A (ja) | 2009-11-12 |
JP5238333B2 true JP5238333B2 (ja) | 2013-07-17 |
Family
ID=41391931
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008111378A Expired - Fee Related JP5238333B2 (ja) | 2008-04-22 | 2008-04-22 | 磁性層の形成方法及び成膜装置と磁気記録再生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5238333B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5427572B2 (ja) * | 2009-12-01 | 2014-02-26 | 昭和電工株式会社 | マグネトロンスパッタ装置、インライン式成膜装置、磁気記録媒体の製造方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05148634A (ja) * | 1991-11-22 | 1993-06-15 | Nec Corp | スパツタリング装置 |
JPH0892737A (ja) * | 1994-09-21 | 1996-04-09 | Shin Etsu Chem Co Ltd | スパッタ装置 |
JPH10219442A (ja) * | 1996-12-05 | 1998-08-18 | Tokyo Electron Ltd | スパッタ装置 |
JP4493284B2 (ja) * | 2003-05-26 | 2010-06-30 | キヤノンアネルバ株式会社 | スパッタリング装置 |
JP2006127637A (ja) * | 2004-10-28 | 2006-05-18 | Hitachi Global Storage Technologies Netherlands Bv | 垂直磁気記録媒体の製造方法 |
-
2008
- 2008-04-22 JP JP2008111378A patent/JP5238333B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009266266A (ja) | 2009-11-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8394243B1 (en) | Sputtered cobalt oxide for perpendicular magnetic recording medium with low media noise | |
JP5192993B2 (ja) | 磁性層の形成方法 | |
JP5566669B2 (ja) | インライン式成膜装置及び磁気記録媒体の製造方法 | |
US7732070B2 (en) | Perpendicular magnetic recording medium, method of manufacturing the same, and magnetic storage unit | |
JP2006313584A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
US20100021772A1 (en) | Oxidized conformal capping layer | |
US10056103B2 (en) | Method of manufacturing magnetic recording medium, magnetic recording medium, and magnetic recording and reproducing apparatus | |
JP5427572B2 (ja) | マグネトロンスパッタ装置、インライン式成膜装置、磁気記録媒体の製造方法 | |
JP4794514B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法および製造装置 | |
US7354630B2 (en) | Use of oxygen-containing gases in fabrication of granular perpendicular magnetic recording media | |
JP3423907B2 (ja) | 磁気記録媒体及びその製造方法並びに磁気記録装置 | |
JP5238333B2 (ja) | 磁性層の形成方法及び成膜装置と磁気記録再生装置 | |
JP2010106290A (ja) | 成膜装置および成膜方法、磁気記録媒体、磁気記録再生装置 | |
JP5084795B2 (ja) | イオンビーム蒸着処理用のイオン源およびイオンビーム蒸着処理用のイオン源に対して電圧を印加する工程を含む方法 | |
JP5172484B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法及び成膜装置 | |
JP2003288713A (ja) | 垂直磁気記録媒体とそれを備えた磁気記録装置及び垂直磁気記録媒体の製造方法並びに製造装置 | |
JP2008176847A (ja) | 薄膜積層体の製造方法、及び薄膜積層体製造装置と磁気記録媒体および磁気記録再生装置 | |
JP2010163639A (ja) | スパッタリング装置及びそれを用いた磁気記録媒体の製造方法 | |
JP5328462B2 (ja) | マグネトロンスパッタ装置、インライン式成膜装置、磁気記録媒体の製造方法 | |
JP5364455B2 (ja) | マグネトロンスパッタ装置及びインライン式成膜装置 | |
JP2010088970A (ja) | 処理装置、磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 | |
JP2010257515A (ja) | マグネトロンスパッタ装置、インライン式成膜装置、磁気記録媒体の製造方法、磁気記録再生装置 | |
JP2010027102A (ja) | 磁気記録媒体およびその製造方法、磁気記録再生装置 | |
JP6060484B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP2010198659A (ja) | 処理装置、インライン式成膜装置、磁気記録媒体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110113 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20111121 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120403 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120601 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130305 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130401 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160405 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |