JP3621061B2 - リチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池用負極のバインダー及びそれらを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面エネルギーがγs が、30mJm−2以上の高分子材料をバインダーに用いたリチウムイオン二次電池用負極及びそのリチウムイオン二次電池用負極のバインダーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器特に携帯電話やノートパソコンなどの携帯機器では小型化、軽量化の傾向がめざましく、これに伴いこれらを駆動させる二次電池が非常に重要な部品となっている。これら二次電池の中でもリチウムイオン二次電池は軽量でエネルギー密度が高いことからこれら携帯機器の駆動用電源として研究・工業化が進んでいる。
【0003】
このリチウムイオン二次電池負極には安全性の点などから黒鉛を含む炭素材の活物質が主に使用されている。この黒鉛は、リチウムと層間化合物を形成する活物質である。リチウムイオン二次電池負極では、電解液中で負極活物質に含まれる黒鉛層間にリチウムを電気化学的に出し入れ(インターカレーション/脱インターカレーション)することによって、充放電が行われている。この黒鉛層間にリチウムを電気化学的に出し入れ(インターカレーション/脱インターカレーション)する際に重要なことは、このリチウムの出し入れ(インターカレーション/脱インターカレーション)以外の副反応、例えば電解液の分解等が起こらないことである。
【0004】
リチウムイオン二次電池では、リチウムが水と反応するため、電解液として有機溶媒を主体とするものが使用されている。この電解液としては、電位窓が広く安定なプロピレンカーボネート(以下、PCという。)という有機溶媒にリチウム塩(LiClO4 、LiPF6 、LiBF4 、LiAsF6 等)を溶解したものが期待されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、PCは、リチウムを炭素材にインターカレーションする前に、分解反応が優先的に発生してしまい、リチウムの炭素材へのインターカレーションが不可能であるという問題がある。そのため、これに代わる溶媒としてエチレンカーボネート(以下、ECという。)とエーテル系溶媒との混合電解液が現在、黒鉛を含む炭素材を負極活物質として使用しているリチウム二次電池の電解液として主に使用されている。
【0006】
しかしながら、このエーテル系電解液は、沸点が低いため、高温雰囲気での使用ができず、電池の自己発熱にも弱いという欠点を有している。そのため、ノートパソコンや携帯用ビデオカメラ等のように長時間使用するものには不向きであるため、高温雰囲気や自己発熱にも強い電解液の開発が望まれている。
【0007】
PCは、この点すぐれた特性を有しているが、前述のように黒鉛からなる負極活物質と反応して分解してしまうという問題が依然残っている。
【0008】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、PCを電解液として使用することができる、黒鉛を含む炭素材からなるリチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池用負極のバインダー及びそれらを用いたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明者等は、電解液のPCと負極活物質中の黒鉛との直接接触をさけることで、PCの分解反応を抑制できるものと考え、活物質中に黒鉛を結合する高分子材料からなるバインダーの表面エネルギーを制御して、黒鉛とバインダーとの界面エネルギーを制御することで、PCの分解反応が抑制されることを見出し本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、学振法で得られるX線パラメータの内、d002が0.3370nm以下の炭素材を活物質の一部として用い、表面エネルギーγsが、30mJm-2以上の芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミドの群から選ばれる1又は2以上の高分子材料をバインダーとして用いることを特徴とする。また、前記表面エネルギーγsが、水並びにヨウ化メチレンを試験液体とする室温での接触角測定から、下記式(1)、式(2)、式(3)を用いて計算された値である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
1+cosθ=2[(γS d・γL d)/γL]1/2+2[(γS p・γL p)/γL]1/2・・・(1)式
γS=γS d+γS P・・・(2)式
γL=γL d+γL P・・・(3)式
ただし、θはそれぞれの試験液体での接触角、γS dとγL dはそれぞれ高分子材料と試験液体の表面エネルギーの分散成分、γS pとγL pはそれぞれ高分子材料と試験液体の表面エネルギーの極性成分である。また、水並びにヨウ化メチレンの表面エネルギー値は、
水:γL d=21.8mJm-2、γL p=51.0mJm-2
ヨウ化メチレン:γL d=48.5mJm-2、γL p=2.3mJm-2
を用いるものとする。また、前記活物質中の他の物質が、金属又は金属を含む化合物であるものが好ましい。
これにより、電解液のPCを分解することがない、黒鉛を含む炭素材を活物質の一部として用いたリチウムイオン二次電池用負極とできる。
【0011】
また、本発明のリチウムイオン二次電池用負極のバインダーは、水並びにヨウ化メチレンを試験液体とする室温での接触角測定から、下記式(1)、式(2)、式(3)を用いて計算された表面エネルギーγs が、30mJm-2以上の芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミドの群から選ばれる1又は2以上の高分子材料である。
1+cosθ=2[(γS d・γL d)/γL]1/2+2[(γS p・γL p)/γL]1/2・・・(1)式
γS=γS d+γS P・・・(2)式
γL=γL d+γL P・・・(3)式
ただし、θはそれぞれの試験液体での接触角、γS dとγL dはそれぞれ高分子材料と試験液体の表面エネルギーの分散成分、γS pとγL pはそれぞれ高分子材料と試験液体の表面エネルギーの極性成分である。また、水並びにヨウ化メチレンの表面エネルギー値は、
水:γL d=21.8mJm-2、γL p=51.0mJm-2
ヨウ化メチレン:γL d=48.5mJm-2、γL p=2.3mJm-2
を用いるものとする。
【0012】
本発明に用いられる負極活物質の一部に用いられる炭素材としては、学振法で得られるX線パラメータの内、d002 が0.3370nm以下の、天然黒鉛、人造黒鉛、樹脂炭、天然物の炭化物、石油コークス、石炭コークス、ピッチコークス、メソカーボンマイクロビーズのいずれか1つ若しくは2つ以上の組み合わせたものが好ましい。特に、天然黒鉛又は人造黒鉛のいずれかを含むものであることが好ましい。これにより、安全性が高く且つ高い容量のリチウムイオン二次電池用負極とすることができる。ここで、学振法で得られるX線パラメータの内、d002 が0.3370nm以下の炭素材は、黒鉛化度が0.4以上であり、Liのインターカレーション過程が支配的な領域となる。
【0013】
これら炭素材を結合するバインダーとしては、水並びにヨウ化メチレンを試験液体とする室温での接触角測定から、下記式(1)、式(2)、式(3)を用いて計算された表面エネルギーγs が、30mJm−2以上の高分子材料であるものが好ましい。
1 +cos θ=2[( γS d ・γL d )/γL ]1/2+2[( γS p ・γL p )/γL ] 1/2 ・・・(1) 式
γS = γS d +γS P ・・・(2) 式
γL = γL d +γL P ・・・(3) 式
ただし、θはそれぞれの試験液体での接触角、γS d とγL d はそれぞれ高分子材料と試験液体の表面エネルギーの分散成分、γS p とγL p はそれぞれ高分子材料と試験液体の表面エネルギーの極性成分である。また、水並びにヨウ化メチレンの表面エネルギー値は、
水: γL d =21.8mJm−2、γL p =51.0mJm −2
ヨウ化メチレン: γL d =48.5mJm−2、γL p =2.3mJm −2
を用いるものとする。
【0014】
表面エネルギーγs が、30mJm−2以上であると、炭素材の表面エネルギーγs (例えば、天然黒鉛は120mJm−2程度)との差を小さくすることができ、界面エネルギーを減少させて安定化させ、接着仕事を大きくすることができる。
【0015】
この高分子材料としては、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリアミドまたはこれらを組み合わせたものより選ばれたものが好ましく、特に芳香族ポリイミドが好ましい。これら芳香族基を含むことで、電子移動が比較的容易に行われる。
【0016】
これら芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等は公知の方法、例えば第4版実験化学講座28「高分子合成」(日本化学編、丸善株式会社発行、1992)に記載の方法を用いることができる。中でも、低温重縮合法を用いるのが好ましい。
低温重縮合法においては、テトラカルボン酸二無水物、酸クロライドとジアミンとを反応させてポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミドを合成することができる。ここで、用いるテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリツト酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2′,3−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6,−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7,−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、フエナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフエン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2′,3′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、等があり、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0017】
酸クロライドとしては、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライド、無水トリメリット酸モノクロライド等を使用することができる。
【0018】
ジアミン化合物としては、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルフィド、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、等があり、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0019】
これらを合成する溶媒は、これら原料樹脂及び生成する高分子が溶解するものであれば特に制限されないが、反応性及び負極作製時の分散媒体の点からはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−ジメチル−2−ピロリドンを用いるのが好ましい。
【0020】
また、負極活物質中に炭素材以外に、必要に応じて、ホウ素やケイ素等の金属が添加され、熱処理されたものであってもよい。これらを、所定の粉砕、分級などの処理により必要な粒度に調整して二次電池用負極材の活物質とする。
【0021】
また、炭素質材料の他に、金属または金属を含む化合物を有機高分子以外の活物質として使用することもできる。金属としてはスズ、ケイ素等が挙げられる。また、金属を含む化合物としては各種金属の酸化物、窒化物、ホウ化物、リン化物等が挙げられる。
【0022】
このように、二次電池用負極材の活物質を、高い電気容量を有し、前記の(1)式及び(2)式で求められる表面エネルギーγs が、30mJm−2以上の芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等、より好ましくは芳香族ポリイミドをバインダーとして用いることで、負極としての活物質の量を減らすことなく、これら芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリアミドの有する電気容量を二次電池として活用することが可能となる。また、これらバインダーとなる芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等、特に芳香族ポリイミドの前記の(1)式、(2)式及び(3)式で求められる表面エネルギーγs が30mJm−2以上のものを使用することで、電解液中のPCが分解しない。そのため、電池の自己発熱等によって温度が高くなった場合であっても、リチウムを炭素材にインターカレーションすることが可能となり、高温雰囲気でも使用できる二次電池用負極とできる。また、この芳香族ポリイミド等のバインダーは、二次電池用負極の活物質のバインダーとしてのみではなく、銅等の集電体への密着性を向上させるバインダーとしても作用する。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。また、以下のセルの製作及び測定は全て露点が−70℃以下のアルゴングローブボックス中で行い、正負極サイズは4×4cmとした。
【0024】
(実施例1)
バインダーとして、フッ素系ポリイミド(以下、6FDA−PDAという。)を、N,Nジメチルアセトアミドを合成溶媒として合成した。6FDA−PDAのN,Nジメチルアセトアミド合成溶液をガラス板上に塗布し、乾燥後、表面をn−ヘキサンで洗浄し、80℃で10分間乾燥した後、水並びにヨウ化メチレンを試験液体として室温で、それぞれの接触角を測定後、測定したそれぞれの接触角を用いて、下記(1)、(2)、(3)式によって計算して求めた。これより求めた表面エネルギーγS は、35.1mJm−2であった。
1 +cos θ=2[( γS d ・γL d )/γL ]1/2+2[( γS p ・γL p )/γL ] 1/2 ・・・(1) 式
γS = γS d +γS P ・・・(2) 式
γL = γL d +γL P ・・・(3) 式
これに、バインダーが10質量%になるように、平均粒径20μm、学振法で得られるX線パラメータの内、d002 が0.3354nmの鱗状天然黒鉛粉末を添加してスラリーを調整した。次いで、厚み20μmの銅箔からなる集電体の表面に塗布し、これを1.3kPa、135℃で17時間乾燥させてN−メチル2−ピロリドン(NMP)を除去した。そして、さらに、300℃で1時間、不活性気体雰囲気下でポリアミド酸のポリイミドへの転化処理を行い、圧延後、所定の形状に加工して目的とする二次電池用負極を得た。この二次電池用負極を用いて、三極セルを組立てた。対極及び参照極には、リチウム金属を用いた。電解液には、LiClO4 を1mol/リットル含むエチレンカーボネイト/PC(1/1 vol%)の混合液を用いた。
【0025】
(実施例2)
バインダーとして、ポリアミド(以下、PAという。)を、N,Nジメチルアセトアミドを合成溶媒として合成した。表面エネルギーγS は、42.8mJm−2であった。その他は、実施例1と同様にして、二次電池用負極とした。
【0026】
(実施例3)
バインダーとして、ポリイミド(以下、BPDA−PDAという。)を、N,Nジメチルアセトアミドを合成溶媒として合成した。表面エネルギーγS は、41.4mJm−2であった。その他は、実施例1と同様にして、二次電池用負極とした。
【0028】
(比較例1)
バインダーとして、ポリビニリデンフロライド(以下、PVdFという。)を、N,Nジメチルアセトアミドに溶解して溶液を調整した。表面エネルギーγS は、28.4mJm−2であった。その他は、実施例1と同様にして、二次電池用負極とした。
【0029】
(比較例2)
バインダーとして、エチレンプロピレン−ジエンゴム(以下、EPDMという。)を、シクロヘキサンに溶解して溶液を調整した。表面エネルギーγS は、23.6mJm−2であった。その他は、実施例1と同様にして、二次電池用負極とした。
【0030】
なお、実施例1乃至4及び比較例1及び2に使用したバインダーの表面エネルギーγS を測定する際に用いた水並びにヨウ化メチレンに対する接触角を表1にまとめて示す。ここで、表中におけるθw は、水の接触角、θMIはヨウ化メチレンの接触角である。
【0031】
【表1】
【0032】
実施例1乃至3及び比較例1及び2による二次電池を電流密度1.56mAcm-2で4mVまで充電し、その後0mAまで定電位で充電し、1.5Vまで1.56mAcm-2で放電した。充電曲線を図1に示す。
【0033】
図1に示されているとおり、実施例1乃至3ではPCの分解による0.8V付近の平坦域は見られない。一方、比較例では平坦域が存在し、PCが分解していることがわかる。
【0034】
以上より、バインダーの表面エネルギーを30mJm−2以上に制御して、炭素材との界面エネルギーを制御することによって、電解液中に含まれるPCが炭素材と直接接触しなくなり、PCの分解を抑制できることがわかる。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されており、炭素材を一部に用いてなる負極活物質のバインダーとして、芳香族ポリイミド等からなり、表面エネルギーが30mJm−2以上の高分子を使用すると、電解液にPCを使用した場合であっても、PCの分解反応が抑制され、電池の長時間の使用による自己発熱による高温化、又は、高温雰囲気下であっても、使用することができる充放電効率の高いリチウムイオン二次電池とすることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における二次電池の充電曲線を示す。
Claims (8)
- 学振法で得られるX線パラメータの内、d002が0.3370nm以下の炭素材を活物質の一部として用い、表面エネルギーγsが、30mJm-2以上の芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミドの群から選ばれる1又は2以上の高分子材料をバインダーとして用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記表面エネルギーγsが、水並びにヨウ化メチレンを試験液体とする室温での接触角測定から、下記式(1)、式(2)、式(3)を用いて計算された値である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
1+cosθ=2[(γS d・γL d)/γL]1/2+2[(γS p・γL p)/γL]1/2・・・(1)式
γS=γS d+γS P・・・(2)式
γL=γL d+γL P・・・(3)式
ただし、θはそれぞれの試験液体での接触角、γS dとγL dはそれぞれ高分子材料と試験液体の表面エネルギーの分散成分、γS pとγL pはそれぞれ高分子材料と試験液体の表面エネルギーの極性成分である。また、水並びにヨウ化メチレンの表面エネルギー値は、
水:γL d=21.8mJm-2、γL p=51.0mJm-2
ヨウ化メチレン:γL d=48.5mJm-2、γL p=2.3mJm-2
を用いるものとする。 - 前記活物質中の他の物質が、金属又は金属を含む化合物である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記炭素材が、天然黒鉛、人造黒鉛、樹脂炭、天然物の炭化物、石油コークス、石炭コークス、ピッチコークス、メソカーボンマイクロビーズのいずれか1つ若しくは2つ以上を組み合わせたものである請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記炭素材が、天然黒鉛若しくは人造黒鉛を含んでいるものである請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 水並びにヨウ化メチレンを試験液体とする室温での接触角測定から、下記式(1)、式(2)、式(3)を用いて計算された表面エネルギーγsが、30mJm-2以上の芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミドの群から選ばれる1又は2以上の高分子材料であるリチウムイオン二次電池用負極のバインダー。
1+cosθ=2[(γS d・γL d)/γL]1/2+2[(γS p・γL p)/γL]1/2・・・(1)式
γS=γS d+γS P・・・(2)式
γL=γL d+γL P・・・(3)式
ただし、θはそれぞれの試験液体での接触角、γS dとγL dはそれぞれ高分子材料と試験液体の表面エネルギーの分散成分、γS pとγL pはそれぞれ高分子材料と試験液体の表面エネルギーの極性成分である。また、水並びにヨウ化メチレンの表面エネルギー値は、
水:γL d=21.8mJm-2、γL p=51.0mJm-2
ヨウ化メチレン:γL d=48.5mJm-2、γL p=2.3mJm-2
を用いるものとする。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極を用いたリチウムイオン二次電池。
- 請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用負極のバインダーを用いたリチウムイオン二次電池。
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