JP2022088933A - リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法、リチウムイオン二次電池正極層用スラリー及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法、リチウムイオン二次電池正極層用スラリー及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2022088933A
JP2022088933A JP2020201076A JP2020201076A JP2022088933A JP 2022088933 A JP2022088933 A JP 2022088933A JP 2020201076 A JP2020201076 A JP 2020201076A JP 2020201076 A JP2020201076 A JP 2020201076A JP 2022088933 A JP2022088933 A JP 2022088933A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
positive electrode
oxide
ion secondary
secondary battery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020201076A
Other languages
English (en)
Inventor
冬 丁
Dong Ding
昌明 久保田
Masaaki Kubota
聖志 金村
Kiyoshi Kanemura
英俊 阿部
Hidetoshi Abe
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ABRI Co Ltd Advanced Battery Research Institute
Original Assignee
ABRI Co Ltd Advanced Battery Research Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ABRI Co Ltd Advanced Battery Research Institute filed Critical ABRI Co Ltd Advanced Battery Research Institute
Priority to JP2020201076A priority Critical patent/JP2022088933A/ja
Publication of JP2022088933A publication Critical patent/JP2022088933A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

【課題】電極中のLiイオン伝導率と電子導電率を同時に向上させることが可能な、Liイオン二次電池正極用シート状複合材料、Liイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法、Liイオン二次電池正極層用スラリー及びLiイオン二次電池を提供する。【解決手段】シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下の単層構造のシート状グラフェンと、多層構造のシート状グラフェンと、前記単層構造のシート状グラフェンのシートの長さまたは前記多層構造のシート状グラフェンのシートの長さに対する粒子径の比が、粒子径/長さ=0.001以上1以下の酸化物系固体電解質粒子と、を含み、前記酸化物系固体電解質粒子は、前記単層構造のシート状グラフェンのおもて面及びうら面並びに前記多層構造のシート状グラフェンのおもて面及びうら面に、複数接触して担持している、Liイオン二次電池正極用シート状複合材料。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法、リチウムイオン二次電池正極層用スラリー及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、現在実用化されている二次電池において、最も高いエネルギー密度を有する高性能二次電池であり、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータのような携帯電子機器、電気自動車等の電源として搭載されている。リチウムイオン二次電池は、これらの電源として高容量化、高性能化、高安全性、長寿命化などが求められている。
このようなリチウムイオン二次電池は、近年、体積エネルギー密度を増加させるため、電極層の厚みを増加させ、尚且つ電極層に含まれる導電助剤や結着剤の割合を減少させ、電極活物質の割合を増加させる手法が検討されている。しかしながら、電極層厚みを増加させると、電解液は電極層内への浸透が難しくなる。つまり、電極層内のリチウムイオンの伝導パスを十分に構築できなくなる。更に、電極層の厚みの増加に伴い、電極単位面積当たりに必要なリチウムイオンも増大するので、円滑な電極反応を行なうためには、より多量のリチウムイオンの拡散が必要となる。また、電極層に含まれる導電助剤の割合を減少させると、リチウムイオン二次電池から大きな電流を取り出すことが困難となって、高レート特性が劣化するという問題がある。
例えば、非特許文献1では、電極内のリチウムイオンの伝導率を増加するために、酸化物系固体電解質粒子を正極層に添加し、電池の出力性能が伸びたことが確認された。
特開2020-17437号公報
X. Wu, S. Xia, Y. Huang, X. Hu, B. Yuan, S. Chen, et al., High‐Performance, Low‐Cost, and Dense‐Structure Electrodes with High Mass Loading for Lithium‐Ion Batteries, Adv. Funct. Mater. 1903961 (2019) 1903961.
しかしながら、酸化物系固体電解質粒子自体は不導体なので、正極層に添加すればするほど、電極中の電子導電性が低下する恐れがある。
また、例えば特許文献1では、リチウムイオン二次電池用シート状正極複合材料にグラフェンが含まれている。グラフェンは、高い熱的・化学的安定性、高強度、高導電性、高熱伝導性、高比表面積等の優れた特性を有するため、単体でも優れた導電助剤として機能することができる。一方、グラフェンは、比表面積が大きく、表面エネルギーが高いため、そのまま正極層に導電助剤として用いると、当該グラフェンが凝集するという問題がある。導電助剤としてのグラフェンが凝集すると、導電助剤が正極層全体に均一に分散している場合と比較して、十分な導電性が得られないおそれがある。
従って、本発明はこのような問題に着目してなされたものであり、電極中のリチウムイオン伝導率と電子導電率を同時に向上させることが可能な、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法、リチウムイオン二次電池正極層用スラリー及びリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料は、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下の単層構造のシート状グラフェンと、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下の多層構造のシート状グラフェンと、前記単層構造のシート状グラフェンのシートの長さまたは前記多層構造のシート状グラフェンのシートの長さに対する粒子径の比が、粒子径/長さ=0.001以上1以下の酸化物系固体電解質粒子と、を含み、前記酸化物系固体電解質粒子は、前記単層構造のシート状グラフェンのおもて面及びうら面並びに前記多層構造のシート状グラフェンのおもて面及びうら面に、複数接触して担持している。
本発明によれば、電極中のリチウムイオン伝導率と電子導電率を同時に向上することが可能な、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法、リチウムイオン二次電池正極層用スラリー及びリチウムイオン二次電池を提供できる。
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法を説明するためのフローチャートである。 図2は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の一例として示す、コイン型の電池の模式断面図である。 図3は、実施例1のリチウムイオン二次電池に含まれるリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の一部の走査型電子顕微鏡写真である。 図4は、グラフェン、酸化物系固体電解質粒子及びリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料のラマン分光スペクトルの測定結果を示す図である。 図5は、実施例2のリチウムイオン二次電池のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料に含まれる酸化物系固体電解質粒子の表面のカーボンコート層を撮影した透過電子顕微鏡写真である。 図6は、実施例3のリチウムイオン二次電池と、比較例2のリチウムイオン二次電池のCole-Cole-プロット図である。 グラフェンと正極活物質が形成する導電経路のイメージ図である。 グラフェン等に酸化物系固体電解質粒子が担持した状態を示すイメージ図である。
以下、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法、リチウムイオン二次電池正極層用スラリー及びリチウムイオン二次電池の一実施形態について説明する。
[リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料]
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料(以下、「シート状複合材料」とする場合がある)は、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下の単層構造のシート状グラフェンと、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下の多層構造のシート状グラフェンと、前記単層構造のシート状グラフェンのシートの長さまたは前記多層構造のシート状グラフェンのシートの長さに対する粒子径の比が、粒子径/長さ=0.001以上1以下の酸化物系固体電解質粒子と、を含み、前記酸化物系固体電解質粒子は、前記単層構造のシート状グラフェンのおもて面及びうら面並びに前記多層構造のシート状グラフェンのおもて面及びうら面に、複数接触して担持していることを特徴とする。
グラフェンは、高い熱的・化学的安定性、高強度、高導電性、高熱伝導性、高比表面積等の優れた特性を有するため、単体でも優れた導電助剤として機能することができる。ただし、グラフェンは、比表面積が大きく、表面エネルギーが高いため、そのまま正極層に導電助剤として用いると、グラフェン同士が凝集して凝集体を形成するおそれがある。
図7にグラフェンと正極活物質が形成する導電経路のイメージ図を示す。リチウムイオン二次電池の正極層において、グラフェンと正極活物質がつながって導電経路を形成する。例えば、図7(b)の導電経路200では、5層に積層したグラフェンの凝集体210が2つ存在し、3つの正極活物質220と接触して導電経路を形成している。ただし、凝集体210の内部にあるグラフェン211は、正極活物質220や他の凝集体とは非接触の状態となるため、これらの正極活物質等と導電経路200を形成することができず、その特性を発揮することができない。また、導電経路200に加わらない正極活物質221も存在することとなり、この正極活物質221は電池の性能に寄与し難くなる。
そのため、図7(b)に示す導電経路100のように、多くのグラフェン110と正極活物質120が導電経路100の形成に加わることが、リチウムイオン伝導率と電子導電率を同時に向上させることに繋がり、結果としてリチウムイオン二次電池の特性を向上させることができる。図7(a)と図7(b)では、同数のグラフェンと正極活物質が存在するが、図7(a)は全てのグラフェンと正極活物質が導電経路の形成に寄与している。
図7(a)示す導電経路100を形成するためには、グラフェン110ができるだけ凝集させずに正極層中で均一に分散した状態を維持することが重要となる。そこで、本発明では、グラフェンの凝集を抑制するためにグラフェンの表面エネルギーを弱めるべく、例えば図8に示すグラフェン等に酸化物系固体電解質粒子が担持した状態を示すイメージ図の図8(a)のように、酸化物系固体電解質粒子310を単層構造のシート状グラフェン320のおもて面及びうら面並びに多層構造のシート状グラフェン330のおもて面及びうら面に、複数接触して担持させて複合材料300を形成する。このような複合材料300であれば、導電経路100のような経路を形成することができ、リチウムイオン伝導率と電子導電率を同時に向上させることができる。
なお、図8(b)は、グラフェンからなる層状結晶を含む黒鉛粒子400の表面に酸化物系固体電解質粒子310が担持した状態を示す。この状態では、黒鉛粒子400の内部に存在するグラフェンは露出しないため導電経路に加わることができない。また、黒鉛粒子400の表面に露出したグラフェンであっても、絶縁性の酸化物系固体電解質粒子310によって被覆されていると、導電経路に加わることができない。そのため、黒鉛粒子400ではなく、単層構造のシート状グラフェン及び多層構造のシート状グラフェンに酸化物系固体電解質粒子を担持させることが重要となる。
〈シート状グラフェン〉
本発明では、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下のシート状グラフェンを使用する。このようなシート状グラフェンは、sp2結合した炭素原子が平面的に並んだ単層または多層の層状構造を有する。そのため、当該シート状グラフェンは、後述する正極層に含まれた際に、隣接するシート状複合材料に含まれる他のシート状グラフェン、や導電助剤等と容易に結合できる。従って、当該シート状グラフェンによって、後述する正極集電体とシート状複合材料との間、及びシート状複合材料同士をそれぞれ繋ぐイオンや電子の伝導ネットワークを形成することができる。それ故、電極において、リチウムイオンや電荷の授受を同時に向上できるため、リチウムイオン二次電池の高出力特性を向上することができる。
シート状グラフェンは、上述したように、1μm以上500μm以下のシートの長さ、1μm以上500μm以下のシートの幅を有する。シート状グラフェンは、50μm以上500μm以下のシートの長さ、50μm以上500μm以下のシートの幅を有することが好ましい。シートの長さが1μm未満、及び/又はシートの幅が1μm未満のシート状グラフェンは、シートの面積が小さくなることで表面の複数の酸化物系固体電解質粒子を担持することが困難になり、当該複数の酸化物系固体電解質粒子同士がシート状グラフェンとは別で凝集してしまうおそれがある。また、シートの長さや幅が1μm未満のシート状グラフェンを含むシート状複合材料は、正極集電体とシート状複合材料との間、又はシート状複合材料同士をそれぞれ繋ぐネットワークを形成することができないおそれがある。それ故、この場合には、正極においてイオン伝導や電子伝導を向上し難く、リチウムイオン二次電池の出力特性を向上し難い。
(シート状グラフェンの含有量)
一実施形態において、単層構造及び多層構造のシート状グラフェンは、シート状複合材料の総量に対して0.5質量%以上10質量%以下の割合で含まれることが好ましい。単層構造及び多層構造のシート状グラフェンは、シート状複合材料の総量に対して1.0質量%以上10質量%以下の割合で含まれることがさらに好ましい。
シート状複合材料の総量に対して0.5質量%未満の単層構造及び多層構造のシート状グラフェンを含むシート状複合材料は、複数の酸化物系固体電解質粒子を十分に担持することができないことにより、当該複数の酸化物系固体電解質粒子同士が凝集してしまうおそれがある。また、0.5質量%未満の単層構造及び多層構造のシート状グラフェンを含むシート状複合材料は、集電体とシート状複合材料との間、又はシート状複合材料同士をそれぞれ電気的に繋ぐ導電ネットワークを形成することができないおそれがある。そうなると、正極において、導電ネットワークによるイオンの拡散と電子伝導による電荷の授受を向上し難く、リチウムイオン二次電池の出力特性を向上し難い。なお、上記「0.5質量%未満」は、0質量%を含む。
一方で、単層構造及び多層構造のシート状グラフェンが10質量%を超える場合、シート状グラフェンの表面積が増加することにより、酸化物系固体電解質粒子同士がそれぞれつなげないことがある。これによってリチウムイオンの伝導経路の形成が難しくなるため、リチウムイオン二次電池の出力特性を向上し難い。
〈酸化物系固体電解質粒子〉
酸化物系固体電解質粒子は、複合酸化物等で構成された固体電解質の粒子である。硫化物系固体電解質よりもリチウムイオン導電率が低く、硫化物固体電解質は大気暴露により毒性が高い硫化水素ガスの発生が懸念されるのに対して、酸化物固体電解質は化学的安定性が高い点で有用である。
一実施形態において、酸化物系固体電解質粒子としては、NASICON型、LISICON型、ガーネット型、ガラス型、グラスセラミクス型、及びペロブスカイト型酸化物系から少なくとも1つが挙げられる。これらは1種類のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、NASICON型構造を有する化合物の一例としては、一般式Li1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦2)やLi1+x+yAlTi2-xSi3-y12(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される化合物や、Li1.4Al0.4Ti1.6(POを挙げることができる。また、ガーネット型としてはLiLaZr12等を挙げることができる。
例えば、Li置換NASICON型のLi1+x+yAlTi2-xSi3-y12(0≦x≦1、0≦y≦1)は、母ガラスがLiO-Al-TiO-SiO-P系の組成であるガラスを熱処理して結晶化させることで得ることができ、その際の主結晶相がLi1+x+yAlTi2-xSi3-y12(0≦x≦1、0≦y≦1)となる。
例えば、Li1+x+yAlTi2-xSi3-y12(0≦x≦1、0≦y≦1)の製法として、以下が挙げられる。まず、原料としてHPO、Al(PO、LiCO、SiO、TiOを使用し、これらの適量を均一に混合した後に、白金ポットに入れ、電気炉中で溶融させ、ガラス融液を撹拌しながら所定時間加熱熔解する。その後、ガラス融液を流水中に滴下させることにより、フレーク状のガラスを得、このガラスを950℃前後で12時間程度熱処理することにより結晶化を行うことにより、得ることができる。結晶相は粉末X線回折法により確認可能である。さらに、得られたLi1+x+yAlTi2-xSi3-y12(0≦x≦1、0≦y≦1)のフレークをジェットミル等により粉砕し、さらにジルコニア製の回転ローラー等により分級を行うことで、所定の粒子径に制御することができる。粒子径は、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置等を用いて確認することができる。
(酸化物系固体電解質粒子の粒子径)
一実施形態において、酸化物系固体電解質粒子の粒子径は、50nm~1000nmであることが好ましく、100nm~500nmであることがさらに好ましい。酸化物系固体電解質粒子の粒径が1000nmを超える場合、当該酸化物系固体電解質粒子が、シート状グラフェンのおもて面やうら面に吸着、担持され難くなり、シート状グラフェンが酸化物系固体電解質粒子の表面を覆ってしまうおそれがある。また、酸化物系固体電解質粒子の粒子径が50nm未満の場合、凝集してしまうおそれがある。
〈カーボンコート層〉
一実施形態において、酸化物系固体電解質粒子の表面上には、さらにカーボンコート層が存在していることが好ましい。すなわち、シート状複合材料は、酸化物系固体電解質粒子の表面がカーボンコート層で被覆されていることが好ましい。カーボンコート層によって、正極集電体と正極活物質との間、及び正極活物質同士をそれぞれ電気的に繋ぐ導電経路を形成しやすくなる。それ故、カーボンコート層によって正極及びリチウムイオン二次電池の出力特性をさらに向上することができる。
一実施形態において、カーボンコート層は、シート状複合材料の総量に対して0.5質量%以上5.0質量%以下の割合で含まれることが好ましい。
カーボンコート層が0.5質量%未満である場合、上述したカーボンコート層による導電経路の形成効果が発現し難い、又はしないおそれがある。一方、カーボンコート層が5.0質量%を超える場合、当該5.0質量%を超えるカーボンコート層を含む正極層を備えるリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池の放電容量が低下する場合がある。これはカーボンコート層が増えることでリチウムイオンの伝導を妨げることがあるからである。
〈シート状グラフェンの長さに対する粒子径の比〉
単層構造のシート状グラフェンのシートの長さまたは多層構造のシート状グラフェンのシートの長さに対する粒子径の比が、粒子径/長さ=0.001以上1以下である。さらに、粒子径/長さ=0.001以上0.05以下であることが好ましい
また、酸化物系固体電解質粒子は、単層構造のシート状グラフェンのおもて面及びうら面並びに多層構造のシート状グラフェンのおもて面及びうら面に、複数接触して担持している。従って、一実施形態に係るシート状複合材料は、複数の酸化物系固体電解質粒子がグラフェンの表面にち密に担持しているため、リチウムイオンの伝導経路を形成でき、その結果として二次電池の充放電容量を向上することができる。
(シート状グラフェンの単位面積当たりの酸化物系固体電解質粒子の数)
シート状複合材料において、酸化物系固体電解質粒子は、シート状グラフェンのおもて面とうら面に互いに接触して担持する。シート状グラフェンの単位面積当たりの酸化物系固体電解質粒子の数は、例えば、50~100[個/μm]であることが好ましく、70~100[個/μm]であることがさらに好ましい。
なお、シート状複合材料において、単層構造グラフェン及び多層構造グラフェンと、酸化物系固体電解質粒子との質量比が6~8:100であることが好ましい。質量比がこの範囲であることで、表面に酸化物系固体電解質粒子が担持せずに凝集体を形成するグラフェンの量や、担持しない酸化物系固体電解質粒子の量を減らすことができる。
[リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法1]
以下、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法を、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法を説明するためのフローチャートである。
(工程S1)
まず、酸化グラフェンからなる層状結晶を含む酸化黒鉛の分散溶液を準備する(工程S1)。分散溶液は、市販の酸化黒鉛を水、エタノール、ヘキサン等の極性溶媒に分散した溶液、又は下記酸化法により得られた酸化黒鉛を極性溶媒に分散した溶液を用いることができる。従って、酸化黒鉛は、例えば、市販の酸化黒鉛であってもよく、出発原料としてグラファイト粉末を用いて、例えばHummers法のような酸化法により製造した酸化黒鉛であってもよい。酸化黒鉛の粒径は、例えば、それぞれ1μm以上500μm以下であることが好ましい。酸化黒鉛の製造方法は、以下に説明する。
最初に、濃硫酸90ml~360ml(例えば、180ml)を含むビーカーを水浴内に設置し、当該ビーカーに黒鉛(石墨粉)0.75g~3g(例えば、1.5g)とリン酸10ml~40ml(例えば、20ml)を徐々に加える。続いて、当該ビーカーに過マンガン酸カリウム9g~36g(例えば、18g)を徐々に加える。
次に、この混合物を含むビーカーを、50℃において、2~12時間(例えば、2時間)撹拌し、黒鉛を酸化する。酸化後の溶液に、30%過酸化水素3ml~12ml(例えば、6ml)を添加し、1~30分間(例えば、30分間)撹拌し、酸化黒鉛溶液を得る。当該酸化黒鉛溶液を遠心分離機で固液分離し又はろ過し、次いで洗浄し、酸化黒鉛を得ることができる。
なお、酸化黒鉛の原料となる黒鉛は、グラフェンからなる層状結晶を含むものであればよく、人造黒鉛、天然黒鉛のどちらでもよいが、鱗片状天然黒鉛であることが好ましい。原料となる黒鉛の粒子径は、例えば、1μm以上1000μm以下であり、好ましくは1μm以上500μm以下である。
濃硫酸は、例えば、70質量%の濃硫酸であることが好ましく、97質量%の濃硫酸であることがさらに好ましい。
〈分散工程〉(工程S2)
次に、工程S1で製造した酸化黒鉛の分散溶液に、酸化物系固体電解質粒子を混合して混合分散溶液(第1分散液)を調製する(工程S2)。酸化物系固体電解質粒子としては、NASICON型、LISICON型、ガーネット型、ガラス型、グラスセラミクス型、及びペロブスカイト型酸化物系から少なくとも1つが挙げられる。これらは1種類のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、NASICON型構造を有する化合物の一例としては、一般式Li1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦2)やLi1+x+yAlTi2-xSi3-y12(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される化合物や、Li1.4Al0.4Ti1.6(POを挙げることができる。また、ガーネット型としてはLiLaZr12等が挙げられる。
なお、工程S1及び工程S2を実施して第1分散液を製造してもよく、第1分散液を購入等して入手してもよい。
〈第1超音波印加工程〉(工程S3)
工程S3では、工程S2で製造した混合分散溶液に超音波(例えば、32kHz~40kHzの周波数)を印加する。混合分散溶液に超音波を印加することにより、混合分散溶液中の酸化黒鉛中の層状結晶の層間を剥離して単層構造や多層構造のシート状酸化グラフェンが形成される。また、酸化物系固体電解質粒子の表面、単層構造のシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面、並びに多層構造のシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面に、互いに異なる電荷が存在する。例えば、ファンデルワールス力(プラスに帯電した酸化物系固体電解質粒子とマイナスに帯電したシート状酸化グラフェンとの相互作用)によって、酸化物系固体電解質粒子を単層構造のシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面並びに多層構造のシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面に複数接触して吸着、担持させて、シート状酸化複合材料を形成する。
単層構造のシート状酸化グラフェンは、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下であり、多層構造のシート状酸化グラフェンは、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下である。このようなシート状酸化グラフェンを、後述する第1還元処理工程によって還元処理することで、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下の単層構造のシート状グラフェンと、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下の多層構造のシート状グラフェンを得ることができる。
また、酸化物系固体電解質粒子は、単層構造のシート状酸化グラフェンのシートの長さまたは多層構造のシート状酸化グラフェンのシートの長さに対する粒子径の比が、粒子径/長さ=0.001以上1以下である。粒子径/長さがこのような条件であれば、シート状酸化グラフェンを後述する第1還元処理工程によって還元処理することによって、単層構造のシート状グラフェンのシートの長さまたは多層構造のシート状グラフェンのシートの長さに対する酸化物系固体電解質粒子の粒子径の比が、粒子径/長さ=0.001以上1以下の条件とすることができる。
〈第1還元処理工程〉(工程S4)
工程S4では、工程S3で得られたシート状酸化複合材料を凍結乾燥(例えば、真空下、-101℃)した後、真空雰囲気下、還元雰囲気下もしくは不活性ガス雰囲気下で加熱処理して、酸化物系固体電解質粒子が担持した状態のシート状酸化グラフェンをシート状グラフェンに変換する。これによって、本発明のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を得ることができる。
このような実施形態の方法によれば、酸化黒鉛の分散溶液を出発原料とし、これに複数の酸化物系固体電解質粒子を混合し、その後に超音波を印加することにより、酸化黒鉛からシート状酸化グラフェンを生成でき、同時にシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面に複数の酸化物系固体電解質粒子を高い密度で担持したリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を製造できる。
さらに、本実施形態の方法では、超音波の印加により酸化黒鉛の酸化グラフェンからなる層状結晶を剥離する手法を採用したことにより、物理的な衝撃等により層状結晶を剥離する場合と比べて、得られたシート状酸化グラフェンに大きな破砕力が加わるのを回避できる。即ち、超音波の印加による手法によって、酸化グラフェンの微粉化を防止でき、シート状態を維持することができる。
〈第1混合工程〉
一実施形態において、酸化黒鉛と複数の酸化物系固体電解質粒子を含む混合分散溶液(第1分散液)に、さらに有機化合物を加えることができる。
このような有機化合物を加えた第1分散液を使用する場合、前述した図1の工程S1~S3に従って処理することにより、単層構造及び多層構造のシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面に担持された酸化物系固体電解質粒子の表面、及び酸化物系固体電解質粒子が担持していない単層構造及び多層構造のシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面に有機化合物が被覆される。その後、工程S4で有機化合物の炭化に必要な高い温度で処理することにより、被覆した有機化合物でカーボンコート層を形成することができる。これによって、表面にカーボンコート層を有するシート状複合材料を製造することができる。
有機化合物としては、カーボンコート層を形成できるものであれば、特に限定されない。例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、デンプン、セルロース、及びグリコーゲンの群から選ばれる少なくとも1つを用いることができ、これらを複数組み合わせて用いてもよい。
[リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法2]
本発明のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料は、[リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法1]で説明した方法とは異なる方法で製造してもよい。例えば、以下に説明するように、酸化黒鉛が分散した分散液に超音波を印加し、その後にこの分散液へ酸化物系固体電解質粒子を加えて分散させてもよい。
〈第2超音波印加工程〉
本工程は、酸化グラフェンからなる層状結晶を含む酸化黒鉛が分散した第2分散液に超音波を印加する工程である。超音波(例えば、32kHz~40kHzの周波数)の印加によって、層状結晶の層間を剥離して単層構造のシート状酸化グラフェン及び多層構造のシート状酸化グラフェンを形成する。
第2分散液は、例えば先述の工程S1によって自ら製造することができる。また、工程S1によって製造された第2分散液を購入してもよい。
〈担持工程〉
本工程は、第2超音波印加工程後、第2分散液に酸化物系固体電解質粒子を分散させる工程である。この工程により、マイナス帯電を持つ単層構造のシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面並びに多層構造のシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面に酸化物系固体電解質粒子を複数接触させることができ、酸化物系固体電解質粒子を担持させることができる。
酸化物系固体電解質粒子としては、NASICON型、LISICON型、ガーネット型、ガラス型、グラスセラミクス型、及びペロブスカイト型酸化物系から少なくとも1つが挙げられる。これらは1種類のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、NASICON型構造を有する化合物の一例としては、一般式Li1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦2)やLi1+x+yAlTi2-xSi3-y12(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される化合物や、Li1.4Al0.4Ti1.6(POを挙げることができる。また、ガーネット型としてはLiLaZr12等が挙げられる。
単層構造のシート状酸化グラフェンは、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下であり、多層構造のシート状酸化グラフェンは、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下である。このようなシート状酸化グラフェンを、後述する第2還元処理工程によって還元処理することで、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下の単層構造のシート状グラフェンと、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下の多層構造のシート状グラフェンを得ることができる。
また、酸化物系固体電解質粒子は、単層構造のシート状酸化グラフェンのシートの長さまたは多層構造のシート状酸化グラフェンのシートの長さに対する粒子径の比が、粒子径/長さ=0.001以上1以下である。粒子径/長さがこのような条件であれば、シート状酸化グラフェンを後述する第2還元処理工程によって還元処理することによって、単層構造のシート状グラフェンのシートの長さまたは多層構造のシート状グラフェンのシートの長さに対する酸化物系固体電解質粒子の粒子径の比が、粒子径/長さ=0.001以上1以下の条件とすることができる。
〈第2還元処理工程〉
本工程は、担持工程後、単層構造のシート状酸化グラフェン及び多層構造のシート状酸化グラフェンを、単層構造のシート状グラフェン及び多層構造のシート状グラフェンに還元する工程である。
例えば、担持工程で得られたシート状酸化複合材料を凍結乾燥(例えば、真空下、-101℃)した後、真空雰囲気下、還元雰囲気下もしくは不活性ガス雰囲気下で加熱処理して、酸化物系固体電解質粒子が担持した状態のシート状酸化グラフェンをシート状グラフェンに変換する。これによって、本発明のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を得ることができる。
このような実施形態の方法によれば、酸化黒鉛の分散溶液を出発原料とし、超音波を印加した後に複数の酸化物系固体電解質粒子を混合することにより、酸化黒鉛からシート状酸化グラフェンを生成でき、そして、シート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面に複数の酸化物系固体電解質粒子を高い密度で担持したリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を製造できる。
さらに、本実施形態の方法では、超音波の印加により酸化黒鉛の酸化グラフェンからなる層状結晶を剥離する手法を採用したことにより、物理的な衝撃等により層状結晶を剥離する場合と比べて、得られたシート状酸化グラフェンに大きな破砕力が加わるのを回避できる。即ち、超音波の印加による手法によって、酸化グラフェンの微粉化を防止でき、シート状態を維持することができる。
〈第2混合工程〉
一実施形態において、第2分散液に有機化合物を混合する第2混合工程を含んでもよい。
このような有機化合物を加えた第2分散液を使用することで、単層構造及び多層構造のシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面に担持された酸化物系固体電解質粒子の表面、及び酸化物系固体電解質粒子が担持していない単層構造及び多層構造のシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面に有機化合物が被覆される。その後、第2還元処理工程で有機化合物の炭化に必要な高い温度で処理することにより、被覆した有機化合物でカーボンコート層を形成することができる。これによって、表面にカーボンコート層を有するシート状複合材料を製造することができる。
有機化合物としては、カーボンコート層を形成できるものであれば、特に限定されない。例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、デンプン、セルロース、及びグリコーゲンの群から選ばれる少なくとも1つを用いることができ、これらを複数組み合わせて用いてもよい。
[リチウムイオン二次電池正極層用スラリー]
次に、本実施形態のリチウムイオン二次電池正極層用スラリーの一例について説明する。当該スラリーは、前述の本発明のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料と、正極活物質と、溶剤と、を含む。
〈正極活物質〉
正極活物質は、例えばリチウムを吸蔵及び放出することが可能なリチウム含有化合物を用いることができる。リチウム含有化合物は、リチウム含有金属酸化物又はリチウム含有金属リン化合物等のリチウムイオン二次電池の正極活物質として一般的に用いられる化合物であれば特に限定されない。
リチウム含有化合物としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、マンガン酸リチウム(LiMnO、LiMn)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、コバルト鉄酸リチウム(LiCo0.5Fe0.5)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(Li(NiCoMn1-x-y)O(0<x<1、0<y<1))、リン酸マンガン鉄リチウム(LiMnFe1-xPO)(0<x<1)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、リン酸コバルトリチウム(LiCoPO)、及びリン酸マンガンリチウム(LiMnPO)等が挙げられる。
〈溶剤〉
溶剤は、特に限定されるものではなく、リチウムイオン二次電池で一般に用いられる溶剤を用いることができる。溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)等が挙げられる。なお、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いる場合には、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を溶剤に用いることが好ましい。
リチウムイオン二次電池正極層用スラリーは、さらに本発明のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料とは異なる導電助剤を含んでもよく、更に結着剤を含んでもよい。
(導電助剤)
導電助剤は、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することができる。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維、活性炭、黒鉛等が挙げられる。
なお、前述したリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を正極層に適切な割合で配合すれば、当該導電剤の配合を省略することができ、正極層に占める正極活物質の量を増加することが可能になる。
(結着剤)
結着剤は、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することができる。結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル樹脂等が挙げられる。
リチウムイオン二次電池正極層用スラリーは、例えば前述の本発明のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料、正極活物質、必要に応じて導電助剤及び結着剤を溶剤に分散させることで製造することができる。なお、正極活物質を分散させるための分散剤や消泡剤等、適宜添加剤を用いてもよい。
[リチウムイオン二次電池]
次に、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の一例について、その構成を説明する。リチウムイオン二次電池は、前述したリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を含む正極層と、正極集電体を備える正極と、負極と、セパレータと、非水電解質を含む。
〈正極〉
正極は、正極集電体と、当該正極集電体の一方又は両方の面に形成された正極層とを備える。
(正極集電体)
正極集電体は、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することができる。正極集電体は、例えば、アルミニウムなどの金属箔、ラス加工又はエッチング処理された金属箔等である。
(正極層)
正極層は、前述の本発明のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料及び正極活物質を含む。また導電助剤や結着剤を含んでもよい。
(正極活物質)
正極活物質は、例えばリチウムを吸蔵及び放出することが可能なリチウム含有化合物を用いることができる。リチウム含有化合物は、リチウム含有金属酸化物又はリチウム含有金属リン化合物等のリチウムイオン二次電池の正極活物質として一般的に用いられる化合物であれば特に限定されない。
リチウム含有化合物としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、マンガン酸リチウム(LiMnO、LiMn)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、コバルト鉄酸リチウム(LiCo0.5Fe0.5)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(Li(NiCoMn1-x-y)O(0<x<1、0<y<1))、リン酸マンガン鉄リチウム(LiMnFe1-xPO)(0<x<1)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、リン酸コバルトリチウム(LiCoPO)、及びリン酸マンガンリチウム(LiMnPO)等が挙げられる。
(導電助剤)
導電助剤は、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することができる。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維、活性炭、黒鉛等が挙げられる。
なお、前述したリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を正極層に適切な割合で配合すれば、当該導電剤の配合を省略することができ、正極層に占める正極活物質の量を増加することが可能になる。
(結着剤)
結着剤は、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することができる。結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル樹脂等が挙げられる。
正極は、例えば次に示す方法で作製することができる。最初に、前述した本発明のリチウムイオン二次電池正極層用スラリーを、正極集電体の一方又は両方の面に塗布する。その後、例えば真空下、80℃で乾燥して正極層を形成する。これらの工程により正極が作製される。
〈負極〉
負極は、例えば、負極集電体と、当該負極集電体の一方又は両方の面に形成された負極活物質を含む負極層とを備える。
(負極活物質)
負極活物質は、金属の溶解、析出、又は金属イオンの挿入・脱離が可能な材料であれば、特に限定されない。負極活物質としては、例えば、リチウム金属、炭素系材料、シリコン、シリコン合金、スズ等が挙げられる。リチウムイオンの挿入・脱離が可能な炭素系材料は、例えば、粉末状又は繊維状の黒鉛である。
(負極集電体)
負極集電体は、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することできる。負極集電体としては、例えば、銅又は銅合金からなる圧延箔、電解箔等が挙げられる。
負極は、例えば次に示す方法で作製することができる。最初に、負極活物質、導電助剤及び結着剤等を溶剤に分散させて負極ペーストを調製する。続いて、負極集電体の一方又は両方の面に負極ペーストを塗布した後、例えば真空下、80℃で乾燥して負極層を形成する。これらの工程により負極が作製されうる。
〈非水電解質〉
非水電解質は、液体状である場合、非水溶媒及び電解質を含む。
非水溶媒は、主成分として環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含有する。環状カーボネートは、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、及びブチレンカーボネート(BC)から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。また、鎖状カーボネートは、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、及びエチルメチルカーボネート(EMC)等から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
電解質は、特に限定されるものではなく、リチウムイオン二次電池で一般に用いられるリチウム塩の電解質を用いることができる。電解質としては、例えば、LiPF、LiAsF、LiBF、LiCFSO、LiN(C2m+1SO)(C2n+1SO)(m、nは1以上の整数)、LiC(C2p+1SO)(C2q+1SO)(C2r+1SO)(p、q、rは1以上の整数)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム等が挙げられる。これらの電解質は、一種類で使用してもよく、また二種類以上組み合わせて使用してもよい。また、リチウムイオン二次電池の性能を考慮すると、この電解質は非水溶媒に対して0.1~1.5モル/L、好ましくは0.5~1.5モル/Lの濃度で溶解することが望ましい。
〈セパレータ〉
セパレータは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂の微多孔膜又は不織布を用いることができる。微多孔膜又は不織布は、単層であっても、多層構造であってもよい。特にセパレータは、リチウムイオン二次電池の性能を考慮すると、微多孔質ポリプロピレン膜であることが好ましい。
このようなリチウムイオン二次電池の充放電方法としては、例えば当該電池の組立後に3.5V~4.3Vまで定電流充電し、10~30分経過後に2.5V~2.0Vまで定電流放電するといった方法が挙げられる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、角形、扁平型等が挙げられる。
以下、コイン型のリチウムイオン二次電池を例にして、実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構造を、図面を参照して説明する。図2は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の一例として示す、コイン型の電池の模式断面図である。
コイン型のリチウムイオン二次電池1は、正極2と、負極3と、それら正極2及び負極3の間に配置されたセパレータ4とを備える。これら正極2、負極3及びセパレータ4は、下部側に位置する第1外部端子5と上部側に位置する第2外部端子6の間に収納されている。当該第1外部端子5及び当該第2外部端子6の当接部位は、ガスケット7により絶縁されている。
正極2は、第1外部端子5の内面に位置してそれと接続される正極集電体21と、当該正極集電体21のセパレータ4と対向する面に設けられた正極層22とから構成されている。負極3は、第2外部端子6の内面に位置してそれと接続される負極集電体31と、当該負極集電体31のセパレータ4と対向する面に設けられた、金属リチウムからなる負極層32とから構成されている。セパレータ4は、例えば非水電解質に含浸されている。第2外部端子6は、その端部がその下端及び両側面をガスケット7で包んだ状態で第1外部端子5内に挿入され、下部側の第1外部端子5の開口端をガスケット7側に湾曲させて第2外部端子6を第1外部端子5にかしめ固定するとともに、第1外部端子5及び第2外部端子6の当接部位をガスケット7により絶縁している。
以下、本発明を、実施例を用いて詳細に説明する。
[実施例1]
〈リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造〉
最初に、濃硫酸180mlを含むビーカーを水浴内に設置し、当該ビーカーに、グラフェンからなる層状結晶を含む黒鉛として鱗片状天然黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製 鱗片状黒鉛ACB-50)1.5gと濃リン酸20mlを徐々に加えた。続いて、当該ビーカーに、過マンガン酸カリウム9.0gを徐々に加えて混合物を得た。
(工程S1)
次に、ビーカー内の混合物を、50℃において、12時間撹拌し、鱗片状天然黒鉛を酸化させて酸化黒鉛を得た。黒鉛を酸化後の溶液に、30w/v%過酸化水素6mlを添加し、30分間撹拌し、酸化黒鉛溶液を得た。そして、当該酸化黒鉛溶液を、遠心分離機を用いて固液分離して、酸化黒鉛を洗浄液のpHが4~5になるまで水で洗浄した。その後、酸化黒鉛を120mlの水に分散させ、酸化黒鉛の分散溶液(8.7mg/ml)を得た。
(工程S2)
次に、500mlのビーカーに、酸化物系固体電解質粒子である、平均粒径D50400nmのLi1+x+yAlTi2-xSi3-y12(0≦x≦1、0≦y≦1)(株式会社オハラ製LICGC PW-01、Li置換NASICON型、以下「LICGC」とする場合がある)1.0gと、酸化黒鉛の分散溶液(8.7mg/ml)8.0mlと、水250mlを加え、酸化物系固体電解質粒子を分散させて混合分散溶液を調製した。
(工程S3)
次に、混合分散溶液に、超音波機器(アズワン社製、型番:ASU-Dシリーズ)を用いて、32kHzの超音波を2.5時間印加した。この処理により、酸化黒鉛の層状結晶の層間を剥離して単層構造のシート状酸化グラフェン及び多層構造のシート状酸化グラフェンを形成させると共に、これらのシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面に酸化物系固体電解質粒子が互いに接触して吸着、担持させ、酸化物系固体電解質粒子がシート状酸化グラフェンに担持した酸化複合材料を形成した。
(工程S4)
次に、酸化複合材料を、真空下、-101℃の温度で15時間凍結乾燥した。続いて、酸化複合材料を真空下、200℃の温度で15時間加熱処理し、シート状酸化グラフェンをシート状グラフェンに変換して、実施例1のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料(以下「LICGC/rGO」とする場合がある)を得た。なお、単層構造及び多層構造のシート状グラフェンは、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の総量に対して3.0質量%であった。
また、下記の走査型電子顕微鏡観察により得られるSEM図から試算される単層構造及び多層構造のシート状グラフェンのシートの長さは5~50μmであり、シートの幅は1~20μmであった。そして、単層構造及び多層構造のシート状グラフェンのシートの長さに対する粒子径(粒度分布測定装置による粒子径の測定結果は0.277~0.64μm)の比が、粒子径/長さ=0.005~0.12であり、粒子径/長さ=0.001以上1以下の範囲内であった。
(走査型電子顕微鏡観察)
ここで、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を、JEOL社製:型番JSM-7500の走査型電子顕微鏡を用いて観察した。その結果として、図3に実施例1のリチウムイオン二次電池に含まれるリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の一部の走査型電子顕微鏡写真を示す。図3(b)の写真は、図3(a)の点線で囲った領域付近を拡大した写真である。図3に示すように、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料は、複数のLICGCが、シート状グラフェンの表裏面に互いに接触して担持したことが、観察された。
(ラマン分光スペクトル測定)
また、実施例1のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料(LICGC/rGO)のラマン分光スペクトルを、日本分光社製:型番NRS-1000のラマン分光測定機器を用いて観察した。その結果について、図4にグラフェン、酸化物系固体電解質粒子及びリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料のラマン分光スペクトルの測定結果を示す。
図4では、上から後述する実施例2のカーボンコート層が酸化物系固体電解質粒子表面に存在するリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料(以下、「LICGC/rGO/C」とする場合がある)のピーク、実施例1のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料(LICGC/rGO)のピーク、LICGCのピーク、グラフェン(以下、「rGO」とする場合がある)のピークを示す。
図4に示すように、実施例1、2のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料であるLICGC/rGO及びLICGC/rGO/Cは、グラフェン由来の2本のピーク(1350cm-1付近(点線D付近)、1580cm-1付近(点線G付近))を有するものの、LICGC粒子のリン酸由来の7本のピーク(260cm-1付近、310cm-1付近、350cm-1付近、435cm-1付近、609cm-1付近、745cm-1付近、980cm-1付近)も有する。
図3、4の結果より、実施例1、2のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料は、グラフェンの構造及びのLICGCの構造が損なわれることなく、グラフェンの表面にLICGCが担持したことがわかった。
〈リチウムイオン二次電池正極層用スラリーの製造〉
次に、実施例1のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を10質量%と、正極活物質であるLiFePOを79.4質量%と、導電助剤であるカーボンナノチューブを0.6質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を10質量%と、を混合した後、当該混合物に溶剤としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加して溶剤に混合物を分散させて正極スラリーを調製した。
〈リチウムイオン二次電池の製造〉
次に、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に正極スラリーを塗布し、80℃で12時間乾燥した。その後、アルミニウム箔を直径14mmの円形に打ち抜き、ロールプレスを用いて2MPaでプレスして、実施例1のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を備える正極を作製した。
次に、リチウム箔を直径15mmの円形に打ち抜き、負極を作製した。セパレータは、ポリプロピレンの高分子多孔フィルムを用いた。非水電解液は、重量平均分子量300000のポリエチレンオキシド(PEO:Sigma-Aldrich社製)1gと、テトラヒドロフラン(THF)15gとを混合し、続いて、6.45gのLiN(SOCFを加えて調整した。
実施例1のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を備える正極と、負極と、セパレータと、非水電解液とを用いて、露点-50℃以下の雰囲気下、常法により外部端子及びガスケット内に組込み、収容し、コイン型のリチウムイオン二次電池(2032型)を組立てた。これを実施例1のリチウムイオン二次電池とした。
[実施例2](カーボンコート層被覆)
最初に、濃硫酸180mlを含むビーカーを水浴内に設置し、当該ビーカーに、グラフェンからなる層状結晶を含む黒鉛として鱗片状天然黒鉛1.5g(日本黒鉛工業株式会社製 鱗片状黒鉛ACB-50)と濃リン酸20mlを徐々に加えた。続いて、当該ビーカーに、過マンガン酸カリウム9.0gを徐々に加えて混合物を得た。
(工程S1)
次に、ビーカー内の混合物を、50℃において、12時間撹拌し、鱗片状天然黒鉛を酸化させて酸化黒鉛を得た。黒鉛を酸化後の溶液に、30w/v%過酸化水素6mlを添加し、30分間撹拌し、酸化黒鉛溶液を得た。そして、当該酸化黒鉛溶液を、遠心分離機を用いて固液分離して、酸化黒鉛を洗浄液のpHが4~5になるまで水で洗浄した。その後、酸化黒鉛を120mlの水に分散させ、酸化黒鉛の分散溶液(8.7mg/ml)を得た。
(工程S2)
次に、500mlのビーカーに、酸化物系固体電解質粒子である、平均粒径D50400nmのLi1+x+yAlTi2-xSi3-y12(0≦x≦1、0≦y≦1)(株式会社オハラ製LICGC PW-01、Li置換NASICON型)1.0gと、酸化黒鉛の分散溶液(8.7mg/ml)8.0mlと、水250ml、スクロース0.05gとを加え、酸化物系固体電解質粒子を分散させて混合分散溶液を調製した。
(工程S3)
次に、混合分散溶液に、超音波機器(アズワン社製、型番:ASU-Dシリーズ)を用いて、32kHzの超音波を2.5時間印加した。この処理により、酸化黒鉛の層状結晶の層間を剥離して単層構造のシート状酸化グラフェン及び多層構造のシート状酸化グラフェンを形成させると共に、これらのシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面に複数の酸化物系固体電解質粒子が互いに接触して吸着、担持させ、酸化物系固体電解質粒子がシート状酸化グラフェンに担持した酸化複合材料を形成した。
(工程S4)
次に、酸化複合材料を、真空下、-101℃の温度で15時間凍結乾燥した。続いて、酸化複合材料を3.0体積%水素ガス(アルゴンガス希釈)雰囲気下、520℃の温度で1時間加熱処理し、シート状酸化グラフェンをシート状グラフェンに変換するとともに、スクロースの被膜を炭化することによって、カーボンコート層が酸化物系固体電解質粒子表面に存在する実施例2のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料(LICGC/rGO/C)を製造した。なお、単層構造及び多層構造のシート状グラフェンは、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の総量に対して4質量%であった。また、カーボンコート層は、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の総量に対して1質量%であった。
また、下記の走査型電子顕微鏡観察により得られるSEM図から試算される単層構造及び多層構造のシート状グラフェンのシートの長さは1~50μmであり、シートの幅は1~20μmであった。そして、単層構造及び多層構造のシート状グラフェンのシートの長さに対する粒子径(粒度分布測定装置による粒子径の測定結果は0.277~0.64μm)の比が、粒子径/長さ=0.005~0.12であり、粒子径/長さ=0.001以上1以下の範囲内であった。
(走査型電子顕微鏡観察)
ここで、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料(LICGC/rGO/C)を、JEOL社製:型番JSM-ARM200F透過型電子顕微鏡を用いて観察した。その結果として、図5に実施例2のリチウムイオン二次電池のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料に含まれる酸化物系固体電解質粒子の表面のカーボンコート層を撮影した透過電子顕微鏡写真を示す。図5において、LICGCの表面の2つ点線で挟む領域にカーボン層が形成されている。この結果より、添加した炭素源であるスクロースがLICGCの表面で炭化され、LICGCをコーテイングするカーボンコート層が形成されたことが確認された。
〈リチウムイオン二次電池正極層用スラリーの製造〉
次に、実施例2のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を10質量%と、正極活物質であるLiFePOを79.4質量%と、導電助剤であるカーボンナノチューブを0.6質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を10質量%と、を混合した後、当該混合物に溶剤としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加して溶剤に混合物を分散させて正極スラリーを調製した。
〈リチウムイオン二次電池の製造〉
次に、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に正極スラリーを塗布し、80℃で12時間乾燥した。その後、アルミニウム箔を直径14mmの円形に打ち抜き、ロールプレスを用いて2MPaでプレスして、実施例2のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を備える正極を作製した。
次に、リチウム箔を直径15mmの円形に打ち抜き、負極を作製した。セパレータは、ポリプロピレンの高分子多孔フィルムを用いた。非水電解液は、重量平均分子量300000のポリエチレンオキシド(PEO:Sigma-Aldrich社製)1gと、テトラヒドロフラン(THF)15gとを混合し、続いて、6.45gのLiN(SOCFを加えて調整した。
実施例2のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を備える正極と、負極と、セパレータと、非水電解液とを用いて、露点-50℃以下の雰囲気下、常法により外部端子及びガスケット内に組込み、収容し、コイン型のリチウムイオン二次電池(2032型)を組立てた。これを実施例2のリチウムイオン二次電池とした。
[比較例1](リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料は未使用)
〈リチウムイオン二次電池正極層用スラリーの製造〉
LICGCを10質量%と、正極活物質であるLiFePOを79.4質量%と、導電助剤であるカーボンナノチューブを0.6質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を10質量%と、を混合した後、当該混合物に溶剤としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加して溶剤に混合物を分散させて正極スラリーを調製した。
〈リチウムイオン二次電池の製造〉
次に、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に正極スラリーを塗布し、80℃で12時間乾燥した。その後、アルミニウム箔を直径14mmの円形に打ち抜き、ロールプレスを用いて2MPaでプレスして、比較例1の正極を作製した。
次に、リチウム箔を直径15mmの円形に打ち抜き、負極を作製した。セパレータは、ポリプロピレンの高分子多孔フィルムを用いた。非水電解液は、ポリエチレン、LiTFSI及びTHF(質量比でポリエチレン:LITFSI:THF=1:6.45:2.2)を含むポリマー電解液である。
製造した正極と、負極と、セパレータと、非水電解液とを用いて、露点-50℃以下の雰囲気下、常法により外部端子及びガスケット内に組込み、収容し、コイン型のリチウムイオン二次電池(2032型)を組立てた。これを比較例1のリチウムイオン二次電池とした。
[実施例3](負極及び電解質を変更)
最初に、濃硫酸180mlを含むビーカーを水浴内に設置し、当該ビーカーに、グラフェンからなる層状結晶を含む黒鉛として鱗片状天然黒鉛1.5g(日本黒鉛工業株式会社製 鱗片状黒鉛ACB-50)と濃リン酸20mlを徐々に加えた。続いて、当該ビーカーに、過マンガン酸カリウム9.0gを徐々に加えて混合物を得た。
(工程S1)
次に、ビーカー内の混合物を、50℃において、12時間撹拌し、鱗片状天然黒鉛を酸化させて酸化黒鉛を得た。黒鉛を酸化後の溶液に、30w/v%過酸化水素6mlを添加し、30分間撹拌し、酸化黒鉛溶液を得た。そして、当該酸化黒鉛溶液を、遠心分離機を用いて固液分離して、酸化黒鉛を洗浄液のpHが4~5になるまで水で洗浄した。その後、酸化黒鉛を120mlの水に分散させ、酸化黒鉛の分散溶液(8.7mg/ml)を得た。
(工程S2)
次に、500mlのビーカーに、酸化物系固体電解質粒子である、平均粒径D50400nmのLi1+x+yAlTi2-xSi3-y12(0≦x≦1、0≦y≦1)(株式会社オハラ製LICGC PW-01、Li置換NASICON型)1.0gと、酸化黒鉛の分散溶液(8.7mg/ml)24.0mlと、水250mlを加え、酸化物系固体電解質粒子を分散させて混合分散溶液を調製した。
(工程S3)
次に、混合分散溶液に、超音波機器(アズワン社製、型番:ASU-Dシリーズ)を用いて、32kHzの超音波を2.5時間印加した。この処理により、酸化黒鉛の層状結晶の層間を剥離して単層構造のシート状酸化グラフェン及び多層構造のシート状酸化グラフェンを形成させると共に、これらのシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面に複数の酸化物系固体電解質粒子が互いに接触して吸着、担持させ、酸化物系固体電解質粒子がシート状酸化グラフェンに担持した酸化複合材料を形成した。
(工程S4)
次に、酸化複合材料を、真空下、-101℃の温度で15時間凍結乾燥した。続いて、酸化複合材料をアルゴンガス雰囲気下、500℃の温度で1時間加熱処理し、シート状酸化グラフェンをシート状グラフェンに変換して、実施例3のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を得た。なお、単層構造及び多層構造のシート状グラフェンは、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の総量に対して3.0質量%であった。
また、走査型電子顕微鏡観察により得られるSEM図から試算される単層構造及び多層構造のシート状グラフェンのシートの長さは5~50μmであり、シートの幅は1~20μmであった。そして、単層構造及び多層構造のシート状グラフェンのシートの長さに対する粒子径(粒度分布測定装置による粒子径の測定結果は0.277~0.64μm)の比が、粒子径/長さ=0.005以上1以下の範囲内であった。
〈リチウムイオン二次電池正極層用スラリーの製造〉
次に、実施例3のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を2.5質量%と、LICGC(株式会社オハラ製LICGC PW-01)を2.5質量%と、正極活物質であるLiFePOを89.6質量%と、導電助剤であるカーボンナノチューブを0.4質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を5.0質量%とを混合した後、当該混合物に溶剤としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加して溶剤に混合物を分散させて正極スラリーを調製した。
〈リチウムイオン二次電池の製造〉
次に、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に正極スラリーを塗布し、80℃で12時間乾燥した。その後、アルミニウム箔を直径14mmの円形に打ち抜き、ロールプレスを用いて2MPaでプレスして、実施例3のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を備える正極を作製した。
次に、負極集電体である厚さ20μmの銅箔上に黒鉛負極層(黒鉛:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレンブタジエンゴム(SBR)=95質量%:2.5質量%:2.5質量%)を形成し、銅箔を直径15mmの円形に打ち抜き、ロールプレスを用いて2MPaでプレスして、負極を作製した。セパレータは、ポリプロピレンの高分子多孔フィルムを用いた。非水電解液は、LiPFをエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)の混合非水溶媒(体積比、EC:DMC=1:1)に1.0モル/L溶解させて調製した。
実施例3のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を備える正極と、負極と、セパレータと、非水電解液とを用いて、露点-50℃以下の雰囲気下、常法により外部端子及びガスケット内に組込み、収容し、図2に示すようなコイン型のリチウムイオン二次電池(2032型)を組立てた。これを実施例3のリチウムイオン二次電池とした。
[比較例2](リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料は未使用、実施例と同様に負極及び電解質を変更)
〈リチウムイオン二次電池正極層用スラリーの製造〉
LICGCを5.0質量%と、正極活物質であるLiFePOを89.6質量%と、導電助剤であるカーボンナノチューブを0.4質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を5.0質量%と、を混合した後、当該混合物に溶剤としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加して溶剤に混合物を分散させて正極スラリーを調製した。
〈リチウムイオン二次電池の製造〉
次に、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に正極スラリーを塗布し、80℃で12時間乾燥した。その後、アルミニウム箔を直径14mmの円形に打ち抜き、ロールプレスを用いて2MPaでプレスして、比較例2の正極を作製した。
次に、負極集電体である厚さ20μmの銅箔上に黒鉛負極層(黒鉛:カルボキシメチルセルロース、CMC:スチレンブタジエンゴム、SBR=95質量%:2.5質量%:2.5質量%)を形成し、銅箔を直径15mmの円形に打ち抜き、ロールプレスを用いて2MPaでプレスして、負極を作製した。セパレータは、ポリプロピレンの高分子多孔フィルムを用いた。非水電解液は、LiPFをエチレンカーボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DMC)の混合非水溶媒(体積比、EC:DMC=1:1)に1.0モル/L溶解させて調製した。
製造した正極と、負極と、セパレータと、非水電解液とを用いて、露点-50℃以下の雰囲気下、常法により外部端子及びガスケット内に組込み、収容し、図2に示すようなコイン型のリチウムイオン二次電池(2032型)を組立てた。これを比較例3のリチウムイオン二次電池とした。
〈出力特性試験〉
実施例1~2及び比較例1のリチウムイオン二次電池を用い、以下の充放電条件1に示す条件で出力特性試験を行なった。また、実施例3と比較例2のリチウムイオン二次電池を用い、以下の充放電条件2に示す条件で出力特性試験を行なった。
(充放電条件1)
0.1Cの初回放電容量:4.0Vまで0.1C充電、2.5Vまで0.1C放電
1.0Cの放電容量:4.0Vまで0.5C充電、2.5Vまで1.0C放電
5.0Cの放電容量:4.0Vまで0.5C充電、2.5Vまで5.0C放電
10Cの放電容量:4.0Vまで0.5C充電、2.5Vまで10C放電
(充放電条件2)
0.1Cの初回放電容量:3.6Vまで0.1C充電、2.0Vまで0.1C放電
1.0Cの放電容量:3.6Vまで0.5C充電、2.0Vまで1.0C放電
5.0Cの放電容量:3.6Vまで0.5C充電、2.0Vまで5.0C放電
10Cの放電容量:3.6Vまで0.5C充電、2.0Vまで10C放電
表1に、実施例1、2及び比較例1における0.1Cの初回放電容量、1.0C、5.0、10Cの放電容量の測定結果を示す。また、表2に、実施例3及び比較例2の測定結果を同様に示す。
Figure 2022088933000002
Figure 2022088933000003
表1に示す結果から明らかなように、シート状グラフェンの表裏面に酸化物系固体電解質粒子を備えるリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を含む正極を備える実施例1のリチウムイオン二次電池は、同じ含有量の酸化物系固体電解質粒子を備える正極を備える比較例1のリチウムイオン二次電池と比較して、出力特性が向上したことがわかる。これは、シート状グラフェンが正極において、正極集電体とシート状複合材料との間、及びシート状複合材料同士をそれぞれ電気的に繋ぐネットワークを形成し、イオンの拡散と電子伝導による電荷の授受が向上しているため、リチウムイオン二次電池の出力特性が向上している結果であると推定される。また、酸化物系固体電解質粒子を更にカーボンコーティングすると(実施例2)、出力性能が更に伸びたことが確認された。
また、実施例3と比較例2の負極と電解液は、実施例1におけるリチウム金属とゲル電解質の代わりに、黒鉛負極と有機液体電解液を使った例である。表2に示す結果より、シート状グラフェンの表裏面に酸化物系固体電解質粒子を備えるリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を含む正極を備える実施例3のリチウムイオン二次電池は、酸化物系固体電解質粒子を備える正極を備える比較例2のリチウムイオン二次電池と比較して、出力特性が向上したことがわかる。
[インピーダンス測定]
まず、実施例3及び比較例2のリチウムイオン二次電池を用い、インピーダンス測定を行なった。このインピーダンス測定の条件を以下に示す。
測定装置:電気化学測定システム(東陽テクニカ社製、型番SI1287)、振幅電圧:5mV、周波数:0.01~106Hz、温度:30℃の条件下、0.1C電流で2.0Vまで放電。
図6は、実施例3のリチウムイオン二次電池と、比較例2のリチウムイオン二次電池のCole-Cole-プロット図である。図6において、横軸はインピーダンスの実数成分であり、縦軸はインピーダンスの虚数成分である。
図6に示すように、実施例3のリチウムイオン二次電池の第二番目の半円の曲率半径は、比較例2のリチウムイオン二次電池の第二番目の半円の曲率半径の半分程度である。これは、実施例3のリチウムイオン二次電池正極の電荷移動の抵抗が、比較例2と比較して、半分程度に低減していることを示す(第一番目の半円は主に負極の表面抵抗を示す)。すなわち、実施例3のリチウムイオン二次電池に含まれるリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料(LICGC/rGO)は、比較例2と比較して、より良い導電及びイオン伝導ネットワークを形成できており、イオンの拡散と電子伝導による電荷の授受が更に向上していることを示す。さらに表2に示す結果から、実施例3のレート放電容量は比較例2よりも優れていることが確認された。
1・・・リチウムイオン二次電池、 2・・・正極、 3・・・負極、 4・・・セパレータ、 5・・・第1外部端子、 6・・・第2外部端子、 7・・・ガスケット、 21・・・正極集電体、 22・・・正極層、 31・・・負極集電体、 32・・・負極層、 100・・・導電経路、 110・・・グラフェン、 120・・・正極活物質、 200・・・導電経路、 210・・・グラフェンの凝集体、 211・・・グラフェン、 220・・・正極活物質、 221・・・正極活物質、 300・・・複合材料、 310・・・酸化物系固体電解質粒子、 320・・・単層構造のシート状グラフェン、 330・・・多層構造のシート状グラフェン、 400・・・黒鉛粒子

Claims (15)

  1. シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下の単層構造のシート状グラフェンと、
    シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下の多層構造のシート状グラフェンと、
    前記単層構造のシート状グラフェンのシートの長さまたは前記多層構造のシート状グラフェンのシートの長さに対する粒子径の比が、粒子径/長さ=0.001以上1以下の酸化物系固体電解質粒子と、を含み、
    前記酸化物系固体電解質粒子は、前記単層構造のシート状グラフェンのおもて面及びうら面並びに前記多層構造のシート状グラフェンのおもて面及びうら面に、複数接触して担持している、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料。
  2. 前記酸化物系固体電解質粒子は、NASICON型、LISICON型、ガーネット型、ガラス型、グラスセラミクス型、及びペロブスカイト型酸化物系の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料。
  3. 前記酸化物系固体電解質粒子の粒子径は、50nm~1000nmである、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料。
  4. 前記単層構造のシート状グラフェン及び前記多層構造のシート状グラフェンの含有量が、0.5質量%以上10質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料。
  5. 前記酸化物系固体電解質粒子は、表面がカーボンコート層で被覆されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料。
  6. 前記カーボンコート層の含有量が、0.5質量%以上5.0質量%以下である、請求項5に記載のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料。
  7. 酸化グラフェンからなる層状結晶を含む酸化黒鉛及び酸化物系固体電解質粒子が分散した第1分散液に超音波を印加して、前記層状結晶の層間を剥離して単層構造のシート状酸化グラフェン及び多層構造のシート状酸化グラフェンを形成すると共に、前記酸化物系固体電解質粒子の表面、前記単層構造のシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面、並びに前記多層構造のシート状酸化グラフェンのおもて面及びうら面に電荷を生成し、前記酸化物系固体電解質粒子を前記単層構造のシート状酸化グラフェンの前記おもて面及び前記うら面並びに前記多層構造のシート状酸化グラフェンの前記おもて面及び前記うら面に複数接触して担持させる第1超音波印加工程と、
    前記第1超音波印加工程後、前記単層構造のシート状酸化グラフェン及び前記多層構造のシート状酸化グラフェンを、単層構造のシート状グラフェン及び多層構造のシート状グラフェンに還元する第1還元処理工程と、を含み、
    前記単層構造のシート状酸化グラフェンは、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下であり、
    前記多層構造のシート状酸化グラフェンは、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下であり、
    前記酸化物系固体電解質粒子は、前記単層構造のシート状酸化グラフェンのシートの長さまたは前記多層構造のシート状酸化グラフェンのシートの長さに対する粒子径の比が、粒子径/長さ=0.001以上1以下である、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法。
  8. 前記酸化黒鉛が分散した酸化黒鉛分散液に前記酸化物系固体電解質粒子を分散して前記第1分散液を得る分散工程を含む、請求項7に記載のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法。
  9. 前記第1分散液に有機化合物を混合する第1混合工程を含む、請求項8に記載のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法。
  10. 前記有機化合物は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、デンプン、セルロース、及びグリコーゲンの群から選ばれる少なくとも1つである、請求項9に記載のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法。
  11. 酸化グラフェンからなる層状結晶を含む酸化黒鉛が分散した第2分散液に超音波を印加して、前記層状結晶の層間を剥離して単層構造のシート状酸化グラフェン及び多層構造のシート状酸化グラフェンを形成する第2超音波印加工程と、
    前記第2超音波印加工程後、前記分散液に酸化物系固体電解質粒子を分散させ、当該酸化物系固体電解質粒子を前記単層構造のシート状酸化グラフェンの前記おもて面及び前記うら面並びに前記多層構造のシート状酸化グラフェンの前記おもて面及び前記うら面に複数接触して担持させる担持工程と、
    前記担持工程後、前記単層構造のシート状酸化グラフェン及び前記多層構造のシート状酸化グラフェンを、単層構造のシート状グラフェン及び多層構造のシート状グラフェンに還元する第2還元処理工程と、を含み、
    前記単層構造のシート状酸化グラフェンは、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下であり、
    前記多層構造のシート状酸化グラフェンは、シートの長さが1μm以上500μm以下、シートの幅が1μm以上500μm以下であり、
    前記酸化物系固体電解質粒子は、前記単層構造のシート状酸化グラフェンのシートの長さまたは前記多層構造のシート状酸化グラフェンのシートの長さに対する粒子径の比が、粒子径/長さ=0.001以上1以下である、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法。
  12. 前記第2分散液に有機化合物を混合する第2混合工程を含む、請求項11に記載のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法。
  13. 前記有機化合物は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、デンプン、セルロース、及びグリコーゲンの群から選ばれる少なくとも1つである、請求項12に記載のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法。
  14. 請求項1~6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料と、
    正極活物質と、
    溶剤と、を含むリチウムイオン二次電池正極層用スラリー。
  15. 請求項1~6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料を含む正極層と、正極集電体を備える正極と、
    負極と、
    セパレータと、
    非水電解質を含む、リチウムイオン二次電池。
JP2020201076A 2020-12-03 2020-12-03 リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法、リチウムイオン二次電池正極層用スラリー及びリチウムイオン二次電池 Pending JP2022088933A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020201076A JP2022088933A (ja) 2020-12-03 2020-12-03 リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法、リチウムイオン二次電池正極層用スラリー及びリチウムイオン二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020201076A JP2022088933A (ja) 2020-12-03 2020-12-03 リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法、リチウムイオン二次電池正極層用スラリー及びリチウムイオン二次電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022088933A true JP2022088933A (ja) 2022-06-15

Family

ID=81987911

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020201076A Pending JP2022088933A (ja) 2020-12-03 2020-12-03 リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法、リチウムイオン二次電池正極層用スラリー及びリチウムイオン二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022088933A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN117275795A (zh) * 2023-11-23 2023-12-22 琥崧科技集团股份有限公司 一种石墨烯复合材料导电浆料及其制备方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012164724A1 (ja) * 2011-06-02 2012-12-06 トヨタ自動車株式会社 固体電解質材料、固体電池、固体電解質材料の製造方法
JP2013054958A (ja) * 2011-09-05 2013-03-21 Hitachi Maxell Energy Ltd 非水電解質二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池及び電気化学キャパシタ
JP2020017437A (ja) * 2018-07-26 2020-01-30 株式会社Abri リチウムイオン二次電池用シート状正極複合材料、その製造方法、及びリチウムイオン二次電池

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012164724A1 (ja) * 2011-06-02 2012-12-06 トヨタ自動車株式会社 固体電解質材料、固体電池、固体電解質材料の製造方法
JP2013054958A (ja) * 2011-09-05 2013-03-21 Hitachi Maxell Energy Ltd 非水電解質二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池及び電気化学キャパシタ
JP2020017437A (ja) * 2018-07-26 2020-01-30 株式会社Abri リチウムイオン二次電池用シート状正極複合材料、その製造方法、及びリチウムイオン二次電池

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN117275795A (zh) * 2023-11-23 2023-12-22 琥崧科技集团股份有限公司 一种石墨烯复合材料导电浆料及其制备方法
CN117275795B (zh) * 2023-11-23 2024-01-26 琥崧科技集团股份有限公司 一种石墨烯复合材料导电浆料及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9843045B2 (en) Negative electrode active material and method for producing the same
JP6621926B2 (ja) リチウム二次電池用負極活物質及びこれを含むリチウム二次電池用負極
JP4448279B2 (ja) 人造黒鉛質粒子及びその製造方法、非水電解液二次電池負極及びその製造方法、並びにリチウム二次電池
JP5177315B2 (ja) 硫化物系固体電池
JP7143566B2 (ja) リチウムイオン二次電池用正極材料、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用正極の製造方法、及びリチウムイオン二次電池の製造方法
KR20190041420A (ko) 리튬 이차전지용 양극 활물질, 이의 제조방법, 이를 포함하는 리튬 이차전지용 양극 및 리튬 이차전지
WO2013047870A1 (ja) 電極形成材およびその用途
JP6048407B2 (ja) 負極活物質及びその製造方法
JP3304267B2 (ja) 非水系二次電池及び負極活物質の製造方法
KR20180107758A (ko) 이차전지 양극용 슬러리 조성물의 제조방법, 이를 이용하여 제조된 이차전지용 양극 및 이를 포함하는 리튬 이차전지
JP7403908B2 (ja) 導電材、これを含む電極形成用スラリー、電極及びこれを用いて製造されるリチウム二次電池
JP7073605B2 (ja) リチウムイオン二次電池用シート状正極複合材料、その製造方法、及びリチウムイオン二次電池
JP2023538082A (ja) 負極およびこれを含む二次電池
JP2022088933A (ja) リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料、リチウムイオン二次電池正極用シート状複合材料の製造方法、リチウムイオン二次電池正極層用スラリー及びリチウムイオン二次電池
CN114464774B (zh) 一种负极极片及其应用
JP5668667B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極及びその負極を用いたリチウムイオン二次電池
JP7391455B2 (ja) リチウム二次電池用正極活物質の製造方法および前記方法により製造されたリチウム二次電池用正極活物質
JP2000203817A (ja) 複合炭素粒子、その製造法、負極材料、リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
JP2004296305A (ja) リチウムイオン2次電池
JP2021533551A (ja) リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法及びこれを含むリチウム二次電池
EP4064389A1 (en) Method for producing positive electrode active material for lithium secondary battery, and positive electrode active material for lithium secondary battery produced thereby
US20240120468A1 (en) Positive Electrode Active Material For Lithium Secondary Battery, Method Of Preparing The Same, And Lithium Secondary Battery Comprising The Same
CN110036509B (zh) 锂二次电池用正极和包含其的锂二次电池
JP2021123517A (ja) 多孔質シリコン粒子の製造方法、蓄電デバイス用電極の製造方法、全固体リチウムイオン二次電池の製造方法、多孔質シリコン粒子、蓄電デバイス用電極及び全固体リチウムイオン二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220113

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220517