JP3620189B2 - 電解水生成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原水を電解することによりアルカリ性ないし酸性の電解水を連続的に生成する電解水生成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の電解水生成装置として、図23に示すような構成のアルカリイオン整水器が従来より知られている。この電解水生成装置は、基本的には、水道水(市水)などの原水を浄化する浄水装置20と、浄水装置20により浄化された浄水を電解することによりアルカリ性水と酸性水とに分離する電解槽10と、電解槽10において分離されたアルカリ性水と酸性水との水質を測定する水質測定装置30A,30Bとを備える。また、電解槽10における電解を促進するために電解質浄水に添加する電解質供給装置40が設けられる。
【0003】
浄水装置20は、原水中の有機物や無機物、次亜塩素酸のような原水中に溶解した臭気成分を除去するものであり、抗菌活性炭フィルタや中空糸膜フィルタなどを用いて構成されている。
電解槽10の内部は、イオンが通過可能な電解隔膜11に囲まれた第1の電極室12Aと、電極室12Aの外側である電極室12Bとに区画される。各電極室12A,12Bにはそれぞれ電極13A,13Bが配設される。浄水装置20から流出する浄水は、電極室12Aの流入口14Aに直結される流路と、電解質供給装置40を通して電極室12Bの流入口14Bに接続される流路とに分流される。電解質供給装置40は浄水に電解質を連続的に供給するものであり、カルシウムを添加したアルカリイオン水を得るために、電解質として乳酸カルシウムやグリセロリン酸カルシウムなどが用いられる。しかして、電極13A,13Bとの間に電圧を印加し(ここでは、電極13Aを陽極、電極13Bを陰極とする)電解槽10に通水された水を電解すると、電極室12Aにおいて酸性水が生成され、電極室12Bにおいてアルカリ性水が生成される。電解槽10において生成されたアルカリ性水は流出口15Bを通り、酸性水は流出路15Aを通ることにより各別に吐出される。
【0004】
また、電解水(アルカリ性水および酸性水)の水質(pH、酸化還元電位、各種イオンの濃度)は原水の供給量や水質によって大きく影響されるから、アルカリ性水および酸性水の流出経路に水質測定装置30A,30Bを設け、アルカリ性水および酸性水の水質を監視している。電解槽10から吐出される電解水の流速は、数cm/sec〜数十cm/secの範囲であって、水質測定装置30A,30Bはその測定結果を電極13A,13Bとの間の印加電圧などにフィードバックすることによって電解水の水質を維持する目的で使用されるから、電解水の水質を実時間で検出することが要求される。そこで、測定に要する時間に時間遅れが生じないように、水質測定装置30A,30Bには電気化学的原理により水質を測定するものを用いている。すなわち、電気化学的原理により水質を測定する水質測定装置30A,30Bは、電解水に作用電極を直接接触させて水質を測定することにより実時間での測定が可能であり、電解水生成装置に用いる水質測定装置として最適なものになっている。ここで、水質測定装置30A,30Bは必ずしもアルカリ性水および酸性水との両方の水質を測定する必要はなく、いずれか一方についてのみ水質を測定するものもある。
【0005】
さらに、原水を通水して電解している状態から止水したときには、通水時とは逆極性の電圧を電極13A,13Bの間に印加して電極13A,13Bに付着しているスケールを除去し、その後、電磁弁よりなる排水弁24を開くことによって電解槽10から排水するようにしてある。このような止水後の処理を逆電洗浄処理と呼ぶ。
【0006】
ところで、アルカリイオン整水器は、主として飲用に供する弱塩基性のアルカリ性水(以下、アルカリイオン水という)を使用することを目的とするものであり、アルカリイオン水にカルシウムイオンを添加することによってアルカリイオン水の付加価値を高めるようにしている。つまり、電解を促進するために添加する電解質にカルシウム化合物を用いることにより、アルカリイオン水にカルシウムイオンを添加するのである。電解質には上述のように乳酸カルシウムやグリセロリン酸カルシウムなどが用いられるのであって、電解質を添加した水を電極室12Aに導入すると電解槽10から吐出されるアルカリイオン水に電解質が混入するから、アルカリイオン整水器では電極室12Aに導入する水に電解質を添加するようにしている。とくに、乳酸カルシウムを電解質として用いると乳酸イオンが生じ、乳酸イオンは有機塩素化合物(トリハロメタン)の前駆体となり得るから、主として飲食用に供されるアルカリイオン水への乳酸イオンの混入を避けなければならない。つまり、電解質を添加した水を陽極室である電極室12Aに導入することにより、アルカリイオン水に陽極側からのカルシウムイオンの電気浸透によりカルシウムイオンのみが増加し、乳酸イオンは酸性水とともに排出するようにしているのである。
【0007】
ここにおいて、アルカリイオン水を生成するときとは逆極性の電圧を印加することにより、pHが5.0〜6.0程度の弱酸性の酸性水(以下、酸性イオン水という)を生成する場合があり、酸性イオン水はアストリンゼント効果を有するから洗顔用などに用いられる。また、アルカリイオン水の生成時には同時に酸性水が生成されるのであって、飲用に供する弱塩基性のアルカリイオン水を大量に生成することができるように、酸性水のほうがアルカリ性水よりも濃度が高くなるように容量比率を設定してある。つまり、アルカリイオン水を生成すると、pH値が3〜4程度となる強酸性の酸性水(以下、強酸性水という)が同時に生成されることになる。この強酸性水は洗顔などに用いるのではなく、まな板やふきんの洗浄殺菌用に利用される。同様に、電極に逆極性の電圧を印加して酸性イオン水を生成すれば、強塩基性のアルカリ性水(以下、強アルカリ性水という)が生成されることになる。
【0008】
一方、電解水生成装置としては、pHが2.7以下で酸化還元電位が1100mV以上となる酸化性の強い酸性水(以下、強酸化水という)を利用に供する強酸化水生成装置も知られている。強酸化水は主として次亜塩素酸の酸化性を利用するものであって、アトピー性皮膚炎の治療や殺菌用として種々の利用が試行され、その効果が顕著であることが報告されている。この種の電解水生成装置は、図24に示すように、アルカリイオン整水器とは電解質供給装置40の位置が異なる。すなわち、アルカリイオン整水器では浄水を分流した後に陽極室である電極室12Aへの浄水のみを電解質供給装置40に通水していたが、強酸化水生成装置では浄水を分流する前に電解質供給装置40に通水し、両電極室12A,12Bに流入する水にともに電解質を添加するようにしている。この種の電解質には、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウムなどが用いられ、強酸化水と同時に強塩基性のアルカリ性水(以下、強塩基水という)が得られる。
【0009】
このように、強酸化水生成装置では、両電極室12A,12Bに流入する水の電気伝導率を均一にして電流を流れやすくし、かつ添加する電解質の塩素イオンを有効に利用して次亜塩素酸を効率よく生成するために、電極室12A,12Bに導入される水の両方に電解質を添加するのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、電解水生成装置としては、アルカリイオン整水器および強酸化水生成装置があり、アルカリイオン水、酸性イオン水、強酸性水、強アルカリ性水、強酸化水、強塩基水を生成することができる。アルカリイオン整水器と強酸化水生成装置とでは、浄水に電解質を添加する電解質供給装置40の位置が異なるものであるから、アルカリイオン整水器と強酸化水生成装置との両機能を併せ持つ電解水生成装置は製造されていないのが現状である。
【0011】
また、仮に両者の機能を持つ電解水生成装置を構成したとしても、強酸化水生成時には導電率の高い電解質を添加するので、アルカリイオン水生成用の電源回路とは別に大電流を供給できる強酸化水生成用の電源回路を設ける必要があり、その場合、突入電流を考慮しないと、回路の故障に発展する恐れがある。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その主な目的は、アルカリイオン整水器と強酸化水生成装置との両機能を併せ持たせた電解水生成装置を提供することにあり、しかも、強酸化水生成時に使用される電源回路の突入電流に対する保護機能を持たせた電解水生成装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的の達成のために、本発明の電解水生成装置は、電解隔膜を介して形成した一対の電極室にそれぞれ水を流入させ各電極室に設けた電極間に電圧を印加して水を電解することにより、一方の電極室においてアルカリ性水を生成するとともに他方の電極室において酸性水を生成し、アルカリ性水と酸性水との電解水を各電極室にそれぞれ設けた流出口から各別に流出させるように構成し、前記酸性水を次亜塩素酸が多く含まれた強酸化水とするべく、各電極室に流入する少なくとも一方の水に無機塩素化合物を添加する電解質供給装置を備えた電解水生成装置であって、無機塩素化合物を添加し、強酸化水を生成するためのモードで通水を行ったとき、通水開始から一定時間後に所定量の電圧値となるように制御する制御部を設けたものにおいて、電極間に電圧を印加する回路に電解槽内の水を排水するための電磁弁よりなる排水弁を開閉するための回路を並列に設け、該並列回路にコンデンサを介して電圧を供給するための電源として電圧の高いアルカリ用の電源回路と電圧の低い強酸化水用の電源回路とを切り替えスイッチを介して接続し、切り替えスイッチが電圧の高いアルカリ用の電源回路側に切り替えられている状態で電磁弁駆動信号により電磁弁を駆動するように制御され、且つ、切り替えスイッチが電圧の低い強酸化水用の電源回路側に切り替えられると任意の時間だけ電磁弁側に通電してコンデンサを放電することで電極間に印加される電圧が所定電圧以下となるように制御すると共に、切り替えスイッチを電圧の低い強酸化水用の電源回路側に切り替えて強酸化水を生成するためのモードとして通水を開始してから一定時間後に電極間に印加された電圧が所定量の電圧となるように制御する制御部を設けて成ることを特徴とするものである。このような構成によれば、強酸化水を生成するためのモードで通水を行ったときに、コンデンサに充電された電圧の印加によって所定量の電圧をすぐに印加しないようにできて、通水開始時に流れる突入電流を防止することができることになる。
【0013】
また、通水開始から一定時間後に所定量の電圧値に制御するに当たり、一定時間後に所定量の電圧値に到達するまで段階的に電圧値を大きくするように制御する制御部を設けることが好ましい。このような構成とすることで、通水開始時には低電圧が印加されることで、通水開始時に流れる突入電流を防止することができることになる。
【0014】
また、通水開始から一定時間後に所定量の電圧値に制御するに当たり、前記一定時間の内、通水直後の一定時間を電圧ゼロとするように制御する制御部を設けることも好ましい。このような構成とすることで、電解槽内に滞留している水が入れ替わるまで電圧を印加しないことにより、通水開始時に流れる突入電流を防止することができることになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本実施形態の電解水生成装置は、従来の技術において説明した各種の電解水を生成することができるようにしてアルカリイオン整水器および強酸化水生成装置の機能を併せ持つようにしたものである。
基本的には従来のアルカリイオン整水器ないし強酸化水生成装置と同様の構成を有しており、電解槽10および浄水装置20を備え、水道水などの原水が浄水装置20に通水されて浄化され、浄水装置20から流出する浄水が電解槽10において電解され、アルカリ性水と酸性水とを連続的に生成するものである。ここでは原水を水道水としており、カラン60に取り付けた水路切換装置61を通して浄水装置20に水道水が導かれる。水路切換装置61は2つのポート62,63を備え、切換レバー64の操作により水道水をそのまま吐出させる状態と浄水装置20に導く状態とを切り替えることができるようになっている。
【0017】
また、電解槽10で生成された電解水の流出経路にはアルカリ性水の水質を電気的に測定する水質測定装置30が配置されている。水質測定装置30としては電気化学的原理によりpH、酸化還元電位、特定のイオンのイオン濃度を測定するものや電気伝導率を測定するものを用いることができる。ここでは、水質測定装置30としてpHセンサ31と、酸化還元電位センサ32とを備えるものを用いる。
【0018】
浄水装置20への原水の流路上には、サーミスタよりなる温度センサ21と、定流量弁22とが配置される。温度センサ21は流入する原水の温度を検出し、所定温度以上の湯が通水されたときには後述する制御部を介して音響的に警報を発するようにしてある。また、定流量弁22は過剰な水圧が浄水装置20以降の水路に作用するのを防止するために設けてある。浄水装置20は、活性炭(抗菌処理されている)からなる濾材と中空糸膜からなる濾材とを収めたカートリッジを内部に備え、カートリッジの交換によって濾材を交換することができるように構成されている。
【0019】
電解槽10はその内部に、電解隔膜11に囲まれた第1の電極室12Aと、電解隔膜11の外側である第2の電極室12Bとを備え、各電極室12A,12B内にはそれぞれ電極13A,13Bが配置される。また、各電極室12A,12Bは下端部にそれぞれ流入口14A,14Bを備え、また上端部にそれぞれ流出口15A,15Bを備える。流入口14Aおよび流出口15Aは流入口14Bおよび流出口15Bよりも開口面積が小さく形成され、電極室12Bに流入する流量と電極室12Aに流入する流量との割合が1:3ないし1:4程度になるようにしてある。かつまた、電極室12A,12Bの容積も電極室12Aのほうが電極室12Bよりも小さく形成してある。これは、各電極室12A,12Bにおいて生成される電解水の濃度に差をもたせるためである。
【0020】
浄水装置20と電解槽10との間の流路上には流量センサ23と電解質供給装置40とが配置される。電解質供給装置40の内部の流路については後述するが、電解質供給装置40の内部で2系統に分流され、その一方は流入口14Aより第1の電極室12Aに導入され、他方は流入口14Bより第2の電極室12Bに導入される。また、流入口14Bへの流路は電磁弁である排水弁24を通して吐出管53に接続されている。つまり、吐出管53は基本的には使用に供されることのない不要な水を廃棄する目的で設けられている(必要があれば使用してもよい)。また、電磁弁よりなる排水弁24は電解槽10からの排水をするためのものであり、従来例と同様に、原水を通水して電解している状態から止水したときに、通水時とは逆極性の電圧を電極13A,13Bの間に印加して電極13A,13Bに付着しているスケールを除去し、その後、電磁弁よりなる排水弁24を開いて電解槽10から排水するようにしてある。
【0021】
電解槽10の流出口15A,15Bは、流路切換弁54を通して流出管53および水質測定装置30に接続され、流出口15Bを流出管53に接続するとともに流出口15Aを水質測定装置30に接続する状態と、流出口15Bを水質測定装置30に接続するとともに流出口15Aを流出管53に接続する状態とを切り換える。水質測定装置30は流路切換弁55を介して吐出管51,52に接続され、水質測定装置30を通った電解水はいずれかの吐出管51,52から選択的に吐出される。流路切換弁54,55は電磁切換弁もしくはモータ式切換弁により構成される。流路切換弁54,55は連動するように制御される。すなわち、図1のように流路切換弁54により流出口15Aと吐出管53とを連通させるときには、流路切換弁55は流出口15Bと吐出管51とを連通させる。また、流路切換弁54により流出口15Bと吐出管53とを連通させるときには、流路切換弁55は流出口15Aと吐出管52とを連通させる。つまり、流路切換弁54,55の動作にかかわらず吐出管53からは必ず電解水が吐出され、吐出管51と吐出管52とはいずれか一方のみから電解水が選択的に吐出されるのである。
【0022】
上述したサーミスタ21から流路切換弁54,55までの流路上の部材はハウジング1に収納され、ハウジング1からは3本の吐出管51〜53が引き出される。ここに、吐出管51にはフレキシブルパイプを用いる。また、カラン60からの原水を取り込むためのホースもハウジング1から引き出される。
ところで、水質測定装置30は上述のようにpHセンサ31と酸化還元電位センサ32とを備えるものであり、図3に示すように、pHセンサ31は、塩化カリウムの飽和水溶液に銀−塩化銀電極を浸漬した比較電極33と、特殊ガラス電極に塩化カリウムの飽和水溶液を満たした作用電極34と、液絡部35とを備えるものであり、センサ本体36に設けた流路37に作用電極34および液絡部35を臨ませることにより流路を通過する水の水素イオン濃度に比例した電圧が比較電極33と作用電極34との間に起電力として発生するようになっている。この起電力は適宜増幅率の増幅器を用いて増幅されることによりpH値に応じた0〜5Vの電圧に変換され、A/D変換が施された後に後述する制御部に入力される。
【0023】
また、酸化還元電位センサ32は、白金のような不溶性電極をガラスに封入した作用電極38を備え、作用電極38をハウジング36内の流路37に臨ませてある。酸化還元電位センサ32の比較電極はpHセンサ31の比較電極33を共用して用いており、比較電極33と作用電極38との間の相対電位差を酸化還元電位として検出する。検出された電位差は適宜増幅率の増幅器により増幅され酸化還元電位に応じた0〜5Vの範囲の電圧に変換され、pHセンサ31と同様にA/D変換が施された後に後述する制御部に入力される。
【0024】
電解質供給装置40は、図4に示すように、電解質43を入れた非金属材料よりなる筒状の容器42a,42bをジャケット41内に装着する構成を有している。本実施形態ではアルカリイオン整水器と強酸化水生成装置との両方の機能を有するから、どちらの機能として用いるかに応じて電解質43の種類が選択される。つまり、飲用であるアルカリイオン水や洗顔用などの酸性イオン水を生成するときには電解質43として乳酸カルシウムなどを用い、強酸性水や強酸化水を生成する際には電解質43として塩化ナトリウムなどを用いる。そこで、電解質43の種類に応じて形状の異なる容器42a,42bをジャケット41に収納し、容器42a,42bに応じてジャケット41の中での流路が変更されるようにしてある。
【0025】
具体的に説明すると、ジャケット41は水の流入する1本の導入路管41aと2本の排出路管41b,41cとを備え、導入路管41aと一方の排出路管41bとの間はバイパス路管41dを通して連通している。一方、アルカリイオン水を生成する際に用いる容器42aは、図5(a)のように両排出管路41b,41cにそれぞれ連通する開口44a,44bが形成されている。また、強酸化水を生成する際に用いる容器42bは、図5(b)のように両排出路管41b,41cにそれぞれ連通する開口44a,44bに加えて底壁の中央部から延長された導入筒44cを備える。導入筒44cは導入路管41aに挿入したときに先端部がバイパス路管41dを閉塞する長さを有する。
【0026】
したがって、アルカリイオン水、酸性イオン水、強酸性水などを生成する際には、図4(a)のように容器42aをジャケット41に装着する。この状態では、流量センサ23を通り導入路41aからジャケット41に導入された浄水はバイパス路管41dを通して排出路管41bに送られるとともに、バイパス路管41dを通して容器42aに送られたのち排出路管41cから排出される。すなわち、排出路管41bに連通する電解槽10の流入口14Bに導かれるとともに、電解質43を通り排出路41cを通って電解槽10の流入口14Aに導かれる。つまり、この状態においては、電解槽10の流入口14Aには電解質43を通した水が導入され、流入口14Bには電解質43を通らない水が導入されることになる。
【0027】
一方、強酸化水を生成する際には、図4(b)のように容器42bをジャケット41に装着する。このとき、導入筒44cによってバイパス路管41dが閉塞されるから、導入路管41aからジャケット41に流入する水はバイパス路管41dへの流入が禁止されて導入筒44cを通して容器42bに直接導入され、その後、排出路管41bおよび排出路管41cに分流されることになる。つまり、排出路管41bに接続された電解槽10の流入口14Bと、排出路管41cに接続された電解槽10の流入口14Aとにはそれぞれ容器42b内の電解質43に接触した水が導入される。
【0028】
ここにおいて、ジャケット41の外側面には検知手段となる高周波発振型の近接スイッチ45が取り付けられており、容器42bには識別手段となる帯状に形成した検出用金属片46が取り付けられている。しかして、容器42bをジャケット41に装着すれば、近接スイッチ45において容器42bの装着が検出されるから、検出用金属片46を識別手段として容器42a,42bの種別を識別させることができる。したがって、近接スイッチ45の出力を後述する制御部に与えることにより、アルカリイオン水、酸性イオン水、強酸性水などを生成する状態か、強酸化水を生成する状態かを制御部に指示することができる。このため、本実施形態においては、識別手段である検出用金属片46と検知手段である近接スイッチ45とで電解質の種類を識別して検知信号を制御部に送る識別検知手段が構成してある。
【0029】
近接スイッチ45は、周知のものであって、たとえば図6に示すように、検出コイル45aに対して高周波発振回路45bから高周波電流を与え、金属物体Xが接近したときに生じる検出コイル45aのインピーダンス変化を高周波発振回路45bの発振出力の変化により検出するものが知られている。すなわち、金属物体Xが近接すれば、高周波発振回路45bは発振を停止するから、高周波発振回路45bの出力を検波回路45cで検波し波形成形回路45dで波形成形することにより、高周波発振回路45bの発振の有無に応じた信号を波形成形回路45dから出力し、これを外部回路を駆動するための出力回路45eを通して取り出すのである。
【0030】
容器42a,42bの種別を識別する手段(つまり電解質の種類を識別検知する識別検知手段)としては、近接スイッチ45に代えて磁気センサ(リードスイッチやホール素子)を設け、検出用金属片46に代えて永久磁石を設けてもよい。また、マイクロスイッチのような機械的スイッチを用いて容器42a、42bの種別を判別するようにしてもよい。
【0031】
ところで、この近接スイッチ45からの出力信号は、図7(a)、図8に示す制御部により制御される。この制御部は、1チップマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)71を用いて構成される。マイコン71には操作表示部72が接続され、操作表示部72は図7(b)に示すように、電源スイッチのほか、アルカリ性水、酸性水の生成の選択やpHの調整などの各種操作を行なうためのスイッチ群72aと、液晶表示器72b1および発光ダイオードよりなるランプ群を備えた表示部72bとを備える。
【0032】
図7(b)に示すように、スイッチ群72aの中には電源スイッチ72a1、アルカリイオン水生成モード用のスイッチ72a3、酸性水生成モード用兼強酸性水生成モード用のスイッチ72a5、浄水モード用のスイッチ72a4、強酸化水生成モード用のスイッチ72a2等が設けてある。
表示部72bとしては上記アルカリイオン水生成モード用のスイッチ72a3、酸性水生成モード用兼強酸性水生成モード用のスイッチ72a5、浄水モード用のスイッチ72a4、強酸化水生成モード用のスイッチ72a2に対応して発光ダイオードにより構成した選択ランプが設けてある。すなわち、実施形態においてはアルカリイオン水生成モード用のスイッチ72a3は1回操作する場合、2回操作する場合、3回操作する場合、4回操作する場合でそれぞれ4種類のアルカリイオン水を選択して生成できるようになっており、このアルカリイオン水生成モード用のスイッチ72a3の4段階の操作に対応して4つのアルカリイオン水生成用の選択ランプ72b7、72b6、72b5、72b4が設けてあり、アルカリイオン水生成モード用のスイッチ72a3の各操作段階に応じてそのいずれかに対応したアルカリイオン水生成用の選択ランプ72b7、72b6、72b5、72b4のいずれかが点灯して目的とする段階のアルカリイオン水生成モードであることを知らせるようになっている。また、酸性水生成モード用兼強酸性水生成モード用のスイッチ72a5に対応して酸性水生成モード用の選択ランプ72b9と強酸性水生成モード用の選択ランプ72b10とが設けてあり、酸性水生成モード用兼強酸性水生成モード用のスイッチ72a5を1回操作すると酸性水生成モード用の選択ランプ72b9が点灯し、2回操作すると酸性水生成モード用兼強酸性水生成モード用のスイッチ72b10が点灯するようになっていて、それぞれ酸性水生成モード又は強酸性水生成モードであることを知らせるようになっている。また、浄水モード用のスイッチ72a4に対応して浄水モード用の選択ランプ72b8が設けてあり、浄水モード用のスイッチ72a4をオンに操作した場合に浄水モード用の選択ランプ72b8が点灯して、浄水モードであることを知らせるようになっている。また、強酸化水生成モード用のスイッチ72a2に対応して強酸化水生成モード用の選択ランプ72b3が設けてあり、強酸化水生成モード用のスイッチ72a2をオンに操作した場合強酸化水生成モード用の選択ランプ72b3が点灯して、強酸化水生成モードであることを知らせるようになっている。なお図7(b)中72b2は電源スイッチ72a1がオンの時に点灯し、オフの時消灯するランプである。
【0033】
また、図7(b)に示すように、液晶表示器72b1には添加した電解質の種類に応じて表れる表示部分を備え、近接スイッチ45からの出力信号がマイコン71に送られると、液晶表示器72b1に電解質の種類に応じた表示が表れる。ここで、本実施形態においては、強酸化水生成用の電解質を識別検知手段により識別検知した場合にのみ液晶表示器72b1にその旨の表示(図7(b)のように食塩添加中という表示)がなされるようになっており、強酸化水生成用以外の電解質を識別検知手段で識別検知した場合には液晶表示器72b1に何も表示されないようになっており、このことにより、電解質の種類が何も表示されない状態では強酸化水生成用の電解質以外の電解質を添加している場合か、あるいは無添加の場合であるかのいずれかであることが知られるようになっている。
【0034】
そして、強酸化水を生成するための電解質を識別検知手段により識別検知した場合(つまり、近接スイッチ45により強酸化水生成用の電解質を入れた容器42bを検知した場合)には近接スイッチ45からの出力信号がマイコン71に送られると、強酸化水を生成するための電解質を検知したことが報知手段である液晶表示器72b1により表示され(実施形態においては、電解質として食塩を添加した時には、食塩添加中という文字が液晶表示器72b1に表れ)、同時に流路切換弁54、55が切り換えられ、図2のような流路となり、下方吐水となる。下方水口52の先端には図14に示すような強酸化水の吐水スタンド80を設け、強酸化水を使用する際の使用性の向上を図るようになっている。また、識別検知手段により強酸化水を生成するための電解質の識別検知信号が制御部に入力された場合には、強酸化水生成モード以外の電解水生成モードを受付不能となるように制御部により制御される(つまり、強酸化水生成モード用のスイッチ72a2以外の他のモードのスイッチは受付不能となる)ものである。
【0035】
ここで、浄水モードや各種電解水を生成するモードを選択するための選択スイッチを新たにオンする迄は前回の運転モードを表示する選択ランプが点灯するように制御部により制御されるようになっているが、しかしながら、識別検知手段により強酸化水を生成するための電解質の識別検知信号が制御部に入力された場合のみは、その後に強酸化水を生成するための選択スイッチを操作するまでの間、前回の運転モードを表示する選択ランプを消灯するように制御されるようになっている。また、すでに述べたように識別検知手段により強酸化水を生成するための電解質の識別検知信号が制御部に入力された場合液晶表示器72b1に当該電解質が添加されたことを報知するようになっているが、この場合、ブザーその他の音、あるいは音声で報知するようにしてもよい。
【0036】
上述のように、識別検知手段により強酸化水を生成するための電解質の識別検知信号が制御部に入力されると、流路切換弁54、55が切り換えられ、図2のような流路となり、また、強酸化水生成モード用のスイッチ72a2以外の他のモードのスイッチ、すなわち、アルカリイオン水生成モード用のスイッチ72a3、酸性水生成モード用兼強酸性水生成モード用のスイッチ72a5、浄水モード用のスイッチ72a4がいずれも受付けられないように制御部により制御されるようになっていると共に、前回の運転モードを表示する選択ランプも消灯し、更に、強酸化水生成用の電解質が添加されたことを報知手段により報知するので、強酸化水生成用の電解質が添加されたことが使用者に判り、また、強酸化水生成モード以外のモードを受け付けないことでモードに適さない電解質が添加された場合の誤生成を防止することができ、また、食塩水が飲用側の上方吐水として出てくることはなく、下方の強酸化水吐水スタンド80かあ吐水され、飲用側のスイッチは受け付けないので誤って強酸化水や食塩入りの電解水を飲むことはない。
【0037】
ところで、本発明においては、上記のように識別検知手段により強酸化水を生成するための電解質の識別検知信号が制御部に入力されると、強酸化水生成モード用のスイッチ72a2以外の他のモードのスイッチは受付けないようになっているが、逆に強酸化水生成用の電解質以外の電解質を添加した場合や、電解質を添加しなかった場合(無添加の場合)には識別検知手段により識別検知されて制御部に出力され、この場合にはスイッチ群72aのうち強酸化水生成モード用のスイッチ72a2は受付けず、他のスイッチであるアルカリイオン水生成モード用のスイッチ72a3、酸性水生成モード用兼強酸性水生成モード用のスイッチ72a5、浄水モード用のスイッチ72a4を受付けることができるように制御部により制御されるものである。
【0038】
また、電解槽10に設けた各電極13A、13Bに印加する電圧の極性や大きさも、マイコン71により制御される。この場合、すでに述べたように、強酸化水を生成する電解質を添加した場合のみは、該添加を識別検出手段で検出することで自動的に流路切換弁54、55の切換えを行い、その後、強酸化水を生成モード用のスイッチ72a2を操作した時に、電極13A、13Bへの印加電圧の大きさや極性を制御するものであり、他の電解質を添加した場合は、強酸化水生成モード以外の他の種々のモード(アルカリイオン水生成モード、酸性水生成モード、強酸性水生成モード、浄水モード)のうち、任意のモード用のスイッチを操作した時、操作したモードに対応して電極13A、13Bへの印加電圧の大きさや極性、流路切換弁54、55の切換、排水弁24の開閉などを制御するものである。
【0039】
また、上述した水質測定装置30と流量センサ23からの出力によっても、各電極13A、13Bに印加する電圧の極性や大きさや、流路切換弁54、55の切換、排水弁24の開閉などが制御される。
すなわち、マイコン71に設けた比較部71aにおいて、水質測定装置30により測定したpHをあらかじめ設定した設定値と比較し、PWM制御を行なうスイッチング電源73をフィードバック制御することにより、pHが目標値に一致するように電極13A,13Bに印加する電圧を調節する。また、電極13A,13Bへの印加電圧の極性はリレー接点r1 ,r2 により切り換えられる。
【0040】
次に、電極13A,13Bの間の印加電圧をフィードバック制御することによりpHを目標値に保つように制御する手順について概説する。本実施形態においては、電極13A,13Bに印加する電圧VmがpHの目標値pHMに対応して設定してあり、目標値pHMを設定して通電すると図9のように、電極13A,13Bの印加電圧はまずVmに設定される。その後、pHがほぼ安定するまで(2秒間の変動値が±0.1pHになるまで)電極13A,13Bの印加電圧はVmに保たれる。こうしてpHが安定状態になると、この時点でのpH(=pHA)と目標値pHMとの偏差ΔpHを求め(実際にはpHセンサ31の出力電圧の差を用いる)、図9に示すような特性曲線に基づいて、電圧Vmに対応するpH値から偏差ΔpHだけpH値をずらしたときの印加電圧Vn(=Vm−ΔV)を求め、この電圧Vnを電極13A,13B間に印加する。このような制御を偏差ΔpHが±0.2pH以内になるまで繰り返し、以後はその電圧を維持する。
【0041】
上述のように偏差ΔpHが±0.2pH以内になった後でも流量の変動などの外乱によってpHが変動するから、偏差ΔpHが目標値pHMに対して±0.2pHの範囲を逸脱したときには、上記処理を行ない、偏差ΔpHに応じた印加電圧を求めて偏差ΔpHが±0.2pH以内に納まるまで制御を繰り返す。
このような手順でフィードバック制御を行なえば、図9に示すpH値の変化からも推察されるようにオーバーシュートが少なくなり、pHが短時間で目標値pHMに収束する。とくに、偏差ΔpHを上述のようにpH値が安定した時点で求めているから、外乱が入らなければ偏差ΔpHに基づく印加電圧の補正は1回程度で済んでしまうことになり、この点からも目標値pHMに短時間で収束させることができるのである。
【0042】
さらに、目標値pHMが異なる場合、つまりアルカリイオン水、酸性イオン水、強酸性水ないし強酸化水を得る場合とでは、それぞれの電解時における副反応(たとえば塩素イオンの酸化反応など)が異なり反応時間に差があるから、目標値pHM(ここでは、アルカリイオン水、酸性イオン水、強塩基水および強酸化水をそれぞれ生成する各状態)ごとに最適な特性曲線を用意しておき、各状態に応じて対応する特性曲線を用いてフィードバック制御する。ちなみに、図10に示す曲線イがアルカリイオン水用、ロが酸性イオン水用、ハが強酸化水および強塩基水用である。
【0043】
上述のように特性曲線を選択することにより、目標値pHMの変化に対するpHの立ち上がり特性を適正に制御することになり、目標値pHMがどのような値であっても、吐出する電解水のpH値を目標値pHMに迅速に収束させることができる。なお、上記した特性曲線イ、ロ、ハは、次式で近似的に表すことができる。
VpHv=A+B loge V
ただし、VpHはpHセンサ31の出力電圧、Vは電極13A,13Bに印加する電圧、A,Bは各状態毎に設定される定数である。
【0044】
また、変動が±0.1pH以内となる安定状態が10秒以上継続するときには、その電圧値とpH値とをマイコン71に付設したメモリ74に格納する。メモリ74に格納した値は、止水後に再び通水されたときに参照され、メモリ74に格納されている電圧値が電極13A,13Bにただちに印加される。この制御により通水を再開した後の目標値pHMへの収束時間がより短縮される。メモリ74の内容は上述した条件が満たされるたびに書き換えられる。また、メモリ74の内容を書き換える代わりに、目標値pHMごとに設定してある電圧値を書き換えるようにしてもよい。
ところで、止水後に逆電洗浄処理が終了した後には電解槽10内の水は排水されているから、この状態から通水を開始しても電解槽10に水が満たされてさらにpHセンサ31に至るまでには時間遅れがある。また、目標値pHMを通水途中で変更したときにも電解槽10内の水がある程度入れ替わるまでに時間がかかる。したがって、通水の開始時点や目標値pHMの変更時点の直後ではpHセンサ31の出力に変化が生じない。このような時間帯は不感帯(図9にKで示す領域)と呼ばれる。しかして、不感帯Kにおいて上記制御を行なうと、電極13A,13Bに印加した電圧に対応する電解水がpHセンサ31に達していないにもかかわらず、pHセンサ31の出力値が安定する可能性があり、このような状態で偏差ΔpHが求められると、不適切な電圧値に設定される可能性がある。このような不都合を回避するために、フィードバック制御に際しては以下の不感帯処理を行なう。
【0045】
すなわち、止水状態から通水を開始した場合は、図11に示すように、通水を開始した時点から目標値pHMに対応した電圧Vmを電極13A,13Bに印加するととともにpHセンサ31の出力を表示する。ただし、通水の開始から所定時間T1(たとえば15秒)が経過するまでは、フィードバック制御は行なわずに電圧Vmを維持する。時間T1が経過した後にpHが目標値pHMの方向に0.2変化すれば不感帯を脱出したと判断し、以後は上述したフィードバック制御を開始する。
【0046】
また、通水途中で目標値pHMを変更した場合は、変更された新たな目標値pHMに対応する電圧Vmnを電極13A,13Bに印加するとともにpHセンサ31の出力を表示する。ただし、目標値pHMの変更から所定時間T2(たとえば3秒)が経過するまでは、フィードバック制御は行なわずに電圧Vmnを維持する。時間T2が経過した後にpHが目標値pHMの方向に0.2変化すれば不感帯を脱出したと判断し、以後は上述したフィードバック制御を開始する。要するに、止水状態から通水状態に移行した場合と、通水途中で目標値pHMを変更した場合とは、不感帯として設定する時間が異なるのみであり、不感対処理の他の手順は同様になる。
【0047】
ところで、不感帯を脱出したか否かの判断を、上述のようにpHが目標値pHMの方向に0.2だけ変化したか否かで判断するだけでは、何らかの原因でpHが0.2以上に変化しない場合にはフィードバック制御が開始されないことになる。そこで、不感帯を強制的に脱出させるための判断部を付加しておくことが望ましい。この種の判断部は、上述した時間T1,T2より長時間の時限動作を行なうタイマを用いても実現することが可能であるが、本実施形態では電解槽10への流路に通水された流量(たとえば、0.2リットル)により判断している。つまり、流量センサ23により計測された流量が所定値に達すると不感帯を強制的に脱出させてフィードバック制御を開始させるのである。この場合、フィードバック制御が開始された後にはpHが安定するか否かの判断を待たずに、フィードバック制御の開始時点でのpHセンサ31での測定値を用いて偏差ΔpHを求めればよい。
【0048】
次に、各種の電解水を生成する動作を説明する。アルカリイオン水を生成する際には、容器42aに電解質43としてカルシウム剤を入れ、ジャケット41に装着する。ここで、アルカリイオン水生成モード用のスイッチ72a4を押して操作してアルカリ性水の生成を指示すると、流量センサ23で所定流量の通過が検知された時点から電解槽10の電極13Aを陽極、電極13Bを陰極とするように電圧が印加される。このとき、図1のように、流路切換弁54は電極室12Aを吐出管53に連通させ、流路切換弁55は電極室12Bから流路切換弁54を通り水質測定装置30を通過した電解水(アルカリイオン水)を吐出管51に導く。吐出管51はハウジング1の上部から引き出されており、コップに入れるなどして飲食用に使用されることになる。また、電解質43であるカルシウム剤に乳酸カルシウムを用いる場合に乳酸イオンが生じるが、酸性水とともに廃棄されるから乳酸イオンを含む水を誤って飲むことを防止できることになる。
【0049】
一方、同条件で酸性水生成モード用兼強酸性水生成モード用のスイッチ72a5を1回押す操作をすると、スイッチ72aにより酸性水の生成を指示すると、pHが5.0〜6.0である酸性イオン水を取り出すことを指示したことになり、電極13A、13Bの印加電圧が上記とは逆極性になる。このとき流路に変化はなく、酸性イオン水が吐出管51から取り出され、強アルカリ性水が吐出管53から吐出されることになる。このような酸性イオン水は一般には洗顔などに用いるのであるが、飲んだとしてもとくに支障はないから、洗顔などの目的で大量に使用するために吐出管51から吐出させるほうが使い勝手がよいことになる。
【0050】
まな板やふきんの殺菌などのためにpHが3.0〜4.0程度の強酸性水を得ようとするときには、酸性水生成モード用兼強酸性水生成モード用のスイッチ72a5を2回押す操作をして強酸性水生成モードにする。このモードの場合、電解質43としてアルカリイオン水と同様のものを用いるが電極12A,12Bの印加電圧が異なる。このように強酸性水の生成を選択すると、電極13Aを陽極、電極13Bを陰極として電解が行なわれる。これはアルカリイオン水の生成時と同様であるが、強酸性水を得るためにアルカリ性水も塩基性が強くなるから、このアルカリ性水は飲用に適さなくなる。そこで、強酸性水が得られる条件では制御部は図2のように流路切換弁54を切り換えることにより電極室12Bで生成された強アルカリ性水を吐出管53から吐出させ、また流路切換弁55も切り換えることにより強酸性水を吐出管52を通して排出させる。ここに、強酸性水は汲み置いて使用することが多いからハウジング1の下方に引き出された吐出管52から吐出することにより使いやすくなっている。また、この位置の吐出管52から吐出させることにより誤飲を防止することにもつながる。ここで、吐出管52にはホースなどを用いることにより、飲用ではないことを一層効果的に示すことができる。
【0051】
なお、強酸性水を生成する際に、電極13A,13Bに上述の極性で電圧を印加しているのは、電極室12Aのほうが流量が少ないとともに容積が小さいことによってイオンの濃度を高めることができるからであって、電極室12Bで酸性水を生成する場合に比較するとpHを小さく(つまり酸性度を高める)するのが容易になる。
【0052】
ところで、一般にはpH2.7以下で酸化還元電位が1100mV以上となる酸化性の強い酸性水を強酸化水と呼んでいるが、以下に示す強酸化水は、電解質供給装置40に容器42bを装着し、容器42bに電解質43として塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウムの単体もしくは混合物が供給され、その電解質が溶出された水溶液を電解して生成される酸性水を示すことにする。
【0053】
上記水溶液は電気伝導度が水道水に比べて高く、電極間には大電流が流れるため、通常のアルカリイオン水、酸性イオン水が生成する際に使用される電源回路とは別に、強酸化水生成用に大電流が供給できる電源回路を設ける必要があるが、2種類の電源回路を設けると大きくなってしまうという問題があるので、本実施形態においては、図8に示すように、従来同様のアルカリ用電源回路76と強酸化水用の電源回路77とを同一基板上に設けた。すなわち、スイッチング電源の二次側にアルカリ用の電源回路76と強酸化水用電源回路77を設け、切り替えスイッチ90を構成するリレーr3により各電源回路を切り替えるように構成してある。この結果、小スペース内にアルカリ用と強酸化水用の電源回路が同時に収納できるようになり、コンパクトで使いやすい電解水生成装置を提供することができるようになったものである。
【0054】
次に、強酸化水を生成する際の具体的な電圧の印加の方法を以下に示す。
強酸化水生成時には電解槽10の電極13Aを陽極、電極13Bを陰極とするように所定の電圧(例えば12V)が印加されるが、電解槽10内に上記電解質が溶出した水溶液が滞留している状態で、所定電圧を印加すると、瞬時に30A程度の電流が電極13A、13B間に流れるため、リレーr1、r2の接点容量を超え、接点が溶着してします恐れがある。
【0055】
そこで、本発明においては、通水時に流れる突入電流を防止するため、図19に示すように、通水から一定時間後に所定量の電圧値となるように制御部であるマイコン71により制御するように構成してある。
具体的には図21に示すように、電解槽10内に滞留している水が入れ替わる迄、通水直後の一定時間電圧をゼロとし、通水から一定時間経過すると所定量の電圧値となるように制御する。
【0056】
また、他の例としては、図20に示すように、一定時間経過後に所定量の電圧値に到達するように段階的に電圧値を大きくするように制御する。
また、他の例としては、図22に示すように、電解槽10内の滞留している水が入れ替わるまで通水直後の一定時間電圧をゼロとするように制御し、更に、その後、所定量の電圧値に到達するまで段階的に電圧値を大きくするように制御する。この場合、例えば、電解槽10内の滞留水が入れ替わる時間を6秒とし、その後、電圧12Vに向かって2Vから0.73Vずつ段階的に電圧を上げるものである。
【0057】
図18には電極間の電圧を制御する制御回路が示してある。図18に示すように本発明においては、電極13A、13B間に電圧を印加する回路に電解槽10内の水を排水するための電磁弁よりなる排水弁24を開閉するための回路を並列に設けてある。図中90は上記並列回路にコンデンサ(電解コンデンサ)81aを介して電圧を供給するための電源である電圧の高いアルカリ用の電源回路76と電圧の低い強酸化水用の電源回路77とを切り替える切り替えスイッチである。図18に示す実施形態ではコンデンサ91として2200μFのものを並列に4個使用している。図中92は電磁弁駆動信号が入力された場合に電磁弁よりなる排水弁24を開閉制御するための電磁弁駆動回路である。そして、切り替えスイッチ90が電圧の高いアルカリ用の電源回路76側に切り替えられている状態で電磁弁駆動信号により電磁弁を駆動するように制御するようになっている。また、93はスイッチング素子であり、94はスイッチング素子93を制御するための制御回路である。制御部からの制御信号により制御回路94でスイッチング素子93を制御して目的とする電圧となるように制御するようになっている。
【0058】
上記のように電極13A、13B間に電圧を印加する回路に電解槽10内の水を排水するための電磁弁よりなる排水弁24を開閉するための回路を並列に設け、該並列回路にコンデンサ81aを介して電圧を供給するための電源として電圧の高いアルカリ用の電源回路76と電圧の低い強酸化水用の電源回路77とを切り替えスイッチ90を介して接続したものにおいて、切り替えスイッチ90を電圧の低い強酸化水用の電源回路77側に切り替えて電極13A、13B間に電圧を印加する場合、フィルタ回路81内のコンデンサ81aに充電されている電圧を考慮する必要がある。つまり、切り替えスイッチ90を電圧の低い強酸化水用の電源回路77側に切り替えた場合、高電圧が印加されてリレーr1、r2の接点容量を超える電流が流れることになる。
【0059】
このため、本発明においては、切り替えスイッチ90が電圧の低い強酸化水用の電源回路77側に切り替えられると任意の時間だけ排水弁24を構成する電磁弁側に通電してコンデンサ81aを放電することで電極間に印加される電圧が所定電圧以下となるように制御すると共に、切り替えスイッチ90を電圧の低い強酸化水用の電源回路77側に切り替えて強酸化水を生成するためのモードとして通水を開始してから一定時間後に電極間に所定量の電圧となるように制御部からの制御信号により制御回路94でスイッチング素子93を制御するようになっている。
【0060】
具体的には、切り替えスイッチ90を電圧の低い強酸化水用の電源回路77側に切り替えて強酸化水を生成するためのモードとして通水を開始してから一定時間後に強酸化水生成用の所定電圧を印加する前に、つまり、切り替えスイッチ90を電圧の低い強酸化水用の電源回路77側に切り替えて任意の時間、電磁弁よりなる排水弁24側に通電してコンデンサ81a内に充電されている電圧を放電するものであり、本実施例では放電する時間は35Vから5Vまで低下させるのに要する時定数により計算し、切り替えスイッチ90を電圧の低い強酸化水用の電源回路77側に切り替えてから6秒間とした。この6秒間は電解槽内の滞留水を入れ換える時間と兼ねており、切り替えスイッチ90を電圧の低い強酸化水用の電源回路77側に切り替えてから6秒経過後から段階的に電圧を印加するよう方式を採用している。
【0061】
このように、電解槽10内に電気伝導度の高い水溶液が滞留している状態では、電極13A、13B間に電圧を印加せず、内部の滞留水が入れ替わるまで待機すると共に、コンデンサ81aに充電されている電圧を放電した後、段階的に所定電圧を印加するので、電極13A、13B間に突入電流が流れず、リレーr1、r2の接点が溶着してまうことはなく、安全な電解水生成装置を提供することができるものである。
【0062】
次に強酸化水を所定量生成するための方法につき説明する。
強酸化水は殺菌効果を高めるために、次亜塩素酸の濃度を20〜30ppmに設定するのが望ましいのであるが、次亜塩素酸が多く含まれた強酸化水はやがて塩素ガスを発生し、大量の塩素ガスは健康上好ましくない。よって、塩素ガスの発生量を健康に影響しないように制限する必要がある。そこで本発明においては、制御部を構成するマイコン71が強酸化水であることを認識すると所定量生成するように制御を行うように構成している。
【0063】
具体的には、図12、図13に示すように、マイコン71は後述する強酸化水の認識手段により強酸化水の認識を行うと、流量センサー23からの出力値から本体内に流入した流量をマイコン71内のカウンター71cにてカウントし、所定量生成の判定を開始する。本実施形態においては、強酸化水の認識後、本体内に流入する流量が5リットルになると、所定量生成されたと判定するようになっている。
【0064】
次に、強酸化水を認識する手段につき説明する。
強酸化水生成時には電解槽10の電極10Aを陽極、電極13Bを陰極とするように電圧が印加されるが、この時、電極13Aと電極13Bとの間に流れる電流を、図8に示すスイッチング電源回路ブロック内にある電流検出用低抵抗部78(一般にシャント抵抗と呼ばれるもの)の端子電圧からマイコン71が換算し、この電流値が所定値になることにより強酸化水を認識するように構成してある。図13のフローチャートに示す実施形態においては、電極13A、電極13B間に電圧12Vを印加した際に流れる電流値が6Aを超えると、添加した無機塩素化合物が確実に溶出された状態にあると判断して、強酸化水を認識するように構成している。
【0065】
また、図3に示す流出口から流出する電解質の水質を連続的に測定する水質測定装置30を設け、水質測定装置30からの検出値(pH値又は/及び酸化還元電位)が所定値になったかどうかをマイコン71が判定し、検出値が所定値になった場合、その水質が強酸化水であると認識するように構成してある。そして、図13のフローチャートに示す実施形態においては、水質測定装置からその水質のpH値が検出され、pHが2.7以下になると、強酸化水を認識するように構成してある。
【0066】
上記のように、強酸化水を認識する手段としては、電極13Aと電極13B間に流れる電流値が所定値になることにより強酸化水を認識する手段と、水質測定装置からの検出値が所定値になることにより強酸化水を認識する手段との2つの手段がある。そして、図13のフローチャートに示す実施形態では、上記2つの強酸化水を認識する手段を設けてあるが、いずれか一方の認識手段により強酸化水を認識すれば、他方の認識手段が強酸化水でないと認識することを無効とし、その水質は強酸化水であると認識するように構成してある。
【0067】
もちろん、本発明においては、上記2つの強酸化水を認識する手段のうちのいずれか1つのみを設けて強酸化水を認識するようにしてもよいものである。
次に、警告部について説明する。
上記のようにして強酸化水を認識し、該強酸化水の認識後に所定量が流れ、強酸化水が所定量生成されたとマイコン71が判定した時、警告部が作動し、使用者に強酸化水が所定量生成されたことを知らせて、給水の停止を促するようになっている。この警告部は表示部72bとブザー75により構成され、表示部72bに警告を促する表示が表れ、ブザー75を鳴動させることで警告を行うようになっている。図13のフローチャートに示す実施形態では強酸化水の認識後に5リットル流れると、強酸化水が所定量生成されたとマイコン71が判定して警告部を作動するように構成してある。
【0068】
上記のように警告部が作動しても、使用者が給水の停止を行わず、警告部が作動してから更に一定量流れた時にはマイコン71は電極13A、電極13B間に印加する電圧の供給を停止し、強酸化水の生成を停止するように構成してある。図13のフローチャートに示す実施形態では、強酸化水を認識後、本体内に流入する流量が所定量の5リットルになり、その後、更に、0.5リットル通水されると、強酸化水の生成を停止するように構成している。したがって、強酸化水が所定量生成された後、使用者が給水の停止を行わず、そのまま通水動作を継続した場合も、所定量以上の強酸化水が生成されないので、強酸化水生成時における塩素ガスの発生量を抑制することができるのである。
【0069】
また、警告部は、強酸化水が所定量流れるまでに、電流値が所定値より小さくなった時に作動し、強酸化水が生成される限界になり、強酸化水が希薄になることを使用者に知らしめるようにマイコン71の制御により作動されるように構成してある。
また、警告部は、強酸化水が所定量流れるまでに、水質測定装置30からの検出値が所定値を越え、強酸化水でなくなった時に強酸化水が希薄になることを使用者に知らしめるようにマイコン71の制御により作動されるように構成してある。
【0070】
また、警告部は強酸化水を生成するモードで通水を開始してから一度も強酸化水が認識されずに所定量流れた時に作動するようにマイコン71により制御される。警告部は強酸化水を生成するモードで通水を開始してから一度も強酸化水が認識されない場合の原因として、強酸化水を生成するための無機塩素化合物が供給されていない、無機塩素化合物が溶出していない、あるいは、無機塩素化合物以外の電解質が供給されている場合が多く、これらの場合には無機塩素化合物の溶出がなく、強酸化水は生成できない状態であることを警告部が作動して使用者に知らせるのである。
【0071】
なお、本発明において、電解水生成装置に強酸化水を所定量汲み置きできる強酸化水採水用タンク79を同梱し、強酸化水を生成する際にこのタンク79により強酸化水を採水するようにしてもよい。このように強酸化水を所定量汲み置きできる強酸化水採水用タンク79を同梱しておくと、図14に示すように、例えば、台所で使用する場合、強酸化水を上記タンク79に採水して汲み置きすることができて、シンク内に強酸化水が流れ出ることがなく、塩素ガスの発生量を抑えることができことになる。本実施形態では、強酸化水は約1リットル生成できるように制御し、容量1リットルのタンク79を同梱しているが、タンク79の容量、強酸化水の生成量の制御は上記実施形態に限定されるものではない。
【0072】
次に、本発明の他の実施形態を図15、図16に基づいて説明する。本実施形態においては、基本的な構成は前述の図12、図13に示す実施形態と同じであるが、強酸化水を所定量生成するための制御方式及び警告部が異なるので、以下この点を中心に説明する。
マイコン71は強酸化水の認識を行うと、マイコン71内にあるタイマー71bをスタートさせ、強酸化水の所定量生成の判定を開始するように構成してある。そして、上記タイマー71bがスタートして一定時間が経過すると、強酸化水が所定量生成されたと判定するものである。図16のフローチャートに示す実施形態においては、強酸化水の認識後、2分が経過すると、強酸化水が所定量生成されたと判定するようにしている。なお、本実施形態では、図8に示すカウンター71cに変えてマイコン71にタイマ71bを設けるものであり、他の構成は図8と同じである。
【0073】
そして、強酸化水の生成を開始して一定時間経過し、強酸化水が所定量生成されたとマイコン71が判定した時、警告部が作動し、使用者に強酸化水が所定量生成されたことを知らせ、給水の停止を促するようになっている。この警告部は前述の実施形態と同様に表示部72bとブザー75とによって構成してあり、表示部72bに警告を促する表示が表れ、またブザー75を鳴動させることにより警告を行うものである。
【0074】
前記警告部が作動しても、使用者が給水の停止を行わず、警告部が作動してから更に一定時間が経過した時には、マイコン71が電極13A、電極13B間に印加する電圧の供給を停止し、強酸化水の生成を停止するように構成してある。図16のフローチャートに示す実施形態においては、強酸化水を認識後、2分が経過し、その後更に15秒が経過すると、強酸化水の生成を停止するように構成してある。したがって、強酸化水が所定量生成された後、使用者が給水の停止を行わず、そのまま通水動作を続行した場合も、所定量以上の強酸化水が生成できないので、強酸化水生成時における塩素ガスの発生量を抑制することができるものである。
【0075】
また、警告部は強酸化水を認識して一定時間経過するまでに、電流値が所定より小さくなった時にマイコン71による制御で作動するように構成してあり、これにより、強酸化水が生成される限界になり、強酸化水が希薄になったことを知らせるようになっている。
そして、警告部は強酸化水を認識して一定時間経過するまでに、水質測定装置30からの検出値が所定値を越え、強酸化水でなくなった時にマイコン71による制御で作動するように構成してあり、これにより、強酸化水が生成される限界になり、強酸化水が希薄になったことを知らせるようになっている。
【0076】
また、警告部は強酸化水が認識されない状態が一定時間続いた時にマイコン71の制御により作動するように設定してあり、これにより、強酸化水を生成するための電解質の溶出がなく、強酸化水は生成できない状態であることを使用者に知らせるようになっている。
次に、図17に基づいて本発明の更に他の実施形態につき説明する。本実施形態においては、前記した図12、図13に示す実施形態、図15、図16に示す実施形態にそれぞれ下記の内容を追加する構成となっている。すなわち、強酸化水生成時の水圧が高いと、電解槽10の電解効率が低下し、電極13A、電極13B間に流れる電流値が所定値であっても、pH2.7程度の強酸化水が生成されていない場合がある。そこで、制御部は、水圧が所定範囲にあるときは、その水質を強酸化水と認識することを有効とし、水圧が所定範囲外にある時は、その水質を強酸化水と認識することを無効とする判定を行うように構成してある。このことにより、電極13A、電極13B間に流れる電流値が所定値になっても、水圧が所定範囲外にある時の酸性水を強酸化水と認識せず、水圧が強酸化水を生成するために必要な所定範囲になってからの酸性水を強酸化水と認識することで、確実に電気分解された強酸化水を所定量生成することができるのである。
【0077】
ここでいう水圧は流量センサー23の出力値をマイコン71が流速として読み取ったものとする。
以上のように強酸化水を所定量確実に生成できるようにし、所定量以上の強酸化水が生成できないようにしたので、2.5m3 程度の狭い場所で使用した場合でも、周囲空気中の塩素ガス濃度が1ppm程度に抑えることができるものであり、労働安全衛生法による塩素ガス濃度の許容値である1ppmを2.5m3 程度の狭い空間でも達成できることになる。
【0078】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の発明は、上記のように、電解隔膜を介して形成した一対の電極室にそれぞれ水を流入させ各電極室に設けた電極間に電圧を印加して水を電解することにより、一方の電極室においてアルカリ性水を生成するとともに他方の電極室において酸性水を生成し、アルカリ性水と酸性水との電解水を各電極室にそれぞれ設けた流出口から各別に流出させるように構成し、前記酸性水を次亜塩素酸が多く含まれた強酸化水とするべく、各電極室に流入する少なくとも一方の水に無機塩素化合物を添加する電解質供給装置を備えた電解水生成装置であるから、アルカリイオン整水器と強酸化水生成装置との両機能を併せ持たせた電解水生成装置を提供できるのみならず、無機塩素化合物を添加し、強酸化水を生成するためのモードで通水を行ったとき、通水開始から一定時間後に所定量の電圧値となるように制御する制御部であって、電極間に電圧を印加する回路に電解槽内の水を排水するための電磁弁よりなる排水弁を開閉するための回路を並列に設け、該並列回路にコンデンサを介して電圧を供給するための電源として電圧の高いアルカリ用の電源回路と電圧の低い強酸化水用の電源回路とを切り替えスイッチを介して接続し、切り替えスイッチが電圧の高いアルカリ用の電源回路側に切り替えられている状態で電磁弁駆動信号により電磁弁を駆動するように制御され、且つ、切り替えスイッチが電圧の低い強酸化水用の電源回路側に切り替えられると任意の時間だけ電磁弁側に通電してコンデンサを放電することで電極間に印加される電圧が所定電圧以下となるように制御すると共に、切り替えスイッチを電圧の低い強酸化水用の電源回路側に切り替えて強酸化水を生成するためのモードとして通水を開始してから一定時間後に電極間に印加された電圧が所定量の電圧となるように制御する制御部を設けたので、強酸化水の生成モードで通水をしてコンデンサに充電された電圧の印加によって直ぐに所定量の電圧を印加しないことになり、この結果、通水開始時に流れる突入電流を防止することができるものである。
【0079】
また、請求項2記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、通水開始から一定時間後に所定量の電圧値に制御するに当たり、一定時間後に所定量の電圧値に到達するまで段階的に電圧値を大きくするように制御する制御部を設けてあるので、簡単な制御で確実に、通水開始時に流れる突入電流を防止することができるものである。
【0080】
また、請求項3記載の発明にあっては、上記請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、通水開始から一定時間後に所定量の電圧値に制御するに当たり、前記一定時間の内、通水直後の一定時間を電圧ゼロとするように制御する制御部を設けてあるので、電解槽内に滞留している水が入れ替わるまで電圧を印加しないようにでき、この結果、通水開始時に流れる突入電流を確実に防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す構成図である。
【図2】同上を示す構成図である。
【図3】(a)(b)は同上に用いる水質測定装置の縦断面図である。
【図4】(a)(b)は同上に用いる電解質供給装置の断面図である。
【図5】(a)(b)は同上に用いる電解質供給装置の容器を示す断面図である。
【図6】同上に用いる近接スイッチを示すブロック図である。
【図7】(a)は同上に用いる制御部の概略ブロック図であり、(b)は操作表示部の正面図である。
【図8】同上に用いる制御部のブロック図である。
【図9】同上の動作説明図である。
【図10】同上の動作説明図である。
【図11】同上の動作説明図である。
【図12】同上に用いる制御部の概略ブロック図である。
【図13】同上に用いる制御部のフローチャートである。
【図14】同上の使用例を示す斜視図である。
【図15】本発明の他の実施形態に用いる制御部の概略ブロック図である。
【図16】同上に用いる制御部のフローチャートである。
【図17】本発明の更に他の実施形態に用いる制御部のフローチャートである。
【図18】本発明の電極間の電圧を制御する制御回路図である。
【図19】同上の強酸化水生成モード時における印加電圧のタイムチャートである。
【図20】同上の強酸化水生成モード時における印加電圧の実施形態のタイムチャートである。
【図21】同上の強酸化水生成モード時における印加電圧の他の実施形態のタイムチャートである。
【図22】同上の強酸化水生成モード時における印加電圧の更に他の実施形態のタイムチャートである。
【図23】従来例を示す概略構成図である。
【図24】他の従来例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10 電解槽
11 電解隔膜
12A、12B 電極室
13A、13B 電極
14A、14B 流入口
15A、15B 流出口
24 排水弁
30 水質測定装置
40 電解質供給装置
43 電解質
71 マイコン
76 アルカリ用の電源回路
77 強酸化水用電源回路
Claims (3)
- 電解隔膜を介して形成した一対の電極室にそれぞれ水を流入させ各電極室に設けた電極間に電圧を印加して水を電解することにより、一方の電極室においてアルカリ性水を生成するとともに他方の電極室において酸性水を生成し、アルカリ性水と酸性水との電解水を各電極室にそれぞれ設けた流出口から各別に流出させるように構成し、前記酸性水を次亜塩素酸が多く含まれた強酸化水とするべく、各電極室に流入する少なくとも一方の水に無機塩素化合物を添加する電解質供給装置を備えた電解水生成装置であって、無機塩素化合物を添加し、強酸化水を生成するためのモードで通水を行ったとき、通水開始から一定時間後に所定量の電圧値となるように制御する制御部を設けたものにおいて、電極間に電圧を印加する回路に電解槽内の水を排水するための電磁弁よりなる排水弁を開閉するための回路を並列に設け、該並列回路にコンデンサを介して電圧を供給するための電源として電圧の高いアルカリ用の電源回路と電圧の低い強酸化水用の電源回路とを切り替えスイッチを介して接続し、切り替えスイッチが電圧の高いアルカリ用の電源回路側に切り替えられている状態で電磁弁駆動信号により電磁弁を駆動するように制御され、且つ、切り替えスイッチが電圧の低い強酸化水用の電源回路側に切り替えられると任意の時間だけ電磁弁側に通電してコンデンサを放電することで電極間に印加される電圧が所定電圧以下となるように制御すると共に、切り替えスイッチを電圧の低い強酸化水用の電源回路側に切り替えて強酸化水を生成するためのモードとして通水を開始してから一定時間後に電極間に印加された電圧が所定量の電圧となるように制御する制御部を設けて成ることを特徴とする電解水生成装置。
- 通水開始から一定時間後に所定量の電圧値に制御するに当たり、一定時間後に所定量の電圧値に到達するまで段階的に電圧値を大きくするように制御する制御部を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の電解水生成装置。
- 通水開始から一定時間後に所定量の電圧値に制御するに当たり、前記一定時間の内、通水直後の一定時間を電圧ゼロとするように制御する制御部を設けて成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電解水生成装置。
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