JP3620144B2 - 有軌道台車の走行制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有軌道台車の走行制御装置に係り、詳しくは有軌道台車の後進時における制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図9に示すように、例えば予め定められた軌道Vに沿って走行する複数の有軌道台車(有軌道台車M1,M2のみ図示)によって荷を搬送する搬送システムが提案されている。この軌道Vは有軌道台車M1,M2を直線走行させる直線区間51とカーブ走行させるカーブ区間52とからなる。このカーブ区間52の開始位置にはカーブ開始を判定するためのドグ53が設けられている。又、カーブ区間52全体に渡って磁気テープが敷設されている。この場合、有軌道台車M1,M2は、軌道Vに沿って矢印A2方向に前進することによって荷の搬送作業を行うようになっている。
【0003】
又、各有軌道台車M1,M2には前記ドグ53を検出するドグセンサ及び磁気テープを検出する磁気センサが設けられ、各有軌道台車M1,M2に設けられたコントローラはドグセンサからの検出信号に基づいてカーブ区間52の開始を判断するとともに、ドグセンサ及び磁気センサからの検出信号に基づいてカーブ区間52を判断するようになっている。
【0004】
更に、各有軌道台車M1,M2は自己の車両の走行位置を検出するためのエンコーダを備え、各有軌道台車M1,M2のコントローラはそれぞれ自己の車両の走行位置を示す基準位置からの走行パルス数Pを軌道Vに沿って配設された通信トロリー線にそれぞれ出力するようになっている。走行パルス数Pは自己の車両の前端部での走行位置を示すパルス数である。
【0005】
各有軌道台車M1,M2のコントローラは自己の車両の走行パルス数Pに基づいて後続車両を停止させるための基準となる停止基準パルス数Sを演算し、前記通信トロリー線上に出力するようになっている。
【0006】
この停止基準パルス数Sは、直線区間用の停止基準パルス数(直線基準パルス数)Sxと、カーブ区間用の停止基準パルス数(カーブ基準パルス数)Syとがあり、各有軌道台車M1,M2のコントローラは、自己の車両の直線区間51の走行時に直線基準パルス数Sxを出力し、自己の車両のカーブ区間52の走行時にカーブ基準パルス数Syを出力する。
【0007】
直線基準パルス数Sxは自己の車両の後端部の位置を示すパルス数であり、カーブ基準パルス数Syは自己の車両の後端部の位置よりも所定のパルス数(補正パルス数)Hだけ後方の位置を示すパルス数である。
【0008】
各有軌道台車M1,M2のコントローラは、通信トロリー線上に出力された他車両の走行パルス数Pを受信し、受信した走行パルス数Pに基づいて各有軌道台車M1,M2等の走行順序を判断するとともに、直前を走行する車両から出力された停止基準パルス数Sに基づいて自己の車両を直前の車両に対して停止させる停止位置を示す停止パルス数Tを演算するようになっている。
【0009】
例えば有軌道台車M2のコントローラは、有軌道台車M1を直前を走行する車両であると判断して、有軌道台車M1に対して停止するための停止パルス数Tを演算する。この場合、各有軌道台車M2のコントローラは、停止パルス数Tとして停止基準パルス数Sが示す位置よりもパルス数Dだけ後方の位置を示すパルス数を演算し、その停止パルス数Tが示す位置に有軌道台車M2を停止させる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば有軌道台車M1が非常停止したため、当該有軌道台車M1を所定位置まで後進させる場合において、有軌道台車M1がカーブ終了位置側からカーブ区間52に進入しても、カーブ区間52の開始を示す部材が無いので、カーブ区間52を判別できない。このため、有軌道台車M1のコントローラは、実際にはカーブ区間52を走行しているにも関わらず、直線基準パルス数Sxを出力する。
【0011】
従って、例えば有軌道台車M1がカーブ区間52の図9の仮想線に示す位置に後進にて停止し、カーブ区間52に前進中の後続車両である有軌道台車M2が進入し、有軌道台車M1の後方の直線基準パルス数Sxに基づく停止位置に停止する場合、有軌道台車M1との車間距離を十分確保することができず、有軌道台車M1に後続車両である有軌道台車M2が衝突してしまうという問題がある。
【0012】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、有軌道台車の後進による停止時に、確実に後続車両の衝突を防止することができる有軌道台車の走行制御装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1記載の発明は、直線区間とカーブ区間とを有する軌道と、前記軌道に沿って走行する複数の有軌道台車と、前記各有軌道台車間での通信を可能とする通信手段と、前記カーブ区間の開始位置に設けられたカーブ開始指示手段と、前記有軌道台車に設けられ、前記カーブ開始指示手段を検出するカーブ開始検出手段と、前記有軌道台車に設けられ、カーブ開始検出手段からの検出信号に基づいてカーブ区間を判別するカーブ区間判別手段と、前記有軌道台車に設けられ、自己の車両の走行量を検出する走行量検出手段と、前記有軌道台車に設けられ、前記走行量検出手段からの検出信号に基づいて自己の車両の走行位置を判別する走行位置判別手段と、前記有軌道台車に設けられ、自己の車両の走行位置に基づいて後続車両を停止させる基準となる停止基準走行量を演算し、その停止基準走行量を示す信号を通信手段に出力する停止基準走行量演算手段とを備えた有軌道台車の走行制御装置において、前記停止基準走行量演算手段は、停止基準走行量として前進時の直線走行時には直線基準走行量を演算し、カーブ走行時には前記直線基準走行量よりも後方の位置を示すカーブ基準走行量を演算するとともに、後進時には前記直線基準走行量よりも後方の位置を示す後進基準走行量を演算することをその要旨とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記停止基準走行量演算手段は、後進基準走行量としてカーブ基準走行量を演算することをその要旨とする。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記停止基準走行量演算手段は、カーブ基準走行量として、左カーブ用の左カーブ基準走行量及び右カーブ用の右カーブ基準走行量を演算し、左右カーブ基準走行量のうち、より後方の位置を示すカーブ基準走行量を後進基準走行量として演算することをその要旨とする。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載の発明において、前記走行位置は、有軌道台車の前端部の位置であることをその要旨とする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記停止基準走行量演算手段は、後続車両から出力された停止基準走行量に車両の全長に相当する走行量を加えた量と、自己の車両の停止基準走行量であるカーブ基準走行量とを比較し、自己の車両の停止基準走行量の方が後方に位置する値である場合には、自己の車両の停止基準走行量を後続車両の走行位置を示す走行量に所定値を加えた値に変更することをその要旨とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記停止基準走行量演算手段は、後進によって有軌道台車がステーションに停止した時には、演算する停止基準走行量を後進基準走行量から直線基準走行量に変更することをその要旨とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6記載の発明において、前記通信手段は、軌道に沿って配設された通信トロリー線からなることをその要旨とする。
従って、請求項1記載の発明によれば、複数の有軌道台車が軌道に沿って走行することによって荷を搬送する。この軌道は直線区間とカーブ区間とからなり、カーブ区間の開始位置にはカーブ開始指示部材が設けられている。
【0019】
有軌道台車の走行時において、有軌道台車のカーブ開始検出手段はカーブ開始指示部材を検出し、カーブ区間判別手段はカーブ開始検出手段からの検出信号に基づいてカーブ区間を判別する。走行量検出手段は自己の車両の走行量を検出し、走行位置判別手段は走行量検出手段からの検出信号に基づいて自己の車両の走行位置を判別する。停止基準走行量演算手段は自己の車両の走行位置に基づいて後続車両を停止させる基準となる停止基準走行量を演算し、その停止基準走行量を示す信号を通信手段に出力する。この場合、停止基準走行量演算手段は、停止基準走行量として前進時の直線走行時には停止基準走行量として直線基準走行量を演算し、カーブ走行時には前記直線基準走行量よりも後方の位置を示すカーブ基準走行量を演算するとともに、後進時には前記直線基準走行量よりも後方の位置を示す後進基準走行量を演算する。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、前記停止基準走行量演算手段は、後進基準走行量としてカーブ基準走行量を演算する。
請求項3記載の発明によれば、前記停止基準走行量演算手段は、カーブ基準走行量として、左カーブ用の左カーブ基準走行量及び右カーブ用の右カーブ基準走行量を演算し、左右カーブ基準走行量のうち、いずれか大きい値のカーブ基準走行量を後進基準走行量として演算する。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、前記走行位置は有軌道台車の前端部の位置である。
請求項5記載の発明によれば、前記停止基準走行量演算手段は、前記停止基準走行量演算手段は、後続車両から出力された停止基準走行量に車両の全長に相当する走行量を加えた量と、自己の車両の停止基準走行量であるカーブ基準走行量とを比較し、自己の車両の停止基準走行量の方が後方を示す値である場合には、自己の車両の停止基準走行量を後続車両の走行位置を示す走行量に所定値を加えた値に変更する。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、前記停止基準走行量演算手段は、後進によって有軌道台車がステーションに停止した時には、演算する停止基準走行量を後進基準走行量から直線基準走行量に変更する。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、前記通信手段は、軌道に沿って配設された通信トロリー線からなる。従って、通信トロリー線を介して確実に各有軌道台車間で通信を行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図8に従って説明する。
図1は、組立工場内において、有軌道台車を使用して各種部品等の荷を搬送する搬送システムを示し、図2は、その有軌道台車を示している。
【0025】
この搬送システム1には、複数の有軌道台車M1〜M3が設けられ、各有軌道台車M1〜M3は走行レール2によって形成された軌道V上を矢印A1方向に無人で走行するようになっている。この軌道Vは閉ループを形成するとともに、有軌道台車M1〜M3が直線走行をする直線区間3とカーブするカーブ区間4とからなる。カーブ区間4は、進行方向に向かって左方へカーブする左カーブ区間4aと右方へカーブする右カーブ区間4bとからなる。
【0026】
前記軌道Vには有軌道台車M1〜M3の走行の基準となる走行原点であるホームポジションHPが設けられている。又、軌道Vには荷の受け渡しを行う停止位置としての第1〜第4ステーションST1〜ST4が設けられ、当該ステーションST1〜ST4にて有軌道台車M1〜M3は搬送すべき荷の受け渡し作業を行うようになっている。
【0027】
第1ステーションST1には有軌道台車M1〜M3を制御する地上制御盤5が設けられている。地上制御盤5は有軌道台車M1〜M3にR,S,Tの各相の三相電源(200V)を供給するための電源装置6が接続されている。又、地上制御盤5には、有軌道台車M1〜M3を制御する地上側コントローラ7及び有軌道台車M1〜M3の走行状態をモニタ可能な表示装置8が設けられている。
【0028】
図1,図3に示すように、走行レール2には前記ホームポジションHP及び各ステーションST1〜ST4と対応する位置にそれぞれ2個一組のドグ9aが取り付けられている。この場合、ホームポジションHP及び各ステーションST1〜ST4に取り付けられた各2個のドグ9aの間隔は、それぞれ異なっており、これら2個のドグ9a間の間隔の違いによって、ホームポジションHP及び各ステーションST1〜ST4が特定される。
【0029】
更に、走行レール2には、各カーブ区間4の開始位置にドグ9bが設けられている。この場合、右カーブ区間4aの開始と左カーブ区間4bの開始との区別は、ドグ9bの間隔の違いによって区別される。
【0030】
又、走行レール2の各カーブ区間4には磁気テープ10が取り付けられている。本実施の形態において、磁気テープ10は例えば有軌道台車M1〜M3を減速させる区間を示すための部材であって、各ステーションST1〜ST4の前方の所定区間等にも取り付けられている。
【0031】
更に、走行レール2には各種のトロリー線Lが配設され、図4に示すように、有軌道台車M1〜M3側と、地上制御盤5との間の電源の供給及び通信は当該トロリー線Lを介して行われる。即ち、このトロリー線LはR,S,Tの各相の電源をそれぞれ供給する3本からなる給電トロリー線L1と1本の通信トロリー線L2とから構成されている。
【0032】
各有軌道台車M1〜M3には、図4に示す走行モータ19が設けられ、給電トロリー線L1を介して地上制御盤5から当該走行モータ19に電源が供給される。そして、走行モータ19にて駆動される駆動輪19aが走行レール2上を転動することにより、各有軌道台車M1〜M3は走行レール2上を走行するようになっている。
【0033】
各有軌道台車M1〜M3は移載部11を備え、当該移載部11上に荷を載置した状態で走行することにより荷を搬送し、各ステーションST1〜ST4にて移載部11上に載置された荷の受け渡し作業を行うようになっている。この移載部11は各有軌道台車M1〜M3に内蔵された図4に示す移載モータ20により駆動される。
【0034】
各有軌道台車M1〜M3には、走行レール2の内側面2aを転動する走行輪としての計測輪12が設けられるとともに、当該計測輪12の回転角度、即ち、走行量を検出する検出手段としてのエンコーダ13が設けられている。
【0035】
又、有軌道台車M1〜M3には、前記ドグ9a,9bを検出するフォトインタラプタ等よりなるドグセンサ14a,14bと前記磁気テープ10を検出する磁気センサ15とが設けられている。そして、各有軌道台車M1〜M3はカーブ区間4の開始位置の通過をドグ9bの検出に基づいて判断したとき、走行速度を減速するようになっている。
【0036】
更に、各有軌道台車M1〜M3には図4に示す、カーブ区間判別手段、走行位置判別手段及び停止基準走行量演算手段としてのコントローラ16が設けられ、コントローラ16は地上制御盤5の地上側コントローラ7と通信トロリー線L2を介して通信するとともに、有軌道台車M1〜M3の運行等を制御するようになっている。
【0037】
次に、上記のように構成した有軌道台車M1〜M3の電気的構成について図4に従って説明する。
まず、地上制御盤5について説明する。
【0038】
地上制御盤5には、前記電源装置6に接続された電源回路17が設けられている。この電源回路17は給電トロリー線L1に接続されている。
又、地上制御盤5には、地上側コントローラ7が設けられ、地上側コントローラ7は通信トロリー線L2に接続されている。更に、地上側コントローラ7には前記表示装置8が接続され、通信トロリー線L2を介して通信される有軌道台車M1〜M3からのデータに基づいて当該有軌道台車M1〜M3の走行状態をモニタするようになっている。
【0039】
又、地上側コントローラ7は、有軌道台車M1〜M3に荷の搬送を行わせるための搬送指示データを通信トロリー線L2に出力するようになっている。搬送指示データは、搬送作業を行わせる有軌道台車(車両)M1〜M3を示す車両データ、有軌道台車M1〜M3が荷を受け取る搬送元のステーションを示す搬送元データ及び有軌道台車M1〜M3が荷を受け渡す搬送先のステーションを示す搬送先データ等からなる。
【0040】
続いて、有軌道台車M1〜M3側の電気的構成について説明する。
各有軌道台車M1〜M3に設けられたインバータ18は図示しない集電子を介して給電トロリー線L1に電気的に接続され、地上制御盤5からの各相の電源が給電されるようになっている。更に、インバータ18には、走行モータ19及び移載モータ20が接続され、当該インバータ18は地上制御盤5からの電源を制御して両モータ19,20を駆動する。
【0041】
又、前記R相及びS相には、走行モータ19に制動をかける電磁ブレーキBが接続されている。この電磁ブレーキBに電源を供給する配線にはコントローラ16からの指令に基づいて開閉されるスイッチBsが設けられている。このスイッチBsが閉じている時には、電磁ブレーキBは開放された状態であって、走行モータ19に制動をかけない状態となっている。又、スイッチBsが開かれると、電磁ブレーキBは走行モータ19の車軸に対して制動をかけ、走行モータ19の回転を強制的に停止させ、有軌道台車M1〜M3を停止させる。
【0042】
又、有軌道台車M1〜M3に設けられたコントローラ16は図示しない集電子及び通信トロリー線L2を介して地上側コントローラ7と通信可能に設けられている。コントローラ16はインバータ18と接続され、走行モータ19及び移載モータ20の駆動を制御するようになっている。又、コントローラ16にはメモリ21が設けられている。
【0043】
更に、コントローラ16には、ドグセンサ14a,14b、磁気センサ15及びエンコーダ13が接続されている。ドグセンサ14aはドグ9aを検出し、ステーション検出信号をコントローラ16に出力する。ドグセンサ14bはドグ9bを検出し、カーブ検出信号をコントローラ16に出力する。磁気センサ15は磁気テープ9の磁気を検出し、磁気検出信号を出力する。エンコーダ13は計測輪12の回転角度を検出し、所定の回転角度毎にパルス信号をコントローラ16に出力する。
【0044】
コントローラ16はドグセンサ14aからの検出信号に基づいて各ステーションST1〜ST4の位置を判別するようになっている。
コントローラ16はドグセンサ14bからの検出信号に基づいてカーブ区間4の開始を判別するようになっている。
【0045】
コントローラ16は、磁気センサ15からの磁気検出信号に基づいて自己の車両が減速区間にあると判断して、自己の車両を減速走行させるようになっている。
【0046】
更に、コントローラ16は、ドグセンサ14bからのカーブ区間4の開始を示す検出信号及び磁気センサ15からの磁気検出信号に基づいて自己の車両がカーブ区間4にあるか否かを判断するようになっている。即ち、コントローラ16は、ドグセンサ14bからカーブ区間4の開始を示す検出信号が出力された直後に(又は出力されるとともに)、磁気検出信号の出力が開始された時、その磁気検出信号はカーブ区間4に設けられた磁気テープ10を検出した時の磁気検出信号であると判断し、その磁気検出信号が出力されている間、自己の車両はカーブ区間4にあると判断する。尚、このカーブ区間4においても、コントローラ16は、自己の車両を減速走行させる。
【0047】
この場合、コントローラ16は、カーブ区間4の開始位置に設置されたドグ9bのドグセンサ14bからの検出信号の間隔、即ち、各ドグ9bの間隔に基づいて左カーブ区間4aか右カーブ区間4bかを判断する。
【0048】
コントローラ16はエンコーダ13からのパルス信号に基づいて自己の車両の走行位置を判断する。この場合、コントローラ16はホームポジションHPを基準として、エンコーダ13からのパルス数を順次カウントし、そのカウントした走行量としてのパルス数(以下、「走行パルス数」という。)Pに基づいて自己の車両の走行位置を判断する。この場合、各有軌道台車M1〜M3における走行パルス数Pを走行パルス数P1〜P3とする。尚、有軌道台車M1〜M3の走行パルス数P1〜P3は、図5に示すように有軌道台車M1〜M3の前端部での位置を示すものとする。又、走行パルス数Pは、ホームポジションHPからのパルス数であるので、有軌道台車M1〜M3は走行パルス数Pの値が大きい程、前方に位置し、その値が小さい程、後方に位置する。
【0049】
コントローラ16は自己の車両の走行位置を示す走行パルス数Pを通信トロリー線L2に出力するようになっている。即ち、有軌道台車M1のコントローラ16は走行パルス数P1を、有軌道台車M2のコントローラ16は走行パルス数P2を、有軌道台車M3のコントローラ16は走行パルス数P3を出力するようになっている。
【0050】
コントローラ16は、通信トロリー線L2に出力された他の車両の走行パルス数Pを受信し、その受信した走行パルス数P及び演算した自己の車両の走行パルス数Pに基づいて軌道Vを走行する有軌道台車M1〜M3の順番を判断するようになっている。即ち、コントローラ16は、自己の車両の直前及び直後を走行する有軌道台車M1〜M3を判断する。
【0051】
コントローラ16は自己の車両の走行パルス数Pに基づいて後続車両を停止させる停止位置の基準となる停止基準走行量としての停止基準パルス数Sを演算し、その停止基準パルス数Sを通信トロリー線L2に出力するようになっている。この停止基準パルス数Sは、直線区間3を走行している時の停止位置の基準となる直線基準パルス数Sxとカーブ区間4を走行している時の停止位置の基準となるカーブ基準パルス数Syとからなる。カーブ基準パルス数Syは、左カーブ基準パルス数SyLと右カーブ基準パルス数SyRとからなる。
【0052】
即ち、コントローラ16は、自己の車両が直線区間3を走行している時には、自己の車両の走行パルス数Pに基づいて直線基準パルス数Sxを演算し、自己の車両がカーブ区間4を走行している時には、自己の車両の走行パルス数Pに基づいてカーブ基準走行量としてのカーブ基準パルス数Syを演算するようになっている。
【0053】
コントローラ16は、次式(1)に従って、直線基準パルス数Sxを演算するようになっている。
Sx=P−L …(1)
(尚、Lは有軌道台車M1〜M3の全長を示す全長パルス数である。)
つまり、直線基準パルス数Sxは、車両の後端部における位置を示す。
【0054】
コントローラ16は、次式(2)に従って、左カーブ基準走行量としての左カーブ基準パルス数SyLを演算するようになっている。
SyL=P−L−HL …(2)
(尚、HLは、左カーブ区間4aでの車間距離を補正するための補正パルスである。)
この補正パルス数HLによって、左カーブ基準パルス数SyLは、車両の後端部よりも後方の位置を示すパルス数となる。
【0055】
コントローラ16は、次式(3)に従って、右カーブ基準走行量としての右カーブ基準パルス数SyRを演算するようになっている。
SyR=P−L−HR …(3)
(尚、HRは、右カーブ区間4bでの車間距離を補正するための補正パルス数である。)
この補正パルス数HRによって、右カーブ基準パルス数SyRは、車両の後端部よりも後方の位置を示すパルス数となる。
【0056】
コントローラ16は、直前の車両の停止基準パルス数Sに基づいて、直前の車両に対する停止位置を示す停止パルス数Tを次式(4)に従って演算するようになっている。
【0057】
T=S−D …(4)
(尚、Dは予め定められた通常車間距離を示す車間パルス数である。)
本実施の形態において、各有軌道台車M1〜M3の直線基準パルス数Sx、左カーブ基準パルス数SyL、右カーブ基準パルス数SyR及び停止パルス数Tを、直線基準パルス数Sx1〜Sx3、左カーブ基準パルス数SyL1〜SyL3、右カーブ基準パルス数SyR1〜SyR3及び停止パルス数T1〜T3と記載して区別する。
【0058】
図5に示すように、例えば先行の有軌道台車M1が直線区間3を前進して停止した場合には、後続の有軌道台車M2は先行の有軌道台車M1との車間距離を車間パルス数Dの示す通常車間距離に保持した状態で停止する。
【0059】
図6に示すように、例えば先行の有軌道台車M1が左カーブ区間4aを前進して停止した場合には、後続の有軌道台車M2は先行の有軌道台車M1との車間距離を車間パルス数Dと補正パルス数HLとを加えた左カーブ車間距離に保持した状態で停止する。
【0060】
同様に、例えば先行の有軌道台車M1が右カーブ区間4bを走行して停止した場合には、後続の有軌道台車M2は先行の有軌道台車M1との車間距離を車間パルス数Dと補正パルス数HRとを加えた右カーブ車間距離に保持した状態で停止する。
【0061】
尚、本実施の形態において、エンコーダ13の取付位置の関係から、たとえ同一距離の走行であっても、エンコーダ13は左カーブ区間4aの走行時の方が右カーブ区間4bの走行時よりも多くの走行量を検出する。従って、左カーブ区間4a用の補正パルス数HLの方が、右カーブ区間4b用の補正パルス数HRより大きく設定されている。
【0062】
コントローラ16はエンコーダ13からのパルス信号に基づいて有軌道台車M1〜M3の前進及び後進を判断するようになっている。本実施の形態では、コントローラ16は、エンコーダ13から正のパルス信号が入力されている場合には、有軌道台車Mが前進していると判断し、エンコーダ13から負のパルス信号が入力されている場合には、有軌道台車M1〜M3が後進していると判断する。
【0063】
コントローラ16は、自己の車両が後進していると判断すると、左カーブ基準パルス数SyLを通信トロリー線L2に出力するようになっている。
この場合、コントローラ16は、自己の車両が演算した左カーブ基準パルス数SyLよりも後続車両の出力する停止基準パルス数Sに全長パルス数Lを加えた値の方が小さいか否かを判断する。コントローラ16は、自己の車両が演算した左カーブ基準パルス数SyLの方が小さいと判断した場合には、その左カーブ基準パルス数SyLに代えて、補正基準パルス数SyKを演算し、通信トロリー線L2に出力する。この補正基準パルス数SyKは、後続車両の停止基準パルス数Sに所定のパルス数Kを加えたパルス数である。尚、各有軌道台車M1〜M3の補正基準パルス数SyKを、補正基準パルス数SyK1〜SyK3として区別する。
【0064】
コントローラ16は、ステーションST1〜ST4に停止している時には、前記式(1)に示す直線基準パルス数Sxを出力するようになっている。即ち、例えば図7に示すように、有軌道台車M1のコントローラ16は、自己の車両を後進させて当該自己の車両をステーションST2に停止させた時に、直線基準パルス数Sxを出力する。通常、各ステーションST1〜ST4間の間隔は、車間パルス数Dの示す長さよりも長い。従って、後続車両である有軌道台車M2は直後のステーションST1に停止することができる。即ち、ステーションST1,ST2間の間隔が非常に短く、例えばステーションST1の位置が、ステーションST2に停止した有軌道台車M1の左カーブ基準パルス数SyLから車間パルス数Dを減じた位置よりも前方に位置する場合でも、後続車両である有軌道台車M2をステーションST2に確実に停止させることができる。
【0065】
又、有軌道台車M1〜M3の停止は、ドグ検出センサ14aからの検出信号に基づいてコントローラ16が、停止信号をインバータ18及びスイッチBsに出力することによって行われる。停止信号がインバータ18及びスイッチBsに出力されると、インバータ18はその停止信号に基づいて走行モータ19への電源の供給を中止するとともに、スイッチBsは開いた状態となって、電磁ブレーキBが作動し、有軌道台車M1〜M3を停止(通常停止)させる。
【0066】
更に、コントローラ16は、インバータ18及び電磁ブレーキBに給電トロリー線L1からの電源を供給する図示しない電源装置の電源を遮蔽し、走行モータ19、移載モータ20及び電磁ブレーキBに供給される電源を遮断することによって、有軌道台車M1〜M3を非常停止させる。
【0067】
次に、上記のように構成した有軌道台車の後進時における作用及び効果について図8に示すフローチャートに従って説明する。このフローチャートでは、説明の便宜上、有軌道台車M1のコントローラ16の作用について説明するものとして、有軌道台車M1の後続車両として有軌道台車M2が走行しているものとする。
【0068】
ステップ101にて、コントローラ16は、エンコーダ13からの検出信号に基づいて自己の車両が後進しているか否かを判断する。ステップ101にて後進していると判断した場合には、ステップ102へ移り、コントローラ16は通信トロリー線L2に出力された他車両の走行パルス数P2,P3及び自己の車両の走行パルス数P1に基づいて後続車両を判別する。この場合、コントローラ16は有軌道台車M2を後続車両であると判断する。
【0069】
次に、ステップ103において、コントローラ16は停止基準パルス数Sとして左カーブ基準パルス数SyL1を演算し、通信トロリー線L2に出力する。
ステップ104にて、コントローラ16は自己の車両の左カーブ基準パルス数SyL1と後続の車両である有軌道台車M2の停止基準パルス数S2に全長パルス数Lを加えたパルス数とを比較し、自己の車両の停止基準パルス数SyL1の方が大きい値である場合には、再度、ステップ101からの処理を続行する。
【0070】
又、ステップ104にて、コントローラ16は自己の車両の停止基準パルス数SyL1が小さい値であると判断した場合には、ステップ105へ移り、停止基準パルス数SyL1として補正基準パルス数SyK1を演算し、通信トロリー線L2に出力する。そして、ステップ101からの処理を再度行う。
【0071】
この場合、コントローラ16は次式(5)に従って補正基準パルス数SyK1を演算する。
SyK1=S2+K …(5)
又、ステップ101にて、自己の車両が後進していないと判断した場合には、ステップ106にて、コントローラ16は自己の車両が停止中であるか否かを判断する。停止中でなければ、コントローラ16は自己の車両は前進走行を行っているとして、後進時の制御を終了する。
【0072】
ステップ106にて、コントローラ16は自己の車両が停止していると判断すると、ステップ107にて、ステーションST1〜ST4に停止しているか否かを判断する。ステーションST1〜ST4に停止していると判断した場合には、ステップ108に移り、コントローラ16は現在出力している停止基準パルス数S(左基準パルス数SyL1又は補正基準パルス数SyK1)を、直線基準パルス数Sxに変更する。
【0073】
又、ステップ107にて、自己の車両がステーションST1〜ST4に停止していない場合には、現在出力している停止基準パルス数S(左基準パルス数SyL1又は補正基準パルス数SyK1)の出力を続行する。
【0074】
上記実施の形態によれば、以下(イ)〜(チ)に示す効果を有する。
(イ)コントローラ16は、自己の車両の後進時には停止基準パルス数Sとして自己の車両の後端部より後方位置を示す左カーブ基準パルス数SyLを出力し、後続の車両のコントローラ16はその左カーブ基準パルス数SyLに基づいて停止パルス数Tを演算し、後続の車両はその停止パルス数Tの示す停止位置に停止する。例えば有軌道台車M1が非常停止し、その非常停止を解除すべく有軌道台車M1を後進させることにより所定位置に停止させた場合、後続車両である有軌道台車M2は有軌道台車M1の後端部から、左カーブ基準パルス数SyLから車間パルス数Dを減じたパルス数が示す停止位置に停止する。従って、十分に車間距離を確保した状態で、後続車両である有軌道台車M2を直前の車両である有軌道台車M1に対して停止させることができる。よって、後進によって有軌道台車M1が所定位置に停止した場合において、後続車両である有軌道台車M2の前進による衝突を防止できる。このように、車間距離が十分に確保されているので、たとえ有軌道台車M1がカーブ区間4に停止しても、後続車両である有軌道台車M2が有軌道台車M1に衝突することを防止できる。
【0075】
(ロ)コントローラ16は、自己の車両の後進時には、停止基準パルス数として最も大きな値の左カーブ基準パルスSyLを出力する。従って、コントローラ16は後進時用の停止パルス数を新たに演算する必要が無いので、迅速且つ容易に後進時における停止基準パルス数を出力できる。
【0076】
(ハ)有軌道台車M1〜M3の走行位置を示す走行パルス数P1〜P3は、有軌道台車M1〜M3の前端部の位置を示している。従って、コントローラ16は自己の車両の走行位置Pに基づいて停止基準パルス数S及び停止パルス数Tを容易且つ確実に演算できる。例えば直線時の停止基準パルス数Sであり、車両の後端部の位置を示す直線基準パルス数Sxは、走行パルス数Pに全長パルス数Lを減じることによって容易に演算でき、カーブ基準パルス数Syは、直線基準パルス数Sxに補正パルス数HL,HRを減じることにより容易に演算できる。又、停止パルス数Tは停止基準パルス数Sに車間パルス数Dを減じることにより、容易に演算できる。従って、コントローラ16はこれら停止基準パルス数S及び停止パルス数T等に基づいて容易且つ確実に自己の車両を制御できる。
【0077】
(ニ)コントローラ16は、左右カーブ区間4a,4bに合わせて、左カーブ基準パルス数SyLと右カーブ基準パルス数SyRとを演算するので、より正確に有軌道台車M1〜M3の制御を行うことができる。
【0078】
(ホ)コントローラ16は、自己の車両の後進時において、自己の車両の停止基準パルス数Sが、後続の車両の停止基準パルス数Sに全長パルス数Lを加えた値よりも小である場合には、後続の車両の停止基準パルス数Sよりも大である補正基準パルス数SyKを演算する。従って、後続の車両を自己の車両に衝突しないように停止させることができる。
【0079】
(ヘ)コントローラ16は、後進にて自己の車両をステーションST1〜ST4に停止させた場合には、停止基準パルス数Sとして直線基準パルス数Sxを出力する。従って、ステーションST1〜ST4に停止している時には、たとえ後進による停止であっても、その車両の後端部が停止基準パルス数Sの示す位置となり、その後端部から車間パルス数Dだけ後方へ離れた位置が停止位置となる。従って、ステーションST1,ST2間の間隔が非常に短く、例えばステーションST1の位置が、ステーションST2に停止した有軌道台車M1の左カーブ基準パルス数SyLから車間パルス数Dを減じた位置よりも前方に位置する場合でも、後続車両である有軌道台車M2をステーションST2に確実に停止させることができる。
【0080】
(ト)各有軌道台車M1〜M3のコントローラ16は、走行レール2に沿って配設された通信トロリー線L2を介して互いに通信可能に設けられている。従って、有線である通信トロリー線L2にて各有軌道台車M1〜M3のコントローラ16は、互いに通信するのでより確実に有軌道台車M1〜M3間での通信を行うことができる。
【0081】
(チ)カーブ区間4の開始位置にはドグ9bが設けられ、カーブ区間4全体に渡って磁気テープ10が敷設されている。従って、各有軌道台車M1〜M3のコントローラ16は、容易にドグ9bの検出によってカーブ区間4の開始を認識できるとともに、ドグ9b及び磁気テープ10の検出に基づいて容易にカーブ区間4の走行中であることを判別できる。
【0082】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更して次のように実施することもできる。
(1)上記実施の形態では、通信トロリー線L2によって各有軌道台車M1〜M3間の通信を行ったが、無線にて各有軌道台車M1〜M3間の通信を行えるように構成してもよい。
【0083】
(2)上記実施の形態では、後進時にはコントローラ16は左カーブ基準パルス数SyLを出力した。これを、コントローラ16は左カーブ基準パルス数SyLに代えて後進時専用の基準パルス数を演算し、出力してもよい。
【0084】
(3)上記実施の形態において、カーブ区間4を示す磁気テープ10に代えて、光反射板を取り付け、その光反射板の検出に基づいてカーブ区間4を検出するようにしてもよい。
【0085】
(4)上記実施の形態において、カーブ区間4の開始を指示するカーブ開始指示手段として、ドグ9bに代えて床面上にマーキングを施してもよい。
(5)上記実施の形態において、カーブ開始指示手段としてドグ9bを使用せず、コントローラ16がエンコーダ13からのパルス信号に基づいて各カーブ区間4を判断するように構成してもよい。この場合、コントローラ16は、メモリ21に各カーブ区間4の開始を示す走行パルス数Pをそれぞれ予め記憶させ、コントローラ16は、エンコーダ13からのパルス信号に基づいてカーブ区間4の開始を示す走行パルス数Pをカウントした時、カーブ区間4の開始であると判断する。
【0086】
(6)上記実施の形態において、有軌道台車M1〜M3の長手方向の中心位置を走行位置としてもよい。
(7)上記実施の形態では、エンコーダ13にて有軌道台車M1〜M3の走行位置(走行パルス数)を判別したが、例えば軌道Vに沿って光スケール等を敷設し、その光スケールからの距離の検出に基づいて有軌道台車M1〜M3の走行位置を判別するように構成してもよい。
【0087】
上記実施の形態から把握される技術思想の内、請求項以外の技術思想を以下に効果とともに記載する。
(1)請求項1記載の発明において、カーブ開始指示部材はドグであって、カーブ開始検出手段は光検出型のドグセンサである有軌道台車の走行制御装置。この走行制御装置によれば、容易且つ確実にカーブ区間の開始を検出できる。
【0088】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1記載の発明によれば、有軌道台車の後進時には、停止基準走行量演算手段は前進時における直線基準走行量よりも大きな値の後進基準走行量を演算し出力するので、有軌道台車の後進による停止時において確実に後続車両の衝突を防止できる。
【0089】
請求項2記載の発明によれば、有軌道台車の後進時には、停止基準走行量としてカーブ基準走行量を出力するので、例えば後進時専用の停止基準走行量を演算する必要がなく、容易に停止基準走行量を演算できる。
【0090】
請求項3記載の発明によれば、各左右カーブ区間に対応して、カーブ基準走行量として左カーブ基準走行量及び右カーブ基準走行量を演算し、いずれか大きい値のカーブ基準走行量を後進基準走行量としているので、より確実に後続車両の衝突を防止できる。
【0091】
請求項4記載の発明によれば、有軌道台車の走行位置は前端部の位置であるので、より容易に停止基準走行量を演算できる。
請求項5記載の発明によれば、停止基準走行量演算手段は、自己の車両の停止基準走行量が後続の車両の停止基準走行量に車両の全長を加えた値よりも小である場合には、後続の車両の停止基準走行量よりも大である補正基準走行量を演算し出力するので、より確実に後続の車両の衝突を防止できる。
【0092】
請求項6記載の発明によれば、たとえ有軌道台車が後進にてステーションに停止しても、後続車両は例えば直後に位置するステーション等の所定位置に停止できる。
【0093】
請求項7記載の発明によれば、通信トロリー線を使用することによって、より確実に各有軌道台車間での通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有軌道台車を使用した搬送システムを示す概略構成図。
【図2】有軌道台車を示す斜視図。
【図3】有軌道台車の走行レールを示す断面図。
【図4】有軌道台車を制御するためのの電気的構成を示す電気ブロック図。
【図5】有軌道台車の作用を示す説明図。
【図6】有軌道台車の作用を示す説明図。
【図7】有軌道台車の作用を示す説明図。
【図8】有軌道台車の作用を示すフローチャート。
【図9】従来例の有軌道台車における作用を説明する説明図。
【符号の説明】
1…搬送システム、2…走行レール、3…直線区間、4…カーブ区間、4a…左カーブ区間、4b…右カーブ区間、9b…カーブ開始指示部材としてのドグ、13…走行量検出手段としてのエンコーダ、14b…カーブ開始検出手段としてのドグセンサ、16…カーブ区間判別手段、走行位置判別手段及び停止基準走行量演算手段としてのコントローラ、SyL…後進基準走行量及び左カーブ基準走行量としての左カーブ基準パルス数、SyR…右カーブ基準走行量としての右カーブ基準パルス数、M1〜M3…有軌道台車、L2…通信手段としての通信トロリー線。
【発明の属する技術分野】
本発明は、有軌道台車の走行制御装置に係り、詳しくは有軌道台車の後進時における制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図9に示すように、例えば予め定められた軌道Vに沿って走行する複数の有軌道台車(有軌道台車M1,M2のみ図示)によって荷を搬送する搬送システムが提案されている。この軌道Vは有軌道台車M1,M2を直線走行させる直線区間51とカーブ走行させるカーブ区間52とからなる。このカーブ区間52の開始位置にはカーブ開始を判定するためのドグ53が設けられている。又、カーブ区間52全体に渡って磁気テープが敷設されている。この場合、有軌道台車M1,M2は、軌道Vに沿って矢印A2方向に前進することによって荷の搬送作業を行うようになっている。
【0003】
又、各有軌道台車M1,M2には前記ドグ53を検出するドグセンサ及び磁気テープを検出する磁気センサが設けられ、各有軌道台車M1,M2に設けられたコントローラはドグセンサからの検出信号に基づいてカーブ区間52の開始を判断するとともに、ドグセンサ及び磁気センサからの検出信号に基づいてカーブ区間52を判断するようになっている。
【0004】
更に、各有軌道台車M1,M2は自己の車両の走行位置を検出するためのエンコーダを備え、各有軌道台車M1,M2のコントローラはそれぞれ自己の車両の走行位置を示す基準位置からの走行パルス数Pを軌道Vに沿って配設された通信トロリー線にそれぞれ出力するようになっている。走行パルス数Pは自己の車両の前端部での走行位置を示すパルス数である。
【0005】
各有軌道台車M1,M2のコントローラは自己の車両の走行パルス数Pに基づいて後続車両を停止させるための基準となる停止基準パルス数Sを演算し、前記通信トロリー線上に出力するようになっている。
【0006】
この停止基準パルス数Sは、直線区間用の停止基準パルス数(直線基準パルス数)Sxと、カーブ区間用の停止基準パルス数(カーブ基準パルス数)Syとがあり、各有軌道台車M1,M2のコントローラは、自己の車両の直線区間51の走行時に直線基準パルス数Sxを出力し、自己の車両のカーブ区間52の走行時にカーブ基準パルス数Syを出力する。
【0007】
直線基準パルス数Sxは自己の車両の後端部の位置を示すパルス数であり、カーブ基準パルス数Syは自己の車両の後端部の位置よりも所定のパルス数(補正パルス数)Hだけ後方の位置を示すパルス数である。
【0008】
各有軌道台車M1,M2のコントローラは、通信トロリー線上に出力された他車両の走行パルス数Pを受信し、受信した走行パルス数Pに基づいて各有軌道台車M1,M2等の走行順序を判断するとともに、直前を走行する車両から出力された停止基準パルス数Sに基づいて自己の車両を直前の車両に対して停止させる停止位置を示す停止パルス数Tを演算するようになっている。
【0009】
例えば有軌道台車M2のコントローラは、有軌道台車M1を直前を走行する車両であると判断して、有軌道台車M1に対して停止するための停止パルス数Tを演算する。この場合、各有軌道台車M2のコントローラは、停止パルス数Tとして停止基準パルス数Sが示す位置よりもパルス数Dだけ後方の位置を示すパルス数を演算し、その停止パルス数Tが示す位置に有軌道台車M2を停止させる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば有軌道台車M1が非常停止したため、当該有軌道台車M1を所定位置まで後進させる場合において、有軌道台車M1がカーブ終了位置側からカーブ区間52に進入しても、カーブ区間52の開始を示す部材が無いので、カーブ区間52を判別できない。このため、有軌道台車M1のコントローラは、実際にはカーブ区間52を走行しているにも関わらず、直線基準パルス数Sxを出力する。
【0011】
従って、例えば有軌道台車M1がカーブ区間52の図9の仮想線に示す位置に後進にて停止し、カーブ区間52に前進中の後続車両である有軌道台車M2が進入し、有軌道台車M1の後方の直線基準パルス数Sxに基づく停止位置に停止する場合、有軌道台車M1との車間距離を十分確保することができず、有軌道台車M1に後続車両である有軌道台車M2が衝突してしまうという問題がある。
【0012】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、有軌道台車の後進による停止時に、確実に後続車両の衝突を防止することができる有軌道台車の走行制御装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1記載の発明は、直線区間とカーブ区間とを有する軌道と、前記軌道に沿って走行する複数の有軌道台車と、前記各有軌道台車間での通信を可能とする通信手段と、前記カーブ区間の開始位置に設けられたカーブ開始指示手段と、前記有軌道台車に設けられ、前記カーブ開始指示手段を検出するカーブ開始検出手段と、前記有軌道台車に設けられ、カーブ開始検出手段からの検出信号に基づいてカーブ区間を判別するカーブ区間判別手段と、前記有軌道台車に設けられ、自己の車両の走行量を検出する走行量検出手段と、前記有軌道台車に設けられ、前記走行量検出手段からの検出信号に基づいて自己の車両の走行位置を判別する走行位置判別手段と、前記有軌道台車に設けられ、自己の車両の走行位置に基づいて後続車両を停止させる基準となる停止基準走行量を演算し、その停止基準走行量を示す信号を通信手段に出力する停止基準走行量演算手段とを備えた有軌道台車の走行制御装置において、前記停止基準走行量演算手段は、停止基準走行量として前進時の直線走行時には直線基準走行量を演算し、カーブ走行時には前記直線基準走行量よりも後方の位置を示すカーブ基準走行量を演算するとともに、後進時には前記直線基準走行量よりも後方の位置を示す後進基準走行量を演算することをその要旨とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記停止基準走行量演算手段は、後進基準走行量としてカーブ基準走行量を演算することをその要旨とする。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記停止基準走行量演算手段は、カーブ基準走行量として、左カーブ用の左カーブ基準走行量及び右カーブ用の右カーブ基準走行量を演算し、左右カーブ基準走行量のうち、より後方の位置を示すカーブ基準走行量を後進基準走行量として演算することをその要旨とする。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載の発明において、前記走行位置は、有軌道台車の前端部の位置であることをその要旨とする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記停止基準走行量演算手段は、後続車両から出力された停止基準走行量に車両の全長に相当する走行量を加えた量と、自己の車両の停止基準走行量であるカーブ基準走行量とを比較し、自己の車両の停止基準走行量の方が後方に位置する値である場合には、自己の車両の停止基準走行量を後続車両の走行位置を示す走行量に所定値を加えた値に変更することをその要旨とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記停止基準走行量演算手段は、後進によって有軌道台車がステーションに停止した時には、演算する停止基準走行量を後進基準走行量から直線基準走行量に変更することをその要旨とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6記載の発明において、前記通信手段は、軌道に沿って配設された通信トロリー線からなることをその要旨とする。
従って、請求項1記載の発明によれば、複数の有軌道台車が軌道に沿って走行することによって荷を搬送する。この軌道は直線区間とカーブ区間とからなり、カーブ区間の開始位置にはカーブ開始指示部材が設けられている。
【0019】
有軌道台車の走行時において、有軌道台車のカーブ開始検出手段はカーブ開始指示部材を検出し、カーブ区間判別手段はカーブ開始検出手段からの検出信号に基づいてカーブ区間を判別する。走行量検出手段は自己の車両の走行量を検出し、走行位置判別手段は走行量検出手段からの検出信号に基づいて自己の車両の走行位置を判別する。停止基準走行量演算手段は自己の車両の走行位置に基づいて後続車両を停止させる基準となる停止基準走行量を演算し、その停止基準走行量を示す信号を通信手段に出力する。この場合、停止基準走行量演算手段は、停止基準走行量として前進時の直線走行時には停止基準走行量として直線基準走行量を演算し、カーブ走行時には前記直線基準走行量よりも後方の位置を示すカーブ基準走行量を演算するとともに、後進時には前記直線基準走行量よりも後方の位置を示す後進基準走行量を演算する。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、前記停止基準走行量演算手段は、後進基準走行量としてカーブ基準走行量を演算する。
請求項3記載の発明によれば、前記停止基準走行量演算手段は、カーブ基準走行量として、左カーブ用の左カーブ基準走行量及び右カーブ用の右カーブ基準走行量を演算し、左右カーブ基準走行量のうち、いずれか大きい値のカーブ基準走行量を後進基準走行量として演算する。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、前記走行位置は有軌道台車の前端部の位置である。
請求項5記載の発明によれば、前記停止基準走行量演算手段は、前記停止基準走行量演算手段は、後続車両から出力された停止基準走行量に車両の全長に相当する走行量を加えた量と、自己の車両の停止基準走行量であるカーブ基準走行量とを比較し、自己の車両の停止基準走行量の方が後方を示す値である場合には、自己の車両の停止基準走行量を後続車両の走行位置を示す走行量に所定値を加えた値に変更する。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、前記停止基準走行量演算手段は、後進によって有軌道台車がステーションに停止した時には、演算する停止基準走行量を後進基準走行量から直線基準走行量に変更する。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、前記通信手段は、軌道に沿って配設された通信トロリー線からなる。従って、通信トロリー線を介して確実に各有軌道台車間で通信を行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図8に従って説明する。
図1は、組立工場内において、有軌道台車を使用して各種部品等の荷を搬送する搬送システムを示し、図2は、その有軌道台車を示している。
【0025】
この搬送システム1には、複数の有軌道台車M1〜M3が設けられ、各有軌道台車M1〜M3は走行レール2によって形成された軌道V上を矢印A1方向に無人で走行するようになっている。この軌道Vは閉ループを形成するとともに、有軌道台車M1〜M3が直線走行をする直線区間3とカーブするカーブ区間4とからなる。カーブ区間4は、進行方向に向かって左方へカーブする左カーブ区間4aと右方へカーブする右カーブ区間4bとからなる。
【0026】
前記軌道Vには有軌道台車M1〜M3の走行の基準となる走行原点であるホームポジションHPが設けられている。又、軌道Vには荷の受け渡しを行う停止位置としての第1〜第4ステーションST1〜ST4が設けられ、当該ステーションST1〜ST4にて有軌道台車M1〜M3は搬送すべき荷の受け渡し作業を行うようになっている。
【0027】
第1ステーションST1には有軌道台車M1〜M3を制御する地上制御盤5が設けられている。地上制御盤5は有軌道台車M1〜M3にR,S,Tの各相の三相電源(200V)を供給するための電源装置6が接続されている。又、地上制御盤5には、有軌道台車M1〜M3を制御する地上側コントローラ7及び有軌道台車M1〜M3の走行状態をモニタ可能な表示装置8が設けられている。
【0028】
図1,図3に示すように、走行レール2には前記ホームポジションHP及び各ステーションST1〜ST4と対応する位置にそれぞれ2個一組のドグ9aが取り付けられている。この場合、ホームポジションHP及び各ステーションST1〜ST4に取り付けられた各2個のドグ9aの間隔は、それぞれ異なっており、これら2個のドグ9a間の間隔の違いによって、ホームポジションHP及び各ステーションST1〜ST4が特定される。
【0029】
更に、走行レール2には、各カーブ区間4の開始位置にドグ9bが設けられている。この場合、右カーブ区間4aの開始と左カーブ区間4bの開始との区別は、ドグ9bの間隔の違いによって区別される。
【0030】
又、走行レール2の各カーブ区間4には磁気テープ10が取り付けられている。本実施の形態において、磁気テープ10は例えば有軌道台車M1〜M3を減速させる区間を示すための部材であって、各ステーションST1〜ST4の前方の所定区間等にも取り付けられている。
【0031】
更に、走行レール2には各種のトロリー線Lが配設され、図4に示すように、有軌道台車M1〜M3側と、地上制御盤5との間の電源の供給及び通信は当該トロリー線Lを介して行われる。即ち、このトロリー線LはR,S,Tの各相の電源をそれぞれ供給する3本からなる給電トロリー線L1と1本の通信トロリー線L2とから構成されている。
【0032】
各有軌道台車M1〜M3には、図4に示す走行モータ19が設けられ、給電トロリー線L1を介して地上制御盤5から当該走行モータ19に電源が供給される。そして、走行モータ19にて駆動される駆動輪19aが走行レール2上を転動することにより、各有軌道台車M1〜M3は走行レール2上を走行するようになっている。
【0033】
各有軌道台車M1〜M3は移載部11を備え、当該移載部11上に荷を載置した状態で走行することにより荷を搬送し、各ステーションST1〜ST4にて移載部11上に載置された荷の受け渡し作業を行うようになっている。この移載部11は各有軌道台車M1〜M3に内蔵された図4に示す移載モータ20により駆動される。
【0034】
各有軌道台車M1〜M3には、走行レール2の内側面2aを転動する走行輪としての計測輪12が設けられるとともに、当該計測輪12の回転角度、即ち、走行量を検出する検出手段としてのエンコーダ13が設けられている。
【0035】
又、有軌道台車M1〜M3には、前記ドグ9a,9bを検出するフォトインタラプタ等よりなるドグセンサ14a,14bと前記磁気テープ10を検出する磁気センサ15とが設けられている。そして、各有軌道台車M1〜M3はカーブ区間4の開始位置の通過をドグ9bの検出に基づいて判断したとき、走行速度を減速するようになっている。
【0036】
更に、各有軌道台車M1〜M3には図4に示す、カーブ区間判別手段、走行位置判別手段及び停止基準走行量演算手段としてのコントローラ16が設けられ、コントローラ16は地上制御盤5の地上側コントローラ7と通信トロリー線L2を介して通信するとともに、有軌道台車M1〜M3の運行等を制御するようになっている。
【0037】
次に、上記のように構成した有軌道台車M1〜M3の電気的構成について図4に従って説明する。
まず、地上制御盤5について説明する。
【0038】
地上制御盤5には、前記電源装置6に接続された電源回路17が設けられている。この電源回路17は給電トロリー線L1に接続されている。
又、地上制御盤5には、地上側コントローラ7が設けられ、地上側コントローラ7は通信トロリー線L2に接続されている。更に、地上側コントローラ7には前記表示装置8が接続され、通信トロリー線L2を介して通信される有軌道台車M1〜M3からのデータに基づいて当該有軌道台車M1〜M3の走行状態をモニタするようになっている。
【0039】
又、地上側コントローラ7は、有軌道台車M1〜M3に荷の搬送を行わせるための搬送指示データを通信トロリー線L2に出力するようになっている。搬送指示データは、搬送作業を行わせる有軌道台車(車両)M1〜M3を示す車両データ、有軌道台車M1〜M3が荷を受け取る搬送元のステーションを示す搬送元データ及び有軌道台車M1〜M3が荷を受け渡す搬送先のステーションを示す搬送先データ等からなる。
【0040】
続いて、有軌道台車M1〜M3側の電気的構成について説明する。
各有軌道台車M1〜M3に設けられたインバータ18は図示しない集電子を介して給電トロリー線L1に電気的に接続され、地上制御盤5からの各相の電源が給電されるようになっている。更に、インバータ18には、走行モータ19及び移載モータ20が接続され、当該インバータ18は地上制御盤5からの電源を制御して両モータ19,20を駆動する。
【0041】
又、前記R相及びS相には、走行モータ19に制動をかける電磁ブレーキBが接続されている。この電磁ブレーキBに電源を供給する配線にはコントローラ16からの指令に基づいて開閉されるスイッチBsが設けられている。このスイッチBsが閉じている時には、電磁ブレーキBは開放された状態であって、走行モータ19に制動をかけない状態となっている。又、スイッチBsが開かれると、電磁ブレーキBは走行モータ19の車軸に対して制動をかけ、走行モータ19の回転を強制的に停止させ、有軌道台車M1〜M3を停止させる。
【0042】
又、有軌道台車M1〜M3に設けられたコントローラ16は図示しない集電子及び通信トロリー線L2を介して地上側コントローラ7と通信可能に設けられている。コントローラ16はインバータ18と接続され、走行モータ19及び移載モータ20の駆動を制御するようになっている。又、コントローラ16にはメモリ21が設けられている。
【0043】
更に、コントローラ16には、ドグセンサ14a,14b、磁気センサ15及びエンコーダ13が接続されている。ドグセンサ14aはドグ9aを検出し、ステーション検出信号をコントローラ16に出力する。ドグセンサ14bはドグ9bを検出し、カーブ検出信号をコントローラ16に出力する。磁気センサ15は磁気テープ9の磁気を検出し、磁気検出信号を出力する。エンコーダ13は計測輪12の回転角度を検出し、所定の回転角度毎にパルス信号をコントローラ16に出力する。
【0044】
コントローラ16はドグセンサ14aからの検出信号に基づいて各ステーションST1〜ST4の位置を判別するようになっている。
コントローラ16はドグセンサ14bからの検出信号に基づいてカーブ区間4の開始を判別するようになっている。
【0045】
コントローラ16は、磁気センサ15からの磁気検出信号に基づいて自己の車両が減速区間にあると判断して、自己の車両を減速走行させるようになっている。
【0046】
更に、コントローラ16は、ドグセンサ14bからのカーブ区間4の開始を示す検出信号及び磁気センサ15からの磁気検出信号に基づいて自己の車両がカーブ区間4にあるか否かを判断するようになっている。即ち、コントローラ16は、ドグセンサ14bからカーブ区間4の開始を示す検出信号が出力された直後に(又は出力されるとともに)、磁気検出信号の出力が開始された時、その磁気検出信号はカーブ区間4に設けられた磁気テープ10を検出した時の磁気検出信号であると判断し、その磁気検出信号が出力されている間、自己の車両はカーブ区間4にあると判断する。尚、このカーブ区間4においても、コントローラ16は、自己の車両を減速走行させる。
【0047】
この場合、コントローラ16は、カーブ区間4の開始位置に設置されたドグ9bのドグセンサ14bからの検出信号の間隔、即ち、各ドグ9bの間隔に基づいて左カーブ区間4aか右カーブ区間4bかを判断する。
【0048】
コントローラ16はエンコーダ13からのパルス信号に基づいて自己の車両の走行位置を判断する。この場合、コントローラ16はホームポジションHPを基準として、エンコーダ13からのパルス数を順次カウントし、そのカウントした走行量としてのパルス数(以下、「走行パルス数」という。)Pに基づいて自己の車両の走行位置を判断する。この場合、各有軌道台車M1〜M3における走行パルス数Pを走行パルス数P1〜P3とする。尚、有軌道台車M1〜M3の走行パルス数P1〜P3は、図5に示すように有軌道台車M1〜M3の前端部での位置を示すものとする。又、走行パルス数Pは、ホームポジションHPからのパルス数であるので、有軌道台車M1〜M3は走行パルス数Pの値が大きい程、前方に位置し、その値が小さい程、後方に位置する。
【0049】
コントローラ16は自己の車両の走行位置を示す走行パルス数Pを通信トロリー線L2に出力するようになっている。即ち、有軌道台車M1のコントローラ16は走行パルス数P1を、有軌道台車M2のコントローラ16は走行パルス数P2を、有軌道台車M3のコントローラ16は走行パルス数P3を出力するようになっている。
【0050】
コントローラ16は、通信トロリー線L2に出力された他の車両の走行パルス数Pを受信し、その受信した走行パルス数P及び演算した自己の車両の走行パルス数Pに基づいて軌道Vを走行する有軌道台車M1〜M3の順番を判断するようになっている。即ち、コントローラ16は、自己の車両の直前及び直後を走行する有軌道台車M1〜M3を判断する。
【0051】
コントローラ16は自己の車両の走行パルス数Pに基づいて後続車両を停止させる停止位置の基準となる停止基準走行量としての停止基準パルス数Sを演算し、その停止基準パルス数Sを通信トロリー線L2に出力するようになっている。この停止基準パルス数Sは、直線区間3を走行している時の停止位置の基準となる直線基準パルス数Sxとカーブ区間4を走行している時の停止位置の基準となるカーブ基準パルス数Syとからなる。カーブ基準パルス数Syは、左カーブ基準パルス数SyLと右カーブ基準パルス数SyRとからなる。
【0052】
即ち、コントローラ16は、自己の車両が直線区間3を走行している時には、自己の車両の走行パルス数Pに基づいて直線基準パルス数Sxを演算し、自己の車両がカーブ区間4を走行している時には、自己の車両の走行パルス数Pに基づいてカーブ基準走行量としてのカーブ基準パルス数Syを演算するようになっている。
【0053】
コントローラ16は、次式(1)に従って、直線基準パルス数Sxを演算するようになっている。
Sx=P−L …(1)
(尚、Lは有軌道台車M1〜M3の全長を示す全長パルス数である。)
つまり、直線基準パルス数Sxは、車両の後端部における位置を示す。
【0054】
コントローラ16は、次式(2)に従って、左カーブ基準走行量としての左カーブ基準パルス数SyLを演算するようになっている。
SyL=P−L−HL …(2)
(尚、HLは、左カーブ区間4aでの車間距離を補正するための補正パルスである。)
この補正パルス数HLによって、左カーブ基準パルス数SyLは、車両の後端部よりも後方の位置を示すパルス数となる。
【0055】
コントローラ16は、次式(3)に従って、右カーブ基準走行量としての右カーブ基準パルス数SyRを演算するようになっている。
SyR=P−L−HR …(3)
(尚、HRは、右カーブ区間4bでの車間距離を補正するための補正パルス数である。)
この補正パルス数HRによって、右カーブ基準パルス数SyRは、車両の後端部よりも後方の位置を示すパルス数となる。
【0056】
コントローラ16は、直前の車両の停止基準パルス数Sに基づいて、直前の車両に対する停止位置を示す停止パルス数Tを次式(4)に従って演算するようになっている。
【0057】
T=S−D …(4)
(尚、Dは予め定められた通常車間距離を示す車間パルス数である。)
本実施の形態において、各有軌道台車M1〜M3の直線基準パルス数Sx、左カーブ基準パルス数SyL、右カーブ基準パルス数SyR及び停止パルス数Tを、直線基準パルス数Sx1〜Sx3、左カーブ基準パルス数SyL1〜SyL3、右カーブ基準パルス数SyR1〜SyR3及び停止パルス数T1〜T3と記載して区別する。
【0058】
図5に示すように、例えば先行の有軌道台車M1が直線区間3を前進して停止した場合には、後続の有軌道台車M2は先行の有軌道台車M1との車間距離を車間パルス数Dの示す通常車間距離に保持した状態で停止する。
【0059】
図6に示すように、例えば先行の有軌道台車M1が左カーブ区間4aを前進して停止した場合には、後続の有軌道台車M2は先行の有軌道台車M1との車間距離を車間パルス数Dと補正パルス数HLとを加えた左カーブ車間距離に保持した状態で停止する。
【0060】
同様に、例えば先行の有軌道台車M1が右カーブ区間4bを走行して停止した場合には、後続の有軌道台車M2は先行の有軌道台車M1との車間距離を車間パルス数Dと補正パルス数HRとを加えた右カーブ車間距離に保持した状態で停止する。
【0061】
尚、本実施の形態において、エンコーダ13の取付位置の関係から、たとえ同一距離の走行であっても、エンコーダ13は左カーブ区間4aの走行時の方が右カーブ区間4bの走行時よりも多くの走行量を検出する。従って、左カーブ区間4a用の補正パルス数HLの方が、右カーブ区間4b用の補正パルス数HRより大きく設定されている。
【0062】
コントローラ16はエンコーダ13からのパルス信号に基づいて有軌道台車M1〜M3の前進及び後進を判断するようになっている。本実施の形態では、コントローラ16は、エンコーダ13から正のパルス信号が入力されている場合には、有軌道台車Mが前進していると判断し、エンコーダ13から負のパルス信号が入力されている場合には、有軌道台車M1〜M3が後進していると判断する。
【0063】
コントローラ16は、自己の車両が後進していると判断すると、左カーブ基準パルス数SyLを通信トロリー線L2に出力するようになっている。
この場合、コントローラ16は、自己の車両が演算した左カーブ基準パルス数SyLよりも後続車両の出力する停止基準パルス数Sに全長パルス数Lを加えた値の方が小さいか否かを判断する。コントローラ16は、自己の車両が演算した左カーブ基準パルス数SyLの方が小さいと判断した場合には、その左カーブ基準パルス数SyLに代えて、補正基準パルス数SyKを演算し、通信トロリー線L2に出力する。この補正基準パルス数SyKは、後続車両の停止基準パルス数Sに所定のパルス数Kを加えたパルス数である。尚、各有軌道台車M1〜M3の補正基準パルス数SyKを、補正基準パルス数SyK1〜SyK3として区別する。
【0064】
コントローラ16は、ステーションST1〜ST4に停止している時には、前記式(1)に示す直線基準パルス数Sxを出力するようになっている。即ち、例えば図7に示すように、有軌道台車M1のコントローラ16は、自己の車両を後進させて当該自己の車両をステーションST2に停止させた時に、直線基準パルス数Sxを出力する。通常、各ステーションST1〜ST4間の間隔は、車間パルス数Dの示す長さよりも長い。従って、後続車両である有軌道台車M2は直後のステーションST1に停止することができる。即ち、ステーションST1,ST2間の間隔が非常に短く、例えばステーションST1の位置が、ステーションST2に停止した有軌道台車M1の左カーブ基準パルス数SyLから車間パルス数Dを減じた位置よりも前方に位置する場合でも、後続車両である有軌道台車M2をステーションST2に確実に停止させることができる。
【0065】
又、有軌道台車M1〜M3の停止は、ドグ検出センサ14aからの検出信号に基づいてコントローラ16が、停止信号をインバータ18及びスイッチBsに出力することによって行われる。停止信号がインバータ18及びスイッチBsに出力されると、インバータ18はその停止信号に基づいて走行モータ19への電源の供給を中止するとともに、スイッチBsは開いた状態となって、電磁ブレーキBが作動し、有軌道台車M1〜M3を停止(通常停止)させる。
【0066】
更に、コントローラ16は、インバータ18及び電磁ブレーキBに給電トロリー線L1からの電源を供給する図示しない電源装置の電源を遮蔽し、走行モータ19、移載モータ20及び電磁ブレーキBに供給される電源を遮断することによって、有軌道台車M1〜M3を非常停止させる。
【0067】
次に、上記のように構成した有軌道台車の後進時における作用及び効果について図8に示すフローチャートに従って説明する。このフローチャートでは、説明の便宜上、有軌道台車M1のコントローラ16の作用について説明するものとして、有軌道台車M1の後続車両として有軌道台車M2が走行しているものとする。
【0068】
ステップ101にて、コントローラ16は、エンコーダ13からの検出信号に基づいて自己の車両が後進しているか否かを判断する。ステップ101にて後進していると判断した場合には、ステップ102へ移り、コントローラ16は通信トロリー線L2に出力された他車両の走行パルス数P2,P3及び自己の車両の走行パルス数P1に基づいて後続車両を判別する。この場合、コントローラ16は有軌道台車M2を後続車両であると判断する。
【0069】
次に、ステップ103において、コントローラ16は停止基準パルス数Sとして左カーブ基準パルス数SyL1を演算し、通信トロリー線L2に出力する。
ステップ104にて、コントローラ16は自己の車両の左カーブ基準パルス数SyL1と後続の車両である有軌道台車M2の停止基準パルス数S2に全長パルス数Lを加えたパルス数とを比較し、自己の車両の停止基準パルス数SyL1の方が大きい値である場合には、再度、ステップ101からの処理を続行する。
【0070】
又、ステップ104にて、コントローラ16は自己の車両の停止基準パルス数SyL1が小さい値であると判断した場合には、ステップ105へ移り、停止基準パルス数SyL1として補正基準パルス数SyK1を演算し、通信トロリー線L2に出力する。そして、ステップ101からの処理を再度行う。
【0071】
この場合、コントローラ16は次式(5)に従って補正基準パルス数SyK1を演算する。
SyK1=S2+K …(5)
又、ステップ101にて、自己の車両が後進していないと判断した場合には、ステップ106にて、コントローラ16は自己の車両が停止中であるか否かを判断する。停止中でなければ、コントローラ16は自己の車両は前進走行を行っているとして、後進時の制御を終了する。
【0072】
ステップ106にて、コントローラ16は自己の車両が停止していると判断すると、ステップ107にて、ステーションST1〜ST4に停止しているか否かを判断する。ステーションST1〜ST4に停止していると判断した場合には、ステップ108に移り、コントローラ16は現在出力している停止基準パルス数S(左基準パルス数SyL1又は補正基準パルス数SyK1)を、直線基準パルス数Sxに変更する。
【0073】
又、ステップ107にて、自己の車両がステーションST1〜ST4に停止していない場合には、現在出力している停止基準パルス数S(左基準パルス数SyL1又は補正基準パルス数SyK1)の出力を続行する。
【0074】
上記実施の形態によれば、以下(イ)〜(チ)に示す効果を有する。
(イ)コントローラ16は、自己の車両の後進時には停止基準パルス数Sとして自己の車両の後端部より後方位置を示す左カーブ基準パルス数SyLを出力し、後続の車両のコントローラ16はその左カーブ基準パルス数SyLに基づいて停止パルス数Tを演算し、後続の車両はその停止パルス数Tの示す停止位置に停止する。例えば有軌道台車M1が非常停止し、その非常停止を解除すべく有軌道台車M1を後進させることにより所定位置に停止させた場合、後続車両である有軌道台車M2は有軌道台車M1の後端部から、左カーブ基準パルス数SyLから車間パルス数Dを減じたパルス数が示す停止位置に停止する。従って、十分に車間距離を確保した状態で、後続車両である有軌道台車M2を直前の車両である有軌道台車M1に対して停止させることができる。よって、後進によって有軌道台車M1が所定位置に停止した場合において、後続車両である有軌道台車M2の前進による衝突を防止できる。このように、車間距離が十分に確保されているので、たとえ有軌道台車M1がカーブ区間4に停止しても、後続車両である有軌道台車M2が有軌道台車M1に衝突することを防止できる。
【0075】
(ロ)コントローラ16は、自己の車両の後進時には、停止基準パルス数として最も大きな値の左カーブ基準パルスSyLを出力する。従って、コントローラ16は後進時用の停止パルス数を新たに演算する必要が無いので、迅速且つ容易に後進時における停止基準パルス数を出力できる。
【0076】
(ハ)有軌道台車M1〜M3の走行位置を示す走行パルス数P1〜P3は、有軌道台車M1〜M3の前端部の位置を示している。従って、コントローラ16は自己の車両の走行位置Pに基づいて停止基準パルス数S及び停止パルス数Tを容易且つ確実に演算できる。例えば直線時の停止基準パルス数Sであり、車両の後端部の位置を示す直線基準パルス数Sxは、走行パルス数Pに全長パルス数Lを減じることによって容易に演算でき、カーブ基準パルス数Syは、直線基準パルス数Sxに補正パルス数HL,HRを減じることにより容易に演算できる。又、停止パルス数Tは停止基準パルス数Sに車間パルス数Dを減じることにより、容易に演算できる。従って、コントローラ16はこれら停止基準パルス数S及び停止パルス数T等に基づいて容易且つ確実に自己の車両を制御できる。
【0077】
(ニ)コントローラ16は、左右カーブ区間4a,4bに合わせて、左カーブ基準パルス数SyLと右カーブ基準パルス数SyRとを演算するので、より正確に有軌道台車M1〜M3の制御を行うことができる。
【0078】
(ホ)コントローラ16は、自己の車両の後進時において、自己の車両の停止基準パルス数Sが、後続の車両の停止基準パルス数Sに全長パルス数Lを加えた値よりも小である場合には、後続の車両の停止基準パルス数Sよりも大である補正基準パルス数SyKを演算する。従って、後続の車両を自己の車両に衝突しないように停止させることができる。
【0079】
(ヘ)コントローラ16は、後進にて自己の車両をステーションST1〜ST4に停止させた場合には、停止基準パルス数Sとして直線基準パルス数Sxを出力する。従って、ステーションST1〜ST4に停止している時には、たとえ後進による停止であっても、その車両の後端部が停止基準パルス数Sの示す位置となり、その後端部から車間パルス数Dだけ後方へ離れた位置が停止位置となる。従って、ステーションST1,ST2間の間隔が非常に短く、例えばステーションST1の位置が、ステーションST2に停止した有軌道台車M1の左カーブ基準パルス数SyLから車間パルス数Dを減じた位置よりも前方に位置する場合でも、後続車両である有軌道台車M2をステーションST2に確実に停止させることができる。
【0080】
(ト)各有軌道台車M1〜M3のコントローラ16は、走行レール2に沿って配設された通信トロリー線L2を介して互いに通信可能に設けられている。従って、有線である通信トロリー線L2にて各有軌道台車M1〜M3のコントローラ16は、互いに通信するのでより確実に有軌道台車M1〜M3間での通信を行うことができる。
【0081】
(チ)カーブ区間4の開始位置にはドグ9bが設けられ、カーブ区間4全体に渡って磁気テープ10が敷設されている。従って、各有軌道台車M1〜M3のコントローラ16は、容易にドグ9bの検出によってカーブ区間4の開始を認識できるとともに、ドグ9b及び磁気テープ10の検出に基づいて容易にカーブ区間4の走行中であることを判別できる。
【0082】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更して次のように実施することもできる。
(1)上記実施の形態では、通信トロリー線L2によって各有軌道台車M1〜M3間の通信を行ったが、無線にて各有軌道台車M1〜M3間の通信を行えるように構成してもよい。
【0083】
(2)上記実施の形態では、後進時にはコントローラ16は左カーブ基準パルス数SyLを出力した。これを、コントローラ16は左カーブ基準パルス数SyLに代えて後進時専用の基準パルス数を演算し、出力してもよい。
【0084】
(3)上記実施の形態において、カーブ区間4を示す磁気テープ10に代えて、光反射板を取り付け、その光反射板の検出に基づいてカーブ区間4を検出するようにしてもよい。
【0085】
(4)上記実施の形態において、カーブ区間4の開始を指示するカーブ開始指示手段として、ドグ9bに代えて床面上にマーキングを施してもよい。
(5)上記実施の形態において、カーブ開始指示手段としてドグ9bを使用せず、コントローラ16がエンコーダ13からのパルス信号に基づいて各カーブ区間4を判断するように構成してもよい。この場合、コントローラ16は、メモリ21に各カーブ区間4の開始を示す走行パルス数Pをそれぞれ予め記憶させ、コントローラ16は、エンコーダ13からのパルス信号に基づいてカーブ区間4の開始を示す走行パルス数Pをカウントした時、カーブ区間4の開始であると判断する。
【0086】
(6)上記実施の形態において、有軌道台車M1〜M3の長手方向の中心位置を走行位置としてもよい。
(7)上記実施の形態では、エンコーダ13にて有軌道台車M1〜M3の走行位置(走行パルス数)を判別したが、例えば軌道Vに沿って光スケール等を敷設し、その光スケールからの距離の検出に基づいて有軌道台車M1〜M3の走行位置を判別するように構成してもよい。
【0087】
上記実施の形態から把握される技術思想の内、請求項以外の技術思想を以下に効果とともに記載する。
(1)請求項1記載の発明において、カーブ開始指示部材はドグであって、カーブ開始検出手段は光検出型のドグセンサである有軌道台車の走行制御装置。この走行制御装置によれば、容易且つ確実にカーブ区間の開始を検出できる。
【0088】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1記載の発明によれば、有軌道台車の後進時には、停止基準走行量演算手段は前進時における直線基準走行量よりも大きな値の後進基準走行量を演算し出力するので、有軌道台車の後進による停止時において確実に後続車両の衝突を防止できる。
【0089】
請求項2記載の発明によれば、有軌道台車の後進時には、停止基準走行量としてカーブ基準走行量を出力するので、例えば後進時専用の停止基準走行量を演算する必要がなく、容易に停止基準走行量を演算できる。
【0090】
請求項3記載の発明によれば、各左右カーブ区間に対応して、カーブ基準走行量として左カーブ基準走行量及び右カーブ基準走行量を演算し、いずれか大きい値のカーブ基準走行量を後進基準走行量としているので、より確実に後続車両の衝突を防止できる。
【0091】
請求項4記載の発明によれば、有軌道台車の走行位置は前端部の位置であるので、より容易に停止基準走行量を演算できる。
請求項5記載の発明によれば、停止基準走行量演算手段は、自己の車両の停止基準走行量が後続の車両の停止基準走行量に車両の全長を加えた値よりも小である場合には、後続の車両の停止基準走行量よりも大である補正基準走行量を演算し出力するので、より確実に後続の車両の衝突を防止できる。
【0092】
請求項6記載の発明によれば、たとえ有軌道台車が後進にてステーションに停止しても、後続車両は例えば直後に位置するステーション等の所定位置に停止できる。
【0093】
請求項7記載の発明によれば、通信トロリー線を使用することによって、より確実に各有軌道台車間での通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有軌道台車を使用した搬送システムを示す概略構成図。
【図2】有軌道台車を示す斜視図。
【図3】有軌道台車の走行レールを示す断面図。
【図4】有軌道台車を制御するためのの電気的構成を示す電気ブロック図。
【図5】有軌道台車の作用を示す説明図。
【図6】有軌道台車の作用を示す説明図。
【図7】有軌道台車の作用を示す説明図。
【図8】有軌道台車の作用を示すフローチャート。
【図9】従来例の有軌道台車における作用を説明する説明図。
【符号の説明】
1…搬送システム、2…走行レール、3…直線区間、4…カーブ区間、4a…左カーブ区間、4b…右カーブ区間、9b…カーブ開始指示部材としてのドグ、13…走行量検出手段としてのエンコーダ、14b…カーブ開始検出手段としてのドグセンサ、16…カーブ区間判別手段、走行位置判別手段及び停止基準走行量演算手段としてのコントローラ、SyL…後進基準走行量及び左カーブ基準走行量としての左カーブ基準パルス数、SyR…右カーブ基準走行量としての右カーブ基準パルス数、M1〜M3…有軌道台車、L2…通信手段としての通信トロリー線。
Claims (7)
- 直線区間とカーブ区間とを有する軌道と、
前記軌道に沿って走行する複数の有軌道台車と、
前記各有軌道台車間での通信を可能とする通信手段と、
前記カーブ区間の開始位置に設けられたカーブ開始指示手段と、
前記有軌道台車に設けられ、前記カーブ開始指示手段を検出するカーブ開始検出手段と、
前記有軌道台車に設けられ、カーブ開始検出手段からの検出信号に基づいてカーブ区間を判別するカーブ区間判別手段と、
前記有軌道台車に設けられ、自己の車両の走行量を検出する走行量検出手段と、
前記有軌道台車に設けられ、前記走行量検出手段からの検出信号に基づいて自己の車両の走行位置を判別する走行位置判別手段と、
前記有軌道台車に設けられ、自己の車両の走行位置に基づいて後続車両を停止させる基準となる停止基準走行量を演算し、その停止基準走行量を示す信号を通信手段に出力する停止基準走行量演算手段と
を備えた有軌道台車の走行制御装置において、
前記停止基準走行量演算手段は、停止基準走行量として前進時の直線走行時には直線基準走行量を演算し、カーブ走行時には前記直線基準走行量よりも後方の位置を示すカーブ基準走行量を演算するとともに、後進時には前記直線基準走行量よりも後方の位置を示す後進基準走行量を演算する有軌道台車の走行制御装置。 - 前記停止基準走行量演算手段は、後進基準走行量としてカーブ基準走行量を演算する請求項1記載の有軌道台車の制御装置。
- 前記停止基準走行量演算手段は、カーブ基準走行量として、左カーブ用の左カーブ基準走行量及び右カーブ用の右カーブ基準走行量を演算し、左右カーブ基準走行量のうち、より後方の位置を示すカーブ基準走行量を後進基準走行量として演算する請求項2記載の有軌道台車の走行制御装置。
- 前記走行位置は、有軌道台車の前端部の位置である請求項1〜3のいずれかに記載の有軌道台車の走行制御装置。
- 前記停止基準走行量演算手段は、後続車両から出力された停止基準走行量に車両の全長に相当する走行量を加えた量と、自己の車両の停止基準走行量であるカーブ基準走行量とを比較し、自己の車両の停止基準走行量の方が後方に位置する値である場合には、自己の車両の停止基準走行量を後続車両の走行位置を示す走行量に所定値を加えた値に変更する請求項4記載の有軌道台車の走行制御装置。
- 前記停止基準走行量演算手段は、後進によって有軌道台車がステーションに停止した時には、演算する停止基準走行量を後進基準走行量から直線基準走行量に変更する請求項4記載の有軌道台車の走行制御装置。
- 前記通信手段は、軌道に沿って配設された通信トロリー線からなる請求項1〜6のいずれかに記載の有軌道台車の走行制御装置。
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