JP3620140B2 - 皮膚用液体洗浄剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、身体用洗浄剤、洗顔用洗浄剤等として好適に用いられる皮膚用液体洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
皮膚用液体洗浄剤組成物とは身体用洗浄剤、洗顔用洗浄剤、手洗い用洗浄剤等として用いられる組成物であるが、優れた起泡性、クリーミィな泡特性、ヌメリが残らないさっぱりとした使用感等の点より、脂肪酸石けんが汎用され、近年では液体の剤型の物も普及している。
【0003】
このような脂肪酸を主成分とする液体石けんは低温安定性に難があり、低温時に結晶が析出したり、固化し、流動性が無くなるという問題があるため、従来は、プロピレングリコールや濃グリセリン等の多価アルコールをハイドロトロープとして製剤に添加したり、オレイン酸等の不飽和脂肪酸を用いることにより、低温安定性の向上を図っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プロピレングリコールや濃グリセリン等の多価アルコールを多量に添加した場合には、泡立ちが低下するという問題があった。又、オレイン酸等の不飽和脂肪酸を用いた場合には、不飽和脂肪酸が酸化されやすいことから、安定性が低下したり不快臭が生じる等の問題があった。
【0005】
従って、本発明は、上記の不都合を解消するとともに、脂肪酸石けんの持つ優れた起泡性、クリーミィな泡特性、ヌメリが残らないさっぱりとした使用感等の長所を損なわず、かつ低温時においても安定である皮膚用液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、脂肪酸石けんに特定の界面活性剤及び3−メチル−1,3−ブタンジオールを特定の比率で含有させることによって、上記の目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明によれば、下記の成分A、B及びC;A)平均炭素数8〜22の脂肪酸及び/又はその塩:全量(100重量%)に対し5〜40重量%、B)一般式(I)、(II)及び(III)に示された化合物群から選択した1種以上の化合物:全量(100重量%)に対し0.5〜10重量%、C)3−メチル−1,3−ブタンジオール:全量(100重量%)に対し1〜10重量%を含有する皮膚用液体洗浄剤組成物であって、成分Bと成分Cとの重量比(B/C)が1/5〜5/1であり、かつ、成分B及び成分Cの合計と成分Aとの重量比[(B+C)/A]が1/10〜1/1であることを特徴とする皮膚用液体洗浄剤組成物が提供される。
【0008】
【化4】
Figure 0003620140
【0009】
一般式(I)中、R1は平均炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基、R2及びR3は同一又は異なって、炭素数1〜3のアルキレン基、M1及びM2は同一又は異なって、水素、アルカリ金属又はアルカノールアミンを示す。)
【0010】
【化5】
Figure 0003620140
【0011】
一般式(II)中、R4は平均炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基、R5は水素又は炭素数1〜3のアルキル基、nは1〜10の整数、M3はアルカリ金属又はアルカノールアミンを示す。)
【0012】
【化6】
Figure 0003620140
【0013】
一般式(III)中、R6は炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基、R7は水素又は炭素数1〜3のアルキル基、mは1又は2、M4はアルカリ金属又はアルカノールアミンを示す。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の皮膚用液体洗浄剤組成物は、上記の成分A、B及びCを特定の割合及び重量比で含有するものである。
【0015】
成分Aは平均炭素数8〜22の脂肪酸及び/又はその塩である。平均炭素数8〜22の脂肪酸としては、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸等のほか、これらの混合脂肪酸であるヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸等が挙げられ、中でも、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸が好ましい。
【0016】
また、その塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0017】
本発明の皮膚用液体洗浄剤組成物において、成分Aの含有割合は皮膚用液体洗浄剤組成物の全量100重量%に対して、5〜40重量%であり、10〜30重量%であることが好ましい。成分Aの含有割合が5重量%未満の場合には、充分な起泡性やクリーミィな泡特性が損なわれる。又、40重量%をえる場合には、低温安定性が悪くなるか、又はゲル化しやすくなる。
【0018】
成分Bは、一般式(I)、(II)及び(III)に示された化合物群から選択した1種以上の化合物からなるアニオン性又は両性界面活性剤である。一般式(I)で示されるアルキルイミノジカルボキシレート型両性界面活性剤としては、R1が平均炭素数8〜22のアルキル基またはアルケニル基であり、具体的には、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基等が挙げられ、中でも、ラウリル基が好ましい。
【0019】
及びRは同一又は異なって、炭素数1〜3のアルキレン基であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
及びMは同一又は異なって、水素、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。
【0020】
一般式(II)で示されるアミドエーテルサルフェート型陰イオン界面活性剤としては、R4が平均炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基であり、具体的にはR4COで表される脂肪族アシル基がラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、ヤシ油脂肪酸残基等が挙げられ、中でも、ラウロイル基又はヤシ油脂肪酸残基が好ましい。
【0021】
は水素又は炭素数1〜3のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
としては水素、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。
【0022】
一般式(III)で示されるアシルアミノ型陰イオン界面活性剤としては、R6が平均炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基であり、具体的にはR6COで表される脂肪族アシル基がラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、ヤシ油脂肪酸残基等が挙げられ、中でも、ラウロイル基又はヤシ油脂肪酸残基が好ましい。
【0023】
は水素又は炭素数1〜3のアルキル基であり、炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
としては水素、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。
【0024】
本発明の皮膚用液体洗浄剤組成物において、成分Bの含有割合は、皮膚用液体洗浄剤組成物の全量100重量%に対して、0.5〜10重量%であ、1〜8重量%であることが好ましい。成分Bの含有割合が0.5重量%未満の場合、十分な起泡性が得られず、10重量%をえる場合は、クリーミィな泡特性が損なわれる。
【0025】
成分Cは3−メチル−1,3−ブタンジオールであるが、イソプレングリコールとも呼ばれる無色透明の液体である。本発明の皮膚用液体洗浄剤組成物において、成分Cの含有割合は、皮膚用液体洗浄剤組成物の全量100重量%に対して、1〜10重量%であ、2〜8重量%であることが好ましい。成分Cの含有割合が1重量%未満では低温安定性が向上せず、10重量%をえる場合は十分な起泡性及びクリーミィな泡特性が得られない。
【0026】
本発明の皮膚用液体洗浄剤組成物において、成分Bと成分Cとの重量比B/Cは1/5〜5/1であ、1/3〜3/1であることが好ましい。B/Cが5/1より大きくなると低温安定性が向上せず、一方、B/Cが1/5より小さくなると十分な起泡性が得られない。
【0027】
また、成分B及び成分Cの合計と成分Aとの重量比[(B+C/Aは1/10〜1/1であ、1/8〜1/2であることが好ましい。B+C/Aが1/1より大きくなると、十分な起泡性が得られず、一方、B+C/Aが1/10より小さくなると、低温安定性が向上しない。
【0028】
本発明の皮膚用液体洗浄剤組成物には、上記成分の他に、一般に配合される成分、例えば、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型等の両性界面活性剤;脂肪酸アルカノールアマイド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルアミンオキシド等の非イオン界面活性剤;スクワラン、ホホバ油、オリーブ油、高級アルコール、ラノリン等の油分;水溶性高分子化合物(アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性等);キレート剤;防腐剤;殺菌剤;pH調整剤;酸化防止剤;色素;香料;動植物由来の天然エキス等を、本発明の効果を特に阻害しない程度に適宜配合することができる。
【0029】
本発明の皮膚用液体洗浄剤組成物は、身体用洗浄剤、洗顔用洗浄剤、手洗い用洗浄剤等として好適に用いることができるが、以下に、本発明の皮膚用液体洗浄剤組成物の一例としてボディシャンプーの組成を示す。
Figure 0003620140
以上の成分を混合し、精製水を加えて全体を100重量%とした。
【0030】
又、以下に、本発明の皮膚用液体洗浄剤組成物の他の例として洗顔料の組成を示す。
Figure 0003620140
以上の成分を混合し、精製水を加えて全体を100重量%とした。
【0031】
又、以下に、本発明の皮膚用液体洗浄剤組成物のさらに他の例として手洗い用洗浄剤の組成を示す。
Figure 0003620140
以上の成分を混合し、精製水を加えて全体を100重量%とした。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0033】
(実施例1) 成分Aとしてラウリン酸カリウム及びミリスチン酸カリウムをそれぞれ10重量%、成分Bとしてラウリルアミノジ酢酸ナトリウム3重量%、成分Cとして3−メチル−1,3−ブタンジオール3重量%を含有する皮膚用液体洗浄剤組成物を調製し、その低温安定性、起泡性、泡特性を調べた。
【0034】
低温安定性、起泡性及び泡特性は以下の方法により評価した。
(低温安定性)組成物を−5℃の条件下で1カ月保存し、その外観を観察して結晶析出の有無を判定して、次の2段階で評価した。
○:析出が無い
×:析出が有る
【0035】
(起泡性) 1重量%の試料溶液10mlを100ml栓付き試験管に入れ、温度25℃の条件で10秒間に20回振とうさせ、その1分後の泡量を測定して、次の4段階で評価した。
◎:泡量80ml以上
○:泡量60ml以上80ml未満
△:泡量40ml以上60ml未満
×:泡量40ml未満
【0036】
(泡特性) 10名の女性をパネラーとし、試料1mlを手のひらにとり、約40℃の温水で軽く泡立て、そのときの泡の状態を目視にて観察した。泡が細かくクリーミィである場合を5点、泡が粗い場合を1点として、5段階で点数をつけ、10名の平均点を求め、次の4段階に分類した。
◎:平均点4.0以上
○:平均点3.0以上4.0未満
△:平均点2.0以上3.0未満
×:平均点2.0未満
【0037】
結果を表1に示す。
【0038】
(実施例2〜6) 成分Aとしてラウリン酸カリウム及びミリスチン酸カリウムを、成分Bとしてラウリルアミノジ酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3E.0.)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム又はヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウムを、成分Cとして3−メチル−1,3−ブタンジオールを種々の量で含有する皮膚用液体洗浄剤組成物を調製し、その低温安定性、起泡性及び泡特性を実施例1と同様の方法にて調べた。成分A、B及びCとして用いた化合物の種類、含有割合、並びに低温安定性、起泡性及び泡特性を調べた結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0003620140
【0040】
(比較例1) 成分Aとしてラウリン酸カリウム及びミリスチン酸カリウムをそれぞれ10重量%、成分Cとして3−メチル−1,3−ブタンジオール3重量%を含有し、成分Bを含有しない皮膚用液体洗浄剤組成物を調製し、その低温安定性、起泡性及び泡特性を実施例1と同様の方法にて調べた。
結果を表2に示す。
【0041】
(比較例2〜12) 成分Aとしてラウリン酸カリウム及びミリスチン酸カリウムを、成分Bとしてラウリルアミノジ酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3E.0.)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ポリオキシエチレン(3E.0.)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム又はヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムを、成分Cとして3−メチル−1,3−ブタンジオールを種々の量で含有する皮膚用液体洗浄剤組成物を調製し(比較例10では成分Cの3−メチル−1,3−ブタンジオールを用いることなく、同じ多価アルコールの濃グリセリン3重量%を用いた)、その低温安定性、起泡性及び泡特性を実施例1と同様の方法にて調べた。用いた化合物の種類、含有割合、並びに低温安定性、起泡性及び泡特性を調べた結果を表2及び表3に示す。
【0042】
なお、比較例2は成分Cを含有せず、比較例3は成分Cの含有割合が10重量%を越え、比較例4は成分Bの含有割合が10重量%をえる。又、比較例5はB/Cが1/5に満たず、比較例6はB/Cが5/1を越え、比較例7はB+C/Aが1/10に満たず、比較例8はB+C/Aが1/1をえる。比較例9は成分Aが5重量%に満たず、比較例10は成分Cの3−メチル−1,3−ブタンジオールを含有することなく、同じ多価アルコールの濃グリセリンを含有し、比較例11及び12は成分Bとして、一般式(I)、(II)及び(III)のいずれにも該当しないアニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン(3E.0.)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム又はヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムをそれぞれ含有する。
【0043】
【表2】
Figure 0003620140
【0044】
【表3】
Figure 0003620140
【0045】
本発明の皮膚用液体洗浄剤組成物は、低温安定性に優れるとともに、優れた起泡性、泡特性を示した。
【0046】
【発明の効果】
本発明の皮膚用液体洗浄剤組成物は、脂肪酸石けんの持つ優れた起泡性、クリーミィな泡特性、ヌメリが残らないさっぱりとした使用感等を維持しつつ、良好な低温安定性を示す。又、3−メチル−1,3−ブタンジオール及び特定構造を有する界面活性剤を含有させることにより低温安定性の向上を図っているため、不飽和脂肪酸の使用に起因する安定性の低下、不快臭の問題がない。

Claims (1)

  1. 下記の成分A、B及びC;
    A)平均炭素数8〜22の脂肪酸及び/又はその塩:全量(100重量%)に対し5〜40重量%、
    B)一般式(I)、(II)及び(III)に示された化合物群から選択した1種以上の化合物:全量(100重量%)に対し0.5〜10重量%、
    C)3−メチル−1,3−ブタンジオール:全量(100重量%)に対し1〜10重量%
    を含有する皮膚用液体洗浄剤組成物であって、
    成分Bと成分Cとの重量比(B/C)が1/5〜5/1であり、かつ、
    成分B及び成分Cの合計と成分Aとの重量比[(B+C)/A]が1/10〜1/1であることを特徴とする皮膚用液体洗浄剤組成物。
    Figure 0003620140
    (一般式(I)中、R 1 は平均炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基、R 2 及びR 3 は同一又は異なって、炭素数1〜3のアルキレン基、M 1 及びM 2 は同一又は異なって、水素、アルカリ金属又はアルカノールアミンを示す。)、
    Figure 0003620140
    (一般式(II)中、R 4 は平均炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基、R 5 は水素又は炭素数1〜3のアルキル基、nは1〜10の整数、M 3 はアルカリ金属又はアルカノールアミンを示す。)、
    Figure 0003620140
    (一般式(III)中、R 6 は炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基、R 7 は水素又は炭素数1〜3のアルキル基、mは1又は2、M 4 はアルカリ金属又はアルカノールアミンを示す。)
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