JP2920023B2 - 洗浄剤組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、皮膚及び毛髪に対する
温和な作用、しかも優れた起泡力と洗浄性を有し、さら
に毛髪に対する優れたコンディショニング効果を示す洗
浄剤組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
洗浄剤用の界面活性剤として、アルキル硫酸エステル
塩，ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル
塩及びα−オレフィンスルホン酸塩などのアニオン界面
活性剤が広く使われている。しかし、これらアニオン界
面活性剤は、程度の差はあるがいずれも皮膚刺激性に劣
るという欠点を有している。

【０００３】一方、Ｎ−ポリオキシエチレン脂肪酸アミ
ド硫酸エステル塩とＮ−ポリオキシエチレン脂肪酸アミ
ド及びラウリン酸ジエタノールアミドとの組み合わせに
より優れた起泡性が発現されることが開示されている
（特開昭５６−１０４９９９号）。しかし、洗浄性や皮
膚安全性及び毛髪に対するコンディショニング効果につ
いては満足のいくものではない。

【０００４】また、β−アラニン型両性界面活性剤は洗
浄剤の一成分として有用であり、良好な洗浄性と金属石
けん（スカム）の分散力にすぐれ、かつ皮膚，頭髪に対
して低刺激性でマイルドであることが知られている（特
公昭５７−３９２８０，特公昭５３−４２０４１）。し
かし、起泡力の点と泡のクリーミィさの点では劣り、洗
浄剤の主たる界面活性剤として用いることは困難であ
る。

【０００５】そこで本発明者は、上記の事情に鑑み、鋭
意研究した結果、Ｎ−ポリオキシエチレン脂肪酸アミド
硫酸エステル塩とβ−アラニン型両性界面活性剤を含有
する組成物は、優れた起泡力とクリーミィな泡質を有
し、さらに皮膚刺激性が少なく、さらに毛髪に対して優
れたコンディショニング効果を示す洗浄剤組成物である
ことを見出し、本発明に至った。

【０００６】すなわち本発明の目的は、優れた起泡力と
クリーミィな泡質を有し、さらに毛髪に対して優れたコ
ンディショニング効果を示す洗浄剤組成物を提供するこ
とにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明は、一般式（Ａ）

【化３】 （ここで、Ｒは炭素数９〜１５のアルキル基またはアル
ケニル基、Ｍはアルカリ金属，アルカリ土類金属，アン
モニウムあるいは有機アミンを示す。ｎは２〜５の数を
示す。）で表わされるＮ−ポリオキシエチレン脂肪酸ア
ミド硫酸エステル塩と、一般式（Ｂ）

【化４】 （ここで、Ｒは炭素数６〜１８の炭化水素基、ｍ，ｎは
整数でｍ＝０〜９，ｎ＝１〜１０，ｍ＋ｎ＝１〜１０、
またＭは水素，アルカリ金属，アンモニウムあるいは有
機アミンを示す。）で表わされるβ−アラニン型両性界
面活性剤とを含有してなる洗浄剤組成物である。

【０００８】本発明に用いられる上記一般式（Ａ）で表
わされるＮ−ポリオキシエチレン脂肪酸アミド硫酸エス
テル塩としては、ポリオキシエチレン（Ｅ．Ｏ．付加モ
ル数４）ヤシ油脂肪酸アミドエーテル硫酸ナトリウム，
ポリオキシエチレン（Ｅ．Ｏ．付加モル数３）ラウリン
酸アミドエーテル硫酸トリエタノールアミン，ポリオキ
シエチレン（Ｅ．Ｏ．付加モル数５）ミリスチン酸アミ
ドエーテル硫酸マグネシウム，ポリオキシエチレン
（Ｅ．Ｏ．付加モル数２）ラウリン酸アミドエーテル硫
酸アンモニウムなどが挙げられる。

【０００９】本発明の組成物の第２の必須成分である、
上記一般式（Ｂ）で表わされるβ−アラニン型両性界面
活性剤においてＲは炭素数６〜１８の炭化水素基であっ
て、例えばオクチル，デシル，ラウリル，ミリスチル，
パルミチル，ステアリル，イソステアリル等の単独アル
キルあるいはこれらの混合したものが挙げられ、ｍは０
〜９の整数、ｎは１〜１０の整数であり、かつｍ＋ｎは
１〜１０の整数、またＭは水素またはＮａ，Ｋなどのア
ルカリ金属、またはアンモニウム，トリエタノールアミ
ンなどが挙げられる。具体的にはＮ−（２−ヒドロキシ
ドデシル）−Ｎ−（２−ヒドロキシエチル）−β−アラ
ニンナトリウム塩，Ｎ−（２−ヒドロキシドデシル）−
Ｎ−（ポリオキシエチレン（３Ｅ．Ｏ．））−β−アラ
ニンナトリウム塩，Ｎ−（２−ヒドロキシアルキル）−
Ｎ−（２−ヒドロキシエチル）−β−アラニントリエタ
ノールアミン塩 （２−ヒドロキシアルキル基はＣ₁₂，
Ｃ₁₄）などがある。

【００１０】一般式（Ａ）と（Ｂ）の成分の合計量は、
洗浄剤組成物全量中約１〜３０重量％であり、更に好ま
しくは３〜２０重量％である。これが１重量％より少な
いと効果が発揮されず、３０重量％を超えると均一で安
定な組成物を得るのが困難となる。一般式（Ａ）の化合
物の一般式（Ｂ）の化合物に対する重量比は、約１０／
１〜１／１０の範囲となるように用いることが好まし
く、この範囲以外の重量比では効果が充分に発揮されな
い。

【００１１】本発明の洗浄剤組成物には、上記の必須成
分に加えて洗浄剤に常用されている成分や添加剤を配合
することも可能である。例えば高級アルコール，シリコ
ン油，ラノリン誘導体やポリエチレングリコールの脂肪
酸エステル類等の油性成分，脂肪酸ジエタノールアミド
やポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキルア
ミンオキシド等の非イオン界面活性剤，ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロース，ヒドロキシエチルセルロース等
の水溶性高分子，カチオン性高分子〔ポリマーＪＲ（ユ
ニオンカーバイドコーポレーション社製），ポリコート
ＮＨ（ヘンケル社製），マーコート５５０（メルク社
製），ガフカット７５５Ｎ（ＧＡＦ社製），カチオン化
グアーガム，メタクリル系両性／カチオンポリマーな
ど〕，殺菌剤，キレート剤，紫外線吸収剤，ｐＨ調整
剤，色素及び香料などを含むことができる。本発明の洗
浄剤組成物はシャンプー，ボディ洗浄剤，洗顔剤，台所
洗剤などに適用される。

【００１２】

【実施例】次に実施例によって本発明を更に詳細に説明
する。なお、効果の測定は以下の評価法によった。

【００１３】 泡立ち ロスマイルス試験法に準じて起泡力を測定した。但し、
試料は２％水溶液（ＣａＣＯ₃ ５０ｐｐｍ人工硬水使
用）で温度４０℃である。 ◎…泡立ちが極めて良好、起泡力２５０ｍｍ以上 ○…泡立ちが良好、起泡力２１０ｍｍ以上，２５０ｍｍ
未満 △…泡立ちが普通、起泡力１７０ｍｍ以上，２１０ｍｍ
未満 ×…泡立ちが不良、起泡力１７０ｍｍ未満

【００１４】 泡のきめ細かさ（クリーミィ性） ウイルスマン泡測定装置を使用し、１０００回転，５分
間ブラシを回転させた後、泡を採取し、その粘度をＢ型
粘度計にて測定した。試料は２％水溶液である。きめ細
かな泡ほど、泡粘度が高い。 ◎…泡のきめ細かさが良好、泡粘度１５００ｃｐｓ以上 ○…泡のきめ細かさが普通、泡粘度７００〜１５００ｃ
ｐｓ ×…泡のきめ細かさが不良、泡粘度７００ｃｐｓ以下

【００１５】 皮膚刺激性（蛋白質変性率）試験法 水系高速液体クロマトグラフィーを利用し、卵白アルブ
ミンｐＨ７緩衝溶液に、試料濃度１％になるように試料
を加えた場合の卵白アルブミン変性率を、２２０ｎｍの
吸収ピークを用いて測定した。

【数１】 Ｈｏ：卵白アルブミンの２２０ｎｍ吸収ピークの高さ Ｈｓ：卵白アルブミン緩衝溶液に試料を加えたときの２
２０ｎｍ吸収ピークの高さ 評価の基準を次のように設定した。 ◎…卵白アルブミン変性率３０％未満 ○…卵白アルブミン変性率３０％以上，６０％未満 △…卵白アルブミン変性率６０％以上，８０％未満 ×…卵白アルブミン変性率８０％以上

【００１６】 洗髪後の髪のまとめやすさ（コンディ
ショニング効果） 官能試験による評価方法である。試料のシャンプー組成
物５．０ｇを頭髪にとり、シャンプーし、すすぎ後、タ
オルドライしたあとの髪のまとめやすさを下記の評点に
より判定した。（パネラーは女性２０名で、評価点はそ
の平均点である。） 評点１；髪のまとめやすさが非常にわるい場合 ２； 〃 わるい場合 ３； 〃 ふつうである場合 ４； 〃 良い場合 ５； 〃 非常に良い場合

【００１７】実施例１〜５，比較例１〜５ 表１，２に示す配合組成のシャンプーを通常の方法で調
製し、各必須成分の効果を調べ、表１，２にその結果を
示した。

【００１８】

【表１】

【００１９】

【表２】

【００２０】実施例１〜５より明らかなように、本発明
の成分を用いた洗浄剤はいずれも優れた性能を示してい
た。一方、必須成分のどちらかを欠いた比較例１，２で
は充分の性能が得られない。また、必須成分の一つと、
通常、洗浄剤に使われる界面活性剤との組み合わせ（比
較例３〜５）では泡のきめ細かさや洗髪後の髪のまとめ
やすさ、皮膚刺激性の面で劣っている。

【００２１】実施例６ 次に示すシャンプー組成物を調製し、前記の方法にて評
価した。いずれの項目も実施例１〜５と同様に優れた評
価であった。 （％） 〔一般式Ｂ〕でＲ：Ｃ₁₆，₁₈の等量混合物，ｍ＝０，ｎ＝１、 １０ Ｍはナトリウムである成分（４） ポリオキシエチレン（４Ｅ．Ｏ．）ラウリン酸アミド １０ エーテル硫酸ナトリウム ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド ３ カチオン化セルロース（Ｐｏｌｙｍｅｒ ＪＲ４００．ＵＣＣ社） ０．５ クエン酸 ０．２ 香料，色素 適量 精製水 バランス

【００２２】実施例７ 次に示すボディーシャンプーは泡立ち、泡のきめ細かさ
に優れ、皮膚に対する刺激性が極めて弱かった。 （％） 〔一般式Ｂ〕でＲ：Ｃ₁₀，ｍ＝２，ｎ＝３ ８ Ｍはトリエタノールアミンである成分（３） ポリオキシエチレン（３Ｅ．Ｏ．）ミリスチン酸アミドエーテル １２ 硫酸トリエタノールアミン ミリスチン酸トリエタノールアミン ６ 濃グリセリン １ 香料，色素 適量 精製水 バランス

【００２３】

【発明の効果】以上記載のように、本発明が皮膚刺激性
が少なく、しかも優れた起泡力とクリーミィな泡質をそ
れぞれ有し、さらに毛髪に対する優れたコンディショニ
ング効果を示す洗浄剤組成物を提供することは明らかで
ある。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一般式（Ａ） 【化１】 （ここで、Ｒは炭素数９〜１５のアルキル基またはアル
   ケニル基、Ｍはアルカリ金属，アルカリ土類金属，アン
   モニウムあるいは有機アミンを示す。ｎは２〜５の数を
   示す。）で表わされるＮ−ポリオキシエチレン脂肪酸ア
   ミド硫酸エステル塩と、一般式（Ｂ） 【化２】 （ここで、Ｒは炭素数６〜１８の炭化水素基、ｍ，ｎは
   整数でｍ＝０〜９，ｎ＝１〜１０，ｍ＋ｎ＝１〜１０、
   またＭは水素，アルカリ金属，アンモニウムあるいは有
   機アミンを示す。）で表わされるβ−アラニン型両性界
   面活性剤とを含有してなる洗浄剤組成物。