JP3216848B2 - 洗浄剤組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は洗浄力と泡立ちに優れ、
使用後にさっぱりとした使用感があり、かつ、皮膚刺激
性・眼粘膜刺激性が極めて少ない洗浄剤組成物に関し、
特に皮膚洗浄剤組成物及び頭髪用洗浄剤組成物に関す
る。

【０００２】

【従来の技術およびその課題】従来より使用されている
洗浄用界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、非イ
オン界面活性剤、両性界面活性剤等がある。アニオン界
面活性剤の代表例としては、アルキルサルフェートやア
ルキルエーテルサルフェート等があり、これらは洗浄力
に優れていることから洗顔用やシャンプー等の多くの洗
浄剤に配合使用されている。しかし、皮膚刺激性が強い
ため手荒れ等の皮膚障害を起こしやすく、また、毛髪等
に対しても吸着しやすく洗浄性が強いため毛髪のなめら
かさ、櫛通り等を悪化させる等の欠点を有していた。

【０００３】皮膚刺激性の少ない界面活性剤としては、
非イオン界面活性剤があり、例えばグリセリン高級脂肪
酸エステル、ショ糖高級脂肪酸エステル、ソルビタン高
級脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの非イオン界
面活性剤はアニオン界面活性剤に比べて低刺激性である
ものの、泡立ちが悪いため使用性の面では、洗顔料、シ
ャンプー、ボディ洗浄料や台所洗剤の要求を満足させる
ものではなかった。そして、脂肪酸とアミンの縮合物で
あるアマイド類がよく使用されているが、アニオン界面
活性剤との併用で利用されることが多く、皮膚刺激性の
改善どころか、さらに強めているのが現状である。

【０００４】両性界面活性剤としては、比較的刺激の少
ないイミダゾリン型ベタイン、アニオン界面活性剤と同
程度の強い刺激性を持つジメチルベタインやアミンオキ
サイドなどが挙げられる。これら両性界面活性剤は泡質
・洗浄力・使用感等の点で効果が不充分なため、単独で
使用されることは少なく、アニオン界面活性剤と併用さ
れることが多い。また、特定のアニオン界面活性剤との
特定比率の配合によっては、刺激性が改善されるという
特性がみられるが、その刺激低減の程度は充分なもので
はなく、大幅な改善が望まれている。

【０００５】このような背景と生活水準の高度化に伴
い、身体に対して安全な性質を有する低刺激性界面活性
剤の開発や、低刺激性で使用性良好な洗浄剤組成物の開
発が強く望まれていた。低刺激性の洗浄料組成物として
は特開平4-122798号の技術がある。これは従来の洗浄料
に比べ、刺激性については極めて低く、充分満足できる
ものであるが、使用性に関しては泡立ち、洗浄力、すす
ぎ時のぬめり感といった点で若干不満が残るものであっ
た。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者らは上記事情に
鑑み鋭意研究の結果、特定の界面活性剤を特定比率で配
合すると泡立ちと洗浄力に優れ、使用後のさっぱりとし
た使用性をより向上させることができ、かつ、皮膚刺激
性・眼刺激性の低い洗浄剤組成物が得られることを見出
し、本発明を完成させるに至った。

【０００７】すなわち本発明は、ポリオキシエチレン硬
化ヒマシ油（Ｉ）と、Ｎ−アシルアミノ酸塩（Ａ）及び
アシルＮ−メチルタウリン塩（Ｂ）のアニオン界面活性
剤（ＩＩ）と、両性界面活性剤（ＩＩＩ）の４種を有効
成分として含有し、含有比（Ａ）／（Ｂ）＝０．１〜
１．０、（Ｉ）／〔（ＩＩ）＋（ＩＩＩ）〕＝０．１〜
１０．０の割合で含有する洗浄剤組成物である。

【０００８】以下、本発明の構成について詳述する。本
発明に用いられるポリオキシエチン硬化ヒマシ油（Ｉ）
は、

【化１】 （式中、ａ，ｂ，ｃはポリオキシエチレン基の付加モル
数を表し、ａ＋ｂ＋ｃ＝２０〜３００である。）で表さ
れ、長鎖の酸化エチレン基を有することを特徴とする
が、酸化エチレン付加モル数は合計で２０〜３００が適
当であり、好ましくは３０〜２００である。酸化エチレ
ン付加モル数が２０未満では均一な混合系になりにく
く、３００を越えると増粘しすぎて好ましくない。

【０００９】本発明に用いられるＮ−アシルアミノ酸塩
（Ａ）としては、 （ｉ）Ｎ−アシルサルコシン塩

【化２】 （式中、Ｒ₁ は炭素数７〜２１のアルキル基又はアルケ
ニル基、Ｍ₁ は水素、アルカリ金属、アルカノールアミ
ンを表す。） （ｉｉ）Ｎ−アシル−Ｎ−メチル−β−アラニン塩

【化３】 （式中、Ｒ₂ は炭素数７〜２１のアルキル基又はアルケ
ニル基、Ｍ₂ は水素、アルカリ金属、アルカノールアミ
ンを表す。） （ｉｉｉ）Ｎ−アシルグルタミン酸塩

【化４】 （式中、Ｒ₃ は炭素数７〜２１のアルキル基又はアルケ
ニル基、Ｍ₃ ，Ｍ₄ は水素、アルカリ金属、アルカノー
ルアミンを表す。）が挙げられ、これらの中で最も好ま
しいのは、Ｎ−アシルグルタミン酸塩である。

【００１０】本発明で用いられる両性界面活性剤（ＩＩ
Ｉ）としては、Ｎ，Ｎ−ジメチル−Ｎ−ラウリル−Ｎ−
カルボキシメチルアンモニウムベタイン、Ｎ，Ｎ−ジメ
チル−Ｎ−オレイル−Ｎ−カルボキシメチルアンモニウ
ムベタイン等のカルボキシベタイン、スルホベタイン、
アミドベタイン、アミドスルホベタインなどのベタイン
型、２−ラウリル−Ｎ−カルボキシエチル−Ｎ−ヒドロ
キシエチルイミダゾリニウムベタイン、２−ラウリル−
Ｎ−カルボキシメチル−Ｎ−ヒドロキシエチルイミダゾ
リニウムベタイン等のイミダゾリン誘導体型、Ｎ−ヤシ
アルキル−β−アミノプロピオン酸ソーダ塩、Ｎ−ヤシ
アルキル−β−イミノジプロピオン酸ジソーダ塩等のア
ミノカルボン酸等が挙げられる。これらの中で最も好ま
しいのは、イミダゾリン誘導体型である。

【００１１】本発明の洗浄剤組成物において、Ｎ−アシ
ルアミノ酸塩（Ａ）とアシルＮ−メチルタウリン（Ｂ）
の含有比は、洗浄剤組成物中に重量比で（Ａ）／（Ｂ）
＝０．１〜１．０であり、特に好ましくは０．２〜１．
０である。含有比（Ａ）／（Ｂ）が０．１未満もしくは
１．０を越える場合には本発明の効果を奏することはで
きないこともある。

【００１２】本発明の洗浄剤組成物において、ポリオキ
シエチレン硬化ヒマシ油（Ｉ）とアニオン界面活性剤
（ＩＩ）と両性界面活性剤（ＩＩＩ）との含有比は、洗
浄剤組成物中に重量比で（Ｉ）／〔（ＩＩ）＋（ＩＩ
Ｉ）〕＝０．１〜１０．０であり、特に好ましくは０．
１〜２．０である。含有比（Ｉ）／〔（ＩＩ）＋（ＩＩ
Ｉ）〕が０．１未満もしくは１０．０を越える場合には
本発明の効果を奏することはできないこともある。

【００１３】本発明の洗浄剤組成物は透明または不透明
均一系で、さらにこの組成物に水を添加したものも、透
明または不透明均一系で有用である。

【００１４】本発明の洗浄剤組成物には、さらに必要に
応じて高級アルコール、シリコーン油、流動パラフィ
ン、エステル油等の油分、プロピレングリコール、グリ
セリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール等の
保湿剤成分、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロース等の水溶性高分子、動植物の天然エキスおよびそ
の誘導体、クエン酸、乳酸等の有機酸、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム等の無機塩、香料、染料等の色剤、防
腐剤、キレート剤、紫外線吸収剤などの一般に洗浄剤組
成物に配合される成分を配合することができる。なお、
これらは本発明の目的を損なわない質的・量的条件下で
使用されなければならない。

【００１５】本発明の洗浄剤組成物は、頭髪用シャンプ
ー、ボディー用洗浄剤、洗顔料、メイク落とし用洗浄
剤、乳幼児用シャンプー、乳幼児用ボディー用洗浄剤、
台所用液体洗剤、医療用洗剤、その他各種の用途に利用
できる。

【００１６】

【実施例】次に実施例および比較例を挙げて本発明を具
体的に説明するが本発明はこれにより限定されるもので
はない。配合量は重量％である。

【００１７】実施例に先立ち、評価法を以下に示す。 （１）泡立ち試験 CaCO₃ 70ppm の人工硬水で、試料濃度１％溶液400ml を
調製し、攪拌機つきシリンダーを用いて、40℃にて起泡
量を測定した。 ◎・・・・・非常に良好（泡量2200ml以上） ○・・・・・良好 （泡量1800ml以上2200ml未満） △・・・・・ふつう （泡量1400ml以上1800ml未満） ×・・・・・不良 （泡量1400ml未満）

【００１８】（２）洗浄性試験 CaO／MgO＝３／１，５°ＤＨ人工硬水で、試料濃度１％
溶液を作製し、ウールサージを用いた人工皮脂汚染布を
洗浄した。温度４０℃の条件下でターゴトメーター（JI
S K-3371）を用いて洗浄し、洗浄前後の反射率より洗浄
効果を求めた。 Ｒｏ：原布（ウールサージ）の反射率 Ｒｓ：汚染布の反射率 Ｒｗ：洗浄後の汚染布の反射率 尚、評価基準は以下に従った。 ○・・・・・良好 （洗浄効率 80％以上） △・・・・・ふつう （洗浄効率 60％以上80未満） ×・・・・・不良 （洗浄効率 60％未満）

【００１９】（３）使用性試験 各試料につき、男女各５名、計１０名のパネルを用いて
官能で使用性（さっぱり感）を評価した。尚、評価基準
は以下に従った。 ◎・・・・・非常に良好（10人中８〜10名が良いと答え
た） ○・・・・・良好 （10人中６〜７名が良いと答え
た） △・・・・・ふつう （10人中４〜５名が良いと答え
た） ×・・・・・不良 （10人中０〜３名が良いと答え
た）

【００２０】（４）刺激性試験 卵白アルブミンのｐＨ７緩衝液に、試料濃度１％になる
ように試料を添加し、水系高速液体クロマトグラフ法に
より２２０ｎｍの吸収ピークを測定し、次式によって卵
白アルブミンの変性率を算出した。 変性率（％）＝１００×（Ｈｏ−Ｈｓ）／Ｈｏ Ｈｏ：卵白アルブミン緩衝溶液の吸収ピークの高さ Ｈｓ：卵白アルブミン緩衝溶液に試料を添加した時の吸
収ピークの高さ 尚、評価基準は以下に従った。 ◎・・・・・殆ど刺激性無し。（変性率２０％未満） ○・・・・・弱い刺激性。 （変性率２０％以上４０
％未満） △・・・・・中程度の刺激性。（変性率４０％以上６０
％未満） ×・・・・・強い刺激性。 （変性率６０％以上）

【００２１】実施例１〜１３、比較例１〜９ 下記表１〜５に示す洗浄剤組成物を調製し、評価を行い
結果を示した。

【００２２】

【表１】

【００２３】

【表２】

【００２４】

【表３】

【００２５】

【表４】

【００２６】

【表５】

【００２７】 実施例１４ ボディーシャンプー ポリオキシエチレン（６０）硬化ヒマシ油 ６．０ Ｎ−ステアロイル−Ｌ−グルタミン酸ナトリウム ２．０ ラウロイル−Ｎ−メチルタウリンナトリウム ４．０ ２−ラウリル−Ｎ−カルボキシエチル−Ｎ− ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン １０．０ 香料 適量 染料 適量 防腐剤 適量 緩衝剤 適量 精製水 残余 上記ボディーシャンプーは洗浄力と泡立ちに優れ、使用
後のさっぱり感に優れ、かつ、刺激性の低いものであっ
た。

【００２８】 実施例１５ ボディーシャンプー ポリオキシエチレン（９０）硬化ヒマシ油 ５．０ Ｎ−ラウロイル−Ｎ−メチル−β−アラニンナトリウム ３．０ ヤシ油脂肪酸−Ｎ−メチルタウリンナトリウム ５．０ Ｎ，Ｎ−ジメチル−Ｎ−ラウロイル−Ｎ− カルボシキメチルアンモニウムベタイン ３．０ 香料 適量 染料 適量 防腐剤 適量 緩衝剤 適量 精製水 残余 上記ボディーシャンプーは洗浄力と泡立ちに優れ、使用
後のさっぱり感に優れ、かつ、刺激性の低いものであっ
た。

【００２９】 実施例１６ シャンプー ポリオキシエチレン（４０）硬化ヒマシ油 ４．０ Ｎ−ラウロイルサルコシンナトリウム ３．０ ラウリル−Ｎ−メチルタウリンナトリウム ６．０ Ｎ，Ｎ−ジメチル−Ｎ−ラウリル−Ｎ− カルボキシメチルアンモニウムベタイン ４．０ エチレングリコールジステアリン酸エステル ２．０ タンパク質誘導体 ０．５ 香料 適量 防腐剤 適量 緩衝剤 適量 水 残余 上記シャンプーは洗浄力と泡立ちに優れ、使用後のさっ
ぱり感に優れ、かつ、刺激性の低いものであった。

【００３０】 実施例１７ ボディーシャンプー ポリオキシエチレン（６０）硬化ヒマシ油 ３．０ ポリオキシエチレン（４０）硬化ヒマシ油 ３．０ Ｎ−ラウロイル−Ｌ−グルタミン酸ナトリウム ２．０ ラウリル−Ｎ−メチルタウリンナトリウム ４．０ ２−ラウリル−Ｎ−カルボキシエチル−Ｎ− ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン １０．０ グリセリン １５．０ 香料 適量 染料 適量 防腐剤 適量 緩衝剤 適量 精製水 残余 上記ボディーシャンプーは洗浄力と泡立ちに優れ、使用
後のさっぱり感に優れ、かつ、刺激性の低いものであっ
た。

【００３１】 実施例１８ シャンプー ポリオキシエチレン（６０）硬化ヒマシ油 ２．０ Ｎ−ラウロイルサルコシンナトリウム １．８ ラウリル−Ｎ−メチルタウリンナトリウム ２．０ Ｎ，Ｎ−ジメチル−Ｎ−ラウリル−Ｎ− カルボキシメチルアンモニウムベタイン １０．０ グリセリン １５．０ タンパク質誘導体 ０．５ 香料 適量 防腐剤 適量 緩衝剤 適量 水 残余 上記シャンプーは洗浄力と泡立ちに優れ、使用後のさっ
ぱり感に優れ、かつ、刺激性の低いものであった。

【００３２】 実施例１９ シャンプー ポリオキシエチレン（５０）硬化ヒマシ油 １．５ Ｎ−ラウロイル−Ｎ−メチル−β−アラニンナトリウム ２．１ ラウリル−Ｎ−メチルタウリンナトリウム ３．０ Ｎ，Ｎ−ジメチル−Ｎ−ラウリル−Ｎ− カルボキシメチルアンモニウムベタイン ７．４ ジグリセリン １８．０ 香料 適量 防腐剤 適量 緩衝剤 適量 水 残余 上記シャンプーは洗浄力と泡立ちに優れ、使用後のさっ
ぱり感に優れ、かつ、刺激性の低いものであった。

【００３３】

【発明の効果】本発明は、ポリオキシエチレン硬化ヒマ
シ油と特定のアニオン性界面活性剤と両性界面活性剤と
を特定の比率で配合することにより、洗浄力と泡立ちに
優れ、使用後のさっぱり感に優れ、かつ、刺激性の低い
洗浄剤組成物を提供するものである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ Ｃ１１Ｄ 1/90 Ｃ１１Ｄ 1/90 1/92 1/92 (72)発明者 佐々木 啓 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株式会社資生堂 第一リサーチセンター 内 審査官 藤原 浩子 (56)参考文献 特開 昭62−297398（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−272295（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−122798（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−198125（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−30599（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−288694（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−17342（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−41397（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) C11D 1/00 - 17/08 A61K 7/50

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油（Ｉ）
   を一種又は二種以上と、Ｎ−アシルアミノ酸塩（Ａ）を
   一種又は二種以上及びアシルＮ−メチルタウリン塩
   （Ｂ）を一種又は二種以上とするアニオン界面活性剤
   （ＩＩ）と、両性界面活性剤（ＩＩＩ）を一種又は二種
   以上とを含有し、含有比（Ａ）／（Ｂ）が重量比で０．
   １〜１．０、含有比（Ｉ）／〔（ＩＩ）＋（ＩＩＩ）〕
   が重量比で０．１〜１０．０であることを特徴とする洗
   浄剤組成物。
2. 【請求項２】 Ｎ−アシルアミノ酸塩（Ａ）がＮ−アシ
   ルサルコシン塩、Ｎ−アシル−Ｎ−メチル−β−アラニ
   ン塩、Ｎ−アシルグルタミン酸塩から選ばれる一種又は
   二種以上であることを特徴とする請求項１記載の洗浄剤
   組成物。
3. 【請求項３】 両性界面活性剤（ＩＩＩ）がイミダゾリ
   ン誘導体であることを特徴とする請求項１及び２記載の
   洗浄剤組成物。