JP2824140B2 - 洗浄剤組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は安全性が高く、皮膚及び毛髪に対する作用が
温和で、しかも選れた起泡力，洗浄力を有し、さらに皮
膚に対してぬるつき感が少ない洗浄剤組成物に関する。

〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕

従来洗浄剤用の界面活性剤としては、アルキル硫酸
塩，ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル
塩，α−オレンフィンスルホン酸塩等のアニオン界面活
性剤が広く使われている。しかし、これらアニオン界面
活性剤は皮膚刺激性である等、満足のいくものではな
い。

一方、本発明の（Ａ）成分であるＮ−アシルアスパラ
ギン酸塩と、脂肪酸ジアルカノールアマイドとを併用す
るシャンプー組成物が、提案されている（特公昭50−40
125号公報）。これは、皮膚に対する作用が温和である
が、前述したアニオン界面活性剤に比べると、洗浄性，
泡立ちが不十分で、また、皮膚上にぬるつき感が残るも
のであった。

又、本発明の（Ｂ）成分であるＮ−ポリオキシエチレ
ン脂肪酸アミド硫酸エステル塩に、Ｎ−ポリオキシエチ
レン脂肪酸アミドと、ラウリン酸又はヤシ油脂肪酸のジ
エタノールアミドを加えることによって、適度な洗浄
性，泡立ちを持つシャンプー組成物をつくることが提案
されているが（特開昭56−104999号公報）、これも前述
したアニオン界面活性剤ほどの洗浄性，泡立ちはなく、
皮膚刺激，ぬるつき感が残る。

このように、従来の洗浄剤組成物は、洗浄性，泡立
性，皮膚刺激の改善性，ぬるつき感のすべてに対して満
足のいくものではなかった。

本発明の発明者らは、Ｎ−アシルアスパラギン塩酸と
Ｎ−ポリオキシエチレン脂肪酸アミド硫酸エステル塩を
併用することによって、洗浄性や泡立ちの不十分さ，皮
膚刺激性，ぬるつき感の全てが悉く改善されることを見
出し、本発明を完成するに至った。

従って本発明の目的は、安全性が高く、皮膚及び毛髪
に対する作用が温和で、しかも優れた起泡力，洗浄力を
有し、更に皮膚に対してぬるつき感が少ない洗浄剤組成
物を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、下記一般式（Ａ）で表わされるＮ−アシル
アスパラギン酸塩と、下記一般式（Ｂ）で表わされるＮ
−ポリオキシエチレン脂肪酸アミド硫酸エステル塩を含
有することを特徴とする洗浄剤組成物である。

（式中、R₁は炭素数７〜21のアルキル基またはアルケニ
ル基、M₁及びM₂は水素またはNa,K,NH₄もしくはアルカノ
ールアミンから誘導されるカオチンを表わす。但し、
M₁,M₂が同時に水素であることはない。） 一般式（Ｂ）： R₂CO−NH（CH₂CH₂O）_nSC₃M₃ （式中、R₂は炭素数７〜17のアルキル基またはアルケ
ニル基、M₃はアルカリ金属またはアルカノールアミンか
ら誘導されるカオチンを示す。ｎは２〜５の整数を示
す。） 本発明に用いられる、一般式（Ａ）で表わされるＮ−
アシルアスパラギン酸塩は、Ｌ−体またはＤ−体または
両者の混合物のいずれを用いても良く、適当なものとし
て例えば、Ｎ−ラウロイルアスパラギン酸,N−ミリスト
イルアスパラギン酸,N−パルミトイルアスパラギン酸,N
−ステアロイルアサパラギン酸,N−オレオイルアスパラ
ギン酸，およびＮ−ココイルアスパラギン酸の、ナトリ
ウム塩，カリウム塩，アンモニウム塩，トリエタノール
アミン塩などが挙げられる。

又、Ｎ−アシルアスパラギン酸塩を用いる代わりに、
Ｎ−アシルアスパラギン酸を、可性ソーダやトリエタノ
ールアミン等と供に用いる等して、組成物中で塩が生成
するようにしても良い。

本発明に用いられる、一般式（Ｂ）で表わされるＮ−
ポリオキシエチレン脂肪酸アミド硫酸エステル塩として
は、起泡性，安定性，安全性等の面からｎ＝２〜５のも
のが好ましく、ポリオキシエチレン（E.O.付加モル数4;
以下4E.O.の様に略記する。）ヤシ油脂肪酸アミドエー
テル硫酸ナトリウム，ポリオキシエチレン（4E.O.）ラ
ウリル酸アミドエーテル硫酸トリエタノールアミン，ポ
リオキシエチレン（5E.O.）ミリスチン酸アミドエーテ
ル硫酸ナトリウム，ポリオキシエチレン（5E.O.）オレ
イン酸アミドエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。

一般式（Ａ）と（Ｂ）の含有量は、洗浄剤組成物全量
中約２〜30重量％が好ましく、更に好ましくは５〜25重
量％である。２重量％より少ないと充分な起泡力，洗浄
力が得られず、30重量％を超えると均一で安定な組成物
を得るのが困難となる。

（Ａ）／（Ｂ）の重量比は約5/1〜1/5の範囲となるよ
うに用いられるのが好ましい。この範囲以外の重量比で
は起泡力，洗浄力が不充分であったり、低刺激性が発揮
されない。

本発明の洗浄剤組成物には、上記の成分に加えて、洗
浄剤に常用されている他の成分や添加剤を、本発明の目
的を達成する範囲内で、適宜配合することも可能であ
る。

例えば高級アルコール，シリコン油，ラノリン誘導
体，蛋白誘導体やポリエチレングリコールの脂肪酸エス
テル類等の油性成分，ポリオキシエチレンアルキルエー
テル等の非イオン界面活性剤，ココアミドプロピルベタ
イン等の両性界面活性剤，ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース，ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分
子，カオチン性高分子〔ポリマーJR（ユニオンカーバイ
ドコーポレーション製），ポリコートNH（ヘンケル社
製），マーコート550（メルク社製），ガフカット755N
（GAF社製）等〕，フケ防止剤，キレート剤，紫外線吸
収剤,pH調整剤，色素及び香料等を含むことができる。

本発明の洗浄剤組成物としてはシャンプー等の頭髪用
組成物，ボデー洗浄剤，洗顔剤等が挙げられる。

〔実施例〕

次に実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
尚、効果の測定は以下の評価法に基づいて行った。

泡立ち ロスマイルス試験法に準じて起泡力を測定した。但
し、試料は２％水溶液（CaCO₃50ppm人工硬水使用）で温
度40℃である。

◎…泡立ちが極めて良好、起泡力250mm以上 ○…泡立ちが良好、起泡力210mm以上、250mm未満 △…泡立ちが普通、起泡力170mm以上、210mm未満 ×…泡立ちが不良、起泡力170mm未満 洗浄性試験法 5cm×5cmのウールモスリン布にラノリン７％及びスダ
ンIII0.005％のクロロホルム溶液0.4mlを均一に塗布し
乾燥させ、この汚染布を３％の洗浄剤溶液40mlが入った
約100mlのガラス製シリンダー中に入れ、40℃の恒温槽
中で15分振とうし、汚染布を流水中でよくすすぎ、乾燥
させ、反射率を調べ、次式により洗浄率を求めた。

また、評価の基準を次のように設定した。

◎：洗浄性優秀 洗浄率 85％以上 ○：洗浄性良好 洗浄率 70％以上85％未満 △：洗浄性普通 洗浄率 55％以上70％未満 ×：洗浄性不良 洗浄率 55％未満 皮膚刺激改善性（蛋白質変性率）試験法 水系高速液体クロマトグラフィーを利用し、卵白アル
ブミンpH7緩衝溶液に、温度が１％になるように試料を
加えた場合の卵白アルブミン変性率を、220nmの吸収ピ
ークを用いて測定した。

H_o:卵白アルブミンの220nm吸収ピークの高さ H_s:卵白アルブミン緩衝溶液に試料を加えた時の220
nm吸収ピークの高さ 評価の基準を次のように設定した。

◎：卵白アルブミン変性率 30％未満 ○：卵白アルブミン変性率 30％以上60％未満 △：卵白アルブミン変性率 60％以上80％未満 ×：卵白アルブミン変性率 80％以上 ぬるつき感 パネル10名を用い、各組成物を浴用スポンジ上にとっ
たものを用いてよく泡立て、身体の洗浄を行う。その
後、温水を用いてすすぎ、そのすすぎ後の身体のぬるつ
き感を評価した。

◎：ぬるつき感がない、 ○：ぬるつき感がほとんどない、 △：ぬるつき感がややある、 ×：ぬるつき感が大きい。

実施例１〜5,比較例１〜６ 第１表に示す配合組成のシャンプーを通常の方法で調
製し、前述の各試験を行い、第１表にその結果を示し
た。

実施例１〜５より明らかなように本発明の洗浄剤はい
ずれも優れた性能を示していた。一方必須成分のどちら
かを欠いた比較例1,2では泡立ち，洗浄性，ぬるつき感
が不充分であった。

又、必須成分の一つと、通常洗浄剤に使われる泡立ち
及び洗浄性に優れた界面活性剤との組み合わせ（比較例
3,4）では、皮膚刺激及びぬるつき感があった。一方、
特公昭50−40125号に記載の組み合わせ（比較例５）で
は、洗浄性は良好であるがぬるつき感があり、又、特開
昭56−104999号に記載の組み合わせ（比較例６）では皮
膚刺激，ぬるつき感があり、本発明の目的を達成できな
かった。

実施例６ 精製水にを溶解後、〜を加え約70℃にて均一に
混合する。40℃に冷却した後、を添加し、室温まで冷
却して頭髪用シャンプーを調製し、前述の方法にて評価
した。

（配合組成） （重量％） Ｎ−ラウロイルアスパラギン酸トリエタノールアミン 10.0 ポリオキシエチレン（4E.O.）ラウリン酸アミドエー
テル硫酸トリエタノールアミン 4.0 ラウリン酸アミドプロピルベタイン 2.0 ポリマーJR400（ユニオンカーバイト社製） 0.3 色素，香料 適量 精製水 残余 この頭髪用シャンプーは、泡立ち，洗浄性に優れ、皮
膚に対する刺激が少なく、ぬるつき感もなかった。

実施例７ 精製水にを溶解後、及びを添加し、約70℃に冷
却した後を加え、室温まで冷却してボデーシャンプー
を調製し、前述の方法にて評価した。

（重量％） Ｎ−ミリストイルアスパラギン酸トリエタノールアミ
ン 15.0 ポリオキシエチレン（3E.O.）ラウリン酸アミドエー
テル硫酸ナトリウム 5.0 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.5 色素，香料 適量 精製水 残余 このボデーシャンプーは泡立ち，洗浄性に優れ、皮膚
に対する刺激が少なく、ぬるつき感が少なかった。

〔発明の効果〕

以上記載の如く、本発明が優れた起泡力，洗浄力を有
し、しかも皮膚及び髪に対する作用が温和で、さらに皮
膚に対してぬるつき感が少ない洗浄剤組成物を提供する
ことは明らかである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｃ１１Ｄ 1:10）

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下記一般式（Ａ）で表わされるＮ−アシル
   アスパラギン酸塩と、下記一般式（Ｂ）で表わされるＮ
   −ポリオキシエチレン脂肪酸アミド硫酸エステル塩を含
   有することを特徴とする洗浄剤組成物。 （式中、R₁は炭素数７〜21のアルキル基またはアルケニ
   ル基、M₁及びM₂は水素またはNa,K,NH₄もしくはアルカノ
   ールアミンから誘導されるカオチンを表わす。但し、
   M₁,M₂が同時に水素であることはない。） 一般式（Ｂ）： R₂CO−NH（CH₂CH₂O）_nSO₃M₃ （式中、R₂は炭素数７〜17のアルキル基またはアルケニ
   ル基、M₃はアルカリ金属またはアルカノールアミから誘
   導されるカオチンを示す。ｎは２〜５の整数を示す。）