JP3619910B2 - ポリエチレン樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不純物が極めて少なく、かつ、これまでにない物性バランスを有するポリエチレン樹脂組成物に関する。更に詳しくは、比較的高密度(例えば、密度が0.920g/cm3以上)の直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと略す)の範躊において、触媒残さやワックスなどの不純物が少なく、かつ、透明性及び耐衝撃性や耐引き裂き性(以下、これらを耐高速破壊性という)に優れたポリエチレン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレンとα−オレフィンの共重合体の中で、密度が0.910〜0.940g/cm3の範囲にあるものはLLDPEと呼ばれ、密度が0.940g/cm3を越える高密度ポリエチレン(以下、HDPEと略す)に比べると、透明であり、耐高速破壊性や耐久性に優れるため、これらの特徴を生かして、フィルム、押し出し、ブロー、インジェクションブロー及び中空成形品に展開され、各種用途に用いられている。
【0003】
近年、医療用容器や高純度薬品容器など、クリーン性が要求される用途分野においても、上記特性や加工性の良さが着目されLLDPEの使用が増加している。医療用容器は、その性格上、製品化過程に加熱滅菌処理の工程を含む場合が多く、上記特性に加えて耐熱性が要求される。また、高純度薬品容器は大型のものが多く、形状保持のためにある程度の堅さが要求される。
【0004】
LLDPEの耐熱性や堅さは密度によって異なり、上記用途分野では比較的高密度(例えば、密度が0.920g/cm3以上)のものが好んで用いられている。しかし、密度が高くなると、LLDPEの本来の特徴である透明性が悪くなり、耐高速破壊性や耐久性も低下する。従って、透明性や耐高速破壊性及び耐久性をあまり問題としない上記用途分野には対応が可能であるが、これらの性能が要求される場合はLLDPEでの展開が困難であった。
【0005】
医療用容器や高純度薬品容器に要求される「クリーン性」とは容器中に充填した内容物(薬液、血液など)中に発生する「微粒子」の数により評価され、微粒子の数が少ないほどクリーン性が高いことになる。
【0006】
LLDPE樹脂製容器に充填された内容物に微粒子が発生するメカニズムは明らかでないが、樹脂製造の際に使用された触媒の残さや樹脂中に配合された中和剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線防止剤などの各種添加剤、あるいは樹脂中に含まれるワックス成分がその要因と考えられる。
【0007】
従って、LLDPE樹脂を上記用途分野に使用する際には、クリーン性を高めるために、通常、添加剤を配合せずに用いられるが、触媒残さを低減させることは従来の技術では限界があり、また、ワックス成分を低減させることは技術的には可能であるが、プロセス上煩雑となり生産性、コストの面から現実的ではなく、満足すべきクリーン性を達成することは困難であった。
【0008】
最近、メタロセン触媒の出現により、組成分布が均一で、かつ、分子量分布が狭いエチレン/α−オレフィン共重合体を高活性に製造できるようになった。従って、メタロセン触媒を用いれば、ワックス成分や触媒残さが極めて少なく、クリーン性に優れたLLDPEを得ることが可能である。
【0009】
しかし、メタロセン触媒で得られるLLDPEにおいても、低密度のものは従来のチーグラー型触媒で得られるものと比較して透明性に優れるものの、比較的高密度のものに関しては、透明性や耐高速破壊性が低下するという問題が依然存在する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、医療用容器や高純度薬品用容器としてLLDPEを使用する際に生じる諸問題を解決すること、すなわち、充填物中の微粒子発生の要因となる上記不純物が極めて少なく、比較的高密度のLLDPEが有する堅さや耐熱性を保持しながら、高透明及び耐高速破壊性を達成するポリエチレン樹脂組成物の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、分子量分布及び組成分布の狭いエチレン/α−オレフィン共重合体に、触媒残さ及びワックス成分が少なく、かつ、分子量が比較的大きい(MFRが比較的小さい)エチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体を1種類以上混合した組成物がクリーン性が高く、かつ、堅さと透明性のバランスに優れていること、そして、これらエチレン/α−オレフィン共重合体の密度を適当に選択することにより、クリーン性及び堅さと透明性のバランスに加えて耐高速破壊性に優れることを見い出した。
【0012】
すなわち、本発明は、
(a)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3以下であり、
(b)示差走査型熱量計において、200℃で5分間溶融し、その後10℃/分で30℃まで降温し、再度10℃/分で昇温させた時に得られる吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm(℃))と赤外線吸収スペクトルの測定から求められる炭素数1000個当りの短鎖分岐数(SCB)とが(1)式で示される関係を満たすエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体(以下、[A]という)と、
Tm<−1.8×SCB+138 (1)
(c)100℃の熱水に1時間浸し、その後室温まで放冷したものの密度が0.945g/cm3以上であり、
(d)190℃,2160gの荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.01〜8g/10分であり、
(e)電気炉中において650℃で完全灰化させた際の灰分量が0.02重量%以下であり、
(f)50℃における、n−ヘキサン可溶分が0.2重量%以下である、エチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体(以下、[B]という)とからなり、
(g)[A]:[B]重量比が95:5〜5:95であることを特徴とするポリエチレン樹脂組成物に関するものである。
【0013】
上記[A]のエチレン/α−オレフィン共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定された重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3以下である。Mw/Mnが3を越えると、ワックス成分が多くなりクリーン性が低下すると共に、上記[B]とからなる組成物においてべたつきが生じ、好ましくない。
【0014】
また、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、示差走査型熱量計において、200℃で5分間溶融し、その後10℃/分で30℃まで降温し、再度10℃/分で昇温させた時に得られる吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm(℃))と赤外線吸収スペクトルの測定から求められる炭素数1000当りの短鎖分岐数(SCB)とが(1)式の関係を満たすものである。(1)式を満たさないエチレン/α−オレフィン共重合体は組成分布が広く、上記[B]とからなる組成物において、(1)式を満たす[A]からなる同様の組成物に比べて、透明性や耐高速破壊性が劣る。
【0015】
Tm<−1.8×SCB+138 (1)
上記[A]のエチレン/α−オレフィン共重合体の密度に関しては、特に規定はないが、その密度によって得られる効果が若干異なる。
【0016】
[A]の密度が0.920g/cm3を越える場合、上記[B]とからなる組成物は、堅さと高透明を主な特徴とする。
【0017】
[A]のエチレン/α−オレフィン共重合体の密度が0.890〜0.920g/cm3の範囲にある場合は、[B]とからなる組成物は、堅さと高透明に加えて、耐高速破壊性を特徴とするものである。密度が0.920g/cm3を越える場合は、先に記した様に、堅さと高透明が主な特徴で、耐高速破壊性に関する効果は得られない。一方、密度が0.890g/cm3より小さい場合は、 [A]のエチレン/α−オレフィン共重合体の耐引き裂き性が小さくなるので、[B]との組成物においても耐引き裂き性が小さい。
【0018】
さらに、[A]のMFRに関しては特に規定はないが、MFRは0.01〜50g/10分の範囲であることが好ましい。MFRが0.01g/10分より小さい場合は、流動性が悪く加工しづらい。また、MFRが50g/10分を越える場合は、[A]の耐高速破壊性が小さくなるので、[B]との組成物においても耐高速破壊性が小さくなる。以上、上記[A]のエチレン/α−オレフィン共重合体は、例えば、メタロセン系触媒を用いて得ることができる。以下に、その触媒系及び重合方法を例示するが、本発明における[A]のエチレン/α−オレフィン共重合体の製造方法は、これに限定されるものではない。
【0019】
具体的には、メタロセン系触媒は、a)メタロセン化合物、b)イオン性化合物、c)有機アルミニウム化合物を構成成分とする触媒系を例示することができる。
【0020】
a)メタロセン化合物、下記一般式(2)または(3)
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】
[式中、Cp1、Cp2は各々独立してシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはこれらの置換体であり、R1は低級アルキレン基、置換アルキレン基、ジアルキルシランジイル基、ジアルキルゲルマンジイル基、アルキルホスフィンジイル基またはアルキルイミノ基であり、R1はCp1及びCp2を架橋するように作用しており、R2、R3は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基またはアリーロキシ基であり、M1はチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である]で示される化合物であり、その具体的な化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、エチレンビス(インデニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(3−メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイルブス(3−メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロライド、メチルフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロッペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)チタニウムジクロライド、メチルフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレンビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、メチルフェニルメチレンビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(インデニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレンビス(インデニル)チタニウムジクロライド等のチタニウム化合物や、そのチタニウムをジルコニウムやハフニウムに置換した化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
b)イオン性化合物は、
[HL1 l][M2Z4] (4)
[式中、Hはプロトンであり、L1は各々独立してルイス塩基であり、1は0<1≦2であり、M2はホウ素原子、アルミニウム原子またはガリウム原子であり、Zは各々独立して炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、アリール基、アルキルアリール基もしくはアリールアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン置換アリールオキシ基またはハロゲン原子]
で表されるプロトン酸、
[C][M2Z4] (5)
[式中、Cはカルボニルカチオンまたはトロピリウムカチオンであり、M2はホウ素原子、アルミニウム原子またはガリウム原子であり、Zは各々独立して炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、アリール基、アルキルアリール基もしくはアリールアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基もしくはハロゲン置換アルコキシ基、炭素数6〜20のハロゲン置換アリールオキシ基またはハロゲン原子]
で表されるルイス酸、または
[M3L2p][M2Z4] (6)
[式中、M3は周期表のVIII族、IA族、IB族、IIA族およびIIB族から選ばれる金属の陽イオンであり、M2はホウ素原子、アルミニウム原子またはガリウム原子であり、Zは各々独立して炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、アリール基、アルキルアリール基もしくはアリールアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基もしくはハロゲン置換アルコキシ基、炭素数6〜20のハロゲン置換アリールオキシ基またはハロゲン原子であり、L2はルイス酸基またはシクロペンタジフェニル基であり、pは0≦p≦2である]
で表される金属塩からなる化合物であり、これらの具体的な化合物としては、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(m−トリル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、トリ (n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(m−トリル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフォニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(m−トリル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ジメチュルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス (ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(p−トリル)ボレート、トロピリウムテトラキス(m−トリル)ボレート、トロピニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(フェニル)ボレート、リチウムテトラキス(p−トリル)ボレート、リチウムテトラキス(m−トリル)ボレート、リチウムテトラキス (2,4−ジメチルフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、リチウムテトラフルオロボレート、ナトリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ナトリウムテトラキス(フェニル)ボレート、ナトリウムテトラキス(p−トリル)ボレート、ナトリウムテトラキス(m−トリル)ボレート、リチウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、ナトリウムテトラフルオロボレート、カリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、カリウムテトラキス(フェニル)ボレート、カリウムテトラキス(p−トリル)ボレート、カリウムテトラキス(m−トリル)ボレート、カリウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、カリウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、カリウムテトラフルオロボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(p−トリル)アルミネート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(m−トリル)アルミネート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)アルミネート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)アルミネート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(m−トリル)アルミネート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)アルミネート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)アルミネート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(p−トリル)アルミネート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(m−トリル)アルミネート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)アルミネート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)アルミネート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、トロピリウムテトラキス(p−トリル)アルミネート、トロピリウムテトラキス(m−トリル)アルミネート、トロピリウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)アルミネート、トロピリウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)アルミネート、トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、リチウムテトラキス(フェニル)アルミネート、リチウムテトラキス(p−トリル)アルミネート、リチウムテトラキス(m−トリル)アルミネート、リチウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)アルミネート、リチウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)アルミネート、リチウムテトラフルオロアルミネート、ナトリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、ナトリウムテトラキス(フェニル)アルミネート、ナトリウムテトラキス(p−トリル)アルミネート、ナトリウムテトラキス(m−トリル)アルミネート、ナトウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)アルミネート、ナトウムテトラキス (3,5−ジメチルフェニル)アルミネート、ナトウムテトラフルオロアルミネートカリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、カリウムテトラキス(p−トリル)アルミネート、カリウムテトラキス(m−トリル)アルミネート、カリウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)アルミネート、カリウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)アルミネート、カリウムテトラフルオロアルミネート、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
c)有機アルミニウム化合物は、
AlR4R4 ′R4 ″ (7)
[式中、R4、R4 ′、R4 ″は各々独立して水素、ハロゲン、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基またはアリール基であり、かつ少なくとも一つはアルキル基である]で表される化合物であり、これらの具体的な化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、ジイソプロピルアルミニウムクロライド、イソプロピルアルミニウムジクロライド、トリブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、トリ−t−ブチルアルミニウム、ジ−t−ブチルアルミニウムクロライド、t−ブチルアルミニウムジクロライド、トリアミルアルミニウム、ジアミルアルミニウムクロライド、アミルアルミニウムジクロライド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
a)メタロセン化合物は、1種類または2種類以上混合して用いることができ、混合して重合すると共重合体の加工性が向上し、好ましい。
【0027】
上記触媒系の調製方法には特に制限はないが、例えば、メタロセン化合物、有機アルミニウム化合物およびイオン性化合物の各々に対して、不活性な溶媒下で混合する方法が挙げられる。
【0028】
イオン性化合物は、メタロセン化合物に対して一般に0.01〜1000倍モルの範囲で用いられ、好ましくは0.2〜200倍モルの範囲である。
【0029】
有機アルミニウムの使用量については特に制限はないが、通常、メタロセン化合物に対して、1〜1000倍モル程度用いられる。さらに、上記触媒系を用いた重合は、液相でも気相でも行うことができる。仮に、重合を液相で行う場合は、溶媒として一般に用いられる有機溶剤であればいずれでもよく、具体的には、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、塩化メチレン等が挙げられる。また、エチレン、α−オレフィン自身を溶媒とすることもできる。
【0030】
炭素数3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が挙げられ、これらのうち1種類または2種類以上が用いられる。
【0031】
重合温度に関しては特別な制限はないが、通常、−100〜300℃の範囲で行うことが好ましい。また、重合圧力についても特に制限はないが、通常は大気圧〜30kgf/cm2で行われるが、大気圧〜3500kgf/cm3の範囲で行うことも可能である。
【0032】
上記触媒系は担体に担持させてなる固体触媒として用い、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンを共重合させることにより、本発明におけるエチレン/α−オレフィン共重合体を得ることもできる。このような固体触媒はメタロセン化合物、メタロセン化合物とイオン性化合物との混合物、メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物との反応生成物、イオン性化合物自体または有機アルミニウム化合物自体を、例えば、シリカ、アルミナ、塩化マグネシウム、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーまたはポリエチレンのような担体上に付着させることによって得ることができる。
【0033】
次に、本発明における[B]のエチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体は、100℃の熱水に1時間浸し、その後室温まで放冷したものの密度が0.945g/cm3以上である。密度が0.945g/cm3未満の場合は、[A]のエチレン/α−オレフィン共重合体と混合して、堅さを保持しようとすると、[B]を多量に混合しなければならず、これによって、透明性が悪化し、耐高速破壊性が弱くなる。
【0034】
また、上記[B]のエチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体は、190℃、2160gの荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.01〜8g/10分の範囲である。MFRが0.01g/10分より小さい場合は流動性が悪くなり、8g/10分より大きいものは、上記[A]とからなる組成物の透明性が不十分で、目的とする組成物が得られない。
【0035】
また、この[B]のエチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体は、電気炉中において650℃で完全灰化させた際の灰分量が0.02重量%以下である。灰分量が0.02重量%を越える場合は、上記[A]とからなる組成物のクリーン性が低下し、この樹脂を用いて成形した容器中に内容物(薬液、血液など)を充填した際に、内容物中に多数の微粒子が発生する。
【0036】
また、この[B]のエチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体は、50℃における、n−ヘキサン可溶分が0.2重量%以下である。n−ヘキサン可溶分が0.2重量%を越える場合は、灰分量の場合と同様に、上記[A]とからなる組成物のクリーン性が低下し、この樹脂を用いて成形した容器中に内容物(薬液、血液など)を充填した際に、内容物中に多数の微粒子が発生する。
【0037】
[B]のエチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体は、例えば、従来公知の低圧重合またはチーグラー型触媒を用いた重合あるいは前述のメタロセン触媒を用いた重合により得ることができる。
【0038】
本発明の組成物は、上記エチレン/α−オレフィン共重合体[A]にエチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体[B]を1種類以上、重量比([A]:[B])で95:5〜5:95の範囲で得られる組成物となるように混合することによって製造することができるが、[A]の密度によって、より好ましい混合比が存在する。すなわち、[A]の密度が0.920g/cm3を越える場合は、[A]:[B]重量比で95:5〜40:60であることが堅さと透明性のバランスの上からより好ましい。密度が0.890〜0.920g/cm3の範囲では、[A]:[B]重量比が90:10〜60:40であることが堅さと耐高速破壊性のバランスの上からより好ましい。
【0039】
また、得られる組成物の密度が0.920g/cm3以上であり、190℃,2160gの荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜20g/10分の範囲となるようにすることにより、透明性や耐衝撃性および耐引き裂き性に、優れたポリエチレン樹脂組成物が得られる。
【0040】
本発明におけるポリエチレン樹脂組成物は、エチレン/α−オレフィン共重合体[A]とエチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体[B]とのドライブレンドでもよいが、押し出し機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練したものの方が、品質の安定したものが得られるので好ましい。
【0041】
また、本発明におけるポリエチレン樹脂組成物は、クリーン性に影響を及ぼさない範囲内で、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般的に用いられている添加剤を添加しても構わない。
【0042】
さらに、本発明は、LLDPEの加工性改良のために一般的に混合される高圧ラジカル重合法で得られる低密度ポリエチレン(HP−LDPE)を20重量%までならば添加しても構わない。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
実施例におけるエチレン/α−オレフィン共重合体[A]としては、エチレン/ブテン−1共重合体またはエチレン/ヘキセン−1共重合体を用いた。これらを得るために用いた触媒系は、メタロセン化合物としてジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、イオン性化合物としてN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、そして有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウムであり、メタロセン化合物、イオン性化合物及び有機アルミニウムの量は、モル比(メタロセン化合物:イオン性化合物:有機アルミニウム)で1:2:250である。触媒の調製にはトルエンを用いた。ここで用いた共重合体は、上記の触媒系を用い、重合温度165℃、重合圧力900kgf/cm2で重合することによって得られたものである。重合、精製、反応及び溶媒精製は、すべて不活性ガス雰囲気で行った。また、反応に用いた溶媒等は、すべて予め公知の方法で精製、乾燥及び脱酸素を行ったものを用い、反応に用いた化合物は公知の方法により合成、同定したものを用いた。
【0045】
実施例及び比較例に用いた組成物は、混合成分を適当な組成で混ぜ合わせた後、単軸押出機で溶融造粒した。溶融造粒には、東洋精機(株)製のラボプラストミルを用いた。比較例に用いた共重合体単独品についても、同様な条件で溶融造粒した。実施例及び比較例に用いた上記造粒物の諸物性は下記の方法により測定した。
【0046】
[1]重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、ウオーターズ社製150C ALC/GPC(カラム:東ソー(株)製、GMHHR−H(S)、7.8mmIDX30cm×3本、溶媒1,2,4−トリクロロベンゼン、温度140℃、流量:1.0ml/分、注入濃度:30mg/30ml(注入量300μl))を用いるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、Mw及びMnを測定し、Mw/Mnを算出した。なお、東ソー(株)製標準ポリスチレンを用いて、ユニバーサルキャリブレーション法によりカラム溶出体積は校正した。
【0047】
[2]MFR:JIS K7210に準拠して、190℃、2160gの荷重下で測定した。
【0048】
[3]融点:融点は示差走査型熱量計(DSC)[パーキンエルマー(株)製、DSC−7]を用いて測定した。DSC内で試料を200℃で5分間溶融させた後、10℃/分の速度で温度を30℃まで下げて固化させた試料について、10℃/分の速度で昇温させて得られた吸熱曲線のピーク温度を融点とした。
【0049】
[4]密度:JIS K6760に準拠して、100℃の熱水に1時間浸し、その後室温まで放冷した試料について、23℃に保った密度勾配管を用いて測定した。
【0050】
[5]短鎖分岐数(SCB):分子鎖中の短鎖分岐数(SCB)は、フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル装置[パーキンエルマー(株)製、FT−IRスペクトロメーター1760X]を用いて、1378cm−1に位置するメチル基の変角振動に対する吸収バンドの強度から求めた。
【0051】
[6]灰分:試料約50gを精秤後、白金皿に入れてガスバーナーにより燃焼させ、さらに電気炉中で完全灰化(650℃、1時間)させた残留物の重量の初期重量に対する割合(重量%)を灰分とした。
【0052】
[7]n−ヘキサン可溶分:200メッシュパスの粉砕試料約2gを精秤し、400mlのn−ヘキサンを加えて50℃で2時間抽出を行い、抽出液から溶媒を蒸発、乾固させて得た抽出物の重量の初期重量に対する割合(重量%)をn−ヘキサン可溶分とした。
【0053】
[8]クリーン度:キャピラリレオメーター[東洋精機(株)製、キャピログラフPMD−C]を用いて、押出温度190℃、押出速度20mm/分、ダイス径2mm、引取速度2m/分で繊維状試料を作製し、測定用試料とした。上記繊維4gを精秤した後、500mlのガラス製滅菌容器に入れ、0.1μmのフィルターで濾過した純水(超純水)を150ml加えて密閉した。これを110℃で40分間蒸気滅菌処理を行った後、容器内の純水中に存在する1μm以上の微粒子の数[クリーン度(個/ml)]を液体微粒子カウンター[HIAC/ROYCO、シリーズ4100]で測定した。なお、試料及び滅菌容器は試験前に超純水で充分洗浄した。また、全ての操作はクラス1000のクリーンルーム内で行った。
【0054】
[9]ヘーズ:圧縮成形機(関西ロール(株)製)を用いて、厚さ200μmのプレスシートを作製し、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製)を用いて、JISZ8722に準拠して測定した。
【0055】
[10]ヤング率:上記と同様のプレスシートから、ダンベル試験片(有効試料長10mm、幅3.2mm)を打ち抜いて測定用試料とした。測定は、引張試験機(オリエンテック(株)製)を用いて、チャック間距離を28mmとして20mm/分の速度で行った。ヤング率の値は得られる応力−歪曲線の初期直線領域の勾配から求めた。
【0056】
[11]エレメンドルフ引裂強度:上記圧縮成形機を用いて、厚さ100μmのプレスシートを作製し、エレメンドルフ引裂試験機(日本理学工業(株)製)を用いて、JIS Z1702に準拠して測定した。
【0057】
[12]パンクチャー衝撃強度:上記圧縮成形機を用いて、厚さ100μmのプレスシートを作製し、パンクチャー衝撃試験機(日本理学工業(株)製)を用いて、JIS P8134に準拠して測定した。
【0058】
ここで、実施例及び比較例は、[A]のエチレン/α−オレフィン共重合体の密度によって大別した。実施例1〜3は、[A]の密度が0.920g/cm3を越える場合である。
【0059】
実施例1〜3
表1には、実施例1〜3に用いた[A]のエチレン/ヘキセン−1共重合体とエチレン/ブテン−1共重合体([A1]、[A2]、[A3])の特徴を示す。また、表2には、実施例1〜3に用いた[B]のエチレン/ブテン−1共重合体[B1]の特徴を示す。
【0060】
表3〜5には、[A1]、[A2]または[A3]と[B1]とからなり、 [A]:[B]重量比が80:20及び60:40である組成物の密度、MFR、ヘーズ、ヤング率及びクリーン度を示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】
比較例1〜7
比較例1〜7は実施例1〜3に対する比較例である。
【0067】
比較例1〜3は、実施例1〜3に用いた[A]の共重合体([A1]、[A2]、[A3])と特許請求範囲外の[B]のエチレン/ブテン−1共重合体[B2]との組成物である。表6には、[B2]の特徴を示す。表7〜9には、[A1]、[A2]または[A3]と[B2]とからなり、[A]:[B]重量比が80:20及び60:40である組成物の密度、MFR、ヘーズ、ヤング率及びクリーン度を示す。
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】
【0071】
【表9】
【0072】
比較例4、5は、請求範囲外のエチレン/ヘキセン−1共重合体[C]([C1]、[C2])と上記[B1]との組成物である。表10には、[C1]、 [C2]の特徴を示す。[C]は、従来公知のチーグラー型触媒を用い、高圧イオン重合法で得られたものである。表11、12には、[C1]または[C2]と[B1]とからなり、[C]:[B]重量比が80:20及び60:40である組成物の密度、MFR、ヘーズ、ヤング率及びクリーン度を示す。
【0073】
【表10】
【0074】
【表11】
【0075】
【表12】
【0076】
比較例6は、実施例1〜3に用いたエチレン/α−オレフィン共重合体[A]と同じメタロセン触媒及び重合条件で得られた比較的高密度のエチレン/ヘキセン−1共重合体単独品[M]([M1]、[M2])である。表13には、[M1]及び[M2]の密度、MFR、ヘーズ、ヤング率及びクリーン度を示す。
【0077】
【表13】
【0078】
比較例7は、比較例4、5で用いたエチレン/ヘキセン−1共重合体と同様に従来公知のチーグラー型触媒より重合された比較的高密度のエチレン/ヘキセン−1共重合体単独品[Z]([Z1]、[Z2])である。表14には、[Z1]及び[Z2]の密度、MFR、ヘーズ、ヤング率及びクリーン度を示す。
【0079】
【表14】
【0080】
実施例4〜6
実施例4〜6は、密度が0.890〜0.920g/cm3 の範囲にある
エチレン/α−オレフィン共重合体[A]とエチレン/ブテン−1共重合体[B]とからなる組成物である。表15には、ここで用いたエチレン/ヘキセン−1共重合体[A]([A4]、[A5])の特徴を示し、表16には、ここで用いたエチレン/ブテン−1共重合体[B]([B3]、[B4])の特徴を示す。
【0081】
表17〜19には、[A4]または[A5]と[B3]または[B4]とからなり、[A]:[B]重量比が80:20、70:30及び60:40である組成物の密度、MFR、ヘーズ、ヤング率、エレメンドルフ引裂強度、パンクチャー衝撃強度及びクリーン度を示す。
【0082】
【表15】
【0083】
【表16】
【0084】
【表17】
【0085】
【表18】
【0086】
【表19】
【0087】
比較例8〜13
比較例8〜10は実施例4、5に対する比較例であり、比較例11〜13は実施例6に対する比較例である。実施例に対して比較例を変更したのは、諸物性の比較はほぼ同じメルトフローレート(MFR)のレジンで行う必要があるためである。
【0088】
比較例8は実施例に用いたエチレン/ヘキセン−1共重合体[A4]と特許請求範囲外のエチレン/ブテン−1共重合体[B5]との組成物である。[A4]の特徴は表15に示す通りであり、[B5]の特徴は表20に示す。表21には、[A4]と[B5]とからなり、[A]:[B]重量比が80:20、70:30及び60:40である組成物の密度、MFR、ヘーズ、ヤング率、エレメンドルフ引裂強度、パンクチャー衝撃強度及びクリーン度を示す。
【0089】
【表20】
【0090】
【表21】
【0091】
比較例9は、実施例に用いたエチレン/ヘキセン−1共重合体[A]と同じメタロセン触媒及び重合条件で得られた比較的高密度のエチレン/ヘキセン−1共重合体単独品[M]([M3]、[M4])である。表22には、[M3]及び[M4]の密度、MFR、ヘーズ、ヤング率、エレメンドルフ引裂強度、パンクチャー衝撃強度及びクリーン度を示す。
【0092】
【表22】
【0093】
比較例10は、従来公知のチーグラー型触媒より重合された比較的高密度のエチレン/ヘキセン−1共重合体単独品[Z]([Z3]、[Z4])である。表23には、[Z3]及び[Z4]の密度、MFR、ヘーズ、ヤング率、エレメンドルフ引裂強度、パンクチャー衝撃強度及びクリーン度を示す。
【0094】
【表23】
【0095】
比較例11〜13は、実施例6に対する比較例である。
【0096】
比較例11は、請求範囲外のエチレン/ヘキセン−1共重合体[C]([C3])と表16に示したエチレン/ブテン−1共重合体[B4]との組成物である。表24には、[C3]の特徴を示す。[C]は、従来公知のチーグラー型触媒を用い、高圧イオン重合法で得られたものである。表25には、[C3]と[B4]とからなり、[C]:[B]重量比が80:20及び60:40である組成物の密度、MFR、ヘーズ、ヤング率、エレメンドルフ引裂強度、パンクチャー衝撃強度及びクリーン度を示す。
【0097】
【表24】
【0098】
【表25】
【0099】
比較例12は、実施例6に用いたエチレン/ヘキセン−1共重合体[A]と同じメタロセン触媒及び重合条件で得られた比較的高密度高MFRのエチレン/ヘキセン−1共重合体単独品[M]([M5]、[M6])である。表26には、[M5]及び[M6]の密度、MFR、ヘーズ、ヤング率、エレメンドルフ引裂強度、パンクチャー衝撃強度及びクリーン度を示す。
【0100】
【表26】
【0101】
比較例13は、従来公知のチーグラー型触媒より重合された比較的高密度高MFRのエチレン/ヘキセン−1共重合体単独品[Z]([Z5]、[Z6])である。表27には、[Z5]及び[Z6]の密度、MFR、ヘーズ、ヤング率、エレメンドルフ引裂強度、パンクチャー衝撃強度及びクリーン度を示す。
【0102】
【表27】
【0103】
【発明の効果】
以上述べたとおり、本発明におけるポリエチレン樹脂組成物は、クリーン性が高く、かつ、堅さと透明性に優れ、さらに組成物によっては堅さと透明性に加えて耐衝撃性や耐引き裂き性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3及び比較例1〜3における組成物のクリーン度と密度の関係を示す図である。
【図2】実施例1〜3及び比較例1〜3における組成物のヘーズと密度の関係を示す図である。
【図3】実施例1〜3及び比較例4〜7における組成物及びエチレン/α−オレフィン共重合体のクリーン度と密度の関係を示す図である。
【図4】実施例1〜3及び比較例4〜7における組成物及びエチレン/α−オレフィン共重合体のヘーズと密度の関係を示す図である。
【図5】実施例1〜3及び比較例1〜7における組成物及びエチレン/α−オレフィン共重合体のヤング率と密度の関係を示す図である。
【図6】実施例4、5及び比較例8〜10における組成物及びエチレン/α−オレフィン共重合体のクリーン度と密度の関係を示す図である。
【図7】実施例4、5及び比較例8〜10における組成物及びエチレン/α−オレフィン共重合体のヘーズと密度の関係を示す図である。
【図8】実施例4、5及び比較例8〜10における組成物及びエチレン/α−オレフィン共重合体のヤング率と密度の関係を示す図である。
【図9】実施例4、5及び比較例8〜10における組成物及びエチレン/α−オレフィン共重合体のエレメンドルフ引裂強度と密度の関係を示す図である。
【図10】実施例4、5及び比較例8〜10における組成物及びエチレン/α−オレフィン共重合体のパンクチャー衝撃強度と密度の関係を示す図である。
【図11】実施例6及び比較例11〜13における組成物及びエチレン/α−オレフィン共重合体のクリーン度と密度の関係を示す図である。
【図12】実施例6及び比較例11〜13における組成物及びエチレン/α−オレフィン共重合体のヘーズと密度の関係を示す図である。
【図13】実施例6及び比較例11〜13における組成物及びエチレン/α−オレフィン共重合体のヤング率と密度の関係を示す図である。
【図14】実施例6及び比較例11〜13における組成物及びエチレン/α−オレフィン共重合体のエレメンドルフ引裂強度と密度の関係を示す図である。
【図15】実施例6及び比較例11〜13における組成物及びエチレン/α−オレフィン共重合体のパンクチャー衝撃強度と密度の関係を示す図である。
Claims (4)
- (a)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3以下であり、
(b)示差走査型熱量計において、200℃で5分間溶融し、その後10℃/分で30℃まで降温し、再度10℃/分で昇温させた時に得られる吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm(℃))と赤外線吸収スペクトルの測定から求められる炭素数1000個当りの短鎖分岐数(SCB)とが(1)式で示される関係を満たすエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体(以下、[A]という)と、
Tm<−1.8×SCB+138 (1)
(c)100℃の熱水に1時間浸し、その後室温まで放冷したものの密度が0.945g/cm3以上であり、
(d)190℃,2160gの荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.01〜8g/10分であり、
(e)電気炉中において650℃で完全灰化させた際の灰分量が0.02重量%以下であり、
(f)50℃における、n−ヘキサン可溶分が0.2重量%以下である、エチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体(以下、[B]という)とからなり、
(g)[A]:[B]重量比が95:5〜5:95であることを特徴とするポリエチレン樹脂組成物。 - 100℃の熱水に1時間浸し、その後室温まで放冷したものの密度が0.890〜0.920g/cm3の範囲であるエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体[A]を用いることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- 190℃,2160gの荷重下で測定したメルトフローレート (MFR)が0.01〜50g/10分の範囲であるエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体[A]を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- (h)[A]:[B]重量比が90:10〜40:60であり、
(i)100℃の熱水に1時間浸し、その後室温まで放冷したものの密度が0.920g/cm3以上であり、
(j)190℃,2160gの荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜20g/10分の範囲であることを特徴とする請求項1〜3に記載のポリエチレン樹脂組成物。
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