JP2875820B2 - シンジオタクチックポリプロピレン樹脂組成物 - Google Patents

シンジオタクチックポリプロピレン樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はシンジオタクチックポリプロピレン樹脂組成
物に関する。詳しくは、タクティシティーの高いシンジ
オタクチックポリプロピレンと高密度ポリエチレン、低
密度ポリエチレン、エチレン−ブテン−1共重合体、ス
チレン−ブタジエン共重合体及びエチレン−ビニルアル
コール共重合体から選ばれた重合体からなる新規な組成
物に関する。
〔従来技術〕
シンジオタクチックポリプロピレンについては古くよ
りその存在は知られていたが、従来のバナジウム化合物
とエーテルおよび有機アルミニウムからなる触媒で低温
重合する方法はシンジオタクティシティーが悪く、エラ
ストマー的な特性を有すると言われていたが、それが本
来的にシンジオタクチックなポリプロピレンの特徴を表
しているとは言い難かった。これに対して、J.A.EWENら
により非対称な配位子を有する遷移金属触媒とアルミノ
キサンからなる触媒によってシンジオタクチックペンタ
ッド分率が0.7を越えるようなタクティシティーの良好
なポリプロピレンを得られることが初めて発見された
(J.Am.Chem.Soc.,1988,110,6255-6256)。
〔発明が解決しようとする課題〕 通常、種々のポリオレフィン相互を混合することで両
者の中間的物性を発現することで種々の物性のポリオレ
フィンを得ようとする試みがなされているが、一般にポ
リオレフィン相互の混合とはいえ、お互いに相溶性の良
好な組み合わせは少なく混合すると一般には白濁するな
ど外観不良となることが多く、また混合したものは伸び
が小さいなど混合できるポリオレフィンの組み合わせは
少なかった。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上記問題を解決して物性の良好なポリオ
レフィンの混合物について鋭意探索したところ、シンジ
オタクティシティーの高いポリプロピレンが他のポリオ
レフィンと混合し易く、混合物の物性が優れていること
を見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、シンジオタクチックペンタッド分率
が0.7以上のポリプロピレン5〜95部と高密度ポリエチ
レン、低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン−1共重
合体、スチレン−ブタジエン共重合体及びエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体から選ばれた重合体5〜95部か
らなるシンジオタクチックポリプロピレン樹脂組成物で
ある。本発明においてシンジオタクチックポリプロピレ
ンを製造するに用いる触媒としては、上記文献に記載さ
れた化合物が例示できるが、異なる構造の触媒であって
も、シンジオタクチックペンタッド分率が0.7以上のポ
リプロピレンを製造することができるものであれば利用
できる。
非対称な配位子を有する遷移金属触媒としては上記文
献に記載されたイソプロピル(シクロペンタジエニル−
1−フルオレニル)ハフニウムジクロリド、あるいはイ
ソプロピル(シクロペンタジエニル−1−フルオレニ
ル)ジルコニウムジクロリドなどが例示され、またアル
ミノキサンとしては、一般式、 (式中Rは炭素数1〜3の炭化水素残基。)で表される
化合物が例示でき特にRがメチル基であるメチルアルミ
ノキサンでnが5以上好ましくは10以上のものが好まし
く利用される。上記遷移金属触媒に対するアルミノキサ
ンの使用割合としては10〜1000000モル倍、通常50〜500
0モル倍である。また重合条件については特に制限はな
く不活性媒体を用いる溶媒重合法、或いは実質的に不活
性媒体の存在しない塊状重合法、気相重合法も利用でき
る。重合温度としては−100〜200℃、重合圧力としては
常圧〜100kg/cm2-Gで行うのが一般的である。好ましく
は−100〜100℃、常圧〜50kg/cm2である。
こうして合成された重合体は通常、分子量分布が狭く
繊維用として好適である。好ましい分子量としては、13
5℃テトラリン溶液で測定した極限粘度として0.5〜3.0d
l/g程度であるのが一般的である。またタクティシティ
ーとしてはシンジオタクチックペンタッド分率として0.
7以上である。
本発明に用いるもう一方の成分は、高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン−1共重合
体、スチレン−ブタジエン共重合体及びエチレン−ビニ
ルアルコール共重合体から選ばれた重合体である。
混合比率としては、目的に応じ種々の範囲が選定でき
るが、通常シンジオタクチックポリプロピレンとして5
〜95重量部の範囲で行うのが、物性改良の点で好まし
い。
混合方法については、公知の種々の方法が利用でき、
パウダー、あるいはペレット状態でヘンシェルなどの混
合機で混合した後、押出機で造粒する方法、あるいはロ
ール、バンバリーミキサー、ブラベンダーなど溶融状態
で混合する方法など特に制限はない。
〔実施例〕
以下に実施例を示しさらに本発明を説明する。
実施例1 常法にしたがって合成したイソプロピルシクロペンタ
ジエニル−1−フルオレンをリチウム化し、四塩化ジル
コニウムと反応し再結晶することで得たイソプロピル
(シクロペンタジエニル−1−フルオレニル)ジルコニ
ウムジクロリド0.2gと東洋アクゾ(株)製メチルアルミ
ノキサン(重合度16.1)30gを用い、内容積200lのオー
トクレーブで重合圧力3kg/cm2-G、20℃で2時間重合
し、ついでメタノールとアセト酢酸メチルで脱灰処理し
塩酸水溶液で洗浄し、ついで濾過して5.6kgのシンジオ
タクチックポリプロピレンを得た。このポリプロピレン
13C-NMRによればシンジオタクチックペンタッド分率
は0.935であり、135℃テトラリン溶液で測定した極限粘
度は1.45dl/g、1,2,4−トリクロロベンゼンで測定したM
W/MNは2.2であった。このポリプロピレンに公知の安定
剤と、スチレン−ブタジエンラバー(旭化成(株)製、
タフプレンA)とを30:70,50:50,70:30でそれぞれ押出
機で混合し、ついで1mmのシートとして以下の物性を測
定した。なお目視による観察では、すべてのシートは均
一であり良く混合していた。
引張降伏強さ kg/cm2 ASTM D-638 引張強度 kg/cm2 ASTM D-638 破断時伸び % ASTM D-638 30:70での引張降伏強さ、引張強度、破断時伸びはそ
れぞれ、37、63、410、50:50ではそれぞれ、42、86、38
0、70:30ではそれぞれ118、158、398であった。
実施例2 ポリオレフィンとしてエチレン−プロピレンラバー
(日本合成ゴム(株)製EP-02P)を用いた他は実施例1
と同様にした。シートは透明であり外観も良好であっ
た。なお物性は30:70ではそれぞれ、18、23、87、50:50
ではそれぞれ73、36、200、70:30ではそれぞれ104、11
0、293、であった。
実施例3 ポリオレフィンとして、エチレン−ブテン−1コポリ
マー(三井石油化学(製)製 ニュウタフマーA-4085)
を用いた他は実施例1と同様にしたシートは極めて透明
性が良好であり外観も良好であった。なお物性は30:70
ではそれぞれ、58、130、513、50:50ではそれぞれ89、1
59、503、70:30ではそれぞれ111、191、500以上であっ
た。
実施例4 ポリオレフィンとして、低密度ポリエチレン(日本石
油化学(株)製 E-792)を用いた他は実施例1と同様
にしたシートは外観が良好であった。なお物性は30:70
ではそれぞれ、123、119、187、50:50ではそれぞれ13
5、125、318、70:30ではそれぞれ143、138、447であっ
た。
〔発明の効果〕
本発明の組成物は外観に優れしかも種々の物性の物が
得られ工業的に極めて価値がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福島 学 神奈川県横浜市金沢区六浦町841 審査官 一色 由美子 (56)参考文献 特開 平3−12439(JP,A) 特開 昭60−112844(JP,A) 特開 昭61−42553(JP,A) 特開 昭57−109844(JP,A) Journal of the Am erican Chemical So ciety,1988,vol.110,pp. 6255−6256 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 23/12 C08F 110/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シンジオタクチックペンタッド分率が0.7
    以上のポリプロピレン5〜95部と高密度ポリエチレン、
    低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン−1共重合体、
    スチレン−ブタジエン共重合体及びエチレン−ビニルア
    ルコール共重合体から選ばれた重合体5〜95部からなる
    シンジオタクチックポリプロピレン樹脂組成物。
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