JP3619181B2 - 給紙装置及びこれを備えた画像形成装置 - Google Patents

給紙装置及びこれを備えた画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給紙装置及びこれを備えた画像形成装置に関し、特にシートの重送を防ぐためのシート戻し機構を備えた給紙装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリンタ等の画像形成装置においては、記録部等の画像形成部にシートを1枚ずつ給送するための給紙装置を備えている。このような給紙装置としては、給紙ローラをシートに圧接させて搬送力を与え、且つ分離パッドや、分離爪、分離土手等により構成される分離手段によって搬送負荷を与えることにより、次ページ以下のシートを残して1枚だけを分離する構成である。
【0003】
ところで、このような給紙装置としては、シートを分離した後、余計に繰り出された次ページ以下のシートを、戻し爪によりシートの先端を揃えながらシート積載部に戻すシート戻し機構を備えた給紙装置がある。このようなシート戻し機構としては、分離性能と給紙のスピードを両立させるために定期的(選択的)にシート戻しを行う構成、言い換えれば所定の枚数が給紙されるごとにシート戻しを行う構成がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような定期的にシート戻しを行う従来の給紙装置は、紙種、モードなどにより、その回数を変更する場合はあっても、不定期にシート戻しを行うものではない。そのため、紙種、モードや、動作環境によるバラツキがあっても重送が発生しなくなるように、マージンを持って紙戻しの回数を規定する必要があった。
【0005】
そして、このようにマージンを持ってシート戻しの回数を規定するようにした場合には、給紙速度が犠牲になってしまう。また、定期的にシート戻しを行うようにした場合、突発的な要因により重送が発生すると、それを防ぐ方法が無かった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、給紙速度を犠牲にせずに、重送を防止することのできる給紙装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、シートを積載するシート積載手段と、前記シート積載手段に積載されたシートを給送するシート給送手段と、シートを1枚ずつ分離する分離手段と、前記分離手段により分離されたシートの先端を検知するタイミングに応じて、前記分離手段により分離されたシート以外のシートを前記シート積載手段に向けて戻すシート戻しを行う戻し手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、シートを積載するシート積載手段と、前記シート積載手段に積載されたシートを給送するシート給送手段と、シートを1枚ずつ分離する分離手段と、前記分離手段により分離されたシートの先端および後端を検知するシート端検知手段と、前記シート端検知手段により算出されたシートの長さに応じて、前記分離手段により分離されたシート以外のシートを前記シート積載手段に向けて戻すシート戻しを行う戻し手段と、前記シート戻しを行った直後のシートの長さを記憶する記憶手段と、を有し、前記シート端検知手段により算出されたシートの長さと、前記記憶手段に記憶されたシートの長さと、を比較することにより前記シート戻しを行うかを判断することを特徴とする。
【0011】
以上の構成によれば、給紙速度を犠牲にせずに、重送を防止することのできる給紙装置及びこれを備えた画像形成装置を提供できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例である記録装置の概略を示す断面図であり、図2はこの記録装置の概略を示す他の断面図である。
【0014】
図1において、20は記録装置であり、この記録装置20は記録ヘッド13aを搭載した画像形成部である記録ヘッドユニット13と、この記録ヘッドユニット13と対向する位置に向けて不図示のシートを給送する給紙装置21と、記録装置全体を制御するメインボード1等を備えている。
【0015】
ここで、給紙装置21は、不図示のシート積載部に積載されたシートを送り出すシート給送手段であるところの半月形状を有する給紙ローラ2と、シートを給紙ローラ2に圧接するためのホッパ3と、給紙ローラ2により送り出されたシートを分離するための分離手段である分離パッド7aを具備した分離パッド部7とを備えている。
【0016】
なお、給紙ローラ2は、シートの表面に接触するローラゴム2aと、回転中心であるローラ軸2bと、給紙ローラ2の位置を検知するためにメインボード1上に設けられた位置検知手段である透過型の給紙ローラセンサ1aを遮蔽するセンサフラグ2cと、ホッパ3を押し下げるための不図示のカムとが備わっており、これらはローラ軸2bを中心に一体となって回転する。
【0017】
また、ホッパ3は、給紙ローラ2の回転に連動して給紙ローラ2に接離可能に構成されており、ローラゴム2aの円弧部がシート側に向いているときのみ、圧接ばね4の弾性力によってシートを給紙ローラ2に圧接するように構成されている。なお、ホッパ3の給紙ローラ2に対する接離動作は、前述した給紙ローラ2のカムと圧接ばね4によって行われる。
【0018】
5はホッパ3を軸3aを介して回動自在に保持しているベースである。8はベース5に、シート給送方向と直交する方向(以下、シート幅方向という)に移動自在に保持されている分離ベースである。分離パッド部7は、この分離ベース8に回動軸7bを支点として回動自在に取り付けられている。
【0019】
また、7cは分離パッドバネであり、分離パッド部7はこの分離パッドバネ7cにより給紙ローラ2の方向に付勢されている。
【0020】
ここで、図1はシートを送り出す通紙状態を示している。このとき、給紙ローラ2の平面部と分離パッド7aは略平行であり、図示されないストッパ部により分離パッド7aは給紙ローラ2と離間した位置に止められている。給紙ローラ2の円周部付近のみが、分離パッド7aと当接する構成になっている。
【0021】
また、6は分離パッド7aと当接することにより、シートを停止させる停止位置を形成するコロである。このコロ6はシート幅方向において給紙ローラ2とずれた位置に設けられ、不図示のバネにより分離パッド7aに、回転を妨げられることのないように軽く押圧されている。そして、このようにコロ6を分離パッド7aに軽く押圧することにより、シートを送り出す際、送り出されるシートと一緒に移動する2枚目以降のシートを分離パッド7aにより押さえている。
【0022】
また、図2において、9はシート戻し手段である戻し爪である。この戻し爪9は、シート幅方向において給紙ローラ2及びコロ6とずれた位置に設けられ、分離ベース8に回動軸9aを介して回動自在に保持されている。ここで、この戻し爪9は、シートを給送する際は、図2に示すように倒れた位置にあるが、シート戻しをするとき、またはシートの給送が開始される前には、図示しないバネ及びストッパにより分離パッド7aに対し略直角の位置に保持される。
【0023】
なお、図2において、2dは給紙ローラ2の側方に設けられ、凹部2eが形成されている戻し爪カム部である。戻し爪9が分離パッド7aに対し略直角の位置にあるとき、即ちシート戻しをするとき、またはシートの給送が開始される前には、戻し爪9の先端部がこの凹部2e内に入り込む。
【0024】
また、11は給紙されたシートを搬送する搬送手段である搬送ローラ対、12は記録されたシートを装置外に排出する排紙ローラ対である。1fはメインボード上に設けられ、シートの先端及び後端を検知するためのシート端検知手段である透過型のシート端検知センサ(PEセンサ)であり、10は搬送されるシートにより押圧されるアクチュエータである。シート端検知センサ1fは、このアクチュエータ10が回動することによりシートの先端、後端を検知する。
【0025】
図3は、給紙ローラ2を回転させる給紙モータを駆動するモータ制御回路の構成を示すものである。15は給紙ローラ2を回転させる給紙モータ(ステッピングモータ)である。
【0026】
また、1bはメインボード1に配置され、記録装置全体を制御し、戻し爪9によるシート戻し動作を制御する制御手段であるCPU、1cは給紙モータ15を制御するモータドライバ、1dは一時的な定数を記憶するRAM、1eは給紙モータ15の制御テーブル等の記録装置20の動作パラメータを格納するEEPROMである。14は記録装置20の内部あるいは外部に設けられたホストコンピュータであり、このホストコンピュータ14によりCPU1bに記録指令が送られる。
【0027】
次に、このような構成の記録装置20における通常の給紙動作について説明する。
【0028】
ホストコンピュータ14から記録指令がCPU1bに出されると、CPU1bは、まず1枚目のシートに対する記録指令か否かを判断する。ここで、1枚目のシートに対する記録指令の場合は、戻し爪9が既述した分離パッド7aに対し略直角の位置に保持される爪戻しポジションにあるため、まずモータドライバ1cにより給紙モータ15を正転させて給紙ローラ2を正転させる。すると、戻し爪9は図2に示すように倒れた通紙ポジションに移動する。
【0029】
そして、戻し爪9を通紙ポジションに移動させてシートの送り出しが可能な状態とした後、更に給紙モータ15を連続して正転すると、給紙ローラ2によるシートの送り出しが開始される。なお、このように給紙ローラ2が回転すると、それに連動して図示しないカム部とホッパ3との当接が解除され、ホッパ3が圧接ばね4により給紙ローラ2の方向に付勢される。この状態で給紙ローラ2の回転により、シート束の最上位に位置する数枚のシートが搬送され、分離パット部7に給送され始める。
【0030】
ここで、この時、積載されたシートの先端は、図1に示す分離パッド部7の背面壁7dに略突き当たった位置にあり、そこから数枚のシートが搬送され始める。また、この時、給紙ローラ2の回転にあわせセンサフラグ2cも回転し、この結果給紙ローラセンサ1aの出力がONからOFFに変化する。そして、CPU1bは、このセンサの出力が変化した位置をローラ回転の動作量の起点として使用する。
【0031】
一方、搬送されたシートは給紙ローラ2と分離パッド7aとのニップ部に導かれ、最上位のシートよりも下方のシートは分離パッド7aにより先端を規制され、徐々に楔のように捌かれ、ついには最上位のシートだけが分離されて、図1の左下方向に搬送される。なお、このとき、戻し爪9はシートの先端により押されて反時計回りに回動し、シートの動きを阻害することはない。
【0032】
次に、このようにして1枚に分離された最上位のシートの先端がアクチュエータ10に達し、アクチュエータ10を回動させる。これに伴いアクチュエータ10の端部がシート端検知センサ1fの遮光部を外れ、これによりシート端検知センサ1fはシートの先端を検知することができる。
【0033】
なお、本実施の形態においては、搬送ローラ対11によりシートの斜行を補正する構成である。CPU1bは、このシート端検知センサ1fからの検知信号を、シートを搬送ローラ対11まで搬送し、さらに搬送ローラ対11に当接した状態でループを形成する量だけシートを搬送するための動作量の起点として使用する。
【0034】
これにより、給紙ローラ2がさらに回転すると、記録装置内に給送されたシートの先端が停止している搬送ローラ対対11のニップに突き当たり、斜行補正のため更に3mm程度多く送られてループを形成した後、一時モータの回転が停止する。なお、この時までの搬送量は前述のようにシートの先端検知から一定量で定まる。
【0035】
次に、搬送ローラ対11と給紙ローラ2とが同じ周速度で回転を始め、この直後にシートの先端は搬送ローラ対11に挟まれて搬送される。さらに給紙ローラ2の図示しないカムがホッパ3を押し下げ、給紙ローラ2が図1に示す状態になって停止し、給紙動作が完了する。この時、給紙ローラセンサ1aのフラグONを起点に給紙ローラ2の停止が行われる。なお、回転始めのフラグOFFを起点に停止される構成としても良い。
【0036】
この後、シートは、図示されていない駆動源によって駆動される搬送ローラ対11により更に下流側に搬送されて頭出しされ、それと同時に記録ヘッド13aによりシートに記録が行われる。なお、この時の記録位置は、搬送ローラ対11への突き当て後の搬送ローラ対11の搬送量で管理される。
【0037】
ところで、この動作の中で最上位のシート以外のシートは、最上位のシートとの間の摩擦により連れ送りされるが、コロ6と分離パッド7aとの圧接部(停止位置)で先端を押さえ、それ以上は送られないようになっている。この構成によりシートの重送が発生するのを防ぐようにしている。
【0038】
ところが、何らかの影響で最上位のシート以外のシートが、コロ6と分離パッド7aとの圧接部(停止位置)を通り過ぎてしまうと(特に2枚以上)、このシートを押さえるものが無くなり、搬送されている最上位のシートから最上位のシート以外のシートが受ける摩擦力により重送が発生してしまう。さらに、1度この状態になってしまうと、シートによりコロ6が押し上げられ、更にコロ6を通り過ぎてしまうものが増加する傾向にある。
【0039】
そこで、2枚以上の記録が連続して行われる場合、このような重送の発生を防ぐため、戻し爪9によりシート戻しを行う。なお、例えば普通紙に記録する場合は、分離が比較的安定しており、かつ記録枚数も多いため、記録速度を優先して、時間のかかるシート戻しを例えば7枚に1回としている。また、それ以外の特殊紙などに記録する場合はシート戻しを行う頻度を大きくし、例えばシート戻しを毎回行う。
【0040】
次に、連続して2枚以上の記録が行われる場合で、シート戻しを行うときの動作について以下に説明する。
【0041】
シート戻しを行う場合には、前のシートの後端が分離パット部7を離れ、シート端検出センサ1fが前のシートの後端を検出した後、給紙ローラ2を逆方向に90度程度回転させる。この時、戻し爪9の上にはシートはないので、戻し爪9は図2のように倒れた通紙ポジションにあり、給紙ローラ2の戻し爪カム部2dの凹部2eに入り込む形になっている。このため、給紙ローラ2が逆方向に回転すると、凹部2eの左端部2fと当接し、戻し爪9は時計方向に回動する。
【0042】
そして、このように戻し爪9が時計方向に回動すると、戻し爪9は分離パッド7aに対して直立に近い状態となり、これに伴いコロ6により押さえられていたシートは、先端が分離パッド7aの背面壁7dに略突き当たる位置あたりまで押し戻される。
【0043】
これにより、シート先端の位置をリセットし、重送の起こりにくい状態にしてから給送を開始することができる。なお、この時、不図示のカム等により、このシートを戻す動作を阻害しないよう分離パッド7、コロ6をタイミング良く離間させたりしている。
【0044】
一方、例えば普通紙に記録する場合において、シート戻しをしない場合は、シートの先端がコロ6付近まで出ている状態から給送が開始される。ところで、シート戻しを行った後、何らかの影響で最上位のシート以外のシートが、コロ6と分離パッド7aとの圧接部を通り過ぎてしまう場合があり、この場合には重送が発生する可能性がある。
【0045】
そこで、本実施の形態においては、このように最上位のシート以外のシートが、コロ6と分離パッド7aとの圧接部を通り過ぎ、これを検知した場合には、シート戻しを行う所定のタイミングではなくとも、シート戻しを行う。
【0046】
なお、本実施の形態においては、このように最上位のシート以外のシートが、コロ6と分離パッド7aとの圧接部を通り過ぎたことをシート端検知センサ1fによるシートの先端を検知するタイミングから判断している。
【0047】
次に、このシート先端の検知について説明する。
【0048】
通常、シートのセット時及びシート戻しが行われた後の給紙時には、既述したようにシートの先端は分離パッド7aの背面壁7dに当接するあたりに位置しているため、給紙ローラ2が送り出しを開始してから、図2に示すように距離Aだけ送ってからシート端検知センサ1fに達する。一方、シート戻しをしない場合には、コロ6付近までシートの先端が達した状態から給送動作を開始するため、距離Bだけ送っただけでシート先端はシート端検知センサ1fに達することになる。
【0049】
このことから、シートの先端がシート端検知センサ1fに達したタイミングを検知すれば、給紙前のシート先端の位置を検知することができる。そして、本実施の形態のような系ではコロ6を越える場合、重送が発生しやすいのでB以下(マージンは必要)の値が検出できた場合には重送の危険大と考え、シート戻しを行う所定のタイミングではなくても、次のシートの給紙前にシート戻しを行う。このように、給紙前のシート先端の位置を検知することにより、重送の危険性を検知することができる。
【0050】
なお、具体的には給紙ローラ2の回転開始の位置(角度)が一定であるとすれば、給紙ローラ2の回転始めからのステップ量を検知することにより、シートの先端がシート端検知センサ1fに達したタイミングを検知することができる。なお、給紙ローラ2の回転開始の位置(角度)がばらつく場合には、給紙ローラセンサ1aを基点にステップ数を検知することにより精度良く管理することができる。
【0051】
一方、何らかの影響で、最上位のシートと、最上位のシート以外のシートとが、コロ6と分離パッド7aとの圧接部を通り過ぎて重送される場合がある。この場合、シートの長さを検出することにより重送を判断する。
【0052】
なお、本実施の形態においては、シートの先端及び後端を検知することによりシート長を検出する。そして、この検出したシート長と、例えばホストコンピュータから送られ、初期記憶手段であるRAM1dに記憶されているシート長に関するデータとを比較することにより、重送が発生したか否かを判定する。そして、重送が発生したと検知すると、次のシートの重送を防ぐために次のシートの給紙前にシート戻しを行う。
【0053】
なお、本実施の形態では停止している搬送ローラ対にシートの先端を突き当ててレジ取りを行っている。そのため、シート端検知センサ1fがシートの先端を検知してから給紙ローラ2により搬送されて搬送ローラ対11にシートの先端が突き当たったところから、シート端検知センサ1fがシートの後端を検知したときまでの搬送ローラ対11の搬送長(動作量)と、シート端検知センサ1fから搬送ローラ対11までの長さと、を足したものが実測長さ(E)となる。
【0054】
次に、このような構成の記録装置20における給紙動作を図4及び図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0055】
ホストコンピュータ14からCPU1bに記録指令が出されると(S301)、CPU1bはまず1枚目のシートに対する記録指令か否かを判断する(S302)。ここで、1枚目のシートに対する記録指令の場合は(S302のY)、モータドライバ1cにより給紙モータ15を正転させ、戻し爪9を図1に示す通紙ポジションに移動する。
【0056】
次に、シート戻し要求フラグをクリアにし(S308)、さらに給紙モータ15を正転させ、給紙ローラ2を1回転させる。これにより、給紙動作が開始され、シート束のうち最上位の数枚のシートが搬送され、分離パッド部7に給送され始める。この時積載されたシートの先端は分離パッド部7の背面壁7dに略突き当たった位置にあり、そこから搬送され始める。なお、この時、給紙ローラの回転にあわせセンサフラグも回転し、給紙ローラセンサ1aの出力がOFFからONに変化する。
【0057】
次に、搬送されたシートは給紙ローラ2と分離パッド7aとのニップ部に導かれ最上位のシートの下方のシートは、分離パッドに先端を規制され徐々に楔のように捌かれ、ついには一番上の1枚だけ分離され、下流に搬送される。そして、この後、シートの先端がアクチュエータ10に到達し、これに伴いアクチュエータ10が回動して、シート端検知センサ1fはシートの先端を検知する。即ち、シート端検知センサ1fはONとなる(S310)。なお、シート端検知センサ1fがONとならない場合には(S310のN)、シートがないと判断し、紙なしエラー処理を行う。
【0058】
この後、給紙ローラ2がさらに回転すると、記録装置内に給送されたシートの先端が、停止している搬送ローラ対11のニップに突き当たり、斜行取りのため更に3mm程度多く送られ一時モータの回転が停止する。
【0059】
次に、搬送ローラ対11と給紙ローラ2とが同じ周速度で回転を始め(S312)、その直後にシートの先端は搬送ローラ対11に挟まれて搬送される。さらに給紙ローラ2の図示しないカムがホッパ3を押し下げ、給紙ローラ2が図1に示す状態になって停止し、給紙動作が完了する。この時給紙ローラセンサ1aのフラグONを起点に給紙ローラ2の停止が行われる。
【0060】
なお、記録装置内に給送されたシートは、図示されていない駆動源によって駆動される搬送ローラ対11により搬送されて頭出しが行われ(S313)、それと同時に記録ヘッド13aによりシートに記録が行われる(S314)。さらに、記録が行われた後、排紙される。なお、このときシート端検知センサ(PE)がOFFとなることにより、ジャムが発生していないかを監視する(S315)。
【0061】
一方、1枚目のシートに対する記録指令でない場合は(S302のN)、所定のシート戻しのタイミングであるか否か、本実施の形態においては7枚目のシートであるか否かを判断する(S303)。そして、7枚目のシートである場合には(S303のY)、シート戻し要求フラグをセットする(S304)。そして、このシート戻し要求フラグのセットによりシート戻し要求フラグ有りを検知すると(S305のY)、モータドライバ1cを経由して給紙モータ15を逆転させ、戻し爪9を図1に示す通紙ポジションから爪戻しポジションに移動する(S306)。
【0062】
なお、この後、給紙モータ15を正転させて戻し爪9を通紙ポジションに戻し、この後、シート戻し要求フラグをクリアにし(S308)、既述したS309〜S315を行う。
【0063】
ところで、上記のようにシートを排紙した後、給紙ローラセンサ1aのOFFからシート端検知センサONまでの搬送量Dを、給紙モータ15のステップ数より検知する。そして、搬送量Dが、B以下の値(PE判定値)となっていることが検出された場合には(S316のY)、重送の危険大と考え、シート戻し要求フラグをセットする(S317)。
【0064】
また、ホストコンピュータから送られてきたシート長さに関するデータと、シートの実測長Eとを比較し、ホストから送られてきたシート長さに関するデータ(設定紙長さ)+αよりもシートの実測長Eが長い場合には(S3218のY)、重送が発生したと判定し、シート戻し要求フラグをセットする(S319)。
【0065】
そして、このような2つの状態によりシート戻し要求フラグがセットされた場合で、次のシートに対する記録指令がある場合には(S320のY)、シート戻しを行う所定のタイミングではなくても、次のシートの給紙前にシート戻しを行う(S306)。
【0066】
このように、重送の危険が大きな場合あるいは重送を検知した場合にはシート戻しを行う構成とすることにより、給紙性能を維持したままシート戻し回数を減らすことができる。つまり、給紙速度を犠牲にすることなく重送を防止することができる。
【0067】
ところで、給紙ローラ2によりシートの送り出しを開始するとき、実際にはシートの積載量によってシートの動き始めるタイミングが異なる。即ち、積載量が多い場合はシートの動き始めが早くなり、積載量が少ない場合はシートの動き始めが遅くなる。これは図示しないカムの形状よっても異なるが、カムが徐々にホッパを上昇させる系だとゴムとシートとが接触するタイミングが異なるからであり、このようにシートが動き始めるタイミングが異なると、シート端検知のタイミングが異なる。
【0068】
そこで、これを考慮に入れて一定の判定値を用いても良いが、直前のシート戻しを行った際のシートの先端の検知タイミング(Aの値)を記憶しておき、これを基準に図2に示すCの値を差し引いたB(マージンは必要)で判定すればより精度良く検出することが可能となる。
【0069】
(第2の実施の形態)
図6及び図7は本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の一例である記録装置における給紙動作を示すフローチャートである。なお、同図において、S401〜S415及びS419〜S425は、既述した図4及び図5のS301〜S315及びS316〜S322と同じ内容である。
【0070】
そして、本実施の形態では、排紙を行った後(S415)、直前のシート戻しを行った際のシートの先端検知のタイミングを記憶し(Aの値)、これを基準に図2に示すCの値を差し引いたB(マージンは必要)を「PE判定値」として記憶する(S417)。
【0071】
更に、本実施の形態においては、シート戻しをした直後は重送することなく正常に搬送されやすいことから、最後にシート戻しを行った時の実測紙長さデータEを「想定紙長さ」としてシート長さ記憶手段であるRAM1dに記憶する。
【0072】
そして、このように分離後のシート先端の検知タイミングと、RAM1dに記憶されている前回シート戻しが行われた後の分離後のシート先端の検知タイミングとの比較により重送の危険を検出する構成としても良い。それにより、簡単な構成で積載枚数の差による検出誤差を無くすことができる。
【0073】
また、想定されるシート長さと、実測のシート長さを比較することによって重送を検知する構成としても良い。それによりホスト等から送られてくるシート長さデータが必要なくなる。
【0074】
なお、これまでの説明においては、ホストから送られてくるデータはシート長に関するデータとしたが、本発明はこれに限らず、ホストから送られてくるデータとして先端、後端の余白が引かれた記録範囲データを使用しても良い。この場合、実測のシート長さを同様に余白を差し引いたものとすることは言うまでもない。また、記録のために必要な値として計数している記録範囲を実測したものを用いても良い。
【0075】
また、これまで停止している搬送ローラ対にシートの先端を突き当ててレジ取りを行う装置において説明しているが、逆転している搬送ローラ対にシートの先端を突き当ててレジ取りを行う装置の場合も同様である。またレジ取りを行わない装置においては、シート長さ実測値におけるシートの先端位置は、シート端検知センサ1fによるシートの先端検知を起点に行われるが、シート長さを実測し、想定紙長さと比較する構成は同様である。
【0076】
さらに、これまでは記録装置としてホストからの想定シート長さを受け取るよう記述しているが、複写機のようにスタンドアロンの機械でもセットされているシートサイズの検出や設定を行うものがあり、このデータを想定長さデータとして使用しても良い。
【0077】
さらに、シート端検出センサ1fを用いて給送前のシート先端を検知することによりシート戻しを行う構成としたが、コロ6の少し下流側にシートの有無を検知する専用のセンサを新たに設け、給紙前にそのセンサがシートありを検出した場合には次の給紙前にシート戻しを行う構成としてもよい。
【0078】
また、半月ローラを用いて重送防止のためのコロを具備した摩擦分離方式の構成を説明したが、この分離方式に限定されるものではない。どのような分離方式であっても、シート戻しを選択的に行うことができ、シート先端の検知のタイミングあるいはシートの長さを検出できれば同様の効果が得られる。さらに、既述した実施の形態では給紙モータ15の回転のみで給送が開始されるよう記述しているが、例えば微少な逆転により正転1回転が可能となるようなラッチを用いた系でも同様であるし、ソレノイドによって1回転可能となるような構成においても同様である。
【0079】
また、既述した実施の形態では給紙ローラ2の1回転に伴い、給紙ローラ2とシートの当接から分離、搬送及び給紙の終了が完結する系で記載されているが、これに限定されるものではない。例えば丸ローラと別駆動のホッパ上下機構であってもホッパ上昇を起点にシート先端の検知のタイミングにおいて同様の制御を行えば同様の効果となる。なおシート長さに関する部分は、分離部の構造にはまったく関係なく適応できる。
【0080】
また、既述した実施の形態では給紙ローラ2、搬送ローラ対11が別モータにより駆動されているように記述されているが同一モータであってもかまわない。また、モータの種類もステッピングモータとして記述したが搬送量が分かればDCモータとエンコーダの組み合わせであってもかまわない。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、分離手段により分離されたシート以外の残りのシートの給送方向先端の位置が分離手段の停止位置を通過した位置にあると判断した場合には、戻し手段に戻し動作をさせて残りのシートをシート積載手段に向けて戻すことにより、給紙速度を犠牲にすることなく重送を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る記録装置の概略を示す断面図である。
【図2】上記記録装置の概略を示す断面図である。
【図3】上記記録装置の制御ブロック図である。
【図4】上記記録装置の記録動作制御の一部を示すフローチャートである。
【図5】上記記録装置の記録動作制御の一部を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る記録装置の記録動作制御の一部を示すフローチャートである。
【図7】上記記録装置の記録動作制御の一部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 メインボード
1a 給送ローラセンサ
1b CPU
1d RAM
2 給紙ローラ
6 コロ
7 分離パッド部
7a 分離パッド
9 戻し爪
11 搬送ローラ対
12 排紙ローラ対
13 記録ヘッドユニット
13a 記録ヘッド
14 ホストコンピュータ
15 給紙モータ
20 記録装置
21 給紙装置

Claims (12)

  1. シートを積載するシート積載手段と、
    前記シート積載手段に積載されたシートを給送するシート給送手段と、
    シートを1枚ずつ分離する分離手段と、
    前記分離手段により分離されたシートの先端を検知するシート端検知手段と、
    前記シート端検知手段がシートの先端を検知するタイミングに応じて、前記分離手段により分離されたシート以外のシートを前記シート積載手段に向けて戻すシート戻しを行う戻し手段と、
    を有することを特徴とする給紙装置。
  2. 前記シート端検知手段がシートの先端を検知するまでの前記シート給送手段の動作量を検出し、その検出値に基づいて前記シート戻しを行うかを判断することを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
  3. 前記シート給送手段の位相を検知する位相検知手段を備え、前記位相検知手段からの情報に基づき、前記シート給送手段の動作量の検出を開始することを特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
  4. 前記シート戻しを行った直後に前記シート端検知手段がシートの先端を検知するまでの前記シート給送手段の動作量を記憶する記憶手段を備え、前記シート端検知手段がシートの先端を検知するまでの前記シート給送手段の動作量と、前記記憶手段に記憶された動作量と、を比較することにより前記シート戻しを行うかを判断することを特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
  5. 前記シート給送手段の駆動源はステッピングモータであり、該ステッピングモータのステップ数により前記シート給送手段の動作量を検出することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の給紙装置。
  6. 前記シート給送手段の駆動系にエンコーダを備え、該エンコーダの検出値に基づいて前記シート給送手段の動作量を検出することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の給紙装置。
  7. シートを積載するシート積載手段と、
    前記シート積載手段に積載されたシートを給送するシート給送手段と、
    シートを1枚ずつ分離する分離手段と、
    前記分離手段により分離されたシートの先端および後端を検知するシート端検知手段と、
    前記シート端検知手段により算出されたシートの長さに応じて、前記分離手段により分離されたシート以外のシートを前記シート積載手段に向けて戻すシート戻しを行う戻し手段と、
    前記シート戻しを行った直後のシートの長さを記憶する記憶手段と、
    を有し、
    前記シート端検知手段により算出されたシートの長さと、前記記憶手段に記憶されたシートの長さと、を比較することにより前記シート戻しを行うかを判断することを特徴とする給紙装置。
  8. 前記シート端検知手段がシートの後端を検知するまでの前記シート給送手段の動作量よりシートの長さを算出することを特徴とする請求項7に記載の給紙装置。
  9. 前記シート給送手段の駆動源はステッピングモータであり、該ステッピングモータのステップ数によりシートの長さを算出することを特徴とする請求項8に記載の給紙装置。
  10. 前記シート給送手段の駆動系にエンコーダを備え、該エンコーダの検出値に基づきシートの長さを算出することを特徴とする請求項8に記載の給紙装置。
  11. 前記分離手段は摩擦片を備えた摩擦分離方式であり、前記分離手段と当接することにより前記分離手段により分離されたシート以外のシートの先端を押さえるコロを備えることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の給紙装置。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の給紙装置を備え、前記給紙装置より給紙されたシートに記録ヘッドにより画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
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