JP3619119B2 - 真空処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、減圧状態の反応容器内において、被処理対象物に対し何らかの処理を施す真空処理方法に関する。より具体的には、半導体デバイス、電子写真用感光体、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、光起電力デバイス等の製造工程に用いられる、堆積膜形成、エッチング等の処理を減圧状態の反応容器内において、被処理対象物に対し施す方法に関する。さらには、前記の真空処理方法をその工程に利用する、半導体デバイス、電子写真用感光体、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、光起電力デバイス等の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体デバイス、電子写真用感光体、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、光起電力デバイス、その他各種エレクトロニクス素子、光学素子等の製造工程に用いられる真空処理方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法、プラズマエッチング法等、多数知られており、そのための装置も実用に付されている。
【0003】
例えば、プラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放電により分解し、基板上に薄膜状の堆積膜を形成する方法は、種々な電子装置の製造に対して、好適な堆積膜形成手段として実用化されている。例えば、電子写真用水素化アモルファスシリコン(以下、「a―Si:H」と表記する)堆積膜の形成等に利用され、そのための装置も各種提案されている。
【0004】
このような堆積膜の形成装置及び形成方法は、概略以下に述べるようなものである。
【0005】
図2は、従来の真空処理方法に利用される真空処理装置の一例を示すものである。すなわち、電源としてRF帯の周波数を用いたRFプラズマCVD法(以後、「RF―PCVD」と略記する)による堆積膜形成装置、具体的には電子写真用光受容部材の形成に利用するRF―PCVD装置の一構成例を模式的に示す図である。図2に示す形成装置の構成は以下の通りである。
【0006】
この図2に示すRF―PCV装置は、大別すると三つの部分から構成され、具体的には、堆積装置2100、原料ガスの供給装置2200、反応容器2111内を減圧にするための排気装置(図示せず)から構成されている。堆積装置2100中の反応容器2101内には円筒状基体2112、基体加熱用ヒーターを内蔵した基体支持体2113、原料ガス導入管2114が設置され、さらに高周波マッチングボックス2115が反応容器2101の一部を構成するカソード電極2111に接続されている。カソード電極2111は碍子2120によりアース電位と絶縁され、一方、円筒状基体2112は基体支持体2113を通してアース電位に維持され、アノード電極を兼ねている。カソード電極2111と円筒状基体2112との間に高周波電圧が印加可能となっている。
【0007】
原料ガス供給装置2200は、SiH, GeH, H, CH, B, PH等の原料ガスボンベ2221〜2226とバルブ2231〜2236,2241〜2246,2251〜2256及びマスフローコントローラー2211〜2216から構成される。また、各原料ガスのボンベはバルブ2260を介して反応容器2111内のガス導入管2114に接続されている。
【0008】
この図2に示すRF―PCV装置を用いた堆積膜の形成は、例えば以下の手順に従って行うことができる。
【0009】
まず、反応容器2101内に円筒状基体2112を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器2101内を排気する。続いて、基体支持体2113内に内蔵された基体加熱用ヒーターにより円筒状基体2112の温度を200℃乃至350℃の所定の温度に制御する。
【0010】
堆積膜形成用の原料ガスを、原料ガス供給装置2200から反応容器2101に流入させる際、例えば、次のような手順をとる。
【0011】
まず、ガスボンベのバルブ2231〜2237、反応容器のリークバルブ2117が閉じられていることを確認し、また、ガス流入バルブ2241〜2246、流出バルブ2251〜2256、補助バルブ2260が開かれていることを確認する。そして、メインバルブ2118を開いて反応容器2111内及びガス配管内2116を排気する。
【0012】
次に、真空計2119の読みが約7×10−4Paになった時点で補助バルブ2260、流出バルブ2251〜2256を閉じる。
【0013】
その後、ガスボンベ2221〜2226より各ガスをバルブ2231〜2236を開いて導入し、圧力調整器2261〜2266により各ガス圧を所定の圧力、例えば、2Kg/cmに調整する。次いで、流入バルブ2241〜2246を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラー2211〜2216内に導入する。
【0014】
以上の準備操作を終え、成膜の準備が完了した後、以下の手順で各層の形成を行う。
【0015】
円筒状支持体2112が所定の温度になったところで流出バルブ2251〜2256のうちの必要なもの及び補助バルブを徐々に開き、ガスボンベ2221〜2226から所定のガスをガス導入管2114を介して反応容器2101内に導入する。次に、マスフローコントローラー2211〜2216によって各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、反応容器2101内の圧力が所定の値になるように真空計2119を見ながらメインバルブ2118の開口を調整する。内圧が安定したところで、例えば、周波数13.56MHzのRF電源(不図示)を所望の電力に設定して、高周波マッチングボックス2115、カソード2111を通じて反応容器2101内にRF電力を導入し、円筒状基体2112をアノードとして作用させてグロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反応容器内に導入された原料ガスが分解され、円筒状基体2112上に所定のシリコンを主成分とする堆積膜が形成されるところとなる。所定の時間、堆積膜形成を行い、所望の膜厚の形成がなされた時点で、RF電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0016】
同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の堆積膜、例えば、光受容層の形成を行う。
【0017】
このような多層構造の堆積膜を作製する際には、それぞれの層を形成する間は、必要なガス以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うまでもない。また、前の層の形成に利用した、それぞれのガスが反応容器2101内、流出バルブ2251〜2256から反応容器2101に至る配管内に残留することを避けるため、次の層を形成する前には、流出バルブ2251〜2256を閉じ、補助バルブ2260を開き、さらにメインバルブ2118を全開にして系内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
【0018】
形成される膜の均一化を図るために、層形成を行っている間は、円筒状基体2112を駆動装置(不図示)によって所定の速度で回転させることも有効である。
【0019】
さらに、上述のガス種及びバルブ操作は、各々の層の作製条件にしたがって変更が加えられることは言うまでもない。
【0020】
また、従来広く用いられてきた、RF帯の周波数を用いたRFプラズマCVD法による堆積膜形成装置、形成方法に加え、近年、VHF帯の高周波電力を用いたVHFプラズマCVD(以後「VHF―PCVD」と略記する)法が注目を浴びている。さらに、このVHFプラズマCVD法を用いた各種堆積膜形成の開発も積極的に進められている。すなわち、VHF―PCVD法は、膜堆積速度が速く、また高品質な堆積膜が得られるという利点を持つため、製品の低コスト化、高品質化を同時に達成し得る手段として期待されるためである。例えば、特開平6―287760号公報には、a―Si系電子写真用光受容部材形成に用いうる装置及び方法が開示されている。
【0021】
加えて、複数の電子写真用光受容部材を同時に形成でき、生産性の極めて高い、図3に示すような、複数の基体を設置できる堆積膜形成装置の開発も進められている。
【0022】
図3は、複数の基体を設置できる堆積膜形成装置の一構成例を示す図であり、図3(a)は概略断面図、図3(b)は図3(a)の切断線A―A′に沿う概略断面図である。反応容器301の側面には排気管311が一体的に形成され、排気管311の他端は不図示の排気装置に接続されている。反応容器301の中心部を取り囲むように、堆積膜の形成に供される6本の円筒状基体305が互いに平行になるように配置されている。各円筒状基体305は回転軸308によって保持され、発熱体307によって加熱されるようになっている。モータ309を駆動すると、減速ギア310を介して回転軸308が回転し、円筒状基体305がその母線方向中心軸のまわりを自転するようになっている。
【0023】
6本の円筒状基体305により囲まれた成膜空間306には、原料ガスが原料ガス供給手段312より供給される。VHF電力はVHF電源303よりマッチングボックス304を経てカソード電極302より成膜空間306に供給される。この装置においても、円筒状基体305は、回転軸308を通してアース電位に維持され、アノード電極として作用する。
【0024】
この図3に示す装置を用いた堆積膜形成は、概略以下のような手順により行うことができる。
【0025】
まず、反応容器301内に円筒状基体305を設置し、不図示の排気装置により排気管311を通して反応容器301内を排気する。続いて発熱体307により円筒状基体305を200℃〜300℃程度の所定の温度に加熱・制御する。
【0026】
円筒状基体305が所定の温度となったところで、原料ガス供給手段313を介して、原料ガスを反応容器301内に導入する。原料ガスの流量が設定流量となり、また、反応容器301内の圧力が安定したのを確認した後、高周波電源303よりマッチングボックス304を介してカソード電極302へ所定のVHF電力を供給する。これにより、カソード電極302とアノード電極を兼ねた円筒状基体305の間にVHF電力が導入され、円筒状基体305で囲まれた成膜空間306にグロー放電が生起される。このグロー放電により、原料ガスは励起解離して円筒状基体305上に堆積膜が形成される。
【0027】
所望の膜厚の形成が行われた後、VHF電力の供給を止め、また、原料ガスの供給も停止して、堆積膜の形成を終える。同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の堆積膜、例えば、光受容層が形成される。
【0028】
堆積膜形成中、回転軸308を介して円筒状基体305をモータ309により所定の速度で回転させることにより、円筒状基体表面全周にわたって堆積膜が形成される。加えて、得られる堆積膜の均一化もなされる。
【0029】
また、特開平8−253865号公報には、複数の電極を用いて複数の基体上に同時に堆積膜形成する技術に関して開示がなされている。複数の電極を用いて複数の基体上に同時に堆積膜形成することで、生産性の向上、堆積膜特性の均一性向上の効果を得ることができることが示されている。このような形態の堆積膜形成は、例えば、図4のような構成をとる装置を用いることで実現可能である。
【0030】
図4は、複数の電極を用いて複数の基体上に同時に堆積膜形成する方式を採用する装置の一例であり、図4の(a)は概略縦断面図、図4の(b)は概略横断面図である。反応容器400の上面には排気口405が一体的に形成され、排気口405の他端は不図示の排気装置に接続されている。反応容器400中には、堆積膜の形成される複数の円筒状基体401が互いに平行になるように配置されている。各円筒状基体401は軸406によって保持され、発熱体407によって加熱されるようになっている。必要に応じて、不図示のモータ等の駆動手段により、軸406を介して円筒状基体401を自転させるようになっている。
【0031】
VHF電力はVHF電源403によりマッチングボックス404を経てカソード電極402より反応容器400内に供給される。この装置においても、円筒状基体401は軸406を通してアース電位に維持され、アノード電極として作用する。
【0032】
原料ガスは、反応容器400内に設置された不図示の原料ガス供給手段により、反応容器400内に供給される。
【0033】
この図4に示すような構成の装置を用いた堆積膜形成も、先の述べた図3に示す堆積膜形成装置を用いる場合と同様の手順により行うことができる。
【0034】
一方、今日、このような真空処理装置、真空処理方法を利用した製品は多種多様にわたっており、各々の製品によって使用する真空処理装置が異なる場合が多い。この多様性は、各製品に最も適した寸法、材質等を用いた真空処理装置を各々使用するためである。例えば、電子写真用感光体の生産においては、その生産する電子写真感光体の径に応じて、用いる真空処理装置、より具体的には堆積膜形成装置の寸法、特にカソード寸法を変える場合がある。
【0035】
このように製造する製品が多様化している状況下においては、前述したような反応容器と排気装置が実質的に一体化されている真空処理装置を用いる場合、異なる製品を新規生産する際には、排気装置をも含めて新たな生産ラインを増設するか、従来の生産ラインを改造し、新規の反応容器を従来の反応容器に置き換える必要がある。当然、新規生産ラインの増設には新たな設備投資が必要となる。また、新規の反応容器を従来の反応容器に置き換える場合には、設備投資は少なくなるものの、改造中は生産ラインは稼動できず、生産効率が低下してしまう。
【0036】
さらに、従来製品と新規製品を並行して生産する場合には、各々別個の生産ラインを持つことになる。将来、それぞれの必要生産数が変化した際、改造により装置の転用を図ることがなされるが、改造に相当の時間を要するため、即座に生産ライン数比率を調整することができない。
【0037】
このような装置の転用を速やかに行う目的から、真空処理装置を反応容器と排気装置が分離可能な構成とし、生産計画に応じて、必要な製品に対応した反応容器を排気装置に接続、真空処理する方式が近年着目されている。この反応容器と排気装置が分離可能な構成とする方式は、生産における柔軟性が高く、生産効率の向上、生産コストの低減が達成可能となる。また、このような分離可能な装置構成において、反応容器を可動とすることにより、準備工程における、基体の反応容器中への設置は、反応容器を基体設置用のステージに移動して行うことができる。従って、反応容器を固定した際には、各反応容器へ基体を搬送・設置するため、大規模な基体搬送装置が利用されていたが、反応容器を可動とすると、大規模な基体搬送装置は不要となり、生産システムの簡素化が可能となる。
【0038】
このように、真空処理装置を反応容器と排気装置が分離可能な構成とし、必要な製品に対応した反応容器を排気装置に接続、真空処理する方式は多くのメリットを有しており、近年、特に着目されている。
【0039】
この反応容器と排気装置が分離可能な構成とする装置の概略は、例えば図5に一例を示すようなものである。図5は、反応容器と排気装置が分離可能な構成において、特に、反応容器を可動とする構成の一例を示す。501は可動反応容器部であり、反応容器506、真空封止弁508、接続用フランジ504、及び反応容器506が載せられこれを可動とする台車513よりなっている。また、502は排気部であり、排気手段507、真空封止弁509、及び接続用フランジ505よりなっている。503は反応容器部501と排気部502を接続するための接続部である。
【0040】
反応容器506内の構成に関しては、例えば図6のような構成のものを用いることができる。図6は、電子写真用感光体を形成するための堆積膜形成装置反応容器部の一例を示す概略図である。図6(a)は概略断面図、図6(b)は図6(a)の切断線A―A′に沿う概略断面図である。
【0041】
反応容器601の側面には排気管611が形成され、排気管611の他端は図5中における真空封止弁508に接続されている。排気管の開口部は反応容器中に導入される高周波電力の排気手段側への漏洩を防止するため、不図示の導電性メッシュが設置されている。堆積膜の形成される円筒状基体605は、同一円周上に等間隔で互いに平行に配置されている。基体605は回転軸608によって保持され、モータ609を駆動すると、減速ギア610を介して回転軸608が回転し、円筒状基体605はその母線方向中心軸のまわりを自転するようになっている。また、円筒状基体605は発熱体607によって加熱可能となっている。
【0042】
高周波電源603より出力された高周波電力は、マッチングボックス604及び高周波電力供給ケーブル615を経て、カソード電極602より成膜空間となる反応容器601内に供給される。また、円筒状基体605の配置円内にも、カソード電極606が設置され、高周波電源614より出力された高周波電力は、マッチングボックス613、高周波電力供給ケーブル615を経て、カソード電極606より反応容器601内に供給される。
【0043】
反応容器601内には原料ガス供給手段612が設置され、所望の原料ガスを反応容器601中に供給する。
【0044】
この図5に一例を示す真空処理装置を用いた真空処理は、例えば、可動式の反応容器として、図6に一例を示す電子写真用感光体形成用の堆積膜形成反応容器を用いた場合、概略以下のような手順により行うことができる。
【0045】
まず、可動反応容器部501を排気部502から切り離し、不図示の基体設置時用排気装置に接続用フランジ504を接続した状態で、円筒状基体605を反応容器601内に設置する。続いて、基体設置時用排気装置により排気管611を通して反応容器601内を排気する。この際、真空封止弁508を開けておくことは言うまでもない。反応容器601内が所望の圧力まで排気された後、真空封止弁508を閉じ、接続用フランジ504を基体設置時用排気装置から切り離す。続いて可動反応容器部501を排気部502の設置場所まで移動し、接続用フランジ504を排気部側接続用フランジ505に真空シール材を介して当接させ接続する。接続後、必要に応じて接続部503をネジ、クランプ等の固定手段で固定する。
【0046】
可動反応容器部501が排気部502に接続されたのを確認した後、まず、排気部側真空封止弁509を開き、反応容器側真空封止弁508より排気手段507側の配管内を排気手段507により排気し、次いで反応容器側真空封止弁508を開き反応容器506内を排気する。
【0047】
この準備工程、すなわち、反応容器506内への基体設置過程、反応容器部501の移動過程、反応容器部501の排気部502への接続過程においては、上述した手順の他に、例えば、基体設置後、反応容器506内を排気せずに反応容器部501を移動、排気部502に接続する手順としてもよい。この他の手順を採用する際にも、反応容器部501が排気部502に接続され、実際の真空処理工程を開始するまでの間に、反応容器506内等の排気を完了させ、処理可能な状態になっていればよい。従って、この準備工程における具体的手順は、各生産工程における作業効率、生産性等を考慮して、適宜決定することができる。
【0048】
このように、反応容器506内が排気手段507によって排気された後、必要に応じて、発熱体607により円筒状基体605を所定の温度に加熱・制御する。円筒状基体605が所定の温度となったところで、原料ガス供給手段612を介して、原料ガスを反応容器601内に導入する。原料ガスの流量が設定流量となり、また、反応容器601内の圧力が安定したのを確認した後、高周波電源603,614よりマッチングボックス604,613を介してカソード電極602,606へ所定の高周波電力を供給する。供給された高周波電力によって、反応容器601内にグロー放電を生起し、原料ガスは励起解離して円筒状基体605上に堆積膜が形成される。
【0049】
所望の膜厚の形成が行われた後、高周波電力の供給を止め、また、原料ガスの供給を停止して、堆積膜の形成を終える。多層構造の堆積膜を形成する場合には、同様の操作を複数回繰り返す。この場合、各層間においては、上述したように1つの層の形成が終了した時点で一旦放電を完全に停止し、次層のガス流量、圧力に設定が変更された後、再度放電を生起して次層の形成を行ってもよいし、あるいは、1つの層の形成終了後一定時間でガス流量、圧力、高周波電力を次層の設定値に徐々に変化させることにより連続的に複数層を形成してもよい。
【0050】
堆積膜形成中、必要に応じて、回転軸608を介して円筒状基体605をモータ609により所定の速度で回転させるとよい。円筒状基体605を回転することにより、円筒状基体表面全周にわたって同じ条件で堆積膜が形成され、得られる堆積膜のより一層の均一化がなされる。
【0051】
このようにして、堆積膜形成工程が終了した後、反応容器506内の原料ガスを十分にパージ、好ましくは不活性ガスに置換した後、真空封止弁508,509を閉じる。続いて接続部503を切り離し、反応容器部501が移動可能な状態となったところで、反応容器部501を基板取出し場所へ移動する。
【0052】
必要に応じて、基体605を所望の温度まで冷却した後、不図示のリーク弁より反応容器506内に不活性ガス等を導入し、反応容器506内を大気圧とする。反応容器506内が大気圧となったところで、反応容器506より堆積膜が形成された基体605を取出す。
【0053】
その後、反応容器506内の構成部品の交換、クリーニング等により、反応容器506が再度堆積膜形成可能な状態となったところで、反応容器506は再び上述した基体設置過程に供せられる。
【0054】
このような基体設置、堆積膜形成、基板取り出しの三つに区分される工程を、それぞれ個別の場所において実施する真空処理においては、反応容器部501を複数用意し、使用することが効率的である。すなわち、上述した一連の工程中において、排気部502に接続された反応容器部501が堆積膜形成を終了し、反応容器部501が排気部502より切り離された段階で、予め基体設置の準備工程を終えた他の反応容器部501を排気部に接続し、引き続き堆積膜形成の工程を開始することができる。これにより、待ち時間の短縮がなされ、装置全体として、効率的な運用が図れる。
【0055】
以上、電子写真感光体形成装置、形成方法を例にとって説明を行ってきたが、これ以外にも、例えばエッチング、イオン注入等の他の真空処理工程、あるいは、スパッタリング法、熱CVD法等の他の真空処理方法においても、同様な手法を用いることができる。
【0056】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来方法によっても、所望の特性を持つ真空処理、例えば、良好な堆積膜形成がなされる。なかでも、真空処理装置を反応容器と排気装置が分離可能な構成とし、各ロット毎に反応容器を排気装置に接続した後、真空処理する方式は、装置運用の高い効率に加え、生産における柔軟性をも併せ持つ。この利点を生かし、多品種生産に適した真空処理方法として、近年、特に精力的に改善がなされている。
【0057】
生産性の向上のみでなく、このような真空処理方法を用いた製品の性能に対する市場の要求レベルは日々高まっている。従って、この要求に応えるべく、より高品質な製品の生産が可能であり、しかも生産性の高い真空処理方法の開発が求められるようになっている。
【0058】
例えば、プラズマCVD法を用いて作製される電子写真感光体の場合、近年その普及が目覚ましいデジタル電子写真装置やカラー電子写真装置においては、文字原稿のみならず、写真、絵、デザイン画等のコピーも頻繁になされるため、コピー画像品質に対する要求レベルは非常に高まっている。これら高い画像品質の要求に対応可能な電子写真装置の提供が急務となっている。コピー画像品質向上へ向けての技術的検討は、画像形成プロセスそのものの検討をも含め様々な面からなされているが、その中でも、電子写真用感光体特性の向上は不可避の課題である。この課題解決のため、真空処理特性の向上が実現可能である上に、同時に処理特性が安定し、高い良品率が維持可能な電子写真用感光体形成方法の実現が強く求められている。
このような状況下において、上に述べた従来の真空処理方法には、まだ改善の余地が残されているのが現状である。前述したように、反応容器と排気装置が分離可能な構成とした真空処理装置を用いる真空処理方法においては、生産の柔軟性は向上する。この方法では、真空処理前に被処理基体を内部に設置した状態で反応容器を移動するため、この移動時に基体上に付着するダストを如何に効果的に抑制するかという課題が残されている。その対策の1つとして、基体を反応容器内に設置する前に、反応容器を排気装置に接続しておき、その状態で反応容器内に基体を設置する、という方法がある。しかしながら、この基体設置方法を採用する場合、基体を反応容器までダストの付着を防止しながら搬送するための新たな手段が必要となる。さらには、基体設置後、反応容器内の減圧工程が完了するまでの間、真空処理は開始できず、また、この排気に要する時間も少なくなく、結果的に生産タクト上の時間的なロスにつながってしまう。
【0059】
また、このような真空処理方法においては真空処理特性のロット間でのバラツキが生じ易く、このロット間バラツキを如何に抑制していくかという課題が残されている。
本発明は、上記課題を解決するもので、本発明の目的は、真空処理容器内に被処理物を設置した状態で真空処理容器を移動し、真空処理容器とは別の減圧空間に接続した後、真空処理工程の少なくとも1工程を施す真空処理方法において、生産の柔軟性を損なうことなく、また、被処理物上へのダスト付着を防止して真空処理物の良品率向上を達成し、さらには真空処理特性のロット間バラツキの抑制をも達成可能とする新規な手段を具えた真空処理方法を提供することにある。より具体的には、真空処理容器内に被処理物を設置した状態で真空処理容器を移動し、真空処理容器とは別の減圧空間に接続する工程において、被処理物上へのダスト付着を防止でき、また、真空処理特性のロット間バラツキを引き起こす要因を排除し、加えて、生産の柔軟性にも優れた工程構成とした真空処理方法を提供することにある。
【0060】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、真空処理容器内に被処理物を設置した状態で真空処理容器を移動する際に、真空処理容器内の圧力を適正な範囲内とし、この状態で真空処理容器とは別の減圧空間に接続することで上記の目的を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0061】
すなわち、本発明の真空処理方法は、
真空処理容器内に被処理物を設置し、減圧下、前記真空処理容器とは別の減圧空間と前記真空処理容器を連通した状態において、前記被処理物に真空処理工程の少なくとも1工程を施す真空処理方法であって、
前記真空処理容器は、少なくとも開閉可能な第1の開口部を有し、
前記真空処理容器とは別の減圧空間は、少なくとも第2の開口部を有し、
前記真空処理容器とは別の減圧空間と前記真空処理容器との連通は、前記第1の開口部と第2の開口部とを密に接続して、その後に前記開閉可能な第1の開口部を開状態とした際になされ、
前記接続を行う際、被処理物を設置した前記真空処理容器を移動させて、前記第1の開口部と第2の開口部とを密に接続可能な配置とし、両者の接続を行い、
前記移動と接続を行う際、前記第1の開口部は閉ざされた状態とし、かつ前記真空処理容器内部は、その内圧を所定の値に減圧されている状態とし、
前記真空処理工程の少なくとも1工程を施すに際し、
互いに開口部を接続された前記別の減圧空間と前記真空処理容器との連通は、前記別の減圧空間の内圧が所定の圧力値に下がったことを確認した後、かかる前記別の減圧空間の内部も減圧した状態において、接続の際は閉ざされていた前記第1の開口部を開くことによりなされ、
その際、互いに連通される前記別の減圧空間と真空処理容器との間の排気抵抗を、前記第1の開口部を開き連通させた後、変化させ、
前記移動と接続の間減圧状態とされている前記真空処理容器の内圧は、前記第1の開口部を開き連通を達成する際、前記減圧した状態とされている別の減圧空間の内圧よりも高くすることを特徴とする真空処理方法である。
【0062】
本発明の真空処理方法において、移動と接続の間減圧状態とされている前記真空処理容器の内圧を、1×10Pa以下とすることが好ましい。移動と接続の間減圧状態とされている前記真空処理容器の内圧を、1×10Pa以下とすることがより好ましい。
【0063】
一方、接続の後、前記第1の開口部を開くことにより互いに連通される、減圧状態の前記真空処理容器の内圧をP1[Pa]とし、減圧状態とされる前記別の減圧空間の内圧をP2[Pa]とするとき、前記連通に際して、前記P2とP1の差が、
P1−P2≧0.1 Pa
の関係を満たすようにすることが好ましい。さらに、連通に際して、前記P2とP1の差が、
P1−P2≧1Pa
の関係を満たすようにすることがより好ましい。
【0064】
加えて、本発明の真空処理方法において、互いに連通される前記別の減圧空間と真空処理容器との間の排気抵抗を、前記第1の開口部を開き連通させた後、変化させる操作を行う際、互いに連通される前記別の減圧空間と真空処理容器との間の排気抵抗を、前記第1の開口部を開き連通させた後、連続的にまたは段階的に小さくすることがより好ましい。
【0065】
なお、本発明の真空処理方法は、別の減圧空間と真空処理容器と互いに連通した状態で前記被処理物に対して施す、前記真空処理工程の少なくとも1工程は、堆積膜形成工程を含むことを特徴とする真空処理方法とすることができる。この場合、真空処理工程の少なくとも1工程に含まれる、前記堆積膜形成工程は、少なくとも組成の異なる複数領域を有する堆積膜を形成する工程を含むことを特徴とする真空処理方法としてもよい。また、例えば、堆積膜形成工程を少なくともその1工程として含む真空処理工程が、電子写真感光体を製造するための堆積膜形成であることを特徴とする真空処理方法とすることもできる。
【0066】
【発明の実施の形態】
本発明の真空処理方法では、真空処理容器内に被処理物を設置し、その真空処理容器を、排気、減圧した状態で移動する。次いで、真空処理容器とは別の減圧空間に設けられている第2の開口部と移動してきた真空処理容器に設けられている第1の開口部とを接続する。この第1の開口部は開閉可能な構造であり、移動中は閉じられているが、接続後、開いて、真空処理容器とは別の減圧空間と真空処理容器とを減圧下に連通させる。この時、真空処理容器内の圧力を、連通する別の減圧空間の圧力より高くすることが、本発明の特徴点である。
【0067】
被処理物の設置、真空処理容器の移動、その後の接続の工程を、前記のようにすることにより、真空処理前に被処理物上へダストが付着することを効果的に防止することが可能となる。また、真空処理容器内への被処理物の設置は、真空処理自体を行う場所とは異なる場所において行い、その後、真空処理容器を移動する構成をとるので、生産の柔軟性を維持することもできる。加えて、真空処理容器内は予め減圧されており、接続後、真空処理容器を所望の減圧状態とするに要する時間も大幅に短くなる。従って、真空処理装置自体の効率的な運用、あるいは、生産タクト上のロスの削減は図られる。
【0068】
加えて、被処理物上へのダスト付着が防止される結果、真空処理物の良品率向上も達成される。また、真空処理前の工程における、被処理物の清浄さの維持が再現性よくなされ、また、真空処理に際し、真空処理特性の劣化を引き起こす要因の排除も、高い確実性でなされるため、ロット間での真空処理特性のバラツキ抑制も達成可能となる。
以上に述べた効果を生む、本発明の作用、その構成について、以下に詳しく説明する。
【0069】
本発明の真空処理方法では、真空処理容器を移動する際、予め真空処理容器内を排気し、その圧力を減圧としている。減圧とすることにより、移動中、仮に振動があったとしても、真空処理容器内でダストが舞うことは防止されている。従って、真空処理容器内に浮遊するダスト自体がないため、被処理物、例えば、基体上へのダスト付着はより確実に防止される。この結果、被処理物上に付着したダストに起因する真空処理特性不良が大幅に改善され、良品率の向上が達成される。
【0070】
加えて、本発明の真空処理方法では、真空処理容器を移動する際、真空処理容器内を減圧するだけでなく、移動後、この真空処理容器を接続する別の減圧空間の圧力よりも、真空処理容器内の圧力を高く設定している。この内圧差を設けておくことに伴い、真空処理特性の向上、真空処理特性のロット間バラツキの軽減も図られる。この効果が得られるメカニズムに関しては、発明者らも完全な解明には未だ達していないものの、本発明を完成する際に行った検討に基づき、概略以下に説明するメカニズムによると推察される。
【0071】
従来の真空処理方法、例えば、反応容器と排気装置が分離可能な構成とした真空処理装置を用いる真空処理方法においては、真空処理後、排気装置と分離した反応容器から、真空処理を終えた被処理物を取り出す。その後、真空処理に伴い、反応容器内が汚濁する場合、各ロット毎、あるいは所定の回数の真空処理がなされた時点で、前記の汚濁に応じて、ドライエッチング、ウェットエッチング等のクリーニング手段により浄化がなされている。従って、反応容器内に関しては、所望の清浄度に維持することは可能である。
【0072】
一方、反応容器と接続される排気装置に関しては、必要に応じてメンテナンスがなされ、また、メンテナンスの一環として、内部のクリーニング等が定期的には実施される。しかしながら、排気装置における内部のクリーニング頻度は、反応容器内部のクリーニング頻度と比較して、格段に少ない。従って、処理回数が増すにつれ、真空処理時に生じる副生成物などが蓄積されていき、メンテナンスの直後と、次回のメンテナンスの直前とでは、排気装置内部の清浄度は格段に異なっている。
【0073】
その内部に汚濁が蓄積された排気装置に、清浄な被処理物をその内部に設置した反応容器を接続し、両者を連通した際、仮に排気装置の内圧が反応容器の内圧より高いならば、接続の直後、排気装置から反応容器への気体の流れが生じる。この気流に伴い、排気装置内部に蓄積されている汚濁物も若干、排気装置から反応容器へ流入する。この排気装置から逆流してくる汚濁物が清浄な被処理物に付着すると、真空処理特性不良を誘起する要因ともなる。
【0074】
あるいは、この反応容器内に入り込んだ副生成物などは、真空処理時に反応容器内に導入されるエネルギー、例えば熱、高周波電力やあるいは真空処理時に用いるプラズマのエネルギーによって分解・活性化され、被真空処理物表面に不純物として取り込まれてしまう。その結果、真空処理特性の低下を引き起こす要因ともなる。
【0075】
加えて、前記する排気装置から逆流してくる汚濁物の量は、排気装置内部に蓄積された汚濁の程度に依存するため、処理回数が増すにつれ、その量は増加する傾向にある。従って、各処理ロット毎に、混入する不純物量は一定でなく、バラツキを持つものとなり、それに伴い、真空処理ロット間での特性バラツキも生じてしまう。特に、排気装置を共用して、複数の反応容器を交互に使用する際には、通算の処理回数が多くなり、より大きなバラツキを生じさせる。加えて、同一の排気装置を共用して、異種の真空処理を行う場合には、真空処理内容の相違が、一層大きなバラツキを生じさせることも少なくない。
【0076】
前記の直接的な影響以外にも、間接的な影響を及ぼすこともある。例えば、反応容器内に入り込んだ副生成物などは、真空処理時に反応容器内に導入されるエネルギー、例えば、熱、高周波電力、あるいは真空処理時に用いるプラズマのエネルギーによって分解・活性化され、反応容器内壁や反応容器内の構成部品、例えば、電極やガス導入管等の表面に蓄積したり、これら表面を改質してしまう場合もある。これら反応容器内に残留する汚濁は、多くは、真空処理後のクリーニングによって清浄化が可能であるが、副生成物の種類や反応容器内壁、反応容器内構成部品の材質によって必ずしも初期状態に戻すことが困難な場合もある。このように完全な除去が困難な場合には、反応容器の内壁、反応容器内構成部品の表面状態や組成が経時的に変化してしまい、それに伴い、真空処理特性もまた経時的に変化してしまう場合がある。
それに対して、本発明の真空処理方法においては、開閉可能な第1の開口部を有する真空処理容器を利用するので、この真空処理容器の内部は、各処理ロット毎、あるいは所定の回数の真空処理がなされた時点で、真空処理の内容に合致するドライエッチング、ウェットエッチング等のクリーニング手段により、所望の清浄度に維持することが可能である。
【0077】
本発明の真空処理方法においても、真空処理容器と連通される、真空処理容器とは別の減圧空間、例えば、排気装置などを利用する。この別の減圧空間、例えば、排気装置の内部には、複数の真空処理容器が順次連続的に接続され真空処理がなされるので、真空処理時に生じる副生成物などの汚濁物が蓄積されていく。従って、その清浄度の維持がなされている真空処理容器内と比較すると、別の減圧空間、例えば、排気装置内部の清浄度は劣ったものではある。
【0078】
仮に、真空処理容器を移動する際、真空処理容器内の圧力が、移動後接続する別の減圧空間、例えば、排気装置内部の圧力よりも低いと、上で説明した従来の方法に起こる現象と同じく、第1の開口部を介して、連通される別の減圧空間、例えば、排気装置内部に蓄積している真空処理副生成物などが真空処理容器内に容易に入り込んでしまう。本発明の方法では、真空処理容器内の圧力を、連通される別の減圧空間、例えば、排気装置内部の圧力よりも高くするので、連通した際、内圧差により生じる気流は、真空処理容器から別の減圧空間、例えば、排気装置へと向かうものとなる。この内圧差により生じる気流は、別の減圧空間、例えば、排気装置内部に蓄積している真空処理副生成物などが、真空処理容器内に入り込んでくる現象の抑制に有効に作用する。
【0079】
真空処理容器自体の内部は、通常、所望の清浄度に維持されているが、移動の際、不可避的に生じる微細な機械的な振動などで、僅かに残留しているダストが飛散することもある。あるいは、大きな機械的な振動を与えないならば、内壁面などに比較的に安定に固着している真空処理副生成物粒子、皮膜などが、移動の際、偶発的に生じた機械的な振動により、剥離し、飛散するこのもある。本発明の方法では、真空処理容器自体の内部を減圧にして、移動、接続を行うので、剥離が生じたとしても、容器内に微細なダストが浮遊する事態には至らない。従って、真空処理容器自体の内壁などに僅かに残留している、真空処理副生成物粒子や皮膜に由来するダストが浮遊して、設置されている清浄な被処理物上に付着することも抑制できる。
【0080】
本発明においては、真空処理容器を移動する際、その内部を減圧にして、この被処理物(例えば、被真空処理基体)上へのダスト付着防止を行っているが、この作用をより確実とするには、真空処理容器を移動する際の圧力を1×10Pa以下とすることが好適であり、さらには、1×10Pa以下とすることがより好適である。この内圧とした際にも、同時に、真空処理容器内の圧力を移動後接続する別の減圧空間の圧力よりも高く設定することが必要である。
【0081】
一方、真空処理容器内の圧力の下限に関しては、移動後接続する別の減圧空間で達成される真空度(圧力)より高くなる範囲であれば制限はないが、以下に述べる圧力差を設ける上から、好ましくは、0.1Pa以上、より好ましくは1Pa以上とすることが望ましい。真空処理容器内を減圧する際、その圧力(真空度)として、必要以上に高い真空度を選択すると、選択された高い真空度に達するまでに要する真空排気時間が長くなり、新たに作業性の低下要因となることもある。
【0082】
加えて、真空処理容器を移動する際、真空処理容器内には、所定の減圧下で所望のガスを封入した状態とすることが好ましい。例えば、真空処理容器内を一旦所定の圧力(真空度)よりも十分に低い圧力まで真空排気した後、所望のガスを導入し、所定の圧力(真空度)で封入する。あるいは、予め、真空処理容器内の大気を所望のガスで置換した後、所定の圧力(真空度)に減圧し、封入する。封入されるガスは、大気と異なり含有される水分量は僅かであり、真空処理容器壁面などに吸着している水分の蒸散が促進され、真空処理容器の移動中に壁面などの吸着水分の気化除去がより効果的になされる。その後、真空処理容器を排気部と接続し、封入されている所望のガスを真空排気することで、気化除去された水分は真空処理容器系外へ排出されるため、真空処理を行う際、内部に残留している水分量は減少しており、真空処理への残留水分の影響が大幅に軽減される。前記の目的で封入する所望のガスとしては、水分含有率が低いものであって、また、そのガス自体も真空処理容器内壁面などに膜付着を生ずることもなく、ならびに、真空処理容器内壁面などの腐食を引き起こすこともないものが利用される。具体的には、取り扱いの容易な、Ar、He、Ne、Xe、Krなどの不活性ガス、あるいは、H、Nなどが、封入ガスとして好適に利用できる。
【0083】
また、本発明の方法においては、真空処理容器内へ別の減圧空間からの真空処理副生成物などの混入を抑制するに利用する内圧差として、真空処理容器を移動する際の圧力P1[Pa]と移動後接続する別の減圧空間の圧力P2[Pa]が、
P1−P2≧0.1Pa
の関係を満たすことが好ましく、さらに内圧差を大きくし、
P1−P2≧1Pa
の関係を満たすことがより好ましい。この内圧差により、真空処理容器側から別の減圧空間、例えば、排気装置部側への弱いガスの流れを意図的に形成し、第1の開口部を開いた直後に特に生じ易い、別の減圧空間、例えば、排気装置部から真空処理容器内への真空処理副生成物などの混入を抑制することが可能となる。なお、以上に説明する本発明の作用により回避される問題は、真空処理容器を可動とし、真空処理容器内に被処理物を設置した状態で真空処理容器を移動し、この真空処理容器とは別の減圧空間に連通可能に設けられた第2の開口部に第1の開口部を接続した後、第1の開口部を開き真空処理工程の少なくとも1工程を施す真空処理に独自な問題である。例えば、反応容器と排気装置が分離可能な構成をとる、図5に示す装置において、仮に可動反応容器部501が常時排気部502に接続された状態で真空処理を行っている際には、本発明が解決したような問題は顕著には現れない。すなわち、反応容器と排気装置を常時接続している際には、反応容器506内の清浄度が所望レベル以下となった段階で、反応容器506内をドライエッチング等により清浄化する工程が置かれる。この清浄化工程の際、反応容器506内部と同時に、排気部502の排気配管内もエッチングガス、またはその活性種によりクリーニングがなされる。その結果、反応容器506と全く同じ頻度で、排気部502の排気配管内の清浄度も回復される。従って、そもそも、排気部502の排気配管内に真空処理副生成物などが蓄積することはないため、上述したような反応容器内への真空処理副生成物の混入は極僅かな量に元来抑制されているためである。
【0084】
一方、本発明の真空処理方法は、例えば、真空処理容器を複数用意し、真空処理容器内に被処理物を設置した状態で真空処理容器を移動し、真空処理容器とは別の減圧空間に接続した後、真空処理工程の少なくとも1工程を施す真空処理を交互に間断なく行う際に好適に利用される方法であり、前述したような作用に基づき、真空処理容器移動に伴って生じるダスト、真空処理副生成物などの不純物の真空処理容器内への混入を抑制し、真空処理特性の悪化、ロット間での真空処理特性のバラツキを効果的に抑制するものである。
【0085】
真空処理容器内へのダスト、不純物の混入を低減するには、本発明の手法以外にも、例えば、図5に示す装置において、真空処理容器501に設ける第1の開口部504と真空処理容器本体506の間の配管長を長く設定することで、ある程度抑制可能であると推察される。しかしながら、真空処理容器本体と第1の開口部の間の配管長を長く設定した場合、真空処理容器501全体としては、装置が大型化してしまう。そのため、可動反応容器部501の移動が困難になり、交換取り付け作業の操作性が悪化し、さらには、生産性の低下に至ることもある。本発明の方法は、装置の大型化、作業・操作性の低下、あるいは生産性の低下を伴うことなく、上記効果を得ることを可能にするものである。
【0086】
また、本発明の真空処理方法においては、第1の開口部を開き、連通した後、真空処理容器と第2の開口部が設けられた別の減圧空間の間の排気抵抗を変化させる操作を行うことにより、より顕著な効果を得ることができる。この排気抵抗を変化させて、真空処理容器から第2の開口部方向へのガスの流れを制御することにより、急激な気流が生じることを抑制する。その結果、急激な気流により生じ易い、真空処理容器中でのダストの舞い上がり、あるいは、舞い上がった真空処理副生成物などの真空処理容器中への混入をより効果的に抑制することが可能となる。この排気抵抗の変化操作は、真空処理容器と第2の開口部が設けられた別の減圧空間の間の排気抵抗を、連続的かつ/または段階的に小さくなるように抑制することが好ましい。すなわち、真空処理容器中の圧力と別の減圧空間の圧力の差、この内圧差が比較的大きいときには排気抵抗を大きく維持し、真空処理容器から第2の開口部が設けられた別の減圧空間へのガスの急激な流れを抑制し、その後、この内圧差が減少して、比較的小さくなった段階で、また、この内圧差の減少に合わせて、排気抵抗を小さくする。その結果、別の減圧空間を経て真空排気される、真空処理容器内の排気能力は所望の水準まで高まる。この排気抵抗の変化操作を加えることにより、本発明の効果を顕著に得ながら、同時に真空処理容器内の排気を効率的になすことが可能となる。
【0087】
なお、本発明の真空処理方法は、真空処理が少なくとも堆積膜形成工程を含む場合に、その効果は特に顕著となる。真空処理が堆積膜形成工程を含む場合、真空処理容器の内壁に加えて、連通されている第2の開口部近傍、さらには、第2の開口部が設けられた別の減圧空間内にも、堆積膜の被覆、すなわち副生成物の付着が起こる。この付着蓄積する副生成物などは、膜剥がれにより破砕片を生じ易く、真空処理容器中へのダスト、不純物として混入を起こし易いものである。本発明の真空処理方法は、この第2の開口部近傍、さらには、第2の開口部が設けられた別の減圧空間内に蓄積する副生成物などが、真空処理容器中へダスト、不純物として混入する現象を効果的に抑制するので、堆積膜形成工程を含んだ真空処理において、特にその効果は顕著となる。
【0088】
また、堆積膜形成の中でも、組成の異なる複数領域を有する堆積膜を形成する工程を含む場合、本発明の方法はより効果的となる。例えば組成の異なる2つの層を形成する真空処理の場合、真空処理工程の進行に伴って、第2の開口部近傍、あるいは第2の開口部が設けられた減圧空間内に第1層形成時に生じた副生成物、第2層形成時に生じた副生成物が順次積層された状態となる。次サイクルの真空処理に際して、新たな被処理物を設置した真空処理容器が接続される。この際、第2の開口部近傍、第2の開口部が設けられた別の減圧空間内壁の最表面には、前回の第2層形成時の副生成物が付着しており、これが真空処理容器中に最も混入し易い不純物となっている。仮に、この前回の第2層形成時の副生成物が真空処理容器中に混入した状況下で、次回の第1層の堆積膜形成を行うと、一般に、第2層形成時の副生成物は目的の第1層の堆積膜と異なる元素を含んでいるため、その元素は不純物として第1層に含有されてしまう。その結果、特性の悪化やロット間での特性のバラツキが顕著に表れることも多い。本発明の真空処理方法は、このような第2の開口部近傍、第2の開口部が設けられた別の減圧空間内壁に由来する不純物の混入を効果的に抑制するので、特に、組成の異なる複数領域を有する堆積膜を形成する工程を含む場合、その効果はなお一層顕著となる。
【0089】
従って、本発明の真空処理方法は、真空処理が電子写真用感光体形成のための堆積膜形成である場合、特に効果的である。作製される電子写真用感光体は、通常、複数の組成が異なる堆積膜が積層された構造を利用するので、前記した組成の異なる複数領域を有する堆積膜を形成する工程を含む真空処理の代表例である。加えて、形成される堆積膜自体、通常、合計、数十μmの膜厚の堆積膜とされるため、一堆積工程毎に、第2の開口部近傍、あるいは第2の開口部が設けられた別の減圧空間内壁に付着する副生成物量は非常に多くなっている。その結果、上述したように、この付着する副生成物に由来するダスト、不純物の真空処理容器内への混入がより生じ易い状態となっている。本発明の真空処理方法を適用すると、このような場合でも、真空処理容器内へのダスト、不純物の混入、それに伴う堆積膜中への異元素の混入が効果的に抑制され、効果が顕著になる。
このような効果が得られる本発明の真空処理方法を実施する形態について、以下に図を参照してより具体的に説明する。
【0090】
図1は、本発明の真空処理方法を好適に実施することができる、真空処理装置の一例を示す概略図である。この図1の真空処理装置は、排気部102と反応容器部が分離可能な構成とされている。また、分離した際、反応容器部が移動可能なように構成されている。図1において、101は第1の可動反応容器部であり、反応容器106、真空封止弁108、接続用フランジ104からなり、移動可能となっている。また、102は排気部であり、排気手段107、真空封止弁109、及び接続用フランジ105よりなっている。103は反応容器部101と排気部102を接続するための接続部である。また、110は第2の可動反応容器部であり、第1の可動反応容器部101と同様の構成となっている。
【0091】
第1の可動反応容器部101と第2の可動反応容器部110とは、それぞれ別の接続部において排気部102と接続することができる。両者は、同時並行的に真空処理を進めてもよいし、各々交互に真空処理を行うこともできる。反応容器106内の構成に関しては、目的とする真空処理に応じて、適宜合目的に構成される。例えば、プラズマCVD法により複数の基体上に堆積膜を形成する目的では、例えば、図6に示した構成のものを用いることができる。113は補助排気装置であり、反応容器部101及び110を排気部102に接続した後、反応容器側真空封止弁108と排気部側真空封止弁109の間の配管115を真空排気するために使用される。補助排気装置113は、バルブ111ならびに112によって排気開始、排気停止が可能となっている。また、114はコンダクタンス可変バルブであり、反応容器106内を排気手段107で排気する際、その排気抵抗を可変するものとなっている。
【0092】
この図1に示すような装置を用いて、反応容器106として、図6に示した構成のものを接続する場合、本発明の真空処理方法は、例えば、以下に述べる手順により実施することができる。
【0093】
まず、可動反応容器部101は、排気部102から切り離した状態で、不図示の基本設置時用排気装置に接続用フランジ104用いて接続する。この状態で、円筒状基体605を反応容器601内に設置する。続いて、接続している基体設置時用排気装置を用いて、真空封止弁108と連結している排気管611を通して反応容器601内を排気する。この排気を行う際、真空封止弁108は開とされる。反応容器601内の排気は、反応容器601内の圧力が減圧状態となり、かつ、その後、反応容器部101を排気部102に接続後、真空封止弁108を開き連通した際、反応容器601内の圧力が排気部側圧力よりも高い状態となる範囲で真空封止弁108を閉じて停止する。
【0094】
通常、反応容器部101を排気部102に接続後、真空封止弁108を開き連通する際、排気部側圧力P2と反応容器601内の圧力P1は、その圧力差P1−P2が所定の値以上となり、また、P1自体は、所定の減圧度(圧力)以下となる範囲で、予め選択しておく。
【0095】
また、反応容器601内に所望のガスを詰めた状態で反応容器部101を排気部102まで搬送することもできる。この場合には、反応容器601内に円筒状基体605を設置した後、一旦、基体設置時用排気装置により排気管611を通して反応容器601内を十分に排気する。続いて、原料ガス供給手段612より所望のガスを反応容器601内に導入する。この際、真空封止弁108を開いた状態でガス導入を行い、所望の時間ガスを流した後、真空封止弁を閉めて反応容器601内を上述した圧力範囲となるようにしてもよい。あるいは、排気後、予め真空封止弁108を閉じ、原料ガス供給手段612より所望のガスを反応容器601内に導入して、反応容器601内を上述した圧力範囲となるようにしてもよい。さらには、原料ガス供給手段612からのガス導入により、反応容器601内に所望のガスで所定の圧力に満たした後、再度、真空封止弁108を開き、所望の圧力まで減圧し、真空封止弁108を閉じてもよい。
【0096】
いずれの手順を選択する場合でも、反応容器部101を排気部102へ移動するまで、反応容器601内の圧力が減圧状態となし、かつ反応容器部101を排気部102に接続後、真空封止弁108を開くときの排気部側圧力よりも高い状態としておく。従って、例えば、発熱体607により円筒状基体605を所定の温度に加熱した後、上述した手順のいずれかをとり、反応容器601内を所定の圧力としてもよい。
【0097】
反応容器601内の圧力を所定の値とし、真空封止弁108を閉じた後、接続用フランジ104を基体設置時用排気装置から切り離す。続いて、可動反応容器部101を排気部102の設置場所まで移動し、接続用フランジ104を排気部側接続用フランジ105に真空シール材を介して接続する。
【0098】
接続後、接続部を気密にするため、装置自体に必要に応じて設けられているネジ、クランプ等の固定手段を用いて、フランジ相互を固定する。可動反応容器部101が排気部102に接続されたのを確認した後、排気部側真空封止弁109と反応容器側真空封止弁108の間の配管115を排気する。具体的な排気手順は、バルブ111を開き補助排気装置113により、所定の圧力に排気してもよいし、あるいは、補助排気装置113により、粗い減圧を行い、その後、排気部側真空封止弁109を開き、排気手段107により排気してもよい。排気により、配管115内の圧力が反応容器601内の圧力よりも低くなり、排気手段107による排気に切り替え、所定の排気部側圧力に下がったことを確認した後、反応容器側の真空封止弁108を開く。
【0099】
従って、排気部側真空封止弁109と反応容器側真空封止弁108の間の配管115の排気を補助排気装置113により行った場合には、バルブ111を閉じ、排気部側真空封止弁109を開けておく。なお、排気部側真空封止弁109を開ける際には、排気手段107側の圧力が配管115部分の圧力よりも低くなるようにしておくとよい。両者に差がないか、配管115部分の圧力が低い段階で真空封止弁109を開ける手順と選択する際には、排気部側真空封止弁109と接続用フランジ105の間の排気配管の長さを十分長くして、排気手段107から飛来するダスト、不純物が、接合部を超えて、例えば、反応容器側真空封止弁108の位置に達しないような構成としておく。このように、排気部側真空封止弁109を開く際にも、排気部側からダストや不純物が反応容器方向へ逆流することを抑制する手順、排気部102の構成を採用することで、反応容器106内へのダスト、不純物の混入がより確実に防止できる。
【0100】
また、排気部側真空封止弁109を開ける際には、コンダクタンス可変バルブ114は、排気初期には排気抵抗が高い状態としておき、徐々に排気抵抗を低くしていくことが急激なガスの流れを防止するという点で好ましい。同様に、反応容器側真空封止弁108を開く際にも、コンダクタンス可変バルブ114は、排気初期には排気抵抗が高い状態としておき、徐々に排気抵抗を低くしていくことが急激なガスの流れを防止するという点で好ましい。
このような準備が整った後、真空処理工程を開始する。例えば、真空処理として、被処理物として円筒状基体を用い、この基体上にプラズマCVD法による堆積膜形成を行う場合、反応容器106が図6に示す構成をとる際、真空処理工程は以下のような手順に従って行うことができる。
【0101】
可動反応容器部101と排気部102との接続、連通操作を終えると、反応容器106内に基体が設置され、反応容器106内が排気手段107によって排気された状態となる。この状態で、発熱体607により円筒状基体605を所定の温度に加熱・制御する。円筒状基体605が所定の温度となったところで、原料ガス供給手段612を介して、原料ガスを反応容器601内に導入する。原料ガスの流量が設定流量となった後、コンダクタンス可変バルブ114の排気抵抗を調整して、反応容器601内の圧力を所定値に設定する。この調整操作により、原料ガス流量、圧力が所定値で安定したのを確認した後、高周波電源603および614より、それぞれマッチングボックス604、613を介してカソード電極602、606へ所定の高周波電力を供給する。供給された高周波電力によって、反応容器601内にグロー放電が生起し、原料ガスは励起解離して円筒状基体605上に堆積膜が形成される。所望の膜厚の堆積膜形成が行われた後、高周波電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して第1の堆積膜の形成を終える。
【0102】
前記する一連の操作を、目的とする堆積膜に応じて成膜条件を選択して複数回繰り返すことにより、複数層よりなる電子写真用感光体に用いる積層堆積膜が形成される。なお、各層間においては、1つの層の形成が終了した時点で一旦放電を完全に停止し、次層の成膜条件に合せて、ガス流量、圧力の設定を変更した後、再度放電を生起して次層の形成を行ってもよい。あるいは、1つの層の形成終了後、中断を置かず、次層の成膜条件に合せて、一定の時間内にガス流量、圧力、高周波電力の設定値を徐々に変化させることにより、連続的に複数層を形成してもよい。堆積膜形成中、円筒状基体605は、回転軸608を介してモータ609により、必要に応じて所定の速度で回転させてもよい。
【0103】
このようにして、堆積膜形成工程が終了した後、反応容器106内、及び排気配管内の原料ガスを十分にパージ、好ましくは不活性ガスに置換した後、反応容器側真空封止弁108と排気部側109を閉じる。続いて、排気部側真空封止弁109と反応容器側真空封止弁108の間、すなわち、配管115部分を大気開放して接続部103を切り離す。接続がとかれ、可動反応容器部101が移動可能な状態となったところで、可動反応容器部101を基板取出し場所へ移動する。
【0104】
必要に応じて、基体605を所望の温度まで冷却した後、不図示のリーク弁より反応容器106内に不活性ガス等を導入し、反応容器106の内圧を大気圧に戻す。反応容器106内が大気圧となったところで、反応容器106より堆積膜が形成された基体605を取出す。
【0105】
その後、反応容器106内の構成部品を交換、クリーニング等することにより、反応容器106は再度堆積膜形成可能な状態となる。次回の真空処理に向け、反応容器106は再び上述した基体設置過程に供せられる。
【0106】
このような一連の真空処理工程においては、複数の可動反応容器部を具え、例えば、反応容器部110を用いて反応容器部101と同時並行的に真空処理を進めることによって、より効率的に真空処理を行うことができる。また、排気部102に接続された反応容器部101が堆積膜形成を終了し、反応容器部101が排気部102より切り離された段階で、反応容器部110を排気部102に接続し、同様に堆積膜形成を行ってもよい。
【0107】
反応容器部101と反応容器部110とを併用して、順次真空処理工程に供する際は、例えば、一方の反応容器部101と連通する排気部側真空封止弁109が開いている間は、他方の反応容器部110と連通する排気部側真空封止弁は閉じた状態としておく。
【0108】
【実施例】
以下、具体例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例1、実施例2は、本発明の最良の実施の形態の一例を示すものではあるものの、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。
【0109】
参考例1)
図1に示す真空処理装置を用い、反応容器106として図6に示した電子写真用感光体作製用反応容器を用いて、円筒状基体、具体的には、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー605上に、プラズマCVD法により堆積膜を形成した。高周波電源603と614の発振周波数を100MHzとして、表1に示す成膜条件でa−Si堆積膜を形成した。表1において、パワーは高周波電源603と高周波電源614より供給される各パワーの合計値を示している。また、堆積膜の膜質、特に、電気特性の評価に用いる目的で、電気特性評価基板として、Cr製の250μmギャップの櫛形電極を蒸着したコーニング#7059ガラス基板を6本の円筒状基体表面上に軸方向中央に1枚設置した。カソード電極602、606は、直径20mmのSUS製円柱であり、その外部を内径21mm、外径24mmのアルミナ製パイプにより覆う構造とした。アルミナ製パイプはブラスト加工により、その表面粗さを2.5mmを基準長さとするRzで20μmとした。
【0110】
原料ガス供給手段612は、内径10mm、外径13mmのアルミナ製パイプで、端部が封止された構造とし、直径1.2mmのガス噴出口をパイプ上に多数設け、周方向に均一な原料ガス供給が可能な構造のものを用いた。原料ガス供給手段612の表面も、ブラスト加工により、その表面粗さを2.5mmを基準長とするRzで20μmとした。
【0111】
このような堆積膜形成装置を用い、堆積膜形成工程の手順は概略以下の通りとした。
【0112】
まず、可動反応容器部101、110を不図示の基体設置時用排気装置に接続用フランジ104により接続し、同時に、Ar供給用配管(不図示)、及び反応容器部101,110への電力供給ラインも接続した。この状態で、円筒状基体605を反応容器601(106)内に設置した。続いて、真空封止弁108を開け基体設置時用排気装置により排気管611を通して反応容器601内を排気した。反応容器601(106)内が1×10−3Pa以下まで排気されたのを確認した後、反応容器601(106)内に原料ガス供給手段612よりArを流量500sccmで供給し、不図示の圧力調整バルブにより反応容器内の圧力を70Paに維持しながら、発熱体607により円筒状基体605を250℃に加熱・制御した。この減圧、Ar雰囲気下における、基体加熱状態を2時間維持した。この間、円筒状基体605は回転軸608、ギア610を介してモータ609により10rpmの速度で回転させた。なお、Arの供給開始時は、Arの流量を0sccmから500sccmまでの直線的に5分間で増加させた。
【0113】
次に、Arの供給を止め、反応容器601(106)の内圧が60Paとなった時点で、真空封止弁108を閉じ、発熱体607による基体605の加熱を停止した。その後、接続用フランジ604を基体設置時用排気装置から切り離し、同時に、原料ガス供給手段612に接続されたAr供給用配管(不図示)、及び反応容器601への電力供給ラインも切り離した。以上の操作により、可動反応容器部101,110は、その内部にArガスが充填され、内圧60Paの減圧状態に保持されている。
【0114】
続いて、可動反応容器部101と110を排気部102の設置場所まで移動し、接続用フランジ104を排気部側接続用フランジ105にバイトン製O−リング(真空シール材)を介して接続した後、接続部103をクランプにより固定した。また、原料ガス供給配管(不図示)を原料ガス供給手段612に接続し、さらに、反応容器部101と110への電力供給ライン及び高周波電力供給ケーブルを接続した。
【0115】
これらの接続操作が終了した後、まず、排気部側真空封止弁109を開き、配管115内を排気手段107により排気した。配管115内の圧力が6Paとなった時点で反応容器側真空封止弁108を開き、反応容器106内を1×10−3Pa以下まで排気した。この際、コンダクタンス可変バルブ114は全開状態とした。
【0116】
次いで、円筒状基体605を回転軸608、ギア610を介してモータ609により10rpmの速度で回転させながら、原料ガス供給手段612よりArを流量500sccmの反応容器601内に供給し、コンダクタンス可変バルブ114により反応容器内圧力を70Paに調整した。内圧を70Paに減圧しつつ、発熱体607により円筒状基体605を250℃に再度加熱・制御し、その状態を20分間維持した。なお、Arの供給開始時は、Arの流量を0sccmから500sccmまで直線的に5分間で増加させた。
【0117】
その後、Arの供給を停止し、原料ガス供給手段612を介して、表1に示した条件の原料ガスを導入した。原料ガスの流量が設定流量となった後、コンダクタンス可変バルブ114の調整により反応容器内圧力を表1の条件に設定した。反応容器601(106)内の圧力が安定したのを確認した後、高周波電源603と614の合計出力値を表1に示した電力に設定し、マッチングボックス604と613を介してカソード電極602と606へ高周波電力を供給した。カソード電極602と606から反応容器601(106)内に放射された高周波電力によってプラズマ放電を生起し、原料ガスを励起解離することにより、円筒状基体605上にa−Si堆積膜を形成した。その後、1μmの厚さの堆積膜が得られたところで高周波電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して堆積膜の形成を終えた。
【0118】
このようにして、堆積膜形成工程が終了した後、反応容器601(106)内及び原料ガス供給配管内の原料ガスを十分にパージし、続いて真空封止弁108および109を閉じた。この密閉した反応容器601(106)内にHeを導入し、内圧を1000Paとした。その後、接続部103を切り離し、同時に原料ガス供給配管、電力供給ライン、及び高周波電力供給ケーブルを切り離し、反応容器部101と110を移動可能な状態とした。
【0119】
次に、反応容器部101と110を基板取出し場所へ移動し、基体605を室温まで冷却した。次いで、不図示のリーク弁より反応容器601(106)内に窒素を導入し、反応容器601(106)内を大気圧とした。反応容器601(106)内が大気圧となったところで、反応容器601(106)内より堆積膜が形成された基体605を取出した。
【0120】
その後、一連のa−Si堆積膜形成工程を終えた反応容器601(106)は、その内部構成部品の交換により、反応容器601(106)を再度堆積膜形成可能な状態とした。
【0121】
このようにして、表1に示す条件でa−Si堆積膜を5ロット形成し、電気特性評価用サンプルを計60枚得た。
【0122】
参考比較例1)
反応容器部101と110を排気部102に接続した後、排気部側真空封止弁109を開き、配管内を排気手段107により排気し、配管115内の圧力が600Paとなった時点で反応容器側真空封止弁108を開いた点を除き、その他の操作は参考例1と同様にして、表1に示す条件でa−Si堆積膜を作製した。この参考比較例1でも、5ロット形成し、電気特性評価用サンプルを計60枚得た。
【0123】
参考例1及び参考比較例1により得られた電気特性評価用サンプルについて、以下のように評価し、特性の比較を行った。
【0124】
欠陥密度の評価
CPM(Constant Photocurrent Method )法により、価電子帯端から価電子帯端上(伝導帯側)0.8eVまでの、欠陥密度を測定した。したがって、欠陥密度の値が小さいほど堆積膜特性が良好であることを示す。
【0125】
欠陥密度の評価を行った結果、参考例1で得られた電気特性評価用サンプルは60枚すべてが評価可能であったが、参考比較例1で得られた電気特性評価用サンプルは60枚のうち7枚が評価不能であった。その評価不能であった7枚について、光学顕微鏡で堆積膜を観察したところ、櫛形電極のギャップ部に異物が付着していることが判明した。
【0126】
また、評価可能であったサンプルの欠陥密度は、参考例1の欠陥密度の平均値に対して参考比較例1の欠陥密度の平均値は3倍であった。また、サンプル間での欠陥密度のバラツキに関しても、参考比較例1の方が大きかった。
【0127】
以上の比較結果から、本発明の真空処理方法を適用することにより、被真空処理物へのダスト付着の抑制効果、真空処理特性の向上効果がえられることが確認された。
【0128】
【表1】
Figure 0003619119
【0129】
参考例2)
図1に示す真空処理装置を用い、反応容器106として図6に示した電子写真用感光体作製用反応容器を用いて、円筒状基体、具体的には、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー605上に、プラズマCVD法により堆積膜を形成した。高周波電源603と614の発振周波数を100MHzとして、表2に示す成膜条件でa−Si系堆積膜(感光体)を形成した。表2において、パワーは高周波電源603と高周波電源614より供給される各パワーの合計値を示している。また、カソード電極602、606は、直径20mmのSUS製円柱であり、その外部を内径21mm、外径24mmのアルミナ製パイプにより覆う構造とした。アルミナ製パイプはブラスト加工により、その表面粗さを2.5mmを基準長さとするRzで20μmとした。
【0130】
原料ガス供給手段612は、内径10mm、外径13mmのアルミナ製パイプで、端部が封止された構造とし、直径1.2mmのガス噴出口をパイプ上に多数設け、周方向に均一な原料ガス供給が可能な構造のものを用いた。原料ガス供給手段612の表面も、ブラスト加工により、その表面粗さを2.5mmを基準長とするRzで20μmとした。
【0131】
このような堆積膜形成装置を用い、堆積膜形成工程の手順は概略以下の通りとした。本実施例では、電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる積層膜を表2に示す成膜条件で順次形成した。
【0132】
まず、可動反応容器部101、110を不図示の基体設置時用排気装置に接続用フランジ104により接続し、同時に、Ar供給用配管(不図示)、及び反応容器部101,110への電力供給ラインも接続した。この状態で、円筒状基体605を反応容器601(106)内に設置した。続いて、真空封止弁108を開け基体設置時用排気装置により排気管611を通して反応容器601内を排気した。反応容器601(106)内が1×10−3Pa以下まで排気されたのを確認した後、反応容器601(106)内に原料ガス供給手段612よりArを流量500sccmで供給し、不図示の圧力調整バルブにより反応容器内の圧力を70Paに維持しながら、発熱体607により円筒状基体605を250℃に加熱・制御した。この減圧、Ar雰囲気下における、基体加熱状態を2時間維持した。この間、円筒状基体605は回転軸608、ギア610を介してモータ609により10rpmの速度で回転させた。なお、Arの供給開始時は、Arの流量を0sccmから500sccmまでの直線的に5分間で増加させた。
【0133】
次に、真空封止弁108を閉じ、Arの供給を止め、反応容器601(106)を減圧状態で密封する。その際、真空封止弁108を閉じるタイミング及びArの供給を止めるタイミングを調整して、反応容器601(106)内圧力を以下の条件で減圧密封した後、発熱体607による基体605の加熱を停止した。Ar充填、減圧状態の反応容器601(106)内圧力は、4×10Pa、1×10Pa、4×10Pa、1×10Pa、4×10Pa、1×10Pa、4Paの7条件とした。その後、接続用フランジ104を基体設置時用排気装置から切り離し、同時に、原料ガス供給手段612に接続されたAr供給用配管(不図示)、及び反応容器601への電力供給ラインも切り離した。
【0134】
続いて、可動反応容器部101と110を排気部102の設置場所まで移動し、接続用フランジ104を排気部側接続用フランジ105にバイトン製O−リング(真空シール材)を介して接続した後、接続部103をクランプにより固定した。また、原料ガス供給配管(不図示)を原料ガス供給手段612に接続し、さらに、反応容器部101と110への電力供給ライン及び高周波電力供給ケーブルを接続した。
【0135】
これらの接続操作が終了した後、まず、排気部側真空封止弁109を開き、配管115内を排気手段107により排気した。配管115内の圧力が反応容器601(106)内圧力の0.1倍となった時点で反応容器側真空封止弁108を開き、反応容器106内を1×10−3Pa以下まで排気した。この時、コンダクタンス可変バルブ114は全開状態とした。
【0136】
次いで、円筒状基体605を回転軸608、ギア610を介してモータ609により10rpmの速度で回転させながら、原料ガス供給手段612よりArを流量500sccmの反応容器601内に供給し、コンダクタンス可変バルブ114により反応容器内圧力を70Paに調整した。内圧を70Paに減圧しつつ、発熱体607により円筒状基体605を250℃に再度加熱・制御し、その状態を20分間維持した。なお、Arの供給開始時は、Arの流量を0sccmから500sccmまで直線的に5分間で増加させた。
【0137】
前記の基体再加熱を行った後、Arの供給を停止し、原料ガス供給手段612を介して、表2に示した電荷注入阻止層の条件の原料ガスを導入した。原料ガスの流量が設定流量となった後、コンダクタンス可変バルブ114により反応容器内圧力を表2の条件に設定した。反応容器601(106)内の圧力が安定したのを確認した後、高周波電源603と614の合計出力値を表2に示した電力に設定し、マッチングボックス604と613を介してカソード電極602と606へ高周波電力を供給した。カソード電極602と606から反応容器601(106)内に放射された高周波電力によってプラズマ放電を生起し、原料ガスを励起解離することにより、円筒状基体605上に電荷注入阻止層の形成を開始した。その後、表2に示した膜厚の電荷注入阻止層が形成された時点で、高周波電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して電荷注入阻止層の形成を終えた。その後、同様の操作を繰り返すことにより、光導電層、表面層を順次形成して積層構造を得た。
【0138】
このようにして、a−Si系感光体形成が終了した後、反応容器601(106)内及び原料ガス供給配管内の原料ガスを十分にパージし、続いて真空封止弁108および109を閉じた。この密閉した反応容器601(106)内にHeを導入し、内圧を1000Paとした。その後、接続部103を切り離し、同時に原料ガス供給配管、電力供給ライン、及び高周波電力供給ケーブルを切り離し、反応容器部101と110を移動可能な状態とした。
【0139】
次に、反応容器部101と110を基体取出し場所へ移動し、基体605を室温まで冷却した。次いで、不図示のリーク弁より反応容器601(106)内に窒素を導入し、反応容器601(106)内を大気圧とした。反応容器601(106)内が大気圧となったところで、反応容器601(106)内より堆積膜が形成された基体605を取出した。
【0140】
その後、一連のa−Si堆積膜形成工程を終えた反応容器601(106)は、その内部構成部品の交換により、反応容器601(106)を再度堆積膜形成可能な状態とした。
【0141】
このようにして、二基の反応容器部101と110を用いて、上記7条件について、それぞれ表2に示す条件で各3ロット、36本のa−Si系感光体を形成した。
【0142】
参考比較例2)
反応容器部101と110を排気部102に接続した後、排気部側真空封止弁109を開き、配管内を排気手段107により排気し、反応容器601(106)内圧力の10倍となった時点で反応容器側真空封止弁108を開いた点を除き、その他の操作は参考例2と同様にして、表2に示す条件でa−Si系感光体を作製した。この比較例1でも、二基の反応容器部101と110を用いて、上記7条件について、それぞれ各3ロット、36本のa−Si系感光体を形成した。
【0143】
参考例2、参考比較例2で作製されたa−Si系感光体について、それぞれa−Si系感光体をテスト用に改造されたキャノン製の複写機NP−6750に設置し、以下に示す「光メモリー」、「特性バラツキ」、「画像欠陥」の各項目について評価を行った。各項目の評価法を、具体的に以下に述べる。
【0144】
「光メモリー」
現像器位置における暗部電位が所定の値となるよう、主帯電器の電流値を調整した後、所定の白紙を原稿とした際の明部電位が所定の値となるよう像露光光量を調整する。この状態でキャノン製ゴーストテストチャート(部品番号:FY9 −9040)に反射濃度1.1、直径5mmの黒丸を貼り付けたものを原稿台に置き、その上にキャノン製中間調チャートを重ねて置いた際のコピー画像において、中間調コピー上に認められるゴーストチャートの直径5mmの黒丸の反射濃度と中間調部分の反射濃度との差を測定することにより行った。
【0145】
各感光体について、光メモリー測定は感光体母線方向全領域にわたって行い、その中の最大反射濃度差を評価の指標とした。評価は、同一条件で作製した全感光体について行い、その平均値を光メモリーの評価結果とした。
【0146】
「特性バラツキ」
上記「光メモリー」評価において測定された各感光体の最大反射濃度差について、同一条件で作製した全感光体内で、その最大値・最小値を求める。次いで、(最大値)/(最小値)の値を算出し、特性バラツキの指標とした。したがって、数値が小さいほど特性のバラツキが小さく良好であることを示す。
【0147】
「画像欠陥」
キャノン製中間調チャート(部品番号:FY9−9042)を原稿台に置き、コピーしたときに得られたコピー画像の同一面積内にある直径0.1mm以上の白点を数える。画像欠陥は、その白点の数を指標として評価した。したがって、数値が小さいほど良好である。
表3に、評価結果を示す。表3には、参考比較例2において反応容器106内の圧力を4×103Paとした条件の結果を基準とし、相対評価し、5段階に区分した結果を記載する。
【0148】
「光メモリー」については、
◎ 20%以上の良化、
○ 10%以上20%未満の良化、
△ 5%以上10%未満の良化、
▲ 5%未満の良化または5%未満の悪化、
× 5%以上の悪化、 この5段階の区分で示した。
【0149】
「特性バラツキ」については、
◎ 40%以上の良化、
○ 20%以上40%未満の良化、
△ 10%以上20%未満の良化、
▲ 10%未満の良化または10%未満の悪化、
× 10%以上の悪化、 この5段階の区分で示した。
【0150】
「画像欠陥」については、
◎ 80%以上の良化、
○ 40%以上80%未満の良化、
△ 20%以上40%未満の良化、
▲ 20%未満の良化または20%未満の悪化、
× 20%以上の悪化、 この5段階の区分で示した。
表3に示す結果から、反応容器を移動する際の内圧が同じ条件相互を比較すると、参考例2と参考比較例2の間で、明確な差異が認められる。従って、可動反応容器部と排気部とを連結する際、反応容器の内圧を排気部の圧力より高くすることによる本発明の効果が確認された。また、可動反応容器部101と110を排気部102の設置場所まで移動する際の反応容器106内の圧力を1×103Pa以下とする際、本発明の効果はより顕著に現れており、特に、1×102Pa以下とすると、効果はさらに顕著となっていることが確認された。
【0151】
また、参考例2で作製された電子写真用感光体を用いて形成された電子写真画像は、画像流れ等もない極めて良好なものであった。
【0152】
【表2】
Figure 0003619119
【0153】
【表3】
Figure 0003619119
【0154】
参考例3)
図1に示す真空処理装置を用い、以下に示す操作を除き、その他の操作は参考例2と同様にして、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー605上に表2に示す条件でa−Si系感光体を形成した。
【0155】
参考例においては、可動反応容器部101と110を排気部102の設置場所まで移動する際、反応容器106内の圧力P1[Pa]を1×10Paとした。また、可動反応容器部101と110を排気部102に接続した後、反応容器側真空封止弁108を開く際、排気部102により排気されている配管115内の圧力P2[Pa]が、反応容器106内の圧力P1[Pa]に対して、その差P1−P2が4Pa、1Pa、4×10-1Pa、1×10-1Pa、4×10-2Paの4条件となる時点で、真空封止弁108を開くようにした。二基の反応容器部101と110を用いて、前記4条件について、それぞれ3ロット、36本のa−Si系感光体を形成した。
【0156】
参考例2と同様に、本参考例で作製されたa−Si系感光体についても、a−Si系感光体をテスト用に改造されたキャノン製の複写機NP−6750に設置し、前記の評価法に従い、「光メモリー」、「特性バラツキ」、「画像欠陥」の三項目について評価を行った。
【0157】
表4に評価結果を示す。表3と同様に、この表4でも、参考比較例2において反応容器106内の圧力を4×103Paとした条件の結果を基準とし、相対評価し、5段階に区分した結果を記載する。
【0158】
「光メモリー」については、
◎ 20%以上の良化、
○ 10%以上20%未満の良化、
△ 5%以上10%未満の良化、
▲ 5%未満の良化または5%未満の悪化、
× 5%以上の悪化、 この5段階の区分で示した。
【0159】
「特性バラツキ」については、
◎ 40%以上の良化、
○ 20%以上40%未満の良化、
△ 10%以上20%未満の良化、
▲ 10%未満の良化または10%未満の悪化、
× 10%以上の悪化、 この5段階の区分で示した。
【0160】
「画像欠陥」については、
◎ 80%以上の良化、
○ 40%以上80%未満の良化、
△ 20%以上40%未満の良化、
▲ 20%未満の良化または20%未満の悪化、
× 20%以上の悪化、 この5段階の区分で示した。
評価の結果、本発明の効果が確認され、特に真空処理容器を移動する際の圧力P1[Pa]と該第1の開口部を開くことにより連通する空間の圧力P2[Pa]が、
P1−P2≧0.1Pa
において本発明の効果が顕著に現れ、さらには、
P1−P2≧1Pa
とすることで、より顕著な効果が得られることが確認された。
【0161】
また、参考例3で作製された電子写真感光体を用いて形成された電子写真画像は、画像流れ等もない極めて良好なものであった。
【0162】
【表4】
Figure 0003619119
【0163】
(実施例
図1に示す真空処理装置を用い、以下に示す操作を除き、その他の操作は参考例2と同様にして、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー605上に表2に示す条件でa−Si系感光体を形成した。
【0164】
本実施例においては、可動反応容器部101と110を排気部102の設置場所まで移動する際、反応容器106内の圧力P1[Pa]を1×10Paとした。また、可動反応容器部101と110を排気部102に接続した後、反応容器側真空封止弁108を開く際、排気部102により排気されている配管115内の圧力P2[Pa]が、反応容器106内の圧力P1[Pa]の0.1倍、すなわち、1×10Paとなるようにした。加えて、反応容器側真空封止弁108を開いた後、排気抵抗が図7に示すように直線的に減少するように、コンダクタンス可変バルブの開口率を連続的に変化させた。二基の反応容器部101と110を用いて、前記の操作手順に従って、それぞれ3ロット、36本のa−Si系感光体を形成した。
【0165】
参考例2と同様に、本実施例で作製されたa−Si系感光体についても、a−Si系感光体をテスト用に改造されたキャノン製の複写機NP−6750に設置し、上記の評価法に従い、「光メモリー」、「特性バラツキ」、「画像欠陥」の三項目について評価を行った。
【0166】
表5に評価結果を示す。表3と同様に、この表5でも、参考比較例2において反応容器106内の圧力を4×103Paとした条件の結果を基準とし、相対評価し、5段階に区分した結果を記載する。
【0167】
「光メモリー」については、
◎ 20%以上の良化、
○ 10%以上20%未満の良化、
△ 5%以上10%未満の良化、
▲ 5%未満の良化または5%未満の悪化、
× 5%以上の悪化、 この5段階の区分で示した。
【0168】
「特性バラツキ」については、
◎ 40%以上の良化、
○ 20%以上40%未満の良化、
△ 10%以上20%未満の良化、
▲ 10%未満の良化または10%未満の悪化、
× 10%以上の悪化、 この5段階の区分で示した。
【0169】
「画像欠陥」については、
◎ 80%以上の良化、
○ 40%以上80%未満の良化、
△ 20%以上40%未満の良化、
▲ 20%未満の良化または20%未満の悪化、
× 20%以上の悪化、 この5段階の区分で示した。
表5に示す本実施例の結果と、参考例2において、P1=1×103Pa、P2=1×10 2 Paの条件で、反応容器側真空封止弁108を開く際、コンダクタンス可変バルブを予め全開(排気抵抗は、図7中に30と示す値に相当)としておき、その後も開口率を変化させず、排気抵抗を一定としたまま排気を行った事例の結果とを比較した。この両例とも、「光メモリー」、「特性バラツキ」、「画像欠陥」の三項目ともに顕著な向上が達成されているが、本実施例では、「画像欠陥」において一層良好な結果が得られている。このことから、本発明の真空処理方法においては、基体が設置された反応容器部101と110を排気部102に接続し、反応容器側真空封止弁108を開き、反応容器部と排気部を連通する際、当初、排気抵抗を大きくし、排気部による排気量を制限し、その後、排気が進むのに合わせて、排気抵抗を連続的に小さくする手順をとると、本発明の効果がさらに顕著に得られることが確認された。
【0170】
また、実施例で作製された電子写真用感光体を用いて形成された電子写真画像は、画像流れ等もない極めて良好なものであった。
【0171】
【表5】
Figure 0003619119
【0172】
(実施例
図1に示す真空処理装置を用い、以下に示す操作を除き、その他の操作は実施例と同様にして、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー605上に表2に示す条件でa−Si系感光体を形成した。
【0173】
実施例では、反応容器側真空封止弁108を開いた後、排気抵抗が図7に示すように直線的に減少するように、コンダクタンス可変バルブの開口率を変化させたが、本実施例においては、コンダクタンス可変バルブの開口率を段階的に変化させ、排気抵抗が図8に示すように段階的な減少をしめすようにした。二基の反応容器部101と110を用いて、前記の操作手順に従って、それぞれ3ロット、36本のa−Si系感光体を形成した。
【0174】
参考例2と同様に、本実施例で作製されたa−Si系感光体についても、a−Si系感光体をテスト用に改造されたキャノン製の複写機NP−6750に設置し、上記の評価法に従い、「光メモリー」、「特性バラツキ」、「画像欠陥」の三項目について評価を行った。
【0175】
表6に評価結果を示す。表3と同様に、この表6でも、参考比較例2において反応容器106内の圧力を4×103Paとした条件の結果を基準とし、相対評価し、5段階に区分した結果を記載する。
【0176】
「光メモリー」については、
◎ 20%以上の良化、
○ 10%以上20%未満の良化、
△ 5%以上10%未満の良化、
▲ 5%未満の良化または5%未満の悪化、
× 5%以上の悪化、 この5段階の区分で示した。
【0177】
「特性バラツキ」については、
◎ 40%以上の良化、
○ 20%以上40%未満の良化、
△ 10%以上20%未満の良化、
▲ 10%未満の良化または10%未満の悪化、
× 10%以上の悪化、 この5段階の区分で示した。
【0178】
「画像欠陥」については、
◎ 80%以上の良化、
○ 40%以上80%未満の良化、
△ 20%以上40%未満の良化、
▲ 20%未満の良化または20%未満の悪化、
× 20%以上の悪化、 この5段階の区分で示した。
表6に示す本実施例の結果と、参考例2において、P1=1×103Pa、P2=1×102 Paの条件で、反応容器側真空封止弁108を開く際、コンダクタンス可変バルブを予め全開(排気抵抗は、図8中に30と示す値に相当)としておき、その後も開口率を変化させず、排気抵抗を一定としたまま排気を行った事例の結果とを比較した。この両例とも、「光メモリー」、「特性バラツキ」、「画像欠陥」の三項目ともに顕著な向上が達成されているが、本実施例では、「画像欠陥」において一層良好な結果が得られている。また、この「画像欠陥」における一層の向上は、前記実施例と遜色ないものである。
【0179】
従って、本発明の真空処理方法においては、基体が設置された反応容器部101と110を排気部102に接続し、反応容器側真空封止弁108を開き、反応容器部と排気部を連通する際、当初、排気抵抗を大きくし、排気部による排気量を制限し、その後、排気が進むのに合わせて、排気抵抗を徐々に小さくする手順をとると、本発明の効果がさらに顕著に得られることが確認された。また、排気抵抗を減少させる形態は、排気の進行に合わせて、排気抵抗が徐々減少する限り、実施例4のように連続的な変化のみならず、本実施例のような段階的に変化であっても、その効果に本質的な差異はないことが判る。
【0180】
また、実施例で作製された電子写真用感光体を用いて形成された電子写真画像は、画像流れ等もない極めて良好なものであった。
【0181】
【表6】
Figure 0003619119
【0182】
参考
参考例2において使用した装置と同様の構成を有する装置を用い、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー605上に、プラズマCVD法により堆積膜を形成した。なお、高周波電源603と614の発振周波数を100MHzとして、表2に示す成膜条件でa−Si堆積膜を形成した。
【0183】
また、本参考例では、可動反応容器部を排気部と接続する際、補助排気装置113で真空封止弁108と真空封止弁109の間の配管115内を真空排気するが、補助排気装置113により排気される配管115内の到達圧力は4.0Paであった。
【0184】
参考例におけるa−Si堆積膜形成の手順を以下に述べる。
【0185】
まず、可動反応容器部101、110を不図示の基体設置時用排気装置に接続用フランジ104により接続し、同時に、Ar供給用配管(不図示)、及び反応容器部101,110への電力供給ラインも接続した。この状態で、円筒状基体605を反応容器601(106)内に設置した。続いて、真空封止弁108を開け基体設置時用排気装置により排気管611を通して反応容器601内を排気した。反応容器601(106)内が1×10−3Pa以下まで排気されたのを確認した後、反応容器601(106)内に原料ガス供給手段612よりArを流量500sccmで供給し、不図示の圧力調整バルブにより反応容器内の圧力を70Paに維持しながら、発熱体607により円筒状基体605を250℃に加熱・制御した。この減圧、Ar雰囲気下における、基体加熱状態を2時間維持した。この間、円筒状基体605は回転軸608、ギア610を介してモータ609により10rpmの速度で回転させた。なお、Arの供給開始時は、Arの流量を0sccmから500sccmまでの直線的に5分間で増加させた。
【0186】
次に、真空封止弁108を閉じ、Arの供給を止め、反応容器601(106)を減圧状態で密封する。その際、先ず、Arの供給を止め、反応容器601(106)内圧力が6×10Paになったところで真空封止弁108を閉じ、発熱体607による基体605の加熱を停止した。その後、接続用フランジ104を基体設置時用排気装置から切り離し、同時に、原料ガス供給手段612に接続されたAr供給用配管(不図示)、及び反応容器601への電力供給ラインも切り離した。
【0187】
続いて、可動反応容器部101と110を排気部102の設置場所まで移動し、接続用フランジ104を排気部側接続用フランジ105にバイトン製O−リング(真空シール材)を介して接続した後、接続部103をクランプにより固定した。また、原料ガス供給配管(不図示)を原料ガス供給手段612に接続し、さらに、反応容器部101と110への電力供給ライン及び高周波電力供給ケーブルを接続した。
【0188】
これらの接続が終了した後、先ず、配管115内を補助排気装置113により排気した。可動反応容器部101を接続する際には、バルブ111が閉じられているのを確認した後、バルブ112を開き、配管115内を補助排気装置113により排気する。配管115内の圧力が4.5Paとなった時点で、反応容器部側真空封止弁108を開き、反応容器106内を補助排気装置113により予備排気した。続いて、反応容器601(106)内の圧力が4.2Paとなった時点でバルブ112を閉じ、排気部側真空封止弁109を開いた。この際、排気部側真空封止弁109の排気部側圧力は1×10−4Paであった。また、コンダクタンス可変バルブ114は全開状態とした。
【0189】
次いで、円筒状基体605を回転軸608、ギア610を介してモータ609により10rpmの速度で回転させながら、原料ガス供給手段612よりArを流量500sccmの反応容器601内に供給し、コンダクタンス可変バルブ114により反応容器内圧力を70Paに調整した。内圧を70Paに減圧しつつ、発熱体607により円筒状基体605を250℃に再度加熱・制御し、その状態を20分間維持した。なお、Arの供給開始時は、Arの流量を0sccmから500sccmまで直線的に5分間で増加させた。
【0190】
前記の基体再加熱を行った後、Arの供給を停止し、原料ガス供給手段612を介して、表2に示した電荷注入阻止層の条件の原料ガスを導入した。原料ガスの流量が設定流量となった後、コンダクタンス可変バルブ114により反応容器内圧力を表2の条件に設定した。反応容器601(106)内の圧力が安定したのを確認した後、高周波電源603と614の合計出力値を表2に示した電力に設定し、マッチングボックス604と613を介してカソード電極602と606へ高周波電力を供給した。カソード電極602と606から反応容器601(106)内に放射された高周波電力によってプラズマ放電を生起し、原料ガスを励起解離することにより、円筒状基体605上に電荷注入阻止層の形成を開始した。その後、表2に示した膜厚の電荷注入阻止層が形成された時点で、高周波電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して電荷注入阻止層の形成を終えた。その後、同様の操作を繰り返すことにより、光導電層、表面層を順次形成して積層構造を得た。
【0191】
このようにして、a−Si系感光体形成が終了した後、反応容器601(106)内及び原料ガス供給配管内の原料ガスを十分にパージし、続いて真空封止弁108および109を閉じた。この密閉した反応容器601(106)内にHeを導入し、内圧を1000Paとした。その後、接続部103を切り離し、同時に原料ガス供給配管、電力供給ライン、及び高周波電力供給ケーブルを切り離し、反応容器部101を移動可能な状態とした。
【0192】
次に、反応容器部101を基体取出し場所へ移動し、基体605を室温まで冷却した。次いで、不図示のリーク弁より反応容器601(106)内に窒素を導入し、反応容器601(106)内を大気圧とした。反応容器601(106)内が大気圧となったところで、反応容器601(106)内より堆積膜が形成された基体605を取出した。
【0193】
その後、一連のa−Si堆積膜形成工程を終えた反応容器601(106)は、その内部構成部品の交換により、反応容器601(106)を再度堆積膜形成可能な状態とした。
【0194】
一方、反応容器部101を用いた堆積膜形成工程に引き続き、反応容器部110も、同様の手順で、排気部102まで移動し、排気部102に接続し、堆積膜形成工程を行った。なお、反応容器部110についても、堆積膜形成工程が終了し、基体取出しを終了した後、同様の手順でその内部構成部品の交換を行い、再度堆積膜形成可能な状態とし、再び電子写真用感光体形成工程に供した。
【0195】
このようにして、反応容器部101と反応容器部110を順次連続的に排気部102に接続し、電子写真用感光体を各々3ロットずつ、合計36本形成した。
【0196】
参考比較例3)
参考比較例では、反応容器部101および110内に基体605を設置した後、反応容器部101と110を排気部102へ移動する際、反応容器601(106)内の圧力を6×10-1Paとすることを除き、その他の操作は実施例6と同様にして直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー605上に、プラズマCVD法により堆積膜を形成した。なお、二基の反応容器部101と反応容器部110を用いて、電子写真用感光体を各々3ロットずつ、合計36本形成した。
【0197】
従って、本参考比較例でも、反応容器部101と110を排気部102に接続する際、配管115は補助排気装置113により排気され、配管115の内圧が4.5Paに達した時点で、反応容器部側真空封止弁108を開く。移動中、反応容器601(106)内の圧力は6×10-1Paとされているため、真空封止弁108を開くと、配管115から反応容器601(106)内へと残留ガスが逆に流入する。その結果、反応容器601(106)内の圧力が前記逆流により上昇した時点で、初めて、バルブ112を閉じ補助排気装置113を切り離し、排気部側真空封止弁109を開く手順となる。
【0198】
参考例2と同様に、参考参考比較例3で作製されたa−Si系感光体に関しても、実施例2に記載の評価法に従い、「光メモリー」「特性バラツキ」「画像欠陥」の三項目について評価した。
【0199】
表7に評価結果を示す。この表7では、参考比較例3の結果を基準とし、相対評価し、5段階に区分した結果を記載する。
【0200】
「光メモリー」については、
◎ 20%以上の良化、
○ 10%以上20%未満の良化、
△ 5%以上10%未満の良化、
▲ 5%未満の良化または5%未満の悪化、
× 5%以上の悪化、 この5段階の区分で示した。
【0201】
「特性バラツキ」については、
◎ 40%以上の良化、
○ 20%以上40%未満の良化、
△ 10%以上20%未満の良化、
▲ 10%未満の良化または10%未満の悪化、
× 10%以上の悪化、 この5段階の区分で示した。
【0202】
「画像欠陥」については、
◎ 80%以上の良化、
○ 40%以上80%未満の良化、
△ 20%以上40%未満の良化、
▲ 20%未満の良化または20%未満の悪化、
× 20%以上の悪化、 この5段階の区分で示した。
表7に示すように、参考で作製した電子写真用感光体は、参考比較例3で作製した電子写真用感光体と比較すると、「光メモリー」「特性バラツキ」「画像欠陥」の三項目いずれも、明確に優れていることが判る。この比較からも、本発明の効果は、可動反応容器部と排気部とを連結する際、可動反応容器部に設ける開閉可能な第1の開口部、この例では、反応容器側真空封止弁108を開く際、反応容器の内圧を連通される排気管115の圧力より高くすることにより、得られることが確認された。すなわち、排気管115には、前回までの真空処理において、副生産物などが蓄積しているが、反応容器の内圧を連通される排気管115の圧力より高くすることで、この副生産物など飛散し、反応容器内に侵入する現象を効果的に抑制できることが確認された。
【0203】
また、参考で作製された電子写真用感光体を用いて形成された電子写真画像は、画像流れ等もない極めて良好なものであった。
【0204】
【表7】
Figure 0003619119
【0205】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の真空処理方法によれば、真空処理容器内に被処理物を設置した状態で真空処理容器を移動し、真空処理容器とは別の減圧空間に接続した後、真空処理工程の少なくとも1工程を施す真空処理の際、移動させる間、真空処理容器を減圧状態としておき、その後、別の減圧空間に接続して、連通を図るため、真空処理容器に備える開閉可能な開口部を開くとき、真空処理容器の内圧を、連通される別の減圧空間の圧力よりも高くするので、被処理物上へのダスト付着を防止して真空処理物の良品率向上を達成できる。加えて、真空処理特性の向上、ロット間でのバラツキの抑制も可能となる利点を有する。特に、本発明は、上述するように操作条件を選択するので、生産の柔軟性を損なうこともなく、得られる真空処理物の真空処理特性も優れ、かつロット内の均一性は勿論のこと、ロット間で再現性も高くなるという利点をも有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の実施に利用される、可動型の真空処理容器と排気部からなる真空処理装置の一例であり、複数の可動型真空処理容器を配置する構成を模式的に示す図である。
【図2】従来の真空処理装置の一例であり、RF帯の周波数を用いてRFプラズマCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置構成の一例を模式的に示す図である。
【図3】従来の真空処理装置の一例であり、VHF帯の周波数を用いたVHFプラズマCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置構成の一例を模式的に示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。
【図4】従来の真空処理装置の一例であり、VHF帯の周波数を用いたVHFプラズマCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置構成の別の一例を模式的に示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。
【図5】本発明の方法の実施に利用される、可動型の真空処理容器と排気部からなる真空処理装置の一例であり、その基本構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明の方法の実施に利用される、可動型の真空処理容器の一例であり、排気部との接続部を除く、主要な構成を模式的に示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。
【図7】本発明における真空処理容器と排気部との連通後、連続的に排気抵抗を変化させる形態の一例であり、実施例における排気抵抗の変化を示した図である。
【図8】本発明における真空処理容器と排気部との連通後、段階的に排気抵抗を変化させる形態の一例であり、実施例における排気抵抗の変化を示した図である。
【符号の説明】
101 可動反応容器部
102 排気部
103 接続部
104 接続用フランジ(反応容器部)
105 接続用フランジ(排気部側)
106 反応容器
107 排気手段
108 真空封止弁(反応容器部側)
109 真空封止弁(排気部側)
110 可動反応容器部
111 バルブ(補助排気用)
112 バルブ(補助排気用)
113 補助排気装置
2100 堆積装置
2111 反応容器
2112 円筒状基体
2113 支持体加熱用ヒーター
2114 原料ガス導入管
2115 マッチングボックス
2116 原料ガス配管
2117 反応容器リークバルブ
2118 メイン排気バルブ
2119 真空計
2200 原料ガス供給装置
2211〜2216 マスフローコントローラー
2221〜2226 原料ガスボンベ
2231〜2236 原料ガスボンベバルブ
2241〜2246 ガス流入バルブ
2251〜2256 ガス流出バルブ
2261〜2266 圧力調整器
301 反応容器
302 カソード電極(高周波導入用)
303 高周波電源
304 マッチングボックス
305 円筒状基体
306 成膜空間
307 発熱体
308 回転軸
309 モータ
310 減速ギア
311 排気管
312 原料ガス供給手段
400 反応容器
401 円筒状基体
402 高周波電力供給手段
403 高周波電源
404 マッチングボックス
405 排気管
406 回転軸
501 可動反応容器部
502 排気部
503 接続部
504 接続用フランジ
505 接続用フランジ
506 反応容器
507 排気手段
508 真空封止弁(反応容器部側)
509 真空封止弁(排気部側)
513 台車
601 反応容器
602,606 カソード電極
603,614 高周波電源
604,613 マッチングボックス
605 円筒状基体
607 発熱体
608 回転軸
609 モータ
610 減速ギア
611 排気管
612 原料ガス供給手段

Claims (9)

  1. 真空処理容器内に被処理物を設置し、減圧下、前記真空処理容器とは別の減圧空間と前記真空処理容器を連通した状態において、前記被処理物に真空処理工程の少なくとも1工程を施す真空処理方法であって、
    前記真空処理容器は、少なくとも開閉可能な第1の開口部を有し、
    前記真空処理容器とは別の減圧空間は、少なくとも第2の開口部を有し、
    前記真空処理容器とは別の減圧空間と前記真空処理容器との連通は、前記第1の開口部と第2の開口部とを密に接続して、その後に前記開閉可能な第1の開口部を開状態とした際になされ、
    前記接続を行う際、被処理物を設置した前記真空処理容器を移動させて、前記第1の開口部と第2の開口部とを密に接続可能な配置とし、両者の接続を行い、
    前記移動と接続を行う際、前記第1の開口部は閉ざされた状態とし、かつ前記真空処理容器内部は、その内圧を所定の値に減圧されている状態とし、
    前記真空処理工程の少なくとも1工程を施すに際し、
    互いに開口部を接続された前記別の減圧空間と前記真空処理容器との連通は、前記別の減圧空間の内圧が所定の圧力値に下がったことを確認した後、かかる前記別の減圧空間の内部も減圧した状態において、接続の際は閉ざされていた前記第1の開口部を開くことによりなされ、
    その際、互いに連通される前記別の減圧空間と真空処理容器との間の排気抵抗を、前記第1の開口部を開き連通させた後、変化させ、
    前記移動と接続の間減圧状態とされている前記真空処理容器の内圧は、前記第1の開口部を開き連通を達成する際、前記減圧した状態とされている別の減圧空間の内圧よりも高くすることを特徴とする真空処理方法。
  2. 移動と接続の間減圧状態とされている前記真空処理容器の内圧を、1×103 Pa以下とすることを特徴とする請求項1に記載の真空処理方法。
  3. 移動と接続の間減圧状態とされている前記真空処理容器の内圧を、1×102 Pa以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の真空処理方法。
  4. 接続の後、前記第1の開口部を開くことにより互いに連通される、減圧状態の前記真空処理容器の内圧をP1[Pa]とし、減圧状態とされる前記別の減圧空間の内圧をP2[Pa]とするとき、前記連通に際して、前記P2とP1の差が、
    P1−P2≧0.1 Pa
    の関係を満たすようにすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の真空処理方法。
  5. 連通に際して、前記P2とP1の差が、
    P1―P2≧1Pa
    の関係を満たすようにすることを特徴とする請求項4に記載の真空処理方法。
  6. 前記排気抵抗を変化させる操作においては、
    互いに連通される前記別の減圧空間と真空処理容器との間の排気抵抗を、前記第1の開口部を開き連通させた後、連続的にまたは段階的に小さくすることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の真空処理方法。
  7. 別の減圧空間と真空処理容器と互いに連通した状態で前記被処理物に対して施す、前記真空処理工程の少なくとも1工程は、堆積膜形成工程を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の真空処理方法。
  8. 真空処理工程の少なくとも1工程に含まれる、前記堆積膜形成工程は、少なくとも組成の異なる複数領域を有する堆積膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項に記載の真空処理方法。
  9. 堆積膜形成工程を少なくともその1工程として含む真空処理工程が、電子写真感光体を製造するための堆積膜形成であることを特徴とする請求項またはに記載の真空処理方法。
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