JP3617547B2 - 配線パターンを観察する方法および加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は配線パターンを観察する方法および加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント基板の表面層の配線パタ−ンを観察するには、目視、あるいは顕微鏡による観察、あるいは可視光カメラによる観察が行われる。
【0003】
一方、プリント基板の絶縁層がガラスエポキシ、あるいはソルダレジスト等、可視光を比較的透過しやすい材料で形成されている場合には、内層配線パターンの観察も不完全ながら可能であるが、可視光に対する透過率の低いポリイミド絶縁層を有するプリント基板においては可視光による内層の配線パターン観察は不可能なために、内層配線パターンの観察には、従来、X線を使用する方法や、配線パターンを加熱して赤外線カメラで検知する方法が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、X線を使用する方法における観察画像は、図8に示すように、上下層の配線パターン3、3・・がほぼ同一に写し出されるために、上下層の配線パターン3の判別ができない上に、LSI等の素子を破壊する危険が大きく、さらには、装置コストが高くつくという欠点を有する。
【0005】
また、配線パターン3を加熱する観察方法によれば、加熱できる端子に制限があり、素子実装状態における配線パターン3の観察が困難であるという欠点を有する。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、簡便で、かつ、確実に内層パターンを含めた配線パターンを観察することのできる配線パターンを観察する方法および加工装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば上記目的は、図1に示すように、
絶縁層を介して設けられた多層の配線パターンを観察する方法であって、
絶縁層と配線パターン3に対して赤外波長域の照射光2を斜め方向から照射して一方の層の配線パターン3の影30を他方の層の配線パターン3上に形成し、
一方の層の配線パターン3と他方の層の配線パターン3からの上方への反射光を受光して前記影30により上下層の配線パターン3を判別することを特徴とする配線パターンを観察する方法を提供することにより達成される。
【0008】
プリント基板1には斜め上方から照射光2が照射され、プリント基板1からの反射光に適宜処理を加えて配線パターン3の観察画像が得られる。照射角度は15度〜80度の範囲で、60度とするのが望ましい。
照射光2を、図5に示すように、配線パターン観察位置から適宜間隔d離れたプリント基板1上の位置に照射して、観察位置と照射位置との間にオフセットを設定すると、プリント基板1の表面からの全反射光と観察反射光との干渉が防止され、明瞭な画像が得られる。
【0009】
本発明者による種々の実験によれば、図3に示すように、一般に絶縁層、あるいは基板の基材として使用されるポリイミド、ガラスエポキシ、あるいはソルダレジストは、700nm以上の波長を有する光に対する透過率が上昇することが確認されており、かかる赤外波長域の光を照射光2として使用することにより、明瞭な画像情報を得ることが可能になる。
【0010】
請求項5に係る発明において、照射光2から可視波長域および紫外領域の波長光が除去される。可視波長および紫外領域波長光を除去することにより、観察反射光である赤外波長光との干渉が防止され、より鮮明な画像を得ることが可能になる。この場合、プリント基板1からの反射光からも可視波長域および紫外領域の波長を除去することができる。
【0012】
請求項6に係る発明において、照射光2は、配線パターン3の幅方向から照射される。幅方向からの照射により、図2に示すように、上下層の配線パターン3の交差位置においては、上層の配線パターン3が下層の配線パターン3上に影30を形成するために、交差位置を順次追っていくことにより、上下層の判別が可能となる。
【0013】
照射光2の照射タイミングは、観察目的により決定することが可能であるが、配線パターン3の幅方向の両側から同時に照射することにより、全体の配線パターン3の走行状態を上下層の判別を行いながら簡単に観察することが可能になる。
【0014】
また、請求項7に係る発明において、配線パターン3の観察は、配線パターン3の幅方向一側縁側から照射光を照射して配線パターン3の照射側辺縁位置を検出し、次いで、反対側から配線パターン3の幅方向反対端縁から照射光2を照光して前記位置検出側辺縁に対向する辺縁位置を検出することにより行われる。
【0015】
配線パターン3を挟んで両側から順次照射光2を照射するこの観察方法によれば、同時に両側から照射光2を照射する場合に比して、対向方向から照射光2同士の干渉を確実に防止することができるために、ボケのない明瞭な画像を得ることができる。
【0016】
請求項8に係る発明において、上記方法を使用する配線パターン加工装置が提供される。
また、配線パターン3を観察するには、請求項9、10に係る発明を使用することもできる。
【0017】
【実施例】
図1に本発明の実施例を示す。図中1は内層配線パターン3を有するプリント基板であり、配線パターン3の観察はプリント基板1の斜め上方から照射光2を照射して行われる。
【0018】
照射光2としては、赤外域の波長、すなわち700nmないし3000nm程度の波長の赤外光が使用され、かかる波長域においては、可視光による透過率が比較的高いソルダレジスト、あるいはガラスエポキシ以外にも、可視光の透過率が低いポリイミド絶縁層への透過も可能になる。
【0019】
プリント基板1に対する照射光2の照射は、プリント基板1から立設した垂線に対して所定角度θの傾きをなす方向からなされる。照射光2の照射角度θは、絶縁層への進入光量に影響し、ひいては画像のS/N比に影響を与える要素の一つと考えられ、本発明者が試験したポリイミド絶縁層に対する照射角度−S/N比(絶縁層部分と配線パターン3部分の濃淡差)線図(図4参照)より、15度ないし80度、望ましくは、60度程度とされるが、具体的には、絶縁層の材質、厚さ等を考慮して決定される。
【0020】
本実施例において、照射光2は、赤外線ランプ等の照光手段4からファイバ8等の導光体を経由してプリント基板1上に導かれる。照射光2の照射経路上の適宜箇所には、紫外、可視波長光と赤外波長光との干渉を低減させるためのフィルタが装着される。なお、81は照光手段4からの赤外光を集光する集光レンズを示す。
【0021】
この場合、図5に示すように、照射光2のプリント基板1上への照射位置を配線パターン3観察位置からdだけ偏位させることにより、プリント基板1表面からの全反射光と配線パターン3からの反射光との干渉が防止され、S/N比の向上が図られる。
【0022】
プリント基板1の斜め上方から照射される照射光2は、波長特性により絶縁層に透過して導体配線パターン3において反射し、該反射光を受光手段5により受光した後、表示装置9に表示される。
【0023】
受光手段5としては、赤外線カメラが使用可能であり、望ましくは、受光部50に、紫外、可視波長光と赤外波長光との干渉を低減させるためのフィルタ51が装着される。
【0024】
図2に以上の手段により観察された配線パターン3を示す。図2は、図8に示したX線を使用した観察結果と同一のプリント基板1を本発明方法により観察した状態を示すもので、図中31はプリント基板1表層のヴィアパッド、32はスルーヴィアであり、3aはヴィアパッドから引き出される1層目の配線パターンを示す。3bはその下層に配線される2層目の配線パターンであり、1層目の配線パターン3aの幅方向適宜角度から照射される照射光2により1層目の辺縁は2層目の配線パターン3bの交差部位において2層目のパターン上に影30を形成することから、いずれかが上層にあるかが判別可能となる。同様にして、2層目の配線パターン3bは、その幅方向からの照射光2により3層目の配線パターン3cとの交差部位に影30を形成することとなり、上下層の判別が可能となっている。
【0025】
下層の交差部位に上層の影を形成することにより上下層の関係を明瞭にするためには、上層の配線パターン3の幅方向から照射光2を照射することが望ましく、照光手段4は、例えば、プリント基板1の四側縁に配置したり、あるいはプリント基板1を囲むようにリング状に配置することが可能である。
【0026】
また、照射光2が照射される側の配線パターン3辺縁部に比して反対縁の見切りが、下層に写し出される影のために明瞭でない場合には、図6に示すように、先ず、配線パターン3の幅方向一側縁側から照射光2aを照光して配線パターン3の照射側辺縁位置を検出した後、反対側から配線パターン3の幅方向反対端縁から照射光2bを照光して反対縁側の位置を検出する作業を順次繰り返すことにより、正確な配線パターン幅w、w’、w”を測定することできる。
【0027】
図7に上記パターン観察装置を使用した配線パターン加工装置を示す。加工対象のプリント基板1は、X−Yテ−ブル10上に保持されており、図示しない駆動手段により駆動可能とされる。
【0028】
上記プリント基板1の上方には、相対間隔Lが一定とされる配線パタ−ン観察装置6と切断ツ−ル7が配置されており、先ず、配線パタ−ン観察装置6に設けられた観察窓60から配線パタ−ン3を観察しつつパタ−ン加工位置が配線パタ−ン観察装置6の直下に位置するようにX−Yテ−ブル10を操作する。
【0029】
この後、再びX−Yテ−ブル10を配線パタ−ン観察装置6と切断ツ−ル7との間隔Lに等しい距離だけ駆動すると、プリント基板1のパタ−ン加工位置は切断ツ−ル7の直下に位置することとなり、この状態から切断ツ−ル7を駆動することにより配線パタ−ン3の加工が行われる。
【0030】
切断ツ−ル7としては、カッタ−、細径ドリル等の機械的切断手段のほかに、レ−ザ等を使用することが可能である。また、パタ−ン加工装置は、配線パタ−ン3の改修時の切断以外に、絶縁層に混入してパタ−ンショ−トの原因となっている導電性不純物の除去等にも使用することが可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、比較的簡単な構成で、正確に内層パターンを含めた配線パターンの観察を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す図である。
【図2】配線パターンの観察状態を示す図である。
【図3】基板材料の吸光特性を示す図である。
【図4】照射角度−S/N線図を示す図である。
【図5】図1の変形例を示す図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す図である。
【図7】配線パターン加工装置を示す図である。
【図8】X線によるパターン観察状態を示す図である。
【符号の説明】
1 プリント基板
2 照射光
3 配線パターン
4 照光手段
5 受光手段
6 配線パターン観察装置
7 切断ツール
Claims (10)
- 絶縁層を介して設けられた多層の配線パターンを観察する方法であって、
絶縁層と配線パターンに対して赤外波長域の照射光を斜め方向から照射して一方の層の配線パターンの影を他方の層の配線パターン上に形成し、
一方の層の配線パターンと他方の層の配線パターンからの上方への反射光を受光して前記影により上下層の配線パターンを判別することを特徴とする配線パターンを観察する方法。 - 配線パターンから立設した垂線に対する角度が15度〜80度の傾きをなす方向から照射光を照射することを特徴とする請求項1記載の配線パターンを観察する方法。
- 配線パターンから立設した垂線に対する角度が60度の傾きをなす方向から照射光を照射することを特徴とする請求項1記載の配線パターンを観察する方法。
- 照射光の照射位置と配線パターンの観察位置とが離れていることを特徴とする請求項1記載の配線パターンを観察する方法。
- 照射光は可視波長域および紫外領域の波長光を除去した光であることを特徴とする請求項1記載の配線パターンを観察する方法。
- 照射光を配線パターンの幅方向から照射することを特徴とする請求項1記載の配線パターンを観察する方法。
- 照射光を配線パターンの幅方向一側縁側から照射して配線パターンの照射側辺縁位置を検出し、
次に、照射光を配線パターンの幅方向反対側縁側から照射して配線パターンの前記照射側辺縁に対向する辺縁位置を検出し、
これらの検出結果から配線パターンの幅方向寸法を検出することを特徴とする請求項1記載の配線パターンを観察する方法。 - 絶縁層を介して設けられた多層の配線パターンを加工する配線パターン加工装置であって、
絶縁層と配線パターンに対して赤外波長域の照射光を斜め方向から照射して一方の層の配線パターンの影を他方の層の配線パターン上に形成し、一方の層の配線パターンと他方の層の配線パターンからの上方への反射光を受光することにより観察された配線パターンの位置情報に基づいて、前記影により上下層の配線パターンを判別して切断する切断手段を備えることを特徴とする配線パターン加工装置。 - 少なくとも二つの層に設けられた配線パターンを観察する方法であって、
配線パターンに対して赤外波長域の照射光を斜め方向から照射して一方の層の配線パターンの影を他方の層の配線パターン上に形成し、
上方への反射光を受光して前記影により少なくとも二つの層の配線パターンを判別することを特徴とする配線パターンを観察する方法。 - 配線パターンに対する観察方向と照射光の照射方向とのなす角度が15度〜80度であることを特徴とする請求項9記載の配線パターンを観察する方法。
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