JP3617163B2 - 電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置におけるシャフト部材とミラーアセンブリとの支持構造 - Google Patents
電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置におけるシャフト部材とミラーアセンブリとの支持構造 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のドアやフェンダ等に装備される外部用後写鏡としてのミラー装置であって、特に、手動によりミラーアセンブリの鏡面を左右方向及び上下方向に調整することができ、かつ電動によりミラーアセンブリを格納、復帰させたりすることができる電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置におけるシャフト部材とミラーアセンブリとの支持構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のミラー装置としては、手動によりミラーアセンブリの鏡面を左右方向及び上下方向に調整したり、また手動によりミラーアセンブリを格納、復帰させたりするミラー装置と、リモートコントロールによりミラーアセンブリの鏡面を左右方向及び上下方向に調整したり、また電動によりミラーアセンブリを格納、復帰させたりするミラー装置とがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来、手動によりミラーアセンブリの鏡面を左右方向及び上下方向に調整したり、また電動によりミラーアセンブリを格納、復帰させたりするミラー装置が開発されていない。
【0004】
そこで、本出願人は、手動によりミラーアセンブリの鏡面を左右方向及び上下方向に調整することができ、かつ電動によりミラーアセンブリを格納、復帰させたりすることができる電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置を提供した。
【0005】
本発明の目的は、上述の電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置において、固定側のブラケットに対してミラーアセンブリ及びシャフト部材を横軸回りにスムーズに回転させることができるシャフト部材とミラーアセンブリとの支持構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために、シャフト部材と前記ミラーアセンブリとを、2箇所で相互に回転可能に嵌合支持したことを特徴とする。
【0007】
この結果、横軸回りの上下方向の手動鏡面調整の際に、ミラーアセンブリを横軸回りに回転させると、その回転力が上述の上下2箇所の嵌合部分を介してシャフト部材に伝達されるので、このシャフト部材とミラーアセンブリとは捩れることなく一体にスムーズに回転する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置におけるシャフト部材とミラーアセンブリとの支持構造の一実施の形態を添付図面を参照して説明する。
この例は図1に示すように、自動車CのドアDに装備されるドアミラーについて説明する。
【0009】
図において、1は例えばダイカスト製のブラケットである。このブラケット1には例えば合成樹脂製の球面ワッシャ13が固定されている。このブラケット1がミラーベース12を介して自動車CのドアD、すなわち車体に固定されるものである。
図において、2及び3はシャフト部材を構成する例えば金属製のシャフト及び例えばダイカスト製のシャフトホルダである。
このシャフト2の頭部には例えば合成樹脂製の球面ガイド24が固定されている。このシャフト2がシャフトホルダ3の軸部31の貫通孔中に貫通されている。このシャフト2の外面とシャフトホルダ3の貫通孔内面とには2平面の面取り部が設けられているので、シャフト2とシャフトホルダ3とが相互にシャフト軸(シャフト2の中心軸)回りに回転不可能にかつシャフト軸方向に移動可能に取り付けられて、シャフト部材が構成されることとなる。
【0010】
上述のブラケット1には上述のシャフト部材2及び3が、ピボット機構を介して、回転可能にかつシャフト部材2及び3のシャフト軸が前記回転中心Oを通るように取り付けられている。
次に、上述のピボット機構の構成について説明する。
すなわち、ブラケット1及び球面ワッシャ13には球面部(段部を介して中央部と周辺部とからなる球面部)が形成されており、この球面部の中央部にはブラケット1からなる外側圧接球面110が設けられており、かつこの球面部の周辺部には球面ワッシャ13からなる内側圧接球面130が設けられている。
また、シャフト2の球面ガイド24には上述のブラケット1の外側圧接球面110に圧接する内側圧接球面240が設けられており、一方、シャフトホルダ3には上述のブラケット1の内側圧接球面130に圧接する外側圧接球面301が設けられている。
そして、ブラケット1の円形透孔111中にはシャフト部材2及び3が挿通されている。このシャフト2の頭部と反対側の端部にはスプリング押え用ワッシャ25が取り付けられていると共に、このシャフト2の頭部と反対側の端部の環状溝にはEリング26が固定されている。このスプリング押え用ワッシャ25の下面とシャフトホルダ3の軸部31の上端面との間には圧縮形のピボットトルク用の第1コイルスプリング27が介装されている。
【0011】
上述のシャフト部材2及3は、上述のブラケット1に対して、ガイド機構により、前記シャフト軸である縦軸X−X回りにまた前記回転中心Oを通りかつ縦軸X−Xに直交する横軸Y−Y回りにそれぞれ回転するようにガイドされている。すなわち、上述のブラケット1の球面部の周縁に上述の横軸Y−Yと平行なガイド平面112が設けられている。一方、上述のシャフトホルダ3の周辺からガイド軸32及び33が横軸Y−Y方向にこの横軸Y−Yと同軸に一体に突設されている。この一のガイド軸32は円柱形状をなし、他のガイド軸33は半円柱形状をなす。このガイド軸32及び33が上述のガイド平面112上に上述の第1コイルスプリング27のスプリング力で圧接されることによりガイド機構が構成される。
【0012】
上述のシャフ部材2及び3にはミラーアセンブリ4が、手動により縦軸X−X回りの左右方向に及び横軸Y−Y回りの上下方向に鏡面調整可能に支持されている。
このミラーアセンブリ4は、前面及び側面に開口部40及び41がそれぞれ設けられたミラーハウジング42と、このミラーハウジング42の前面開口部40に固定されたミラー43と、このミラーハウジング42内にスクリュウ48により固定されかつ側面開口部41から外部に突出したユニットハウジング44及び45とからなる。
また、上述のユニットハウジング44及び45は、2分割された上ハウジング(44)と下ハウジング(45)とから構成されており、この上ハウジング44の外部に突出した端部の上部内面側には円形凹部442が設けられており、一方、この下ハウジング45の外部に突出した端部の下面の中央には円形の透孔451が設けられている。
さらに、上述のシャフトホルダ3の上面が上述の横軸Y−Yを含みかつ上述のピボット機構の球面の中心Oを中心とする円形の平面をなす。
【0013】
そして、上述のシャフト2の軸部21の先端に上述のミラーアセンブリ4のユニットハウジング(上ハウジング44)の円形凹部442が回転可能に嵌合され、かつ上述のシャフトホルダ3の円柱形状の軸部31に上述のミラーアセンブリ4のユニットハウジング(下ハウジング45)の円形透孔451が回転可能に外嵌されると共に、このシャフトホルダ3の円形上面上にミラーアセンブリ4のユニットハウジング(下ハウジング45)の下面が載置され、かつこのシャフトホルダ3の上面とミラーアセンブリ4の下面との間には円形透孔を有する円形ワッシャ46が介装されている。それから、上述のスプリング押え用ワッシャ25と後述する最終段ギアとしてのクラッチギア60との間には圧縮形のピボットトルク兼クラッチトルク用の第2コイルスプリング28が上述の第1コイルスプリング27の外側に同軸に介装されている。
なお、上述のユニットハウジングの上ハウジング44と下ハウジング45とはボルト57、ナット58及びスクリュウ47により一体に固定されている。
【0014】
上述のミラーアセンブリ4と上述のシャフト部材2及び3との間には、ミラーアセンブリ4を縦軸X−X回りに使用位置(図3及び図4を参照)と格納位置(図3及び図4を参照)との間において回転変移させるモータ5及び減速機構50が介装されている。
すなわち、モータ5及び減速機構50は上述のミラーアセンブリ4のユニットハウジング44及び45内にそれぞれ内蔵されかつ固定支持されている。
上述の減速機構50は、回転軸がジョイントを介してモータ5の出力軸に連結された第1ウォームと、この第1ウォームに噛み合うヘリカルギアの第1ウォームホイールと、この第1ウォームホイールと同軸の第2ウォームと、この第2ウォームに噛み合う第2ウォームホイール(ヘリカルギア)と、この第2ウォームホイールに噛み合うと共に上述のシャフト部材2及び3に装着された最終段ギアとしてのクラッチギア60と、から構成されている。
【0015】
上述のミラーアセンブリ4と前記シャフト部材2及び3との間には、前記ミラーアセンブリ4が前記使用位置と前記格納位置とを規制するための規制機構が設けられている。
すなわち、上述のミラーアセンブリ4のユニットハウジング(下ハウジング45)の下面には2個のボール454が等間隔に保持されている。一方、上述のシャフトホルダ3の上面には2本の円弧形状の長溝302が、上述のピボット機構の中心Oを中心とする円形上に設けられている。この長溝302に上述のボール454が収納されている。
【0016】
さらに、図面では省略したが、モータ5に通電させてモータ5の駆動によりミラーアセンブリ4が回転変位して使用位置に又は格納位置に位置したときにモータ5への通電が遮断されてミラーアセンブリ4が使用位置又は格納位置に停止するためのスイッチ装置が、具備されている。なお、このスイッチ装置のモータ5への通電遮断制御としては、PTC素子等の電流制御、クラッチとリミットスイッチとの併用、クラッチとパターンスイッチとの併用等がある。
【0017】
上述のシャフト部材2及び3と上述の減速機構50の最終段ギアとしてのクラッチギア60との間にはクラッチ機構6が介装されている。
このクラッチ機構6は、上述のクラッチギア60の下面に保持された3個のボールと、クラッチ板とから構成されている。このクラッチギア60がシャフト部材2及び3とミラーアセンブリ4に回転可能にかつ縦軸X−X方向に移動可能に取り付けれている。このクラッチギア60のボールがクラッチ板の小円形透孔に嵌合されている。
【0018】
このクラッチギア60のボールとクラッチ板の小円形透孔との嵌合保持するクラッチトルクは、上述の第2コイルスプリング28のばね力により得られる。また、この第2コイルスプリング28のばね力は、上述のクラッチギア60、ボール、クラッチ板、ワッシャ、ボール454、ワッシャ46及びシャフトホルダ3を介して、上述のピボット機構の球面110、130、240、301を圧接保持するピボットトルクとしても作用する。
【0019】
上述のブラケット1と上述のシャフト部材2及び3との間には、上述のミラーアセンブリ4の左右方向の手動鏡面調整角度を規制するストッパ機構が設けられている。
このブラケット1には一対のストッパ壁部14が、縦軸X−X回りに対向して設けられている。この一対のストッパ壁部14の間に上述のシャフト部材2及び3の円柱形状のガイド軸32が配置されている。
【0020】
上述のブラケット1と上述のミラーアセンブリ4との間にはブーツ7が介装されている。
このブーツ7は、ゴム製の蛇腹形状をなし、かつ断面長円形の筒形状をなし(図8を参照)、両端に開口部がそれぞれ設けられており、この開口部の周辺にはフランジ部がそれぞれ設けられている。
一方、上述のミラーアセンブリ4のユニットハウジング44及び45には長円形状のフランジ部49が一体に突設されている。
【0021】
そして、ブーツ7の両端開口部がブラケット1の周辺及びミラーアセンブリ4のユニットハウジング44及び45のフランジ部49の周辺にそれぞれ嵌合されており、かつこのブーツ7の両端フランジ部がブラケット1とミラーベース12との間及びミラーアセンブリ4のユニットハウジング44及び45のフランジ部49とミラーハウジング42の側面開口部41の周縁との間においてそれぞれ圧接されている。
【0022】
以下その操作作動について説明する。
まず、手動によりミラーアセンブリ4を縦軸X−X回りに回転させると、継状態のクラッチ機構6を介してクラッチギア60とシャフト部材2及び3とが縦軸X−X回りに回転するので、ミラーアセンブリ4の縦軸X−X回りの左右方向の鏡面調整が行われる。
一方、手動によりミラーアセンブリ4を横軸Y−Y回りに回転させると、継状態のクラッチ機構6を介してシャフト部材2及び3が横軸Y−Y回りに回転するので、ミラーアセンブリ4の横軸Y−Y回りの上下方向の鏡面調整が行われる。また、モータ5に通電させてモータ5を駆動させると、図3に示すように、ミラーアセンブリ4が使用位置から格納位置に、又は格納位置から使用位置に、縦軸X−X回りに回転変位する。
【0023】
このように、手動によりミラーアセンブリ4の鏡面(ミラー43)を左右方向及び上下方向に調整することができ、かつ電動によりミラーアセンブリ4を格納、復帰させたりすることができる。
【0024】
このとき、モータ5の駆動によりミラーアセンブリ4を使用位置と格納位置との間において回転変位させる電動トルクを、手動によりミラーアセンブリ4の鏡面調整を行うピボット調整トルクよりも小となすことにより、上述の手動鏡面調整と電動格納とを確実に行うことができる。
【0025】
特に、この実施の形態においては、シャフト部材のシャフト2の軸部21の先端がミラーアセンブリ4のユニットハウジング(上ハウジング44)の円形凹部442に回転可能に嵌合されており、またシャフト部材のシャフトホルダ3の円柱形状軸部31がミラーアセンブリ4のユニットハウジング(下ハウジング45)の円形透孔451が回転可能に嵌合されている。すなわち、シャフト部材2及び3とミラーアセンブリ4のユニットハウジング44及び45とは上下2箇所において回転可能に嵌合されているものであるから、横軸Y−Y回りの上下方向の手動鏡面調整の際に、ミラーアセンブリ4を横軸Y−Y回りに回転させると、その回転力が上述の上下2箇所の嵌合部分を介してシャフト部材2及び3に伝達されるので、このシャフト部材2及び3とミラーアセンブリ4のユニットハウジング44及び45とは捩れることなく一体にスムーズに回転する。
【0026】
また、上述のシャフト2の先端とミラーアセンブリ4の上ハウジング44の円形凹部442との嵌合支持箇所が横軸Y−Yよりも離れているものであるから、梃子の腕の長さが長くなり、その分シャフト2の先端とミラーアセンブリ4の円形凹部442との嵌合支持箇所における回転力が大となり、上述の回転がさらにスムーズとなる。
【0027】
なお、上述の実施の形態においては、右側のドアミラーについて説明したが、左側のドアミラーもほぼ同様に構成されている。
【0028】
【発明の効果】
以上から明らかなように、本発明の電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置におけるシャフト部材とミラーアセンブリとの支持構造は、シャフト部材と前記ミラーアセンブリとを、2箇所で相互に回転可能に嵌合支持したものであるから、横軸回りの上下方向の手動鏡面調整の際に、ミラーアセンブリを横軸回りに回転させると、その回転力が上述の上下2箇所の嵌合部分を介してシャフト部材に伝達されるので、このシャフト部材とミラーアセンブリとは捩れることなく一体にスムーズに回転する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置におけるシャフト部材とミラーアセンブリとの支持構造の一実施の形態を示し、ドアミラーとして自動車のドアに装備された状態の斜視図である。
【図2】図1におけるII部の一部を破断した斜視図である。
【図3】右側のドアミラーの内部機構の概略を示し、上ハウジングを取り外した状態の横断面図である。
【図4】同じく右側のドアミラーの内部機構を示し、上ハウジングを取り外した状態の横断面図である。
【図5】図4におけるV−V線断面図である。
【図6】図4におけるVI−VI線断面図である。
【図7】図4におけるVII−VII線断面図である。
【符号の説明】
1…ブラケット、110…外側圧接球面(ピボット機構)、111…円形透孔、112…ガイド平面(ガイド機構)、12…ミラーベース、13…球面ワッシャ、130…内側圧接球面(ピボット機構)、14…ストッパ壁部(ストッパ機構)、2…シャフト(シャフト部材)、24…球面ガイド、240…内側圧接球面(ピボット機構)、25…スプリング押え用ワッシャ、26…Eリング、27…第1コイルスプリング、28…第2コイルスプリング、3…シャフトホルダ(シャフト部材)、301…外側圧接球面(ピボット機構)、302…長溝(規制機構)、31…軸部、32…ガイド軸(ガイド機構兼ストッパ機構)、33…ガイド軸(ガイド機構)、4…ミラーアセンブリ、40…前面開口部、41…側面開口部、42…ミラーハウジング、43…ミラー、44…上ハウジング(ユニットハウジング)、442…円形凹部、45…下ハウジング(ユニットハウジング)、451…円形透孔、454…ボール(規制機構)、46…ワッシャ、47及び48…スクリュウ、49…フランジ部、5…モータ、50…減速機構、57…ボルト、58…ナット、6…クラッチ機構、60…クラッチギア(減速機構50の最終段ギア)、7…ブーツ、C…自動車、D…ドア、O…ピボット機構の球面の中心、X−X…縦軸、Y−Y…横軸。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のドアやフェンダ等に装備される外部用後写鏡としてのミラー装置であって、特に、手動によりミラーアセンブリの鏡面を左右方向及び上下方向に調整することができ、かつ電動によりミラーアセンブリを格納、復帰させたりすることができる電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置におけるシャフト部材とミラーアセンブリとの支持構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のミラー装置としては、手動によりミラーアセンブリの鏡面を左右方向及び上下方向に調整したり、また手動によりミラーアセンブリを格納、復帰させたりするミラー装置と、リモートコントロールによりミラーアセンブリの鏡面を左右方向及び上下方向に調整したり、また電動によりミラーアセンブリを格納、復帰させたりするミラー装置とがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来、手動によりミラーアセンブリの鏡面を左右方向及び上下方向に調整したり、また電動によりミラーアセンブリを格納、復帰させたりするミラー装置が開発されていない。
【0004】
そこで、本出願人は、手動によりミラーアセンブリの鏡面を左右方向及び上下方向に調整することができ、かつ電動によりミラーアセンブリを格納、復帰させたりすることができる電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置を提供した。
【0005】
本発明の目的は、上述の電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置において、固定側のブラケットに対してミラーアセンブリ及びシャフト部材を横軸回りにスムーズに回転させることができるシャフト部材とミラーアセンブリとの支持構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために、シャフト部材と前記ミラーアセンブリとを、2箇所で相互に回転可能に嵌合支持したことを特徴とする。
【0007】
この結果、横軸回りの上下方向の手動鏡面調整の際に、ミラーアセンブリを横軸回りに回転させると、その回転力が上述の上下2箇所の嵌合部分を介してシャフト部材に伝達されるので、このシャフト部材とミラーアセンブリとは捩れることなく一体にスムーズに回転する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置におけるシャフト部材とミラーアセンブリとの支持構造の一実施の形態を添付図面を参照して説明する。
この例は図1に示すように、自動車CのドアDに装備されるドアミラーについて説明する。
【0009】
図において、1は例えばダイカスト製のブラケットである。このブラケット1には例えば合成樹脂製の球面ワッシャ13が固定されている。このブラケット1がミラーベース12を介して自動車CのドアD、すなわち車体に固定されるものである。
図において、2及び3はシャフト部材を構成する例えば金属製のシャフト及び例えばダイカスト製のシャフトホルダである。
このシャフト2の頭部には例えば合成樹脂製の球面ガイド24が固定されている。このシャフト2がシャフトホルダ3の軸部31の貫通孔中に貫通されている。このシャフト2の外面とシャフトホルダ3の貫通孔内面とには2平面の面取り部が設けられているので、シャフト2とシャフトホルダ3とが相互にシャフト軸(シャフト2の中心軸)回りに回転不可能にかつシャフト軸方向に移動可能に取り付けられて、シャフト部材が構成されることとなる。
【0010】
上述のブラケット1には上述のシャフト部材2及び3が、ピボット機構を介して、回転可能にかつシャフト部材2及び3のシャフト軸が前記回転中心Oを通るように取り付けられている。
次に、上述のピボット機構の構成について説明する。
すなわち、ブラケット1及び球面ワッシャ13には球面部(段部を介して中央部と周辺部とからなる球面部)が形成されており、この球面部の中央部にはブラケット1からなる外側圧接球面110が設けられており、かつこの球面部の周辺部には球面ワッシャ13からなる内側圧接球面130が設けられている。
また、シャフト2の球面ガイド24には上述のブラケット1の外側圧接球面110に圧接する内側圧接球面240が設けられており、一方、シャフトホルダ3には上述のブラケット1の内側圧接球面130に圧接する外側圧接球面301が設けられている。
そして、ブラケット1の円形透孔111中にはシャフト部材2及び3が挿通されている。このシャフト2の頭部と反対側の端部にはスプリング押え用ワッシャ25が取り付けられていると共に、このシャフト2の頭部と反対側の端部の環状溝にはEリング26が固定されている。このスプリング押え用ワッシャ25の下面とシャフトホルダ3の軸部31の上端面との間には圧縮形のピボットトルク用の第1コイルスプリング27が介装されている。
【0011】
上述のシャフト部材2及3は、上述のブラケット1に対して、ガイド機構により、前記シャフト軸である縦軸X−X回りにまた前記回転中心Oを通りかつ縦軸X−Xに直交する横軸Y−Y回りにそれぞれ回転するようにガイドされている。すなわち、上述のブラケット1の球面部の周縁に上述の横軸Y−Yと平行なガイド平面112が設けられている。一方、上述のシャフトホルダ3の周辺からガイド軸32及び33が横軸Y−Y方向にこの横軸Y−Yと同軸に一体に突設されている。この一のガイド軸32は円柱形状をなし、他のガイド軸33は半円柱形状をなす。このガイド軸32及び33が上述のガイド平面112上に上述の第1コイルスプリング27のスプリング力で圧接されることによりガイド機構が構成される。
【0012】
上述のシャフ部材2及び3にはミラーアセンブリ4が、手動により縦軸X−X回りの左右方向に及び横軸Y−Y回りの上下方向に鏡面調整可能に支持されている。
このミラーアセンブリ4は、前面及び側面に開口部40及び41がそれぞれ設けられたミラーハウジング42と、このミラーハウジング42の前面開口部40に固定されたミラー43と、このミラーハウジング42内にスクリュウ48により固定されかつ側面開口部41から外部に突出したユニットハウジング44及び45とからなる。
また、上述のユニットハウジング44及び45は、2分割された上ハウジング(44)と下ハウジング(45)とから構成されており、この上ハウジング44の外部に突出した端部の上部内面側には円形凹部442が設けられており、一方、この下ハウジング45の外部に突出した端部の下面の中央には円形の透孔451が設けられている。
さらに、上述のシャフトホルダ3の上面が上述の横軸Y−Yを含みかつ上述のピボット機構の球面の中心Oを中心とする円形の平面をなす。
【0013】
そして、上述のシャフト2の軸部21の先端に上述のミラーアセンブリ4のユニットハウジング(上ハウジング44)の円形凹部442が回転可能に嵌合され、かつ上述のシャフトホルダ3の円柱形状の軸部31に上述のミラーアセンブリ4のユニットハウジング(下ハウジング45)の円形透孔451が回転可能に外嵌されると共に、このシャフトホルダ3の円形上面上にミラーアセンブリ4のユニットハウジング(下ハウジング45)の下面が載置され、かつこのシャフトホルダ3の上面とミラーアセンブリ4の下面との間には円形透孔を有する円形ワッシャ46が介装されている。それから、上述のスプリング押え用ワッシャ25と後述する最終段ギアとしてのクラッチギア60との間には圧縮形のピボットトルク兼クラッチトルク用の第2コイルスプリング28が上述の第1コイルスプリング27の外側に同軸に介装されている。
なお、上述のユニットハウジングの上ハウジング44と下ハウジング45とはボルト57、ナット58及びスクリュウ47により一体に固定されている。
【0014】
上述のミラーアセンブリ4と上述のシャフト部材2及び3との間には、ミラーアセンブリ4を縦軸X−X回りに使用位置(図3及び図4を参照)と格納位置(図3及び図4を参照)との間において回転変移させるモータ5及び減速機構50が介装されている。
すなわち、モータ5及び減速機構50は上述のミラーアセンブリ4のユニットハウジング44及び45内にそれぞれ内蔵されかつ固定支持されている。
上述の減速機構50は、回転軸がジョイントを介してモータ5の出力軸に連結された第1ウォームと、この第1ウォームに噛み合うヘリカルギアの第1ウォームホイールと、この第1ウォームホイールと同軸の第2ウォームと、この第2ウォームに噛み合う第2ウォームホイール(ヘリカルギア)と、この第2ウォームホイールに噛み合うと共に上述のシャフト部材2及び3に装着された最終段ギアとしてのクラッチギア60と、から構成されている。
【0015】
上述のミラーアセンブリ4と前記シャフト部材2及び3との間には、前記ミラーアセンブリ4が前記使用位置と前記格納位置とを規制するための規制機構が設けられている。
すなわち、上述のミラーアセンブリ4のユニットハウジング(下ハウジング45)の下面には2個のボール454が等間隔に保持されている。一方、上述のシャフトホルダ3の上面には2本の円弧形状の長溝302が、上述のピボット機構の中心Oを中心とする円形上に設けられている。この長溝302に上述のボール454が収納されている。
【0016】
さらに、図面では省略したが、モータ5に通電させてモータ5の駆動によりミラーアセンブリ4が回転変位して使用位置に又は格納位置に位置したときにモータ5への通電が遮断されてミラーアセンブリ4が使用位置又は格納位置に停止するためのスイッチ装置が、具備されている。なお、このスイッチ装置のモータ5への通電遮断制御としては、PTC素子等の電流制御、クラッチとリミットスイッチとの併用、クラッチとパターンスイッチとの併用等がある。
【0017】
上述のシャフト部材2及び3と上述の減速機構50の最終段ギアとしてのクラッチギア60との間にはクラッチ機構6が介装されている。
このクラッチ機構6は、上述のクラッチギア60の下面に保持された3個のボールと、クラッチ板とから構成されている。このクラッチギア60がシャフト部材2及び3とミラーアセンブリ4に回転可能にかつ縦軸X−X方向に移動可能に取り付けれている。このクラッチギア60のボールがクラッチ板の小円形透孔に嵌合されている。
【0018】
このクラッチギア60のボールとクラッチ板の小円形透孔との嵌合保持するクラッチトルクは、上述の第2コイルスプリング28のばね力により得られる。また、この第2コイルスプリング28のばね力は、上述のクラッチギア60、ボール、クラッチ板、ワッシャ、ボール454、ワッシャ46及びシャフトホルダ3を介して、上述のピボット機構の球面110、130、240、301を圧接保持するピボットトルクとしても作用する。
【0019】
上述のブラケット1と上述のシャフト部材2及び3との間には、上述のミラーアセンブリ4の左右方向の手動鏡面調整角度を規制するストッパ機構が設けられている。
このブラケット1には一対のストッパ壁部14が、縦軸X−X回りに対向して設けられている。この一対のストッパ壁部14の間に上述のシャフト部材2及び3の円柱形状のガイド軸32が配置されている。
【0020】
上述のブラケット1と上述のミラーアセンブリ4との間にはブーツ7が介装されている。
このブーツ7は、ゴム製の蛇腹形状をなし、かつ断面長円形の筒形状をなし(図8を参照)、両端に開口部がそれぞれ設けられており、この開口部の周辺にはフランジ部がそれぞれ設けられている。
一方、上述のミラーアセンブリ4のユニットハウジング44及び45には長円形状のフランジ部49が一体に突設されている。
【0021】
そして、ブーツ7の両端開口部がブラケット1の周辺及びミラーアセンブリ4のユニットハウジング44及び45のフランジ部49の周辺にそれぞれ嵌合されており、かつこのブーツ7の両端フランジ部がブラケット1とミラーベース12との間及びミラーアセンブリ4のユニットハウジング44及び45のフランジ部49とミラーハウジング42の側面開口部41の周縁との間においてそれぞれ圧接されている。
【0022】
以下その操作作動について説明する。
まず、手動によりミラーアセンブリ4を縦軸X−X回りに回転させると、継状態のクラッチ機構6を介してクラッチギア60とシャフト部材2及び3とが縦軸X−X回りに回転するので、ミラーアセンブリ4の縦軸X−X回りの左右方向の鏡面調整が行われる。
一方、手動によりミラーアセンブリ4を横軸Y−Y回りに回転させると、継状態のクラッチ機構6を介してシャフト部材2及び3が横軸Y−Y回りに回転するので、ミラーアセンブリ4の横軸Y−Y回りの上下方向の鏡面調整が行われる。また、モータ5に通電させてモータ5を駆動させると、図3に示すように、ミラーアセンブリ4が使用位置から格納位置に、又は格納位置から使用位置に、縦軸X−X回りに回転変位する。
【0023】
このように、手動によりミラーアセンブリ4の鏡面(ミラー43)を左右方向及び上下方向に調整することができ、かつ電動によりミラーアセンブリ4を格納、復帰させたりすることができる。
【0024】
このとき、モータ5の駆動によりミラーアセンブリ4を使用位置と格納位置との間において回転変位させる電動トルクを、手動によりミラーアセンブリ4の鏡面調整を行うピボット調整トルクよりも小となすことにより、上述の手動鏡面調整と電動格納とを確実に行うことができる。
【0025】
特に、この実施の形態においては、シャフト部材のシャフト2の軸部21の先端がミラーアセンブリ4のユニットハウジング(上ハウジング44)の円形凹部442に回転可能に嵌合されており、またシャフト部材のシャフトホルダ3の円柱形状軸部31がミラーアセンブリ4のユニットハウジング(下ハウジング45)の円形透孔451が回転可能に嵌合されている。すなわち、シャフト部材2及び3とミラーアセンブリ4のユニットハウジング44及び45とは上下2箇所において回転可能に嵌合されているものであるから、横軸Y−Y回りの上下方向の手動鏡面調整の際に、ミラーアセンブリ4を横軸Y−Y回りに回転させると、その回転力が上述の上下2箇所の嵌合部分を介してシャフト部材2及び3に伝達されるので、このシャフト部材2及び3とミラーアセンブリ4のユニットハウジング44及び45とは捩れることなく一体にスムーズに回転する。
【0026】
また、上述のシャフト2の先端とミラーアセンブリ4の上ハウジング44の円形凹部442との嵌合支持箇所が横軸Y−Yよりも離れているものであるから、梃子の腕の長さが長くなり、その分シャフト2の先端とミラーアセンブリ4の円形凹部442との嵌合支持箇所における回転力が大となり、上述の回転がさらにスムーズとなる。
【0027】
なお、上述の実施の形態においては、右側のドアミラーについて説明したが、左側のドアミラーもほぼ同様に構成されている。
【0028】
【発明の効果】
以上から明らかなように、本発明の電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置におけるシャフト部材とミラーアセンブリとの支持構造は、シャフト部材と前記ミラーアセンブリとを、2箇所で相互に回転可能に嵌合支持したものであるから、横軸回りの上下方向の手動鏡面調整の際に、ミラーアセンブリを横軸回りに回転させると、その回転力が上述の上下2箇所の嵌合部分を介してシャフト部材に伝達されるので、このシャフト部材とミラーアセンブリとは捩れることなく一体にスムーズに回転する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置におけるシャフト部材とミラーアセンブリとの支持構造の一実施の形態を示し、ドアミラーとして自動車のドアに装備された状態の斜視図である。
【図2】図1におけるII部の一部を破断した斜視図である。
【図3】右側のドアミラーの内部機構の概略を示し、上ハウジングを取り外した状態の横断面図である。
【図4】同じく右側のドアミラーの内部機構を示し、上ハウジングを取り外した状態の横断面図である。
【図5】図4におけるV−V線断面図である。
【図6】図4におけるVI−VI線断面図である。
【図7】図4におけるVII−VII線断面図である。
【符号の説明】
1…ブラケット、110…外側圧接球面(ピボット機構)、111…円形透孔、112…ガイド平面(ガイド機構)、12…ミラーベース、13…球面ワッシャ、130…内側圧接球面(ピボット機構)、14…ストッパ壁部(ストッパ機構)、2…シャフト(シャフト部材)、24…球面ガイド、240…内側圧接球面(ピボット機構)、25…スプリング押え用ワッシャ、26…Eリング、27…第1コイルスプリング、28…第2コイルスプリング、3…シャフトホルダ(シャフト部材)、301…外側圧接球面(ピボット機構)、302…長溝(規制機構)、31…軸部、32…ガイド軸(ガイド機構兼ストッパ機構)、33…ガイド軸(ガイド機構)、4…ミラーアセンブリ、40…前面開口部、41…側面開口部、42…ミラーハウジング、43…ミラー、44…上ハウジング(ユニットハウジング)、442…円形凹部、45…下ハウジング(ユニットハウジング)、451…円形透孔、454…ボール(規制機構)、46…ワッシャ、47及び48…スクリュウ、49…フランジ部、5…モータ、50…減速機構、57…ボルト、58…ナット、6…クラッチ機構、60…クラッチギア(減速機構50の最終段ギア)、7…ブーツ、C…自動車、D…ドア、O…ピボット機構の球面の中心、X−X…縦軸、Y−Y…横軸。
Claims (2)
- 車体に固定されるブラケットと、
シャフトを有するシャフト部材と、
前記ブラケットに前記シャフト部材を回転可能にかつ前記シャフト部材のシャフト軸が前記回転中心を通るように取り付けたピボット機構と、
前記シャフト部材が前記ブラケットに対して前記シャフト軸である縦軸回りにまた前記回転中心を通りかつ前記縦軸に直交する横軸回りにそれぞれ回転するのを、ガイドするガイド機構と、
前記シャフト部材に支持され、手動により前記ブラケットに対して前記縦軸回りの左右方向に及び前記横軸回りの上下方向に鏡面調整が行われるミラーアセンブリと、
前記ミラーアセンブリと前記シャフト部材との間に介装され、前記ミラーアセンブリを前記縦軸回りに使用位置と格納位置との間において回転変位させるモータ及び減速機構と、
を備えた電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置において、
前記シャフト部材と前記ミラーアセンブリとは、2箇所で相互に回転可能に嵌合支持されていることを特徴とする電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置におけるシャフト部材とミラーアセンブリとの支持構造。 - 前記シャフト部材と前記ミラーアセンブリとの2箇所の嵌合支持のうちの少なくとも1箇所は前記横軸よりも離れていることを特徴とする請求項1に記載の電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置におけるシャフト部材とミラーアセンブリとの支持構造。
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JPH09207670A JPH09207670A (ja) | 1997-08-12 |
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JP02136396A Expired - Fee Related JP3617163B2 (ja) | 1996-02-07 | 1996-02-07 | 電動格納式兼手動鏡面調整式ミラー装置におけるシャフト部材とミラーアセンブリとの支持構造 |
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1996
- 1996-02-07 JP JP02136396A patent/JP3617163B2/ja not_active Expired - Fee Related
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