JP3616480B2 - 自動変速機用コントロールスイッチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車における自動変速機のシフトレバーの切換操作で、パーキング、リバース、ニュートラル、ドライブ、2速、1速というようなシフトポジションを示すポジション信号を発生する自動変速機用コントロールスイッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動変速機を備えた自動車では、シフトレバーの切換操作でパーキング、リバース、ニュートラル、ドライブ、2速、1速というような自動変速機のシフトポジションを示すポジション信号を発生する自動変速機用コントロールスイッチが用いられ、それぞれのポジション信号に応じて制御系のマイクロコンピュータに操作指令を与えるようになっている。
【0003】
この種の自動変速機用コントロールスイッチの一例としては、図9〜図12に示すようにアルミダイカスト製のカバー51aとカバー51aにゴムパッキン66を介して被着される合成樹脂製のベース51bとから成るハウジング51と、このハウジング51の内部に回動自在に収められる可動体60とを備え、ハウジング51が図9に示すように自動変速機ATMに取り付けられるとともに、シフトレバーの操作に応じて回動するシフト切り換え用のマニュアルシャフト41に可動体60が固定されるものがある。可動体60はシフトレバーの回動に応じてマニュアルシャフト41と一体的に回動するもので、マニュアルシャフト41に固定される軸部61と、軸部61から突設されてカバー51aの凹部52で形成される空間内を回動する合成樹脂製の接点ホルダ62とを有し、締め付け用ナット6を用いて軸部61がマニュアルシャフト41に締め付け固定される。そして、ハウジング51には軸部61を回動自在に枢支する軸受部53が設けてある。この軸受部53の内周面に環状に形成した凹部には環状のゴムシール65a,65bが装着されている。
【0004】
ベース51bの内側面には可動体60の回動中心を中心とする4つの同心円周上に弧状の固定接点54a、54b1 …,54c、54d1 …を夫々インサートにより配置し、これらこれら固定接点54a、54b1 …,54c、54d1 …に接続されたリード端子からなる出力回路はベース51bの外側の凹部に配設され図においてハウジング51の上端部に設けられたコネクタ部55内のコネクタ端子を介して外部に導出されるようになっている。尚ベース51bの外側の凹部は接着剤56が充填され出力回路を外部に対して密封している。
【0005】
さて上記固定接点の内、最も内側の円周上の固定接点54aは、各シフトポジションに対応する信号系回路及びバックライトの通電用の共通の固定接点を構成し、各シフトポジションに対応する可動体60の回転角度位置を全て含むような円弧状の導電板により形成され、また第2の円周上に配置される固定接点54b1 …の内、図10において基準線Lに対して最も小さい回転角度位置、つまりパーキングポジション(P)に対応して設けてある固定接点54b1 はパーキングポジション(P)のポジション信号を取り出すための固定接点を構成している。また上記基準線Lに対して2番目に小さい回転角度位置、つまりリバースポジション(R)に対応して設けてある固定接点54b2 はリバースポジション(R)のポジション信号を取り出すための固定接点とバックライトの通電をオン・オフするための固定接点とを兼ねた固定接点を構成している。更に上記基準線Lに対して3番目に小さい回転角度位置、つまりニュートラルポジション(N)に対応して設けてある固定接点54b3 はニュートラルポジション(N)のポジション信号を取り出すための固定接点を構成している。更にまた上記基準線Lに対して4番目に小さい回転角度位置、つまりドライブポジション(D)に対応して設けてある固定接点54b4 はドライブポジション(D)のポジション信号を取り出すための固定接点を構成している。同様に上記基準線Lに対して5番目に小さい回転角度位置、つまり2速のポジション(D)に対応して設けてある固定接点54b5 は2速のポジション(2)のポジション信号を取り出すための固定接点を構成し、最も大きい回転角度位置、つまり1速のポジション(L)に対応して設けて設けてある固定接点54b6 は1速のポジション(L)のポジション信号を取り出すための固定接点を構成している。
【0006】
第3の円周上に配置される固定接点54cはパーキングポジション(P)及びニュートラルポジション(N)でスタートモータへの通電経路のオン・オフを行なうための共通の固定接点を構成し、その長さをパーキングポジション(P)からニュートラルポジション(N)へ至る可動体60の回動角度範囲に対応させている。
【0007】
また第4の円周上に配置される固定接点54d1 ,54d2 は電気的には接続されてパーキングポジション(P)及びニュートラルポジション(N)でスタートモータへの通電経路のオン・オフを行なうための固定接点を構成している。
接点ホルダー62のベースに対向する側の面にはスプリング64でカバー51b側方向に付勢された可動接点63A,63Bが回動中心から半径方向に列設されてあり、可動接点63Aは第1の円周上と第2の円周上に亘る長さ寸法に形成され両円周上を移動するようになっている。また可動接点63Aは第3の円周と第4の円周に亘る長さ寸法に形成され両円周上を移動するようになっている。
【0008】
図14は自動変速機用コントロールスイッチの電気的接続の概念的な回路構成を示しており、イグニッションスイッチSWのスタータ位置の接点STを自動変速機用コントローススイッチの可動接点63Bで開閉される固定接点54cに接続し、イグニッションスイッチSWのスタート後に投入される接点IGを自動変速機用コントローススイッチの可動接点63Aで開閉される固定接点54bに接続してある。つまりこれら固定接点54c、54bは車載用のバッテリBTの非接地側電極、この場合プラス電極がイグニッションスイッチSWを介して接続される。また固定接点54cとの間で可動接点63Aにより開閉される固定接点54d1 、54d2 にはスタートモータMの一端が、また固定接点54b1 〜54b6 には各信号系回路(図では表示ランプL1 〜L6 で示す)の一端を接続するとともに、54b2 には信号系回路の他に、バックランプLbの一端を接続してある。
【0009】
而して自動変速機用コントロールスイッチでは、シフトレバーの回動操作に応じて可動体60が一体的に回動して、可動接点63A、63Bが夫々に対応する対の固定接点間を接触・開離することで切換出力としてポジション信号を信号系回路に出力して表示ランプL1 〜L6 をオン・オフしたり、スタートモータMへの通電路をオン・オフ、またバックライトLbをオン・オフすることができるようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記従来例の自動変速機用コントロールスイッチでは、スタータ回路系の開閉を外側の第3、第4の円周上に配置した固定接点54c、54d1 、54d2 で行い、またバックライトLb及び信号系回路の開閉を第1、第2の第3、第4の円周上に配置した固定接点54a、54b1 〜54b6 で行う構成となっているため、図15(a)(b)に示すように大きな電流が流れるバックライトLbの通電を開閉する際に発生する開閉アークARで生じた炭化物Cがスタータ系回路の固定接点上に付着してスタート系回路の固定接点と可動接点63Bとの接触障害が起きて、スタートモータMを駆動できず、エンジンが始動できなくなるという恐れがあった。また図14(図15(b))に示すような電気結線では、スタータ系回路の固定接点54cに隣接する固定接点54b1 〜54b6 が異極となった場合、極間のベース51bの樹脂が開閉アークARにより劣化したり、或いは水や金属物が入った場合に極間短絡を起こし易いという問題があった。またリバースポジションの固定接点54b2 や固定接点54a及び可動接点63Aは開閉アークにより磨耗しやすく、そのため可動接点63Aの接触先端面が当初断面半円状の形状であって、その頂点で固定接点54b1 …や54aに接触していたのが、図16に示すように接触先端面が磨耗により接触面が増加するような場合、接触・開離位置がずれてくるという問題があった。また固定接点54b及び54aは回動中心に近い円周上に形成されているため上記位置のずれによる、オン・オフ角度の変化が拡大されるという問題があった。これらの問題は自動変速機用コントロールスイッチの寿命を短くするという要因となっていた。
【0011】
また上記従来例では、図18に示すように固定接点54a…をベース51bにインサートして固定接点54の接触面をベース51bの表面と同一面とし、可動接点63の接触先端面が摺動移動して開閉する構成であったため、リバース系回路の開閉時には開閉アークが樹脂を図15(a)のYの部分のように絶縁劣化(炭化)させて上述のような極間短絡を起こしやすく、また境界部を可動接点63が移動する際、チャタリングを発生させて電気的ノイズとなり、信号系回路(例えばマイコン)の誤動作の原因となったり、或いは開閉アークARを増加させ、樹脂劣化や接点磨耗を更に促進するという問題もあった。またベース51b上を可動接点63A、63Bの接触先端面が摺動する際に摺動により生じた樹脂の磨耗粉が固定接点54a…や可動接点63A,63Bに付着して接触障害の原因となっていた。また差に固定接点54a…をインサートする際インサート金型の関係により上記境界部の位置がばらついたり、或いは樹脂成形ばりが固定接点54a…の側部側に発生してそのばりにより接触障害を起こすという問題もあった。
【0012】
また可動接点63A,63Bをばね付勢するとともに、接点ホルダー62内に対してがたを持たせているため、可動体60の回転方向により、可動接点63A(或いは63B)が図17で2点鎖線で示すように傾き、そのため接触・開離位置がずれ、ヒステリシスを持つことになり、動作が安定しないという問題があった。
【0013】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたもので、請求項1の発明の目的とするところは、開閉アークの影響を受けずに高い接触信頼性が得られる自動変速機用コントールスイッチを提供することにある。
請求項2の発明の目的とするところは、請求項1の発明の目的に加えて、安全性の高い自動変速機用コントールスイッチを提供することにある。
【0014】
請求項3の発明の目的とするところは、請求項1の発明の目的に加えて、可動接点の接触・開離位置を高い精度とすることができる自動変速機用コントールスイッチを提供することにある。
請求項4の発明の目的とするところは、請求項3の発明の目的に加えて、請求項3の発明の目的を達成することが容易な自動変速機用コントールスイッチを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明では、自動変速機のシフトレバーの切換操作に応じてハウジング内を回動する可動体を備え、この可動体に可動接点を一体的に取り付けるとともに可動体の回動に応じて可動接点と接触・開離する固定接点をハウジング内に形成し、可動接点と固定接点の接触・開離に応じた自動変速機のシフトポジションを示すポジション信号を取り出すとともに、バックライトの通電のオン・オフや、スタートモータの通電経路をオン・オフする自動変速機用コントロールスイッチにおいて、可動体の回動中心を中心とする異なる径の複数の円周上の内中心から最も近い第1の円周上及び第1の円周に外側で隣接する第2の円周上のパーキングポジションとニュートラルポジションとに夫々対応した位置に可動体が回動した時に、両円周上間に亘る長さを持って両円周上を移動する第1の可動接点により開閉されるスタートモータの開閉のための固定接点を夫々配置し、最外側の第3の円周上のリバースポジションに対応する位置に可動体が回動した時に、第3の円周に内側で隣接する第4の円周上に配置した固定接点との間で第3、第4の円周上間に亘る長さを持って両円周上を移動する第2の可動接点により開閉されてリバースポジションのポジション信号の取り出しとバックライトの通電のオン・オフを行なう固定接点を少なくとも配置し、第2の円周と第4の円周との間には、バックライト、スタートモータの何れにも用いられない固定接点を配置して第2の円周上に配置される固定接点と第4の円周上に配置される固定接点との間をバックライトの通電のオン・オフ時に生じる開閉アークの影響を受けないように離間して成ることを特徴とする。
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記第2の円周の外側で隣接する第5の円周上又は上記第3の円周上に上記リバースポジション以外のシフトポジションに対応する固定接点を分散配置し、夫々のシフトポジションに可動体が回動した時に、第4の円周上の固定接点を共通の固定接点とし、第5、第4の円周上間に亘る長さを持って両円周上を移動する第3の可動接点又は上記第2の可動接点で開閉されるようにし、上記第1の円周上及び第4の円周上の固定接点には車載用バッテリの非接地側電極を、第2の円周上、第5の円周上、第3の円周上の各固定接点には、対応するスタートモータ、信号系回路、バックライトの非接地側端子を夫々接続して成ることを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、ハウジングをカバーと共に形成する樹脂製ベースの内側壁面に各固定接点を露設するとともに各固定接点の摺動接触面をベースの内側壁面より高くし、同一の可動接点により開閉されるように並行配置された固定接点間に位置する円周上のベースの内側壁面に円弧状リブを突出形成し、該リブ端面の位置を両固定接点の端面を結ぶ位置と略一致させるとともに、ベースの内側壁面からのリブの高さをベースの内側壁面からの固定接点の高さよりも高くし、且つリブの上記端面をアール面とし、各可動接点は固定接点の表面に対して垂直方向に移動自在となるように固定接点方向にばね付勢し、上記リブ上に乗り上げ自在としたことを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明では、請求項3の発明において、上記リブの端面のアール面を、リブの高さ寸法と略同一の半径で形成して成ることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態により説明する。
図1乃至図8は本発明の一実施形態を示しており、本実施形態は、アルミダイカスト製のカバー2と合成樹脂製のベース3とをリベット4で結合して組み立てられる略扇形のハウジング1と、このハウジング1の内部に回動自在に収められる可動体10とを備えている。
【0019】
図3、図6に示すように可動体10は亜鉛ダイカスト製で一端に円筒形の軸部13と、スプリング14により外側へ弾性付勢された3個の可動接点15A,15B,15Cを保持する合成樹脂製の接点ホルダ12とを備え、軸部13に一体に連設された函状収納部11内に接点ホルダ12が収納固定されている。
略扇形に形成されているハウジング1の要部分には可動体10の軸部13を枢支する軸受部5が設けてあり、カバー2側へ突出した軸部13の先端部分には軸部13をマニュアルシャフト(図9に示す)41に固定するための締め付け用ナット6が螺着されている。図中8はカバー2とベース3との間に介在するゴムパッキン、9は軸部13に接触して軸受け部5をシールするゴムシールである。また31はハウジング1と大気とを連通させる穴で、連通穴17を設けた樹脂製キャップ18で閉塞されており、内部には空気を通過させ水を遮断するフィルターを内装している。
【0020】
ベース3は、一端部にそれぞれ後述する固定接点7a1 …、7b1 …、7 c1 …、7d、7e1 …を設けた複数の導電体7…をインサート成形した1次成形品に、軸受部5のベース側部分及びコネクタ部20を2次成形して構成されている。各固定接点7a1 …、7b1 …、7 c1 …、7d、7e1 …は軸受部5を中心にして夫々が異なる径の5つの円周の上に配設されており、ハウジング1内で可動体10の可動に伴って、接点ホルダー14内の可動接点15Aが最も内側の第1の円周上と、その隣の第2の円周上とに跨がるように両円周に沿って移動し、また可動接点15Cが最も外側の第3の円周上と、内側において隣接する第4の円周上とに跨がるように両円周に沿って移動し、更に可動接点15Bが第4の円周と第2の円周との間の第5の円周上と第4の円周上とに跨がるように移動するようになっている。
【0021】
周壁21で囲まれ筒状に形成されたコネクタ部20の内底面には、上記固定接点7a1 …、7b1 …、7 c1 …、7d、7e1 …を設けた複数の導電板7…の先端が2列に突出されてコネクタ端子16を形成してある。そして、このコネクタ部20の根元のハウジング1の外周面には外鍔部(フランジ部)22が設けてある。この外鍔部22は、図4に示すようにハウジング1の厚みよりも大きな幅寸法に形成されている。また外鍔部22の底面(軸受部5側の面)には図2〜図4に示すように複数の補強用のリブ23が外鍔部22の長手方向に沿って列設されており、複数のリブ23を設けることで充分な強度を確保しつつ外鍔部22の厚みを小さくすることができ、ハウジング1全体の小型化が図れるものである。
【0022】
ハウジング1には車体(あるいは自動変速機ATM)への取り付け用の取付ねじが挿通されるねじ挿通孔19が設けてある。そして、ハウジング1を車体の正規の取付位置に取り付けた状態でコネクタ部20の開口面の法線方向(図5におけるイ方向)が車体底面の法線方向(同図におけるロ方向)から所定の角度θ(θとしては30°〜60°が望ましい)だけ傾くようにコネクタ部20が設けられている。
【0023】
さて上記固定接点7a1 …、7b1 …、7 c1 …、7d、7e1 …はその接触面がベース3の表面より高い位置となるように露設されており、第1の円周上に配置される固定接点7a1 は可動体10がパーキングポジション(P)に回動操作された時に可動体10の可動接点5Aが接触可能なベース3の位置に露設され、イグニッションキースイッチのスタータ側接点を介して車載用のバッテリの非接地側電極、例えば+電極に接続される。同様に第1の円周上に配置される固定接点7a2 は固定接点7a1 と同じ導電板7に設けられ、可動体10がニュートラルポジション(N)に回動した時に可動体10の可動接点5Aが接触可能なベース3の位置に露設されている。
【0024】
第2の円周上に配置される固定接点7b1 ,7b2 は可動接点5Aにより上記固定接点7a1 ,7a2 との間でオン・オフするもので、固定接点7b1 は可動体10がパーキングポジション(P)に回動された時に可動体10の可動接点5Aが接触可能なベース3の位置に露設され、その両端面の位置が固定接点7a1 の両端面の位置と同一回動角度に設定してある。また固定接点7b2 は固定接点7b1 と同じ導電板7に設けられ、可動体10がニュートラルポジション(N)に回動した時に可動体10の可動接点5Aが接触可能なベース3の位置に露設され、その両端面の位置が固定接点7a1 の両端面の位置と同一回動角度に設定してある。そして両固定接点7b1 ,7b2 はスタートモータの一端に接続される。
【0025】
第2の円周に外側で隣接する第5の円周上に配置される固定接点7c1 〜7c3 と、第5の円周に外側で隣接する第4の円周上に配設される固定接点7dとは、可動体10の可動接点5Bによりオン・オフされるもので、固定接点7c1 は可動体10がパーキングポジション(P)に回動された時に可動体10の可動接点5Bが接触可能なベース3の位置に露設され、固定接点7c2 は可動体10がニュートラルポジション(N)に回動した時に可動体10の可動接点5Bが接触可能なベース3の位置に露設され、固定接点7c3 は可動体10が2速ポジション(2)に回動した時に可動体10の可動接点5Bが接触可能なベース3の位置に露設されており、夫々の固定接点7c1 〜7c3 は夫々別の導電体7に形成され、夫々に対応する信号系回路の一端に接続される。
【0026】
最も外側に位置する第3の円周上に配置される固定接点7e1 〜7e3 は上記の第4の円周上に配設される固定接点7dとの間で可動体10の可動接点5Cによりオン・オフされるもので、固定接点7e1 は可動体10がリバースポジション(R)に回動された時に可動体10の可動接点5Cが接触可能なベース3の位置に露設され、固定接点7e2 は可動体10がドライブポジション(D)に回動した時に可動体10の可動接点5Bが接触可能なベース3の位置に露設され、固定接点7e3 は可動体10が1速ポジション(L)に回動した時に可動体10の可動接点5Bが接触可能なベース3の位置に露設されており、夫々の固定接点7e1 〜7e3 は夫々別の導電板7に形成され、夫々に対応する信号系回路の一端に接続される。また固定接点7e1 に対応する導電板7は更にバックランプの一端も接続される。
【0027】
そして上記第4の配設される固定接点7dは共通固定接点を構成し、可動体10がパーキングポジション(P)〜1速ポジション(L)の範囲で移動する際に可動接点5B、5Aが共に接触可能なように長さが設定されてベース3に露設されており、該固定接点7dを形成した導電板7はイグニッションキースイッチのスタート後に投入される接点を介して車載用のバッテリの+電極に接続される。
【0028】
また固定接点7dのパーキングポジション(P)側の端面の位置と固定接点7c1 の外側の端面の位置とを同一回動角度に設定してあり、また固定接点7dの1速ポジション(L)側の端面の位置と固定接点7e3 の外側の端面の位置とを同一回動角度に設定してある。
ここで、固定接点7a1 …が配置された円周と、固定接点7b1 …が配置された円周との間のベース3には、固定接点7a1 ,7b1 の外側端面と同一の回動角度の端面を持ち、反固定接点7a1 ,7b1 側へ延設された円弧状のリブ321 と、固定接点7a1 ,7b1 の内側端面と同一の回動角度の端面を一端に持ち、他端に固定接点7a2 ,7b2 の外側端面と同一の回動角度の端面を持つ円弧状のリブ322 と、固定接点7a2 ,7b2 の外側端面と同一の回転角度の端面を一端に持ち、反固定接点7a2 ,7b2 側へ延設されたリブ323 とを一体突設してある。
【0029】
また固定接点7c1 …が配置された円周と、固定接点7dが配置された円周との間のベース3には、固定接点7c1 ,7dの外側端面と同一の回動角度の端面を持ち、反固定接点7c1 ,7d側へ延設された円弧状のリブ324 と、固定接点7c1 の内側端面と同一の回動角度の端面を一端に持ち、他端に固定接点7c2 の固定接点7c1 側端面と同一の回動角度の端面を持つ円弧状のリブ325 と、固定接点7c2 の固定接点7c3 側端面と同一の回動角度の端面を一端に持ち、他端に固定接点7c3 の固定接点7c2 側端面と同一の回動角度の端面を持つ円弧状のリブ326 と、固定接点7c3 の外側端面と同一の回動角度の端面を持ち、反固定接点7c3 側へ延設された円弧状のリブ327 とを一体突設してある。
【0030】
更に固定接点7e1 …が配置された円周と、固定接点7dが配置された円周との間のベース3には、固定接点7e1 の外側端面と同一の回動角度の端面を持ち、反固定接点7e1 側へ延設された円弧状のリブ328 ト、固定接点7e1 の固定接点7e2側端面と同一の回動角度の端面を一端に持ち、他端に固定接点7e2 の固定接点7e1 側端面と同一の回動角度の端面を持つ円弧状のリブ329 と、固定接点7e2 の固定接点7e3 側端面と同一の回動角度の端面を一端に持ち、他端に固定接点7e3 の固定接点7e2 側端面と同一の回動角度の端面を持つ円弧状のリブ3210と、固定接点7e3 の外側端面と同一の回動角度の端面を持ち、反固定接点7e3側へ延設された円弧状のリブ32 11 に一体突設してある。
【0031】
これらリブ321 …と固定接点7a…との関係を図7、図8に示す。図示するようにリブ32の高さAは固定接点7の高さBより高く形成され、また固定接点7の端面側の端面はアール面32Aとしており、該アール面32Aの半径Rは高さA以上とし、実施形態では略高さAと同じに設定してある。
またリブ32の端部の側面と当該リブ32の対応する固定接点7の側面との間にはエアーギャップGを設けてある。
【0032】
而して自動変速機用コントロールスイッチでは、シフトレバーの回動操作に応じて可動体10が一体的に回動して、可動接点15A〜15Cが夫々に対応する対の固定接点間を接触・開離することで切換出力としてポジション信号を信号系回路に出力して表示ランプをオン・オフしたり、スタートモータへの通電路をオン・オフ、またバックライトをオンオフするのである。
【0033】
ここで可動接点15が固定接点7から開離する場合には、図7に示すように可動接点15の断面半円状の先部の先端が固定接点7上を摺動しながら固定接点7の端面部付近に移動して来たときに、先端よりやや上に位置する可動接点15の先部の進行方向の面がリブ32のアール面32Aに当たり、可動接点15はスプリング14の付勢に抗してリブ32上に乗り上げることになる。この乗り上げにより可動接点15の先端が固定接点7から開離し、リブ32上を可動接点15が摺動することになる。
【0034】
一方可動接点15が固定接点7に接触する場合には、リブ32上を摺動しながらリブ32の端部に来ると可動接点15の先部がスプリング14の付勢によりアール面32Aに摺接しながら固定接点7上へ降下することになる。以後可動接点15の先端が固定接点7上に接触して可動接点15の移動により可動接点15の先端が固定接点7上を摺動することになる。
【0035】
ここで可動接点15の先部がリブ32のアール面32Aに接触して乗り上げを開始して先端が固定接点7から開離する位置と、可動接点15の先部がリブ32のアール面32Aに接触しながら降下して先端が固定接点7に接触する位置とは、リブ32のアール面32Aにより規定されて同じ位置となり従来のヒステリスシが発生しない。しかもリブ32のアール面32Aにより可動接点15の先部の磨耗が殆どなく、従って接触・開離位置の経年的な変化が殆どなく安定した動作が得られるとともに、長寿命化が図れる。
【0036】
更にバックライトの通電をオン・オフする固定接点7e1 、7dの場合にあって可動接点15Cとの間で開閉アークが生じても、リブ328 との間のエアーギャップGによりリブ328 に影響を与えることがなく、リブ328 の炭化を防ぎ絶縁劣化等の発生を防止できることになる。
【0037】
【発明の効果】
請求項1の発明は、上述のように構成した自動変速機用コントロールスイッチにおいて、可動体の回動中心を中心とする異なる径の複数の円周上の内中心から最も近い第1の円周上及び第1の円周に外側で隣接する第2の円周上のパーキングポジションとニュートラルポジションとに夫々対応した位置に可動体が回動した時に、両円周上間に亘る長さを持って両円周上を移動する第1の可動接点により開閉されるスタートモータの開閉のための固定接点を夫々配置し、最外側の第3の円周上のリバースポジションに対応する位置に可動体が回動した時に、第3の円周に内側で隣接する第4の円周上に配置した固定接点との間で第3、第4の円周上間に亘る長さを持って両円周上を移動する第2の可動接点により開閉されてリバースポジションのポジション信号の取り出しとバックライトの通電のオン・オフを行なう固定接点を少なくとも配置し、第2の円周と第4の円周との間には、バックライト、スタートモータの何れにも用いられない固定接点を配置して第2の円周上に配置される固定接点と第4の円周上に配置される固定接点との間をバックライトの通電のオン・オフ時に生じる開閉アークの影響を受けないように離間したので、バックライトの通電をオン・オフする固定接点で発生する開閉アークによる炭化物がスタートモータの通電路をオン・オフする固定接点位置まで回り込まないので、スタートモータの通電路をオン・オフする固定接点と第1の可動接点との接触信頼性が向上するという効果があり、また開閉アークにより接点が磨耗してオン位置が変化し易いリバースポジションの固定接点が最外側にあるため、可動体の回動角度に対する接触・開離位置の変化を少なくすることができるという効果がある。
【0038】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記第2の円周の外側で隣接する第5の円周上又は上記第3の円周上に上記リバースポジション以外のシフトポジションに対応する固定接点を分散配置し、夫々のシフトポジションに可動体が回動した時に、第4の円周上の固定接点を共通の固定接点とし、第5、第4の円周上間に亘る長さを持って両円周上を移動する第3の可動接点又は上記第2の可動接点で開閉されるようにし、上記第1の円周上及び第4の円周上の固定接点には車載用バッテリの非接地側電極を、第2の円周上、第5の円周上、第3の円周上の各固定接点には、対応するスタートモータ、信号系回路、バックライトの非接地側端子を夫々接続したので、スタートモータを開閉する固定接点の内車載用バッテリの非接地側電極が接続される固定接点と、信号系回路を開閉する固定接点の内車載用バッテリの非接地側電極が接続される固定接点とが離間し、同じ極である信号系回路の一端を接続した固定接点とスタートモータの一端と接続して固定接点とが近接するので、隣接する固定接点同士が万が一短絡しても同極であるので安全であるという効果がある。
【0039】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、ハウジングをカバーと共に形成する樹脂製ベースの内側壁面に各固定接点を露設するとともに各固定接点の摺動接触面をベースの内側壁面より高くし、同一の可動接点により開閉されるように並行配置された固定接点間に位置する円周上のベースの内側壁面に円弧状リブを突出形成し、該リブ端面の位置を両固定接点の端面を結ぶ位置と略一致させるとともに、ベースの内側壁面からのリブの高さをベースの内側壁面からの固定接点の高さよりも高くし、且つリブの上記端面をアール面とし、各可動接点は固定接点の表面に対して垂直方向に移動自在となるように固定接点方向にばね付勢し、上記リブ上に乗り上げ自在としたので、可動接点の磨耗が少なく、しかも可動接点が固定接点から離れる位置を、固定接点をベースにインサートしてベース表面と固定接点表面とを同一平面とした場合に比べて、成形金型精度によって高精度で設定でき、その上開閉アークがリブに対して影響を与えることが殆どないため、可動接点と固定接点の接触・開離の位置の変化が少なく、安定した接触・開離が行なえるとともに、長寿命化が図れ、更にばね付勢されている可動接点が摺動によって傾いても、接触・開離位置が摺動方向によって変化することがなく、そのためヒステリシスが発生しないという効果がある。
【0040】
請求項4の発明は、上記リブの端面のアール面は、リブの高さ寸法と略同一の半径で形成したので、切換位置の精度が高く得られるアール面の寸法設定がリブの高さを基準として決定でき、アール面の製作が容易となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のカバーの正面図である。
【図2】同上の正面図である。
【図3】同上の側断面図である。
【図4】同上の自動変速機への取付状態を示す側面図である。
【図5】同上の背面図である。
【図6】同上の可動体の背面図である。
【図7】同上の要部の説明図である。
【図8】同上の要部の説明図である。
【図9】従来例を示し、自動車に取り付けられた状態を概念的に示す図であり、(a)は底面図、(b)は側面図である。
【図10】同上の正面図である。
【図11】同上の側断面図である。
【図12】同上の自動変速機への取付状態を示す側面図である。
【図13】同上のベースの正面図である。
【図14】同上の概念的な電気結線図である。
【図15】同上の課題の説明図である。
【図16】同上の課題の説明図である。
【図17】同上の課題の説明図である。
【図18】同上の可動接点と固定接点との関係を示す概念的な一部破断せる斜視図である。
【符号の説明】
3 ベース
7a1 …,7b2 …、7c1 …,7d、7e1 … 固定接点
10 可動体
15A,15B,15C 可動接点
13 軸部
20 コネクタ
321 … リブ
Claims (4)
- 自動変速機のシフトレバーの切換操作に応じてハウジング内を回動する可動体を備え、この可動体に可動接点を一体的に取り付けるとともに可動体の回動に応じて可動接点と接触・開離する固定接点をハウジング内に形成し、可動接点と固定接点の接触・開離に応じた自動変速機のシフトポジションを示すポジション信号を取り出すとともに、バックライトの通電のオン・オフや、スタートモータの通電経路をオン・オフする自動変速機用コントロールスイッチにおいて、可動体の回動中心を中心とする異なる径の複数の円周上の内中心から最も近い第1の円周上及び第1の円周に外側で隣接する第2の円周上のパーキングポジションとニュートラルポジションとに夫々対応した位置に可動体が回動した時に、両円周上間に亘る長さを持って両円周上を移動する第1の可動接点により開閉されるスタートモータの開閉のための固定接点を夫々配置し、最外側の第3の円周上のリバースポジションに対応する位置に可動体が回動した時に、第3の円周に内側で隣接する第4の円周上に配置した固定接点との間で第3、第4の円周上間に亘る長さを持って両円周上を移動する第2の可動接点により開閉されてリバースポジションのポジション信号の取り出しとバックライトの通電のオン・オフを行なう固定接点を少なくとも配置し、第2の円周と第4の円周との間には、バックライト、スタートモータの何れにも用いられない固定接点を配置して第2の円周上に配置される固定接点と第4の円周上に配置される固定接点との間をバックライトの通電のオン・オフ時に生じる開閉アークの影響を受けないように離間して成ることを特徴とする自動変速機用コントロールスイッチ。
- 上記第2の円周の外側で隣接する第5の円周上又は上記第3の円周上に上記リバースポジション以外のシフトポジションに対応する固定接点を分散配置し、夫々のシフトポジションに可動体が回動した時に、第4の円周上の固定接点を共通の固定接点とし、第5、第4の円周上間に亘る長さを持って両円周上を移動する第3の可動接点又は上記第2の可動接点で開閉されるようにし、上記第1の円周上及び第4の円周上の固定接点には車載用バッテリの非接地側電極を、第2の円周上、第5の円周上、第3の円周上の各固定接点には、対応するスタートモータ、信号系回路、バックライトの非接地側端子を夫々接続して成ることを特徴とする請求項1記載の自動変速機用コントロールスイッチ。
- ハウジングをカバーと共に形成する樹脂製ベースの内側壁面に各固定接点を露設するとともに各固定接点の摺動接触面をベースの内側壁面より高くし、同一の可動接点により開閉されるように並行配置された固定接点間に位置する円周上のベースの内側壁面に円弧状リブを突出形成し、該リブ端面の位置を両固定接点の端面を結ぶ位置と略一致させるとともに、ベースの内側壁面からのリブの高さをベースの内側壁面からの固定接点の高さよりも高くし、且つリブの上記端面をアール面とし、各可動接点は固定接点の表面に対して垂直方向に移動自在となるように固定接点方向にばね付勢し、上記リブ上に乗り上げ自在としたことを特徴とする請求項1記載の自動変速機用コントロールスイッチ。
- 上記リブの端面のアール面を、リブの高さ寸法と略同一の半径で形成して成ることを特徴とする請求項3記載の自動変速機用コントロールスイッチ。
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