JP3614896B2 - 感光性フィルム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、感光性フィルム、詳しくは、高解像度を得ることのできる感光性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板製造や、金属精密加工の分野で、微細な回路を形成するには感光性樹脂積層体(感光性フィルム)が用いられてきた。即ち、基材に感光性フィルムをラミネートし、ネガフィルム(パターンマスク)を通じて露光後現像し、場合によってめっきを行い、その後エッチング、レジストはく離等を行う方法である。
【0003】
感光性フィルムは、通常、光透過性の支持フィルム、感光性樹脂層、保護フィルムの3層から成り、使用方法としては、まず保護フィルムをはく離した後、感光性樹脂層が基材に直接触れるよう圧着(ラミネート)し、光透過性フィルム上にパターニングされたネガフィルムを密着し、活性光線(紫外線を用いることが多い)を照射(露光)し、次いで有機溶剤又はアルカリ水溶液を噴霧し不要部分を除去することでレジストパターンを形成(現像)し、その後塩化第二鉛水溶液等を用いてエッチングする方法が一般的である。特に、環境問題などの面から、現像液としてはアルカリ水溶液を用いるものが求められている。
【0004】
近年、電子機器の小型、軽量化が推進されており、プリント配線板も回路の微細化が求められており、レジストパターンも細線化され、これに対して感光性フィルムの高解像度化が求められている。
【0005】
これらの要求に対して、高解像度化を達成するめたの様々な試みがなされている。例えば、感光性樹脂層を薄膜化する方法等である。しかし、感光性樹脂層を薄膜化すると、基材に感光性フィルムをラミネートする際、支持フィルムの剛直性により傷に対する追従性の低下、エアーボイドの巻き込み等による欠け、断線が発生するなどの問題があり、通常、10μm以上が必要とされる。また、感光性樹脂層を薄膜化する場合、吸光度の低下により露光時の基材面からの光乱反射により解像度が低下する。
【0006】
また、別の方法として、露光前に支持フィルムをはく離し、感光性樹脂層上に直接ネガフィルムを密着させる方法がある。通常、感光性樹脂層は、基材に密着するようある程度粘着性を保持しており、この方法を直接適用すると、ネガフィルムと感光性樹脂層が密着してしまい、ネガフィルムをはがしにくく、作業性が低下したり、ネガフィルムを感光性樹脂が汚染したり、空気阻害のため感度が低下したりする問題があった。
【0007】
そこで、この方法を改良する試みとして、特開昭61−31855号公報、特開平1−221735号公報、特開平2−230149号公報等に示される、感光性樹脂層を2層以上とし、ネガフィルムと直接接触する層を非粘着性層とすることが行われている。しかし、この方法は感光性樹脂層を多層化するため塗工に手間がかかるうえ、感度低下に対しては効果のないものであった。
【0008】
また別の方法として、感光性樹脂層上に、中間層を設けこれらの欠点を解決しようとする試みが、特公昭56−40824号公報、特開昭55−501072号公報、特公昭54−12215号公報、特開昭47−469号公報、特開昭59−97138号公報、特開昭59−216141号公報、特開昭63−197942号公報等に示されている。しかし、これらはいずれも支持フィルムと感光性樹脂層との間に中間層を設けなければならず、塗工が2度手間になり、また薄い中間層については取扱いが困難であった。
【0009】
更に、別の試みとして支持フィルムを薄膜化する方法がある。この場合、感光性樹脂層も薄膜化しているので、感光性フィルムを基材にラミネートするには腰がないため、しわが発生し易い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来の技術の問題を解決し、作業性に優れ、かつ解像度の向上した感光性フィルムを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、実質的に透明である支持フィルム(a)、感光性樹脂層(b)、保護フィルム(c)を有する感光性フィルムにおいて、前記支持フィルム(a)の厚みが12〜18μmで、ヘーズが0.1〜1.5%であり、前記(b)の感光性樹脂層の膜厚が10〜20μmで、365nmにおける吸光度が0.7〜1.5である感光性フィルムに関する。
【0012】
支持フィルム(a)としては、例えば、帝人社製GS−16(16μm)、東洋紡社製JP−05(14μm)等のポリエチレンテレフタレートフィルムなどが挙げられる。支持フィルム(a)の厚みは、12〜18μmとされ、12μm未満の場合、機械的強度が小さいため、ラミネート時のシワ、支持フィルムはく離時の破れが発生し、一方、18μmを超える場合、解像度が低下する。また、支持フィルム(a)のヘーズは0.1〜1.5%とされ、0.1%未満の場合、入手が困難であり、1.5%を超える場合、解像度が低下する。ヘーズは、市販のヘーズ計で測定できる。
【0013】
感光性樹脂層(b)の厚みは10〜20μmとされる。10μm未満の場合、追従性が低下し、欠け、断線が発生する。20μmを超える場合、解像度が低下する。
また、感光性樹脂層(b)の吸光度は、0.7〜1.5とされ、好ましくは0.8〜1.2とされる。0.7未満の場合、露光時に基材表面からの光乱反射により、解像度が低下する。1.5を超える場合、露光、現像工程において感光性樹脂層低部の硬化度が低いため、密着性が低下する。
【0014】
感光性樹脂層(b)は公知のものを用いることができ、通常、バインダーポリマー、重合可能なビニル化合物及び光重合開始剤を必須成分として含む。バインダーポリマーとしては、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル〔(メタ)アクリル酸とはメタクリル酸及びアクリル酸を意味する。以下同じ〕の共重合体や、これらと共重合し得るビニルモノマーとの共重合体が挙げられる。これらの共重合体は単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0015】
(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合しうるビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0016】
感光性樹脂層(b)をアルカリ現像型とする場合は、通常、(メタ)アクリル酸と上記のアルキルエステル、ビニルモノマーを共重合させたバインダーポリマーを用いれば良い。
感光性樹脂層(b)は、0.4〜0.7重量%の炭酸ナトリウム水溶液を現像液とするものであることが好ましい。0.4重量%未満の場合、現像液の温度、疲労度(フィルム処理量)の影響をうけやすく、実際の製造での管理が困難となる傾向がある。0.7重量%を超える場合、感光性樹脂層が薄いため、最少現像時間が短く、実際の製造で使用する場合現像過多となり密着性が低下する傾向がある。
【0017】
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N−N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体などが挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0018】
光重合可能なビニル化合物としては、例えば、ウレタンアクリレートビスコート#831(大阪有機化学工業社製商品名)、ポリエーテル型ウレタンアクリレートBTG−A(共栄社油脂化学工業社製商品名)、ポリエステル型ウレタンアクリレートD−200A(共栄社油脂化学工業社製商品名)、ウレタンアクリレートフォトマー6008(サンノプコ社製商品名)、ウレタンジアリレートケムリンク9503(サートマ社製商品名)等のウレタン(メタ)アクリレートやトリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(SR−454、サートマ社製商品名)、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート(R−924、日本化薬社製商品名)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレン基の数が2〜14のもの)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレン基の数が2〜14のもの)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多価アルコールにα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ビスフェノールAジオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジ(メタ)アクリレート等のビスフェノールAジオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリルレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリレート等のグリシジル基含有化合物にα、β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物、無水フタル酸等の多価カルボン酸とβ−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基及びエチレン性不飽和基を有する物質とのエステル化物、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルなどが挙げられる。
【0019】
また、感光性樹脂層(b)には、必要に応じて可塑剤、染料、顔料、イメージング剤、充填剤、密着性付与剤、安定剤などを配合として使用できる。
【0020】
保護フィルム(c)は、一般に、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム等が用いられるが、価格、柔軟性、強度、硬度等の面から、ポリエチレンフィルムが好ましい。また、その厚みは、10〜40μmであることが好ましい。10μm未満では、取扱い性が劣る傾向があり、40μmを超えると、コストアップになる傾向がある。
【0021】
本発明の感光性フィルムは、通常、
(1)保護フィルムをはがしながら、基材上に感光性樹脂層が密着するよう熱、圧力等をかけながらラミネートし、
(2)支持フィルムの上にネガフィルムを載置し、ネガフィルムを介して露光し、
(3)支持フィルムをはがした後、現像により画像(レジストパターン)を形成する
方法で用いられる。
【0022】
(1)のラミネート工程は、一般にホットロールを呼ばれる加熱可能なロール又はヒートシューと呼ばれる加熱用ジャケットとラミネートロールと呼ばれるロールにより、感光性樹脂層を加熱し軟化しながら行う。
【0023】
(2)の露光工程は、一般に専用の露光機があり、接触又は非接触型のものを用いて行う。ランプとしては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ灯等の紫外線を有効に放射するものを用いることができる。
【0024】
(3)の現像方法は、ディップ法、スプレー法等が挙げられ、高解像度化には高圧スプレー法が最適である。
【0025】
画像形成後の処理は、エッチング、めっきなどの工程が挙げられるが、これらは必要に応じ周知の方法で行えば良い。
【0026】
【実施例】
次に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。
実施例1〜2及び比較例1〜5
表1及び表2の材料を配合し、溶液を得た。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
次いで、この感光性樹脂組成物の溶液を表1に示す各種のポリエチレンテレフタレートフィルム(支持フィルム(a))上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で約10分間乾燥して感光性樹脂層(b)を形成した後、30μm厚のポリエチレンフィルムを保護フィルム(c)として積層し感光性フィルムを得た。感光性樹脂層の乾燥後の膜厚は、15μmであった。
【0030】
〈ヘーズの測定〉
ヘーズは、日本電色工業製ヘーズ計NDH−1001DP(JIS K7105対応)を用いて測定した。
〈吸光度の測定〉
保護フィルムであるポリエチレンをはく離し、日立製作所社製分光光度計228Aを用い、365nmの吸光度を測定した。
【0031】
〈ラミネート性の評価〉
基材厚み0.25mmの銅合金(ヤマハ社製、商品名オーリン194)上に、前記感光性樹脂層を120℃に加熱し、ポリエチレンフィルムをはく離しながらラミネートした。この時のラミネート性(シワ、気泡の巻きこみ等)を評価した。
【0032】
次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ネガフィルム(パターンマスク)を載置し、3kW高圧水銀灯(オーク製作所社製、HMW−590、平行光タイプ)で任意の露光量で露光を行った。この際、光感度を評価できるように、ネガフィルムに光透過量が段階的に少なくなる領域(光学密度0.05を1段とし、1段ごとに光学密度が0.15ずつ増加するステップタブレット)を設けた。
また、ライン/スペースが最少10μm/10μmであり、ライン及びスペースが共に5μm毎に大きくなるくし形パターンを持つ解像度評価用のネガフィルム、及びライン/スペースが最少30/400μmであり、ライン幅が5μm毎に大きくなるくし形パターンを持つ密着性評価用のネガフィルムを設けた。
【0033】
次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、28℃で0.5重量%炭酸ナトリウム水溶液を30秒間スプレーすることにより、未露光部を除去した。この時のポリエチレンテレフタレートフィルムの除去性(破れ)を評価した。
さらに、銅張り積層板上に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数を測定することにより、感光性樹脂層の光感度を評価した。光感度は、ステップタブレットの段数で示され、このステップタブレットの段数が高いほど、光感度が高いことを示す。
また、解像度は、5μm毎のくし形パターンの解像性(μm)で表わされ、この解像度の数値が小さい程解像度が高いことを示す。
密着性は、現像後にはく離せずに残ったライン幅(μm)で表わされ、この密着性の数値が小さい程密着性が高いことを示す。
以上の評価結果を表3及び表4に示す。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【発明の効果】
本発明の感光性フィルムは、作業性、解像度、密着性等に優れたものである。
Claims (1)
- 実質的に透明である支持フィルム(a)、感光性樹脂層(b)、保護フィルム(c)を有する感光性フィルムにおいて、前記支持フィルム(a)の厚みが12〜18μmで、ヘーズが0.1〜1.5%であり、前記(b)の感光性樹脂層の膜厚が10〜20μmで、365nmにおける吸光度が0.7〜1.5である感光性フィルム。
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