JP3614326B2 - 中空成形品の検査装置 - Google Patents

Description

【産業上の利用分野】
【０００１】
本発明は合成樹脂ボトルのブロー成形用素材である射出成形されたポリエチレンテレフタレーソ製の中空プレフォーム、その他の中空成形品の検査装置に関するものである。
【０００２】
【従来技術】
中空成形品であるプレフォーム（８）は図３に仮想線にて示されるとおり、胴部（８１）の上部にフランジ（８４）を張り出し、口部（８２）とフランジ（８４）の間に螺旋条（８３）を具えている。
ボトルをブロー成形する前にプレフォーム（８）を検査し、不良品を排除することによって、ボトルの品質は向上される。プレフォームの材料中に異物の混入、キズ、気泡、変形があると、ブロー成形の際、バーストし、又は充填された液体の漏れ、変質等のトラブルを発生するため、プレフォームは全体に亘って底部、胴部（８１）、口部（８２）が検査される。
【０００３】
従来、この種検査は図７に示す回転式検査装置（９）によって行われている。該装置は供給シュート（９１）から送られたプレフォーム（８）を、回転する供給ホイール（９２）の周面に形成された凹みに１個づつ嵌めて送り、同時回転するターンテーブル（９３）の周囲に形成されている凹みに順次受け渡す。ターンテーブル（９３）の周囲に保持されたプレフォームは、ターンテーブルが１回転する間に、周囲に配置された検査カメラ（９６）によって底部、胴部、口部が検査され、最終ステージに於いて同期回転する取出しホイール（９７）に受け渡され、検査を終えるのである。
ターンテーブル周囲の凹みに保持されて移行するプレフォームは、その外側に配置された円弧状のガイド（９５）に案内されてターンテーブルからの脱落を防止しているが、ガイド（９５）に擦れながら送られるため、プレフォームに擦り傷が付き易い問題があった。また、プレフォームの全体を死角なしに検査するには、ターンテーブルの凹み毎に対応して設けた吸引ノズルをターンテーブルの上方へターンテーブルと同時回転及び上下動すべく配置し、吸引ノズルは各プレフォームを吸着し、ターンテーブル上方に引き上げてターンテーブルと同時に回転移動しながら検査し、検査終了後はプレフォームをターンテーブルの凹みに降ろして吸着を外す構成である。ターンテーブルに対し供給ホイール（９２）、取出しホイール（９７）を同期回転させ、吸引ノズルの上下動及び回転移動など複雑な機構を必要とするため、装置の価格は高価にならざるを得なかった。
【０００４】
【解決すべき課題】
本発明はプレフォームを直進移行させながら、移行中に死角なくプレフォームの胴部全体を検査すると共に、従来の装置に較べて安価に提供でき、しかもプレフォームに対し搬送中に傷付けしない装置を明らかにするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は直進する通気性コンベアの下面に中空成形品の口部を吸着させて、直進移行させるものである。中空成形品の口部天面だけが通気性コンベアに接して吸着しているだけであるから、中空成形品には他に接触するものは無く、搬送中の傷付きは起らない。しかも成形品の全体を容易に検査出来、異常が検出された成形品は、外力を加えて通気性コンベアに対し僅か傾けるだけで吸着は壊れ、自重で落下し、簡単に排除出来る。
本発明に係る中空成形品の検査装置は、直進移行する通気性コンベアと該通気性コンベアの上方に配置され、通気性コンベアに負圧を生じさせる吸引装置と、搬送路側方に配置された検査器と、該検査器によって検出された成形品に外力を加えて傾け、通気性コンベアとの吸着を外す排出装置を備えたものである。
【０００６】
【発明の作用及び効果】
中空成形品は口部の天面が通気性コンベアに吸着され、懸垂状態で移行する検査器は直進移行する中空成形品の胴部、底部を検査出来る。検査器が中空成形品の異常を検出したとき、成形品に対し僅かな外力を加えることによって成形品は中空コンベアに対し傾き、通気性コンベアの吸着面と成形品口部との吸着部に隙間を生じるから、空気が吸い込まれて成形品に対する吸引力は消え、成形品は自重で落下し、排除出来る。しかも成形品は口部の天面のみが通気性コンベアに接するだけであり、それ以外には接触する物は無いから、検査中に成形品の傷付きは起らない。
【０００７】
【発明の実施態様】
プレフォーム（８）は、貯蔵部（１）の傾斜シュート（１１）にフランジ部（８４）が支えられ、自重によってシュート（１１）を辷り落ち、下端の供給部（２）へ送られる。
【０００８】
供給部（２）は、モータ（１５）に駆動されて同期回転する２枚の駆動スプロケット（１３）（１３）と、下流側の従動スプロケット（１４）（１４）との間に２条のチェン（１２）（１２）を平行に張設し、レール（２３）に沿って直進走行させている。チェン（１２）（１２）間にプレフォーム（８）の胴部（８１）が挟まれ、フランジ部（８４）はチェン（１２）（１２）に支持されて搬送される。供給部（２）にはチェン（１２）（１２）による直進搬送路の両側に一対の第１星形車（２１）（２１）、第２星形車（２４）（２４）が配置されている。
第１星形車（２１）（２１）は上面に多数のフィンガー（２２）を具え、フィンガー間に１つのプレフォームが収容出来るポケットを対称的に形成し、一対の第１星形車（２１）が対称的に同期回転することにより、貯蔵部（１１）のシュート（１１）から１個づつのプレフォームを受け止め、順次開放して第２星形車へ移行させる。第２星形車（２４）は第１星形車よりも少ない数のフィンガー（２８）を周囲に突設している。第２星形車（２４）は、回転軸（２５）が歯車列（２７）を経てモータ（２６）に連繋し、定められた一定速度で回転することによりフィンガー間に保持したプレフォームを等間隔（約１０ｃｍ）で下流に送る。
【０００９】
第２星形車（２４）の上方には胴部検査装置（４）の通気性コンベア（７）が前記チェン（１２）の延長上に同一速度で直進移行すべく配置されている。通気性コンベア（７）は図４に示す如く、上面にラック状の突起（７２）を２列に突設し、所定間隔（例えば１０ｃｍ）に貫通孔（７３）を開設したタイミングベルトが用いられる。胴部検査装置（４）は一端に吸気管（５３）を接続し、内部に負圧室（５２）を有するダクト（５）を搬送方向に配置している。
【００１０】
ダクト（５）の下面には超低摩擦材料によって作られた複数個のガイド板（６）が１列に取り付けられている。
ガイド板（６）の下面は中央に平坦な支持面（６３）及び両側に側壁（６４（６４）が長手方向に形成され、側壁（６４）と支持面（６３）との間に通気性コンベア（７）を構成するタイミングベルトの突起（７２）が嵌まる案内溝（６５）を形成している。
ガイド板（６）の上面は、長手方向に浅い溝（６１）を形成し、溝底を通りガイド板の略全長に亘って支持面（６３）に達するスリット（６２）が開設されている。
ダクト（５）の底板にはガイド板（６）の溝（６１）に対応して貫通孔（５１）が夫々開設されており、負圧室（５２）の負圧はスリット（６２）を経て、通気性コンベアの貫通孔（７３）に吸引作用を生じさせる。
【００１１】
胴部検査装置（４）の両端に設けたスプロケット（７１）（７１）間に通気性コンベア（７）を掛け渡し、前記供給装置（２）のモータ（２６）の駆動軸をチェンによって駆動側スプロケット（７１）に連繋しており、通気性コンベア（７）は供給チェン（１２）と同一速度で移行し、プレフォームを送り出す第２星形車（２４）のフィンガーと、通気性ベルト（７）に列設した貫通孔（７３）との位相が一致するようにタイミングが合わされる。従って第２星形車（２４）のフィンガーから開放され、チェン（１２）に支持されて移行するプレフォーム（８）の口部（８２）の天面は、その上方を移行する通気性ベルト（７）の貫通孔（７３）縁部に接して通気性ベルトに吸着され、図５の如く通気性ベルトから懸垂した状態となり、供給装置（２）のチェン（１２）から離れ、胴部検査装置（４）へ受け渡される。
【００１２】
胴部検査装置（４）に於てはプレフォームの移行路に対応して複数のカメラなどの検査器（４１）が配置され、プレフォーム胴部の前面、背面、底面など全体に亘って異常の部分が検査される。検査は光をプレフォーム胴部に当て、透過光或いは反射光をＣＣＤカメラ（４１）によって検査する。検査器（４１）の具体的な構成及び信号処理によって異常を検出する方法は公知である。
【００１３】
胴部検査装置（４）の下流部には、図６の如くプレフォーム（８）の通過路に対しエアノズル（４２）が配置されている。前記検査器（４１）が異常信号を発した時、異常が検出されたプレフォームがエアノズル（４２）前方を通過するタイミングを合わせて圧縮空気が噴射される。プレフォーム（８１）の胴部に圧縮空気の噴射或いはソレノイドによる物理的な外力が加えられると、プレフォームは容易に傾き、口部（８２）の天面と通気性ベルト（７）の吸着面との間に隙間が出来、空気が流入する。一旦空気が流入するとプレフォーム（８）に対する吸着力は失われるから、プレフォームは自重落下し下方に配置されたシュート（４３）によって外部に排出される。
【００１４】
胴部検査装置（４）の下流端下方にはスプロケット（３３）の間に張られた無端状チェン（３１）がレール（３２）に沿って移行する公知の検査装置（３）が配置されている。胴部検査装置（４）の下流端では通気性コンベア（７）上のガイド板（６）が下流側のスプロケット（７１）の直前で途切れており、プレフォーム（８）に対する吸着力が消える。このときプレフォーム下方を通過する口部検査装置（３）のチェン（３１）はプレフォーム（８）のフランジ（８４）を支持し、図３の如く口部（８２）の天面及び螺旋条（８３）をチェンの上方へ突出した姿勢で移行させるから、移行路側方に配置された検査器（３４）によって口部（８２）に螺旋条（８３）が検査される。
【００１５】
本発明において検査される成形品はプレフォームに限られることはなく、ボトル、容器などの中空成形品、ガラス瓶の検査にも同様に使用できる。
又、通気性コンベア（７）は通気性材料によって形成されて、プレフォームに対する吸着力を生じさせるものであれば、本発明の実施に使用出来る。
【図面の簡単な説明】
【図１】検査装置の正面図である。
【図２】図１の平面図である。
【図３】図１Ａ−Ａ線に沿う拡大断面図である。
【図４】胴部検査装置の分解斜面図である。
【図５】図１のＢ−Ｂ線に沿う拡大断面図である。
【図６】図１のＣ−Ｃ線に沿う拡大断面図である。
【図７】従来の回転式検査装置の概略図である。
【符号の説明】
（１） 貯蔵部
（２） 供給装置
（２１） 第１星形車
（２４） 第２星形車
（３） 口部検知装置
（４） 胴部検査装置
（４１） 検査器
（４２） エアノズル
（５） ダクト
（５１） 吸気孔
（５２） 負圧室
（６） ガイド板
（６１） 負圧溝
（６２） スリット
（６３） 支持面
（７） 通気性コンベア
（７３） 貫通孔
（８） プレフォーム
（８２） 口部
（８４） フランジ

Claims (4)

1. 口部を有する中空成形品を搬送しつつ、搬送路近傍に配置した検査器によって中空成形品を検査する装置に於いて、
   下面に中空成形品の口部に対する吸着面を具え、中空成形品の搬送路の上方を直進移行する通気性コンベアと、
   通気性コンベアの上方に配置され、通気性コンベアに負圧を生じさせ中空成形品の口部を通気性コンベアの下面に吸着させる吸引装置と、
   搬送路側方に配置され、前記検査器によって検出された搬送中の中空成形品に外力を加えて傾け、通気性コンベアとの吸着を外す排出装置とから構成された中空成形品の検査装置。
2. 吸引装置は、内部に負圧室を有するダクトと、低摩擦性材料によって形成され、前記ダクト下面に取付られ下面に中空成形品の搬送方向に延びる平坦な支持面を具え、該支持面にはダクトの負圧室に連通し、搬送方向に長く延びるスリットを形成したガイド板とから構成され、
   通気性コンベアは、ガイド板の支持面に接しながら移行し、支持面上のスリットに連通する貫通孔を一定間隔に開設したタイミングベルトとから構成された請求項１に記載の中空成形品の検査装置。
3. 直進搬送路の上流端には、成形品を一列に並べて中空成形品の口部を通気性コンベアの下面高さに支持し、通気性コンベアの走行に同期して、１個づつの中空成形品を通気性コンベアに供給する供給装置が配設されている請求項１又は２に記載の中空成形品の検査装置。
4. 直進搬送路の下流端には、通気性コンベアから送られる中空成形品の首部から張り出すフランジを支持して搬送する口部検査装置が配設されている請求項１乃至３の何れかに記載の中空成形品の検査装置。

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