JP3613834B2 - 自動倉庫用スタッカクレーン - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、自動倉庫用スタッカクレーンに係り、特に非常時及びメンテナンス時等に作業者が搭乗してマストに沿って昇降する運転室の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、物流コスト及び物流効率の改善を目的とした物流拠点の集約、ユーザニーズの多様化に伴う多品種少量生産の普及等を背景として自動倉庫が幅広く用いられるようになった。自動倉庫においては、荷物を倉庫ラックに入出庫するために図5に示されるようなスタッカクレーンが使用されている。スタッカクレーンの走行本体1は、直立した二本のマスト2及び3とこれらマストの下部及び上部をそれぞれ水平に連結する下部フレーム4及び上部フレーム5とからなる矩形の枠構造を有している。走行本体1の下部フレーム4には走行装置6により駆動される図示しない走行車輪が設けられており、この走行車輪が床上に配置された下部レール7の上に乗っている。一方、上部フレーム5には下部レール7の直上に配置された上部ガイドレール8に滑動自在に係合するガイドローラ9が設けられている。走行装置6を駆動させることにより、走行本体1は下部レール7及び上部ガイドレール8に沿って水平方向に走行する。また、走行本体1には、昇降モータ10によりワイヤ11を介してマスト2及び3の間を上下動する昇降フレーム12が設けられており、この昇降フレーム12に荷物を倉庫ラックに移載するためのスライドフォーク13が備えられている。
【0003】
自動倉庫の搬入部に搬入された荷物は、走行本体1の昇降フレーム12上に載置され、走行装置6による走行本体1の水平移動及び昇降モータ10による昇降フレーム12の上下動によって対応する倉庫ラックの位置まで搬送され、スライドフォーク13を用いて倉庫ラックに移載される。
【0004】
また、昇降フレーム12上で荷崩れが発生したり、昇降フレーム12が故障するといった非常時、あるいは定期的なメンテナンス時に作業者が昇降フレーム12へ行くことができるように、マスト3の外側、すなわち昇降フレーム12とは反対側に、作業者が搭乗してマスト3に沿って上下動する運転室14が設けられている。
【0005】
このような運転室14は、図6及び図7に示されるように、スタッカクレーンの正面側、すなわちマスト3に対して90゜側方の面に、出入口用の扉16を備えていた。この扉16は、蝶番15により二枚の扉板が屈曲する折りたたみ式の扉であり、運転室14内のスペースを確保するため、二枚の扉板の連結部分を運転室14の外方へ飛び出させるように屈曲させることによって、扉16が開かれる。作業者は、運転室14の前に張り出すように形成された通路(タラップ)17に乗り、扉16を開いて運転室14内に入った後に扉16を閉め、昇降フレーム12と同じ高さまで運転室14を上昇させる。ここで、作業者は扉16を開き、運転室14から通路17を介して昇降フレーム12側の通路(図示せず)に乗り移り、必要な補修作業、メンテナンス作業等を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、二枚の扉板の連結部分を運転室14の外方へ飛び出させるようにして扉16が開かれるので、扉16の開閉を可能とするために、扉16の前方に設けられた通路17の幅Wを大きくとる必要があり、運転室14の付近が大型化するという問題点があった。
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、運転室付近の省スペース化を図ることができる自動倉庫用スタッカクレーンを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る自動倉庫用スタッカクレーンは、鉛直に設けられたマストの一面側に沿って昇降フレームが上下動する自動倉庫用スタッカクレーンにおいて、マストの他面側に沿って上下動すると共に鉛直方向の中心軸を有する円筒型の運転室と、運転室の側壁の一部を形成すると共に円筒の中心軸を中心として回転スライド式に開閉する扉とを備えたものである。
扉をマストの方向である第1の方向に回転スライドさせるとマストとは反対側に運転室への乗降口が開口し、マストとは反対の方向である第2の方向に回転スライドさせるとマストの側に昇降フレームへの出入口が開口するように構成することもできる。
【0008】
【作用】
この発明においては、運転室が鉛直方向の中心軸を有する円筒型に形成され、その円筒の側壁の一部を形成する扉が円筒の中心軸を中心として回転スライド式に開閉する。このため、扉の開閉スペースがほとんど不要となり、省スペース化がなされる。
また、扉を開く方向に応じて運転室への乗降口と昇降フレームへの出入口とを別に設ければ、運転室への出入りがスムーズになると共に作業者の安全性が向上する。
【0009】
【実施例】
以下、この発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
この発明の一実施例に係る自動倉庫用スタッカクレーンは、図5に示した従来のスタッカクレーンと同様に、下部レール及び上部ガイドレールに沿って水平方向に走行する走行本体と、昇降モータにより走行本体の一対のマストの間を上下動する昇降フレームを備えている。図1及び図2にこの実施例のスタッカクレーンに設けられた運転室24の近傍を示す。走行本体に鉛直に設けられたマスト3の一方の面3aに沿って昇降フレーム12が上下動自在に設けられている。マスト3の他方の面3bにはマスト3の長手方向に一対のガイドレール25が固定されており、このガイドレール25にガイドローラ29を係合させることにより運転室24が上下動自在に設けられている。
【0010】
運転室24は、マスト3と平行、すなわち鉛直方向の中心軸30を有する円筒形状に形成されており、運転室24の側壁の一部が扉26から構成されている。扉26は、円筒の一部をその中心軸30と平行な平面で切り取ったような側面26aと、この側面26aの上部を覆うように扇形に形成された上面26bとを有している。扇形の上面26bは、円筒形状の運転室24の中心軸30の回りに回転自在に取り付けられており、また側面26aの下端部には図示しない複数のキャスターが設けられている。これにより、扉26は中心軸30を中心として左右双方向に回転スライド式に開閉できるようになっている。扉26の側面26aには外側と内側の双方にそれぞれ取っ手27が形成されており、運転室24の外部からも内部からも扉24の開閉を行うことができる。また、運転室24の扉26の前には張り出すように通路(タラップ)28が形成されている。
【0011】
図3に示されるように、扉26をマスト3の方向(第1の方向)に回転スライドさせると、マスト3とは反対側に乗降口31が開口し、この乗降口31を通って運転室24に乗降することができる。一方、図4に示されるように、扉26をマスト3とは反対の方向(第2の方向)に回転スライドさせると、マスト3の側に出入口32が開口し、この出入口32を通って通路28から昇降フレーム12へ出ることができる。
【0012】
この実施例に係るスタッカクレーンの通常時における荷役作業は、図5に示した従来のスタッカクレーンと同様にして行われる。すなわち、自動倉庫の搬入部に搬入された荷物は、走行本体の昇降フレーム12上に載置され、走行本体の水平移動及び昇降フレーム12の上下動によって対応する倉庫ラックの位置まで搬送され、昇降フレームのスライドフォークを用いて倉庫ラックに移載される。
【0013】
次に、昇降フレーム12上で荷崩れが発生したり、昇降フレーム12が故障するといった非常時、あるいは定期的なメンテナンス時における動作について説明する。作業者は、図3に示されるように、運転室24の扉26をマスト3の方向に回転スライドさせて乗降口31を開口させ、この乗降口31から運転室24内に入る。作業者は、運転室24の内部から扉26を閉め、運転室24内の図示しない操作盤を操作して停止中の昇降フレーム12と同じ高さまで運転室24を上昇させる。ここで、作業者は、図4に示されるように、扉26をマスト3とは反対方向に回転スライドさせて昇降フレーム12側に出入口32を開口させ、この出入口32から通路28を介して昇降フレーム12の通路12aに乗り移り、必要な補修作業、メンテナンス作業等を行う。
【0014】
作業が終了すると、作業者は昇降フレーム12から通路28及び出入口32を介して運転室24内に入り、扉26を閉めた後、運転室24を最下段まで下降させる。そして、図3に示されるように、扉26をマスト3の方向に回転スライドさせて乗降口31を開口させ、この乗降口31から降りる。
【0015】
なお、通路28には手摺り28aが設けられており、図2のように扉26が閉まっている状態では、乗降口31側から通路28を通って昇降フレーム12側へ出ることができないようになっている。すなわち、運転室24の内部を通らなければ乗降口31側から昇降フレーム12側へ行くことができない。このため、運転室24内に作業者が入っている間に誤って他の作業者が昇降フレーム12側に出ることはなく、安全に作業を行うことができる。
【0016】
このように、円筒形状の運転室24に回転スライド式の扉26を設け、扉26のスライド方向に応じて運転室24への乗降口31と運転室24から昇降フレーム12への出入口32とを選択的に別々に形成するので、扉26の開閉スペースがほとんど不要となり、通路28の幅を小さくすることができると共に、運転室24への乗降及び運転室24から昇降フレーム12への出入りをスムーズに行うことができる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る自動倉庫用スタッカクレーンは、鉛直に設けられたマストの一面側に沿って昇降フレームが上下動する自動倉庫用スタッカクレーンにおいて、マストの他面側に沿って上下動すると共に鉛直方向の中心軸を有する円筒型の運転室と、運転室の側壁の一部を形成すると共に円筒の中心軸を中心として回転スライド式に開閉する扉とを備えているので、運転室付近の省スペース化がなされ、小型のスタッカクレーンが実現する。
また、扉をマストの方向である第1の方向に回転スライドさせるとマストとは反対側に運転室への乗降口が開口し、マストとは反対の方向である第2の方向に回転スライドさせるとマストの側に昇降フレームへの出入口が開口するように構成すれば、運転室への作業者の出入りがスムーズになると共に作業者の安全性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る自動倉庫用スタッカクレーンの運転室付近を示す斜視図である。
【図2】図1の実施例における運転室を示す平面図である。
【図3】図1の実施例において運転室への乗降時の状態を示す平面図である。
【図4】図1の実施例において運転室から昇降フレームへ乗り移る時の状態を示す平面図である。
【図5】従来の自動倉庫用スタッカクレーンの構造を示す斜視図である。
【図6】従来の自動倉庫用スタッカクレーンにおける運転室付近を示す斜視図である。
【図7】従来の自動倉庫用スタッカクレーンにおける運転室付近を示す平面図である。
【符号の説明】
3 マスト
12 昇降フレーム
24 運転室
25 ガイドレール
26 扉
27 取っ手
28 通路
28a 手摺り
29 ガイドローラ
30 中心軸
31 乗降口
32 出入口

Claims (2)

  1. 鉛直に設けられたマストの一面側に沿って昇降フレームが上下動する自動倉庫用スタッカクレーンにおいて、
    マストの他面側に沿って上下動すると共に鉛直方向の中心軸を有する円筒型の運転室と、
    前記運転室の側壁の一部を形成すると共に円筒の中心軸を中心として回転スライド式に開閉する扉と
    を備えたことを特徴とする自動倉庫用スタッカクレーン。
  2. 前記扉をマストの方向である第1の方向に回転スライドさせるとマストとは反対側に前記運転室への乗降口が開口し、マストとは反対の方向である第2の方向に回転スライドさせるとマストの側に昇降フレームへの出入口が開口することを特徴とする請求項1に記載の自動倉庫用スタッカクレーン。
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