JP3613812B2 - エアーバッグの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車両事故に伴う人身事故を防止するための自動車用衝撃吸収エアーバッグの製造方法に関するものである。
更に詳しくは、インフレーターからの高温のガス及び高温のガス発生剤燃焼残渣により損傷を受けず、燃焼残渣の飛散を遮蔽、濾別し、且つ優れた耐衝撃性、耐破裂性を有し、製造容易なエアーバッグの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、エアーバッグは、自動車の衝突事故に伴う人身事故防止装置として実用化され急速にその普及率が増大しつつあり、これらエアーバッグ衝撃吸収装置は、車両の衝突を検知するセンサーと、センサーからの信号に基づきバッグを膨張させるガスを爆裂的に発生させるガス発生器及び発生ガスの充満により瞬時に膨張し乗員の衝撃を吸収するエアーバッグ部により構成されている。
該エアーバッグ部は、一般に極めて高密度、低通気性の織編布か、或いは不透気性加工を施した織編布を所定形状に裁断し、その外周部を縫製或いは接着処理し内部に袋状空間を有するバッグを形成せしめて得るが、該バッグの一面(ハンドル側)は、少なくとも1個のインフレーター取付孔が穿たれ、発生ガスを適度の排気速度で排気するための排気孔を設けるか、又は、適度の透気性を有し排気能を有する面(織編布)で構成させ、他の一面は、透気性の低い織編布で構成させて作製されている。
【0003】
このようなエアーバッグ(構成織編布)に求められる基本的機能としては、
▲1▼充分高い衝撃強力を有すること
▲2▼充分高い(衝撃)引裂き強さを有すること
▲3▼充分高い破裂強力(耐圧強さ)を有すること
▲4▼充分な耐熱性(融点及び高温時物性)を有すること
▲5▼適度な透気性と濾過性能を有すること
▲6▼装着時にコンパクトに収納可能な如く格納性が優秀なこと
▲7▼エアーバッグにガスが導入された際の展開性が優秀なこと
等が要求され、この要求機能を満足させるために、構成材料の選定、構成組織、補強のための2次加工などに多くの考案、工夫がなされた開発が行われ、更にエアーバッグ製造工程の合理化面、生産性改善面においても実に多くの考案、工夫がなされている。
【0004】
即ち、▲1▼〜▲4▼の要求機能を満足せしめるために、ナイロン66を始めポリエチレンテレフタレート等の合成繊維素材の選定や、高強力、高結節強力、タフネス性、寸法安定性を確保するための製糸条件の選定及び織編物構成組織の選定に加え、特にインフレーター取り付け用開口部及び発生ガスの透過、排気用ベント孔部の補強のための補強方式、構造(開口部周辺に補強布を配し縫製、接着し補強する等)や付加的補強2次加工(補強用コーティング材の全面、部分コーティング等)などに多くの考案・工夫がなされ、
▲4▼の要求機能を満足せしめるために適合する耐熱性合成繊維素材の選定や、付加的耐熱性付与2次加工(耐熱性コーティング材の部分コーティングなど)の選定や、バッグ構成組織形態設計などに多くの考案、工夫がなされ、
▲5▼の要求機能を付与するために織編物を構成する繊維構成内容の選定(構成繊維デニール、撚数等)や織編物構成組織の選定(織り組織、織り密度など)及び透気性調整のための付加的2次加工などに多くの考案、工夫がなされ、
▲6▼〜▲7▼の要求機能を満足せしめるために、織編物構成組織の選定や付加的補強2次加工の適用形態選定(最も効果的な部分コーティング方法並びにコーティング材の選定等)や、バッグ構成形態設計に多くの考案、工夫がなされている。
【0005】
前記考案、工夫の結果、一般的に衝撃吸収用バッグ部の構成は、バッグの一面(ハンドル側)を極めて高密度、低通気性で上記の諸要求物性を備えた織編布か、或いは不透気性加工を施した該織編布を所定形状に裁断し、少なくとも1個のインフレーター取付孔を穿ちその周辺を補強し、更に発生ガスを適度の排気速度で排気するために、排気孔を少なくとも1個以上設けその周辺を補強し、ガス発生剤の微粉末状燃焼残渣を濾別する濾布を付加する形態を取るか、又は、この一面(ハンドル側)全体を適度の透気性を有し排気能を有する面(織編布)で構成させて、他の透気性の低い織編布で構成させたもう一面と合わせ、その外周部を縫製或いは接着処理して内部に袋状空間を有するバッグが作製する方式が採用されるに至っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インフレーター取付孔並びに排気孔近傍の補強のため、この部位をカバーする環状の補強布を切抜き、積層し縫製又は接着にて一体化し補強するか、或いは又補強用コーティング加工を施す従来の方法は、工程数が増大し製造工程が複雑となり生産性が悪くコストアップの一因となっている。
更に、インフレーターからの高温で且つ微細なガス発生剤燃焼残渣の濾別と適度の排気速度での排気を実施すべく、該排気孔部を濾布でカバーするため濾布を切抜き、前記の積層体或いはコーティング物に積層し縫製又は接着にて一体化する必要が生じるため、更に一層工程数が増大し、製造工程が複雑となり生産性が悪くなり、取扱基布の種類、形状寸法も多くなり、基布管理も煩雑となり、更にコストを押上げる問題点を発生させている。
【0007】
この煩雑な問題点を解消するために、インフレーター取付孔を有するエアーバッグのボトム側(ハンドル側)構成基布自体を、ガス排出性能を満足させる透気度の織編物基布で構成させる考案もあるが、かかる方策を取れば、乗員側(フロント側)の低透気度織編物基布と合わせ、その外周部を縫製しエアーバッグを形成せしめた際に、縫製部での滑脱が発生し易くなり、充分な縫製強度が得難くなる可能性が生じ、充分な安全の確実な保証がしにくくなる問題点を生じる。
【0008】
又、透気度を調整し低透気度化するためのコーティングの実施や、耐熱性付与や補強のためのコーティングの実施は、エアーバッグの重量を増し格納性と展開性を悪化させ、コーティング実施による加工コストアップを招く問題点を包含している。
従って、本発明は、構成部材数が少なく縫製や接着などの工程数が少なく、コーティングによる透気度調整を必要としないエアーバッグ製造を可能とするエアーバッグ構成部材の開発と、かかる要求実現可能な各構成部材形態の設計と、縫製、接着一体化生産システムの開発が切望されており、本発明は、これらの問題点を解決し優れた性能を有する耐衝撃吸収バッグを高生産性、低コストで生産する方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の手段を用いて課題を解決した。
即ち、▲1▼エアーバッグ構成構造と構成部材配置を合理化し、エアーバッグを構成する基材の種類、形状寸法を極力少なくすることにより基布管理の煩雑さを解消すると共に、構成部材積層、縫製(接着)のプロセスを合理化し、エアーバッグ製作工程を簡素化し、高生産性、コストダウンが可能な生産(縫製、一体化)プロセスの開発と高性能製品を開発することに成功した。
即ち、本発明におては、エアーバッグ構成基布の品種は、フロント側(乗員側)エアーバッグ構成基布と、ボトム側(ハンドル側)エアーバッグ構成基布とを共通化し、同一の低透気性、高強力、高破裂強力、高衝撃引裂き強さを有する基布1種類とし、形状も外形形状は共通とし、ボトム側のみインフレーター取付孔と発生ガスの透気用孔を穿孔した2形状とし、このボトム側(ハンドル側)エアーバッグ構成基布の補強と、ガス発生剤燃焼残渣の濾過材兼発生ガス透気速度調整の役割を共用化させた、インフレーター取付孔と発生ガスの透気用孔を覆う寸法、形状の環状の1種類1形状のガス排出フィルター基布を準備するだけとし、全体で2種類、総数3形状のトータル部材数3構成材(基布)を準備するだけにとめ、基布管理を著しく合理化した。
【0010】
この構成部材の品種、形状の統一、圧縮による部品数減少は、この部材を積層し組み合わせ縫製(接着)一体化するエアーバッグ製作システムをも著しく簡素化し合理化することを成功させ、高生産性生産システム構築とコストダウンに大きく貢献する。
即ち、エアーバッグの製作は下記のような簡単な工程で実施することが出来る。インフレーター取付孔と発生ガスの透気用孔を穿孔したボトム側(ハンドル側)エアーバッグ構成基布の、インフレーター取付孔と発生ガスの透気用孔を覆うように、補強と透気性調整をも行うガス排出フィルター基布を積層配置し、積層物における構成基布の開孔部周囲を縫製し(接着し)一体化し、ボトム面構成材を得る。
次いでフロント側(乗員側)エアーバッグ構成基布上に、このボトム面構成材の、ガス排出フィルター基布を積層していない面側を合わせて重ね、その外周を縫製し(接着し)袋状物となし、この袋状縫製物のインフレーター取付孔部からフロント側(乗員側)エアーバッグ構成基布を掴み、引き出して反転し裏返し、エアーバッグ部材を製作する。
【0011】
本発明においてインフレーター開孔部周辺の補強をより強化するために、ボトム側エアーバッグ構成基布と同一材質の、ボトム側エアーバッグ構成基布と同一のインフレーター取付孔を穿ち、外周寸法を発生ガス透気用孔にかからない大きさに打ち抜いた寸法・形状の環状補強布を用意し、ボトム面構成材作製時にガス排出フィルター基布上に積層し縫製し、ボトム面構成材を作製する。
すなわち、2種類総数4形状でトータル部材数4の構成材(基布)を準備することになるが、構成基材(基布)の種類は2にとどまり、さほど大きな負担とはならずに済む。
【0012】
▲2▼本発明においては、安全装置(エアーバッグ)作動時にインフレーターから爆裂的に発生する、ガス発生剤の微粉末状燃焼残渣を伴った高温気体を濾別し、車両室内の清浄を保ち室内汚染を防御し、乗員の衝撃をより少なくし安全を保証するために適した状態にエアーバッグ膨張状態を保つために、発生ガスの透過排気状態を制御する方法として、エアーバッグのボトム側(ハンドル側)エアーバッグ構成基布に発生ガスの透気、排気用の孔を穿ち、該ガス透気孔を補強も兼ねた透気性調整能を有するガス排出フィルター基布で覆う構造にすることにより、任意のガス透過状態(速度、透過量)が得られる制御システムを構築している。
即ち、ガス発生剤量、バッグ容量等に対応し、おおまかなガス透過状態(速度、透過量)制御は、ガス透過、排気孔の大きさと孔数で制御し、細かな制御はガス排出フィルター基布の組織構成による通気度に基づき制御するシステムを構築してあり、容易に任意のガス透過状態の要求に応じることが可能である。
【0013】
▲3▼本発明におけるエアーバッグは、発生ガスの透過排気を透過排気用に設けた排気孔と、それを覆うガス排出フィルターにより制御して行うように設計されているため、バッグ本体を構成するエアーバッグ構成基布は、透過、排気能等何等他の機能に制限されることなく、物性(強さ、収納展開性、耐熱性など)本位で設計できるため、必要な要求物性を満足させる基布の設定は極めて容易に行える。 従って、現状において生産される高強力グレードの合成繊維は何れもその対象になるが、エアーバッグに課せられる耐熱性を考慮した場合、ナイロン、ポリエステル、アラミド繊維が望ましく、就中ナイロン66、ナイロン46、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、メタ系或いはパラ系全芳香族ポリアミド、ポリパラフェニーレンスルホンアミド、ポリパラフェニーレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、全芳香族ポリエステル、ポリエーテルイミド繊維等が好ましい。
【0014】
▲4▼本発明に用いる基布は、以上に述べたように、物性(高強力、耐熱性、収納展開性など)本位に設計する低透気度のエアーバッグ構成基布と、耐熱性を考慮して透気度主体に設計されるガス排出フィルター基布の2種類であるが、エアーバッグ構成基布の透気度は、124Paの圧力下で測定したフラジール通気度が1.0cc/cm2 /sec以下であることが必要で、ガス排出フィルター基布の透気度は、124Paの圧力下で測定したフラジール通気度が1.0〜35cc/cm2 /sec、好ましくは2.0〜20cc/cm2 /secであることが好ましい。
ガス排出フィルター基布の124Paの圧力下で測定したフラジール通気度が1.0cc/cm2 /sec以下の場合は、ボトム側エアーバッグ構成基布にエアーバッグ強さに影響を及ぼさないレベルの透気、排気孔の大きさ、数を穿孔しエアーバッグを構成した場合、エアーバッグからの発生ガス排気速度が不足し、エアーバッグ内圧が高く乗員に対する衝撃吸収能が低下する(衝撃が大きい)し、124Paの圧力下で測定したフラジール通気度が35.0cc/cm2 /sec以上の場合は、ガス発生剤燃焼残渣の濾過が不十分となり、更に極度に通気度が大きいと排気能が過大となり、エアーバッグ内圧が不足し、衝撃吸収能がなくなり乗員の安全が保証できなくなる。
【0015】
これら基布としては平織、綾織、朱子織などの組織織物の他、多軸織物、多軸編物、不織布などが適用できるが、物性と透気、濾過性能の観点より平織、綾織、朱子織の適用が好ましく、所定の物性、透気性を得られるよう織物組織、打ち込み密度、構成繊維デニールなどを選定して製織すればよい。
これら合成繊維は、200デニール以上のマルチフィラメント糸で用いることが望ましい。
なお、このエアーバッグ構成基布に、クロロプレン、クロールスルホン化オレフィンゴム、シリコーンゴム、フッソゴム、ポリ塩化ビニール、塩素化ポリオレフィンなどのコーティングを行なって利用することも何等本発明に反しないが、軽量性、収納性、展開性の面から、本発明本来の姿のコーティングを施さないものの方が優れている。
【0016】
【実施例】
本発明の実施態様を以下に具体例を挙げて詳述する。
[実施例1]
840デニール/140フィラメントのナイロン66フィラメントを用い、経緯密度が32本/インチの平織り物を作成し、フラジール通気度が0.26cc/cm2 /secの高緻密度の基布を得る。
図1に示すように、この基布から直径750mmの円形状布を打ち抜き裁断しフロント側(乗員側)エアーバッグ構成基布1とした。
次に、更にこの基布1からと同型状の布を打ち抜き裁断し、その中央部にインフレーター取り付け用に直径100mmの孔2を打ち抜き、更に中心から170mmの位置に直径120mmの孔を互いに90゜の角をなすように4個打ち抜き、発生ガス透気、排気孔(ベント孔)3を設けたボトム側(ハンドル側)エアーバッグ構成基布4とした。
【0017】
一方、420デニール/36フィラメントのナイロン66フィラメントを用い、経緯密度が46本/インチの平織物を作成し、フラジール通気度が4.5cc/cm2 /secの高通気性の基布を得、この基布から直径600mmの円形状布を打ち抜き裁断し、その中央部にインフレーター取り付け用に直径100mmの孔5を打ち抜き、インフレーター取付部補強とガス排出孔周辺の補強をも兼ねた環状のガス排出フィルター基布6を得た。
次に、このガス排出フィルター基布6をボトム側(ハンドル側)エアーバッグ構成基布4の上にインフレーター取り付け用に穿孔した孔5を合わせて積層し、インフレーター取付孔外周位置とガス排出フィルター基布6の外周位置、及びボトム側(ハンドル側)エアーバッグ構成基布4に開けたベント孔3の外周に相当する位置をそれぞれ縫い代20mmでミシン縫製Sし、図2(イ)に示すようにボトム面側基材7を得た。
【0018】
次いで、このボトム面側基材7のガス排出フィルター基布6を積層していない側を上にし、フロント側(乗員側)エアーバッグ構成基布1の上に重ね、その外周部を縫い代25mmでミシン縫製Sし、図2(ロ)に示すように袋状物8を得た。
そして得られた袋状物8のインフレーター取り付け用に穿孔した孔9から、フロント側(乗員側)エアーバッグ構成基布1を掴んで引き出し袋を反転し裏返しエアーバッグを得た。
このエアーバッグをモジュールに組み立てインフレーターから爆裂ガスを発生せしめ、衝撃吸収バッグの実地展開テストを行った結果、ベント孔部から漏れて噴出する白煙は極めて微量であり、インフレーター取り付け部周辺及びベント孔周辺の破損は見受けられなかった。
【0019】
[実施例2]
420デニール/72フィラメントのナイロン66フィラメントを用い、経緯密度が55本/インチの平織物を作成し、フラジール通気度が0.26cc/cm2 /secの高緻密度の基布を得る。
この基布から直径750mmの円形状布を打ち抜き裁断し、フロント側(乗員側)エアーバッグ構成基布1とした。
次に、更にこの基布1からと同型状の布を打ち抜き裁断し、その中央部にインフレーター取り付け用に直径100mmの孔2を打ち抜き、更に中心から170mmの位置に直径120mmの孔3をお互いに90゜の角をなすように4個打ち抜き、発生ガス透気、排気孔(ベント孔)を配置したボトム側(ハンドル側)エアーバッグ構成基布4とした。
【0020】
更に又、この同じ基布4から直径200mmの円形状布を3枚打ち抜き裁断し、その中央部にインフレーター取り付け用に直径100mmの孔10を打ち抜き環状のインフレーター取付部補強布11とした。
一方、420デニール/36フィラメントのナイロン66フィラメントを用い、経緯密度が46本/インチの平織物を作成し、フラジール通気度が4.5cc/cm2 /secの高通気性の基布を得、この基布から直径600mmの円形状布を打ち抜き裁断し、その中央部にインフレーター取り付け用に直径100mmの孔5を打ち抜き、インフレーター取付部補強とガス排出孔周辺の補強をも兼ねた環状のガス排出フィルター基布6を得た。
【0021】
次に、このガス排出フィルター基布6をボトム側(ハンドル側)エアーバッグ構成基布4の上にインフレーター取り付け用に穿孔した孔5を合わせて積層し、更にその上に同じくインフレーター取り付け用に穿孔した孔10の位置を合わせて3枚の環状のインフレーター取付部補強布11を重ね、インフレーター取付孔外周位置とガス排出フィルター基布6、インフレーター取付部補強布11の外周位置及びボトム側(ハンドル側)エアーバッグ構成基布4に開けたベント孔3の外周に相当する位置を、それぞれ縫い代20mmでミシン縫製Sし、図3に示すようにボトム面側基材12を得た。
【0022】
次いで、このボトム面側基材12のガス排出フィルター基布6、インフレーター取付部補強布11を積層していない側を上にし、フロント側(乗員側)エアーバッグ構成基布1の上に重ね、その外周部を縫い代25mmでミシン縫製Sし袋状物13を得た。
そして得られた袋状物13のインフレーター取り付け用に穿孔した孔14から、フロント側(乗員側)エアーバッグ構成基布1を掴んで引き出し、袋を反転し裏返しエアーバッグを得た。
このエアーバッグをモジュールに組み立てインフレーターから爆裂ガスを発生せしめ、衝撃吸収バッグの実地展開テストを行なった結果、ベント孔部から漏れて噴出する白煙は極めて微量であり、インフレーター取り付け部周辺及びベント孔周辺の破損は見受けられなかった。
【0023】
[実施例3]
実施例1に於ける環状のガス排出フィルター基布6を3/1綾織で、経緯密度が50本/インチの綾織とし、フラジール通気度を25cc/cm2 /secに変更した以外はすべて同様にし、エアーバッグを作成し、同様に展開試験を行なったところ、ベント孔部から漏れて噴出する白煙は微量であったが、ベント孔周辺に若干の破損が見受けられた。
【0024】
[比較例1]
実施例1に於ける環状のガス排出フィルター基布6を3/1綾織で、経緯密度が45本/インチの綾織りとし、フラジール通気度を40cc/cm2 /secに変更した以外はすべて同様にし、エアーバッグを作成し、同様に展開試験を行なったところ、ベント孔部から噴出する白煙は多く、ベント孔周辺に引裂き破損が見受けられた。
【0025】
[比較例2]
実施例1に於ける環状のガス排出フィルター基布6を平織で、経緯密度が52本/インチの平織とし、フラジール通気度を0.7cc/cm2 /secに変更した以外はすべて同様にし、エアーバッグを作成し、同様に展開試験を行ったところ、ベント孔部から噴出する白煙は極めて微量で殆ど見受けられなかったが、バッグ内圧が実施例1の時の1.5倍となりベント孔を設けない時と余り変わらない内圧となり、乗員に対する衝撃吸収がソフトな受け止め状態とならぬ様子が見受けられた。
【0026】
尚、各実施例に於ける製品の性能評価は次記の方法により行った。
(1)フラジール通気度:JIS−1096のフラジール通気度測定法に従い、124Paの圧力下に於けるフラジール通気度を測定した。
(2)インフレーション試験:モートンインターナショナル(株)製タイプ4のインフレーターを用い、90℃に保温したモジュールに就いて展開試験を行なった。
(3)濾過性:エアーバッグ展開時にバッグ外に噴出する白煙の有無(状態)を目視観察して評価した。
【0027】
【発明の効果】
本発明のエアーバッグは前記の如く構成されているため、
▲1▼基材が2品種で部品数が3或いは4だけであり、構成部材数が少なく基布管理が容易である。
▲2▼エアーバッグ縫製(接着)組立の作業が、部品数及び縫製(接着)工程数が少なく安易に高生産性にて製作できる。
▲3▼収納性、展開性に富み適度の発生ガス排気能を有し、高強力でガス発生剤燃焼残渣の濾別性に富んだ、安全性の高い高機能衝撃吸収エアーバッグが低コストで作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のエアーバック構成基布の平面図を示し、(イ)はインフレーター取付け部環状補強布の平面図、(ロ)はガス排出フィルター基布の平面図、(ハ)はハンドル側構成基布の平面図、(ニ)は乗員側エアーバッグ構成基布の平面図である。
【図2】本発明の実施例のエアーバック構成基布の縫製物の断面図を示し、(イ)はボトム面側基材の断面図、(ロ)は袋状物の断面図である。
【図3】本発明の他の実施例のエアーバック構成基布の縫製物の断面図を示し、(イ)はボトム面側基材の断面図、(ロ)は袋状物の断面図である。
【符号の説明】
1 乗員側エアーバッグ構成基布
2 インフレーター取付け用孔
3 ベント孔
4 ハンドル側エアーバッグ構成基布
5 インフレーター取付け用孔
6 ガス排出フィルター基布
7 ボトム面側基材
8 袋状物
9 インフレーター取付け用孔
10 インフレーター取付け用孔
11 インフレーター取付部環状補強布
12 ボトム面側基材
13 袋状物
Claims (2)
- フラジール通気度が1.0cc/cm2 /sec以下の高緻密度の基布から円形状布を打ち抜き裁断し乗員側エアーバッグ構成基布1を形成する段階と、前記基布1と同型状の布を打ち抜き裁断し、その中央部にインフレーター取付用孔2を打ち抜き、更に中心から所定位置にガス排出孔3を設けたハンドル側エアーバッグ構成基布4を形成する段階と、フラジール通気度が1.0〜35.0cc/cm2 /secの高通気性の基布から円形状布を打ち抜き裁断し、その中央部にインフレーター取付孔5を打ち抜き、環状のガス排出フィルター基布6を形成する段階と、次に、前記ガス排出フィルター基布6をハンドル側エアーバッグ構成基布4の上にインフレーター取付孔5を合わせて積層し、前記インフレーター取付孔外周位置と前記ガス排出フィルター基布6の外周位置、及びハンドル側エアーバッグ構成基布4のガス排出孔3の外周に相当する位置をそれぞれ縫製Sしボトム面側基材7を形成する段階と、次いで、前記ボトム面側基材7の前記ガス排出フィルター基布6を積層していない側を上にし、前記乗員側エアーバッグ構成基布1の上に重ね、その外周部を縫製し袋状物8を形成する段階と、該袋状物8のインフレーター取付け用に穿孔した孔9から、前記乗員側エアーバッグ構成基布1を掴んで引き出し袋状物13を反転する段階とからなることを特徴とするエアーバッグの製造方法。
- フラジール通気度が1.0cc/cm2 /sec以下の高緻密度の基布から円形状布を打ち抜き裁断し、乗員側エアーバッグ構成基布1を形成する段階と、前記基布1からと同型状の布を打ち抜き裁断し、その中央部にインフレーター取付孔2を打ち抜き、更に中心から所定位置にガス排出孔3を打ち抜きハンドル側エアーバッグ構成基布4を形成する段階と、更に前記基布4から円形状布を打ち抜き裁断し、その中央部にインフレーター取付孔10を打ち抜き環状のインフレーター取付部補強布11を形成する段階と、フラジール通気度が1.0〜35.0cc/cm2 /secの高通気性の基布から円形状布を打ち抜き裁断し、その中央部にインフレーター取付孔5を打ち抜き、環状のガス排出フィルター基布6を形成する段階と、次に、前記ガス排出フィルター基布6をハンドル側エアーバッグ構成基布4の上に前記インフレーター取付孔5を合わせて積層し、更にその上に前記インフレーター取付孔10の位置を合わせて前記環状のインフレーター取付部補強布11を重ね、前記インフレーター取付孔10外周位置と前記ガス排出フィルター基布6、前記インフレーター取付部補強布11の外周位置及び前記ハンドル側エアーバッグ構成基布4に開けた前記ガス排出孔3の外周に相当する位置を縫製し、ボトム面側基材12を形成する段階と、次いで、前記ボトム面側基材13のガス排出フィルター基布6、インフレーター取付部補強布11を積層していない側を上にし、乗員側エアーバッグ構成基布1の上に重ね、その外周部を縫製し袋状物13を形成する段階と、該袋状物13のインフレーター取付用孔14から乗員側エアーバッグ構成基布1を掴んで引き出し、袋状物13を反転する段階とからなることを特徴とするエアーバッグの製造方法。
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